タウンブラウジング ~情報提示による街歩き促進~
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タウンブラウジング ~情報提示による街歩き促進~
A Town-Browsing
: A Promotion Methodology of City-Walking by using Presenting Information
はじめに
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
はじめに
わたしは昔から、街行く人々を見て、思いを馳せるのが好きです。自分で街歩きをするのも好きです。新しいお気に入りの場所を見つけたり、それまで知らなかったことを発見して刺激を受けたり、自分自身の生活に豊かさをもたらしてくれます。
そうして過ごす中で、「街行く人々(私自身も含めて)の行動は何に影響を受けているのだろう?それは、街を形作っている建築の力があまりにも大きいのではないか」と考えるようになったのが、建築学科に入学した動機でした。
そして仁史研に入って3年間、一貫して「街歩き」について研究を続けてきました。まず、第0章として、この3年間「街歩き」について考えてきたこと、そして「タウンブラウジング」研究までの過程を記したいと思います。
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
目次
Index
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
第一部:本編
第0章 「タウンブラウジング」への経緯
第1章 研究概要
第2章 研究背景
第3章 街に関する情報の分類
第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
0-1.街における屋外空間の建築計画
0-2.個人対応の情報提示による発見及び満足感提供の可能性
0-3.情報提示から見た建築計画における新たな価値
1-1.用語の定義
1-2.研究目的
1-3.研究の流れ
2-1.ソーシャルメディアの発達と情報接触機会の変化
2-2.情報社会の高度化による外出機会の減少
2-3.「街歩き」に関する情報発信
3-1.街に関する情報の収集
3-2.行動意志決定に影響を及ぼす情報の性質の抽出
4-1.調査に用いる情報の選定
4-1-1. 対象とするコンテンツについて
4-1-2. 提示する情報の性質について
4-1-3. 提示する情報の具体的内容
4-2.調査概要
4-3.調査結果
4-3-1. 回答者の属性
4-3-2. 情報提示と来訪意欲
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早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
第5章 分析
第6章 まとめ・展望
おわりに
参考文献
5-1.属性による分析
5-1-1.男女による違い
5-1-2.年代による違い
5-2.行動嗜好による分析
5-2-1.休日の外出頻度による違い
5-2-2.休日の過ごし方の嗜好による違い
5-2-3.街歩きの嗜好による違い
5-3.SNS 利用状況による分析
5-3-1.Facebook 利用状況による分析
5-3-2.Twitter 利用状況による分析
5-3-3.Foursquare 利用状況による分析
5-3-4.Instagram利用状況による分析
5-4.情報メディア利用状況による分析
5-4-1.インターネットニュース利用状況による分析
5-4-2.食べログ利用状況による分析
5-5.情報の性質による分析
5-6.街への来訪意欲に関する分析
6-1.まとめ
6-2.展望
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第二部:資料編
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
「タウンブラウジング」への経緯第0章
0-1.街における屋外空間の建築計画
0-2.個人対応の情報提示による発見及び満足感提供の可能性
0-3.情報提示から見た建築計画における新たな価値
001
第0章 「タウンブラウジング」への経緯
002
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
0-1. 街における屋外空間の建築計画
街歩きが好きではあるものの、日本の街はあまり街歩きに向かないというのは以前から感じていた問題点だった。西洋の多くの街は広場を中心に構成され、街中の屋外空間で休憩したりくつろいだりといったことが自然に行われる環境が作られている。一方、日本の街の屋外空間は、多くが移動空間に過ぎず、そこは休憩したりくつろいだりといった行為のためには考えられてこなかった。歩いたり休んだりといった「街歩き」における多様な行為が考慮されていなかったのである。 近年ではようやく、日本においてもそのような屋外休憩空間の必要性が見直され始め、例えば、新宿区では、新宿通り
のモール化が検討されている(*1)。また、大阪狭山市では「ひ
と休みベンチ」の街中への設置が進んでおり、市民や地元団
体の協賛を得ながら着実に休憩空間を増やしている(*2)。
このような流れを受け、更に休憩空間を「不要なところに配置せず、配置すべきところに適切に配置するため」に行った研究が、私の卒業論文「施設利用者における休憩に対する
需要の空間的広がり」(*3)であった。
図 0-1-1 は新宿でのケーススタディで得られた、休憩需要を表したマップである。
図 0-1-1 新宿における休憩需要マップ
*1 「新宿駅東口のま
ちづくりに関するア
ンケート調査の結果
報告」(新宿区/平
成 21 年 2 月実施)
より
*2大阪狭山市市役所
HP
ht tp : / /www.c i t y .
osakasayama.osaka.
jp/6,640,58.html
*3 井上友香理 , 江原
徹朗 , 林田和人 , 渡
辺仁史「施設利用者
における休憩需要の
空間的広がりに関す
る研究」
日本建築学会学術講
演梗概集
E-1,2010,pp731-732,
2010-07-20
0-1.街における屋外空間の建築計画
第0章 「タウンブラウジング」への経緯
003
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
このように「街歩き」という行為に着目し、街の屋外空間における建築計画の指針を得ることは、従来からも多く行われてきた。その代表的なものは、サイン計画に関する研究で
あり(*4)、これらは、街における人々の混雑を緩和させるた
めであったり、迷うことなく最短距離で目的地に到達させるための指針を得ることが目的である。これらに基づいて、屋外には案内地図や看板などが配置されてきた。 そして、近年では情報サービスが普及したことで、デジタルサイネージ(電光掲示板)を使った誘導も行なわれている。
図 0-1-2 案内地図(左)やデジタルサイネージ(右)
によるナビゲーション
デジタルサイネージは、従来の看板と大きく異なり、情報ネットワークと接続することによって、その時々の状況に対応して、提示する情報を変化させていくことが可能なツールである。これは、ナビゲーション機能以外にも、満足度の向上や、来街者同士のコミュニケーション促進など、幅広い可能性があることを意味する。この可能性を検証し、新たなデジタルサイネージの可能性として、2011 年度にデジタルサイネージ研究会にて提案したデジタルサイネージの姿(一部抜粋)が図 0-1-3(次頁)である。
また、デジタルサイネージは広場や駅空間など、不特定多数の人々に対して情報を提示するツールであるが、最近ではパソコンやスマートフィンが個人にも普及したことで、個人向けの情報サービスが著しく発展している。
*4 田中 遵 , 大塚 真 , 日高 單也 「移動用サインと屋内広告サインとの混在環境が利用者に及ぼす影響 , 駅構内に於けるサイン計画の違いについて : 交通公共施設のサイン計画に関する基礎的研究 その 2 」日本建築学会計画系論文集 (597), 23-30, 2005-11-30
0-1.街における屋外空間の建築計画
第0章 「タウンブラウジング」への経緯
004
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
図 0-1-3 新たなデジタルサイネージの提案
まず挙げられるのが、経路探索サービスである。これは「NAVITIME」(株式会社ナビタイムジャパン)などに代表され、目的地への迅速な移動手段を情報提供するサービスである。
しかし、個人向けの情報サービスの特長は、何と言っても、アンビエントな情報提供が可能であることである。iPhoneアプリにおけるこの例として、経済産業省の e空間実証事業プロジェクトの一環として開発された「Pin@clip(ピナクリ)」、大日本印刷の手がける「マチレコ」などが挙げられる。 「Pin@clip(ピナクリ)」は、渋谷の街に貼られたマーカーを読み込むことで、周辺の店舗情報やイベント情報等を取得することができ、また位置情報に連動して街づくりゲームを楽しむことができるサービスである。
図 0-1-4 Pin@clip 画面表示(*5)
*5 Pin@clip HP より
http://pinaclip.jp/
what/index.html
0-1.街における屋外空間の建築計画
第0章 「タウンブラウジング」への経緯
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早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
「マチレコ」は、ユーザーの現在地や登録した嗜好情報、閲覧履歴に基づいて、おすすめの店舗や施設の情報を端末に配信するサービスである(図 0-1-5)。
図 0-1-5 マチレコ画面表示 図 0-1-6 Nike+ 軌跡表示画面 (色は速度を表す)
このマチレコのように、個人の履歴を利用したサービスは多く、これによって「街歩き」は様々な視点から手軽に記録(ログ)を残せるようになった。 これは例えば、「Nike+」のように移動の軌跡を記録できるもの(図 0-1-6)、「Foursquare」のように訪れた場所(店舗や施設など)をカテゴリー別に記録できるものなどがある。 更に、これらの中には、SNS 機能が含まれているサービスも数多い。「Foursquare」もその一つである。SNS 機能があることによって、仲間同士や趣味嗜好の似通ったユーザー同士でお互いのログを参照したり情報交換することが可能になる。これにより、的確で自分にとって魅力のある情報を手に入れることができると考えられる。(次頁図 0-1-7 参照。)
またこれに伴って、Foursquare などのログデータを用いることで、行動履歴を可視化するサービスも多く登場している。図8はその一つである「Where Do You Go」を用いて、私自身の行動履歴をヒートマップで表したものである。これ
は Foursquare のチェックイン※履歴を用いている。※ チェックインと
は、その場所に訪れ
たことを知らせる投
稿のこと。
0-1.街における屋外空間の建築計画
第0章 「タウンブラウジング」への経緯
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早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
図0-1-7 Foursquare説明(iPhoneでの画面表示形式)
図 0-1-8 「Where Do You Go」を利用した 筆者自身のチェックイン履歴の可視化
(色が明るいところほど訪問回数が多かったことを示す)
0-1.街における屋外空間の建築計画
第0章 「タウンブラウジング」への経緯
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早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
0-2. 個人履歴に基づいた情報提示に よる発見及び満足感提供の可能性 さて、0-1. では個人の履歴を利用したサービスを取り上げたが、私自身がこれらサービスを利用しながら生活し、街歩きをライフワークにする中で、いくつかの変化や気づきが生まれた。
まず、これらサービスは最早、単なる情報受信ではない。履歴が蓄積されればされるほど、提供される情報はより自分の趣味嗜好に近づいたものになり、徐々に自分のコンシェルジュのような存在になる。 また、SNS 機能を備えたサービスであれば、似通った興味を持つユーザー同士で情報交換することができることによって、情報を受動的に受け取るだけでなく、能動的にも求めることができるようになる。更に、自分が情報の発信者として他者に情報提供する機会も増える。
そして、情報との付き合い方に関する変化は、実空間における生活においても心がけの変化を起こし、行動の変化へとつながるというのが私の実感である。 履歴を記録するということは情報社会以前では手間のかかる行為であり、なかなか気軽に自分の履歴を参照することはなかった。日々の出来事は、しばらく経つと忘れてしまったり、そもそも無自覚だったりすることが多かったのである。ところが、履歴を利用した情報サービスの登場により、生活上の様々な履歴が可視化できるようになった。 例えばそれは、時間帯による歩行速度の違いであったり、以前頻繁に通っていたお店に半年も足が遠のいていることだったり、今月はランチ代がかさんでいることだったり、5週間も連続で同じ百貨店に寄り道していることだったり、図書館に行くのは決まって木曜日だったりすることである。これらは、履歴を記録さえしていなければ気にもとめないことがほとんどであるが、可視化されることによって、自分自身が自覚的になり、自分の行動への気づきと新たな行動意志の発生を促す。これは、前述の例に対応して言えば、健康のた
0-2.個人対応の情報提示による発見及び満足感提供の可能性
第0章 「タウンブラウジング」への経緯
008
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
発生を促す。これは、前述の例に対応して言えば、健康のために帰り道も少し早歩きで帰ろうと思うことであったり、しばらくご無沙汰のお店に久々に顔を出してみようと訪れることであったり、ランチ代を節約してお弁当生活を始めることであったり、いつもの百貨店だけでなく路面店にも寄り道してみようと思うことであったり、図書館には木曜が通いやすいことを発見して毎週通うことを習慣にしたりすることである。履歴の蓄積と可視化が、新たな発見や生活をより快適で満足度の高いものにするためへの改善へとつながるのである。 街歩きを重ねる中でのこのような私自身の経験は、次第に確信へと変わった。実際に、このような「発見」に注目した新たな情報提供サービスへの実験的取り組みも見られるようになってきたのである。例えば、日本電気が奈良などの観光
地で行った社会実験(*6)では、あるスポットを訪れた観光客
に対して、まだ訪れていないスポットを紹介する試みを行っている。 そこで、私はこの「発見」に注目し、 行動履歴表示による街歩き行動の変化を明らかにし、今後の来街者に対して発見的喜びを伴う情報提示方法の提案を行うことを目的とする
研究(*7)に取り組んだ。この研究では、街歩きの間に過去の
行動軌跡を提示することによって、街歩きの行動範囲に変化が生じることが明らかになった(図 0-2-1)。行動範囲が変わるということは、それまで訪れていなかった場所に足を向けるということであり、新しい場所やものに触れることによる発見やそれに伴う満足感を得やすくなると言える。
図 0-2-1 行動履歴提示による街歩き行動の変化(*7)
*6 NEC 街歩き社会実験:
ht tp : / /www.nec .
co. jp/embedded/
umat/nara-pt/
*7井上友香理 , 菊地弘
祐 , 林田和人 , 渡辺
仁史「行動軌跡の履
歴表示による街歩き
行動の変化に関する
研究」, 日本建築学
会第 33 回情報・シ
ステム・利用・技術
シンポジウム論文
集 ,,2010.12
,pp.159-162
0-2.個人対応の情報提示による発見及び満足感提供の可能性
第0章 「タウンブラウジング」への経緯
009
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
0-3. 情報提示から見た建築計画に おける新たな価値 情報技術や情報サービスの発達によって、履歴や SNS で得た情報など、自分でたどりついて獲得した情報に基づいて街で行動するようになった。そして、これは多くの場合、多くの発見やそれに伴う満足感を生むことになった。 このことは、街歩きにおいて「目的地まで最短距離でたどり着くこと」や「一刻でも早く到着すること」が最早必ずしも重要ではないことを意味する。つまり、都市における場所の価値について、最短経路でのアクセスや動線といったことが必ずしも作用しない。今までそのような観点からは不利とされてきた場所であっても、情報提供と一体のデザインを行うことによって、たどりつく価値がある場所に生まれ変わるのだ。
例えば、0-1 で取り上げた「新宿における休憩需要マップ(図 0-1-1)」に関しても、この配置計画では、各施設で生じた休憩を必要とする人々に対して、従来からの価値観に応じて、施設からのアクセスビリティ(距離及び時間)を考慮することで、休憩空間配置計画を提案している。 これに従うと、この配置計画においては繁華街の中に休憩空間の需要が高く、新宿御苑付近では「休憩需要が低い」と判断される。しかし、実際の空間において、繁華街が休憩に適していて、新宿御苑付近は不敵なのであろうか。必ずしもそうではないと、私は考える。確かに、買い物や外食を目的として街に来訪した場合、休憩を必要とする人は繁華街に多く発生する。だが、「繁華街の中で休憩する」よりも「緑の多い新宿御苑周辺に魅力的な休憩空間があると知れば、少し遠くても利用したい」と考える人は多いのではないだろうか。 つまり、距離や時間の観点からは不利であった空間であっても、その空間のポテンシャルを引き出し、それを求める人に情報を与えれば、新たな価値を生み出すことができると考えられる。これは、情報提示をデザインすることによって、現在ある空間価値を最大限利用できるということである。
0-3.情報提示から見た建築計画における新たな価値
第0章 「タウンブラウジング」への経緯
010
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
また、今までの建築計画においては、主要駅からのアクセスや動線が重要視され、それが迅速で安価であるように地図や看板などのサイン設計がなされていた。もちろん、美術館などのように、アプローチ空間を楽しむ演出もあるが、それらは設計者による強いデザインである。それはいずれにしろ、非常にシークエンシャルなデザインであった。 情報社会において、バーチャルな世界においては既に人々がブラウジングによってより魅力的な情報にたどりついている様子が明らかになっている。実は街空間についても同様のことが言えるのでないか。わたしたちは街に関するブラウジングをして、そしてそれによって次の行動の意志を決定するのではないか。そしてそれに見合った情報提示、そして建築計画のあり方があるのではないか。 これらの検証として、本研究に取り組む。
0-3.情報提示から見た建築計画における新たな価値
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
研究概要第1章
1-1.用語の定義
1-2.研究目的
1-3.研究の流れ
001
第 1章 研究概要
002
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
1-1. 用語の定義
ブラウジング:情報について検索し、閲覧すること。 また、ある情報からリンクして次の情報を 閲覧すること。
タウンブラウジング:街に関する情報についてブラウジ ングすること。
来訪意欲:(ある場所について)行こうと思う意志の強さ。 「1: 行く気にはならない」~「10: 必ず行きたい」 の 10段階で表す。
空間情報:情報の性質のうち、空間について表すもの。 本研究では以下の空間情報についてのみ取り扱う。 ・店内写真:店内の様子を撮影した写真。 ・地図情報:(ある対象について)地図上で場所を 指し示した図。 ・雰囲気を評価する文章情報 :「明るい」「楽しい」など雰囲気を形容 する言葉が含まれている文章。 ・現場からのリアルタイム性 :情報の内容が示す場所から発信されて いること。
1-1.用語の定義
第 1章 研究概要
003
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
1-2. 研究目的
情報の閲覧順序が行動意志決定に及ぼす影響を明らかにし、来訪意欲が生まれる空間情報提供の指針を得ることを目的とする。
1-2.研究目的
第 1章 研究概要
004
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
1-3. 研究の流れ
以下が、本研究の流れである。
図 1-3-1 本研究の流れ
1-3.研究の流れ
早稲田大学 建築学科 渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
研究背景第 2 章
2-1.ソーシャルメディアの発達と情報接触機会の変化
2-2.情報社会の高度化による外出機会の減少
2-3.「街歩き」に関する情報発信
001
第 2 章 研究背景
002
早稲田大学 建築学科 渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
2-1. ソーシャルメディアの発達
と情報接触機会の変化
近年、ソーシャルメディアの発達が目覚しく、Facebookなどに代表されるソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)の利用者数は増加を続けている。ICT 総研による
「SNS 利用動向・広告活用状況に関する調査」 (*8)の調査結
果によれば、2011 年 12月時点での SNS 利用者数は 4,289万人(重複登録分を除いた数)であり、これは 2010 年末の 3,671 万人から 618 万人増加している。(図 2-1-1)
図 2-1-1 日本における SNS 利用者数
このようにソーシャルメディアが浸透することによって、一般のインターネット利用者による情報の発信量も増加傾向にある。 例えば、3大ソーシャルメディアの1つと言われる
Twitter(*9)では、2011 年5月の日本国内の総ツイート数
は 7億 2647 万件との調査結果(*10)があり、これは前年度
の調査の約 3.5 倍の伸びとなっている。 (注:Twitter とは、140 字以内の「ツイート」と称される短文を投稿する SNS である。) また、Facebook は 8 億人を超える会員数を誇る世界最大手の SNS であるが、ニールセン・ネットレイティングスが行ったインターネット利用動向調査(パソコンから
の利用に限る)(*11)によると、2011 年 8 月の Facebook
の日本国内利用者は 1082 万 7000 人と、前年同月(193万人)の 5.6 倍に達している。
*8 ICT 総研「SNS 利
用動向・広告活用状
況に関する調査」
h t t p : / / w w w .
i c t r . c o . j p /
topics_20111227.
html
*9 Twitter
http://twitter.com/
*10 NEC ビッグロー
ブによる日本国内の
ツイッター利用動向
調 査(2011 年 6 月
6 日発表)
h t t p : / / w w w .
a d v e r t i m e s .
c om / 2 0 1 1 0 6 0 7 /
a r t i c l e 1 8 8 4 7 /
*11 ニ ー ル セ ン・
ネットレイティング
ス「2011 年 8 月 の
インターネット利用
動向調査結果」
h t t p : / / w w w .
n e t r a t i n g s .
c o . j p / n e w s _
re lease/2011/09/
facebook100017 .
html
2-1.ソーシャルメディアの発達と情報接触機会の変化
第 2 章 研究背景
003
早稲田大学 建築学科 渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
そして、このようなソーシャルメディアの発達により、複数のソーシャルメディアを利用する人が増加し、それと共に目的によってソーシャルメディアは使い分けられている。 例えば、IMJ モバイルによる「ソーシャルメディアに関
する利用実態調査」(*12)では、SNS の日記・コメントは友
人や知人とのコミュニケーションを目的に利用されているのに対して、Twitter に代表されるミニブログは情報収集を目的に利用される傾向が強いと推察されている。
また、「ソーシャルメディア調査報告書 2011」 (*13)によ
ると、Facebook や mixi のユーザーはリアルな友人とのコミュニケーションを目的に利用している人が最も多く、更にmixi はネット上の知り合いとのコミュニケーションを目的としている人の割合も多くなっている。これに対して、GREE や Mobage のユーザーはゲーム利用が最大の目的となっており、SNS の中でもサービスによって利用目的が異なっていることがわかる。(図 2-1-2)
図 2-1-2 SNS の利用目的
*12 IMJ モ バ イ ル
「ソーシャルメディ
アに関する利用実態
調査」(2010 年 3 月
実施)
h t t p : / / w w w .
imjmobile.co.jp/
news/report_2010
0517-266.html
*13 太 駄 健 司 , 西
田 光 毅 , 澤 紫 臣
「 ソ ー シ ャ ル メ
ディア調査報告書
2011」(インプレス
R&D,2011.08.04)
2-1.ソーシャルメディアの発達と情報接触機会の変化
第 2 章 研究背景
004
早稲田大学 建築学科 渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
このように個人でも情報の発信が手軽にできるようになったことで、巷には情報が溢れるようになった。 総務省による「平成 18 年度情報流通センサス報告書」(*14)では、「選択可能情報量(各メディアの情報受信点に
おいて、1年間に情報消費者が選択可能な形で提供された情報の総量)」は 1996 年から 2006 年の 10 年間で約 33倍に増加したことが示されている。これは、「消費情報量(各メディアを通じて、1年間に情報の消費者が実際に受け取り、消費した情報の総量)」の約 8倍の量であり、人は提供されている大部分の情報を、受け取ったり消費したりすることが出来ていない。つまり、情報が過剰な状態であると言える。(図 2-1-3)
図 2-1-3 情報流通量等の推移(平成 8 年度 =100)(*14)
情報が溢れるようになると、情報をどのように取捨選択するかということが重要になり、自分にとって有意義な情報を効率よく獲得することに価値が見出される。 これについては、情報の提供側においても、情報を無駄なく受け渡すための工夫が行なわれている。例えば、通販サイト大手のAmazonや検索エンジン大手のGoogle では、利用者の購入履歴や閲覧履歴を元にその人の好みを推測し、それに合わせておすすめの商品を表示するということをウェブサイトにて行なっている。
*14 総務省「平成 18
年度情報流通センサ
ス報告書」
www.soumu.go.jp/
johot sus in toke i /
l i n k d a t a / i c _
sensasu_h18.pdf
2-1.ソーシャルメディアの発達と情報接触機会の変化
第 2 章 研究背景
005
早稲田大学 建築学科 渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
また、消費者の 47.0% が消費に関する情報収集について「多方面から多くの情報を集めて、自分で総合的に判断
する」と回答しているとの調査結果(*15)もあり、溢れてい
る情報の中から複数の情報を参照して行動を決定する人が多いと考えられる。このため、今後は情報提供の工夫として、どのような情報の組み合わせがどのような行動の判断を生むのか、その傾向を明らかにしたうえで、情報提供を行うことが重要性を増すと考えられる。 しかし、現在の研究では、個々の情報と行動判断との関係性を明らかにした研究は多く存在するものの、複数の情報の組み合わせに注目した研究は行なわれていない。
*15 宮木由貴子「消
費者における情報の
受発信と意識 ̶メ
ディアの多様化と関
係性の複雑化̶」ラ
イフデザインレポー
ト (191), pp28-39,
2009
2-1.ソーシャルメディアの発達と情報接触機会の変化
第 2 章 研究背景
006
早稲田大学 建築学科 渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
2-2. 情報社会の高度化による
外出機会の減少
ソーシャルメディアが発達し、実際に空間を共にしなくてもコミュニケーシションを取るツールが充実したことによって、ソーシャルメディアの発達と共に成長してきた若者世代の外出意欲の低下が問題となり始めている。
この現象の一つとして、2000 年代初頭から若者の車離れが叫ばれており、これはスマートフォンが車に取って代わったことが一因だとも言われている。 また、消費行動においても、実店舗での買い物ではなくインターネット通販の市場が年々増大しており、2011 年の通販市場は前年比 107.2% の 6 兆 8,042 億円が見込ま
れている(*16)。更に、インターネット通販の利用者におい
ては、利用頻度が年々増加しており、2011 年には半数以上の利用者が月に 2~ 3回以上利用するほどになってい
る(*17)。
このように、情報社会においては、インターネット上でコミュニケーションや消費行動が可能になったことで、外出する目的が少なくなり、外出する意欲が減少していると考えられる。実際、20 代の若者を対象にした休日の過ご
し方の調査(*18)において、最も多い回答の「ショッピング
(74.0%)」に続いて「インターネット(65.1%)」が上げられており、これは 30 代よりも 10% 以上多い値になっている。
外出機会の減少は、行く行くは大きな社会問題になると考えられる。 例えば、高齢になった際に、外出頻度の減少がおしゃれへの関心の低下を招き、これは老後の楽しさや気分に悪影
響をもたらすとの研究結果もある(*19)。
*16 富士経済「通販・
e-コマースビジ
ネスの実態と今後
2011-2012
市場編」
http://release.nikkei.
co.jp/attach.
cfm?attID=0300
565_01.JPG
*17(社)日本通信
販売協会「ネット通
販 利用頻度高まる
傾向」
w w w . j a d m a .
o r g / p d f / p r e s s /
press_20111221.pdf
*18 株式会社マクロ
ミル「若者の生活意
識調査 2008」
h t t p : / / w w w .
macromill.com/
r_data/20080228
young/
*19 石塚敦子 , 小川
妙子「施設入所高齢
者のおしゃれへの
関心と動機」医療看
護 研 究 2(1), 11-16,
2006-03
2-2.情報社会の高度化による外出機会の減少
第 2 章 研究背景
007
早稲田大学 建築学科 渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
2-3.「街歩き」に関する情報発信
情報社会において外出機会が減少したとはいえ、街側も手をこまねいているわけではない。
健康志向の人々の間で「街歩き」が日常的に手軽な運動であると見直され、「街歩き」自体が外出の目的になりうるという意識が生まれている。この流れを受け、街に関わる人々によるNPO法人が街路等の環境整備に乗り出すな
どしている(*20)。
行政も街歩きを推進する方向へ動き始めている。新宿区においては、「自動車使用への過度の依存から脱却し、文化、観光、地域活力など都市の魅力と相まって『歩いて楽しみたくなる』交通環境」を目標として「歩きたくなるまち新
宿」の実現を目指している(*14)。熱海市においては、「歩
いて楽しいまちづくり」に向けて「熱海ロマン [ まちなか1万歩 ] プロジェクト」を掲げ、街歩きを推進するイベン
トを行っている(*22)。
鉄道会社でも、東急電鉄の「SALUS」など、沿線情報を提供するフリーペーパーが多く配布されている。
この流れを加速しようと、情報ツールを用いて、街歩きを促すプロジェクトも行われ始めている。 国土交通省では、「観光客への情報提供の高度化による移動支援の先進的な事例」となるような取り組みを支援する「まちめぐりナビプロジェクト(まちナビ)」を平成 18
年度より各地で実施している(*23)。また、東京急行電鉄、
日本電気、情報・システム研究機構 国立情報学研究所、東急エージェンシーによる「盛り上がりマップ」の効果実
証実験(*24)では、街を訪れた人の感想等を自由が丘駅前の
デジタルサイネージなどに表示する試みを行った。
*20 NPO 法 人 大 丸
有エリアマネジメン
ト協会
http://www.ligare.
jp/1_shokai/index.
html
*21 環境交通モデル
事業(東京都・新宿
区)
http://www.metro.
t o k y o . j p / I N E T /
OSHIRASE/2008/07/
DATA/20i7b300.pdf
*22 熱海市観光基本
計画
http : / /www.c i t y .
atami.shizuoka.jp/
www/contents/
1196994546399/
activesqr/common/
other/4758b25c003.
*23 国土交通省観光
庁「まちめぐりナビ
プロジェクト(まち
ナビ)」
http : / /www.ml i t .
go . jp /kankocho/
about/index.html
*24 「 盛 り 上 が り
マップ」実験報告
http://www.tokyu.
c o . j p / c on t en t s _
i n d e x / g u i d e /
pdf/090316_2-s.pdf
2-3.「街歩き」に関する情報発信
第 2 章 研究背景
008
早稲田大学 建築学科 渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
街へ出かける個人の側でも、街歩きを補助してくれる情報が求められている。
書店の雑誌コーナーでは、「Tokyo Walker」(角川マガジンズ)「散歩の達人」(交通新聞社)などの様々なタウン情報誌が販売されており、そのような街の情報に需要があることが伺える。
情報サービスも多く登場している。例えば、株式会社ナビタイムジャパンによる経路検索サービスでは、目的地に移動するための手段を GPS を用いることで素早く知ることができる。 また、第0章で既述した、ソーシャルメディアを利用した地域情報の発信や交換も盛んに行われ、街で話題の場所や店舗の情報交換を簡単に行える。例えば、グルメサイト大手の「食べログ」では、レストランの評価について情報交換が行われている。最近では、foursquare を始めとした、位置情報に基づいた SNS や、セカイカメラのように AR技術を用いてその場所の情報をやりとりできるサービスもある。
2-3.「街歩き」に関する情報発信
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
街に関する情報の分類第3章
3-1.街に関する情報の収集
3-2.行動意志決定に影響を及ぼす情報の性質の抽出
001
第 2章 研究背景
002
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
3-1. 街に関する情報の収集
人々が街で活動するにあたって、どのような情報を元に行動意志決定をしているのか、その情報について収集し、本研究における取り扱いを検討する。
まず、街における情報として、発信者と受信者の関係に注目すると以下の3タイプに分類できると考えられる。 1) 発信者が意図的に拡散する情報 (発信者は能動的で、受信者は受動的) 例:新聞やテレビなどのマスコミによる情報 屋外広告やフリーペーパーなどの広告 2) 発信者と受信者で受け渡す情報 (発信者と受信者が互いに能動的) 例:会話の中での情報交換、クチコミ、掲示板 SNS での情報交換 3) 受信者の側から求める情報 (発信者は受動的で、受信者は能動的) 例:店舗への問合せ
今回は、街における情報提供の指針を得るための研究であるので、上記のうち 1) 及び 2) について取り扱う。 更に、情報の受信者は街に出かけたあと何らかの消費活動を行うことが多いと考え、消費者の情報収集に関する既往研
究を引用する。「平成18年度版 情報通信白書」(*25)によると、
消費者が情報収集のために活用する手段は図 3-1-1(次頁)の通りである。 このうち「店頭」での情報収集は、街に来訪後の情報であることから、本研究では言及しない。(建築計画における情報提示分野の研究として、将来的には検討すべき事項である。)また、「インターネットのショッピングサイト」「通販カタログ・チラシ」など、情報収集後にインターネット上で消費活動が完結してしまう情報についても、取り扱わない。これらを考慮すると、情報収集の活用手段としてインターネットを利用した手段が多くあることがわかった。
*25 総務省「平成18 年度版 情報通信白書」h t t p : / / w w w .s o u m u . g o . j p /johotsusintokei/w h i t e p a p e r /j a / h 1 8 / h t m l /i1620000.html
3-1.街に関する情報の収集
第 2章 研究背景
003
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
図 3-1-1 商品に関する情報収集の活用手段(*26)
また、同調査では「消費者の購買行動のうちの 62.0%が商品の購入に先立ちインターネットを活用している」との結果も明らかになっており、街への来訪意欲を発生させるための情報提示ツールとしてもインターネットは有効であると考えられる。
次に、ソーシャルメディアにおける街の情報取得について述べておく。図 3-1-2 は用途別に見たソーシャルメディアの分類である。
図 3-1-2 ソーシャルメディアの用途別分類(*27)
*26 総務省「消費者 の ICT ネ ッ トワーク利用状況調査」の調査結果に基づいている。
*27 WEB DREAM ソーシャルメディアガイドより転載http://www.rss-ais.com/2010/03/14/social-media-3/
3-1.街に関する情報の収集
第 2章 研究背景
004
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
図2において分類されたソーシャルメディアのうち、特に街に関する情報について直接的に取り扱われるソーシャルメ
ディアとしては「ライフログ※」「地域/イベント」が挙げ
られ、特に店舗や商品の情報に特化したソーシャルメディアとして「商品クチコミ/コメント・評価」が挙げられる。また、友人・知人からの情報提供や伝聞の形で街に関する情報を得るソーシャルメディアとして、「SNS」「ミニブログ」「写真共有」が考えられる。
以上を踏まえて、調査における街に関する情報の選出を行う。
※ ライフログとは、人間の生活・体験(life)をデジタルデータとして記録 (log)に残すこと。第0章で取り上げた「行動履歴の蓄積」はこれに当たる。
3-1.街に関する情報の収集
第 2章 研究背景
005
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
3-2. 行動意志決定に影響を及ぼす 情報の性質の抽出
街に関する情報を得た際に行動意志決定に影響する情報の性質として、どのような性質が考えられるのか検討する。
<ヒアリング調査> 実際にどのような情報を重視して街へ出かけているか、20 ~ 50 代の男女8名に対面方式の自由回答でヒアリング調査を行った。(2011 年 12 月~ 2012 年1月実施。) 以下にその要旨を記す。
・40代男性・会社員 食べログを見ると行ってみようと思うが、実際行って みてガッカリした経験が重なるとだんだん行く気がな くなる。また、最近はネット上の知らない人からのク チコミ自体に対して負のイメージがある。
・20代女性・会社員 周りのツイートなどを見るとお店の存在を知ることには なるが、それだけで「行きたい」とまでは思ったことが ない。写真を見て自分で判断することが多い。写真なら、 誰が撮ったかは関係ない。
・20代男性・学生 自分の興味のあるカテゴリーでそのためのサイトなどを 検索する。パン屋が好きなので、雑誌のパン屋特集を見 たり、食べログで評価の高いパン屋を見る。パン屋のた めに遠くの街に出かけることもある。興味がないジャン ルは、記事などを読んでもまず興味は湧かない。
・20代男性・会社員 飲食店だと、店内の写真を見ると行ってみたくなる。文 章や食事の写真ではあまり興味はわかない。自分が雰囲 気を重視しているからかもしれない。
3-2.行動意志決定に影響を及ぼす情報の性質の抽出
第 2章 研究背景
006
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
・50代男性・会社員 旅番組やグルメ番組、雑誌のグルメ特集を見ていて美味 しそうだと行きたくなる。番組を見ているときに家族を 誘って、乗ってくれたら週末に行く。
・50代女性・主婦 テレビ番組や友達に聞いたりしたお店やスポットの情報 を、ポケット地図に書き込んでいる。普段あまり行かな い街に行く用事ができると、地図を開いてみて、メモし てあった行きたい場所を確認して、ついでに行く。
・20代女性・学生 自分の生活圏内の街については、自宅でひまなときに街 情報のサイトをチェックする。自分一人で行くのをため らうような場所でも、Facebook や Twitter で話題にし てみて誰か友達が興味をもってくれたら、一緒に行かな いか誘ってみる。
・20代男性・学生 友人から「先週末デートでどこどこに行ってよかった」 と聞くと、自分も今度誘って行ってみようかなと思う。 あとは、風景が綺麗なところを写真などで見たことがあ ると、気分転換したいときなどに Google Map で経路探 索をして自転車で遠出する。
以上の回答から、共通の特徴として以下の情報の性質が行動意志決定に影響していると推察される。
・発信者との面識 情報の発信者について、「知らない人」や「友人」など、 自分自身との関係性を表す表現が見られる。 ・視覚情報 写真による影響が大きい。写真を見て判断するポイント は、雰囲気などの空間や食事などの商品など個人差があ る。
3-2.行動意志決定に影響を及ぼす情報の性質の抽出
第 2章 研究背景
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早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
・発信者自身の体験の有無 食べログや実際に訪れた友人など、その場所について体 験した人からの情報に影響を受ける。
本調査では、以上の情報の性質に注目した上で、調査を実施する。
<既往調査の参照> 既往の調査結果を考察することにより、情報の性質の抽出を行う。
まず、今後スマートフォンなどの更なる普及により、実際の街空間においての情報提示が増加すると見込まれることから、スマートフォンを利用した情報利用の調査を参照する。
・ロケーション・ベースド・サービスの利用に関する調査(*28)
この調査では、ソーシャルメディア利用者を対象として、GPS 機能を利用したチェックイン機能の利用動向について、調査が行なわれた。この結果、図3の結果が得られており、友人のチェックインを見ることでチェックインされた場所への興味が喚起されていることが伺える。また、チェックイン閲覧経験
図 3-2-1 チェックイン閲覧後のリアクション(複数回答)(*28)
*28 株式会社 IMJモバイル : ロケーション・ベースド・サービスの利用に関する調査」~ チェックインが生み出す来店促進・興味喚起の連鎖 ~h t t p : / / w w w .i m j m o b i l e .c o . j p / n e w s /report_20111215-325.html(図 3-2-1 は上記調査報告書の図 11を引用)
3-2.行動意志決定に影響を及ぼす情報の性質の抽出
第 2章 研究背景
008
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
者のうち 67.4% が「友人のチェックインがきっかけで訪問したことがある」と回答しており、友人によるチェックインは街を訪れるための行動意志決定に大きく影響していると考えられる。
・「消費に関する情報伝達」(*29)
この調査では消費に関する情報の信頼性について、クチコミを中心とした情報源とそれ対する信頼性の関係が明らかになっている(図 3-2-2)。
図 3-2-2 消費に関する情報の信頼性(*29)
この結果から、家族・友人など発信者は同じであっても、発信者自身が体験したことなのか誰かから聞いたことなのかによって、大きく信頼性が異なることがわかる。また、インターネット上で知らない人からの情報であっても、価格比較など客観的事実が大きい情報や、経験者からのクチコミに対しては信頼性が高いといえる。
*29 宮木由貴子「消費に関する情報伝達 - 家族や知人に伝えるクチコミ、ネット上に配信する e クチコミ -」,ライフデザインレポート (197), 4-15, 2011 ( 図 3-2-2 は 上 記調査の図表9を引用。)
3-2.行動意志決定に影響を及ぼす情報の性質の抽出
第 2章 研究背景
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早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
・平成 23年版 情報通信白書(*30)
総務省による ICT に関する国民生活の変化に関する調査の結果、情報別の利用情報源がここ5年間で大きく変化していることが明らかになっている(表 3-2-3, 表 3-2-4)。
表 3-2-3 情報別の利用情報源(平成 17 年)(*30)
表 3-2-4 情報別の利用情報源(平成 22 年)(*30)
この調査によれば、「旅行、観光情報」「ショッピング、商品情報」の2項目において、平成 17 年から平成 23 年の5年間で利用する情報源の首位が「パソコンのウェブサイト」に入れ替わっており、街歩きのきっかけとなる情報源としてもその有効性が期待される。
*30 総務省「平成 23
年版 情報通信白書」
第 2部 第 1 章
h t t p : / / w w w .
s o u m u . g o . j p /
johotsusintokei/
w h i t e p a p e r /
j a / h 2 3 / h t m l /
nc213210.html
表 3-2-3 及 び 表
3-2-4 は上記白書の図 表 1-3-2-1 よ り引用。
3-2.行動意志決定に影響を及ぼす情報の性質の抽出
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
情報提示順序と来訪意欲に関する調査第4章
4-1.調査に用いる情報の選定 4-1-1. 対象とするコンテンツについて 4-1-2. 提示する情報の性質について
4-1-3. 提示する情報の具体的内容
4-2.調査概要
4-3.調査結果
4-3-1. 回答者の属性
4-3-2. 情報提示と来訪意欲
001
第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
002
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
4-1. 調査に用いる情報の選定4-1-1. 対象とするコンテンツについて
今回の調査では、来訪意欲を評価する対象として、以下のカフェ2店舗を選定した。
・CAFE アナログ(*31)
住所:東京都渋谷区恵比寿南 1-8-3-4F
・カフェ Ark(*32)
住所:東京都渋谷区恵比寿南 1-12-5
休日に外出する目的としては、「買い物」「外食」が上位であるという調査結果があるが、「買い物」は性別や個人の趣味嗜好によって、目的となる場所が大きく異なるため、今回の調査で取り扱うには不適切と判断した。そこで、「外食」を目的とした場所を選定することに決定し、中でも性別や職業、訪問時間帯などが比較的幅広いと考えられる「カフェ」が今回の調査で取り扱う場所として最適であると判断した。
また、この2店舗は、店名は異なるが、運営母体は同じであるためメニューや店内構成は似通っており、恵比寿駅近くにあるという共通点がある。 この2店舗を選定したことにより、実際のコンテンツ(サービス内容や食事内容など)に大きな差は発生せず、今回の調査の目的である情報の性質のみについての比較に適していると考えられる。
■提示する具体的な情報について 3-2 で選出した情報の性質について、それぞれの性質の有無を組み合わせ、各組み合わせについて、具体的な情報を1つ決定した。(次頁表 4-1-1 の情報 a~ h参照。) 全ての組み合わせの情報を取り上げることは、数が多く現実的ではないため、今回はインターネット上に存在する代表的な組み合わせについて取り上げる。
*31 CAFE アナログ
h t t p : / / w w w .
a t t i c r o o m . j p /
analog/
*32 カフェ Ark
http://atticroom.jp/
ark/index.html
4-1.調査に用いる情報の選定
第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
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早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
4-1-2. 提示する情報の性質について
3-2 で選出した情報の性質について、それぞれの性質の有無を組み合わせ、各組み合わせについて、具体的な情報を1つ決定した。(表 4-1-1 の情報 a~ h参照。) 全ての組み合わせの情報を取り上げることは、数が多く現実的ではないため、今回はインターネット上に存在する代表的な組み合わせについて取り上げる。
表 4-1-1 調査に用いる情報とその性質
情報 a~ hで取り上げる情報サービスについて、以下にその特徴を記す。
・Facebook(*33)
世界最大の会員数を誇る SNS である。 実名での登録が原則であり、多くのユーザーが顔写 真や学歴等の個人情報を掲載している。 自分自身の近況を投稿すると自分や友人のタイム 流れるほか、他のユーザーの投稿や記事に「いいね」 と意思表示できたり、また、「シェア」することで その投稿もしくは記事を引用して自分自身の友人ら に伝えることができる。
・Twitter(*34)
「ツイート(つぶやき)」と称される140字以内 の短文を投稿する情報サービスで、「ミニブログ」 といったカテゴライズをされることもある。「フォ ロー」することによってそのユーザーの投稿を自分 のタイムライン上で閲覧することができる。「フォ ロー」自体に必ずしも相手の承認を必要としないの
*33 Facebook
h t t p : / / w w w .
facebook.com/
*34 Twitter
https://twitter.com/
4-1.調査に用いる情報の選定
第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
004
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
で、ユーザー同士のネットワークは一方的または双方 向的に繋がる、ゆるい関係である。タイムラインは新 しい投稿から表示されるため、投稿日時が古いツイー トほど、遡って参照するのは労力がいる。 自分自身がその時いる場所などを「~なう」と投稿 することが一般的である。(例えば、「渋谷なう」等。) また、他人のツイートを引用することを「RT(リツイー ト)」といい、ツイートの文頭に「RT」を付けること で表す。
・Foursquare(*35)
位置情報に基づいた SNS であり、またゲーム機能 (位置ゲー)も備えているサービスである。 ユーザーはスマートフォンのアプリを用いて、店舗 や施設などを訪れた際に「チェックイン」すると、 友人にチェックイン場所が知らされると同時に、その 場所へのチェックイン回数が最も多いユーザー(「メ イヤー」と称される)や、ユーザーからのその場所に 関する投稿を閲覧することができる。 また、ゲーム機能としては、チェックインごとに貯 まる点数を友人同士で競ったり、チェックインした場 所の種類や頻度などに応じて付与される「バッジ」を 集めたりと、楽しむことができる。
・Instagram(*36)
「写真版 Twitter」とも称される、画像共有のための SNS である。ユーザーは iPhone 等 iOS 搭載のデバイ スで写真を撮影後、Instagram アプリにて加工した写 真をタイムラインに投稿する。自身がフォローした ユーザーが投稿した写真をタイムライン上で閲覧でき る。また、投稿の際に位置情報を付加することも可能 である。
*35 Foursquare
h t t p s : / /
ja.foursquare.com/
*36 Instagram
http://instagr.am/
4-1.調査に用いる情報の選定
第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
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早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
・インターネットニュース インターネット上で配信されるニュース。新聞社や テレビ局などのニュースサイトが配信しているものが 代表的である。また、Yahoo! ニュースなどのように、 各ニュースサイトと連携して提供しているサービスも ある。
・食べログ(*37)
「ランキングと口コミで探せるグルメサイト」と銘 打ち、レストランのユーザーが各店舗の口コミや点数 (5点満点)を投稿し、それを不特定多数が閲覧でき るサイトである。また、口コミの投稿者同士がコメン トを通じて交流することも可能である。
*37 食べログ
http://tabelog.com/
4-1.調査に用いる情報の選定
第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
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早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
4-1-3. 提示する情報の具体的内容 4-1-2. 表 4-1-1 において示した情報 a~ hは、それぞれインターネット上の情報であるため、調査の際はそれらの html を取得し、専用のサーバに保存し、そのデータに接続することで利用した。被験者に画像ではなく html 形式で閲覧してもらったのは、極力普段のウェブブラウジングに近い状態で閲覧してもらうためである。(ただし、Foursquare の html はセキリュティの都合上使用出来なかったため、画面キャプチャを利用した。) また、情報の種類によっては、html を改変し、画像やコメントを変更したり、ユーザー名を架空のものに変えるなどして利用している。 以下では、情報 a~ hの具体的内容を以下に記す。
・情報 a「友人による Facebook でのシェア(引用)」 (図 4-1-2) ※教示の際は、「投稿者の井上友香理さんはあなたの友人と考えてください」と指示。
図 4-1-2 情報 a(点線枠内)画面キャプチャ
4-1.調査に用いる情報の選定
第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
007
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
・情報 b「友人による Twitter での RT」(図 4-1-3) ※教示の際は、「投稿者の nolika_i さんはあなたの 友人と考えてください」と指示。
図 4-1-3 情報 b(点線枠内)画面キャプチャ
・情報 c「友人による Foursquare への投稿」(図 4-1-4) ※教示の際は、「投稿者の Akemi Yamanaka さんは あなたの友人と考えてください」と指示。
図 4-1-4 情報 c画面キャプチャ
4-1.調査に用いる情報の選定
第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
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早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
・情報 d「友人による Instagram への投稿写真」(図 4-1-5) ※教示の際は、「投稿者の _wato さんはあなたの 友人と考えてください」と指示。
図 4-1-5 情報 d画面キャプチャ
・情報 e「友人による Facebook の投稿記事」(図 4-1-6) ※教示の際は、「投稿者の井上友香理さんは あなたの友人と考えてください」と指示。
図 4-1-6 情報 e画面キャプチャ
4-1.調査に用いる情報の選定
第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
009
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
・情報 f「友人による Twitter でのツイート」(図 4-1-7) ※教示の際は、「投稿者の piyo-piyo さんはあなたの 友人と考えてください」と指示。
図 4-1-7 情報 f(点線枠内)画面キャプチャ
・情報 g「インターネットニュース」(図 4-1-8)
図 4-1-8 情報 g(点線枠内)画面キャプチャ
4-1.調査に用いる情報の選定
第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
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早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
・情報 h「食べログの口コミ」(図 4-1-9) ※html 改変により、店舗の評価点数及び写真は 削除し、口コミの文章部分のみを提示。
図 4-1-9 情報 h(点線枠内)画面キャプチャ
4-1.調査に用いる情報の選定
第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
011
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
4-2. 調査概要 4-1. で選定した情報 a~hについて、各「情報の性質」の順序が比較可能な4パターン(A~ D)を作成し、この4パターンを用いて、情報提示の順序と来訪意欲の関係を明らかにするための調査を行った。
■調査目的 実験提示の順序と来訪意欲との関係を明らかにする。
■調査日時 2011 年 1月 17日~ 1月 22日
■回答者 以下の SNS のうち2種類以上に登録したことが ある 119 名 (自然な来訪意欲の発生を見るため、SNS の種類に よる情報の性質の違いを経験したことがある人を 対象とした。)
・対象 SNS ※
Facebook,twitter,foursquare,Google+,mixi, Instagram,GREE,ameba,Mobage
■調査内容(次頁図 4-1-10 参照) 調査はウェブアンケート(Google docs)を利用して行った。被験者は自身が利用するパソコンを利用し、日頃インターネットに接続する状況で行った。 属性に関する設問の後、掲載した URL を閲覧してもらうことで情報の提示を行い、1つの情報提示ごとにその情報が指し示す店舗への「来訪意欲」を 10点満点で評価してもらった。1つの店舗につき3つの情報提示を行い、これを2店舗について行った。 また、全ての情報提示終了後、これら2店舗が存在する街についての「来訪意欲」を4段階(1: 興味は湧かなかった~ 4: ぜひ行きたい)で評価してもらった。
※ 選定理由・Facebook,Foursquare,Twitter,Instagram…調査にて提示するSNS。・Google+…2011 年末現在でユーザー数の伸びが大きい SNS。・GREE,Mobage,mixi…日本国内のユーザー数の1~3位のSNS。ameba…携帯電話からの閲覧が GREE に続き2位。移動中の閲覧が多いと推測され、街歩き中の情報提供ツールとして適している可能性。
4-2.調査概要
第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
012
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
図 4-1-10 調査の流れ
■質問項目<属性>(選択式)・性別 男性、女性・年代 10代、20代、30代、40代、50代、60代以上・職業 学生、会社員、自営業、専業主婦、他(自由記述)
<休日の過ごし方>・休日の過ごし方 1:最近一年間の休日の過ごし方 (以下4項目より選択式) 休日はほぼ外出した、外出する日が多かった、 家で過ごす日が多かった、休日はほぼ家で過ごした
4-2.調査概要
第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
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早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
・休日の過ごし方 2:休日の過ごし方で好きなもの
(複数選択可)(*38)
買い物、インターネット、外食、テレビ・DVD鑑賞、 音楽を聴く、掃除・洗濯、読書、ゲーム、料理、 コンサート・演劇・映画鑑賞、運動・スポーツ、 ドライブ・ツーリング、習い事・勉強、美容・エステ・ マッサージ、ギャンブル、アウトドア活動、 他(自由記述)
<普段の SNS 利用方法>・SNS 利用方法:以下の各 SNS のアクセス頻度(選択式) SNS…Facebook,twitter,foursquare,Google+,mixi, Instagram,GREE,ameba,Mobage 頻度…毎日、週に数回、週1回程度、月2回以下、 登録していない
・Facebook 利用目的
(Facebook 利用者のみ回答/複数選択可)(*39)
リアルな友人とのコミュニケーション、 ネット上の知り合いとのコミュニケーション、 ゲーム・アプリの利用、 暇つぶし、 趣味や生活に関するプライベートな情報収集、 趣味や生活に関するプライベートな情報発信、 ビジネスや勉強に関する情報収集、 ビジネスや勉強に関する情報発信
・Facebook 機能の利用頻度(Facebook 利用者のみ回答) 機能…「近況」を投稿する、「写真」を投稿する、 「いいね!」を押す、記事を「シェア」する 頻度…よく使う、たまに使う、あまり使わない、 その機能を知らない
*38 選択項目は以下の調査結果の上位項目を使用。「 若 者 の 生 活 意識 調 査 2008」 h t t p : / / w w w .macromill.com/r_data/20080228young/
*39 項目は以下の調査結果の上位項目を使用。「 ソ ー シ ャ ルメ デ ィ ア 調 査報 告 書 2011」 h t t p : / / n e w s .mynavi.jp/photo/news/2011/ 0 8 / 1 5 / 0 0 8 /images/001l.jpg
4-2.調査概要
第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
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早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
・Twitter 利用目的
(Twitter 利用者のみ回答/複数選択可)(*39)
リアルな友人とのコミュニケーション、 ネット上の知り合いとのコミュニケーション、 暇つぶし、 趣味や生活に関するプライベートな情報収集、 趣味や生活に関するプライベートな情報発信、 ビジネスや勉強に関する情報収集、 ビジネスや勉強に関する情報発信
・Twitter 機能の利用頻度(Twitter 利用者のみ回答) 機能…「ツイート」を投稿する、 RT(リツイート)する 頻度…よく使う、たまに使う、あまり使わない、 その機能を知らない
<普段の情報メディア利用方法>・メディア利用:以下の情報メディアの閲覧頻度(選択式) 情報メディア…テレビ番組、雑誌・新聞、 有名人のブログ、友人・知人のブログ、 インターネットニュース(Yahoo! ニュース等)、 インターネットの匿名掲示板(2ちゃんねる等)、 食べログ、YouTube、メールマガジン 頻度…毎日、週に数回、週1回程度、月2回以下、 登録していない
<街歩きの嗜好>・街歩きについて:以下の項目に「はい」「いいえ」で回答 流行りものが好きだ 人混みが嫌いだ 知らない場所に行くのが好きだ
*39 →前頁
4-2.調査概要
第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
015
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
< (A)「CAFE アナログ」に関する3つの質問>この項目冒頭の指示は以下のとおりである。- - - - - 「CAFE アナログ」は恵比寿にあるカフェです。
これから、この「CAFE アナログ」に関する3つの情報を順
番に閲覧していただきます。
情報には、「新聞社によるニュース記事」や「友人による
Facebook への投稿」などいくつかの種類があります。
順番に閲覧し、「どの程度行きたくなったか」をお答えいた
だきます。
- - - - - 次に、各パターンの順序に従って情報を提示する。以下に、例として、パターン Aにおいて1番目に提示する情報の、提示文章を掲載する。- - - - - 【情報1:友人による Twitter でのツイート】以下のURL は「CAFE アナログ」に関する Twitter でのツイー
トです。(投稿者の piyo-piyo さんはあなたの友人と考えて
ください。)
お手数ですが、URL をコピー&ペーストして、内容をご覧
ください。http://www.watanabe.arch.waseda.ac.jp/h-yukari/cafe/c-1/c-1-4.html
- - - - - 情報を提示後、来訪意欲について10段階で回答してもらう。以下に、例として、パターン Aにおいて1番目に提示した情報のあとの質問文を掲載する。- - - - - 情報1をご覧になり、「CAFE アナログ」にどの程度行きた
くなりましたか? 10段階で評価してください。
- - - - -※ 質問文の冒頭は、以下のとおり。情報2の場合:「情報1と情報2両方をご覧になり…」情報3の場合:「情報1~情報3のすべてをご覧になり…」
情報2と情報3についても、以上の手順で提示と質問を行った。
4-2.調査概要
第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
016
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
< (B)「カフェ Ark」に関する3つの質問>この項目については、前頁の「< (A)「CAFE アナログ」に関する3つの質問>」と同様の手順で行った。
<恵比寿について>最後に、以下の質問を行い、街自体への来訪意欲についても回答を得た。- - - - - 恵比寿には、(A)情報1~3で紹介した「CAFE アナログ」
及び、(B)情報1~3で紹介した「カフェ Ark」があります。
6つの情報すべてを踏まえて、当てはまる項目を選んでく
ださい。(ただし、恵比寿への交通の便や価格は考慮に入れ
ずにお答えください。)(選択式)
・恵比寿に、ぜひ行きたい。
・恵比寿に、機会があれば行ってみたい。
・恵比寿に行くかはわからないが、興味を持った。
・恵比寿に興味は湧かなかった。
- - - - -
以上が、調査の全項目である。
4-2.調査概要
第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
017
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
4-3. 調査結果4-3-1. 回答者の属性
パターン別の回答者の性別・年代・職業に関する属性別人数は、以下の表 4-3-1 の通りである。
表 4-3-1 回答者属性別人数
次に、パターン別の回答者の休日の過ごし方は、以下の表 4-3-2 のとおりである。
表 4-3-2 回答者「休日の過ごし方」別人数
4-3.調査結果
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第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
018
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
パターン別の回答者の普段の SNS の利用方法は、以下の表 4-3-3 の通りである。
表 4-3-3 回答者のSNS利用方法別人数
4-3.調査結果
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第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
019
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
パターン別の回答者の普段の SNS の利用方法は、以下の表4-3-4、表 4-3-5 の通りである。
表 4-3-4 回答者の Facebook 利用目的・機能別利用頻度人数
表 4-3-5 回答者の Twitter 利用目的・機能別利用頻度人数
4-3.調査結果
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第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
020
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
パターン別の回答者の普段の情報メディアの利用方法は、以下の表 4-3-6 の通りである。
表 4-3-6 回答者の情報メディア利用方法別人数
4-3.調査結果
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第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
021
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
パターン別の回答者の街歩きに関する嗜好は、以下の表 4-3-7 の通りである。
表 4-3-7 回答者の街歩き嗜好 人数
4-3.調査結果
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第4章 情報提示順序と来訪意欲に関する調査
022
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
4-3-2. 情報提示と来訪意欲 情報提示と来訪意欲について、パターンごとの回答を平均した値は、図 4-3-8 に示すとおりである。
「CAFE アナログ」への来訪意欲(情報3まで提示後の来訪意欲)はパターン Bが、「カフェ Ark」への来訪意欲(情報6まで提示後の来訪意欲)パターン Aが最も高く、恵比寿の街への来訪意欲についてはパターン Bが最も高い。 それに対し、「CAFE アナログ」への来訪意欲(情報3まで提示後の来訪意欲)はパターン Cが、「カフェ Ark」への来訪意欲(情報6まで提示後の来訪意欲)はパターン Dが最も低く、恵比寿の街への来訪意欲についてはパターンDが最も低い。
図 4-3-8 パターン別 来訪意欲(全平均)
4-3.調査結果
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
分析第5章
5-1.属性による分析 5-1-1.男女による違い
5-1-2.年代による違い
5-2.行動嗜好による分析 5-2-1.休日の外出頻度による違い
5-2-2.休日の過ごし方の嗜好による違い
5-2-3.街歩きの嗜好による違い
5-3.SNS 利用状況による分析 5-3-1.Facebook 利用状況による分析
5-3-2.Twitter 利用状況による分析
5-3-3.Foursquare 利用状況による分析
5-3-4.Instagram利用状況による分析
5-4.情報メディア利用状況による分析 5-4-1.インターネットニュース利用状況による分析
5-4-2.食べログ利用状況による分析
5-5.情報の性質による分析
5-6.街への来訪意欲に関する分析
001
第5章 分析
002
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
分析については、情報 1~6それぞれを閲覧後の来訪意欲の値及びその増減について、 ・回答者の属性、行動嗜好、情報嗜好 ・情報の性質による違いを分析・考察し、回答者や情報に応じた情報提供の指針を得る。 また、これを踏まえて、街(恵比寿)への来訪意欲に関しても分析・考察を行い、街自体への来訪を促す情報提供の指針を得る。
また、調査に関する用語について、以下の省略を行う。
・パターン□の情報◯=□ - ◯ 例:パターン Aの情報1= A-1
・情報 a: 友人による Facebook でのシェア(引用) = a: FB シェア ・情報 b: 友人による Twitter での RT = b: RT ・情報 c: 友人による Foursquare への投稿 = c: 4sq ・情報 d: 友人による Instagram への投稿写真 = d: Instagram ・情報 e: 友人による Facebook の投稿記事 = e: FB 投稿 ・情報 f: 友人による Twitter でのツイート = f: ツイート ・情報 g インターネットニュース = g: ニュース ・情報 h: 食べログのクチコミ = h: 食べログ
第5章 分析
003
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
5-1. 属性による分析5-1-1. 男女による違い 情報提示順序のパターンごとに、男女別の来訪意欲の変化を図 5-1-1(次頁)に示す。 これより、以下の傾向が読み取れる。 ・総じて、男性より女性の方が来訪意欲を生じやすい。
・男性の来訪意欲に関しては、以下において顕著な増加が見られる。 A-2 から A-3、A-5 から A-6、B-5 から B-6 これらの特徴として、共通して以下のことが言える。 - 情報1と情報2において発信者との面識がある - 情報3が視覚情報である(店内写真、食事写真) この順序が逆である、パターンCの情報1~3においては、男性については来訪意欲の増加がほとんど見られない。 よって、「友人など面識のある発信者からの情報」「視覚情報」の順序での情報提示が、男性の来訪意欲向上に有効だと考えられる。
・女性の来訪意欲に関しては、以下において顕著な減少が見られる。 (i) A-1 から A-2、D-1 から D-2 (ii)B-1 から B-2、D-2 から D-3 まず、(i)は、a: FBシェアの後にe: FB投稿もしくは f: ツイートが提示されているという状況である。また、(ii)はいずれも、g: ニュースの後に h: 食べロが提示されている。 これらに共通する特徴としては、最初に視覚情報(店内写真)を含む情報を閲覧し、次に視覚情報を含まない文章情報を閲覧している。 この逆の順序(文章情報の後、視覚情報を提示)であるB-1 から B-2、D-1 から D-2 においては来訪意欲は増加している。このことを踏まえ、女性への情報提示において文章情報と店内写真の両方を情報提示する際には、先に文章情報を提示することが来訪意欲の向上に有効であると考えられる。
*
5-1.属性による分析
第5章 分析
004
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
図 5-1-1 男女別 来訪意欲の変化(平均値)
5-1.属性による分析
第5章 分析
005
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
・また、女性に対して各カフェについて最初に提示する情報(各パターンの情報1及び情報4がこれに当たる)に関しては、A-1、D-1 において顕著に低い点数(5点以下)を示している。他情報にないこれらの特徴として、以下の性質がすべて含まれていると言える。 ・面識のある発信者からの情報 ・視覚情報を含まない ・文章情報である よって、女性にとっては、友人など面識のある人から文章だけで得られた情報では、来訪意欲があまり喚起されないと言える。
・男性に対して各カフェについて最初に提示する情報に関して、A-1、B-4、D-1 においてのみ来訪意欲が4点以下に留まっている。これは、上記女性に対する特徴に加えて、「引用性」も共通の特徴と言える。つまり、友人が「〇〇さんから聞いた」というような情報では、来訪意欲があまり喚起されないと言える。
5-1.属性による分析
第5章 分析
006
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
5-1-2. 年代による違い 情報提示順序のパターンごとに、年代別の来訪意欲の変化を図 5-1-2(次頁)に示す。 これより、以下の傾向が読み取れる。 ・総じて、10 ~ 20 代の方が 30 ~ 60 代以上に比べて来訪意欲が高く、また情報提示ごとの来訪意欲の増加量も大きい。これは、今回の調査で取り上げた店舗がカフェであるということも要因としては考えられる。
・10 ~ 20 代よりも 30 ~ 60 代以上の方が来訪意欲の増加量が大きい情報提示順序として、以下が挙げられる。 A-4 から A-5、D-4 から D-5これらは、最初に共通して a: FB シェアが提示されており、次に e: FB 投稿もしくは f:FB シェアが提示されている。特徴として、友人からの視覚情報(店内写真)付の引用情報の後、(別の)友人から文章情報を提示されたケースと言える。
5-1.属性による分析
第5章 分析
007
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
図 5-1-2 年代別 来訪意欲の変化(平均値)
5-1.属性による分析
第5章 分析
008
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
5-2. 行動嗜好による分析5-2-1. 休日の外出頻度による違い
普段の外出頻度の違いが、情報提示を受けた際の来訪意欲発生にどのように影響を受けるかを分析するため、回答者を【休日は外で過ごす人】と【休日は家で過ごす人】に分類し※、各パターンについて来訪意欲の平均値を求めた。(次頁
図 5-2-1 参照) ※質問<休日の過ごし方 1>により分類し、「休日はほぼ 外出した」「外出する日が多かった」の回答者を休日は 外で過ごす人、「家で過ごす日が多かった」「休日はほぼ 家で過ごした」の回答者を休日は家で過ごす人に分類し た。
これにより、以下の傾向が読み取れる。
・総じて、休日は外で過ごす人の方が休日は家で過ごす人よりも来訪意欲が生じやすい。
・休日は外で過ごす人は、基本的には情報提示数が増えることで来訪意欲が増えるが、例外として「食べログのクチコミ」「友人による Twitter でのツイート」を提示されたときは一様に来訪意欲が横ばい、もしくは低下する。 対して、休日は家で過ごす人はこれら項目でも来訪意欲の増加が見られる。休日に外出する人にとっては面識がない人からの文章情報は来訪意欲を喚起しないと考えられる。
5-2.行動嗜好による分析
第5章 分析
009
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
図 5-2-1 外出頻度別 来訪意欲の変化(平均値)
5-2.行動嗜好による分析
第5章 分析
010
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
5-2-2. 休日の過ごし方の嗜好による違い 休日の過ごし方の嗜好の違いが、情報提示を受けた際の来
訪意欲発生にどのように影響を受けるかを分析する。
「休日の過ごし方 2」の設問において選択者が多かった回答のうち、情報ツールを使用する「インターネット」と、今回の調査がカフェを対象としていることから「外食」の2つの項目について、分析を行う。
<インターネット> 休日の過ごし方として「インターネット」をするのが好きであると回答した人とそうではない人に回答者を分類し、各パターンについて来訪意欲の平均値を求めた。(次頁図5-2-2 参照) 以下、考察である。
・総じて似通った増減の傾向となっており、明確な傾向は読み取れない。 休日にインターネットをするのが好きかどうかは、来訪意欲の発生に大きな違いはもたらさないと考えられる。(ただし、今回は SNS 使用者が調査対象であるため、インターネットの使用自体に慣れていない人は含まれていない。)
5-2.行動嗜好による分析
第5章 分析
011
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
図 5-2-2 休日の過ごし方<インターネット>嗜好別 来訪意欲の変化
5-2.行動嗜好による分析
第5章 分析
012
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
<外食> 休日の過ごし方として「外食」をするのが好きであると回答した人とそうではない人に回答者を分類し、各パターンについて来訪意欲の平均値を求めた。(次頁図 5-2-3 参照) 以下、考察である。
・全体的に似通った来訪意欲の変化となっており、明確な傾向の差は見られない。
休日の過ごし方による違いについては、インターネットの嗜好・外食の嗜好共に目立った傾向は見られず、休日の過ごし方の違いが来訪意欲の発生に大きな影響を与えることは少ないと考えられる。
5-2.行動嗜好による分析
第5章 分析
013
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
図 5-2-3 休日の過ごし方<外食>嗜好別 来訪意欲の変化
5-2.行動嗜好による分析
第5章 分析
014
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
5-2-3. 街歩きの嗜好による違い 街歩きに関する嗜好の違いが、情報提示を受けた際の来訪
意欲発生にどのように影響を受けるかを分析する。
街歩きの嗜好については、「流行りものが好きだ」「人混みが嫌いだ」「知らない場所に行くのが好きだ」の3項目について「はい・いいえ」の2択形式で回答してもらったが、ここでは回答者数の偏りが比較的小さかった「流行りものが好きだ」の項目についてのみ分析を行う。
<流行りもの> 街歩きに関して、流行りものに対する嗜好別の来訪意欲の変化は図 5-2-4 の通りである。 以下、考察である。
・パターンごとに、流行りものが好きか否かと来訪意欲の大小の関係が異なるため、流行りものの嗜好の違い自体が、来訪意欲の生じやすさに直接与える影響は少ないと考えられる。
・来訪意欲について大きな違いが見られるのが、D-2 と D-3である。ここでは、g: ニュースと h: 食べログを閲覧後に、「流行りものが好きだ」というグループの来訪意欲が「流行りものが好きではない」としたグループの来訪意欲を大きく上回っている。g: ニュースと h: 食べログの順序は B-1 と B-2でも同様であるが、こちらも D-1 と D-2 と比べると差は小さいものの、同様の傾向が見受けられる。 これにより、面識がない発信者からの情報を連続して与えることは、流行りものが好きな人々の来訪意欲をより高めると考えられる。(つまり逆に、流行りものが好きではない人に対しては、面識がある発信者からの情報のほうが来訪意欲の発生に有効だと考えられる。)
5-2.行動嗜好による分析
第5章 分析
015
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
図 5-2-4 街歩き<流行りもの>嗜好別 来訪意欲の変化
5-2.行動嗜好による分析
第5章 分析
016
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
5-3.SNS 利用状況による分析5-3-1.Facebook 利用状況による分析
<利用頻度と趣味情報接触態度> まず、回答者全体を Facebook の利用頻度に応じて、 ・毎日~週1回以上利用するグループ ・月2回以下の利用もしくは未登録のグループ の2つに分類する。そして更に、前者の活発な利用者であるグループについては、詳細に傾向を見るため、Facebook の目的(複数回答)に関して「趣味や生活に関するプライベートな情報収集」の有無と「趣味や生活に関するプライベートな情報発信」の有無についてそれぞれ2グループに分類した。 (「趣味や生活に関するプライベートな情報」に関して取り上げたのは、今回の調査のコンテンツがカフェに関する内容であり、「趣味や生活に関するプライベートな情報」に当たるためである。) よって、分析するのは、以下の表 5-3-1 の5グループである。
表 5-3-1 Facebook 利用状況に関する回答の分類
※(i)(ii) と (iii)(iv) の回答者は重複する。
これら5グループについて、来訪意欲の変化は図 5-3-2(次頁)に示すとおりである。
5-3.SNS利用状況による分析
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第5章 分析
017
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
図 5-3-2 Facebook 利用頻度及び趣味情報接触態度別 来訪意欲の変化
5-3.SNS利用状況による分析
第5章 分析
018
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
以下、考察である。
・提示される情報のうち、Facebook を用いて提示される a: FB シェア と e: FB 投稿 を閲覧後の来訪意欲は、総じて、「収集する」「発信する」グループが「収集しない」「発信しない」グループを上回っている。 ただし、最初の情報として e: FB 投稿 を閲覧する場合はその限りではなく、「収集する」「発信する」の方が点数が低い。 このことより、Facebook を趣味や生活に関するプライベートな情報の収集もしくは発信を利用目的の一部としている人達にとっては、Facebook 閲覧以前に他で閲覧した情報について、Facebook 上で再度閲覧することによって、来訪意欲が生じやすくなると推察される。
5-3.SNS利用状況による分析
第5章 分析
019
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
<シェア機能利用頻度>
Facebook に関して、今回の調査で提示されている a: FBシェア について、回答者の利用状況による来訪意欲発生の違いを検証する。 a: FB シェア は情報4~6(カフェ Ark に関する情報)にのみ用いられているため、各パターンの情報4~6での来訪意欲の変化についてのみ分析する。 シェア機能利用頻度ごとの来訪意欲の変化は、図 5-3-3 の通りである ( 次頁)。
以下、考察である。
・最初の情報提供として FB シェア が用いられる際には、「よく使う」グループの来訪意欲が最も低い。(A-1及びD-1参照。) ただし、その後他の情報(情報5)を閲覧した際に、来訪意欲の増加量が最も大きい。これは、普段利用している a: FB シェアを先に閲覧しておくことで、その後の情報に対する興味が高まったのでないかと推察される。 ・一方、B-2 及び C-3 のように、他の情報閲覧後に a: FB シェア を閲覧する場合、「よく使う」グループが最も来訪意欲が増加する。
・以上より、シェア機能をよく利用する人に対しては、他の情報閲覧後に Facebook のシェア投稿を提示、もしくはその逆順序での提示を行うことで、来訪意欲の増加が見込まれる。これは、Facebook のシェア機能のヘビーユーザーに対しては、シェア機能を用いて閲覧した情報の内容について、他の情報メディアからも情報を取得することによって、その内容についての興味が増すと考えられる。
5-3.SNS利用状況による分析
第5章 分析
020
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図 5-3-3 Facebook シェア機能利用頻度別 来訪意欲の変化
5-3.SNS利用状況による分析
第5章 分析
021
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5-3-2.Twitter 利用状況による分析
<利用頻度と趣味情報接触態度> まず、回答者全体を Twitter の利用頻度に応じて、 ・毎日~週1回以上利用するグループ ・月2回以下の利用もしくは未登録のグループ の2つに分類する。そして更に、前者の活発な利用者であるグループについては、詳細に傾向を見るため、Facebook の目的(複数回答)に関して「趣味や生活に関するプライベートな情報収集」の有無と「趣味や生活に関するプライベートな情報発信」の有無の組み合わせに応じて4グループに分類した。 (「趣味や生活に関するプライベートな情報」に関して取り上げたのは、今回の調査のコンテンツがカフェに関する内容であり、「趣味や生活に関するプライベートな情報」に当たるためである。) よって、分析するのは、以下の表 5-3-4 の5グループである。
表 5-3-4 Twitter 利用状況に関する回答の分類
これら5グループについて、来訪意欲の変化は図 5-3-5(次頁)に示すとおりである。
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5-3.SNS利用状況による分析
第5章 分析
022
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図 5-3-5 Twitter 利用頻度及び趣味情報接触態度別 来訪意欲の変化
5-3.SNS利用状況による分析
第5章 分析
023
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以下、考察である。
・「収集も発信もする」グループは、総じて来訪意欲が高めである。
・Twitter を用いた情報提示6項目にのみ注目すると、「収集するが発信しない」グループは A-1 以外の5項目(C-3,C-4,C-5,D-5,D-6)において、他のグループと比べて来訪意欲が低い。収集のみ行うグループは来訪に関しても積極性に欠ける可能性が考えられる。
・「収集も発信もしない」グループは、Twitter を用いた情報提示の項目では比較的来訪意欲が高い。「収集も発信もしない」ことで、Twitter では他者とのコミュニケーションに徹しているとも考えられ、そのことにより、Twitter 上で得る情報に対して興味を持ちやすい可能性が考えられる。
5-3.SNS利用状況による分析
第5章 分析
024
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5-3-3.Foursquare 利用状況による分析<利用頻度> Foursquare の利用頻度の違いが、Foursquare での情報提示における来訪意欲の発生にどのような影響をもたらすか、分析する。このため、本調査では Foursquare を用いた情報提供が行なわれたパターン Bについて分析する。
まず、Foursquare を週1回以上利用するグループと、月2回以下利用もしくは未使用のグループの2つに回答者を分類し、それぞれのパターン Bの情報4~6における来訪意欲の変化を見る。(図 5-3-6 参照)
図 5-3-6 Foursquare 利用頻度別来訪意欲変化
(パターン B/ 情報 4~6)
これにより、Foursquare を週1回以上利用するグループの方が、来訪意欲が生じやすいことがわかる。これは、Foursquare を週1回以上利用するグループは9人中8人が、Facebook を毎日使うユーザーであり、SNS からの情報取得に普段から積極的であることも関係していると推察される。(Foursquare を月2回以下利用/未使用のグループでFacebook を毎日利用するのは 17人中 12人である。)
そこで、更に Facebook を毎日利用するユーザーに絞った上で、Instagram の利用頻度別に来訪意欲の変化を表したのが、次頁の図 5-3-7 である。 この結果においても、Instagram を週1回以上利用するグループの方が、来訪意欲が生じやすいことに変わりなく、Foursquare の利用者自体が、SNS での情報獲得に対して積極的であると言える。
*
e: FB 投稿 a: FB シェア c: 4sq
5-3.SNS利用状況による分析
第5章 分析
025
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図 5-3-7 Facebook を毎日利用するユーザーにおける
Foursquare利用頻度別来訪意欲変化(パターンB/情報4~6)
また、B-6 閲覧後の来訪意欲における、点数ごとの人数分布は以下の図 5-3-8 の通りであり、検定の結果 70%以上の確率で有意差である。
図 5-3-8 B-4 ~ B-6 閲覧後の来訪意欲点数 人数分布 更に、B-5 閲覧後の来訪意欲に対する B-6 閲覧後の来訪意欲の増減の値を求め、それぞれの人数分布を図 5-3-9 に示す。増減の差は小さく、Foursquare 利用頻度と Foursquare 閲覧で生じる来訪意欲との関連は少ないと言える。
図 5-3-9 B-5 から B-6 での来訪意欲点数増減 人数分布
e: FB 投稿 a: FB シェア c: 4sq
5-3.SNS利用状況による分析
第5章 分析
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早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
5-3-4.Instaagram利用状況による分析<利用頻度> Instagram の利用頻度の違いが、Instagram での情報提示における来訪意欲の発生にどのような影響をもたらすか、分析する。このため、本調査では Instagram を用いた情報提供が行なわれたパターン Aについて分析する。
まず、Instagram を週1回以上利用するグループと、月2回以下利用もしくは未使用のグループの2つに回答者を分類し、それぞれのパターン Aの情報4~6における来訪意欲の変化を見る。(図 5-3-10 参照)
図 5-3-10 A-4 ~ A-6 閲覧後の来訪意欲点数 人数分布
これにより、Instagram を週1回以上利用するグループの方が、来訪意欲が生じやすいことがわかる。これは、Instagram を週1回以上利用するグループは 14 人中 9 人が、Facebook を毎日使うユーザーであり、SNS からの情報取得に普段から積極的であることも関係していると推察される。(Instagram を月2回以下利用/未使用のグループでFacebook を毎日利用するのは 17人中 9人である。)
また、b-6 閲覧後の来訪意欲点数の人数分布は図 5-3-11( 次頁)の通りであり、検定の結果、90%以上の確率で有意差があり、Instagram の使用頻度が高い方が来訪意欲が生じやすいと言える。
*
a: FB シェア e: FB 投稿 d:Instagram
5-3.SNS利用状況による分析
第5章 分析
027
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
図 5-3-11 A-4 ~ A-6 閲覧後の来訪意欲点数 人数分布 更に、A-5 閲覧後の来訪意欲に対する A-6 閲覧後の来訪意欲の増減の値を求め、それぞれの人数分布を図 5-3-12 に示す。増減の平均値の差は小さいが、Instagram の使用頻度が週1回以上のユーザーにおいては、来訪意欲が減少した者はおらず、全員が1点以上の増加を見せている。 よって、Instagram を頻繁に利用している人に対して、Instagram での情報提示を行うことは、来訪意欲の増加につながりやすいと考えられる。
図 5-3-12 A-5 から A-6 での来訪意欲点数増減 人数分布
5-3.SNS利用状況による分析
第5章 分析
028
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
5-4. 情報メディア利用状況による分析 この項では、本調査で用いた「インターネットニュース」と「食べログ」の利用頻度別に来訪意欲との関係性を分析する。
5-4-1. インターネットニュース利用状況による分析 回答者を以下のインターネットニュースの利用頻度ごとに分類し、来訪意欲の変化を図 5-4-1(次頁)に示した。 ・毎日利用する ・週1回~数回利用する ・月2回以下利用/利用しない
5-4.情報メディア利用状況による分析
第5章 分析
029
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
図 5-4-1 インターネットニュース利用頻度別 来訪意欲の変化
5-4.情報メディア利用状況による分析
第5章 分析
030
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
以下、考察である。
・「毎日見る」グループと「週1回~数回利用する」グループの変化傾向は似ており、その傾向に明確な差は見受けられない。
・しかし、B-1 及び C-1 でのインターネットニュースの閲覧後の来訪意欲において、「毎日見る」グループが「週1回~数回利用する」グループの来訪意欲を上回っている。 これについて、パターン Bとパターン Cの回答者全員を再度インターネットニュース利用頻度別に分類し、B-1 もしくは C-1閲覧後の来訪意欲点数について平均値を出したのが、以下の表5-4-2 である。 表 5-4-2 インターネットニュース利用頻度別来訪意欲 (b-1/C-1)
これより、インターネットニュースを毎日閲覧するユーザーに対しては、インターネットニュースの提示が来訪意欲の発生に有効に働くと考えられる。
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5-4.情報メディア利用状況による分析
第5章 分析
031
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5-4-2. 食べログ利用状況による分析
回答者を以下の食べログの利用頻度ごとに分類し、来訪意欲の変化を分析する。 ・週1回以上利用する ・月2回以下利用/未使用 この分類に基づき、調査において食べログを使用したパターンB及びパターンDについて分析を行う。 まず、パターン Bにおける来訪意欲の変化は図 5-4-3 の通りである。
図5-4-3 食べログ利用頻度別来訪意欲変化(パターンB/情報1~3)
図 5-4-3 より、食べログを週1回以上利用する人は、それ以下の利用頻度の人に比べて総じて来訪意欲が高いことがわかる。特に、利用頻度が高い人は、普段から飲食店に関心が高いことが予想されるため、B-1 で閲覧したインターネットニュースにおいても、調査対象としたカフェに興味を持って閲覧する可能性が高かったと考えられる。
一方、B-1 から B-2 にかけての来訪意欲の増減とその人数は、図 5-4-4(次頁)の通りである。 食べログの使用頻度が低いグループの方が来訪意欲が増加し、週1回以上の食べログユーザーは来訪意欲が下がっている。この原因として、今回の調査では情報の要素を限定するため、普段閲覧する食べログの画面とは異なり、写真や点数(星)の情報を排除したことが考えられる。普段の食べログの画面を見慣れているユーザーにとっては、来訪したいと思うほど情報量が得られないと感じたかもしれない。
*
g: ニュース h: 食べログ e: FB 投稿
5-4.情報メディア利用状況による分析
第5章 分析
032
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
図 5-4-4 B-1 から B-2 での来訪意欲点数増減 人数分布
次に、パターン Dにおける来訪意欲の変化は図 5-4-5 の通りである。
図5-4-5 食べログ利用頻度別来訪意欲変化(パターンD/情報1~3)
パターン Dにおいても、パターン Bと同様に、食べログを週1回以上使用するグループの方が、月2回以下で使用/未使用のグループよりも、総じて来訪意欲が生じやすい。 しかし、食べログによる情報提示閲覧後に、後者のグループは来訪意欲が増加するのに対して、週1回以上の使用者は来訪意欲が減少している。これもパターン Bと同様である。パターン Dについても、来訪意欲の増減について、その人数分布を図 5-4-6に示す。
図 5-4-6 D-2 から D-3 での来訪意欲点数増減 人数分布
e: FB 投稿 g: ニュース h: 食べログ
5-4.情報メディア利用状況による分析
第5章 分析
033
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
食べログを週1回以上使用するユーザーの方は、人数分布が増加と減少に二分されており、使用し慣れているユーザーほど、食べログの情報を元に訪れるか否かをより明確に決めてしまうとも考えられる。
また、パターン Bとパターン D両方の食べログ閲覧後の来訪意欲の増減値について人数分布を示したのが、図 5-4-7 である。
図 5-4-7 B-2 及び D-3 閲覧後の来訪意欲点数増減 人数分布
総じて、食べログを週1回以上使用しているユーザーの方が来訪意欲が減少している。 面識のない発信者による文章情報(視覚情報を伴わない)は、経験者による報告であっても、来訪意欲をほとんど発生させず、さらに、減少させる可能性もあると言える。
5-4.情報メディア利用状況による分析
第5章 分析
034
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
5-5. 情報の性質による分析 ここでは、以下の情報提示について比較を行う。これらは、情報の組み合わせは同一であるが、順序が異なっている。 ・パターン A情報1~3/パターン C情報1~3 ・パターン B情報1~3/パターンD情報4~6 ・パターン C情報4~6/パターンD情報4~6
<パターン A情報1~3/パターン C情報1~3> 上記範囲における来訪意欲の変化を図 5-5-1 に示す。
図 5-5-1 パターン Aとパターン Cにおける来訪意欲比較
情報提示の順序「a: FB 投稿ー f: ツイート」の部分はどちらのパターンにおいても来訪意欲の増加があまり見込めない。パターンCにおいては、情報3提示後も来訪意欲がパターン Aの情報1提示後すら下回っている。これは、最初の情報提示で興味を抱かせることがあまり出来なかったことで、情報3を提示した時点でもあまり興味を抱かせることが出来なかったと考えられる。 これらより、情報提示の順序として、「店内写真」「発信者の経験」の含まれる情報を、「現場からのリアルタイム性」「発信者との面識」より先に提示することが、来訪意欲の喚起のためには重要であるといえる。
5-5.情報の性質による分析
第5章 分析
035
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
<パターン B情報1~3/パターンD情報1~3> 上記範囲における来訪意欲の変化を図 5-5-2 に示す。
図 5-5-2 パターン BとパターンDにおける来訪意欲比較
情報提示の順序「g: ニュース―h: 食べログ」は、来訪意欲の目立った増加は見込まれない。これは、「g: ニュース」が「h: 食べログ」の情報の性質を内包しているからではないかと考えられる。 また、パターン Aとパターン Cの比較同様、「g: ニュース」を最初に提示することで最終的な来訪意欲も高い。この結果と合わせると、「店内写真」「発信者の経験」の含まれる情報を、「発信者との面識」より先に提示することが、来訪意欲の喚起のためには重要であるといえる。
5-5.情報の性質による分析
第5章 分析
036
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
<パターン C情報4~6/パターンD情報4~6> 上記範囲における来訪意欲の変化を図 5-5-3 に示す。
図 5-5-3 パターン CとパターンDにおける来訪意欲比較
この情報の組み合わせは、すべて面識のある発信者からの情報である。 その上で、「a: シェア」よりも「h: RT」の提示順序が先の方が、最終的な来訪意欲が高い。この2つの情報の違いは、「視覚情報(店内写真)」の有無である。最初に視覚情報を見せてその後に文章のみの情報を見せるよりも、最初に文章のみの情報を見せて最後に視覚情報を見せるほうが、最終的な来訪意欲の増加が見込めると考察できる。 これは、最初に視覚情報を見せてしまう事によって、その情報の内容について理解した気になってしまい、その後の情報を積極的に閲覧しなくなってしまうからではないかと思われる。逆に、文章情報の連続により(しかも面識のある発信者なので、興味を持ちやすい)、どんな空間なのか想像をふくらませ、最後に視覚情報が提示されることで理解が深まり、来訪意欲の増加へとつながると考えられる。
5-5.情報の性質による分析
第5章 分析
037
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
5-6. 街への来訪意欲に関する分析
本調査では、情報1~3及び情報4~6を提示後、最後の設問として、恵比寿への来訪意欲を答えてもらった。 これについて、以下の項目についてチャートに表したものが図 5-6-1 である。 情報1~3提示後の来訪意欲(10段階評価) 情報4~6提示後の来訪意欲(10段階評価) これらの合計値(最大値 20) 恵比寿への来訪意欲(1~4の4段階評価)
図 5-6-1 パターン別 来訪意欲変化
5-6.街への来訪意欲に関する分析
第5章 分析
038
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
以下、図 5-6-1 を踏まえた考察である。
・パターン Bの情報提示を受けた回答者が、恵比寿の街への来訪意欲が最も高い結果となった。 これは、情報1~3閲覧後の来訪意欲が全パターン中で最も高かったうえ、情報4~6閲覧後の来訪意欲についても1番目と僅差の2番目で高い値だったことが要因と考えられる。7割以上の人が恵比寿に「ぜひ行きたい」「機会があれば行ってみたい」としており、情報提示順序としては来訪意欲喚起に対して非常に有効だったと考えられる。 パターン Bの特徴としては、以下の3点が挙げられる。 - 全パターン中唯一、地図情報(Foursquare)の提示が 含まれた - 現場からのリアルタイム性を伴う情報が最も少なかった - 発信者が経験を元に報告する情報が最も多く含まれた
・パターン Aの情報提示を受けた回答者が、恵比寿の街への来訪意欲が全パターン中2番目に高い結果となった。 このパターンでは、情報1~3の来訪意欲に比べて、情報4~6の来訪意欲が 0.6 点以上高く、これは他のパターンでは見られない。
・恵比寿への来訪意欲が最も低い結果となったのが、パターンDの情報提示を受けた回答者であった。 パターン Dでは、情報1~3での来訪意欲に比べて、情報4~6の来訪意欲が大幅に下がっている。特に、パターン Cと比較すると、情報4~6での来訪意欲の差が激しい。また、恵比寿に対して「興味がわかなかった」とした回答者が2割以上と、他のパターンの2倍以上存在する。 この要因としては、パターン Dは情報5と情報6が文章情報のみであり(他のパターンは最後に視覚情報が提示されている)、来訪意欲があまり増えなかったことで、恵比寿自体への興味も湧きづらかったことが考えられる。
次に、恵比寿への来訪意欲の段階別に回答者を分類し、それぞれの回答者グループがどのような来訪意欲の変化を経ていたかを示したものが、次頁の図 5-6-2 である。
5-6.街への来訪意欲に関する分析
第5章 分析
039
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
図 5-6-2 恵比寿への来訪意欲 別 来訪意欲の変化
5-6.街への来訪意欲に関する分析
第5章 分析
040
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
以下、図 5-6-2 を踏まえた考察である。
・総じて、恵比寿に「ぜひ行きたい」と答えた回答者が、各情報提示後においても来訪意欲が高い。
・いずれのパターンにおいても、最初の情報(情報1または情報4)を提示した時点で、「ぜひ行きたい」と答えた回答者が最も来訪意欲が高い。すなわち、最初の情報提示の時点で興味を持ってもらうことが、来訪意欲を発生させるためには重要だと考えられる。 これについては、各パターンの情報1提示後の来訪意欲について、その人数分布を図 5-6-3 に示した。(次頁) これからも、最初の情報提示の時点において、恵比寿に「ぜひ行きたい」と答える人の来訪意欲は高く、「興味は湧かなかった」と答える人の来訪意欲は低いことがわかる。
5-6.街への来訪意欲に関する分析
第5章 分析
041
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
図 5-6-3 恵比寿への来訪意欲 別 情報1における来訪意欲
5-6.街への来訪意欲に関する分析
第5章 分析
042
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
5-7. 来訪意欲発生のための情報提示順序モデル 5-1. から 5-6. において得られた分析に基づき、来訪意欲を発生させるための情報提示の順序についてのモデル図を示す(図 5-7-1)。
5-7.来訪意欲発生のための情報提示順序モデル
図 5-7-1 来訪意欲発生のための情報提示順序モデル
第5章 分析
043
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
以下に、モデル図の組み立てについて記す。
まず、今回の分析において、情報の性質について以下のことが判明している。 ・「現場からのリアルタイム性」については来訪意欲にほとんど寄与しないと 考えられる。 ・文章情報と視覚情報について、その順序の前後が来訪意欲と密接に関連して いる。 ・発信者に関して、発信者との面識と発信者自身の経験を伝達しているのか、 他人から得た情報を引用して伝達しているのかという違いが、来訪意欲を増す ための情報提示順序を考えるにあたって重要である。
したがって、以下の2つの要素のマトリックスによって、来訪意欲の発生に関わる情報をプロットすることが可能である。 行:視覚情報(店内情報、食事写真、地図情報)、文章情報 列:( 発信者との面識の有無 )×(発信者自身の経験の有無)の組み合わせ ※ただし、必ずどちらか一方は「有」を含む。
これらによってプロットされる情報について、その順序を適切に並べることで、来訪意欲の発生へとつながる。モデル図 5-7-1 では、情報提示の順序の進行を Z軸方向に表している。また、今回は分析によって情報順序に関する考察が得られた項目についてのみ、モデル化を行った。具体的には、分析より以下の性質を用いた。
<回答者の属性から> ・男性は「面識のある発信者からの情報→視覚情報」の順序での情報提示が 来訪意欲を引き起こす。 ・男性は「引用性」のある情報には来訪意欲を喚起されない。 ・女性は、文章情報の後に視覚情報を閲覧することが、来訪意欲向上に有効。 ・30~ 60代以上の人は 10~ 20代の人に比べて、面識のある人からの店 内写真の引用の後、面識のある人からの文章情報を閲覧することによる来訪 意欲の増加が大きい。
<休日の過ごし方から> ・休日の外出頻度が高い人は、基本的には情報提示数が増えることで来訪意欲 が増加するが、文章のみの情報では来訪意欲が喚起されづらい。 ・流行りものが好きな人は、面識がない発信者からの情報を連続して与えられ ることで、来訪意欲がより高まる。
5-7.来訪意欲発生のための情報提示順序モデル
第5章 分析
044
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
<情報パターンと街への来訪意欲から> ・「店内写真」「発信者の経験」の含まれる情報を「面識のある発信者からの情 報」より先に提示することが、来訪意欲の喚起のためには重要である。 ・視覚情報より先に文章情報を提示することで、想像をふくらませ、来訪意欲 への喚起につながると考えられる。
以上の性質を、情報のマトリックス上に色分けすることによって示し、また、マトリックスを Z軸方向に重ねることによって、情報の順序について示した。
5-7.来訪意欲発生のための情報提示順序モデル
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年修士論文
まとめ・展望第6章
6-1.まとめ
6-2.展望
001
第6章 まとめ
002
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年修士論文
6-1. まとめ
情報を閲覧する順序によって、生じる来訪意欲が異なることが明らかになった。項目別に以下の特徴が明らかになった。
・男性は「面識のある発信者からの情報→視覚情報」の順序での情報提示が 来訪意欲を引き起こし、「引用性」のある情報には来訪意欲を喚起されない。・女性は、文章情報の後に視覚情報を閲覧することが、来訪意欲向上に有効。・30~ 60代以上の人は 10~ 20代の人に比べて、面識のある人の伝聞に基づ く視覚情報閲覧の後、面識のある人からの文章情報を閲覧することによる来訪 意欲の増加が大きい。
・休日の外出頻度が高い人は、基本的には情報提示数が増えることで来訪意欲 が増加するが、文章のみの情報では来訪意欲が喚起されづらい。・流行りものが好きな人は、面識がない発信者からの情報を連続して与えられ ることで、来訪意欲がより高まる。
・Foursquare、Instagram など積極的に様々な SNS を利用している人は、SNS で 取得した情報に興味を持ちやすい。
・「店内写真」「発信者の経験」の含まれる情報を「面識のある発信者からの情 報」より先に提示することが、来訪意欲の喚起のためには重要である。・視覚情報より先に文章情報を提示することで、想像をふくらませ、来訪意欲 への喚起につながると考えられる。
また、これらを元に、来訪意欲発生のための情報提示順序モデルを作成した。
2-1.街における休憩の現状
第6章 まとめ
003
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年修士論文
6-2. 展望
本研究を踏まえた今後の展望は、以下の通りである。
・情報の性質に着目した順序の組み合わせは数えきれないほど多く、今回は来訪意欲への影響が強いと思われる順序についてのみ検証を行った。まだ検証しきれていない順序も存在しているため、今後はこれら順序の検証も期待される。
・情報の受信者の状態について、本研究では自宅のパソコンでの受信を想定した が、今後はスマートフォンによる情報受信技術の向上や普及に伴い、実際の街 空間においての行動意志決定と情報提示順序との関係を明らかにし、情報提示 の指針を得ることが望まれる。
・今回の情報提示に関しては、情報受信者の行動履歴や経験までは考慮されてい ない。今後はこれらの情報を用いて、より個人の嗜好に見合った情報提示の 指針が必要である。
2-1.街における休憩の現状
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おわりに
001
第6章 まとめ
002
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年修士論文
おわりに
最後になりましたが、お世話になった皆様へお礼を申し上げます。
仁史先生、仁史研への思いを胸に大学に入学してからの6年間が、いよいよ終わろうとしています。仁史先生には、研究についてはもちろんのこと、ごはんをご一緒させていただくなかでのおしゃべりでも、たくさん勉強になることがありました。ありがとうございます。まだまだ教わりたいことは山ほどあります。これからも末永く、よろしくお願いいたします。林田先生、先生には最後の最後までご心配をおかけし、大変お世話になりました。3年間、どんなお忙しい時も快く相談に乗っていただき、心から感謝しています。そして、いつも美味しい差し入れをありがとうございました。最後に狸せんべいを全種類堪能できて嬉しかったです、厚かましくてすみませんでした。夏子さん、夏子さんには研究生活の節目節目に、的確なアドバイスをいただきました。ありがとうございます。健康ゼミの旅行に参加させていただいたのも、いい思い出です。弘祐さん、弘祐さんには研究トークから女子トーク(?)までいつも相談に乗っていただきました。ありがとうございます。とても親しみやすい先輩だったゆえに失礼も多々あったかと思いますが、お許しください。あと、体はご無理なさらずに。ぶっちーさん、ぶっちーさんにはダイエット法からツボ健康法まで、いろいろお教えいただきかなり助けていただきました。ただでさえ研究でお忙しい生活の中、いつも精力的に動き回っているぶっちーさん。見習いたいです。
そして、今まで仁史研生活でお世話になった、先輩方。卒論生のときに行動ゼミで散々お世話になった阿部さん。修論でも差し入れいただきました。卒業なさったあとも可愛がって(たぶん)いただき、感謝感謝です。同じく行動ゼミの先輩だった西さん。卒論を助けていただいたり、遊びに誘っていただいたり。研究室入って楽しい!と思わせてくださった先輩です。
また、修士に入って情報ゼミに移籍し、新たなゼミの先輩方に囲まれて少し新鮮な気持ちになりました。おかたつさん。朝までおしゃべりに付きあわせてしまったことも多々、、、懐かしいです。研究室の思い出ランク上位です。奥津さん。カフェから研究まで幅広い引き出しに、とにかく尊敬です。修論でもとてもご親切アドバイスをいただき、本当に感謝しています。
2-1.街における休憩の現状
第6章 まとめ
003
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年修士論文
頼れる後輩にも恵まれました。特にこの修論では、彩花ちゃん、萌ちゃん、もにーに本当にお世話になりました。卒計直後で疲れていただろうに、そんなそぶりひとつ見せず手伝ってくれて、感謝しています。
そして、同期のみんな。愉快な仲間たちと、あっという間の3年間でした。もうこれからはみんなと会うのも当たり前ではないんだな~と思うと、感慨深いですね。
2-1.街における休憩の現状
参考文献
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早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
参考文献
第0章*1 「新宿駅東口のまちづくりに関するアンケート調査の結果報告」(新宿区/平成 21 年 2 月実施)*2 大阪狭山市市役所 HPhttp://www.city.osakasayama.osaka.jp/6,640,58.html*3 井上友香理 , 江原徹朗 , 林田和人 , 渡辺仁史「施設利用者における休憩需要の空間的広がりに関する研究」日本建築学会学術講演梗概集E-1,2010,pp731-732,2010-07-20*4 田中遵 , 大塚真 , 日高單也「移動用サインと屋内広告サインとの混在環境が利用者に及ぼす影響 , 駅構内に於けるサイン計画の違いについて : 交通公共施設のサイン計画に関する基礎的研究 その 2 」日本建築学会計画系論文集 (597), 23-30, 2005-11-30*5 Pin@clip HPhttp://pinaclip.jp/what/index.html*6 NEC 街歩き社会実験:http://www.nec.co.jp/embedded/umat/nara-pt/*7 井上友香理 , 菊地弘祐 , 林田和人 , 渡辺仁史「行動軌跡の履歴表示による街歩き行動の変化に関する研究」日本建築学会第 33 回情報・システム・利用・技術シンポジウム論文集 ,2010.12,pp.159-162
第2章*8 ICT 総研「SNS 利用動向・広告活用状況に関する調査」http://www.ictr.co.jp/topics_20111227.html*9 Twitterhttp://twitter.com/*10 NEC ビッグローブによる日本国内のツイッター利用動向調査(2011 年 6月 6 日発表)http://www.advertimes.com/20110607/article18847/*11 ニールセン・ネットレイティングス「2011 年 8 月のインターネット利用動向調査結果」http://www.netratings.co.jp/news_release/2011/09/facebook100017.html*12 IMJ モバイル「ソーシャルメディアに関する利用実態調査」(2010 年 3月実施)http://www.imjmobile.co.jp/news/report_20100517-266.html
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早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
*13 太駄健司 , 西田光毅 , 澤紫臣「ソーシャルメディア調査報告書 2011」(インプレス R&D,2011.08.04)*14 総務省「平成 18 年度情報流通センサス報告書」www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/ic_sensasu_h18.pdf*15 宮木由貴子「消費者における情報の受発信と意識 ̶メディアの多様化と関係性の複雑化̶」ライフデザインレポート (191), pp28-39, 2009*16 富士経済「通販・e-コマースビジネスの実態と今後 2011-2012 市場編」http://release.nikkei.co.jp/attach.cfm?attID=0300565_01.JPG*17(社)日本通信販売協会「ネット通販 利用頻度高まる傾向」www.jadma.org/pdf/press/press_20111221.pdf*18 株式会社マクロミル「若者の生活意識調査 2008」http://www.macromill.com/r_data/20080228young/*19 石塚敦子 , 小川妙子「施設入所高齢者のおしゃれへの関心と動機」医療看護研究 2(1), 11-16, 2006-03*20 NPO 法人 大丸有エリアマネジメント協会http://www.ligare.jp/1_shokai/index.html*21 環境交通モデル事業(東京都・新宿区) http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2008/07/DATA/20i7b300.pdf*22 熱海市観光基本計画http://www.city.atami.shizuoka.jp/www/contents/1196994546399/activesqr/common/other/4758b25c003.pdf*23 国土交通省観光庁「まちめぐりナビプロジェクト(まちナビ)」http://www.mlit.go.jp/kankocho/about/index.html*24 「盛り上がりマップ」実験報告http://www.tokyu.co.jp/contents_index/guide/pdf/090316_2-s.pdf
第3章*25 総務省「平成 18 年度版 情報通信白書」http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h18/html/i1620000.html*26 総務省「消費者の ICT ネットワーク利用状況調査」*27 WEB DREAM ソーシャルメディアガイドより転載http://www.rss-ais.com/2010/03/14/social-media-3/
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早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2011 年度修士論文
*28 株式会社 IMJ モバイル : ロケーション・ベースド・サービスの利用に関する調査」~ チェックインが生み出す来店促進・興味喚起の連鎖 ~http://www.imjmobile.co.jp/news/report_20111215-325.html*29 宮木由貴子「消費に関する情報伝達 - 家族や知人に伝えるクチコミ、ネット上に配信する e クチコミ -」, ライフデザインレポート (197), 4-15, 2011*30 総務省「平成 23 年版 情報通信白書」第 2 部 第 1 章http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h23/html/nc213210.html
第4章*31 CAFE アナログhttp://www.atticroom.jp/analog/*32 カフェ Arkhttp://atticroom.jp/ark/index.html*33 Facebookhttp://www.facebook.com/*34 Twitterhttps://twitter.com/*35 Foursquarehttps://ja.foursquare.com/*36 Instagram http://instagr.am/*37 食べログhttp://tabelog.com/*38 「若者の生活意識調査 2008」
http://www.macromill.com/r_data/20080228young/*39 「ソーシャルメディア調査報告書 2011」http://news.mynavi.jp/photo/news/2011/08/15/008/images/001l.jpg
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