東京都市圏とシドニー都市圏 の空間構造の比較...3....
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東京都市圏とシドニー都市圏の空間構造の比較
2019年11月27日
国際政策学部総合政策学科
安達義通
目的
空間構造という観点から、東京都市圏とシドニー都市圏を比較し、その類似性と相違性を調べる。
目次
1. 東京都市圏とシドニー都市圏の定義
2. 人口及び人口密度の比較
3. 人口密度の空間的な比較
4. 人口変動の空間的な比較
5. 経済格差の空間的な比較
6. 経済格差と人口変動の空間的な比較
7. 東京に「経済格差線」はあるのか?
-東京特別区に着目-
8. 結論
Figure1-1 The boundary of Greater Tokyo
1.東京都市圏とシドニー都市圏の定義
東京都市圏= シドニー都市圏=13,557㎢ 12,367㎢≒
34地方自治体1 都県(242 の地方自治体
と特別区)
Figure1-2 The boundary of Greater Sydney
Source: Local land Services Greater Sydney Greater Sydney Regional Strategic Weed Management Plan 2017-22, p13
Source: Tokyo Metropolitan Government HP
Tokyo Special Wards(23)
2. 人口と人口密度の比較
36,130,564
5,131,326
0
5,000,000
10,000,000
15,000,000
20,000,000
25,000,000
30,000,000
35,000,000
40,000,000
Greater Tokyo Greater Sydney
Population(2017)
7 倍
(persons)
415/km22,664/km2 6.4倍人口密度
Source: Census( ABS, JAPAN) Figure2-1 Comparison in Population
東京都市圏 シドニー都市圏
緑地の比較
Source: World Cities Culture Forum
14.40%
24.00%
33.00%
2.50%
27.00%
9.50%
2.80%
47.00% 46.00%
7.50%
0.00%
5.00%
10.00%
15.00%
20.00%
25.00%
30.00%
35.00%
40.00%
45.00%
50.00%
Rate of Public Green Space (Parks &Gardens)
http://www.worldcitiescultureforum.com/data/of-public-green-space-parks-and-gardens
https://www.numbeo.com/pollution/compare_cities.jsp?country1=Japan&city1=Tokyo&country2=Australia&city2=Sydney
環境汚染等の比較
Source:numbeo
シドニーと比較した高密度都市東京は、
①通勤地獄
②少ない緑地帯
③(やや)環境汚染
などの問題を抱えている。
3. 人口密度の空間的な比較 (地方自治体ごと)
・人口密度:東京都市圏>シドニー都市圏
Tokorozawa≒Woollahra29㎞ 4㎞
:5000人 /km2以上が約24倍の面積
東京都市圏:2,534km2(103LG)、シドニー都市圏:89.1km2(4LG)
40㎞
20km
・都市の人口構造→ 東京都市圏:自然? シドニー都市圏: 西 (南西)が高い
Ichikawa≒Sydney17.7㎞ 0㎞
都市空間における人口密度の比較
西部南西部
自然な成長(スプロール)
不均衡な成長
東京都市圏 シドニー都市圏
北部(南部)
>
経済的な圧力(住宅供給の必要性)
市民の政治的な力(北部)
発展途上国的発展?
-
5,000,000
10,000,000
15,000,000
20,000,000
25,000,000
30,000,000
35,000,000
40,000,000
1900 1920 1940 1960 1980 2000 2020
Trend of Population: Greater Tokyo
https://thomasthethinkengine.com/tag/melbourne/page/2/
4.人口変動の空間的な比較
東京都市圏 :
Source: Census of Japan
シドニー都市圏 :
4.1 都市圏全体の中長期的トレンド
(すでに)減少へ向かっている。
今後も(急激な)増加が続く。
増加のペースが緩やかになる。
急激に増加し続けている。
4.2 近年の人口変動の空間的な比較(2010・11 → 2015・16)
・すべてのエリアで増加。
・特に西部(南西部)で増加。・都心部の一部が増加。その周辺はやや増加。エッジ部分は急減。
・中心部も増加。
〇東京都市圏:
・すべてのエリアで増加。
・都心部が増加している。 中心部(都心)への回帰現象
4.3 要約: 近年の人口変動の空間的な比較
・急増エリアは、都心部に限定されており、周辺エリア(エッジ)は、急激に減少している。
〇シドニー都市圏:
・西部(南西部)は、増加率が高い。
〇両方の都市圏
問題: 都心部における過密化、周辺エリアの過疎化
問題: 南西部と北部の間で、不均衡な成長が起きている。
*100= Average of Tokyo
・北部は裕福で、南西部は貧しい
・空間的に不均衡 「格差線」が存在
5. 経済格差の空間的な比較
・貧富はまだら。
・特別区は西は豊か、東は貧しい
周辺部は貧しい
北部は、南西部に比べて、急激に収入が増加している。
経済的な格差が広がっている。
経済格差の空間的な変化(シドニー都市圏)
経済格差の空間的な変化(東京都市圏)
*100= The average of the
Tokyo
115以上 12(5.6%)
100-115 86(39.8%)
100-90 83(38.4%)
90以下 35(16.2%)
合計 216(100%)
115以上 ↑13(6.0%)
100-115 ↓61(28.2%)
100-90 ↑96(44.4%)
90以下 ↑46(21.3%)
合計 216(100%)
・やや豊かなエリアは減少。
・豊かなエリア(115以上)は微増。
空間的に経済的な格差は広がっている。
the number (%) of Local Governments
・ 貧しいエリアは増加。
6. 経済格差と人口変動の空間的な比較
6.1 シドニー都市圏
・収入が高いエリアと人口が増加するエリアが一致しない。
6.2 東京都市圏
6.経済と人口変動の関係
・収入の高いエリアと人口の増加しているエリアは比較的一致している。
出典:「デジタル標高地形図ってこんなに面白い 東京都区部編」
UENO
TOKYO
SHINAGAWA
SINJYUKU
SHIBUYA
IKEBUKURO
EAST=LOW=Poor
WEST=HIGH=Rich
20m hight=
東京の格差線?
7. 東京に「経済格差線」はあるのか? -東京特別区に着目-
・東京の格差線はあるが、東にずれているように見える。
平均所得の変化( 2003 ― 2013)
2003 2013
123.1127.0
84.382.7
0.0
20.0
40.0
60.0
80.0
100.0
120.0
140.0
2003 2013
豊かなエリアと貧しいエリアの
推移の比較
Best Three Average Index
Worst Three Average Index
拡大
• 豊かなエリアと貧しいエリアの経済格差は広がっている。
収入の変化
8. 結論
⑤東京都市圏においては、所得の高いエリアと人口の増加エリアは比較的一致しているが、シドニー都市圏では、それらが異なる。裕福なエリアが北部で、人口が増加しているのが南西部。
②人口密度の空間的比較に関しては、シドニー都市圏は空間的に不均衡。その理由の一つは政治的なものだと思われる。一方、東京都市圏は空間的に自然な増加。経済を優先する発展途上国型の成長がもたらした結果かもしれない。
①全体の人口密度に関しては、東京都市圏は シドニー都市圏の 6.4倍となっており、それが様々な問題を引き起こしている。シドニー都市圏も将来東京のような過密問題が生じる可能性がある。
③人口変動の空間的な比較に関しては、東京都市圏は都心部の人口が増加しているが、エッジエリアは減少している(過疎・過密問題) 。シドニー都市圏では、全エリアで増加。増加率が高いのは南西部。
④シドニー都市圏では、「経済格差線」を見つけることができる。東京都市圏では、全体的にまばらで東京特別区のなかでは見つけることができ、東に動いている。
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