陸用・舶用ディーゼルエンジンにおける 燃料性状と...

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1. 調査研究目的

 大気汚染防止および地球温暖化抑制の観点から、NOx,PM,CO2等の大気汚染物質を

低減することが社会的急務となってきている。特に自動車用ガソリン・ディーゼルエンジンか

らの排出ガスの排出濃度規制に対しては我国及び欧米で強化されつつある。一方、自動車エン

ジン以外のエンジン、即ちオフハイウェー用の陸用・舶用エンジンについても排出濃度規制が

始まっている。こういう状況下で、これまではエンジン本体の燃焼系での改良及び後処理シス

テムによる対応がなされてきたが、更に低エミッション化を図るためには、燃料性状と燃料噴

射特性等との関係を明確にする必要がある。このため、本調査では燃料性状が燃料噴霧特性、

噴霧の着火特性、燃焼特性、排ガス特性に及ぼす影響について調査研究し、今後のあるべき方

向を探索しディーゼルエンジンの排出ガス低減化の技術的方策の一助とする。

2.調査研究体制

本調査は(財)石油産業活性化センターが(社)陸用内燃接関協会に委託した。

調査研究委員会メンバー

委員長 山本 唯雄 (社)陸用内燃接関協会TES委員会

委 員 廣安 博之 広島大学工学部

 〃  神本 武征 東京工業大学工学部

 〃  宮本 登  北海道大学大学院工学研究所

 〃  三輪 恵  徳島大学工学研究科

 〃  小酒 英範 東京工業大学工学部

 〃  井口 俊勝 三菱石油㈱製造企画部

 〃  岩澤 勝三 ㈱新潟鐵工所原動機事業部技術部

 〃  井元 浩二 三菱重工業㈱相模原製作所エンジン技術部

 〃  佐震 文秀 ㈱小松製作所技術本部コンポーネント開発センター

 〃  吉川 滋  ヤンマーディーゼル㈱技術開発本部技術研究所

 〃  蒼野 秀昭 (財)石油産業活性化センター石油墓盤技術研究所

3.調査研究項目

1)ディーゼルエンジンの燃焼、排出ガス特性の現状と課題

 ・陸用・舶用エンジンに使用される燃料に要求される品質

 ・燃料性状と燃焼及び排出ガス特性の関係

 ・着火遅れ、P舳Xとディーゼル指数の関係

 ・大形ディーゼルエンジンの煤塵とNOXの関係

2)燃料性状とディーゼル噴霧特性に関する実験

 ・燃料性状(動粘度、表面張力)、噴霧圧力、噴孔径と平均粒径、噴霧角の関係

3)ディーゼル噴霧の着火機構に関する実験

・ディーゼル噴霧の着火遅れ計測

・着火過程の2次元可視化によるアルデヒド類の存在確認

4)燃料性状とディーゼル燃焼機構及び排出ガス特性に関する実験

・燃料を構成する直鎖及び芳香族成分の燃焼に及こらす影響

・燃料性教因子(蒸留温度分布、動粘度、芳香族含有量)と着火性及び排出ガスの関係の

解析

5)ディーゼルエンジンのC02低減技術動向

・小形~大形エンジンの熱効率の現状把握と高効率化(C02低減)のための方策提言

4.調査研究結果

 4.1 ディーゼルエンジンの燃焼、排ガス特性の現状と課題

・ ディーゼル燃料に要求される品質

 着火性、適度な粘度・潤滑性、適度な揮発性・蒸留性状・低硫黄分・低温流動性・低

温ろ過性、水分・きょう雑物などが少ない

良好な貯蔵安定性・酸化安定性・熱安定性などを有する

・燃料性状と燃焼、排ガス特性

燃料性状と燃境排ガス特性をとりまとめたものを表4・1-1に示す。

(表4.1-1、図4.1-1)

表 4.1-1 燃料性状と燃焼、排ガス特性

図 4.1-1 セタン指数の影響

 ・着火遅れや燃焼最高圧力とディーゼル指数の関係

   燃料性状の違いによって、燃焼・噴射特性、エンジン性能が異なる。

低質燃料油の場合、セタン指数は算出し難く、アニリン点と比重から計算されるディ

ーゼル指数(DI)を用いて着火性を評価している。(図4.1ー2)

ディーゼル指数 DI=API比重×アニリン点(°F)/100

図 4.1-2 着火遅れや燃焼最高圧力と

              ディーゼル指数との関係

・ 大形ディーゼルエンジンの煤塵とNOXの関係

大形ディーゼルエンジンは熱効率が最も高いが、そのトレードオフ関係にあるNOX

の排出量が多い。又煤塵とNOXもトレードオフの関係にある。(図4.1-3)

  環境間題及びエネルギー問題が益々重要になってくる状況に対処するには、エンジンの改

良と燃料性状改良の双方の努力が必要であり、エンジンとしては燃料噴射系を中心とした

研究開発を推進する必要がある。

図 4.1-3 大形エンジンのばいじんとNOx実績

(A重油/C重油比較

 4.2.燃料性状とディーゼル噴霧特性に関する実験

  高圧雰囲気中のディーゼル噴霧について、燃料性状(動粘度、表面張力)、噴射圧力、噴

孔径と平均粒径、噴霧角の関係を実験的に測定した。

  燃料性状と噴霧特性をとりまとめたものを表4.2-1に示す。(図4.2-1)

表 4.2-1 燃料性状と噴霧特性

① 平均粒径は液体の動粘度の増加に伴い大きくなる、又、平均粒径は噴孔径の増加に従い

増加する。(図4.2-2)

図 4.2-1 噴霧特性の因子

図 4.2-2 平均粒径におよぼす動粘度と噴孔径の影響

②噴射圧力の増加により、平均粒径は急激に小さくなるがその後の減少割合は少ない。又、

噴霧角は急激に増加し、最大値を示したあとなだらかに減少する。

(図4.2-3、図4.2-4)

図 4.2-3 噴霧角におよぼす動粘度と噴射圧力の影響

図 4.2-4 平均粒径におよぼす動粘度と噴射圧力の影響

 4.3.ディーゼル噴霧の着火機構に関する実験

  噴霧の着火機構について小形急速圧縮試験装置及びレーザー誘起蛍光法を用いて着火遅れ

計測、ホルムアルデヒドを対象とした可視化計測、解析を行った。

                           (図4.3-1、図4.3-5)

ディーゼル噴霧の着火遅れの測定

図 4.3-1 着火遅れ測定用燃焼器

着火過程の二次元可視化

図 4.3-5 噴霧の着火の2次元可視化のための投影光学系

着火遅れの定義は燃料噴射開始時刻から燃料噴射前の熱損失による圧力降下線図を延長し、

燃焼時の圧力線図と交差するまでの時間。(図4.3-2)

① 雰囲気温度が750K未満の場合、セタン価の増加と共に着火遅れが短縮される傾向に

ある。(図4.3-3)

② セタン価が等しいならば燃料組成が変化しても着火遅れはほとんど変化しない。

                               (図4.3-4)

③ディーゼル噴霧においても、燃料の低温酸化により生成されると考えられるアルデヒド

類が着火過程において存在する。(図4.3-6、図4.3-7)

図 4.3-2 着火遅れの定義

図 4.3-3 セタン価を変化させた場合の温度に対する着火遅れ

着火遅れτ1+τ2

図 4.3-4 セタン価向上剤を用いた場合の噴射から着火までの筒内

圧力変化(セタン価55)

図 4.3-6 高温窒素中の蒸発噴霧(左)と高温空気中の

     噴霧火災(右)断面からのシリコンオイル粒子

の散乱光2値画像

 4.4.燃料性状とディーゼル燃焼機構及び排ガス特性に関する実験

・ 燃料を構成する直鎖及び芳香族成分の燃焼に及ぼす影響

流動反応装置及びディーゼル燃焼を模擬した急速圧縮試験装置を用いて、燃料の熱分

解及び燃焼過程で生成される炭化水素の組成と濃度を測定、解析した。(図4.4-1)

①直鎖飽和炭化水素燃料は900K付近で熱分解が開始し、温度上昇とともに急激

に燃料炭化水素の低級化が進行する。(図4.4-2)

②芳香族含有炭化水素燃料は直鎖燃料に比べ熱分解開始温度が約150K高くなり、

高温域においても芳香族成分が中沸点成分として残留する。(図4.4-2)

又、燃料炭化水素の低級化も進みにくくなる。(図4.4-4)

③高温高圧中に噴射された燃料は、着火遅れ期間中に低級化してC2H2、C2H

4などの不飽和低沸点炭化水素を主体として蓄積され、初期燃焼期ではこれら成

分がいったん消費されるが、主燃焼期間では低沸点炭化水素の中でCH4が主体

に生成され燃焼が進行する。(図4.4-3)

図 4.4-1 流動反応装置

燃料性状と燃焼機構に関する実験

図 4.4-2 直鎖燃料と芳香族燃料の低級化に及ぼす温度の影響

図 4.4-3 燃焼期間中の低沸点炭化水素成分の推移

 ・燃料性状因子(蒸留温度分布、動粘度、芳香族含有量)と着火性及び排出ガスの関係の解

①動粘度の増加にともなって、熱消費率、CO2排出率、黒煙及び未燃炭化水素T

HCの濃度は増加するが、NOX濃度は減少する。(図4.4-5、図4.4-6)

②芳香族含有割合が同一の燃料の場合、着火遅れの増加とともに黒煙濃度は低下す

るが、NOXおよびTHC濃度は共に増加する。(図4,4-7)

着火遅れを一定にした場合、芳香族含有割合の増加とともに黒煙濃度は著しく増

加するが、NOX濃度は若干増加、THC濃度はほとんど変わらない。

③黒煙とNOX濃度は動粘度、着火遅れ、芳香族含有割合を独立変数とする一次結

合回帰式で概ね記述することができる、これを基に、黒煙・NOXトレードオフ

関係の改善には動粘度と芳香族含有割合の減少とあわせて、着火遅れの適当な制

御が必要であることがわかった。(図4.4-8)

図 4.4-4 燃料の低級化に及ぼす芳香族含有率の影響

 4.5.ディーゼルエンジンのCO2低滅技術動向

・ 小形~大形エンジンの熱効率の現状把握と高効率化(CO2低減)のための方策提言

(図4.5-1、図4.5-2、図4.5-3、図4.5-4、図4.5-5)

ディーゼルエンジンは熱機関の中で熱効率が最も高く、すなわちCO2排出が少なく

有利であるが、更に極限へ挑戦する必要がある。今後、熱効率の極限達成への挑戦と

して、高効率燃焼コンセプト、摩擦損失、熱損失低減のため、あらゆる可能性のある

各種要因を新技術開発の積み重ねにより推進していく必要がある。また、NOX・煤

塵等の排気排出物の低減を同時に実現するために、燃料及び潤滑油性状を考慮し、耐

久性、信頼性、コスト面等でも有利なエンジントータルシステムの研究開発を推進す

る必要がある。

図 4.4-8 回帰式によるNOX濃度の計算値と実験値

ディーゼルエンジンCO2低減技術動向

図 4.5-1 化石燃料燃焼によるCO2排出量

図 4.5-2 各国のCO2排出割合

図 4.5-3 ディーゼルエンジンの熱効率

図 4.5-4 高熱効率化のコンセプト

図 4.5-5 4サイクル中形中速ディーゼルエンジン性能の推移

5.まとめ

1.燃料性状と燃料噴射特性の観点からディーゼルエンジンの燃焼・排ガス特性の現状と課題

を調査し、その重要性を明確化した。また、ディーゼルエンジンのCO2低減(熱効率向

上)技術の最新動向を調査し、高効率化の方策を提言した。

2.燃料性状が燃料噴霧特性、噴霧の着火、燃焼、排ガス特性に及ぼす影響について基礎試験

を行い、基本特性解明、データベースの構築が図られた。

3. ディーゼルエンジンにおいて、最重要課題であるエネルギー、環境問題に対応するために

は、今後、更に着火、燃焼基礎研究を展開するともに、新エンジントータルシステムの開

発推進が必要である。

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