ビジネス連携 vol7

Post on 14-Apr-2017

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Business

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105

8 はじめに

1 なぜ今、連携なのか?

2 企業連携の種類

3 連携するきっかけ

4 成功する企業連携の流れ

5 戦略企画フェーズ

6 連携先調査・打診フェーズ

7 連携計画策定フェーズ

8 契約フェーズ 9 実施・モニタリングフェーズ

10 解消フェーズ

11 企業連携成功の勘所

12 国の支援策

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(4)契約フェーズ 前段階でも、NDA、基本合意書、覚書等の契約を結ぶんでいるはずですが、ここでは連携体として事業を推進するに必要な正式な契約を結びます。

ステップ⑬ 企業連携に関する契約書の作成

ステップ⑭ 契約の締結

契約フェーズの2つのステップ

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ステップ⑬ 企業連携に関する契約書の作成

ここまで企業連携プロジェクトの細部にわたって、計画してきました。この内容を契約書にしましょう。

これまでも、 秘密保持契約書

基本合意書

を取り交わしてきましたが、この時点の契約が正式な企業連携の契約になります。

秘密保持契約書 基本合意書

企業連携に関する契約書

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契約書に盛り込む項目の細部は、連携の種類によって異なりますが、主な項目として

企業連携の目的

連携にあたって共有すべき経営資産の明確化

経営資産の使用範囲、使用条件

企業連携の推進方法

負担費用の明確化、発生利益の分担方法

経営資産の品質保証

企業連携の期間、契約解消の方法

等があります。

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企業連携のタイプによって、締結する契約書の名前も変わります。

どの種類の契約を締結するかはもちろん重要ですが、自分で契約書を作成する場合、それがどのタイプの企業連携なのかを知っておけば、雛型を探しやすくなります。(多くの種類の雛型がインターネット上でダウンロードできる)

共同開発契約 共同研究、部品提供、設備提供・・・

技術提携契約 ライセンス、技術供与・・・

販売提携契約 代理店、販売委託・・・

業務委託契約 生産委託、OEM、人材派遣、請負・・・

自社の企業連携に必要な契約書はどんなものなのか?

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企業連携に関する細部の条件は、ステップ⑩で詰めてきたと思います。

その内容を、契約書の雛型をベースにしてカスタマイズしていけばよく、ここでは以下の契約タイプ別にポイントとなる部分をいくつか挙げておきます。

ライセンス契約

共同開発契約

販売店契約

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ライセンス契約で最も重要なのは、ライセンスの付与とそれに対するロイヤルティです。

次のような条項を忘れてはなりません。

・実施できる範囲はどの部分なのか?(特許のどの部分等) ・通常使用権なのか専用使用権なのか? ・ライセンス対象の、有効性、目的達成の保障をどうするか? ・ライセンス侵害に対する対応は誰が行うか? ・ライセンシーが第三者に製造委託をするのは再実施なのか? ・ロイヤルティをどう規定するか? ・ライセンサーの支援はどこまで行われるのか?

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共同開発契約で重要なのは、何よりも増して成果の帰属です。

次のような条項を盛り込みます。 開発の貢献度をどう測定、認定するか?

成果の帰属はどうするか?共同にするか?

費用の管理、分担はどうするか?人件費も管理するか?

開発業務の分担、意思決定の方法はどうするか?

契約終了時の青果物の扱い

類似研究、開発の制限

など

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販売店契約で注意したい点は以下の通りです。

代理店やフランチャイズとの違いを理解したうえで作成しましょう。

・販売権は独占的か、非独占的か? ・最低購入数量は?未達成の場合のペナルティは? ・販売価格の決定は?独占禁止法に抵触しないか? ・製品の保証をどの程度するか?保証期間は?瑕疵の範囲は? ・知的財産権に関する事項 ・競合製品取り扱い制限の有無 ・広告宣伝の方法、その制限に関する事項

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プロジェクトメンバーの法務担当の方がこの作成を担当されると思いますが、専門家でない場合は、外部の専門家(弁護士、行政書士等)を活用することをお勧めします。

ただし、外部の専門家を活用した場合は、限りなく“冷たい”契約書になるのが通常ですので、そのままは利用できないかもしれません。

コア企業が作成し、内容を連携先企業に確認してもらうのが良いでしょう。自社に専門家がいないからといって、相手企業にまかせてしまわないようにしてください。

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ステップ⑭ 契約の締結

作成した契約内容について、社内での確認と承認、次に連携先企業との調整、確認を行います。

この調整、確認が数回繰り返されるのが通常です。毎回議事やペンディングリストを作成し、ループしないように注意します。

ペンディングリストには、双方の主張、譲れない事項、その理由などを必ず書きます。この見える化が、ループさせないためのコツです。

問題がなくなれば、契約手続きを行います。

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9 はじめに

1 なぜ今、連携なのか?

2 企業連携の種類

3 連携するきっかけ

4 成功する企業連携の流れ

5 戦略企画フェーズ

6 連携先調査・打診フェーズ

7 連携計画策定フェーズ

8 契約フェーズ

9 実施・モニタリングフェーズ 10 解消フェーズ

11 企業連携成功の勘所

12 国の支援策

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(5)実施・モニタリングフェーズ 契約後は連携体による事業/ビジネスが立ち上がり、実行およびマネジメントが行われていきます。

ステップ⑮ 企業連携プロジェクトのスタート

ステップ⑯ プロジェクトのモニタリング

実施・モニタリングフェーズの2つのステップ

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ステップ⑮ 企業連携プロジェクトのスタート

ついに、企業連携の実際の活動がスタートします。

まずは、プロジェクト運営のための資料を作成しましょう。

「また資料かよ!」と思わないでくださいね。

これは、企業連携計画ではなく、「プロジェクトを運営していくための計画書」です。

連携の計画がきっちりできたのに、なかなか思うように進まない企業があります。

そういった企業の多くは、このプロジェクト計画書が無いことが少なくないようです。

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プロジェクトマネジメントのフレームワークであるPMBOKを参考に少しだけ触れておきます。

プロジェクト計画書には、以下の項目について記載します。 スコープ管理

マスタスケジュール&マイルストーン(WBSは添付)

進捗管理

変更管理

品質計画

リスク管理

人的資源管理

コミュニケーション計画

体制、役割

他必要な事項

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プロジェクト計画書のサンプルです。

プロジェクト計画書のサンプル

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ついに、企業連携の実際の活動がスタートします。

まずは計画書に記載された自社のメンバーを集めます。

このとき、社長または担当役員の意気込みの発表を皮切りに、プロジェクトマネージャーから計画の説明、プロジェクトの位置づけと、招集されたメンバーに期待する役割等を説明します。(事前のネゴ、説明は必要。当日いきなりは絶対に無し!)

内容を理解したところで、別途具体的なアクションプランを説明していきます。

メンバーが自分の活動をイメージ出来たら、WBSに沿って具体的なアクションをスタートさせます。

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連携先とのプロジェクトキックオフミーティングも行います。

企画書または事業計画書を要約した資料をもとに、1~2時間程度を割いて、連携プロジェクトの流れを説明していきます。

ここでも、それぞれの企業のプロジェクト責任者(社長または担当役員クラスが望ましい)が出席し、両社トップの熱い意気込みを確認します。

第二部は全員で集まって懇親会など行います。まだ初顔合わせでぎこちないかもしれませんが・・・

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キックオフミーティングが終われば、あとは実際のアクションを進めるだけです。

計画通りにミーティングを重ね、必要な作業を順次進めていきます。

このときのプロジェクトマネージャーの心持として、検討段階から携わっていた人、そうでない人の温度差があって当然ですから、はじめは流れに乗るまではギアをトップにいれないほうが、イライラ感は少なくなります。

まずは、両社の人間関係の構築からはじめましょう。

ここまでしっかり準備したのですから、あせりは禁物です。

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社長や担当役員として、一番やきもきするのは物事が進まない事です。

プロジェクトマネージャーが優秀であれば、なんだかんだいってプロジェクトは進んでいきます。 (各ステップ、タスクの品質、成果物の善し悪しはどうあれ)

プロジェクト計画書にしたがって、プロジェクトマネージャーは進捗管理、問題管理等を適切に行っていきます。

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企業連携プロジェクトの視点でのプロジェクトマネージャーの管理項目を記載します。

スコープ管理 予想外の研究結果、よりよいアイデアの思いつき等によって 相手企業が目的、目標を見失っていない事を確認する。

進捗管理 予定通り進まない原因は何か?早めに傾向を捉える。相手の遅延をどうリカバリーさせるか?意識させ、決して責めない。

変更管理 スコープおよび当初予定作業の変更必要性、妥当性、影響を調査する。その変更は最終的に目的達成できるか?

品質管理 主に相手企業の途中での研究成果や作成ドキュメント、製造物等の内容は目的達成のためのレベルをクリアできているか?

リスク管理 特に人の問題。相手企業の状況(方針、トップ体制)は変更ないか?オフサイトミーティングで相手企業の“うわさ”を入手する。

コミュニケーション管理 オフサイトミーティングを有効活用する。非公式な場での真面目な話がメンバー全員気軽にできるようにしむける。

費用、調達管理 メンバーが委縮しない程度に意識させる。必要な時に資源が調達できるように予め社内でネゴする。

人的資源管理 適切な工数、勤務体系を維持させる。能力的な無理はさせても無駄。

企業連携でのプロジェクトマネージャーの管理ポイント

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マネジメント項目を列挙しましたが、要は 「誰がいつまでに何をどうするか、今どこまで進んだか、何か問題があればそれをどう解決するのか?」 を常に気にしていなさい、という事です。

そのためには、計画の段階でWBSをどれだけ作れるかが最大のポイントです。

企業連携プロジェクトのWBS(スケジュールとしても利用)

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ステップ⑯ プロジェクトのモニタリング

二つの視点で考えます。

1.プロジェクト実施中(商品開発途中、共同研究途中等) ⇒全体スケジュールの中でチェックポイントを設け、次のフェーズ、ステップに進むかどうかを判断します。役員会、ステアリングコミッティ等で必要情報を揃えて、審議します。

2.連携プロジェクトが完了し、企業連携事業が開始された後 ⇒事業計画の中で設けたチェックポイント(「事業目標」または「収支計画」の部分)で評価します。

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