Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4...

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Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標 1.実習要領 1)実習目的 成人期にある人の特徴をふまえ、周手術期にある患者を総合的に理解し、科学的根拠に基 づいた看護を実践できる能力を養う。 2)実習目標 (1)周手術期にある患者の身体的・精神的・社会的特徴が理解できる。 (2)術後合併症や異常の早期発見に向けたアセスメントができる。 (3)患者の生命維持と合併症予防、回復への援助を実施できる。 (4)周手術期に応じた不安の緩和・闘病意欲の維持増進に対する支援が理解できる。 (5)チーム医療における看護師の役割を自覚し、責任ある行動がとれる。 (6)実践した看護を振り返り、自己の課題を明確にして看護観を深めることができる。 実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点 1.周手術期にある 患者の身体的・精神 的・社会的特徴が理 解できる。 2.術後合併症や異 常の早期発見に向け たアセスメントができる。 1)患者の身体的な特徴 を述べることができる。 2)患者の精神的・社会 的な特徴を述べることが できる。 1)術前の情報から術後 に予測される合併症を述 べることができる。 2)異常の早期発見のた めの観察項目を述べるこ とができる。 3)身体の状態を観察し 正常・異常の判断ができ る。 (1)身体的特徴 ①急激な身体状況の変化 ②治療による身体的影響 ③手術侵襲による生体反応 ④手術による形態・機能の変化 ⑤痛みなどの苦痛 (1)精神的・社会的特徴 ①精神的な危機 ②一時的・永久的なボディイメージの 変容 ③成人期の発達段階 (1)患者の術後の状態予測 ①手術操作、麻酔、術後管理に関 連する合併症 (1)全身状態の把握 ①麻酔の覚醒状況、意識レベル ②バイタルサイン ③創・ドレーン類と排液の観察 ④輸液の観察 ⑤水分出納 ⑥呼吸・循環・腎機能の状態 ・手術記録、麻酔記録、 手術看護記録、経過表の 見方を確認する。 ・患者とのコミュニケーション、観 察、カルテ、医師や看護師か らの説明などから情報収 集を行い、「アセスメントⅠ」に 記載する。 ・収集した情報を整理 し、不足部分については 看護師から助言を得る。 ・事前学習をもとに理解 する。 ・既往歴、生活歴、服 薬、術前検査、予定術 式・麻酔、術後指示から 起こりやすい合併症を予 測し、「関連図」を用い て整理する。 ・「術後経過表」に予測さ れる共同問題を記載する ・患者の手術内容、術中 の経過について麻酔記 録、医師記録、手術看護 記録から情報収集する。 ・術中の経過、術創、術 式による組織の形態・機 能の変化、挿入されてい 講師 看護師

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Page 1: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標

1.実習要領

1)実習目的

成人期にある人の特徴をふまえ、周手術期にある患者を総合的に理解し、科学的根拠に基

づいた看護を実践できる能力を養う。

2)実習目標

(1)周手術期にある患者の身体的・精神的・社会的特徴が理解できる。

(2)術後合併症や異常の早期発見に向けたアセスメントができる。

(3)患者の生命維持と合併症予防、回復への援助を実施できる。

(4)周手術期に応じた不安の緩和・闘病意欲の維持増進に対する支援が理解できる。

(5)チーム医療における看護師の役割を自覚し、責任ある行動がとれる。

(6)実践した看護を振り返り、自己の課題を明確にして看護観を深めることができる。

実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点

1.周手術期にある

患者の身体的・精神

的・社会的特徴が理

解できる。

2.術後合併症や異

常の早期発見に向け

たアセスメントができる。

1)患者の身体的な特徴

を述べることができる。

2)患者の精神的・社会

的な特徴を述べることが

できる。

1)術前の情報から術後

に予測される合併症を述

べることができる。

2)異常の早期発見のた

めの観察項目を述べるこ

とができる。

3)身体の状態を観察し

正常・異常の判断ができ

る。

(1)身体的特徴

①急激な身体状況の変化

②治療による身体的影響

③手術侵襲による生体反応

④手術による形態・機能の変化

⑤痛みなどの苦痛

(1)精神的・社会的特徴

①精神的な危機

②一時的・永久的なボディイメージの

変容

③成人期の発達段階

(1)患者の術後の状態予測

①手術操作、麻酔、術後管理に関

連する合併症

(1)全身状態の把握

①麻酔の覚醒状況、意識レベル

②バイタルサイン

③創・ドレーン類と排液の観察

④輸液の観察

⑤水分出納

⑥呼吸・循環・腎機能の状態

・手術記録、麻酔記録、

手術看護記録、経過表の

見方を確認する。

・患者とのコミュニケーション、観

察、カルテ、医師や看護師か

らの説明などから情報収

集を行い、「アセスメントⅠ」に

記載する。

・収集した情報を整理

し、不足部分については

看護師から助言を得る。

・事前学習をもとに理解

する。

・既往歴、生活歴、服

薬、術前検査、予定術

式・麻酔、術後指示から

起こりやすい合併症を予

測し、「関連図」を用い

て整理する。

・「術後経過表」に予測さ

れる共同問題を記載する

・患者の手術内容、術中

の経過について麻酔記

録、医師記録、手術看護

記録から情報収集する。

・術中の経過、術創、術

式による組織の形態・機

能の変化、挿入されてい

講師 看護師

Page 2: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

3.患者の生命維持

と合併症予防、回

復への援助を実施

できる。

4.周手術期に応じ

た不安の緩和・闘病

意欲の維持増進に対

する支援が理解でき

る。

1)安全に手術が受けら

れるための援助を述べる

ことができる。

2)術後回復段階に応じ

た日常生活援助が看護師

とともに実施できる。

3)術後合併症予防の援

助が看護師とともに実施

できる。

4)症状緩和への援助が看

護師とともに実施できる。

1)疾患の発症、手術に

よって形態・機能の変化

を余儀なくされた対象の

精神的特徴を述べること

ができる。

(1)術前の看護

①手術前オリエンテーション

②手術に向けた身体準備

・禁煙、深呼吸の方法、喀痰排

出方法

・消化管前処置

・飲食・水分制限

・全身の清浄化処置

③手術後ベッドの作成と病床準備

(1)日常生活援助

①呼吸・循環の援助

②早期体動、離床促進の援助

③創傷治癒の援助

④睡眠・食・排泄の援助

⑤清潔・衣生活の援助

(1)術後合併症予防の援助

①肺合併症予防

②循環不全予防の援助

③イレウス予防の援助

④術後感染予防

⑤縫合不全予防の援助

⑥肺塞栓症と深部静脈血栓症予防

⑦術後せん妄予防の援助

(1)症状緩和への援助

①体位調整

②含嗽

③冷罨法・温罨法

④経口・経腸・筋肉内・静脈内投

与の見学

⑤硬膜外持続投与、PCA 法の見学

(1)患者への精神的援助

①インフォームドコンセントへの支援

②不安の緩和

③ボディイメージの変容、機能障害に

対する受容

るドレーン、チューブ等を「関

連図」の左枠に図示する

・術当日より術後の経過

が正常か異常かを「術後

経過表」を用いてアセスメント

する。

・術前オリエンテーションの見学

を行い、個別性を踏まえ

たオリエンテーションの内容を理

解する。

・手術に向けた身体準備

を指導者と共に実施する

・術後ベッドの作成、病

床準備は学生が主体的に

行う。

・術前、術当日は指導者

と共に患者に必要な看護

を行い、「行動計画表」

に学び気づきを記載する

・術後1日目からは「1

日の行動計画」に日々の

看護計画を立案する。

・計画はクリティカルパスや指

導者の助言をもとに患者

の状態を予測し立案する

・術後1日目からは立案

した計画に沿って指導者

と共に実施する。

・術後、集中治療室へ入

室する場合は、指導のも

と見学実習を行う。

(集中治療室見学実習

要領参照)

・実施した看護は振り返

りを行い、翌日に活かせ

るよう計画の追加、修正

を行う。

・患者が自己決定できる

ように意思を尊重した態

度で接する。

・カンファレンスを見学し、インフ

ォームドコンセントへの支援、不

安や苦痛に対する援助方

法について理解する。

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5.チーム医療におけ

る看護師の役割を自

覚し、責任ある行動

がとれる。

6.実践した看護を

振り返り、自己の課

題を明確にして看護

観を深めることがで

きる。

7.医療チームの一

員として看護師の役

割を自覚し責任ある

行動をとることがで

きる

2)手術に伴う形態・機

能の変化に対して適応す

るための援助を述べるこ

とができる。

1)保健医療チームの連携

がわかる。

2)チームの一員であること

を自覚し、責任ある行動

をとることができる。

1)周手術期にある患者

への援助過程を振り返

り、自己の傾向に気付く

ことができる。

2)急性期から回復期に

ある患者の看護実践を通

して、自己の看護に対す

る考えを表現できる。

1) 対象の権利を尊重し

た行動がとれる

2) 看護者として誠実

で、責任ある行動が

とれる

3) 探求心を持ち、自己

の看護を高める行動

がとれる

(1)患者に必要な生活支援・退院支

援の実際

①生活習慣変更に伴うもの

②疾患の発症や手術に伴う身体の形

態・機能の変化が対象に及ぼす精

神的・社会的影響

(1)保健医療チームとの連携

①医師、看護師、薬剤師、検査技

師、理学療法士、作業療法士、

栄養士等の役割、情報提供と

共有

(1)記録・報告の実際

(2)病棟カンファレンスの参加

(3)時宜を得た報告・連絡・相談

(1)行った看護の意味の考察

(1)生命危機状態における看護師の

役割考察

(1) 対象や家族のもつ価値観や思い

を尊重する

(2) 看護におけるアドボカシーにつ

いて考え実践する

(1) 守秘義務を順守することができ

(2) 看護者として、挨拶、身だしな

み、態度で実習に臨むことがで

きる

(3) 時間を守る

(4) 提出期限を守る

(5) 適切な時間、場所を考慮した報

告・連絡・相談ができる

(1) メンバーと連携をとり、協力し

あい実習を行う

(2) 自分の看護を高めるよう、事前

学習を行うことができる

(3) カンファレンスにて専門的知識

・患者、家族からの質問

は指導者に確認して答え

る。

・「学習支援計画書」に

立案した内容について

は、必ず指導者の了承を

得てから実施する。

・手術室、ICUへの引

継ぎに参加する。

・カンファレンスを見学し、保

健医療チームとの連携につ

いて理解する。

・患者の状態の観察、バ

イタルサインの測定後は直ちに

看護師に報告する。

・実習記録や、カンファレンスで

振り返りを行い、看護の

意味を考える。

・生命の危機状態にある

患者の看護問題について

考察し、看護師の役割に

ついて考えを述べる。

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4) 心身の健康の保持増

進ができる

を裏付けとした自己の意見を述

べ、他者の意見を組み入れなが

ら積極的に参加する

(1) 健康管理を行い、欠席・遅刻・早

退がないようにする

予防行動をとることができる

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実習スケジュール

実習日 実習項目 実習の進め方

実習初日 オリエンテーション

実習スケジュールの調整

受け持ち患者の決定

情報収集・関係作り

受け持ち患者の状態に応

じた援助の見学

カンファレンス

翌日に向けての情報収集

調整(終日まで)

・病棟内オリエンテーションを受ける。

・カンファレンス開始時間や中間反省会、終了反省会の日時の調整

・検査、処置の見学の調整(病棟によって、予定にあるもの)

・学生1名に対して受け持ち患者が決定したら、指導者に紹介して

もらい挨拶する。

・情報収集は患者とのかかわりやカルテから行い、全体像を捉える。

・手術記録、麻酔記録などの見方について確認する。

・受け持ち患者のバイタルサイン測定、清潔、更衣、食事、排泄、移動状

況などの日常生活にかかわる看護援助、検査・処置があれば、看

護師のシャドーイングを行い、患者への声かけや援助方法について見

学する。

・術前から患者を受け持つ場合は、術前オリエンテーション、インフォームドコンセント、

手術に向けた身体の準備等の援助を見学する。

・術後の患者を受け持つ場合には、術後回復段階に応じた日常生活

援助、術後の看護(創部疼痛緩和・術後合併症予防)、患者への精

神的援助、退院支援の実際等受け持ち患者の状態に応じた看護援

助を見学する。

・指導者に参加していただき、本日の気づき、学びと疑問点について

発表する。

・受け持ち患者の処置・検査・援助内容の確認を行い、翌日の行動計

画に反映できるよう準備する。

2日目

~3週目

目標・計画の発表

看護展開と記録提出

・毎朝指導者に本日の目標とタイムスケジュールを発表し助言を受ける。

(発表方法は病棟に準ずる)。

*受け持ち患者がいない場合、受け持ち患者の術前・術当日は「行

動計画表」に記載する。

*受け持ち患者の術後1日目より「1日の行動計画」に記載する。

*記録の指導・助言を受ける際は原本を黄色ファイルに綴じておくこと

*1人目に受け持った患者をA氏、2人目に受け持った患者をB氏

3人目に受け持った患者をC氏と記載する。

・受け持ち患者が決定した翌日に「アセスメントⅠ」について教員より助言

を受ける。

・術前、術当日は指導者と共に患者に必要な看護を行い、「行動計

画表」に学び気づきを記載する。

・術後1日目からは「1日の行動計画」に日々の看護計画を立案

し、看護師とともに実施する。

・翌日には、前日分の「1日の行動計画」の看護実施・評価を記録

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援助の実際の見学および

実施

カンファレンス

学習支援計画書の立案

(教育・指導)

中間反省会

(6または7日目)

終了反省会

(最終日)

*最終日は 12:30 まで病

棟実習

午後は記録のまとめ

*指定された時間までに

実習記録物提出

その他

受け持ち患者以外で実施

したものを朝、黄色ファイルに提出する。

*受け持ち患者がいない場合は、「1日を通しての学び・気づき・

振り返り」に記入し提出する。

・「関連図」は実習期間を通して受け持った患者で1部提出する。

術直後の時点でアセスメントし記載するが、術前、術中の情報から術後

に起こりうる問題を予測し、退院後の生活を見据えて問題点を明

確にする。

・共同問題の継続、解決については、クリティカルパスや看護師からの助

言をもとに「術後経過表」を活用して日々の経過をアセスメントし、判

断する。

・バイタルサインの測定および観察は術後1時間後から見守りのもと実施

できるようにする。(患者の状態によってはこの限りではない)

・バイタルサインの測定および観察の指導を受ける時間を指導者と調整す

る。

・行動計画に沿って、指導者と共に日常生活の援助や処置・検査の

見学をする。

・見学、実施後の報告は速やかに行う。

・受け持ち患者とのコミュニケーションの取り方、看護上の問題点、解らな

いことや困っていることなどを学生間で話し合い、明日への看護

に繋がるテーマを考える。

・テーマは前日に考え、当日朝に指導者・教員に報告する。

・司会者と書記は輪番制とする。

・患者教育、指導を行う場合には、「学習支援計画書」を用い、指

導・助言を受ける。実施の可否についても相談する。

・自己の実習目標に沿って実習を進めることができているか評価す

る。

・中間反省会の朝、自己評価表、患者を通して学んだこと、後半に

向けてについて、具体的に記載し、提出する。

*コピーは、発表順にまとめ指導者、教員に提出する。

・終了反省会実施日の朝に、自己評価を記載した評価表(コピー)と

「実習を終えて」(コピー)を指導者、教員に提出する。

(前日に必要部数を確認する)

・自己の実習目標の達成度を評価する。

・実習目的・目標に沿って学びや自己の課題、自分の考える看護に

ついて発表を行い実習全体を振り返る。

・術後ベッド作成、チームカンファレンス参加など

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3)実習記録の提出

(1)実習終了時

①実習記録の綴じ方(※アが上になるように綴じる。)

(ア) 学生プロフィール

(イ) 成人看護学実習Ⅰ 評価表、自己評価表

(ウ) 実習を終えて

(エ) アセスメントⅠ(基本情報)・検査データ、薬剤

(オ) 関連図

(カ) 術後経過表

(キ) 行動計画表(日付の順に綴じる)

(ク) 1日の行動計画(日付の順に綴じる)

(ケ) 1日を通しての学び・気づき・振り返り(必要時使用した場合)

(コ) 学習支援計画書、媒体のコピー

※受け持ち患者が2名以上になった場合には、エ~コを患者毎にまとめて綴じる。

2.指導要領

1)受け持ち患者の選定

(1)受け持ち患者の条件:周手術期にある患者の看護

①手術を受ける急性期の患者で、生命危機状態の看護が経験できる患者。

(例:手術前~術後1日目の看護が体験できる患者)

2)受け持ち患者の看護展開指導

(1)実習指導は原則として、看護師と共に行動する中から看護の実際を学ばせる。

(2)学生の背景を考慮し、患者に関する情報を与え、早期に受け持ち患者の理解ができる

ように助言する。

(3)情報源とその活用方法を理解させ、不足情報がスムーズに収集できるよう助言する。

(4)術前および術後の経過の情報を経時的にとらえながら、患者に起こりうる生体反応も

しくは起こっている生体反応をアセスメントできるようにする。

(5)生命危機状態の時期にあった共同問題・看護問題を導き出せるよう「関連図」を用い

て助言する。

(6)共同問題の継続・解決の判断については、クリティカルパス、侵襲からの生体反応、創傷の

治癒過程、治療・検査・処置などを参考に「術後経過表」を用いて助言する。

(7)術後回復段階に応じた日常生活援助や早期離床の援助について、「1日の行動計画」

の中で立案し、指導のもとに実践できるようにする。

(8)実習期間を通して、受け持ち患者の看護を見学またはともに実施し、意味づけできる

よう助言し、理解を促す。

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Ⅱ.集中治療室見学実習の目的・目標

1.実習要領

1)実習目的

成人期にある人の特徴をふまえ、周手術期にある患者を総合的に理解し、科学的根拠に基

づいた看護を実践できる能力を養う。

2)実習目標

(1)集中治療室の環境・構造を理解する。

(2)集中治療を必要とする対象の看護の実際を理解する。

(3)治療・生活の場を整える看護者の役割を理解する。

3)見学実習の方法

(1)受け持ち患者が集中治療室に入室する場合に行う。

(2)原則として、見学実習の前日に受け持ち患者情報を師長より集中治療室へ伝達頂く。

(3)見学実習当日の朝は病棟から手術室への患者送り出しと集中治療室への申し送りを見

学する。

(4)手術が終了するまで病棟で実習を行う。目標発表は指導者又は部屋持ち看護師へ行う

(5)実習時間内(目安として15時頃)に手術が終了した場合には集中治療室へ行き、集

中治療室の看護師と共に、目標に沿って術直後の看護を見学する。その際にもらった

指導内容は学生がメモをし、学生が「行動計画表」の学び・気づき欄に記入する。

(6)術後1日目以降に継続して入室する場合には、病棟の始業時間までには集中治療室へ

行く。学生の「1日の行動計画」の目標発表は集中治療室看護師に行う。病棟帰室時

間まで看護師と共に看護を行う。助言や指導を受けた内容については前日同様に学生

がメモをし、指導者コメント欄に記入する。

(7)11時頃までに病棟へ帰室した場合には、午後は病棟看護師と術後の看護を行う。

午後の目標発表は病棟看護師へ行う。

2.指導要領

1)術後経過表の観察項目、1日の行動計画の目標、計画内容を確認し、助言を行う。

2)受け持ち対象の看護の実際を見学または共に実施し、意味づけできるように助言し理解

を促す。

実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点

1.集中治療室の環

境・構造を理解す

る。

2.集中治療を必要

とする対象の看護の

実際を理解する。

1)集中治療室の環境・

構造を述べることができ

る。

1)集中治療室入室とな

る対象の状況を述べるこ

とができる。

1)集中治療室の構造

2)対象にとっての集中治療室の環境

(1)時間の経過、昼と夜の区別

(2)各種ラインの挿入、モニター類

の装着

(3)見慣れない物的環境(ME機器

等)

(4)見慣れない人的環境

1)集中治療室入室となる対象

(1)受け持ち患者の状況

・学生カンファレンスの中で学

びを共有する。

・術創の状態、術式によ

る組織の形態・機能の変

化、挿入されているドレー

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3.治療・生活の場

を整える看護者の役

割を理解する。

2)集中治療を必要とす

る対象の看護の実際を述

べることができる。

1)治療・生活の場を整

える看護者の役割を述べ

ることができる。

2)集中治療を必要とする対象の看護の

実際

(1)呼吸の観察

①人工呼吸器の設定

②胸郭の動き・左右差

③チアノーゼ

④呼吸音の異常

⑤気道内分泌物の性状、量

⑥気管内挿管チューブのカフ圧の確認、

カフ圧圧迫による炎症、壊死の防止

(2)循環の観察

①薬剤の種類、投与量

②心電図モニター

③観血的動脈圧モニター

④スワンガンツカテーテルによる肺動脈圧、

心拍出量、中心静脈圧測定

⑤脈拍、心拍数

⑥心音

⑦四肢冷感

⑧時間尿量

(3)挿入されているカテーテル・チューブ類

の管理

①感染予防

②チューブのゆとり、固定の確実性

体動による挿入位置の移動はない

かなどトラブルの予防

(4)体温の観察

①体表温度と深部体温測定

(5)体液管理

①IN・OUTの観察

②血液所見

③輸液ポンプ、シリンジポンプの管理

(6)リハビリテーション

(7)創傷管理

(8)術後せん妄

1)清潔の援助

(1)気管内挿管中の口腔内の洗浄、

清拭

(2)全身清拭

(3)陰部洗浄

(4)頭部の清潔

(5)援助時の配慮(プライバシー等)

2)家族への援助の実際

ン、チューブ等を「関連図」

の左枠に図示する

・集中治療室へ入室する

場合は、指導のもと見学

実習を行う。

・指導者と共に、観察

を行う。観察した結果

を「術後経過表」に記

載する。

・指導を受けた内容は

学生が指導者コメント欄に

赤字で記入する。

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Ⅰ.成人看護学実習Ⅱ

(回復期・終末期・化学療法・放射線療法)の目的・目標

1.実習要領

1)実習目的

成人期にある人の特徴をふまえ、回復期・終末期にある対象や、化学療法・放射線療法治

療を受けている対象を総合的に理解し、個別に応じた看護が実践できる能力を養う。

2)実習目標

(1)健康問題をもつ患者の発達段階の特徴をふまえ、身体的・精神的・社会的側面から総

合的に理解することができる。

(2)患者の健康段階に応じた日常生活の援助を、安全・安楽に考慮しながら実施できる。

(3)苦痛を伴う治療を受ける患者の身体的・精神的援助ができる。

(4)患者および家族への学習支援ができる。

(5)チーム医療における看護師の役割について理解できる。

(6)実践した看護を振り返り、自己の課題を明確にして看護観を深めることができる。

実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点

1.健康問題をもつ

患者の発達段階をふ

まえ、身体的・精神

的・社会的側面から

総合的に理解するこ

とができる。

2.患者の健康段階

に応じた日常生活の

援助を、安全・安楽

に考慮しながら実

施できる。

1)患者の身体的・

精神的・社会的特徴

を述べることができ

る。

2)患者の疾患・治

療・検査・ADL状況

が説明できる。

3)患者の発達段階

とその課題が説明で

きる。

4)患者の疾患や障

害がもたらす日常生

活への影響を説明で

きる。

1)患者に必要な援

助を計画できる。

2)患者に必要な日

常生活援助ができる。

1)患者の情報を記録様式に基づき

収集

(1)既往歴・現病歴・生活歴・検

査所見・治療方針等

(2)疾患や障害が患者や家族にも

たらす影響

1)患者の ADLの状態を把握し、自

立度に応じた日常生活援助

(1)ADL、環境調整への援助

2)患者の病期、障害に応じた援助

(1)ADLの維持・拡大及び自立へ

の支援

(2)合併症予防・事故防止のため

の援助

・患者の病態生理・治療・検査・

看護について自己学習を行う。

・患者とのコミュニケーション、観察、

カルテ、医師や看護師、療法士

(PT・OT・ST)、技師、薬剤

師などの他職種から情報収集を

行う。

・収集した情報を分析し、患者

の全体像をとらえ、不足部分に

ついては指導者・教員から助言

を得る。

・看護の実践場面を見学する。

・実施は指導者に確認しながら

行う。

・患者に行われる治療や検査の

目的・方法および看護上の留意

点をふまえて行う。

・患者の自立度・セルフケア能力に

応じて行う。

・患者の自尊心や価値観などを

Page 11: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

3.苦痛を伴う治療

を受ける患者の身体

的・精神的援助がで

きる。

4.患者および家族

への学習支援ができ

る。

5.チーム医療におけ

る看護師の役割につ

いて理解できる。

1)患者の身体的苦

痛の緩和に向けた援

助ができる。

2)患者の精神的苦

痛の緩和に向けた援

助ができる。

1)患者及び家族が

疾病を理解し、退院

支援・セルフケアマネジメント

推進に向けた援助が

できる。

1)他職種チームの機

能を理解し、チームの

一員としての看護師

の役割が理解でき

る。

(3)ADLの維持・拡大に伴う不安

の軽減

(4)家族の参加・協力への支援

1)身体的苦痛の緩和

(1)苦痛の原因や変化の観察

(2)罨法、体位の工夫、環境の

工夫

(3)治療の副作用に対する援助

1)患者の入院中の生活に対する思

いや考えに対する理解

2)疾患や障害の受容過程への援助

3)ボディイメージの変化に対する援助

4)不安やストレスに対する援助

5)闘病意欲を促す援助

1)生活行動の変容とセルフケアの能力・

技術習得への援助

2)疾患や生活上の管理を阻害する

因子の除去・軽減への援助

3)疾患の悪化や合併症予防のため

の援助

1)チーム医療にかかわる様々な職種の

役割や連携・協働

(1)院内における他職種チームの連

携・協働

(2)他部門への連絡・調整の方法

2)社会資源、諸サービスの調整・活用

尊重しながら行う。

・家族の能力や思い、関係性を

考慮しながら行う。

・患者の病態生理、治療、検査

看護について文献を用いて自己

学習を行う。

・苦痛の原因となる疾患・治療

について情報を収集し、分析を

行う。

・不足部分については指導者・

教員から助言を得る。

・治療による疼痛、食欲不振、

倦怠感、不眠などに対し対症療

法を行う。

・疾患や障害受容について自己

学習を行う。

・患者の思いや考えを表出でき

るような雰囲気をつくる。

・常に傾聴の姿勢で、患者の反

応を見逃さないようにする。

・患者に対し受容的に関わる。

・疾患に関連した治療、検査、

看護の自己学習をする。

・患者及び家族が疾病を理解

し、退院支援・セルフケアメンジメント推

進に向けた「学習支援計画」を

立案する。

・「学習支援計画」は指導者か

ら助言を得る。

・実施は指導者に確認しながら

行う。

・保健医療福祉制度と法律、社

会資源・諸サービスについて自己

学習をする。

・チームカンファレンスを見学し、看護師

の役割やチーム医療について理解

を深める。

・チームカンファレンスに参加し、社会資

源・諸サービスの調整・活用方法

について理解を深める。

・実施した援助は、長期目標、

短期目標に沿って評価する。

・援助の実際や患者の反応、観

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6.実践した看護を

振り返り、自己の課

題を明確にして看護

観を深めることがで

きる。

7.医療チームの一

員として看護師の役

割を自覚し責任ある

行動をとることがで

きる

1)実施した看護援

助を振り返り、評価

ができる。

2)評価に基づき具

体的に援助計画の修

正ができる。

3)回復期・終末期

またはがん治療を受

ける患者の価値観を

尊重した対応ができ

る。

4)看護に対する探

究心を持って自己の

看護に対する思いや

考えを表出できる。

1) 対象の権利を尊

重した行動がと

れる

2) 看護者として誠

実で、責任ある

行動がとれる

3) 探求心を持ち、

自己の看護を高

める行動がとれ

4) 心身の健康の保

持増進ができる

1)行った看護の意味の考察

2)回復期・終末期における看護師

の役割の考察

(1) 対象や家族のもつ価値観や思

いを尊重する

(2) 看護におけるアドボカシーに

ついて考え実践する

(1) 守秘義務を順守することがで

きる

(2) 看護者として、挨拶、身だしな

み、態度で実習に臨むことがで

きる

(3) 時間を守る

(4) 提出期限を守る

(5) 適切な時間、場所を考慮した

報告・連絡・相談ができる

(1) メンバーと連携をとり、協力し

あい実習を行う

(2) 自分の看護を高めるよう、事前

学習を行うことができる

(3) カンファレンスにて専門的知

識を裏付けとした自己の意見

を述べ、他者の意見を組み入

れながら積極的に参加する

(1) 健康管理を行い、欠席・遅刻・

早退がないようにする

予防行動をとることができる

察した事項を記載し、振り返る

ことができる。

・報告・連絡・相談は看護に支

障をきたさないようにタイムリーに

行う。

・実習記録やカンファレンスを通して、

看護の意味を考える。

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実習スケジュール(成人看護学実習Ⅱ)

実習日 実習項目 実習の進め方

実習初日 オリエンテーション

実習スケジュールの調整

受け持ち患者の決定

情報収集・関係作り

援助見学

カンファレンス

翌日に向けての情報収集

調整

・病棟内のオリエンテーションを受ける。

・カンファレンス開始時間や全体像発表、終了反省会の日時の調整

・検査、処置の見学の調整(病棟によって、予定にあるもの)

・学生1名に対して受け持ち患者が決定したら、師長もしくは指導

者に紹介してもらい挨拶する。

・情報収集は患者とのかかわりやカルテから行い、全体像を捉え

る。

・受け持ち患者のバイタルサイン測定、清潔、更衣、食事、排泄、

移動状況などの日常生活にかかわる看護援助、検査・処置があれ

ば、看護師のシャドーイングを行い、患者への声かけや援助方法

について見学する。

・援助の見学から患者の ADL の状況も一緒に把握する。

・指導者に参加していただき、本日の気づき、学びと疑問点につい

て発表する。

・受け持ち患者の処置・検査・援助内容の確認を行い、翌日の行動

計画に反映できるよう準備する。

2~4日目 看護計画の発表

記録提出

看護過程の展開

援助の実際の見学および

実施

・毎朝指導者に本日の目標とタイムスケジュールを発表し、助言を

受ける。(発表方法は病棟に準ずる)

・2日目~4日目は「行動計画表」に記載する。

*記録の指導・助言を受ける際は、原本を黄色ファイルに綴じてお

くこと。

・2日目は「アセスメントⅠ・Ⅱ」のための情報収集

*2日目までは「アセスメントⅠ」は赤バンに挟んで直接記入して

もよい。

・3日目に「アセスメントⅠ」について教員より助言を受ける。

「アセスメントⅡ」は進捗状況の確認のため教員より助言を受

ける。

・4日目に「アセスメントⅠ・Ⅱ(6パターン)」について教員よ

り助言を受ける。

*助言を受けたら修正・追加をする。

・バイタルサインの測定および観察は2日目から見守りのもと実施

できるようにする。

・バイタルサインの測定の指導を受ける時間を指導者と調整する。

・行動計画に沿って、指導者と共に日常生活の援助や処置・検査の

見学をする。

・見学、実施後の報告は速やかに行う。

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実習日 実習項目 実習の進め方

カンファレンス

・受け持ち患者とのコミュニケーションの取り方、看護上の問題

点、解らないことや困っていることなどを学生間で話し合い、明

日への看護に繋がるテーマを考える。

・4 日目は,看護の方向性を確認しておく。(2週目に活かす)

・テーマは前日に考え、当日朝に指導者・教員へ報告する。

・司会者と書記は輪番制とする。

2週目

(5~8 日)

目標・計画の発表と記録

提出

看護過程の展開

記録提出

カンファレンス

(5日目:看護計画発

表)

学習支援計画(健康教

育)の立案

(成人Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)

中間反省会

(7 または 8 日目)

・5日目より、タイムスケジュールと立案した看護計画を、実習指

導者に朝発表する。(赤バンに挟んでおく)

・計画は、指導者、受け持ち看護師、教員の指導のもとで見学また

は一部実施する。

*看護計画は、患者の状態に応じたものを立案する。ただし、共同

問題は問題リストに記入するが、計画は立案せず看護計画の観察

項目に入れる。

*病期、発達段階に沿った看護問題に焦点をあて、個別性のある看

護計画を立案する。

・5 日目に「アセスメントⅠ」、「アセスメントⅡ(11 パターン)」、

「関連図」、「問題リスト」の原本を黄色ファイルにとじ、指導者、

教員より助言を受ける。

・5日目からは実習終了後にその日の経過記録(SOAP)を記入

し、翌朝、黄色ファイルに提出する。SOAP の内容を活かし看護

計画は、修正・追加する。

*5 日目は発表者の問題リストと看護計画を発表原稿とし、コピー

して指導者、教員、学生に提出する。(計3部)

*他の日は、テーマカンファレンスとする。

・受け持ち患者において、健康教育が必要な場合は、「学習支援計

画」に記載する。

・媒体の使用なども適宜、助言を受ける。

・実施の可否についても相談する。

・自己の実習目標に沿って実習を進めることができているか評価す

る。

・当日の朝、「自己評価表」を参加人数分コピーし、発表順にまと

め提出する。(前日に必要部数を確認する)

3週目

(9~12 日)

カンファレンス

(11 日目:実施・評価の

発表)

*10 日目に患者の長期・短期目標に対する「評価・考察」につい

て教員より助言を受ける。

*11 日目に発表者の看護計画と経過記録を発表原稿とし、コピー

して指導者・教員・学生に提出する。(計3部)

(患者によっては状態変化があったり、退院したり、教育指導で評

価日が変更になることもあるため、教員に確認すること)

*他の日は、テーマカンファレンスとする。

Page 15: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

実習日 実習項目 実習の進め方

終了反省会(最終日)

*最終日は 12:30 まで病

棟実習

午後は記録のまとめ

*指定された時間までに

実習記録物提出

・当日の朝、自己評価を記載した「評価表」と「実習を終えて」

を、参加人数分コピーし、発表順にまとめ提出する。(前日に必

要部数を確認する)

・自己の実習目標の達成度を評価する。

・実習目的・目標に沿って学びや自己の課題、看護観の発表を行い

実習全体を振り返る。

2.指導要領

※領域実習要項に準ずる。

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Ⅰ.成人看護学実習Ⅲ(慢性期)の目的・目標

1.実習要項

1)実習目的

成人期にある人の特徴をふまえ、慢性期にある患者を総合的に理解し、個別に応じた看護

が実践できる能力を養う。

2)実習目標

(1)慢性期の患者を身体的・精神的・社会的側面から理解することができる。

(2)患者のセルフケア能力の向上に配慮し、日常生活の援助を、安全・安楽に考慮しながら

実施できる。

(3)退院支援、セルフマネジメントを推進する看護技術を学ぶことができる。

(4)チーム医療における看護師の役割について理解できる。

(5)実践した看護を振り返り、自己の課題を明確にして看護観を深めることができる。

実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点

1.慢性期の患者を

身体的・精神的・

社会的側面から理

解することができ

る。

2.患者のセルフケア能

力の向上に配慮

し、日常生活の援

助を、安全・安楽

に考慮しながら実

施できる。

3.退院支援、セルフマ

ネジメントを推進する看

護技術を学ぶことが

できる。

1)患者の身体的・

精神的・社会的特徴

が理解できる。

2)患者の疾患・治

療・検査・ADL状況が

説明できる。

3)患者の発達段階

とその課題が説明で

きる。

4)患者の疾患や障

害がもたらす日常生

活への影響を説明で

きる。

1)患者に必要な援

助を計画できる。

2)患者に必要な日

常生活援助ができ

る。

1)看護師や他職種

が行う退院支援、セルフ

ケアマネジメントの具体的方

法について理解する

1)身体的特徴

(1)慢性的で進行性の健康障害

(2)長期間の治療による身体的影響

(3)健康障害の進行に伴う機能障害

2)精神的・社会的特徴

(1)疾患や障害受容のプロセス

(2)セルフケア能力、教育背景、

健康に関する日常生活習慣

(3)役割、経済的基盤

(4)自己概念

(5)患者・家族、それらをとり巻く

周囲の理解と協力

1)患者の状態を把握し、セルフケア能力

に応じた日常生活援助を行う。

1)退院支援、セルフケアマネジメントの目的を

理解し、アセスメントを行う。

・病態生理、検査、治療、看

護について自己学習する。

・対象とのコミュニケーション、観察、

カルテ、医師や看護師、薬剤師な

ど他職種から情報収集を行う。

・収集した情報を分析し、患

者の全体像をとらえ不足部分

については指導者・教員から

助言を得る。

・疾患の状態や経過が精神

的・社会的側面にどのように

影響しているか情報収集す

る。

・看護の実践場面を見学する。

・実施は指導者に確認しなが

ら行う。

・患者の自立度・セルフケア能力に

応じて行う。

・患者の反応をとらえながら

実施する。

・退院支援、セルフマネジメントに

ついて自己学習を行う。

・食事療法、薬物療法、運動

療法、酸素療法について自己

Page 17: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

4.チーム医療におけ

る看護師の役割につ

いて理解できる。

5.実践した看護を

振り返り、自己の課

題を明確にして看護

観を深めることがで

きる。

2)退院やセルフケアマネジ

メントが必要な患者・家

族の学習支援ができ

る。

1)他職種チームの機能

を理解し、チームの一員

としての看護師の役

割が理解できる。

1)実施した看護援助

を振り返り、評価がで

きる。

2)評価に基づき具体

的に援助計画の修正が

できる。

3)慢性期の患者の価

値観を尊重した対応が

できる。

4)看護に対する探究

心を持って自己の看護

に対する思いや考えを

表出できる。

2)健康障害の発症や進行の要因とな

った生活環境や生活習慣

3)治療の必要性と治療時の看護

(1)安静療法

(2)薬物療法

(3)食事療法

(4)運動療法

(5)酸素療法

4)患者のセルフケア能力、家族との関係

性、家族の介護能力の理解

5)インフォームドコンセントの内容と患者・家

族の理解

(1)患者・家族、それらをとり巻く

周囲の理解と協力

(2)他職種との情報交換と共有

1)チーム医療にかかわる様々な職種の

役割や連携・協働

(1)院内における他職種チー

ムの連携・協働

2)社会資源、諸サービスの調整・活用

1)行った看護の意味の考察

2)慢性期における看護師の役割の

考察

学習を行う。

・病棟・外来看護師、他職種

が行う退院支援を見学する。

・看護師・他職種が行う健康

教室や学習支援を見学する。

・退院、セルフケアマネジメント推進に

向けた「学習支援計画」を立

案する。

・「学習支援計画」は指導者か

ら助言を得る。

・実施は指導者に確認しなが

ら行う。

・患者・家族の自尊心や価値

観を尊重しながら行う

・保健医療福祉制度と法律・

社会資源・諸サービスについて自

己学習をする。

・チームカンファレンスを見学し、看護

師の役割やチーム医療について理

解を深める。

・チームカンファレンスに参加し、社会

資源・諸サービスの調整・活用状

況について理解を深める。

・実施した援助は、長期目

標、短期目標に沿って評価す

る。

・援助の実際や患者の反応、

観察した事項を記載し、振り

返ることができる。

・報告・連絡・相談は看護に

支障をきたさないようにタイムリー

に行う。

・実習記録やカンファレンスを通し

て、看護の意味を考える。

Page 18: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

6.医療チームの一

員として看護師の役

割を自覚し責任ある

行動をとることがで

きる

1) 対象の権利を尊重

した行動がとれる

2) 看護者として誠実

で、責任ある行動

がとれる

3) 探求心を持ち、自

己の看護を高める

行動がとれる

4) 心身の健康の保持

増進ができる

(1) 対象や家族のもつ価値観や思い

を尊重する

(2) 看護におけるアドボカシーにつ

いて考え実践する

(1) 守秘義務を順守することができ

(2) 看護者として、挨拶、身だしな

み、態度で実習に臨むことがで

きる

(3) 時間を守る

(4) 提出期限を守る

(5) 適切な時間、場所を考慮した報

告・連絡・相談ができる

(1) メンバーと連携をとり、協力し

あい実習を行う

(2) 自分の看護を高めるよう、事前

学習を行うことができる

(3) カンファレンスにて専門的知識

を裏付けとした自己の意見を述

べ、他者の意見を組み入れなが

ら積極的に参加する

(1) 健康管理を行い、欠席・遅刻・早

退がないようにする

予防行動をとることができる

Page 19: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

実習スケジュール(成人看護学実習Ⅲ)

実習日 実習項目 実習の進め方

実習初日 オリエンテーション

実習スケジュールの調整

受け持ち患者の決定

情報収集・関係作り

援助見学

カンファレンス

翌日に向けての情報収集

調整

・病棟内のオリエンテーションを受ける。

・カンファレンス開始時間や全体像発表、終了反省会の日時の調整

・検査、処置の見学の調整(病棟によって、予定にあるもの)

・学生1名に対して受け持ち患者が決定したら、師長もしくは指導

者に紹介してもらい挨拶する。

・情報収集は患者とのかかわりやカルテから行い、全体像を捉え

る。

・受け持ち患者のバイタルサイン測定、清潔、更衣、食事、排泄、

移動状況などの日常生活にかかわる看護援助、検査・処置があれ

ば、看護師のシャドーイングを行い、患者への声かけや援助方法

について見学する。

・援助の見学から患者の ADL の状況も一緒に把握する。

・指導者に参加していただき、本日の気づき、学びと疑問点につい

て発表する。

・受け持ち患者の処置・検査・援助内容の確認を行い、翌日の行動

計画に反映できるよう準備する。

2~4日目 看護計画の発表

記録提出

看護過程の展開

援助の実際の見学および

実施

・毎朝指導者に本日の目標とタイムスケジュールを発表し、助言を

受ける。(発表方法は病棟に準ずる)

・2日目~4日目は「行動計画表」に記載する。

*記録の指導・助言を受ける際は、原本を黄色ファイルに綴じてお

くこと。

・2日目は「アセスメントⅠ・Ⅱ」のための情報収集

*2日目までは「アセスメントⅠ」は赤バンに挟んで直接記入して

もよい。

・3日目に「アセスメントⅠ」について教員より助言を受ける。

「アセスメントⅡ」は進捗状況の確認のため教員より助言を受

ける。

・4日目に「アセスメントⅠ・Ⅱ(6パターン)」について教員よ

り助言を受ける。

*助言を受けたら修正・追加をする。

・バイタルサインの測定および観察は2日目から見守りのもと実施

できるようにする。

・バイタルサインの測定の指導を受ける時間を指導者と調整する。

・行動計画に沿って、指導者と共に日常生活の援助や処置・検査の

見学をする。

・見学、実施後の報告は速やかに行う。

Page 20: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

実習日 実習項目 実習の進め方

カンファレンス

・受け持ち患者とのコミュニケーションの取り方、看護上の問題

点、解らないことや困っていることなどを学生間で話し合い、明

日への看護に繋がるテーマを考える。

・4 日目は,看護の方向性を確認しておく。(2週目に活かす)

・テーマは前日に考え、当日朝に指導者・教員へ報告する。

・司会者と書記は輪番制とする。

2週目

(5~8 日)

目標・計画の発表と記録

提出

看護過程の展開

記録提出

カンファレンス

(5日目:看護計画発

表)

学習支援計画(健康教

育)の立案

(成人Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)

中間反省会

(7 または 8 日目)

・5日目より、タイムスケジュールと立案した看護計画を、実習指

導者に朝発表する。(赤バンに挟んでおく)

・計画は、指導者、受け持ち看護師、教員の指導のもとで見学また

は一部実施する。

*看護計画は、患者の状態に応じたものを立案する。ただし、共同

問題は問題リストに記入するが、計画は立案せず看護計画の観察

項目に入れる。

*病期、発達段階に沿った看護問題に焦点をあて、個別性のある看

護計画を立案する。

・5 日目に「アセスメントⅠ」、「アセスメントⅡ(11 パターン)」、

「関連図」、「問題リスト」の原本を黄色ファイルにとじ、指導者、

教員より助言を受ける。

・5日目からは実習終了後にその日の経過記録(SOAP)を記入

し、翌朝、黄色ファイルに提出する。SOAP の内容を活かし看護

計画は、修正・追加する。

*5 日目は発表者の問題リストと看護計画を発表原稿とし、コピー

して指導者、教員、学生に提出する。(計3部)

*他の日は、テーマカンファレンスとする。

・受け持ち患者において、健康教育が必要な場合は、「学習支援計

画」に記載する。

・媒体の使用なども適宜、助言を受ける。

・実施の可否についても相談する。

・自己の実習目標に沿って実習を進めることができているか評価す

る。

・当日の朝、「自己評価表」を参加人数分コピーし、発表順にまと

め提出する。(前日に必要部数を確認する)

3週目

(9~12 日)

カンファレンス

(11 日目:実施・評価の

発表)

*10 日目に患者の長期・短期目標に対する「評価・考察」につい

て教員より助言を受ける。

*11 日目に発表者の看護計画と経過記録を発表原稿とし、コピー

して指導者・教員・学生に提出する。(計3部)

(患者によっては状態変化があったり、退院したり、教育指導で評

価日が変更になることもあるため、教員に確認すること)

*他の日は、テーマカンファレンスとする。

Page 21: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

実習日 実習項目 実習の進め方

終了反省会(最終日)

*最終日は 12:30 まで病

棟実習

午後は記録のまとめ

*指定された時間までに

実習記録物提出

・当日の朝、自己評価を記載した「評価表」と「実習を終えて」

を、参加人数分コピーし、発表順にまとめ提出する。(前日に必

要部数を確認する)

・自己の実習目標の達成度を評価する。

・実習目的・目標に沿って学びや自己の課題、看護観の発表を行い

実習全体を振り返る。

2.指導要領

※領域実習要項に準ずる。

Page 22: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

Ⅰ.老年看護学実習[Ⅰ・Ⅱ]の目的・目標

1)実習目的

老年期にある対象を総合的に理解し、QOL(その人らしくよりよく生き、生活でき

る)を尊重した看護が実践できる能力を養う。

2)実習目標

1.加齢による身体的、精神的、社会的変化をとらえ、総合的に理解することができる。

2.加齢および健康障害が及ぼす日常生活への影響をとらえ、科学的根拠に基づいて看護

過程の展開ができる。

3.老年期にある対象の特有の疾患、生活障害について理解し、その人に合った日常生活

の援助ができる。

4.老年期にある対象の生き甲斐などを知り、QOLを高める援助について理解できる。

5.保健・医療・福祉チームの連携・協働の必要性について理解し、看護の役割を理解す

ることができる。

6.老年およびその家族の気持ちを尊重し、老年観を育む。

Ⅱ.老年看護学実習Ⅰの目的・目標

1)実習目的

1.老年期にある人々の発達段階の特徴をふまえ、さまざまな健康レベルにある対象者の

健康上、生活上のニードが理解できる。

2.対象者が生活している場の特徴を理解し、機能低下を持つ高齢者に応じた日常生活の

援助について学ぶ。

2)実習目標

1.高齢者の健康問題や入院生活が、患者や家族に及ぼす影響を総合的に理解することが

できる。

2.施設におけるサービスを理解するとともにサービスに参加し、利用者の生活機能の維

持、自立に向けた援助を理解する。

3.利用者と良好な人間関係を築くことができる。

4.高齢者ケアに関わる専門職の機能及び連携と看護職の役割を理解する。

5.利用者への援助を通して、自らの老年観を育むことができる。

6.老年者の健康問題をめぐる家族、地域、社会福祉、医療機関のサポートシステムにつ

いて考えることができる。

3)実習施設、実習時期、主たる実習内容

実習施設 実習時期 主となる実習内容

健康つくりサポート

センター

2年次6月~7月 健康な老年期にある対象者の理解

介護老人保健施設 2~3年次

1月~11月

日常生活の機能回復(リハビリ)訓練を

している対象者の理解

介護老人福祉施設 2~3年次

1月~11月

多様化する生活の場、認知症、認知機能

が低下している対象者の理解

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4)施設別目的・目標

健康つくりサポートセンター

(1)実習目的

地域で生活する高齢者の活動の場に参加し、共に行動することにより健康な高齢者を

理解する。

(2)実習目標

1.老年期にある対象の発達段階の特徴が理解できる。

2.高齢者の人生史、価値観を理解し、高齢者の特徴を踏まえた関わりができる。

3.地域で生活する高齢者を取り巻く社会システムについて知ることができる。

4.健康な高齢者とのかかわりを通して、老年観を表現できる。

介護老人保健施設(ひいらぎ、西寿)

(1)実習目的

日常生活のための機能回復を目的にしている高齢者の看護援助を理解する。

(2)実習目標

1.日常生活を妨げる生活機能の問題や機能回復に向けた援助について理解ができる。

2.高齢者や認知症のある利用者とコミュニケーションを通し、受容と共感の必要性につ

いて理解を深める。

3.高齢者へのケアや支援を見学して、専門職と連携、看護職の役割を理解できる。

介護老人福祉施設(けやき、すみれの花、荒江の家)

(1)実習目的

対象者が生活する場の特徴を理解し、認知症の高齢者や認知機能が低下している高齢

者に応じた日常生活の援助について学ぶ。

(2)実習目標

1.認知症の高齢者、認知機能が低下している高齢者の健康を保持増進させるような日常

生活の援助を指導者と共に実施できる。

2.高齢者と親しみのある良好な人間関係を築くことができる。

Ⅲ.老年看護学実習Ⅱの目的・目標

1)実習目的

老年期の健康障害の特徴を理解し、人格を尊重しながら対象に応じた援助について学

ぶ。

2)実習目標

1.加齢および健康問題の特徴を理解し、身体的・精神的・社会的側面から総合的に理解

できる。

2.老年期にある対象の健康レベルや発達段階の視点から看護上の問題点を明らかにし、

適切な看護計画を立案することができる。

3.対象の個別性や残存機能を生かした援助を看護計画に沿って実施し、評価、修正する

ことができる。

4.対象の保健医療福祉チームの連携・協働について理解し、社会資源の活用方法につて

理解できる。

5.高齢者と親しみのある良好な人間関係を築くことができる。

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老年看護学実習Ⅰ

老人福祉施設(けやき、すみれの花、荒江の家)

1.実習目的

対象者が生活する場の特徴を理解し、認知症の高齢者や認知機能が低下している高齢者に

応じた日常生活の援助について学ぶ。

2.実習目標

1)認知症の高齢者、認知機能が低下している高齢者の健康を保持増進させるような日常生

活の援助を指導者と共に実施できる。

2)高齢者と親しみのある良好な人間関係を築くことができる。

実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点

1.認知症の高齢者、

認知機能が低下してい

る高齢者の健康を保持

増進させるような日常

生活の援助を指導者と

共に実施できる。

1)対象の認知症の状態を

知ることができる。

2)症状の程度、機能低下

をふまえ、安全を考慮した

日常生活援助を実施でき

る。

3)認知症の症状、認知機

能が低下している症状をふ

まえ、安全を考慮した援助

を実施できる。

4)基本的なプライバシーの保

護ができる。

①認知症の種類

アルツハイマー病、レビー小体型認

知症、血管性認知症

②症状

・中核症状:記憶障害、見当識害、

実行機能障害、

・周辺症状:抑うつ、暴力・暴言、

徘徊、せん妄、介護拒否、不潔行

為、妄想

①残存機能維持への日常生活援助

ラジオ体操、失禁体操

日常生活での援助:歯磨、洗面

排泄、更衣、入浴、食事、食事の

準備

②対象の残された機能を把握する。

③援助時の対象の反応を観察する。

①認知症症状、認知機能が低下した

対象に安全面を考慮した援助

・記名力障害の側面: 誤嚥防止、

離院防止

・運動機能の低下の側面:転倒防止

への配慮

①排泄、入浴、着脱の援助時などの

日常生活援助時に、対象者のプライ

バシーを保護する。

・指導者から説明を

受け、高齢者とのコ

ミュニケーション、

援助をとおして対象

の状態を把握する

・日常生活の援助を

通して把握してい

く。毎日の援助の実

施においては指導者

に確認を行い、指導

を受けながら見学ま

たは一部実施する。

・援助時にプライバシー

を保護するととも

に、施設での工夫を

知る。

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3.高齢者と親しみの

ある良好な人間関係を

築くことができる。

1)老化に伴う感覚機能や

認知機能に応じたコミュニケーション

をはかることができる。

2)高齢者を尊重した態

度・言葉づかいができる。

①対象の理解度に応じた内容方法の

選択(単純化した情報の提供、簡

潔な話し方、要約)

②高齢者を尊重した関わり

・共感的、受容的態度、相手を尊重

した言葉使い

・1日のスケジュールに参加する

・育った時代や生活背景をふまえ、

高齢者の生きがいや価値観、生活

習慣を理解し、援助を実施する。

・施設設備のオリエンテー

ションをうける。日常

生活の援助を通して

把握する。

・指導者から対象の

ADL 状態やコミュニケーシ

ョンの取り方について

説明を受ける。

・高齢者・看護師や

スタッフの関係を通

しコミュニケーション技法を

学ぶ。

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<老年看護学実習Ⅱ>

実習場所:病院

実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点

1. 老年期におけ

る身体的・精

神的・社会的

側面の特徴を

とらえ総合的

に理解を深め

る。

1) 加齢と疾患が身体

におよぼす影響を

理解できる。

2) 対象の健康障害や

老化が生活習慣や

日常生活に及ぼす

影響を理解でき

る。

3) 老化や健康障害が

対象の心理・社会

的側面に及ぼす変

化を理解できる。

① 受け持ち患者の疾患の病

態生理、診断、治療、看

護について事前に学習す

る。

② 加齢と疾患が身体に及ぼ

す要因を情報収集する。

生理的機能の変化、運

動機能の変化、知覚・

感覚機能の変化、慢性

疾患(既往歴)との関

係性

③ コミュニケーション方法を理解す

る。

疾患や加齢による影響

を把握する

発語、聴力、身振り、

表情、うなずきなどを

把握する

④ 検査、治療、処置時の援

助の情報収集する。

食事療法、薬物療法、

MMT、HDS-R、転

倒リスクチェックなど

① 入院前・後の日常生活行動

の変化の情報収集する。

環境、食事、清潔、衣

生活、排泄、移動・移

送、睡眠、服薬管理、

介護保険申請、事故防

止、自立度

① 日常生活への適応状態、言

動や態度、表情などから精

神的側面を観察する。

生活への意欲、うつ状

態、認知力の状態、感

情・情緒面、回復への

意欲など

② 生きてきた背景、家族、社

対象とのコミュニケーション、観察、

カルテ、看護師や医師からの説

明などから情報収集を行

う。

収集した情報を整理し、不

足部分については看護師か

ら助言を得る。

自己学習を参考に対象を理

解する。

現在の日常生活の自立度に

関しては、患者の観察、カル

テや看護師、PT、OT、ST な

どの医療者に確認する。

入院前の生活活動動作と現

在の患者の状態から自立可

能な範囲をアセスメントす

る。

患者の老化による変化や健

康障害にともなって起きる

心理状況を把握する。

また、学生カンファレンスで

テーマに取り上げ意見交換・

検討し、理解を深め、患者の

心理過程に応じたかかわり

をする。

老年期にある患者の心理過

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2. 老年期にある

対象の健康レ

ベルや発達段

階の視点から

看護上の問題

点を明らかに

し、適切な看

護計画を立案

することがで

きる。

3. 対象の個別性

や残存機能を

生かした援助

を看護計画に

沿って実施

し、評価、修

正することが

できる。

1) 対象の疾患と老化

の関連性を理解で

きる。

2) 必要な情報を整理

し看護上の問題点

を明確にできる。

3) 対象の心身機能

(残存機能を含

む)、個人の意向、

環境要因をふまえ

た計画立案ができ

る。

1) 対象者の個別性に

あった援助が実施

できる。

2) 老年期にある対象

の生活、人生観を

会との関係を言動や態度、

表情などから対象者の社

会的側面を観察する。

生活・仕事、家族関

係、経済状態、家族の

中での役割、社会の中

での役割、キーパーソ

ンなど

① 対象の病態生理。

② 治療検査処置が対象に与

える影響。

③ 情報収集した内容の整理、

解釈・分析。

④ 老化、心身の機能低下を

進行させる要因。

⑤ 疾患の進行及び合併症の

危険予測。

① 老年期の特徴や対象者の

個別性を考えながら情報

の関連図、看護診断、共

同問題を明記する。

② 身体的・社会的・精神的側

面から、日常生活の自立を

妨げている要因を明記す

る。

① 老年期の特徴や対象の個

別性、健康維持・増進を踏

まえた看護計画の立案。

② 対象者の心身機能、環境要

因、個人の意向を考え計画

する。

③ 疾患の進行および合併症

の危険予測。

④ 事故誘発の危険性の予測。

① 対象者の疾患・加齢によ

る変化を考慮した日常生

活の援助。

② 検査・処置の影響を考慮

した援助。

③ ケアの継続性を考えた援

助。

① 対象者のもつ健康上およ

び生活のニーズを把握し

程にあわせたスタッフの患

者・家族への関わり方を参考

にする。

老年期の特徴をふまえた介

入計画立案、実施には看護師

の援助を実際に見学し、参考

にする。

援助の見学または一部の実

施後、実施方法に関して必要

時看護師に質問をし、自己の

実践に役立てる。

援助を実施する際には患者

の自立度や残存機能を確認

しながら行う。

援助を実施する際には高齢

者のこれまでの生活習慣や

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4. 対象の保健医

療福祉チーム

の連携・協働

について理解

し、社会資源

の活用方法に

ついて理解で

きる。

5. 高齢者と親し

みのある良好

な人間関係を

築くことがで

きる。

尊重し QOL を考慮

した援助ができ

る。

3) 対象の残存機能を

生かし、持てる力

を引き出す援助が

できる。

4) 安全・安楽、プライ

バシーに配慮した援

助ができる。

1) 社会資源の活用と

関連機関との連携

について説明でき

る。

1) 老化、障害に伴う

感覚機能や認知機

能に応じたコミュニケーシ

ョンをはかることが

できる。

QOL を考え、その人らし

い生活が送れるように援

助する。

② 対象者の生きてきた背景

や思いを考えて援助を実

施する。

① 日常生活において心身の

機能維持・向上および廃

用性症候群を予防する援

助を実施する。

② 対象者が意欲を持てる関

わりをする。

① おこりやすい事故の理解

と援助の実施。

転倒転落、誤嚥・窒

息、認知機能低下に伴

うもの

② 排泄、入浴、着脱の援助

時などの日常生活援助時

に、対象者のプライバシーを

保護する。

① 受け持ち患者に適応され

ている保健・医療・福祉

の種類。

社会資源の活用状況

他職種や関連機関との

連携、継続看護の実際

地域連携室の役割と活

動の実際

退院調整の実際

② 社会資源導入・活用にお

ける看護師の役割。

③ 社会資源導入による家族

の介護問題の変化。

① 理解に応じた内容方法の

選択。(単純化した情報の

提供、簡潔な話し方、要

約)

② 高齢者を尊重した関わ

り。

共感的、受容的態度、

相手を尊重した言葉使

価値観、高齢者の自尊心など

を尊重しながら行う。

高齢者におこりやすい事故

の内容と要因を予測しなが

ら安全を考慮した援助を実

施する。

受持ち患者に適応されてい

る保健医療福祉の種類につ

いて、患者・家族から情報を

得る。

実際に患者に適応されてい

る社会資源について機会が

あれば MSW から説明して

もらう。また、実際に社会資

源の種類や調整について説

明を受け事前学習と照らし

合わせ学びを深める。

他職種や関連機関との連携、

継続看護に関して機会があ

れば積極的にその実際を見

学する。

指導者から受け持ち患者の

ADL 状態やコミュニケーションの取

り方について説明を受け

る。

患者・看護師関係を通しコミュニ

ケーション技法を学ぶ。

患者-看護師関係を振り返

り、高齢者の価値観を尊重し

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6. 医療チームの

一員として看

護師の役割を

自覚し責任あ

る行動をとる

ことができ

る。

2) 高齢者の生活史、

人生観、価値観を

理解し、高齢者を

尊重した関わりが

できる。

1) 学生として責任あ

る行動がとれる。

2) 適切な時間、場所

を考慮した連絡・

報告・相談ができ

る。

趣味の活動や行動に共

に参加する

育った時代や生活背景

をふまえ、高齢者の生

きがいや価値観、生活

習慣を理解し、援助を

実施する

① 老年期にある患者の生き

がい、価値観、生活史な

どの理解。

役割、これまでの就

労・雇用、社会活動・

余暇活動、日常生活の

なかでとらえる生きが

生活史

それまでの生活体験、

生活の時代背景・文

化・価値観

② 援助を行う際の高齢者の

自尊心に与える影響。

高齢者の援助における

言葉遣いや態度

① 病棟における記録・報告

の実際。

② 守秘義務の自覚。

情報管理の徹底

③ 自己の言動、態度、身だ

しなみ。

④ 行動計画を意識しながら

実習ができる。

① 時と場所に応じた報告・

連絡・相談。

② 医療チーム、メンバーと

の協力体制。

③ 医療チームと円滑なコミュニケ

ーションがとれる。

た関わりとなっていたか、評

価、考察する。必要時、プロ

セスレコードを活用し、自己

洞察する。

高齢者の時代背景を踏まえ

たコミュニケーションを取りながら、

対象の価値観や人生史につ

いて情報をとる。

健康障害を抱える高齢者の

言葉の裏にあるもの、高齢者

がその言葉を発する思いを

くみ取り、尊重する姿勢をと

る。

老年観の内容についてカンファレ

ンスで話し合い、学生の考える

機会とし、考えを共有する。

患者や家族、看護師、グル

ープメンバーから依頼され

たことは最後まで責任をも

つ。

患者・家族からの質問に対

して、自己判断で答えず、

指導者に相談・報告する。

バイタルサイン測定や観察

した内容を適切に報告す

る。

病棟のカンファレンスに参

加し、病棟の看護方針を理

解する。

指導者に質問されたり、指

導されたことは、振り返り

をして、必ず指導者に返答

する。

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1

Ⅰ.小児看護学実習の目的・目標

実習要領

1.実習目的・目標

1)実習目的

小児期にある対象を総合的に理解し、健やかな成長発達への援助および健康障害のある

子どもとその家族に対して個別的な看護を実践できる能力を養う。

2)実習目標

1.健康障害のある子どもとその家族に対する看護過程の展開ができる。

2.子どもの健康障害や健康の段階、成長発達段階に応じた援助ができる。

3.受け持ち児・家族とよい人間関係を築くことができる。

4.保健医療福祉チームの一員との連携の必要性を理解し、看護師の役割を自覚して責任ある

行動をとることができる。

5.自己の課題を明確にし、看護観を深めることができる。

実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点

1.健康障害のある子ど

もとその家族に対する看

護過程の展開ができる。

1)受け持ち児の健康

障害や健康の段階、成

長発達段階をふまえ、

必要な情報を収集する

ことができる。

2)収集した情報を理

解し、科学的根拠に基

づいて解釈・分析でき

る。

3)看護問題を明らか

にできる。

(1)身体の成長発達段階の観察

①形態的成長(身長、体重、身

体のバランス、歯の発育状態、

カウプ指数、ローレル指数、

BMI)

②生理的特徴

③運動・精神機能

④基本的生活習慣の獲得状況

⑤生育歴・家庭状況の把握と評

(2)疾患の病態生理の理解

(3)症状の観察

(4)検査・治療・処置の把握と

理解

(1)成長発達段階・健康障害の

アセスメント

(2)健康障害が子どもやその家

族に及ぼす影響のアセスメ

ント

①入院前、入院後の生活の変化

②成長発達への影響

③環境の変化に伴うストレス

④健康障害を子どもと家族がど

のように受けとめているか

⑤家族における役割の変化

(1)パターンごとに情報を分析

し、仮診断を出す

・病棟では学生1名に対し

て児1名を受け持つ。

・成長・発達段階、病態生

理・治療等について事前

学習して臨む。

・子どもや家族とのコミュ

ニケーション、観察、カル

テ、医師や看護師からの

説明などから情報収集を

行う。

・看護援助や日課など子ど

もとの関わりを通して情

報収集を行う。

・小児看護学方法Ⅲでの学

びを参考にし、に

沿って、「アセスメント

Ⅰ-①②③・Ⅱ」を整理

する。

・健康障害が成長発達にど

のような影響を与えてい

るかを考え理解に努め

る。

・「看護診断ハンドブック」

を活用し、定義・診断指標お

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実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点

2.子どもの健康障害や

健康の段階、成長発達段

階に応じた援助ができ

る。

4)看護問題において

考えられる危険因子

や関連因子を特徴をふ

まえて記述することが

できる。

5)全体像を記述する

ことで最終照合を行い

最終看護診断を抽出す

ることができる。

6)優先順位を決定

し、その理由について

記述することができる

7)健康障害や健康の

段階、成長発達段階を

ふまえた目標を設定

し、行動計画が立案で

きる。

7)実施した看護を振

り返り、目標の達成度

やその要因を評価する

ことができる。

8)振り返りから行動

計画を追加・修正し、

翌日の計画に活かすこ

とができる

1)受け持ち児に必要

な観察・測定ができる

(1)仮診断の原因・誘因を明ら

かにする。

(1)仮診断の関連性を患者の全

体像にまとめ、最終照合を

行う。

(2)問題の原因・誘因をより明

確にし、最終看護診断を抽

出する。

(1)最終診断および診断の優先

順位の決定理由を記述す

る。

(1)その日に達成可能な目標設

定し、目標を達成するため

に必要な看護計画を具体的

に立案する。

①病棟の看護方針

②健康障害や健康の段階、成長

発達段階と個別性

③実践可能であるか

④安全・安楽・自立を踏まえた

看護援助の立案・実施

(1)実施した看護を記録する。

(2)実施した内容、子どもや家

族の反応を振り返り、目標

や計画が児に合っていた

か、追加・修正の必要性に

ついて評価する。

(1)評価をもとに、「1日の行

動計画」に翌日の看護計画

を立案する。

(1)バイタルサイン測定

①体温、脈拍(心音)、呼吸、

血圧

(2)身体計測

(3)全身状態や疾患に特徴的な

よび関連因子、危険因子を

考える

・「アセスメントⅠ~問題

リスト」に記録し、指導者・

教員から助言を受ける。

助言を受けた部分の修正・

追加をその都度していく。

・問題リストの用紙に患者

の全体像を記述することで

思考の整理を行う。

・統合できる仮診断は統合

し最終看護診断を決定す

る。

・優先順位の高いものから

順に番号をつける。

・「1日の行動計画」に記録

する。

・目標の主語は受け持ち児

であること。

・立案した目標・計画は指

導者・教員に相談し、助言を

受ける。

・日々の振り返りから看護

計画を追加・修正し、翌日の

行動計画に活かす。

1)~3)について

・実施のタイミングを考

え、必要な観察、援助を行

う。

・指導者と共に実施する。

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3

実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点

2)受け持ち児に応じ

た基本的な生活習慣に

関する援助ができる。

3)状態に応じた遊び

の援助ができる。

4)子どもを取り巻く

環境の中での危険因子

を考え、安全を確保で

きる。

5)処置を受ける子ど

もに必要な特殊技術の

目的・方法・留意点が

理解できる。

症状の観察

(1)発達段階に合った個別性の

ある援助

①食事 ②排泄 ③清潔

④更衣 ③遊び(学習)

2)~3)について

(2)健康段階を考慮し、症状や

点滴等の治療による制約が

ある状況を踏まえた日常生

活の援助及び遊びの援助

(1)発達段階に応じて起こりう

る事故の予測と安全に配慮した

援助

①子どもに起こりやすい事故と

その要因の把握

②子どもの安全を守るための環

境整備(ベッド及びその周囲)

(1)発達途中過程にある子ども

の治療・処置、検査についての

理解

①検査:採血、ルンバール、

X-P

・検査前中後の観察

・検査時固定の留意点

②治療:薬物療法、輸液療法、

安静療法、運動療法、食事療法

・薬物動態の影響

・固定や抑制の工夫

③処置:点滴、酸素吸入、浣腸

・処置前中後の観察

④診察の介助

・環境の調整

・実施前・実施中・実施後の

受け持ち児や家族の反応や

状態の変化を観察しながら

実施する。

・院内学級が設けてある場

合は見学を行い、健康障害

を最小限にとどめ発達段階

に合わせた学びの環境を整

えることの重要性を理解す

る。

・遊びは「1日の行動計画」

の中で計画立案し、実施後、

子どもや家族の反応から評

価する。

・発達段階別に起こりやす

い事故について事前学習し

て臨む。

・病棟オリエンテーション

を受け、入院生活や安全を

守るための環境について理

解する。

病棟の構造、設備

病棟の日課、週課

看護体制

・カンファレンスを活用し

子どもが起こりやすい事故

について考え、事故防止の

ための環境を整える。

・治療処置・検査における

看護については事前学習し

ておく。

・治療処置・検査について、

指導者の助言を受けながら

見学、介助、一部実施する。

・プレパレーション、ディ

ストラクションの実際を見

学し、看護師がどのような

点を工夫しているか理解す

る。

・家族への説明や関わりの

実際を見学し、看護師がど

のような点を配慮している

のか理解する。

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4

実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点

・子どもに応じた診察の介助

・子どもや家族とのコミュニ

ケーション、説明と同意

⑤院内感染対策

⑥家族へのかかわり

(2)治療・処置、検査が児に及

ぼす影響について

①処置体験の有無と状況

②患児が不安や恐怖をまぎらわ

せるためにとっている対処行動

や処置中にどうしたいかなど希

望の把握

小児外来見学実習

外来における子どもの健康障害や

健康の段階、成長発達段階に応じ

た援助についての見学実習を行う

・自らの症状を的確に表現するこ

とが困難な子どもへのかかわり

・初期対応における家族への知識

提供についてのかかわり

・感染防止へのかかわり

・緊急性のアセスメント

(トリアージ)

・苦痛を最小限にしたかかわり

・外来における継続的かつ包括的

な支援の在り方

・健康診査や予防接種を受ける子

どもと家族へのかかわり

・子どもの健康増進、疾病予防、

異常の早期発見に向けた説明や援

助について

NICU・GCU 見学実習

NICU・GCU における子どもの健

康障害や健康の段階、成長発達段

階に応じた援助についての見学実

習を行う

・ハイリスク新生児の身体的特徴

および症状の理解

・保育器、光線療法などの治療環

境について

・ハイリスク新生児の看護におけ

る姿勢

(子どもと家族の権利を擁護した

・必要に応じて「学習支援

計画」を用いて、計画立案

し、指導者から助言を受け

る。

・子ども病院では病棟実

習、小児外来見学実習およ

び NICU・GCU 見学実習が

実習期間内にある。

・対象学生は、見学実習に

必要な事前学習を行い実習

に臨む。

・見学実習する学生は、外

来、NICU、GCU における

看護援助の場面の見学を通

して各部署における小児看

護の機能や役割についての

説明を受け、健康障害や健

康の段階、成長発達段階に

応じた援助について見学し

学ぶ。

・見学実習した学生は指定

された用紙にレポートをま

とめ、翌日に提出する。

・終了反省会では見学実習

での学びを統合し発表す

る。

・子ども病院以外での実習

を行う学生に対しては外来

との連動性を踏まえながら

病棟実習を行う。(担当教員

より実習中説明あり)

・見学実習期間がない学生

は、実習終了後にまとめの

会を設けるため学生の発表

やグループワークを通して

見学実習内容を深め、学び

Page 34: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

5

実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点

3.受け持ち児・家族子

とよい人間関係を築くこ

とができる。

4.保健医療福祉チーム

との連携の必要性を理解

し、看護師の役割を自覚

して責任ある行動をとる

ことができる。

1)健康障害や成長発

達段階に応じたコミュ

ニケーションを工夫す

ることができる。

2)子どもや家族(特

に母親)の思いを尊重

して関わることができ

る。

1)保健医福祉チーム

との連携の必要性が理

解できる。

2)医療チームの一員

であることを自覚し、

責任ある行動をとるこ

とができる。

3)看護に対する探求

心をもち、自己の課題

を追求する学習態度が

とれる。

かかわり、言葉なき子どもに心を

傾ける細やかさ、倫理感、専門的

知識、丁寧なケア技術)

・生理学的適応を助ける援助

(呼吸管理、循環管理、体温管

理、水分と栄養管理、感染予防)

・ディベロップメンタルケア

・家族への看護

(1)健康障害や成長発達段階に

応じたコミュニケーション、遊

びの工夫

(2)家族の精神面・負担を考慮

したコミュニケーション

(1)子どもや家族を尊重した姿

勢での関わり

(2)養育に関する親の考え方や

心配、不安を配慮した関わ

(3)子どもや家族の思いを考慮

した関わり

(1)保健医療福祉チームの構成

メンバーとそれぞれの役割

(2)多職種との関係

①医師、他部門、院内保育士、

院内学級教師、臨床心理士との

連携

(3)病棟看護師、小児科外来お

よび新生児センターのそれ

ぞれの看護師の役割につい

て考える

(1)報告・連絡・相談の徹底

①タイムリーな報告

②医療者、教員、グループ間、

学生間での情報共有の必要性

③リーダーシップ、メンバーシ

ップの発揮

(2)ルールや時間を守る

(3)守秘義務に努める。適切な

の共有を図る。まとめの会

の他の学生の発表やグルー

プワーク、実習中の担当教

員からの説明を想起し、ま

とめ会における学びを指定

された用紙にレポートす

る。

・看護師の関わりや日々の

子どもたちや家族との関わ

りの実際を通して、コミュ

ニケーション方法、傾聴、共

感、受容的態度について考

える。

・プライバシーに配慮した

看護を実践する。

・日々の関わりについて、

実習記録やカンファレンス

を通して看護的な関わりで

あったか振り返る。

・子どもや家族とのコミュ

ニケーションについて、カ

ンファレンスを活用し、学

びを深める。

・多職種との連携の実際と

看護師の役割について学

ぶ。

・受け持ち児の状態に応

じ、計測・観察した内容を正

しく速やかに報告する。

・医療者との連絡調整を密

に行い、自らの意思を伝え

確認する。

・リーダーおよびクループ

メンバーとしての役割を自

覚し、行動する。

・カンファレンスに積極的

に参加し、自分の意見を述

べる。

Page 35: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

6

実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点

5.自己の課題を明確に

し、看護観を深めること

ができる。

1)実習をとおしての

振り返りを行い、自分

の考える看護や小児観

について述べることが

できる。

記録管理

(1)事前学習への取り組み

(2)指導を受けたことの振り返

(3)カンファレンスへの積極的

な参加

(4)自己の課題に対し、積極的

に取り組む姿勢

(1)実習を通して、学んだこと

や自己の課題を明らかにす

(2)自己の看護や小児観を言語

化する

・評価表をもちいて自己評

価を行う。

・実習終了時、「実習を終え

て」についてレポートをま

とめ、終了反省会で発表、提

出する。

Page 36: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

1

Ⅰ.小児看護学実習の目的・目標

実習要領

1.実習目的・目標

1)実習目的

小児期にある対象を総合的に理解し、健やかな成長発達への援助および健康障害のある

子どもとその家族に対して個別的な看護を実践できる能力を養う。

2)実習目標

1.健康障害のある子どもとその家族に対する看護過程の展開ができる。

2.子どもの健康障害や健康の段階、成長発達段階に応じた援助ができる。

3.受け持ち児・家族とよい人間関係を築くことができる。

4.保健医療福祉チームの一員との連携の必要性を理解し、看護師の役割を自覚して責任ある

行動をとることができる。

5.自己の課題を明確にし、看護観を深めることができる。

実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点

1.健康障害のある子ど

もとその家族に対する看

護過程の展開ができる。

1)受け持ち児の健康

障害や健康の段階、成

長発達段階をふまえ、

必要な情報を収集する

ことができる。

2)収集した情報を理

解し、科学的根拠に基

づいて解釈・分析でき

る。

3)看護問題を明らか

にできる。

(1)身体の成長発達段階の観察

①形態的成長(身長、体重、身

体のバランス、歯の発育状態、

カウプ指数、ローレル指数、

BMI)

②生理的特徴

③運動・精神機能

④基本的生活習慣の獲得状況

⑤生育歴・家庭状況の把握と評

(2)疾患の病態生理の理解

(3)症状の観察

(4)検査・治療・処置の把握と

理解

(1)成長発達段階・健康障害の

アセスメント

(2)健康障害が子どもやその家

族に及ぼす影響のアセスメ

ント

①入院前、入院後の生活の変化

②成長発達への影響

③環境の変化に伴うストレス

④健康障害を子どもと家族がど

のように受けとめているか

⑤家族における役割の変化

(1)パターンごとに情報を分析

し、仮診断を出す

・病棟では学生1名に対し

て児1名を受け持つ。

・成長・発達段階、病態生

理・治療等について事前

学習して臨む。

・子どもや家族とのコミュ

ニケーション、観察、カル

テ、医師や看護師からの

説明などから情報収集を

行う。

・看護援助や日課など子ど

もとの関わりを通して情

報収集を行う。

・小児看護学方法Ⅲでの学

びを参考にし、に

沿って、「アセスメント

Ⅰ-①②③・Ⅱ」を整理

する。

・健康障害が成長発達にど

のような影響を与えてい

るかを考え理解に努め

る。

・「看護診断ハンドブック」

を活用し、定義・診断指標お

Page 37: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

2

実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点

2.子どもの健康障害や

健康の段階、成長発達段

階に応じた援助ができ

る。

4)看護問題において

考えられる危険因子

や関連因子を特徴をふ

まえて記述することが

できる。

5)全体像を記述する

ことで最終照合を行い

最終看護診断を抽出す

ることができる。

6)優先順位を決定

し、その理由について

記述することができる

7)健康障害や健康の

段階、成長発達段階を

ふまえた目標を設定

し、行動計画が立案で

きる。

7)実施した看護を振

り返り、目標の達成度

やその要因を評価する

ことができる。

8)振り返りから行動

計画を追加・修正し、

翌日の計画に活かすこ

とができる

1)受け持ち児に必要

な観察・測定ができる

(1)仮診断の原因・誘因を明ら

かにする。

(1)仮診断の関連性を患者の全

体像にまとめ、最終照合を

行う。

(2)問題の原因・誘因をより明

確にし、最終看護診断を抽

出する。

(1)最終診断および診断の優先

順位の決定理由を記述す

る。

(1)その日に達成可能な目標設

定し、目標を達成するため

に必要な看護計画を具体的

に立案する。

①病棟の看護方針

②健康障害や健康の段階、成長

発達段階と個別性

③実践可能であるか

④安全・安楽・自立を踏まえた

看護援助の立案・実施

(1)実施した看護を記録する。

(2)実施した内容、子どもや家

族の反応を振り返り、目標

や計画が児に合っていた

か、追加・修正の必要性に

ついて評価する。

(1)評価をもとに、「1日の行

動計画」に翌日の看護計画

を立案する。

(1)バイタルサイン測定

①体温、脈拍(心音)、呼吸、

血圧

(2)身体計測

(3)全身状態や疾患に特徴的な

よび関連因子、危険因子を

考える

・「アセスメントⅠ~問題

リスト」に記録し、指導者・

教員から助言を受ける。

助言を受けた部分の修正・

追加をその都度していく。

・問題リストの用紙に患者

の全体像を記述することで

思考の整理を行う。

・統合できる仮診断は統合

し最終看護診断を決定す

る。

・優先順位の高いものから

順に番号をつける。

・「1日の行動計画」に記録

する。

・目標の主語は受け持ち児

であること。

・立案した目標・計画は指

導者・教員に相談し、助言を

受ける。

・日々の振り返りから看護

計画を追加・修正し、翌日の

行動計画に活かす。

1)~3)について

・実施のタイミングを考

え、必要な観察、援助を行

う。

・指導者と共に実施する。

Page 38: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

3

実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点

2)受け持ち児に応じ

た基本的な生活習慣に

関する援助ができる。

3)状態に応じた遊び

の援助ができる。

4)子どもを取り巻く

環境の中での危険因子

を考え、安全を確保で

きる。

5)処置を受ける子ど

もに必要な特殊技術の

目的・方法・留意点が

理解できる。

症状の観察

(1)発達段階に合った個別性の

ある援助

①食事 ②排泄 ③清潔

④更衣 ③遊び(学習)

2)~3)について

(2)健康段階を考慮し、症状や

点滴等の治療による制約が

ある状況を踏まえた日常生

活の援助及び遊びの援助

(1)発達段階に応じて起こりう

る事故の予測と安全に配慮した

援助

①子どもに起こりやすい事故と

その要因の把握

②子どもの安全を守るための環

境整備(ベッド及びその周囲)

(1)発達途中過程にある子ども

の治療・処置、検査についての

理解

①検査:採血、ルンバール、

X-P

・検査前中後の観察

・検査時固定の留意点

②治療:薬物療法、輸液療法、

安静療法、運動療法、食事療法

・薬物動態の影響

・固定や抑制の工夫

③処置:点滴、酸素吸入、浣腸

・処置前中後の観察

④診察の介助

・環境の調整

・実施前・実施中・実施後の

受け持ち児や家族の反応や

状態の変化を観察しながら

実施する。

・院内学級が設けてある場

合は見学を行い、健康障害

を最小限にとどめ発達段階

に合わせた学びの環境を整

えることの重要性を理解す

る。

・遊びは「1日の行動計画」

の中で計画立案し、実施後、

子どもや家族の反応から評

価する。

・発達段階別に起こりやす

い事故について事前学習し

て臨む。

・病棟オリエンテーション

を受け、入院生活や安全を

守るための環境について理

解する。

病棟の構造、設備

病棟の日課、週課

看護体制

・カンファレンスを活用し

子どもが起こりやすい事故

について考え、事故防止の

ための環境を整える。

・治療処置・検査における

看護については事前学習し

ておく。

・治療処置・検査について、

指導者の助言を受けながら

見学、介助、一部実施する。

・プレパレーション、ディ

ストラクションの実際を見

学し、看護師がどのような

点を工夫しているか理解す

る。

・家族への説明や関わりの

実際を見学し、看護師がど

のような点を配慮している

のか理解する。

Page 39: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

4

実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点

・子どもに応じた診察の介助

・子どもや家族とのコミュニ

ケーション、説明と同意

⑤院内感染対策

⑥家族へのかかわり

(2)治療・処置、検査が児に及

ぼす影響について

①処置体験の有無と状況

②患児が不安や恐怖をまぎらわ

せるためにとっている対処行動

や処置中にどうしたいかなど希

望の把握

小児外来見学実習

外来における子どもの健康障害や

健康の段階、成長発達段階に応じ

た援助についての見学実習を行う

・自らの症状を的確に表現するこ

とが困難な子どもへのかかわり

・初期対応における家族への知識

提供についてのかかわり

・感染防止へのかかわり

・緊急性のアセスメント

(トリアージ)

・苦痛を最小限にしたかかわり

・外来における継続的かつ包括的

な支援の在り方

・健康診査や予防接種を受ける子

どもと家族へのかかわり

・子どもの健康増進、疾病予防、

異常の早期発見に向けた説明や援

助について

NICU・GCU 見学実習

NICU・GCU における子どもの健

康障害や健康の段階、成長発達段

階に応じた援助についての見学実

習を行う

・ハイリスク新生児の身体的特徴

および症状の理解

・保育器、光線療法などの治療環

境について

・ハイリスク新生児の看護におけ

る姿勢

(子どもと家族の権利を擁護した

・必要に応じて「学習支援

計画」を用いて、計画立案

し、指導者から助言を受け

る。

・子ども病院では病棟実

習、小児外来見学実習およ

び NICU・GCU 見学実習が

実習期間内にある。

・対象学生は、見学実習に

必要な事前学習を行い実習

に臨む。

・見学実習する学生は、外

来、NICU、GCU における

看護援助の場面の見学を通

して各部署における小児看

護の機能や役割についての

説明を受け、健康障害や健

康の段階、成長発達段階に

応じた援助について見学し

学ぶ。

・見学実習した学生は指定

された用紙にレポートをま

とめ、翌日に提出する。

・終了反省会では見学実習

での学びを統合し発表す

る。

・子ども病院以外での実習

を行う学生に対しては外来

との連動性を踏まえながら

病棟実習を行う。(担当教員

より実習中説明あり)

・見学実習期間がない学生

は、実習終了後にまとめの

会を設けるため学生の発表

やグループワークを通して

見学実習内容を深め、学び

Page 40: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

5

実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点

3.受け持ち児・家族子

とよい人間関係を築くこ

とができる。

4.保健医療福祉チーム

との連携の必要性を理解

し、看護師の役割を自覚

して責任ある行動をとる

ことができる。

1)健康障害や成長発

達段階に応じたコミュ

ニケーションを工夫す

ることができる。

2)子どもや家族(特

に母親)の思いを尊重

して関わることができ

る。

1)保健医福祉チーム

との連携の必要性が理

解できる。

2)医療チームの一員

であることを自覚し、

責任ある行動をとるこ

とができる。

3)看護に対する探求

心をもち、自己の課題

を追求する学習態度が

とれる。

かかわり、言葉なき子どもに心を

傾ける細やかさ、倫理感、専門的

知識、丁寧なケア技術)

・生理学的適応を助ける援助

(呼吸管理、循環管理、体温管

理、水分と栄養管理、感染予防)

・ディベロップメンタルケア

・家族への看護

(1)健康障害や成長発達段階に

応じたコミュニケーション、遊

びの工夫

(2)家族の精神面・負担を考慮

したコミュニケーション

(1)子どもや家族を尊重した姿

勢での関わり

(2)養育に関する親の考え方や

心配、不安を配慮した関わ

(3)子どもや家族の思いを考慮

した関わり

(1)保健医療福祉チームの構成

メンバーとそれぞれの役割

(2)多職種との関係

①医師、他部門、院内保育士、

院内学級教師、臨床心理士との

連携

(3)病棟看護師、小児科外来お

よび新生児センターのそれ

ぞれの看護師の役割につい

て考える

(1)報告・連絡・相談の徹底

①タイムリーな報告

②医療者、教員、グループ間、

学生間での情報共有の必要性

③リーダーシップ、メンバーシ

ップの発揮

(2)ルールや時間を守る

(3)守秘義務に努める。適切な

の共有を図る。まとめの会

の他の学生の発表やグルー

プワーク、実習中の担当教

員からの説明を想起し、ま

とめ会における学びを指定

された用紙にレポートす

る。

・看護師の関わりや日々の

子どもたちや家族との関わ

りの実際を通して、コミュ

ニケーション方法、傾聴、共

感、受容的態度について考

える。

・プライバシーに配慮した

看護を実践する。

・日々の関わりについて、

実習記録やカンファレンス

を通して看護的な関わりで

あったか振り返る。

・子どもや家族とのコミュ

ニケーションについて、カ

ンファレンスを活用し、学

びを深める。

・多職種との連携の実際と

看護師の役割について学

ぶ。

・受け持ち児の状態に応

じ、計測・観察した内容を正

しく速やかに報告する。

・医療者との連絡調整を密

に行い、自らの意思を伝え

確認する。

・リーダーおよびクループ

メンバーとしての役割を自

覚し、行動する。

・カンファレンスに積極的

に参加し、自分の意見を述

べる。

Page 41: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

6

実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点

5.自己の課題を明確に

し、看護観を深めること

ができる。

1)実習をとおしての

振り返りを行い、自分

の考える看護や小児観

について述べることが

できる。

記録管理

(1)事前学習への取り組み

(2)指導を受けたことの振り返

(3)カンファレンスへの積極的

な参加

(4)自己の課題に対し、積極的

に取り組む姿勢

(1)実習を通して、学んだこと

や自己の課題を明らかにす

(2)自己の看護や小児観を言語

化する

・評価表をもちいて自己評

価を行う。

・実習終了時、「実習を終え

て」についてレポートをま

とめ、終了反省会で発表、提

出する。

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Ⅰ.母性看護学実習の目的・目標

1.対象学生:福岡市医師会看護専門学校 第1看護学科 2年生後半~3年生

2.実習期間:令和 2年1月14日~10月29日

3.実習時間:月~木 8:30~16:30

(祝日がある場合は金曜日まで)

4.実習目的・目標

1)実習目的

妊婦・産婦・褥婦および新生児とその家族を理解し、周産期の対象に応じた看護が

できる基礎的能力を養う。

2)実習目標

【産科医療施設】

(1) 妊娠、分娩、産褥の一般的経過に伴う母性の特徴がわかる。

(2) 産婦・褥婦とその家族への看護の実際がわかる。

(3) 新生児の特徴・看護の実際がわかる。

(4) 医療チームの一員として看護師の役割を自覚し、責任ある行動をとること

ができる

【学内】

(1) 妊婦・産婦・褥婦への保健指導の重要性とその方法がわかる。

(2) 周産期医療のシステムと母子保健施策がわかる。

(3) 母性看護学実習を通して、母性観・父性観を述べることができる。

【産科医療施設】

実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点

1.妊娠、分娩、産

褥の一般的経

過に伴う母性

の特徴がわか

る。

1)受け持ち褥婦の

妊娠経過と分娩

経過の情報収

集・アセスメン

トができる。

2)受け持ち褥婦の

退行性変化、進

行性変化を指導

のもと観察し、

アセスメントで

きる。

3)受け持ち褥婦の

心理的・社会的

変化がわかる。

(1)受持褥婦の妊

娠・分娩経過

の把握

(2)産褥期のアセ

スメントに

必要な情報

収集

①生殖器の復古

②全身の回復状

③乳房状態・授

④心理状態・母

親役割

⑤家族・役割関

⑥生活・社会環

・正常妊娠、分娩、産褥

について復習しておく。

・可能な限り、1組の褥婦と

その新生児(または妊婦や

産婦)を学生は1~複数で

受け持つ。

*男子学生は女子学生と

ペアで受け持つ

・受け持ち褥婦の妊娠から産

褥までの経過の情報収集を

行い全体像を捉える。

・情報収集は受け持ち対象者、

家族、医療スタッフ、看護記録、

診療録、検査結果、バースプラン

助産録、母子手帳などを情報

源として行う。

・対象者がいない場合、他の

学生の受け持ち新生児の看

護の見学・実施を行う。

Page 43: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

2.産婦・褥婦とそ

の家族への看

護の実際がわ

かる。

1)産婦の安全・安

楽に配慮した援

助方法がわか

る。

2)受け持ち褥婦の

退行性変化、進

行性変化を促す

援助がわかる。

(1)指導のもとで

の分娩経過中

の観察及び援

①バースプランの

把握

②分娩第1期

の看護

③分娩第2期

の看護

④分娩第3・4

期の看護

⑤安全安楽へ

の配慮

(2)胎盤計測

(1)褥婦の観察及

び援助

①観察

・子宮復古の経

・悪露の観察及

び変化

・会陰縫合、浮

腫、出血状態

・痔核、脱肛の

観察

・乳房・乳頭の

状態

・全身状態

・検査データ

・心理状態・児

への感情

②援助

・早期離床

・授乳

・子宮底の輪状

マッサージ

・産褥体操

(2)生活環境の調

整、栄養、排

泄、清潔、休

また、褥婦の情報を共有し、

紙面で妊娠・分娩・産褥経過

のアセスメントを行う。

・機会があれば分娩見学

をさせて頂く。

・分娩室での援助を見学し、

指導のもとで実施する。

*産婦の苦痛に対する援助

(呼吸法、補助動作など)

・産婦・家族の思いを尊重し

充分配慮する。

・分娩見学時の立ち位置は指

導者に必ず確認する。

・分娩見学ができなくても可

能な限り胎盤計測を実施す

る。

・カンファレンスにて分娩見学を通じ

ての感想、分娩中の援助に

ついて振り返り、学びを共

有する。

・申し送りやケースカンファレンスに参

加し、看護方針を理解する

・毎日の行動計画の中で、目

標の設定と具体的な計画を

立て毎朝、指導者に発表し

て助言を受ける。

*目標、援助の根拠や理由

を明確にする。

*クリティカルパスなどの資料を

参考にする。

・実施は指導者の指導のもと

で行う。

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3.新生児の特徴・

看護の実際が

わかる。

1)新生児の全身観

察を行い、生理

的特徴がわか

る。

2)新生児の健康状

態をアセスメ

ントすること

ができる。

3)安全を意識した

新生児への日

常生活援助技

術の方法がわ

かる

息のニードの

把握とセルフケア

を高める援

(3)入院時のスケジ

ュールをもとに

行われる相

談・指導の目

的、留意点、

法の把握

①授乳相談、授

乳指導

②母児同室相

談・指導

③搾乳指導、調

乳指導

④沐浴指導

⑤退院指導

(1)出生直後の児

の観察と看護

①全身の観察

②アプガースコアの

採点

③清拭、体温管

④臍処置

⑤点眼

⑥計測(体重・

身長・頭囲・

胸囲)

⑦母子標識の

装着

⑧母子面会、家

族面会

⑨臍帯血ガス

(2)出生後から退

院時までの

新生児の観

察と看護

①全身の観察

②沐浴・ドライテク

ニック

③臍処置

④授乳

⑤ビタミンKの投

・受け持ち褥婦に限らず、個

別や複数での育児技術の実

施、相談や指導の機会があれ

ば、可能な限り見学・参加す

る。

・受け持ち褥婦への保健指導

内容をパンフレット等で把

握する。

・新生児の生理、看護につい

て復習しておく。

・申し送りやケースカンファレンスに参

加し、看護方針を理解する

・毎日の行動計画の中で、目

標の設定と具体的な計画を

立て毎朝、指導者に発表し

て助言を受ける。

*目標、援助の根拠や理由

を明確にする。

・日常生活援助技術は、初め

に見学し、指導者の指導の

もとで実施する。

・受け持ち新生児の観察結果

は正常と比較し、子宮外生

活に適応しているかどうか

アセスメ ントし、的確に報告する

・新生児を一人の人格をもつ

存在として尊重した態度で

接する。

・事故防止と医療安全を

意識して関わる。

Page 45: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

4.医療チームの一

員として看護師

の役割を自覚し

責任ある行動を

とることができ

る。

1) 対象の権利を尊

重した行動がと

れる

2) 看護者として誠

実で、責任ある

行動がとれる

3) 探求心を持ち、

自己の看護を高

める行動がとれ

⑥健診(生後、

退院診察)

⑦ガスリー検

⑧聴力検査

⑨衣服の着脱

⑩おむつ交換

⑪寝かせ方・抱

き方

⑫哺乳びん授

乳、排気法

(1) 対象や家族の

もつ価値観や

思いを尊重す

(2) 看護における

アドボカシー

について考え

実践する

(1) 守秘義務を順

守することが

できる

(2) 看護者として、

挨拶、身だしな

み、態度で実習

に臨むことが

できる

(3) 時間を守る

(4) 提出期限を守

(5) 適切な時間、場

所を考慮した

報告・連絡・相

談ができる

(1) メンバーと連

携をとり、協力

しあい実習を

行う

(2) 自分の看護を

高めるよう、事

前学習を行う

ことができる

(3) カンファレン

スにて専門的

知識を裏付け

Page 46: Ⅰ.成人看護学実習Ⅰ(周手術期)の目的・目標€¦ · ⑥ ⑦ と 4 護師とともに実施できる。 ② ③ ④ 与の見学 ⑤硬膜外持続投与、

4) 心身の健康の保

持増進ができる

とした自己の

意見を述べ、他

者の意見を組

み入れながら

積極的に参加

する

(1) 健康管理を行

い、欠席・遅

刻・早退がない

ようにする

予防行動をとる

ことができる

【学内】

実習目標 行動目標 実習内容 実習方法及び留意点

1. 妊婦・産婦・褥

婦への保健指導

の重要性とその

方法がわかる。

2. 周産期医療の

システムと母

子保健施策に

ついてわかる。

1)妊婦健康診査の

内容がわかる。

2)妊娠各期の保健

指導の内容がわ

かる。

3)分娩に向けての

保健指導の内

容がわかる。

4)産褥期の保健指

導の内容がわか

る。

1)周産期医療のシ

ステムがわか

る。

2)保健医療制度や

社会資源の活用

がわかる。

(1)妊婦健康診査

(DVD)

①妊娠初期・中

期・後期の妊

婦健康診

査・問診、一

般状態、検査

(検尿・血液

等)

(2)模擬保健指導

(1)母体搬送

(2)新生児搬送

(3)チーム医療

(4)周産期医療ネッ

トワーク

(5)妊娠届出と母

子健康手帳

の交付・取り

扱い

(6)出産費用に関

する制度

(7)出生届

(8)家庭訪問制度

(9)その他の母子

保健関連法

規の活用

・妊娠期の看護に関しては学

内実習にて学ぶ。

*DVD学習

*ペーパーシミュレーション学習

・学内にて妊婦ジャケットを着用

し、妊婦体験を行う。

・事例をもとに妊婦・褥婦へ

の指導案を作成し、ロールプレイ

で発表する。

・周産期医療のシステムについて

各グループで学習する。

・活用できる保健医療制度、

社会資源を考える。

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3. 母性看護学実

習を通して、母

性観・父性観を

述べることがで

きる。

1)母性看護を通し

て、生命の尊厳、

自己の存在につ

いて考え、自己

の母性観(父性

観)について

述べることが出

来る。

(1)新生児との接

(2)褥婦と新生児

の関わりの

場面

(3)受け持ち褥婦

の母性の在

り方

(4)母子とその家

族との関わ

・学内実習後にレポートにし

て提出する。