第 7 章 評価と分析亀山充隆(東北大学 大学院情報科学研究科長)...
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7.1 運営協議会報告
第27回東北大学電気通信研究所運営協議会議事録 日 時:平成23年12月9日(金)午後1時30分~午後5時25分 場 所:東北大学電気通信研究所2号館4階大会議室 出 席 者:
秋葉重幸(株式会社KDDI研究所 主席特別研究員) 一村信吾(独立行政法人 産業技術総合研究所 理事) 上田修功(日本電信電話株式会社 コミュニケーション科学基礎研究所長) 江村克己(日本電気株式会社 執行役員 兼 中央研究所長) 太田賢司(シャープ株式会社代表取締役
副社長執行役員 技術担当兼東京支社長) 久保田啓一(日本放送協会 放送技術研究所長) 富田眞治(京都大学 物質-細胞統合システム拠点 特定拠点教授) 富永昌彦(独立行政法人 情報通信研究機構 理事) 西尾章治郎(大阪大学 大学院情報科学研究科 教授) 丹羽邦彦(独立行政法人 科学技術振興機構 研究開発戦略センター 上席フェロー) 吉田 博(大阪大学 大学院基礎工学研究科 教授) 福村裕史(東北大学 大学院理学研究科長) 亀山充隆(東北大学 大学院情報科学研究科長) 河村純一(東北大学 多元物質科学研究所長) 小林広明(東北大学 サイバーサイエンスセンター長)
通研出席者:中沢正隆(教授)所長
庭野道夫(教授)副所長 塩入 諭(教授)副所長 枝松圭一(教授)所長補佐
室田淳一、中島康治、大野英男、外山芳人、村岡裕明、長 康雄、白井正文、大堀 淳、
上原洋一、石山和志、桝井昇一、末光眞希、木下哲男、北村喜文の各教授、多田順次 特任教授
議 事 所長から、次のことについて説明があった。 (1)研究所の平成 23 年活動報告概要説明
(2)電気通信研究機構の設立とその役割 (3)片平南キャンパスの再整備計画について 以上の説明の後、次のような質疑応答があった。
評価と分析
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●東北大を中心に震災復興に向けて新しい最先端テクノロジーを研究することは、大変すばらしいこ
とです。将来は被災地に新たな産業を創出するという発想でしょうか。 ●国で考えているのは、被災地の大学や地元のベンチャー企業が連携し東北地域に産業を根づかせる
ことを考えています。
●5年フェーズで、創造的復興プロジェクトを完成させ、さらに最先端研究プロジェクトへ発展させ
ていくということで、非常に頑張っておられる様子が伺えます。これだけのプロジェクトを成功させ
るためには、コントロールタワーの役割が重要になってくると思われますが、どのような体制にして
いるのでしょうか。 ●機構の運営のため研究戦略企画室を設置しています。そこには、2名の特任教授をコーディネータ
ーとして配置して、将来展望も含めて全体のプロジェクトを管理統括し、革新的研究につながるよう
に配慮しています。 ●電気通信研究機構ですが、メンバーが電気情報系というチームに限られています。防災的に考えて
幅を広げたほうが、よりクリエイティブになると思いますが、いかがでしょうか。 ●電気情報系の先生が中心になりますが、医学関係をはじめ、他分野の教員もほかのプロジェクトに
参画していますのでそれらとの連携も重要だと考えています。 ●電気通信研究機構の組織に興味があります。大学は従来の研究科・研究所ではない研究の組織を考
える必要があります。学生に参加してもらいサイエンスとテクノロジーだけではない、ソーシャル的
に意味のある災害に関するイノベーションを起こしていただきたい。そういう意味でもう少し社会科
学関係の方々も参画していただくとより実効的になると思います。 ●このプログラムには、多くの学生が参加しています。ソーシャル的な視点を入れていくことに関し
ては今後考えていきたいと思います。 ●電気通信研究機構は、透明なフレームという言葉を使われていましたが、大変興味のある仕組みで
感心いたしました。シーズ例の資料を見ますと震災がなくても研究としてやっていくものがあったと
思います。それら震災があったということで意味合いが違ってきたのでしょうか。 ●確かに災害がなくてもこういったテーマはやっていく必要性があると思います。これらは震災があ
ったなかで、先生方から緊急かつ重要な課題として提起されたプロジェクトです。もし震災がなけれ
ばもっと時間をかけてやっていくテーマであったかもしれません。 ●電気通信研究機構を立ち上げ、知識を結集されつつあるというのは非常にいい試みだと思います。
最終的には社会にいかに実を結んでいくかがポイントですから、先生方の総合力を発揮していただく
とともに、産業界と国・県等の公共機関と連携して災害に関するオープンな研究を推進し社会に貢献
していただきたい。 ●外国人の研究者の状況はどうなっていますか。また、日本語の資料だけで、国際版がないようです
が、いかがでしょうか。また、国際化に関しては事務機構が非常に重要な役割を果たすと思いますが、
それらの取り組みはどうなっていますか。 ●国際化については、議題(9)にありますが、ここで説明させていただきます。
残念ながら外国人の教員は現在1名です。24年度は、短期ですが外国人教員を採用することを検
討しています。それから、外国人の客員教員(非常勤)は現在3名で、これは、震災の影響がでてい
ます。24年度は、9名程度採用したいと考えています。また、組織の整備は大事なことと認識して
おり、「国際化推進室」を設置し真剣に取り組んでいるところです。 ●国際共同研究に関する資料を見ますと、欧米の研究所や大学との共同研究が多いようですが、中国、
韓国等との共同研究の状況は、どうなっていますか。 ●通研要覧の66ページに国際学術交流協定校を掲載していますが、中国科学院半導体研究所、台湾
の国立清華大学等とも共同で研究を行っています。 引き続き、次のことについて説明があった。
(4) 通研の新たな施策 ・RIEC News 創刊について ・RIEC Award 創設について
(5 )若手育成 ・独創的研究支援プログラム ・研究交流会
以上の説明の後、次のような質疑応答があった。 ●優秀な若手研究者を育成するという「RIEC Award」の取り組みは、すばらしい制度だと思います。
失礼ですが、財源等はどのようになっているでしょうか。 ●副賞という形で20万円を支給しています。 ●電気通信工学振興会に寄附があり、5年間の運営費があります。 ●若手研究者が科研費の「若手研究」などで採択されることは大変評価されると思います。独創的研
究支援プログラムは、そのスタートアップ経費等であれば理解できますが、それらとの関連で何か特
徴的な判断基準というものがあるのでしょうか。 ●先ほど説明した理念に実質が追いついていない部分もありますが、科研費には申請できないテーマ
でも積極的に応募していただくことにしています。予算の使い方も自由度が高い利点があります。 ●通研の審査委員がこれはおもしろいということに対して懸けてみようという思いがあります。そし
て、将来電気通信研究所の研究の柱になれるようなものがでてきてほしいと考えています。現在3件
研究が行われており、その成果がでた時点で、科研費のアクティビティと何が違うのかを議論してい
く時期があると思います。 ●我々の大学でも通研の独創的研究支援プログラムと似た制度があります。将来新たな分野を開拓し
ていくというストラテジックな意味も込められていると考えています。これらは、国等の大型予算が
投入される課題解決型のものとは違う、ボトムアップで研究所がやるべきものを設定するという判断
基準があっていいと思います。我々の経験では、審査委員の名前をオープンにし、世界の一線級で活
躍している研究者が認めたということを公表することが、若手には大きなインセンティブになってい
たことを紹介しておきたいと思います。 引き続き次のことについて説明があった。 (6 )グローバル化
・グローバル COE プログラム ・東北大学重点戦略支援プログラム(MIT 電子工学研究所
―東北大学電気通信研究所間の国際研究連携について) ・SUNY 連携
以上の説明の後、次のような質疑応答があった。 ●グローバルCOEは平成23年度で終了し、学生のRA等支援がなくなるのは、支障がでてくると
思いますが、今後どのようにしていくのかお考えはありますか。 ●今年度に「博士課程教育リーディングプログラム」が立ち上がっており、さらに来年度は複合領域
評価と分析
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●東北大を中心に震災復興に向けて新しい最先端テクノロジーを研究することは、大変すばらしいこ
とです。将来は被災地に新たな産業を創出するという発想でしょうか。 ●国で考えているのは、被災地の大学や地元のベンチャー企業が連携し東北地域に産業を根づかせる
ことを考えています。
●5年フェーズで、創造的復興プロジェクトを完成させ、さらに最先端研究プロジェクトへ発展させ
ていくということで、非常に頑張っておられる様子が伺えます。これだけのプロジェクトを成功させ
るためには、コントロールタワーの役割が重要になってくると思われますが、どのような体制にして
いるのでしょうか。 ●機構の運営のため研究戦略企画室を設置しています。そこには、2名の特任教授をコーディネータ
ーとして配置して、将来展望も含めて全体のプロジェクトを管理統括し、革新的研究につながるよう
に配慮しています。 ●電気通信研究機構ですが、メンバーが電気情報系というチームに限られています。防災的に考えて
幅を広げたほうが、よりクリエイティブになると思いますが、いかがでしょうか。 ●電気情報系の先生が中心になりますが、医学関係をはじめ、他分野の教員もほかのプロジェクトに
参画していますのでそれらとの連携も重要だと考えています。 ●電気通信研究機構の組織に興味があります。大学は従来の研究科・研究所ではない研究の組織を考
える必要があります。学生に参加してもらいサイエンスとテクノロジーだけではない、ソーシャル的
に意味のある災害に関するイノベーションを起こしていただきたい。そういう意味でもう少し社会科
学関係の方々も参画していただくとより実効的になると思います。 ●このプログラムには、多くの学生が参加しています。ソーシャル的な視点を入れていくことに関し
ては今後考えていきたいと思います。 ●電気通信研究機構は、透明なフレームという言葉を使われていましたが、大変興味のある仕組みで
感心いたしました。シーズ例の資料を見ますと震災がなくても研究としてやっていくものがあったと
思います。それら震災があったということで意味合いが違ってきたのでしょうか。 ●確かに災害がなくてもこういったテーマはやっていく必要性があると思います。これらは震災があ
ったなかで、先生方から緊急かつ重要な課題として提起されたプロジェクトです。もし震災がなけれ
ばもっと時間をかけてやっていくテーマであったかもしれません。 ●電気通信研究機構を立ち上げ、知識を結集されつつあるというのは非常にいい試みだと思います。
最終的には社会にいかに実を結んでいくかがポイントですから、先生方の総合力を発揮していただく
とともに、産業界と国・県等の公共機関と連携して災害に関するオープンな研究を推進し社会に貢献
していただきたい。 ●外国人の研究者の状況はどうなっていますか。また、日本語の資料だけで、国際版がないようです
が、いかがでしょうか。また、国際化に関しては事務機構が非常に重要な役割を果たすと思いますが、
それらの取り組みはどうなっていますか。 ●国際化については、議題(9)にありますが、ここで説明させていただきます。
残念ながら外国人の教員は現在1名です。24年度は、短期ですが外国人教員を採用することを検
討しています。それから、外国人の客員教員(非常勤)は現在3名で、これは、震災の影響がでてい
ます。24年度は、9名程度採用したいと考えています。また、組織の整備は大事なことと認識して
おり、「国際化推進室」を設置し真剣に取り組んでいるところです。 ●国際共同研究に関する資料を見ますと、欧米の研究所や大学との共同研究が多いようですが、中国、
韓国等との共同研究の状況は、どうなっていますか。 ●通研要覧の66ページに国際学術交流協定校を掲載していますが、中国科学院半導体研究所、台湾
の国立清華大学等とも共同で研究を行っています。 引き続き、次のことについて説明があった。
(4) 通研の新たな施策 ・RIEC News 創刊について ・RIEC Award 創設について
(5 )若手育成 ・独創的研究支援プログラム ・研究交流会
以上の説明の後、次のような質疑応答があった。 ●優秀な若手研究者を育成するという「RIEC Award」の取り組みは、すばらしい制度だと思います。
失礼ですが、財源等はどのようになっているでしょうか。 ●副賞という形で20万円を支給しています。 ●電気通信工学振興会に寄附があり、5年間の運営費があります。 ●若手研究者が科研費の「若手研究」などで採択されることは大変評価されると思います。独創的研
究支援プログラムは、そのスタートアップ経費等であれば理解できますが、それらとの関連で何か特
徴的な判断基準というものがあるのでしょうか。 ●先ほど説明した理念に実質が追いついていない部分もありますが、科研費には申請できないテーマ
でも積極的に応募していただくことにしています。予算の使い方も自由度が高い利点があります。 ●通研の審査委員がこれはおもしろいということに対して懸けてみようという思いがあります。そし
て、将来電気通信研究所の研究の柱になれるようなものがでてきてほしいと考えています。現在3件
研究が行われており、その成果がでた時点で、科研費のアクティビティと何が違うのかを議論してい
く時期があると思います。 ●我々の大学でも通研の独創的研究支援プログラムと似た制度があります。将来新たな分野を開拓し
ていくというストラテジックな意味も込められていると考えています。これらは、国等の大型予算が
投入される課題解決型のものとは違う、ボトムアップで研究所がやるべきものを設定するという判断
基準があっていいと思います。我々の経験では、審査委員の名前をオープンにし、世界の一線級で活
躍している研究者が認めたということを公表することが、若手には大きなインセンティブになってい
たことを紹介しておきたいと思います。 引き続き次のことについて説明があった。 (6 )グローバル化
・グローバル COE プログラム ・東北大学重点戦略支援プログラム(MIT 電子工学研究所
―東北大学電気通信研究所間の国際研究連携について) ・SUNY 連携
以上の説明の後、次のような質疑応答があった。 ●グローバルCOEは平成23年度で終了し、学生のRA等支援がなくなるのは、支障がでてくると
思いますが、今後どのようにしていくのかお考えはありますか。 ●今年度に「博士課程教育リーディングプログラム」が立ち上がっており、さらに来年度は複合領域
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型の一つとして情報の領域が入ることとなり、情報科学研究科、工学研究科と電気通信研究所が協力
して応募することを検討しています。また、電気通信研究機構の研究においても学生に参加してもら
い研究教育を機動的に進めていきたいと考えています。 ●グローバルCOEで、RAの学会発表等が非常に盛んですが、海外での研修数がそれに比べると随
分少ないようですが、これは予算的な制約など原因があるのでしょうか。 ●残念ながら学生が参加しようとしないのが現実です。博士後期課程の中で、長期インターンシップ
で海外に行くと博士論文作成に支障がでるのではないかという不安があり、我々もずいぶん努力しま
したが、研修件数が伸びなかったというのが現状です。 引き続き、次のことについて説明があった。
(7)産学連携の推進 ・産学連携マッチングファンド ・共プロ U、共同研究成果発表会
(8 )各種報告会シンポジウムについて ・通研シンポジウム ・東京フォーラム ・国立大学附置研究所・センタ一長会議臨時総会報告
以上の説明の後、次のような質疑応答があった。 ●共同プロジェクト研究は予算が少ないようですが、電気通信研究所が、電気通信分野のコミュニテ
ィからどれだけ期待され支援されるかが重要であり、また、それと同時にコミュニティとして電気通
信分野を今後どういう方向に持っていくのかまで議論をしていただきたいと思います。 ●この共同プロジェクト研究を機会に研究者が集まれるということが、コミュニティからの評価も得
られていると思います。方向性を決めるということについても、今後考えてみたいと思います。 ●産学連携研究マッチングファンド制度ですが、民間側が東北大学に資金を渡し、東北大学で一元的
に管理されたプロジェクトになるのかということがひとつ、一方でこれに参画している教員にマッチ
ングファンド限定で、目的をかなり絞った形で使われるのか、それとももう少し幅広く使えるように
なっているのかを伺いたい。 ●それぞれ同額負担で、企業から東北大学に振り込んでいただき、大学で管理しています。研究テー
マは自由で、企業と担当教員が合意したテーマに対してファンドをつけています。 ●そうすると、どうしても企業側が出す資金に関しての制約が強くなり過ぎて自由度がなくなり、マ
ッチングからインセンティブという形に変わってしまいます。我々が行っている制度は、企業側から
参加する研究者は、共同研究を意識しながらももう少し周辺まで踏み出すように、変えてきつつあり
ますのでご参考にしていただければと思います。 ●多くの予算を投じて、大学と連携して行うということに企業はあまり積極的ではありません。アメ
リカの大学が強いのは莫大な寄付があり、また、電気関係のサムソンが圧倒しているのは、技術力で
はなく国が力を注いでいるからです。要するに、国のやり方だと思うのですが、単なる共同研究に終
わることのないよう通研には期待しています。 ●通研は大学で税金が投入されているため、やはり学理の研究、基礎研究を進め、その成果を国民に
フィードバックすることが求められています。学理研究も行いながら実用化研究も進めていくことが
研究所のミッションではないかなと思います。予算は少ないのですが、一つの導火線として大型の研
究にシフトしていくことを考えています。
●マッチングファンドの運営方針では、「東北大学の知的財産権取扱いに関する規程」に準拠するとな
っていますが、具体的にはどういうことでしょうか。 ●「東北大学の知的財産権取扱いに関する規程」は、少し杓子定規なので、臨機応変に企業の意向に
沿った形で対応していきたいと考えています。 ●発明が発生した場合にはケース・バイ・ケースで対応するということでしょうか。 ●そのとおりです。 引き続き、次のことについて説明があった。
(9 ) 通研人事制度の新たな施策 ・特別昇任准教授制度 ・女性教員の増加 ・国際化(外国人教員、外国人ポスドクの雇用)
(10) 課題 ・科研費申請率の向上 ・若手研究者の活性化 ・震災復興への取り組み
●学内においては、申請率について指摘があり、それを改善するため講習会等いろいろ開催し、申請
率をあげたところ今度は採択率が下がってしまいました。共同研究、受託研究が増えてきますと、研
究者にとってその研究に専念したいというのが率直な意見であり、科研費という共通項目は比較しや
すいのですが、無理やり大学の基準に合わせて科研費の申請率を上げるということは必ずしも実績が
あがっているとはいえない面もあります。 ●女子学生が減っているそうですが、これは大学全体で減っていますか、それとも電気情報系だけが
減っているのでしょうか。 ●正確な数字は把握していませんが、たまたま電気情報系だけが減っていると思われます。情報通信
分野は女性には比較的取り組みやすい分野だと思います。対策としては、女性教員が高校へ出向く出
前授業、オープンキャンパスでの女子学生への広報等地道な活動を行い、裾野を広げて行きたいと考
えています。 ●情報科学研究科は女子学生が多いのではないかというお話がありますが、ほとんど変わっておらず、
ソフトフェアが有利だということはないと思います。我々もいろいろな対策を行っていますが、効果
があがっていないのが現状です。 ●情報系学生の就職が非常に困難で、また仕事もきついということで、保護者から女子学生を情報系
には進学させたくないという話もありますが、企業の方からご意見をいただければと思います。 ●女性の数を増やす傾向です。当社では最近外国人女性を積極的に採用するということになってきま
したが、女性の人数を増やすことが目的になってはいけません。優秀な女性の雇用機会を増やすとい
うのが本来の趣旨です。どの分野も同じように女性を増やそうということではなく、優秀な女性が活
躍できるような分野を作り出すことが大事で、そういう分野と情報が融合して新しい分野を切り開い
ていくことが女性の人材育成、雇用増大にもつながります。 ●研究開発から離れますが、当法人の技術職は非常に幅広く、女性が体力を使う仕事に就いている例
がいくつもあります。女性にとって体力が必要、仕事がきついということで敬遠するということでは
ないようです。むしろ、情報系の仕事に魅力を感じなくなってきているのではないかと危惧していま
す。
評価と分析
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型の一つとして情報の領域が入ることとなり、情報科学研究科、工学研究科と電気通信研究所が協力
して応募することを検討しています。また、電気通信研究機構の研究においても学生に参加してもら
い研究教育を機動的に進めていきたいと考えています。 ●グローバルCOEで、RAの学会発表等が非常に盛んですが、海外での研修数がそれに比べると随
分少ないようですが、これは予算的な制約など原因があるのでしょうか。 ●残念ながら学生が参加しようとしないのが現実です。博士後期課程の中で、長期インターンシップ
で海外に行くと博士論文作成に支障がでるのではないかという不安があり、我々もずいぶん努力しま
したが、研修件数が伸びなかったというのが現状です。 引き続き、次のことについて説明があった。
(7)産学連携の推進 ・産学連携マッチングファンド ・共プロ U、共同研究成果発表会
(8 )各種報告会シンポジウムについて ・通研シンポジウム ・東京フォーラム ・国立大学附置研究所・センタ一長会議臨時総会報告
以上の説明の後、次のような質疑応答があった。 ●共同プロジェクト研究は予算が少ないようですが、電気通信研究所が、電気通信分野のコミュニテ
ィからどれだけ期待され支援されるかが重要であり、また、それと同時にコミュニティとして電気通
信分野を今後どういう方向に持っていくのかまで議論をしていただきたいと思います。 ●この共同プロジェクト研究を機会に研究者が集まれるということが、コミュニティからの評価も得
られていると思います。方向性を決めるということについても、今後考えてみたいと思います。 ●産学連携研究マッチングファンド制度ですが、民間側が東北大学に資金を渡し、東北大学で一元的
に管理されたプロジェクトになるのかということがひとつ、一方でこれに参画している教員にマッチ
ングファンド限定で、目的をかなり絞った形で使われるのか、それとももう少し幅広く使えるように
なっているのかを伺いたい。 ●それぞれ同額負担で、企業から東北大学に振り込んでいただき、大学で管理しています。研究テー
マは自由で、企業と担当教員が合意したテーマに対してファンドをつけています。 ●そうすると、どうしても企業側が出す資金に関しての制約が強くなり過ぎて自由度がなくなり、マ
ッチングからインセンティブという形に変わってしまいます。我々が行っている制度は、企業側から
参加する研究者は、共同研究を意識しながらももう少し周辺まで踏み出すように、変えてきつつあり
ますのでご参考にしていただければと思います。 ●多くの予算を投じて、大学と連携して行うということに企業はあまり積極的ではありません。アメ
リカの大学が強いのは莫大な寄付があり、また、電気関係のサムソンが圧倒しているのは、技術力で
はなく国が力を注いでいるからです。要するに、国のやり方だと思うのですが、単なる共同研究に終
わることのないよう通研には期待しています。 ●通研は大学で税金が投入されているため、やはり学理の研究、基礎研究を進め、その成果を国民に
フィードバックすることが求められています。学理研究も行いながら実用化研究も進めていくことが
研究所のミッションではないかなと思います。予算は少ないのですが、一つの導火線として大型の研
究にシフトしていくことを考えています。
●マッチングファンドの運営方針では、「東北大学の知的財産権取扱いに関する規程」に準拠するとな
っていますが、具体的にはどういうことでしょうか。 ●「東北大学の知的財産権取扱いに関する規程」は、少し杓子定規なので、臨機応変に企業の意向に
沿った形で対応していきたいと考えています。 ●発明が発生した場合にはケース・バイ・ケースで対応するということでしょうか。 ●そのとおりです。 引き続き、次のことについて説明があった。
(9 ) 通研人事制度の新たな施策 ・特別昇任准教授制度 ・女性教員の増加 ・国際化(外国人教員、外国人ポスドクの雇用)
(10) 課題 ・科研費申請率の向上 ・若手研究者の活性化 ・震災復興への取り組み
●学内においては、申請率について指摘があり、それを改善するため講習会等いろいろ開催し、申請
率をあげたところ今度は採択率が下がってしまいました。共同研究、受託研究が増えてきますと、研
究者にとってその研究に専念したいというのが率直な意見であり、科研費という共通項目は比較しや
すいのですが、無理やり大学の基準に合わせて科研費の申請率を上げるということは必ずしも実績が
あがっているとはいえない面もあります。 ●女子学生が減っているそうですが、これは大学全体で減っていますか、それとも電気情報系だけが
減っているのでしょうか。 ●正確な数字は把握していませんが、たまたま電気情報系だけが減っていると思われます。情報通信
分野は女性には比較的取り組みやすい分野だと思います。対策としては、女性教員が高校へ出向く出
前授業、オープンキャンパスでの女子学生への広報等地道な活動を行い、裾野を広げて行きたいと考
えています。 ●情報科学研究科は女子学生が多いのではないかというお話がありますが、ほとんど変わっておらず、
ソフトフェアが有利だということはないと思います。我々もいろいろな対策を行っていますが、効果
があがっていないのが現状です。 ●情報系学生の就職が非常に困難で、また仕事もきついということで、保護者から女子学生を情報系
には進学させたくないという話もありますが、企業の方からご意見をいただければと思います。 ●女性の数を増やす傾向です。当社では最近外国人女性を積極的に採用するということになってきま
したが、女性の人数を増やすことが目的になってはいけません。優秀な女性の雇用機会を増やすとい
うのが本来の趣旨です。どの分野も同じように女性を増やそうということではなく、優秀な女性が活
躍できるような分野を作り出すことが大事で、そういう分野と情報が融合して新しい分野を切り開い
ていくことが女性の人材育成、雇用増大にもつながります。 ●研究開発から離れますが、当法人の技術職は非常に幅広く、女性が体力を使う仕事に就いている例
がいくつもあります。女性にとって体力が必要、仕事がきついということで敬遠するということでは
ないようです。むしろ、情報系の仕事に魅力を感じなくなってきているのではないかと危惧していま
す。
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●当社の場合は、女性の比率はすこし上がっていると思います。確かに電気系は学生の人数そのもの
が少ないため、電気系出身という人は少ないのですが、他の分野から多く入社しています。我々の研
究所も女性は多く、男性とは視点や考え方が違うので新しい発想の研究につながっていると思います。
通研でも電気系の学部からそのまま進学、採用ということだけではなく工夫してみてはいかがでしょ
うか。 ●私もコメントさせていただきますが、現在の厚生労働大臣は女性就労に非常に熱意を持っておられ、
私どもの会社は男性の産休取得率が非常に高いということでお褒めをいただいたことがありました。
そして今は昔に比べ、労働条件が非常によくなっています。女性教員に対する大学での様々な制度、
取り組み等幅広く広報すれば、人材は集まると思います。 それから、最近は環境あるいはエネルギーなどのテーマがもてはやされていますが、やはりそこに
ベースとなるのは情報・通信の技術あるいはそれに関連する材料だということです。それらの基本を
しっかり身に付けた技術者をぜひ育成していただきたいと思います。 ●新しい分野、異分野というのは非常にいい切り口ではないかと思います。通研でも2人、女性教員
がおり、バイオ系の出身です。エレクトロニクスとほかの分野を結びつけることによって、新しい分
野へ発展させるなどこれからどうしたらいいか検討していきたいと思います。 全体を通じての意見交換 ●新領域の創成あるいは他の分野へのIT、情報通信の活用等災害復興新生研究機構というのは総合
研究の場としてすばらしい取り組みだと思います。ITの活用はどの分野にも関連があるので、情報
通信再構築プロジェクトだけではなくて他のプロジェクトとも連携して成果を収められるよう期待し
ています。 ●通研を組織的に見たとき教授、准教授、助教の構成比率は昔からほとんど変わっていないと思いま
すが、現在活躍されている教授の先生方が若手のときと現在の環境のどこが違っているのか、意識的
に若手を育成しなければならないのか、若手育成のための独創的研究支援プログラムあるいは研究交
流会がなぜ必要なのか、問題設定をどのように置いているのかお聞かせいただきたいと思います。 ●昔は、研究室の構成は1・1・2と助教が多かったのですが、今は教授が多く1・1・1になり、
さらに、1・0・1という形にもなってきました。研究室の若手が少ない状況で、横の連絡が大事だ
と考え交流会などを開催しています。 ●昔は1・1・2という関係で教授、助教授が助教を育ててきたが、現在はそういう機会が少なくな
っているということですか。 ●昔も今も若手の育成というのは非常に大事なことで、そういう意味では変わりはないのですが、環
境がどんどん変わっています。 ●私どもは大学から人材を送り込んでいただいていますが、この頃熱意あるいはポテンシャルが低く
なっているように感じます。大学院生院の数がどんどん増えており、こうした状況で大学院生の質的
底上げを図ることが若手育成の根本であるとすれば、もう少し違う問題設定があってもいいのかなと
思いますがいかがでしょうか。 ●最近は電気情報系の人気が機械系に比べて低いというのが現状です。第一希望で電気情報系に来た
わけではない学生も少なからずおり、そういう中から助教に採用される人もいるわけですけれども、
その人たちにいかにインセンティブを上げて育てていくかが問題です。また、海外に行く学生も少な
くなり、自分がどれくらい高いレベルの研究者として生きていくかを考えているのか甚だ疑問なとこ
ろがあります。若手の研究者自体がそういった形で活性化すべきだと考えています。 ●若手の活性化については、私たちも同じ悩みがあります。結局、本人が何をやるかということがは
っきり持っているかが大事だと思います。やはり「What」の議論をもっとしなきゃいけないというの
が私の思いです。次の10年後、20年後にはどうすべきかなどを他の分野・業種の人たちと積極的
に議論し、将来のことを語ってみることが必要ではないかと思っています。 ●通研は情報通信の伝統のある研究所ですが、少し分野が狭くなっている気がします。異分野の学際
研究を積極的にやられたほうがいいという感じがします。私どものところには170人ほどのポスド
ク研究者がいますが、外国人は31%、女性研究者が26%で、バイオ系が多いと思いますが、材料
関係あたりからおいでいただくと女子学生にとっても魅力的な研究者になれると思います。 ●若手の活性化に関しては、私は「ときめき感」が大事だと思っています。研究がおもしろくてたま
らないという「ときめき」もありますが、すばらしい研究あるいはすばらしい発表を聞いて、ああい
う人になりたい、そういう研究をしてみたいということも若い研究者にインセンティブを与えると思
います。通研にはすばらしい研究者が多くおられるので、それをわかりやすく説明する機会を持つこ
とも大事だと思います。 ポストの問題では、法人化の際の総人件費枠1%減が撤廃されるということですから、若手の人件
費、ポストをしっかり確保し、安心して研究を続けられるような環境を整えることもしっかりやって
いく必要があります。 ●若い人たちは放映されたテレビドラマの職業に憧れをもつようで、その影響はかなり大きいようで
す。電気情報分野でもあのようなドラマをつくることなども考えてもいいのかもしれません。 ●かつて、「プロジェクトX」という番組を見て私はこの仕事をしたいという若い人が多くいました。
一方では物を作るということに興味が失われてきたのかなということもあると感じます。 ●スティーブ・ジョブズには、多くの若者が憧れているようです。先ほど若者の元気がないという話
もありますが、必ずしも若者だけの責任ではなくて、管理者あるいは中堅層がはたして、世界で戦っ
ているのかということもあります。日本は縦社会で、いろいろなデータを共用しようとしても、例え
ば医学のレセプトデータを情報で使いたいといっても厚生労働省は出さない。こういう法的障壁に対
し、大学の有識者の方々が強く言ってやらないと融合研究というのはなかなか生まれません。また、
分野間の異動が卒業学部により制約され融通がきかなかったりするなど社会の在り方も、政界・産業
界等の上層部が総合的な視点で解決していかなければならない問題です。 ●電気通信研究機構の件ですが、文系がほとんど入っていません。将来の新産業を考えると、文系、
理系は車の両輪で文理融合が必要です。これは、東北大学全体で考えることでしょうが、場合によっ
ては、経済、文学、社会学系の人たちを客員教授として通研に採用し、文理融合の研究を推進してい
ただきたいと思います。 それから、質問ですが、以前から通研と青葉山の電気情報系は一体運営ということで、いろいろな
面で協力しているようですが、人事交流で支障などはでていないのでしょうか。 ●今まで通研に文系の先生を採用した例はなかったようですが、それにより新しい分野なり融合領域
が生まれるというターゲットがよく見えるのであれば、客員教員としてなっていただくことは難しい
ことではありません。我々の研究の広がりをさらに大きくすることができると思います。 それから、人事交流ですが、青葉山の電気情報系との人事交流はバランス良く交流されており、支
障はでておりません。 ●災害時のハードとして、情報通信路を確保したときに、そのコンテンツはどういうものを流せば被
災地の人が安心感を持てるのかという、認知あるいは心理など、人文社会系の学問まで踏み込んでい
かないと、新たな産業、サービスは生まれてきません。今後通研としてそういうインタラクションを
認識していくのが大事だと思います。 ●人文社会系の専門家に入っていただくことを積極的に考えたいと思います。
評価と分析
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●当社の場合は、女性の比率はすこし上がっていると思います。確かに電気系は学生の人数そのもの
が少ないため、電気系出身という人は少ないのですが、他の分野から多く入社しています。我々の研
究所も女性は多く、男性とは視点や考え方が違うので新しい発想の研究につながっていると思います。
通研でも電気系の学部からそのまま進学、採用ということだけではなく工夫してみてはいかがでしょ
うか。 ●私もコメントさせていただきますが、現在の厚生労働大臣は女性就労に非常に熱意を持っておられ、
私どもの会社は男性の産休取得率が非常に高いということでお褒めをいただいたことがありました。
そして今は昔に比べ、労働条件が非常によくなっています。女性教員に対する大学での様々な制度、
取り組み等幅広く広報すれば、人材は集まると思います。 それから、最近は環境あるいはエネルギーなどのテーマがもてはやされていますが、やはりそこに
ベースとなるのは情報・通信の技術あるいはそれに関連する材料だということです。それらの基本を
しっかり身に付けた技術者をぜひ育成していただきたいと思います。 ●新しい分野、異分野というのは非常にいい切り口ではないかと思います。通研でも2人、女性教員
がおり、バイオ系の出身です。エレクトロニクスとほかの分野を結びつけることによって、新しい分
野へ発展させるなどこれからどうしたらいいか検討していきたいと思います。 全体を通じての意見交換 ●新領域の創成あるいは他の分野へのIT、情報通信の活用等災害復興新生研究機構というのは総合
研究の場としてすばらしい取り組みだと思います。ITの活用はどの分野にも関連があるので、情報
通信再構築プロジェクトだけではなくて他のプロジェクトとも連携して成果を収められるよう期待し
ています。 ●通研を組織的に見たとき教授、准教授、助教の構成比率は昔からほとんど変わっていないと思いま
すが、現在活躍されている教授の先生方が若手のときと現在の環境のどこが違っているのか、意識的
に若手を育成しなければならないのか、若手育成のための独創的研究支援プログラムあるいは研究交
流会がなぜ必要なのか、問題設定をどのように置いているのかお聞かせいただきたいと思います。 ●昔は、研究室の構成は1・1・2と助教が多かったのですが、今は教授が多く1・1・1になり、
さらに、1・0・1という形にもなってきました。研究室の若手が少ない状況で、横の連絡が大事だ
と考え交流会などを開催しています。 ●昔は1・1・2という関係で教授、助教授が助教を育ててきたが、現在はそういう機会が少なくな
っているということですか。 ●昔も今も若手の育成というのは非常に大事なことで、そういう意味では変わりはないのですが、環
境がどんどん変わっています。 ●私どもは大学から人材を送り込んでいただいていますが、この頃熱意あるいはポテンシャルが低く
なっているように感じます。大学院生院の数がどんどん増えており、こうした状況で大学院生の質的
底上げを図ることが若手育成の根本であるとすれば、もう少し違う問題設定があってもいいのかなと
思いますがいかがでしょうか。 ●最近は電気情報系の人気が機械系に比べて低いというのが現状です。第一希望で電気情報系に来た
わけではない学生も少なからずおり、そういう中から助教に採用される人もいるわけですけれども、
その人たちにいかにインセンティブを上げて育てていくかが問題です。また、海外に行く学生も少な
くなり、自分がどれくらい高いレベルの研究者として生きていくかを考えているのか甚だ疑問なとこ
ろがあります。若手の研究者自体がそういった形で活性化すべきだと考えています。 ●若手の活性化については、私たちも同じ悩みがあります。結局、本人が何をやるかということがは
っきり持っているかが大事だと思います。やはり「What」の議論をもっとしなきゃいけないというの
が私の思いです。次の10年後、20年後にはどうすべきかなどを他の分野・業種の人たちと積極的
に議論し、将来のことを語ってみることが必要ではないかと思っています。 ●通研は情報通信の伝統のある研究所ですが、少し分野が狭くなっている気がします。異分野の学際
研究を積極的にやられたほうがいいという感じがします。私どものところには170人ほどのポスド
ク研究者がいますが、外国人は31%、女性研究者が26%で、バイオ系が多いと思いますが、材料
関係あたりからおいでいただくと女子学生にとっても魅力的な研究者になれると思います。 ●若手の活性化に関しては、私は「ときめき感」が大事だと思っています。研究がおもしろくてたま
らないという「ときめき」もありますが、すばらしい研究あるいはすばらしい発表を聞いて、ああい
う人になりたい、そういう研究をしてみたいということも若い研究者にインセンティブを与えると思
います。通研にはすばらしい研究者が多くおられるので、それをわかりやすく説明する機会を持つこ
とも大事だと思います。 ポストの問題では、法人化の際の総人件費枠1%減が撤廃されるということですから、若手の人件
費、ポストをしっかり確保し、安心して研究を続けられるような環境を整えることもしっかりやって
いく必要があります。 ●若い人たちは放映されたテレビドラマの職業に憧れをもつようで、その影響はかなり大きいようで
す。電気情報分野でもあのようなドラマをつくることなども考えてもいいのかもしれません。 ●かつて、「プロジェクトX」という番組を見て私はこの仕事をしたいという若い人が多くいました。
一方では物を作るということに興味が失われてきたのかなということもあると感じます。 ●スティーブ・ジョブズには、多くの若者が憧れているようです。先ほど若者の元気がないという話
もありますが、必ずしも若者だけの責任ではなくて、管理者あるいは中堅層がはたして、世界で戦っ
ているのかということもあります。日本は縦社会で、いろいろなデータを共用しようとしても、例え
ば医学のレセプトデータを情報で使いたいといっても厚生労働省は出さない。こういう法的障壁に対
し、大学の有識者の方々が強く言ってやらないと融合研究というのはなかなか生まれません。また、
分野間の異動が卒業学部により制約され融通がきかなかったりするなど社会の在り方も、政界・産業
界等の上層部が総合的な視点で解決していかなければならない問題です。 ●電気通信研究機構の件ですが、文系がほとんど入っていません。将来の新産業を考えると、文系、
理系は車の両輪で文理融合が必要です。これは、東北大学全体で考えることでしょうが、場合によっ
ては、経済、文学、社会学系の人たちを客員教授として通研に採用し、文理融合の研究を推進してい
ただきたいと思います。 それから、質問ですが、以前から通研と青葉山の電気情報系は一体運営ということで、いろいろな
面で協力しているようですが、人事交流で支障などはでていないのでしょうか。 ●今まで通研に文系の先生を採用した例はなかったようですが、それにより新しい分野なり融合領域
が生まれるというターゲットがよく見えるのであれば、客員教員としてなっていただくことは難しい
ことではありません。我々の研究の広がりをさらに大きくすることができると思います。 それから、人事交流ですが、青葉山の電気情報系との人事交流はバランス良く交流されており、支
障はでておりません。 ●災害時のハードとして、情報通信路を確保したときに、そのコンテンツはどういうものを流せば被
災地の人が安心感を持てるのかという、認知あるいは心理など、人文社会系の学問まで踏み込んでい
かないと、新たな産業、サービスは生まれてきません。今後通研としてそういうインタラクションを
認識していくのが大事だと思います。 ●人文社会系の専門家に入っていただくことを積極的に考えたいと思います。
評価と分析
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●震災時のいろいろな議論の中で、各論の部分が多すぎて、もう一回全体のネットワークはどうある
べきかというグランドデザインを根本から考える必要があります。 それから、有事と平時の議論のなかで、普段使用しているものが有事のときにどう変わるかという
こと、さきほど話題になっていた制度の問題も重要です。有事には即座にネットワークが相互乗り入
れできる体制をとらなければいけません。これらのことを電気通信研究機構で総合的に議論していく
ことが重要です。 ●電気通信研究機構で扱うネットワークの構成には、無線、光、衛星などいろいろ絡んできます。災
害がなければその分野が孤立してやっていたのかもしれませんが、今回、機構の中でいろいろな先生
が一緒に研究することになりますから十分検討していきたいと思います。 ●災害時に放送で情報を流し、通信をコントロールするという研究は行っていましたが、さきほどの
法の制限のことなど、どういう災害のときにどのように対応するかシミュレーションを行うなど訓練
の必要性を感じています。
委 員 名 任期(年度) 委 員 名 任期(年度)
相 磯 秀 夫 1998~1999 榊 裕 之 2004~2006
青 木 利 晴 2004~2007 塩 見 正 2001~2005
青 野 正 和 2007~2009 下 澤 楯 夫 2002~2003
秋 葉 重 幸 2010~現在 進 藤 秀 一 2000~2001
浅 井 彰二郎 2000~2003 管 村 昇 2003~2004
浅 見 徹 2004~2005 武 市 正 人 2004~2007
甘 利 俊 一 1996~2001 田 中 英 彦 1994~1995
荒 川 泰 彦 2008~現在 谷 岡 健 吉 2006~2007
有 信 睦 弘 2004~2007 谷 口 健 一 2001~2003
飯 島 澄 男 2002~2003 田 村 浩一郎 1995~1997
飯 田 尚 志 2000 東海林 惠二郎 1994~1997
伊 賀 健 一 2004~2006 外 村 佳 伸 2008~2009
池 上 徹 彦 1996~1999 富 田 眞 治 2008~現在
池 上 英 雄 1996~1999 富 永 昌 彦 2008~現在
池 田 克 夫 2000 中 村 道 治 1996~1999
石 井 健一郎 2002 長 尾 眞 1994~1997
一 村 信 吾 2010~現在 西 尾 章治郎 2008~現在
伊 藤 龍 男 2000~2001 丹 羽 邦 彦 2008~現在
今 井 秀 孝 2001 平 石 次 郎 1994
上 田 修 功 2010~現在 廣 田 榮 治 1996~1999
植之原 道 行 1994~1999 三 宅 誠 2002~2003
潮 田 資 勝 2010~現在 山 崎 攻 2000~2001
宇理須 恆 雄 1994~1995 山 田 宰 2000~2001
榎 並 和 雅 2004~2005 山 田 敏 之 1998~1999
江 村 克 己 2010~現在 横 山 直 樹 2002~2007
大須賀 節 雄 1996~1999 吉 田 博 2007~現在
太 田 賢 司 2009~現在 吉 村 和 幸 1994
大 槻 幹 雄 1994~1995 渡 辺 久 恒 2000~2003
大 星 公 二 2000
大 森 慎 吾 2006~2007
岡 部 洋 一 2002~2003
笠 見 昭 信 2000~2001
梶 村 皓 二 1998~1999
片 桐 滋 2005~2007
久 間 和 生 2008~現在
國 尾 武 光 2008~2009
久保田 啓 一 2008~現在
児 玉 皓 雄 2000
後 藤 俊 夫 2002~2003
古 濱 洋 治 1995~1999
小 林 直 人 2004~2008
坂 内 正 夫2000~20012006~現在
7.2 過去の運営協議会委員名簿(外部者のみ)
評価と分析
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●震災時のいろいろな議論の中で、各論の部分が多すぎて、もう一回全体のネットワークはどうある
べきかというグランドデザインを根本から考える必要があります。 それから、有事と平時の議論のなかで、普段使用しているものが有事のときにどう変わるかという
こと、さきほど話題になっていた制度の問題も重要です。有事には即座にネットワークが相互乗り入
れできる体制をとらなければいけません。これらのことを電気通信研究機構で総合的に議論していく
ことが重要です。 ●電気通信研究機構で扱うネットワークの構成には、無線、光、衛星などいろいろ絡んできます。災
害がなければその分野が孤立してやっていたのかもしれませんが、今回、機構の中でいろいろな先生
が一緒に研究することになりますから十分検討していきたいと思います。 ●災害時に放送で情報を流し、通信をコントロールするという研究は行っていましたが、さきほどの
法の制限のことなど、どういう災害のときにどのように対応するかシミュレーションを行うなど訓練
の必要性を感じています。
委 員 名 任期(年度) 委 員 名 任期(年度)
相 磯 秀 夫 1998~1999 榊 裕 之 2004~2006
青 木 利 晴 2004~2007 塩 見 正 2001~2005
青 野 正 和 2007~2009 下 澤 楯 夫 2002~2003
秋 葉 重 幸 2010~現在 進 藤 秀 一 2000~2001
浅 井 彰二郎 2000~2003 管 村 昇 2003~2004
浅 見 徹 2004~2005 武 市 正 人 2004~2007
甘 利 俊 一 1996~2001 田 中 英 彦 1994~1995
荒 川 泰 彦 2008~現在 谷 岡 健 吉 2006~2007
有 信 睦 弘 2004~2007 谷 口 健 一 2001~2003
飯 島 澄 男 2002~2003 田 村 浩一郎 1995~1997
飯 田 尚 志 2000 東海林 惠二郎 1994~1997
伊 賀 健 一 2004~2006 外 村 佳 伸 2008~2009
池 上 徹 彦 1996~1999 富 田 眞 治 2008~現在
池 上 英 雄 1996~1999 富 永 昌 彦 2008~現在
池 田 克 夫 2000 中 村 道 治 1996~1999
石 井 健一郎 2002 長 尾 眞 1994~1997
一 村 信 吾 2010~現在 西 尾 章治郎 2008~現在
伊 藤 龍 男 2000~2001 丹 羽 邦 彦 2008~現在
今 井 秀 孝 2001 平 石 次 郎 1994
上 田 修 功 2010~現在 廣 田 榮 治 1996~1999
植之原 道 行 1994~1999 三 宅 誠 2002~2003
潮 田 資 勝 2010~現在 山 崎 攻 2000~2001
宇理須 恆 雄 1994~1995 山 田 宰 2000~2001
榎 並 和 雅 2004~2005 山 田 敏 之 1998~1999
江 村 克 己 2010~現在 横 山 直 樹 2002~2007
大須賀 節 雄 1996~1999 吉 田 博 2007~現在
太 田 賢 司 2009~現在 吉 村 和 幸 1994
大 槻 幹 雄 1994~1995 渡 辺 久 恒 2000~2003
大 星 公 二 2000
大 森 慎 吾 2006~2007
岡 部 洋 一 2002~2003
笠 見 昭 信 2000~2001
梶 村 皓 二 1998~1999
片 桐 滋 2005~2007
久 間 和 生 2008~現在
國 尾 武 光 2008~2009
久保田 啓 一 2008~現在
児 玉 皓 雄 2000
後 藤 俊 夫 2002~2003
古 濱 洋 治 1995~1999
小 林 直 人 2004~2008
坂 内 正 夫2000~20012006~現在
7.2 過去の運営協議会委員名簿(外部者のみ)
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