機械要素第14回: クラッチとブレーキ - shimane ushutingli/me14.pdfン差動 歯車....

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機械要素 第14回:クラッチとブレーキ

島根大学 機械設計研究室

クラッチの種類:

1. かみあいクラッチ

2. 摩擦クラッチ

3. 電磁クラッチ

4. 遠心クラッチ

5. 流体継手

クラッチ

クラッチの定義

駆動側から従動側へ動力と運動を伝達また遮断する装置をクラッチという。

車のトランスミッションの原理図

動力運動

駆動側 従動側

後輪

後輪軸

後輪

前輪

前輪

エンジン

差動歯車

1.かみあいクラッチ

特徴:滑りがまったくなく、確実に大きな回転力を伝えることができる。

欠点:切り離しは回転中に行って差し支えないが、連結は両軸の回転停止中に行うのを原則とする。

駆動軸側と被動軸側とを機械的かみあいによって連結するクラッチである。

歯形は台形、三角形、のこ歯形などある。

移動方向

2.摩擦クラッチ

湿式多板摩擦クラッチ

摩擦力発生部 摩擦板の形状

しっしきたばん

移動方向

軸1

軸2

軸2に連結 軸1に連結

駆動軸側と被動軸側を摩擦力によって連結するものである。

軸1

軸2

円板(ディスク)摩擦クラッチ 円錐摩擦クラッチ

摩擦力発生部 摩擦力

発生部

力を与える方向

移動方向

3.電磁クラッチ

電磁力を押し付け力または接触遮断力として利用するものである。

特徴:遠隔制御が容易である。欠点:電力に依存するので、停電時機能しなくなる。

電磁石(コイル)磁性材料軸1 多板摩擦板

磁性材料

どのぐらいの摩擦力が発生できるか? 磁場解析により電磁吸引力を算出する必要。

軸2

電磁製品の磁場解析:電磁力を求める目的

電磁石(コイル)

磁性材料

磁性材料

磁性材料

磁性材料

磁性材料

電磁製品の構造図

磁場解析のための解析モデル

磁場解析の有限要素法モデル

磁場解析結果:磁束分布図と電磁力

4.遠心クラッチ

粉体

遠心力を利用したクラッチである。

遠心こまの遠心力で機能する。 粉体の遠心力で機能する。

ケーシング回転

遠心こま

駆動側被動側

5.流体継手

流体の流動力を利用したものである。

特徴:耐衝撃性・振動吸収能力を持つ。欠点:運動を正確的に伝えることができない。

流体空間

流体の流動方向

駆動側 従動側

タービン羽根車ポンプ羽根車

ブレーキ

1.摩擦ブレーキ

2.回生ブレーキ

3.渦電流ブレーキ

4.空力ブレーキ

駆動側の運動エネルギーを吸収し、速度を制御または停止させる装置をブレーキという。

ブレーキの種類:

定義:

1.1 ドラムブレーキ(自動車車輪用)

1. 摩擦ブレーキ

ブレーキ シュー

ホイールシリンダ

ホイールシリンダ

ドラム

ドラム回転方向 ドラム回転方向 ドラム回転方向

シリンダ二つの場合 シリンダ一つの場合

自動車のブレーキ作動図

ブレーキ・パイプマスタ・シリンダ

ホイール・シリンダ

ブレーキ・ドラム

ブレーキ・ペダル

ブレーキ・シュー

3次元概略図

ホイールシリンダ

バックプレート

ライニング

シュースプリング

ブレーキシュー

(摩擦材料)

1.2 ハンドブレーキ

ブレーキ時の力の方向

ブレーキ時の力の方向

EDS400

Bridge boxes

Motor

Torque meter Powder brake

Personal computer

島根大学 機械設計研究室 実験装置

特殊な磁性粉体(パウダ)を介してトルクを伝達・制御するものである。

1.3 パウダブレーキ

パウダブレーキの使い方

遮断時

励磁コイルに電流を流さない時は、クラッチは解放状態となり、トルクは伝達されない。この時、パウダは遠心力によりパウダキャップの外周部に押し付けられている。

連結時

コイルが励磁されると、磁束によりパウダがパウダギャップ内に鎖状に連結されてトルクを伝達する。

ドライブメンバ(入力側)とドリブンメンバ(出力側)を同心円筒上にパウダギャップを隔てて配置し、両メンバは自由に回転できるようにベアリングでささえられている。このパウダギャップに透磁率の高いパウダ(磁性鉄粉)を入れ、それに磁束を流すよう外周に励磁用コイルが配置されている。無励磁でドライブメンバが回転していれば、パウダは遠心力によりドライブメンバ動作面に押し付けられ、ドライブメンバとドリブンメンバとは連結していない。

コイルを励磁すると、発生した磁束に沿ってパウダが鎖状に連結するが、このときのパウダ間の連結力およびパウダと動作面との摩擦力によりトルクが伝達される。したがって、パウダを媒体とした摩擦クラッチともいうことができます。なお、ドリブンメンバ(出力側)を固定した製品がパウダブレーキとなる。

パウダブレーキの原理:

コイル

ドライブメンバ

ドリブンメンバ

ステータ

ドリブンメンバシャフト(出力)

パウダ

ドライブメンバシャフト(出力)

パウダブレーキの原理説明参考図2

パウダクラッチ

パウダブレーキ

常用ブレーキ1. ドラムブレーキ2. ディスクブレーキ3. パーキングブレーキ

補助的なブレーキ1. 排気ブレーキ2. 回生ブレーキ3. エンジンブレーキ

1.4.1 車用摩擦式ブレーキの紹介

車に多くのブレーキ種類がある。

1.4 応用例:

(1)常用ブレーキ:通常運転時使用、入駅停止や減速に用いる。

(2)非常ブレーキ:非常事態及び列車分離等に作用させる。空気のみ使用。

(3)保安ブレーキ:常用ブレーキ・非常ブレーキが効かない時に使用。

(4)駐車ブレーキ:留置中の車両の転動を防ぐブレーキでバネ力で作用させる。

(5)抑速ブレーキ:速度を一定以下に抑えるためのブレーキ

電車に多くのブレーキ装置が付いている。

1.4.2 電車車用摩擦式ブレーキの紹介

電車の車両と艤装機器

台車ブレーキ設定器

ブレーキユニット

ブレーキ指令器

ブレーキ制御装置

空気タンク

電動空気圧縮機

速度センサ

(A) 在来線電車の踏面ブレーキ

ブレーキシュー

電車の車輪

制輪子(ブレーキシュー)

制動力を与えるリンク機構

ブレーキドラム

(B) 新幹線電車の摩擦ディスク式ブレーキ

F Fブレーキ時の力の方向

摩擦ディスク式ブレーキの熱容量

ブレーキの接触面では、激しい摩擦のため摩擦熱が発生するので、放熱が十分ではないと、摩擦面の摩耗や損傷が激しくなる。ブレーキ設計の際、熱容量の検討が必要である。

ブレーキ パッド

ディスく

台車構造と摩擦ディスク式ブレーキ(新幹線電車に使用のみ) ライニング

ライニング

ライニング

ライニング

ディスクとキャリパ

新幹線用ブレーキ・キャリパ取付状態

ライニング

フェイル-セイフ (Fail safe)

機器、部品などの破損や故障、予期せぬ外乱があった時に機械が安全側に作動する設計

フール-プルーフ (Fool proof)誤操作によっても重大な事故を起こさない設計

冗長性 (Redundancy)

信頼性を高度に要求される部分、あるいは信頼性が尖ると考えられる部分には、故障時に代替しうる構成要素を付加した設計

(C)電車用ブレーキの信頼性設計

電車のブレーキ制御装置の原理図(1)

減圧制動

フェイル-セイフ設計

空気指令

(排気すれば、列車が自動にブレーキされ、停車する)

自動空気ブレーキシステム

車両1

指令空気を各車両に順番に送っていく為,同じタイミングでの制動は不可能

排気により圧力が低下

ブレーキ指令の空気流れブレーキシリンダを動かす空気の流れ

車両2

ブレーキハンドル 先頭車 連結車

電車のブレーキ制御装置の原理図(2)

電磁直通空気ブレーキシステム

空気指令

シリンダ圧力のフィードバック用

電磁弁電磁弁

高速かつ同時に各車両に制動指令を与えることができる。

電空制御器 電気弁 ブレーキシリンダ起動

2.回生ブレーキ

応用: (1)電車における応用(2)ハイブリットカーにおける応用

原理:モーターを発電機として使用。車輪の制動力で電気を作る。

発電機で作られた電気は加速中の電車に使ってもらう

ブレーキ中、モータは電車の力で回してもらい、発電機に変身する

変電所より

トロリ線駅 駅

加速中の電車 ブレーキ中の電車

3.渦電流式ブレーキの原理

渦電流ブレーキの原理

回転する金属円板(導体)

運動する導体に磁石の磁界を加える(導体にとっては磁界が変動することと同じ)

渦電流 渦電流

制動力

磁束 磁束

磁石と渦電流の磁束の反発・吸引が制動力として作用する。

渦電流と電磁ブレーキの原理

4.空力ブレーキの原理

複雑な構造の空気流体抵抗力の計算はCFD解析が必要である。

理想流体の流線(粘性による摩擦のない流体)

現実な流体の流線(粘性による摩擦のある流体)

抵抗側 剥離側

抵抗力

引張る力

空気ブレーキ力=抵抗力+引張り力

空力ブレーキの応用

航空機のスポイラー

4.1 航空機・スペースシャトルにおける空力ブレーキ

スペースシャトルのパラシュート

4.2 新幹線電車における空力ブレーキ

JR東日本のFastech360の試験車

4.3 JR東海のリニアーモーターカーにおける空力ブレーキ

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