2014/11/28...

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20141128東京農工大学総合メディアセンターシンポジウム 茂出木理子

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ラーニングコモンズとこれからの大学図書館

東京外国語大学学術情報課長

茂出木理子

Twitter @modekiriko

2014年11月28日東京農工大学総合メディアセンターシンポジウム

1

Twitter歓迎

#MRLC

恥ずかしげもない自己紹介

茂出木 理子(もでき りこ)東京大学理学部、東京大学総合図書館、学術情報センター、東京大学情報基盤センター、国立情報学研究所、お茶の水女子大学図書・情報課長、東京大学教養学部等図書課長の勤務を経て、平成25年4月から現職(東京外国語大学学術情報課長)

2009年第11回図書館総合展ポスターセッション最優秀賞受賞。

趣味は、掃除とプレゼンテーション。明るく元気なプレゼンには定評がある。(某誌での紹介文から)

2

ラーニング・コモンズの定義

複数の学生が集まって、電子情報も印刷物も含めた様々な情報資源から得られる情報を用いて議論を進めていく学習スタイルを可能にする「場」を提供するもの。

(平成25年8月 科学技術・学術審議会学術分科会学術情報委

員会「学修環境充実のための学術情報基盤の整備について(審議まとめ)」用語解説から)

3

辞書的号令だけでうまく行くなら苦労はない!!

4

「アクティブ・ラーニング・スペース」

の設置状況 平成25年5月1日現在

典拠:平成25年度学術情報基盤実態調査結果報告全国国公私立大学図書館(1,486館)を対象とした調査

設置20.6%

未設置79.4%

5

ラーニング・コモンズ事始め

米澤誠「インフォメーション・コモンズからラーニング・コモンズへ:大学図書館におけるネット世代の学習」カレントアウェアネス. No.289, 2006年

「インフォメーション・コモンズからラーニング・コモンズへの転換は、学部教育の新たなパラダイム転換,すなわち学習理論が『知識の伝達』から『知識の創出・自主的学習』に移行したことを反映したものである」

6

2008年自著論文の振り返り(1)

• コモンズ(commons)とは「共有」ある

いは「公共の場」を意味するが,パブリック(public)という言葉に比較して,

単なる共通の場というよりは「誰のものでもない」「垣根のない」という意味合いが強いように思われる。

茂出木理子. ラーニング・コモンズの可能性-魅力ある学習空間へのお茶の水女子大学のチャレンジ―. 情報の科学と技術. 2008, vol.58, no.7, p.341-3467

2008年自著論文の振り返り(2)

• 図書館に入ってまず目にするものがカードボックスであるという事実が、利用者とりわけ教員の図書館に対する意識を形成していたのではないか。

カードボックスがいわば「知の積み重ね」を示すものであるとするなら、ラーニング・コモンズが象徴するものは、 「コミュニ

ケーションから創造される知」であり、答えがないものを考える力を育む場でもある。

8

ラーニング・コモンズって

どんなイメージ?

9

同志社大学良心館ラーニング・コモンズ

たとえば、こんな空間?

10

同志社大学良心館ラーニング・コモンズ 「インフォダイナー」

たとえば、こんな空間?

11

たとえば、こんな空間?

東京大学駒場アクティブラーニングスタジオ(KALS)12

たとえば、こんな空間?

お茶の水女子大学図書館 2008年撮影 13

たとえば、こんな空間?

Univ. Massachusetts Amherst 2007.3 撮影 14

たとえば、こんな空間?

Univ. Massachusetts Amherst 2007.3 撮影 15

たとえば、こんな空間?

Mount Holyoke College, Library 2007.3 撮影 16

たとえば、こんな空間?

愛知大学図書館 2014.10 撮影 17

たとえば、こんな空間?

名古屋大学図書館 2014.10 撮影 18

たとえば、こんな空間?

東京外国語大学研究講義棟 2014.11 撮影 19

たとえば、こんな空間?

国際基督教大学図書館 2014.11 撮影 20

たとえば、こんな空間?

東京海洋大学図書館 2014.10撮影 21

たとえば、こんな空間?

東京海洋大学図書館 大学院のゼミ 2014.10撮影 22

たとえば、こんな空間?

大手前大学メディアライブラリーCELL 2013.9撮影 23

たとえば、こんな空間?

東北大学附属図書館 24

たとえば、こんな空間?

岡村製作所ラーニングコモンズ用家具紹介HPより25

では、こんな空間は?

くまもと森都心プラザ図書館写真提供 アカデミック・リソース・ガイド株式会社岡本真氏

26

ラーニング・コモンズを構成するもの(共通するイメージ)

• 什器 :可動性 明るくポップなイメージ

• 床、壁:フラットで可視性に優れている

• ICT環境、文具:とにかく便利、すぐ使える

• サポート:気軽に聞ける

• おしゃべりOK 飲食OK? 学術コンテンツ?27

ラーニング・コモンズの構成要素McMullenの2007年の調査

28

Susan McMullen . US Academic Libraries: Today’s Learning Commons Model. PEB Exchange, 2008/4. no.62 p.6

①コンピュータエリア②サポートデスク③共同学習スペース④プレゼンサポート(高機能PC、大型スキャナー)⑤教員への授業支援⑥電子教室⑦学生支援センター(ライティング、キャリアサポート)⑧交流・イベントスペース⑨ラウンジ・カフェスペース

ラーニング・コモンズの利用実態【文献紹介】

29

数日間の「観察調査」を通して、実証的に利用実態を明らかにする。

① 立石亜紀子. 大学図書館における「場所としての図書館」の利用実態. Library and information science. 2012, no.67 p.39-61

② 三根慎二. ラーニング・コモンズはどのように利用されているか : 三重大学における事例調査. 三田図書館・情報学会研究大会発表論文集. 2012, p. 25-28

③ 山下樹子. 美術大学図書館の利用実態 : 横浜美術大学の事例から.アート・ドキュメンテーション通信. 2014, no.102p.22-25

物理的構成物は重要な要素

しかし、それだけで

ラーニング・コモンズを語ることは無理がある

30

なぜ、ラーニング・コモンズなのか

1. 学習成果(アウトカムズ)の重視

授業外学習も正課である

アクティブ・ラーニングが有効

2.教育・学習の見える化

他人の目、アフォーダンス(affordance)としての図書館

学習行動の連鎖、習慣化

31

武蔵野プレイス

「アクションの連鎖」が起こる施設をめざして

参考: 武蔵野プレイスについて http://www.musashino.or.jp/place 32

気づき

知る参加

創る

なぜ、図書館に、なのか

1.良いこと 利用者にとって

図書館にとって

2. 悪いこと 利用者にとって

図書館にとって

利用者(学生、教職員、学外者etc)に

とって、トータルで便利で、かつプラスα

の「連鎖」が得られること

33

MOOCsとラーニング・コモンズ

くまもと森都心プラザ図書館写真提供 アカデミック・リソース・ガイド株式会社岡本真氏

MOOCs 「オープンエデュケーション」を前提とした学習機会を促進する活動

鈴木謙介『ウェブ社会のゆくえ―<多孔化>した現実のなかで』2013年多孔化:

日常生活の様々な場面においてウェブへのアクセスが発生する現在の状況

図書館・ラーニング・コモンズは、どこまで垣根のない場なのか?

34

ラーニング・コモンズと大学図書館学習者

学習したい人

授業

ゼミ

授業外学習

学会・研究会

学外社会活動

サークル

MOOCs

SNS

自主ゼミ

自学自習

ボランティア

グループ学習

インターンシップ講演・執筆35

Stop!!なんちゃってラーニング・コモンズ

1. ラーニング・コモンズの主役は何か

2. 「人がつながること」を目的としない

36

私が感銘を受けた場所

• 大手前大学メディアライブラリーCELL

現状を客観的・冷静に見て「やらないこと」を決めている

• 東京海洋大学附属図書館

現場の「裏目標」を持っている

37

ラーニング・コモンズを運営する(1)

井上真琴同志社大学教育支援機構学習支援・教育開発センター事務長

施設や設備の先行投資ではなく、新たな高等教育を開拓する「思想」、「理念」の先行投資として、ラーニング・コモンズを作る。IDE現代の高等教育, 2013

社会構成主義の学習観にもとづき、アクティブ・ラーニングを展開する

学習環境

38

ラーニング・コモンズを運営する(2)

Dr. Lisa Hinchliffe, University of Illinois at Urbana

能力以上のもの― 習慣,癖

私が学生に望むのは,習慣的に疑問を投げかけること,新しい知識を求めること,批判的に思考すること,情報に基づいて決断を下すことです。

Research Strategies, 2001

39

ラーニング・コモンズを運営する(3)

Dr. Scott Bennett, Yale University Librarian Emeritus

(ラーニング・コモンズで)大事なのは、何がその空間にあるべきかについての私たちの典型的な質問を,あまり典型的ではな

い質問、その空間で何が起こるべきかと交換することである。

Journal of academic librarianship, 2008加藤信哉, 小山憲司編訳『ラーニング・コモンズ: 大学図書館の新しいかたち 』

(勁草書房, 2012) p.77-8340

床がフラットである以上に、什器が可動である以上に、フラットで柔軟であるべきものがある。

41

まとめのことば by茂出木理子

今回、特に参考にした文献リスト

42

1. ノエル・エントウィスル著; 山口栄一訳. 学生の理解を重視する大学授業. 玉川大学出版部. 2010 (ISBN:978-4472404191)

2. ジョンソン,D.W., ジョンソン,R.T., ホルベック,E.J.著; 石田裕久, 梅原巳代子訳. 学習の輪, 二瓶社2010. 改訂新版 (ISBN:978-4861080579)

3. 境敦史, 曾我重司, 小松英海著. ギブソン心理学の核心. 勁草書房. 2002 (ISBN:4326-153644)4. 山内祐平. 大学における学習の変化とラーニングコモンズの未来. 大学図書館研究. 2014,

no.100. p.48-525. 山田政寛. 基調講演新たな学びの空間ラーニングコモンズ (アカデミックコモンズシンポジウム

/第4回高等教育推進センターFD講演会アカデミックコモンズから始まる学びの再発見). 関西学院大学高等教育研究. 2014, no.4. p.117-126

6. 船守美穂. MOOCと図書館:デジタル化時代における大学と図書館に寄せて. Lisn. 2014, no.160. p.1-6

7. 山田恒夫. MOOCとは何か:ポストMOOCを見据えた次世代プラットフォームの課題. 情報管理. 2014, vol.57, no.6. p.367-375

8. 井上真琴. ラーニング・コモンズの理念と目的を探して:同志社大学の経験から. IDE. 2013, no.556. p.17-22

9. 中井孝幸. 利用行動からみた「場」としての図書館に求められる建築的な役割. 情報の科学と技術. 2013, vol.63, no.6. p.228-234

10. 長澤多代. 主体的な学びを支える大学図書館の学修・教育支援機能:ラーニングコモンズと情報リテラシー教育を中心に. 京都大学高等教育研究. 2013, no.19. p.99-110

11. 米澤誠. アフォーダンスとしてのラーニング・コモンズ試論. 東北大学附属図書館調査研究室年報. 2012, no.1. p.43-45

12. 永田治樹. 図書館とインフォメーション・コモンズ. 情報管理. 2010, vol.53, no.7. p.370-380

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