自動同定定量システム(aiqs)を活用した 災害時の環境モニタ …

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─ 129 ─ 自動同定定量システム(AIQS)を活用した 災害時の環境モニタリング ~東日本大震災での活用と技術的展開~ 中島 大介 1) ,鈴木  剛 1) ,中山 祥嗣 1) ,白石不二雄 1) ,新田 裕史 1) ,小山 陽介 1) 柳下真由子 2) ,宮脇  崇 3) ,中島 寛則 4) ,木村 淳子 5) ,門上希和夫 6) 1) 国立研究開発法人 国立環境研究所(〒305-8506 茨城県つくば市小野川16-2) 2) 県立広島大学(〒727-0023 広島県庄原市七塚町5562) 3) 福岡県保健環境研究所(〒818-0135 福岡県太宰府市向佐野39) 4) 名古屋市環境科学調査センター(〒457-0841 愛知県名古屋市南区豊田5-16-8) 5) 広島県立総合技術研究所保健環境センター(〒734-0007 広島県広島市南区皆実町1-6-29) 6) 北九州市立大学(〒808-0135 福岡県北九州市若松区ひびきの 1 1 号) [2019年 5 月27日受付,2019年 7 4 日受理] Environmental Monitoring during Disasters using Automated Identification and Quantification System (AIQS) -Utilization in the Great East Japan Earthquake- Daisuke NAKAJIMA 1) , Go SUZUKI 1) , Shoji F. NAKAYAMA 1) , Fujio SHIRAISHI 1) , Hiroshi NITTA 1) , Yosuke KOYAMA 1) , Mayuko YAGISHITA 2) , Takashi MIYAWAKI 3) , Hironori NAKASHIMA 4) , Junko KIMURA 5) and Kiwao KADOKAMI 6) 1) National Institute for Environmental Studies (16-2 Onogawa, Tsukuba, Ibaraki 305-8506) 2) Prefectural University of Hiroshima (Nanatsuka 5562, Shobara, Hiroshima 727-0023) 3) Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences (39 Mukaizano, Dazaifu, Fukuoka 818-0135) 4) Nagoya City Institute for Environmental Sciences (5-16-8 Toyoda, Minami, Nagoya, Aichi 457-0841) 5) Health and Environment Center, Hiroshima Prefectural Technology Research Institute (1-6-29 Minami-machi, Minami, Hiroshima, Hiroshima 734-0007) 6) The University of Kitakyushu, Institute of Environmental Science and Technology (Hibikino 1-1, Wakamatsu, Kitakyushu, Fukuoka 808-0135) [Received May 27, 2019; Accepted July 4, 2019] Summary Automated identification and determination system using a gas chromatograph-mass spectrometry (AIQS-GC) is a technology that enables semi-identification and quantification of substances without using the standard substance. Us- ing this method, environmental water monitoring around the disaster temporary storage area after the Great East Japan Earthquake was conducted. Di (2-ethylhexyl) phthalate, pyrene, etc. were detected at high concentration. Some substanc- es showed high concentration near the temporary storage area, suggesting the possibility of elution from disaster waste. Thus, AIQS-GC was effective in emergency monitoring such as disasters. The authors held several workshops to dissemi- nate this system. We have also started joint research with the local environment research institute on the improvement of AIQS-GC. In this joint research, we have a plan to add the number of listed substances, expand the applicable equipment manufacturers, and study the inter-apparatus and inter-laboratory error. In addition, AIQS can be analyzed retrospectively, accumulated and aggregated measurement data is expected. Key words: automated identification and quantification system (AIQS), GC/MS, the Great Tohoku Earthquake 報  文 [環境化学(Journal of Environmental ChemistryVol.29, No.3, pp.129-137, 2019]

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自動同定定量システム(AIQS)を活用した

災害時の環境モニタリング ~東日本大震災での活用と技術的展開~

中島 大介1),鈴木  剛1),中山 祥嗣1),白石不二雄1),新田 裕史1),小山 陽介1), 柳下真由子2),宮脇  崇3),中島 寛則4),木村 淳子5),門上希和夫6)

1)国立研究開発法人 国立環境研究所(〒305-8506 茨城県つくば市小野川16-2) 2)県立広島大学(〒727-0023 広島県庄原市七塚町5562)

3)福岡県保健環境研究所(〒818-0135 福岡県太宰府市向佐野39) 4)名古屋市環境科学調査センター(〒457-0841 愛知県名古屋市南区豊田5-16-8)

5)広島県立総合技術研究所保健環境センター(〒734-0007 広島県広島市南区皆実町1-6-29) 6)北九州市立大学(〒808-0135 福岡県北九州市若松区ひびきの 1 番 1 号)

[2019年 5 月27日受付,2019年 7 月 4 日受理]

Environmental Monitoring during Disasters using Automated Identification and Quantification System (AIQS) -Utilization in the Great East Japan Earthquake-

Daisuke NAKAJIMA1), Go SUZUKI1), Shoji F. NAKAYAMA1), Fujio SHIRAISHI1), Hiroshi NITTA1), Yosuke KOYAMA1), Mayuko YAGISHITA2), Takashi MIYAWAKI3), Hironori NAKASHIMA4),

Junko KIMURA5) and Kiwao KADOKAMI6)

1)National Institute for Environmental Studies (16-2 Onogawa, Tsukuba, Ibaraki 305-8506)

2)Prefectural University of Hiroshima (Nanatsuka 5562, Shobara, Hiroshima 727-0023)

3)Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences (39 Mukaizano, Dazaifu, Fukuoka 818-0135)

4)Nagoya City Institute for Environmental Sciences (5-16-8 Toyoda, Minami, Nagoya, Aichi 457-0841)

5)Health and Environment Center, Hiroshima Prefectural Technology Research Institute (1-6-29 Minami-machi, Minami, Hiroshima, Hiroshima 734-0007)

6)The University of Kitakyushu, Institute of Environmental Science and Technology (Hibikino 1-1, Wakamatsu, Kitakyushu, Fukuoka 808-0135)

[Received May 27, 2019; Accepted July 4, 2019]

Summary Automated identification and determination system using a gas chromatograph-mass spectrometry (AIQS-GC) is a technology that enables semi-identification and quantification of substances without using the standard substance. Us-ing this method, environmental water monitoring around the disaster temporary storage area after the Great East Japan Earthquake was conducted. Di (2-ethylhexyl) phthalate, pyrene, etc. were detected at high concentration. Some substanc-es showed high concentration near the temporary storage area, suggesting the possibility of elution from disaster waste. Thus, AIQS-GC was effective in emergency monitoring such as disasters. The authors held several workshops to dissemi-nate this system. We have also started joint research with the local environment research institute on the improvement of AIQS-GC. In this joint research, we have a plan to add the number of listed substances, expand the applicable equipment manufacturers, and study the inter-apparatus and inter-laboratory error. In addition, AIQS can be analyzed retrospectively, accumulated and aggregated measurement data is expected.

Key words: automated identification and quantification system (AIQS), GC/MS, the Great Tohoku Earthquake

報  文[環境化学(Journal of Environmental Chemistry)Vol.29, No.3, pp.129-137, 2019]

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1.はじめに

 我が国は自然災害大国と呼ばれることがある。毎年 2, 3件程度激甚災害に指定される豪雨,暴風雨に加え,近年では数年に一度の頻度で大きな地震が発生しているのは周知の通りである1)。平成30年 7 月豪雨(2018)では,LPガス容器3,300本(うち空容器300本含む)の流出があった。また毒物劇物取扱施設で保管庫の水没や浸水等の被害が18件あり,うち兵庫県では劇物の流出事故も報告されている2)。危険物や化学物質の流出のほかに,アルミ工場では浸水の影響による爆発事故も発生している。我が国においては歴史的に自然災害が繰り返されてきたが,産業や化学物質のリスクがあることが,近代の災害の特徴である。災害時の化学物質による健康被害,環境被害に関しては,これまであまり注目されてこなかった問題である。地方公共団体では災害対策基本法に基づき,地域防災計画を策定することから,災害や災害後の環境モニタリングに対する関心が高まっている。 被災地の化学物質モニタリングの際によりどころになるものとして,阪神・淡路大震災の後に環境庁(当時)が取り纏めた,「緊急時における化学物質調査マニュアル(平成10年 3 月)」がある3)。ここには,285種類の化学物質の質量スペクトルと保持時間,相対感度係数情報が収載されており,標準物質を保有していなくても物質の半同定・定量が可能なシステムについて記載されている。この方式は自動同定定量システム(AIQS)として門上らによって開発が進められ4-7),現在では約1,000物質まで拡大されたシステムが市販されている。一般にGC/MS分析では,装置のレスポンス等が日々変化することから,測定のたびに標準物質を用いて保持時間や質量スペクトルを確認し,検量線を作成して同定・定量する必要がある。これに対して AIQSの基本的な考え方は,GC/MSの装置性能を常に規定された状態に保つことができれば,同じ状態で測定された質量スペクトル,保持指標及び検量線情報を使うことが可能になる,というものである。したがって,標準物質を保有していなくても,或いは標準物質を用いた確認をしなくても同定定量が可能である AIQSは,緊急時に多種類の物質をスクリーニングする際には特に有効な手段である。本稿では,GC/MSを用いた AIQS(AIQS-GC)による東日本大震災の環境モニタリング結果を報告するとともに,AIQS活用のための地方環境研究所を中心とした取り組みの紹介と,AIQSの今後の開発を展望する。

2.東日本大震災における水環境調査

 東日本大震災では多くの土地や建物が被災し,この震災より生じたがれきや津波堆積物には様々な化学物質が含まれていた。災害廃棄物一次仮置場において遮水構造が採られたのは仙台市等ごく稀であり,被災地ではこれらの災害廃棄物から化学物質が流出し,環境が汚染されることが懸念された。この状況を受け,環境省では被災地の公共用水域において緊急的に有害物質等の水質モニタリング調査を宮城県内21地点で実施した。人の健康の保護に関する環境基準値(健康項目:26項目)のうちふっ素に関しては 1地点,ほう素に関しては 4地点を除き,ほとんどの地点において基準値を上回る値は見られなかった8)。ダイオキシン類については 4地点において水質の環境基準を上回る値(測定値1.1 ~ 2.7pg-TEQ/L)が見られている9)。一方底質については,東日本大震災以前に県等関係機関が全項目を対象に実施した底質の調査結果と同程度,又はそれ以下の値であったと公表された10)。 規制物質に関しては上述のとおりであるが,未規制物質の状況は把握されていない。そこで著者らは,特に災害廃棄物から溶出した

化学物質による汚染の実態を把握するため,宮城県石巻市南境地区と宮城県気仙沼市沖の田地区の災害廃棄物一次仮置場周辺水域において,環境水に含まれる化学物質濃度を AIQS-GCを用いて調査した。

2.1 調査方法2.1.1 環境水採取 宮城県石巻市南境地区にある災害廃棄物一次仮置場周辺の 3地点(Fig. 1)と,宮城県気仙沼市沖の田地区にある災害廃棄物一次仮置場周辺の 3地点(Fig. 2)にてサンプリングを行った。 石巻市南境地区では,災害廃棄物一次仮置場直下の用水路をサンプリング地点①,①の用水路が流入する小河川(金沢川)をサンプリング地点②,金沢川が流入する旧北上川をサンプリング地点③とした。南境地区は震災後,様々な災害廃棄物が搬入された地区であり,商業高校に隣接した用水路のそばに津波汚泥と混在した建築破損材が土塁状に積み重ねておいてあり,雨水による環境への浸出水の流出が懸念される一次仮置場である。 気仙沼市沖の田地区でも同様に,災害廃棄物一次仮置場直下の用水路をサンプリング地点①,①の用水路が流入する沖ノ田川下流をサンプリング地点②,沖ノ田川上流をサンプリング地点③とした。沖の田地区の一次仮置場は,気仙沼市で発生した震災廃棄物の集積場所として津波で被災した水田跡地を利用し,2012年 3 月ごろからは災害廃棄物の分別作業も行われるようになり,排水路の横にふるいにかけられた津波汚泥が山積みされるようになった。なお,一次仮置場からの排水は排水口が沖の田川に架かる破壊された鉄道橋脚跡直下に開かれ,沖の田川に流入するようになっている。 3月以降の可燃性廃棄物の分別作業に伴い,分別された大量の津波汚泥が一次仮置場に土塁状に堆積されたため,そこからの浸出水が排水路に流入した可能性がある。 上記 6地点において,河川の底質が撒きあがらないよう注意し,柄杓を用いて河川水をガロン瓶に採取した。2.1.2 抽出 採取した河川水は粒子態(SS)画分と溶存態画分とに分けて抽出を行った。1)SS画分の前処理 ポリビーカーを用いて河川水1000 mLを量り取り,ガラス繊維ろ紙(GF/C, Whatman)を使用し吸引濾過した。SS捕集後のガラス繊維ろ紙はガラスシャーレに移し乾燥させたのち,ねじ口試験管に移しメタノール(ナカライテスク株式会社:残留農薬・PCB試験用)5mLを加えた。 5分間超音波抽出し,24時間放置後に再び 5分間超音波抽出し,抽出液を別のねじ口試験管に移し替えた。ガラス繊維ろ紙はさらに 4mLのメタノールで, 5分間超音波抽出し,抽出液を合わせ遠心分離(3,000 rpm×20分間)した。上清を取り,窒素気流下で溶媒を留去した後,分析に供するまで-30℃で冷凍保存した。2)溶存態画分の前処理 吸引濾過した後のろ液はガラス瓶に移し,酢酸:水:メタノール= 1: 9:90(v/v/v)の溶液をろ液1000 mLに対し10 mL加えよく混合した。その後メタノール,水でコンディショニングしたEmpore disk C18 FFに通液した。捕集後の C18ディスクは乾燥後メタノールで溶出し,溶出物は窒素気流下で乾固させ,分析に供するまで-30℃で冷凍保存した。 なお試料量は,SS成分の多い試料では500 mL,少ない試料では1000 mLを用いた。2.1.3 測定試料調製 抽出液を乾固させたねじ口試験管に,アセトン(ナカライテス

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Fig. 1 Sampling location at Minami-sakai area in Ishinomaki city

Fig. 2 Sampling locations at Okinoda area in Kesen-numa city

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ク株式会社:残留農薬・PCB試験用)500 µLを加えボルテックスミキサーを用いて溶解した。その後,水試料1000 mLの場合は20 µL,500 mLの場合は10 µLの内部標準液をインサートバイアルに入れ,さらにサンプル溶液100 µLを加え分析した。保存する場合は-30℃で冷凍保存した。測定の結果,検量線を大幅に超えるようなピークが検出された場合には100倍希釈して再測定した。 なお,内標準溶液には,林純薬工業株式会社の Code NO. 56071内部標準混合溶液 II(ヘキサン溶液,100 ppm,1.5 mL)を10倍 希 釈 し て 使 用 し た。 そ の 成 分 は4-Chlorotoluene-d4,1,4-Dichlorobenzene-d4,Naphthalene-d8,Phenanthrene-d10, Acenaphthene-d10,Fluoranthene-d10,Chr ysene-d12及びPerylene-d12である。2.1.4 AIQS-GCによる測定方法 1.1.3項で作製した試料は,ガスクロマトグラフ-質量分析計を用いて分析を行った。また,環境分析向け GC/MS一斉分析用データベースを用い,下記の分析条件で定量した。装置は GCMS-QP2010(株式会社島津製作所),カラムは J&W DB-5ms( 5 %フェニルメチルシリコン系キャピラリカラム,30 m×0.25 mm ID,0.25 µm FT)を使用した。チューニングメソッドには US EPA method 625を用いた。キャリヤーガスは He,注入モードはスプリットレス法とした。GCの温度プログラムは,気化室温度250℃,インタフェース温度300℃,イオン源温度200℃とし,カラムは初期温度40℃を 2分間保ち, 8 ℃ /minの昇温速度で310℃まで昇温し,この温度で5分間保った。制御モードは線速度で,線速度は40 cm/secとした。注入量は1 µL,サンプリング時間は 1分とした。測定は質量範囲33-600amuのスキャンモードで行った。以上は標準的な AIQS-GCの測定条件である。

2.1.5 測定対象化合物 環境用データベース登録化合物は942物質であり,その内訳の概略は以下の通りである。炭化水素(PAHs,PCBsなど)194物質,含酸素化合物150物質,含窒素化合物113物質,含窒硫黄化合物12物質,含リン化合物 8物質,PPCPs 14物質,農薬(殺虫剤,除草剤,殺菌剤など)451物質である。

2.2 結果および考察2.2.1 宮城県石巻市南境地区の分析結果 2011年 7 月から2012年10月までの合計132サンプルを分析した結果,石巻市南境地区では323種類の化学物質が検出された。そのうち検出頻度の高かった化学物質を Table 1に示す。ここではフタル酸エステル類,ステロール類,多環芳香族化合物や農薬類が高頻度に検出された。 Fig. 3には,2011年 7 月22日における採取地点ごとの各物質濃度を示した。フタル酸ビス(2-エチルへキシル)(DEHP),フタル酸ジブチル(DBP),ビスフェノール A(BPA),コレステロール,カフェイン及びピレンはいずれも災害廃棄物一次仮置場に近い地点①で高い濃度を示し,一次仮置場からの溶出が示唆された。 一次仮置場の小河川側,即ち採取地点①に近いエリアは,Fig. 1右上写真に示すようなプラスチックを含む混合ごみが堆積されていたことから,フタル酸エステル類はその溶出による可能性が考えられた。コプロスタノールは糞便中に存在することから,糞便汚染指標であるとされている11)。また,カフェインは医薬品類にも含まれ糞便汚染指標と同様の指標性があると考えられている12)ことから,混合ごみに含まれた汚物や医薬品等が環境水中に流入した可能性が考えられた。なお DEHPの地点①での濃度は107 µg/Lと高濃度を

Table 1 Representative chemical substances detected in Minamisakai area, Ishinomaki City, Miyagi Prefecture

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示していた。産業技術総合研究所の詳細リスク評価書13)によると,環境水中の DEHPの幾何平均値は2.14 µg/L(1998-2002年)である。今回の値は下水処理場流入水での最大68 µg/L14))に近いものである。なお,廃棄物埋立跡地の廃棄物層(第一帯水層)では最大で17,000 µg/Lという値が報告されており14, 15),がれきの直近で100 µg/L程度の濃度が観測されることは不自然ではないと考えられた。2.2.2 宮城県気仙沼市沖の田地区の分析結果 2011年 9 月から2012年10月までの合計88サンプルを分析した結果,気仙沼市沖の田地区では345種類の化学物質が検出された。そのうち検出頻度の高かった代表的な化学物質を Table 2に示す。ここでもフタル酸エステル類が高頻度で検出された。石巻市南境地区同様,一次仮置場に野積みされた自動車やプラスチック製品由来のものだと考えられる。BPAに関しては検出されないことが多かった。 Fig. 4には2011年 9 月30日における採取地点ごとの各物質濃度を示した。DEHP,DBP,BPA及びカフェインではいずれも災害廃棄物一次仮置場に近い地点①で高い濃度を示した。いずれの物質についても,石巻市南境地区の濃度と比較すると数分の 1から10分の 1程度と低い濃度であった。BPAとピレンにおいて,SS画分よりも溶存態画分の構成比が高い結果になったが,SS量が少なかったことによるものと考えられた。 なお,BPAではサンプリング期間を通じて濃度に大きな変動は

無く,DEHP,フタル酸ジブチル,カフェイン,ピレンにおいて冬季に濃度が上昇する傾向が見られた。2.2.3 水生生物に対する化学物質の影響の可能性 今回検出したいくつかの化学物質について,採取地点①でのMEC(Measured Environmental Concentration:環境中実測濃度)と PNEC(Predicted No-Effect Concentration:無影響濃度予測値)とを比較した。その結果を Table 3に示す。PNECは環境省の生態リスク初期評価による急性毒性値を用いた。 DEHPについては,石巻市南境地区で107 µg/L,気仙沼市沖の田地区では41 µg/Lであり,MEC/PNECが 1を大きく上回る値となった。特に南境地区では甲殻類に対する遊泳阻害濃度である133 µg/L(EC50)16)に近い値であった。その他,ピレン,ノニルフェノールでMEC/PNECが 1を上回るレベルであった。 ただし,本測定値は AIQS-GCで得られた値であることに留意する必要があり,この値を用いて生態影響を直接評価することは必ずしも適切ではない。即ち,AIQSでは 1mg/L付近の定量精度は比較的良いが,高濃度・低濃度では精度が劣ること(本調査では,2000倍濃縮液を測定に供したため,環境水中濃度では0.5 µg/L付近の精度が良い),回収率の確認や補正を行っていないこと等に留意する必要がある。行政判断等の根拠とするなど,正確を期す必要がある場合,AIQSでの測定はスクリーニング的に,即ち同定・定量精度の高い方法で再調査を行う必要性を判断するために用いること

Fig. 3 Concentrations of chemical substances detected at each point in the Minami-sakai area

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Table 2 Representative chemical substances detected in Okinoda area, Kesen-numa City, Miyagi Prefecture

Fig. 4 Concentrations of chemical substances detected at each point in the Okonoda area

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が適切である。

2.3 まとめ 今回,宮城県石巻市南境地区と宮城県気仙沼市沖の田地区の河川水に含まれる化学物質の分析を AIQS-GCを用いて行ったところ,両地点において300種類以上の化学物質が検出され,どの化学物質も同程度の検出率で検出された。 また,AIQS-GCによる実測値を環境省の初期リスク評価で示されている PNECと比較すると,DEHPやピレンで PNECを上回る濃度で環境水中に存在しており,生態系へ影響を及ぼした可能性が示唆されたため,高精度測定を行うことが望ましかった。

3.AIQS-GCの地方環境研究所との共同研究・技術普及の試み

 前章では,AIQS-GCを環境調査に用いた例を紹介した。「はじめに」の項に記した通り,環境媒体がどんな化学物質で汚染されているのか不明な災害時等では,できるだけ多種類の物質をターゲットにした分析法が必要とされる。それは災害時に限らず,例えば地方公共団体における苦情処理や事故対応でも同様である。 著者らは2014年度に国内の全国環境研協議会に加盟している全67機関を対象とし,各地方環境研究所が保有している事故・災害対応事例をアンケート調査して集約した(回収率74.6%)。その結果,112件の調査事例のうち81件は水質における異常であった。これは大気( 4件),土壌( 3件)と比べて特段に多かった。「対応時に必要だが不足した機材・機器等があったか」との質問に対し,132件中24件が「あった」と回答している。特に高額機器や,維持に経済的・人的コストがかかる装置については,地方公共団体内に留まらない広域での相互利用制度の検討も考慮する必要があろう。一方で,AIQS-GCは地方環境研究所にも一般的に装備されている四重極型質量分析計で実行可能である点,更に同定定量のための標準物質を用いないという点でその活用が期待される。1.項で示した東日本大震災での AIQS-GCの活用は,岩手県における水質・底質調査にも活用されている21)。また,津波堆積物の調査にも活用されてお り22),この報告でも AIQSは第一段階でのスクリーニングに用い,第二段階では従来のターゲット分析による正確な定量を行うことが提案されている。このように AIQS-GCは,地方環境研究所等に潜在的なニーズがあると考えられる。 なお本アンケート調査によれば,対応時に地方環境研究所が環境

調査を行う際に参考とした文献については,約半数が「なし」と回答した。このことは,事故・災害における事例を全国で集約し,特に技術的なマニュアルを整備することの必要性も浮かび上がった。これらの調査事例の詳細な集計結果は,全国環境研協議会の会員機関,自治体担当部署に共有済みである。

3.1 緊急時環境調査手法研修会 前項で示した背景から,国立環境研究所では「緊急時環境調査手法研修会」として,全国環境研協議会参加機関に呼び掛け,AIQSに関する研修会を開催してきた。第 1回(2017年 1 月)は名古屋市環境科学調査センターとの共催で,現在開発中の VOC版 AIQSを取り上げた。ミニポンプを用いてチャコールチューブに VOCを捕集し,二硫化炭素で溶出後,624系カラムを装着した GC/MSにより51成分の VOCを対象に標準物質を用いずに半同定・定量する方法を学んだ。この回には25機関からの参加があった。なお VOC版の AIQSについては,チューニング結果や装置が規定の状態に保たれているかどうかの確認方法が確立していない等の課題があり,適切な内標準の選定と併せ,今後の研究が待たれる。また,キャニスター法への展開も期待されよう。 また福岡県保健環境研究所で開催した第 3回(2018年 2 月)研修会では土壌および底質中有機汚染物質を対象として,超音波抽出とAIQS-GCによる迅速スクリーニング法23)を学んだ。この回にも25機関から参加があった。同様の研修会はその他にも広島県立総合技術研究所保健環境センターと共催した第 2回(2017年 6 月)「水濁事故を想定した迅速前処理カートリッジによる有機汚染分析」も開催しており,29機関の参加を得るなど,緊急時における環境調査に対する地方公共団体の関心の高さが反映されていると感じられた。

3.2 AIQS-GCの技術的展開 災害時等に AIQS-GCを活用する,という前提に立つと,いくつかの改善点が挙げられる。第一に,市販 AIQS-GCが現在島津社製とアジレント社製の装置にしか対応していない点である。第二に,データベースに収載されている物質が平時の環境モニタリングを意識したものであることである。そして第三には,活用の考え方や操作法等の普及が進んでいないことである。これらの課題に対し,著者らが担当する環境省環境研究総合推進費「災害・事故等で懸念される物質群のうち中揮発性物質に対する網羅的分析技術の開発と拡充【S17-3(2)】」24)においてそれぞれ取り組みを進めている段階である。

Table 3 Comparison of concentrations of chemical substances determined in water near primary temporary storage for disaster waste with PNEC

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 AIQS-GCの基本的な考え方は,GC/MSを常に規定された状態に保つことにより,同じ状態で測定された質量スペクトル,保持指標及び検量線情報を使うことが可能になる,というものである。したがって,質量スペクトルを一定の状態に規定するためには,ターゲットチューニングを行うことが必要になる。市販 AIQS-GCでは,EPA method 625で採用されているターゲットチューニングを用い,DFTPPの質量スペクトルを一定のプロファイルに揃えている。しかし,装置によっては同ターゲットチューニングができない機種も存在する。また,市販の 2社の AIQS-GC間では,使用カラムと昇温条件が異なり,同一の保持指標データを用いることができない,という問題があった。即ち,島津社製ではカラムに DB-5msを用い,線速度一定モードで測定するのに対し,アジレント社製では HP-5msカラムを用いてリテンションタイムロック方式で測定を行うこととされていた。2019年 1 月現在では,この点について統合の動きがあり,アジレント社製用 AIQSにおいても DB-5msカラムを用いた一定流量モードでの測定が可能になった。ただし一定流量モードでは昇温に伴って線速度が増加することから,両者は厳密には同一ではない。これに起因すると思われる保持指標データの差も発見されており,その修正も必要である。なお,このような差異を考慮に入れた上で,各メーカーの GC/MS測定データを AIA形式等の互換フォーマットに変換すること等により, 2社以外の GC-MSでも使用可能な汎用 AIQSソフトウェアの開発を進めているところである。 上述の取組と並行し,国立環境研究所と36の地方環境研究所との共同研究を開始したところである。この共同研究では,災害時に懸念される物質として数百物質を選定し,各物質の質量分析データをAIQSに収載するとともに,機種間差・室間差の確認や,新たに開発する AIQS解析ソフトウェアの試用,環境実試料での評価を行うほか,AIQSを災害時に利用するためのマニュアル策定を行う。測定対象物質は国内ストック量と毒性情報等から優先順位付けして選定する。 データ採取は参加機関で分担し,随時 DBを共有して試行を行う計画であり,2021年度末までに新たに400物質の登録を目標としている。また物質データの登録作業を通じ,AIQSソフトウェアを日常的に利用することで,発災時に速やかに対応できる体制を整えたい。AIQSで使用する測定データは SCAN分析であることから,存在を確認したい新たな物質があれば,そのデータを登録した上で過去の測定データを遡り解析も可能である。環境試料データは将来的にはデータバンクとして整備することも可能である。なお本課題で採取した物質データ等は,多方面での活用を期待して無償公開することとしている。このような取り組みを進めることで,AIQS-GCが多くの機関で活用可能な状態になり,通常業務での予備的利用や,平時データの蓄積を期待している。

3.3 LC/MSにおける AIQS開発の状況 上述の通り,AIQS-GCはそのデータベースが市販されており,それを活用した学術論文も報告されてきている22, 25-28)。一方,GC測定には誘導体化が必要な物質,熱分解性物質や難揮発性物質等,GCでの一斉分析に適さない物質についての AIQS開発への期待が膨らむのは当然の流れであり,飛行時間型質量分析計(TOF-MS)を用いた AIQS-LCの開発が進められている。GC/MSと異なり LC/MSではフラグメントイオンが生じにくく,そのままでは同定精度が望めないことから,TOF-MSによる精密質量を用いることに加え,初期には LC-TOF-MSを用いたインソースフラグメンテーションが活用されてきた29)。近年では,SWATH-MS(Sequential window acquisition of all theoretical fragment ion spectra mass spectrometry)

法を適用した方法が報告されている。SWATH法はQTOF-MSによって,m/zの幅を任意に指定してMS/MS測定していく分析法であり,プロテオミクスの分野で開発され,急速に普及してきた技術である。Kadokamiらは本法を用いた AIQS-LC法を提案し,現在484物質のデータを収載して環境試料の測定に適用している30)。LC/QTOF-MSの測定速度・解析速度の向上によって可能となってきた方法であり,今後は更なる高度化と普及が期待される技術である。

4.さいごに

 本稿では,AIQS-GCを災害時の環境モニタリングに用いた事例の紹介と,今後の課題や取組事例について紹介した。ここではGC/MSを用いたスクリーニング分析法について述べたが,災害時には GC/MSでは測定できない VOCや親水性化合物も対象とする必要がある。これについても環境省総合推進費【S17-3(1)】や【S17-3(3)】において検討が別途進められており,我々とも連携して網羅的なスクリーニング体系を構築することとなっている。 AIQS-GCの技術は,今回紹介したシングル四重極によるスキャン分析の他に,SIM/SCAN分析やMS/MS分析等が提案され,発展を続けている。更なる高感度化や,更なる高分解能化など,今後の展開が期待できる技術である。

謝 辞

 本調査における現地調査は,宮城県保健環境センターをはじめ,宮城県の多くの関係者の協力を得た。本研究は,三井物産環境基金研究助成「津波堆積物を含む震災廃棄物の処理過程における健康影響~バイオアッセイを中心とした包括的ハザード調査~(R11-F3-297)」,国立環境研究所と宮城県保健環境センターとの I型共同研究「震災廃棄物・津波汚泥及びその仮集積・埋立処理によって引き起こされる化学物質汚染の一次スクリーニング」,環境省環境研究総合推進費「災害・事故等で懸念される物質群のうち中揮発性物質に対する網羅的分析技術の開発と拡充」【S17-3(2)】及び「災害・事故での非定常状態のリスク評価手法の開発とリスク管理基盤の構築による総括」【S17-1(1)】により行われた。

要 約

 ガスクロマトグラフ-質量分析計を用いる全自動同定定量システム(AIQS-GC)は,標準物質を保有していなくても物質の半同定・定量が可能なシステムである。本法を用いて東日本大震災後の震災廃棄物一次仮置場周辺の環境水モニタリングを実施したところ,フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)やピレン等が高濃度で検出された。いくつかの物質は仮置場付近で高濃度を示し,災害廃棄物からの溶出の可能性が示唆された。このように AIQS-GCは災害時などの緊急モニタリングにおいて有効であると考えられた。そこで著者らは,本システムの普及にむけた研修会を開催する一方,その改良に関する地方環境研究所との共同研究を開始したところである。共同研究では,収載物質数の追加,適用可能な装置メーカーの拡大,装置間・機関間誤差の検討等が計画されている。また AIQSは遡及分析が可能であることから,測定データの蓄積と集約が期待されている。

文 献 1) http://www.bousai.go.jp/taisaku/gekijinhukko/list.html 2) http://www.bousai.go.jp/updates/h30typhoon7/pdf/301009_

1700_h30typhoon7_01.pdf

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環境化学 Vol.29, No.3(2019) 

3) 財団法人日本食品分析センター:緊急時における化学物質調査マニュアル 平成 9年度環境庁公害調査委託費による報告書.pp.212(1998)

4) Kadokami, K., Tanada, K, Taneda, K. and Nakagawa, K.: Devel-opment of a novel GC/MS database for simultaneous determina-tion of hazardous chemicals. BUNSEKI KAGAKU, 53, 581-588 (2004)

5) Kadokami, K., Tanada, K., Taneda, K. and Nakagawa, K.: Novel gas chromatography-mass spectrometry database for automatic identification and quantification of micropollutants. J. Chro-

matogr. A, 1089, 219-226 (2005) 6) 陣矢大助,岩村幸美,門上希和夫,宮川治彦,中川勝博,近藤友明,楠田哲也:半揮発性化学物質多成分同時分析のためのガスクロマトグラフ-四重極型質量分析計の性能評価標準,分析化学,60,965-975(2011)

7) 特許第4953175号,クロマトグラフ /質量分析装置における定量精度向上方法.平成24年 3 月23日

8) 環境省水・大気環境局水環境課:被災地の公共用水域の水質モニタリング調査結果(速報②(岩手県及び宮城県分))の公表について(2011) http://www.env.go.jp/jishin/monitoring/result_pw110708.pdf

9) 環境省水・大気環境局水環境課:被災地の公共用水域の水質モニタリングにおけるダイオキシン類測定結果の公表について(2011) http://www.env.go.jp/jishin/monitoring/result_pw110906.pdf

10) 環境省水・大気環境局水環境課:被災地の公共用水域の底質モニタリング調査結果の公表について(2011) http://www.env.go.jp/jishin/monitoring/result_pw120306.pdf

11) Isobe, K.O., Tarao, M., Nguyen H.C., Minh, L.Y. and Takada, H.: Effect of environmental factors on the relationship between con-centrations of coprostanol and fecal indicator bacteria in tropical (Mekong Delta) and temperate (Tokyo) freshwaters. Applied and

Environmental Microbiology, 70, 814-821 (2004)12) Ekklesia, E., Shanahan, P., Chua, L.H.C. and Eikaas, H.S.: As-

sociations of chemical tracers and faecal indicator bacteria in a tropical urban catchment. Water Research, 75, 270-281 (2015)

13) 産業技術総合研究所:詳細リスク評価書 フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(2005) https://unit.aist.go.jp/riss/crm/main-menu/zantei_0.4/DEHP_0.4.pdf

14) 産業技術総合研究所:詳細リスク評価書シリーズ 1 フタル酸エステル - DEHP- 参考資料 A https://unit.aist.go.jp/riss/crm/mainmenu/DEHP_appendix_A.pdf

15) 国土交通省:平成12年度 下水道における内分泌攪乱化学物質に関する調査 報告書(案)(2001) http://www.mlit.go.jp/crd/city/sewerage/info/naibun/naibunzentai.pdf

16) 環境省環境リスク評価室:[29]フタル酸ジ(2-エチルヘキシル),化学物質の環境リスク評価 第 1巻,361-374 (2002)

17) 環境省環境リスク評価室:[30]フタル酸ジ -n-ブチル,化学物質の環境リスク評価 第 1巻,376-386(2002)

18) 環境省環境リスク評価室:[15]ビスフェノール A,化学物質の環境リスク評価 第 3巻(2004)

19) 環境省環境リスク評価室:[19]ピレン.化学物質の環境リスク評価 第 7巻(2009)

20) 環境省環境リスク評価室:[13]ノニルフェノール,化学物質の環境リスク評価 第 2巻(2003)

21) 伊藤朋子,佐々木和明:被災地「岩手県」における環境モニタリング事例,平成23年度化学物質環境実態調査環境科学セミナー要旨集,16-21(2012)

22) Matsuo, Y., Miyawaki, T., Kadokami, K., Nakai, K., Tatsuta, N., Nakata, H., Matsumura, T., Nagasaka, H., Nakamura, M., Sato, K., Tobo, K., Kakimoto, R., Someya, T. and Ueno, D.: Development of a novel scheme for rapid screening for environmental micro-pollutants in emergency situations (REPE) and its application for comprehensive analysis of tsunami sediments deposited by the great east Japan earthquake. Chemosphere, 224, 39-47 (2019)

23) 宮脇 崇,古閑 彩,中島大介,門上希和夫:緊急時環境調査を想定した土壌および底質中有機汚染物質の迅速スクリーニング法の開発.第26回環境化学討論会,同予稿集(2017)

24) http://www.nies.go.jp/res_project/s17/theme03_2.html25) Kadokami, K., Jinya, D. and Iwamura, T.: Survey on 882 organic

micro-pollutants in rivers throughout Japan by automated iden-tification and quantification system with a gas chromatography-mass spectrometry database. J. Environ. Chem., 19, 351-260 (2009)

26) Pan, S., Kadokami, K., Li, X., Duong, H.T. and Horiguchi, T.: Tar-get and screening analysis of 940 micro-pollutants in sediments in Tokyo Bay, Japan. Chemosphere, 99, 109-116 (2014)

27) Allinson, M., Kadokami, K., Shiraishi, F., Nakajima, D., Zhang, J., Knight, A., Gray, S.R., Scales, P.J. and Allinson, G.: Wastewater recycling in Antarctica: Performance assessment of an advanced water treatment plant in removing trace organic chemicals. J. Environ. Manage., 224, 122-129 (2018)

28) Duong, H.T., Kadokami, K., Trinh, H.T., Phan T.Q., Le G.T., Nguyen, D.T., Nguyen, T.T. and Nguyen, D.T.: Target screening analysis of 970 semi-volatile organic compounds adsorbed on atmospheric particulate matter in Hanoi, Vietnam. Chemosphere, 219, 784-795 (2019)

29) Chau, H.T.C., Kadokami, K., Ifuku, T. and Yoshida, Y.: Develop-ment of a comprehensive screening method for more than 300 organic chemicals in water samples using a combination of solid-phase extraction and liquid chromatography-time-of-flight-mass spectrometry. Environ., Sci., Pollut. Res., 24, 26396-26409 (2017)

30) Kadokami, K. and Ueno, D.: Comprehensive target analysis for 484 organic micropollutants in environmental waters by the com-bination of tandem solid-phase extraction and quadrupole time-of-flight mass spectrometry with sequential window acquisition of all theoretical fragment-ion spectra acquisition. Anal. Chem., 91, 7749-7755 (2019)