意思決定会計① - wordpress.com · 2020. 9. 13. · 意思決定会計①...
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意思決定会計①ガイダンス:前期の復習と後期の講義内容
講義目的• シラバス
本講義は「経営分析論」で学んだ知識を基礎として,企業の意思決定において会計情報(特に管理会計情報)がいかに活用されているのかについて学習します。具体的には(1)企業経営の仕組みへの理解,(2)会計情報を読み解くという「経営分析論」の学習内容に加えて,(3)企業経営者や管理者が意思決定を行う際に必要となる会計情報を「事業や事業部の存続・廃止」,「設備投資」,「資金繰り(キャッシュ・フロー分析)」という3つの側面を中心に講義します。また,これらの考え方は企業価値評価を行う際にも用いられるので,基礎的な企業価値評価に関する理論についても講義します。 そのため,講義は2回あるいは3回で1つのテーマを取り上げます。
初めの1回で会計情報を用いて経営分析するための計算式への理解,
次の1回ないし2回でケーススタディやVTRを通じて計算式から企業経営の仕組みをどう読み取ることができるのかについて講義します。
これにより,企業経営の良し悪しを判断するための基本的な方法を学びます。
講義スケジュールテーマ
① 講義ガイダンス
② 投下資本利益率がなぜ重要なのか?
③ 損益分岐点分析・直接原価計算①
④ 損益分岐点分析・直接原価計算②
⑤ 業務的意思決定①(責任会計・事業部制会計)
⑥ 業務的意思決定②(さまざまな意思決定:基本編)
⑦ 業務的意思決定③(さまざまな意思決定:若干の応用編)
⑧ 付加価値分析
講義スケジュールテーマ
⑨ キャッシュ・フロー分析①
⑩ キャッシュ・フロー分析②
⑪ キャッシュ・フロー分析③
⑫ 設備投資意思決定計算①
⑬ 設備投資意思決定計算②
⑭ 企業価値の測定
⑮ 講義のまとめ
意思決定会計の全体像
意思決定会計の全体像
経営者
管理者
従業員
ビジョン・経営理念
経営戦略
中期経営計画
短期経営計画 CVP分析
設備投資意思決定
目標利益(ROI:デュポン・システム)
現在過去 1年後 2年後 未来……
予算事前統制事後統制
= 短期利益計画
マネジメント・サイクル計画設定→統制
事業部制会計権限の付与
事業部間の調整
• 企業活動のプロセスと資金の流れ資金調達 → 投資行動 → 利益の分配
資産負債
純資産(資本)
設備投資
設備投資
債権者
株主
資金調達
資金調達
売上
費用
利益
売上原価販管費人件費支払利息
配当内部留保
貸借対照表損益計算書経営者
利益計画の策定プロセス
前期の講義内容
後期の講義内容
意思決定会計の全体像• 企業活動のプロセスと資金の流れ資金調達 → 投資行動 → 利益の分配
資産負債
純資産(資本)
設備投資
設備投資
債権者
株主
資金調達
資金調達
売上
費用
利益
売上原価販管費人件費支払利息
配当内部留保
貸借対照表損益計算書経営者
利益計画の策定プロセス
資金繰りの重要性
意思決定会計の全体像意思決定会計の全体像
経営者
管理者
従業員
ビジョン・経営理念
経営戦略
中期経営計画
短期経営計画 CVP分析
設備投資意思決定
目標利益(ROI:デュポン・システム)
現在過去 1年後 2年後 未来……
予算事前統制事後統制
= 短期利益計画
マネジメント・サイクル計画設定→統制
事業部制会計権限の付与
事業部間の調整
経営者の意思決定を支援する会計情報がどのように使われるのか?
• 企業経営の良し悪しを判断するための基礎的な方法を学習することを目的とする。
① 経営戦略論を中心とした「企業経営の仕組み」
特にポーターによる競争戦略論と価値連鎖分析をもとに,企業の
利益創出力がどのようにして生まれているのかを検討した。
競争戦略論
コストリーダーシップ:価格を低く抑える。
差別化:付加価値を高める。
集中:特定の領域に絞る。
前期の学習内容の確認
• 価値連鎖分析
生産・販売プロセス=価値連鎖を分析し,価値が創出される過程に
着目する。
前期の学習内容の確認
製品・商品・サービスに価値が付加されていくプロセス
• 価値連鎖分析で言うと,サイゼリヤはどこに力を入れ,どのような活動を行っているのだろうか?
事例研究:サイゼリヤ
全てのプロセスを効率化
コスト・リーダーシップ戦略の要諦は効率化にある
• 価値連鎖分析で言うと,サイゼリヤはどこに力を入れ,どのような活動を行っているのだろうか?
事例研究:サイゼリヤ
生産 加工 調理 サービス
サイゼリヤのサプライチェーン → 収益性・業績につながっているか?
顧客
価値 =品質
価格
効率良い生産ゴールを目指す生産
高品質
調理の手間を省く積極的な投資
合理化
加工はしない 品質一定
お値打ち感(価格)
② 企業経営を貨幣的価値として表現した「会計情報を読み解く」
財務諸表,特に貸借対照表と損益計算書をもとに,以下の視点の分析を
行う。
(1)支払能力,財務安定性の分析
流動比率,当座比率,固定比率,固定長期適合率,自己資本比率
(2)収益力の分析
売上総利益率,売上高営業利益率,売上高経常利益率,
売上高当期利益率,ICR
(3)資本運用効率の分析
棚卸資産回転率,売上債権回転率,有形固定資産回転率,
総資本回転率☞ 各指標を読み取るには,企業がどの産業に属しているのか,
産業はどのような特徴を有しているのか,独自の戦略などの特徴は
あるのかといった視点から分析を行う。
前期の学習内容の確認
• 総資産利益率(ROA:Return On Asset)
資本を投下した資産(棚卸資産,建物・機械装置等)を活用しながら,経営者と従業員が効率的に財・サービスを製造販売することで利益を
生み出されると考えれば,企業経営の観点からはROCEよりもROAと
いう用語を使うことで投下した総資本の効率性を表現したほうが良い。
投下資本利益率
• 企業活動のプロセスと資金の流れ資金調達 → 投資行動 → 利益の分配
資産負債
純資産(資本)
設備投資
設備投資
債権者
株主
資金調達
資金調達
売上
費用
利益
売上原価販管費人件費支払利息
配当内部留保
貸借対照表損益計算書経営者
会計の基礎を確認する
総資産営業利益率
=営業利益
総資産
計算式
• 自己資本利益率(ROE:Return On Equity)
当期純利益:企業所有者の手元に最後に残る金額
自己資本:払込資本と内部留保からなり,ともに所有者=株主に帰属
する。
→ 企業所有者にとっての投資利回りが算出できる。
投下資本利益率
自己資本当期純利益率 =当期純利益
自己資本
計算式
※ 本講義では便宜上純資産で計算する。
• 総資産利益率(ROA)を分解する。
総資産利益率
=売上高
利益 売上高
総資産×
売上高利益率 総資産回転率
=総資産
利益
デュポンシステム
→ ROCE・ROAを分解すると,売上高利益率と総資産回転率に分解できる。
すなわち,ROCE・ROAの最大化はマークアップによる利益の最大化と
営業循環の回数を増やす(回転率増)ことによって実現する。
•自己資本利益率(ROE:Return On Equity)の分解
自己資本ROE=
利益
= 売上高利益 売上高
総資本総資本自己資本
× ×
売上高利益率 総資本回転率 財務レバレッジ
収益性 資本の効率性 財務体質
財務指標(ROE)を分解することで,
経営上の課題を明らかにすることができる。
デュポンシステム
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経営の二本柱
継続的成長と高収益体質の実現
コスト・リダクション
原材料費の低減
生産の効率化及び稼働率の向上
販売費の適正化
イノベーション(成長戦略)
新製品開発
海外事業の拡大
ペプシコとの連携強化
国内シェア拡大
新規事業開発 L&A
※L&A(ライセンス契約と事業買収)
事例研究:カルビー• 財務諸表をもとに下記の比率を計算してみよう。
カルビーの財務業績推移
2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017
自己資本当期利益率 6.30% 5.83% 8.82% 10.19% 11.57% 11.88% 13.72% 14.03%
総資産営業利益率 10.18% 10.78% 11.29% 12.65% 13.99% 14.93% 16.08% 15.85%
売上高営業利益率 6.51% 6.89% 7.50% 8.80% 9.86% 10.89% 11.43% 11.43%
売上高当期利益率 2.74% 2.73% 4.35% 5.26% 6.04% 6.35% 7.33% 7.51%
総資産回転率 1.564 1.565 1.505 1.438 1.418 1.372 1.407 1.387
自己資本比率 68.09% 73.37% 74.13% 74.27% 74.11% 73.35% 75.18% 74.20%
財務レバレッジ 1.469 1.363 1.349 1.346 1.349 1.363 1.330 1.348
ROEの上昇は売上高当期利益率の上昇によってもたらされた。
• カルビーの戦略既存商品の販売力の強さ
と新製品・新市場の開拓
イノベーション(成長戦略)
余剰生産能力の有効活用コストリダクション(原価低減)
生産力up → 営業力で売上up
ムダカット → 新製品の製造
教科書的な財務戦略営業力強化 → 営業CFの増加コスト低減 → 営業CFの増加
↓設備投資の実施 / 企業価値up
内部留保の蓄積
事例研究:カルビー
企業が利益の最大化を図るためには…
① いかにマークアップする利益を大きくするか1. 高値をつけても売れるような営業力,高い付加価値の創出
2. 同水準の販売価格を維持しながらコストを削減する② 営業循環の回数を増やす利益の獲得回数が増える=回転数が高ければマークアップが
低くても利益を上げることができる。
☞ 企業が利益を創出するには上記の3パターンに分類することができる。
☞ ポーターの言うところの差別化戦略
☞ ポーターの言うところのコストリーダーシップ戦略
前期の学習内容の確認
• 以上の2点をまとめると,前期学んだことは?
① 企業の経営戦略は会計情報に反映される。
経営戦略の良し悪しは,企業業績=成果と合わせて評価されるべき。
→ 会計情報を過去情報として読み取るのではなく,企業活動の成果が
どのような行動によってもたらされたのかを知ることで,
企業経営の全体像を理解することにつながる。
② 財務数値を一定の視点から分析することで,企業の特徴をあぶり出す
ことができる。
それぞれの財務指標は算出することだけでなく,それぞれの指標が
何を意味しているのかを理解することが重要である。
→ 計算結果が大切なのではない。計算式の意味を理解し,その意味に
基づいて数値の意味を考える。
前期の学習内容の確認
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