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Spector 内田雄一郞(筋肉少女帯)が    6モデルを試奏!

スペクターが    君臨する理由!!ベース界の革命児

 75年、ステュアート・スペクター氏が設立。76年に、ネッド・スタインバーガー氏とともに開発したNS-1、その後、NS-1の改良版と言えるNS-2を発表し、その人間工学に基づいたボディ・デザインで一躍知られるようになる。なお、このNS-2は、これまでに様々なマイナー・チェンジが加えられつつ、現在も同社の代表モデルとして君臨し、多くのベーシストが愛用している。 スペクター社は、85年にクレイマー社に買収され、約5年間にわたって、クレイマー内の1つのブラ

残暑もぶっ飛ばせ! 新製品も続 !々

真夏の楽器大試奏会スペクター

スペクターとは?~その歴史と概要

➡ここでは、次ページで紹介するモデルも含めて、スペクター全体を通してのヴァリエーションを紹介したい。まずは、ピックアップ。上はイアン・ヒルのシグネイチャーに搭載されているEMGの Pタイプ、下はユーロ・シリーズのEuro 4LX-TWに積まれているEMGのハムバッキング

スペック ●ボディ:ソリッドAAAAメイプル ●ネック:グラファイト・レインフォースド・ロック・メイプル(3ピース)、スルーネック ●指板:パーフェロー、24フレット ●ピックアップ:EMG-P(フロント)、EMG-J(リア) ●コントロール:ヴォリューム、トレブル、ベース、バランサー

スペクターU.S.A. NECK-THRUシリーズ NS-2 ¥714,000

ボディ・シェイプは同じでも、様々なスペックのヴァリエーションを誇るスペクター

内田雄一郎も愛用!

スペクターを代表する、ハイ・クオリティ・モデル

ンドとして生産が続けられた。しかし、クレイマー社自体が倒産し、スペクター氏はステュアート・スペクター・デザインを立ち上げる(98年、スペクターの商標がステュアート氏に戻り、発足当時のロゴが使えるようになっている)。現在では、スペクターU.S.A.、スペクター・ユーロ・シリーズ、プロフェッショナル・シリーズという3つのシリーズを展開し、高級モデルからエントリー・モデルまで、様々なヴァリエーション・モデルが発表する、エレクトリック・ベースのトップ・メーカーの1つだ。

 スペクターを愛用しているベーシストとしては、シグネイチャーモデルが発売されるイアン・ヒル(ジューダス・プリースト)をはじめ、マイク・クルーガー(ニッケルバック)、レックス・ブラウン(元パンテラ~ダウン)らが挙げられ、国内でもR×Y×O(コールドレイン)、Toru(シュープ)らがエンドースを受けている。 デザインや回路など、あらゆる面でエレクトリック・ベースの革命を起こし、今もなお進化しつづけるのが、スペクターなのだ。

ネックスルー・シリーズの中から、まずはスペクターのパイオニア的モデルであるNS-2を試奏!

内田:スペクターは、このNSが原型となっているんですよね。その中でも、U.S.A.モデルはスペクターの最高峰です。僕は、このモデルと88年の同モデルをメインとして使っているんですが、やはり20年も差があると違うんですよ。 まず、ネックは現行モデルのほうが太いです。でも、この太さがいいんですよ。細いほうが弾きやすいというイメージがあると思うんですが、じっさいの弾きやす

 ニューヨークの工房でハンドメイドによって生み出されるスペクター U.S.A.。ハイ・エンド・モデルとなるネックスルー・シリーズと、同じく丁寧に仕上げられたボルト・オン・シリーズが用意されている。その

スペクターU.S.A.のモデルには、ハンドメイドの証しとして、ヘッド裏にステュアート・スペクター氏の直筆サインが入れられている(写真は内田雄一郞のモデルのヘッド裏)

うえで、うるさくなく、聴こえるところは聴こえる

トーンなので、バンドの中で埋もれないんじゃないでしょうか。僕は、そのハイを少し抑

えるために、アンプ側のハイとミッドを落として使っています。 あと、現行モデルは、88年のものに比べると、かなりパワーがありますね。だから、88年モデルから現行モデルに持ち変えると、アンプのセッティングを少し変えないと歪みすぎちゃったりするんですが、そんな中でもキレイな感じがあるんです。コードを弾いても、現行モデルのほうが濁らない。おそらくコントロールのサーキットが違

うことが大きいのかもしれませんね。そして、イコライザーの効きが全然違いますね。現行モデルのほうが、やたらと効く。そんなに効かなくてもいいじゃないってぐらい(笑)。ちなみに僕はふだんは、ハイをやや落として使ってます。ローはセンターで、バランサーは少しフロント寄りにしています。

さにネックの太さは関係ないんですね。太い細いではなく、その楽器の持つ寸法があって、そのバランスが大切なんです。 音の特徴は、どのスペクターにも共通しているんですが、心が優しい感じじゃないんですよ(笑)。前向きな音なんです。例えばプレベの音は、僕は優しく大人しい印象を受けるんですね。それに比べると

スペクターは、ヤングなのかな。アタックが強く、レスポンスもいい。ピッキングして、その音をピックアップが拾ってアンプから音が出るまでのスピード

が速い。あとは、ハイがあって輪郭がしっかりし

ている。その

➡上はユーロ・シリーズのEuro 4LX-TWのコントロール。プッシュ/プッシュにより、ハムバッキングをコイルタップして、シングルコイルとして使える。下は、プロフェッショナル・シリーズの Legend 4 Customの 2 連タイプのコントロール。外側はロー、内側はハイとなっている。

➡右の 2本は内田本人のNS-2。左側が 88 年製で、右側が今年 3月から使っている現行モデル。ローズウッド指板(88 年製)とパーフェロー指板(現行)、ポジション・マークなどの外見上の違いの他、回路やネックの太さも異なる。

 弾き心地としては、こんなに身体に合うベースはないと思うんですよ。微妙なカーブが、トップにもバックにもありまして、特に右手の肘が当たる部分がすごくいい。僕のようなピック弾きの人には、最高に弾きやすいベースですね。バックのカーブもいいんです。スルーネックなんで、ハイ・ポジションの弾き心地とか、まったく問題ないですし。 全体的に、すごく高級感のあるモデルですね。

➡ネック・ジョイント。左上がスペクターU.S.A.のスルーネック、左下がプロフェッショナル・シリーズの Legend 4 Customのセット・ネック、右上がユーロ・シリーズのRebopのボルト・オン(右下は前からみたところ)だ。どれも、なめらかに加工され、ハイ・ポジションでの演奏性も高い

弾きやすいコンパクトなボディ、存在感のあるサウンドで、国内外を問わず多くのベーシストが愛用しているスペクター。そのスペクターに注目のニュー・モデルが加わるということで、代表機種とともに合計6本の試奏レポートをお届けしよう。チェッカーは自身もスペクターの愛用者である、筋肉少女帯の内田雄一郞だ!

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09年夏にピックアップをEMG-TWに変えて、新登場

コイルタップ可能で、多彩なトーンが味わえる

スペック ●ボディ:メイプル・トップ+メイプル・バック ●ネック:グラファイト・レインフォースド・ロック・メイプル(3ピース)、スルーネック ●指板:ローズウッド、24フレット ●ピックアップ:EMG-HZパッシヴ×2 ●コントロール:ヴォリューム×2、トレブル、ベース

プロフェッショナル・シリーズ

Rex 4 ¥141,750

ハード・ロック/ヘヴィ・メタル・ベーシストにピッタリ!

変形だけど弾きやすく、音もフラットで使いやすい

スペクターの入門機種としてオススメ

オーソドックスな中にスペクターらしさをプラス

スペック ●ボディ:メイプル・トップ+バスウッド・バック ●ネック:グラファイト・レインフォースド・ロック・メイプル(3ピース)、セット・ネック ●指板:ローズウッド、24フレット ●ピックアップ:EMG-HZパッシヴ×2 ●コントロール:ヴォリューム×2、3バンド・イコライザー

プロフェッショナル・シリーズ

Legend 4 Custom¥123,900

スペック ●ボディ:フィギャード・メイプル・トップ+アルダー・バック ●ネック:グラファイト・レインフォースド・ロック・メイプル(3ピース)、ボルト・オン ●指板:ローズウッド、24フレット ●ピックアップ:EMG-HZパッシヴ×2 ●コントロール:ヴォリューム×2、トレブル、ベース

 スペクターって、なんで、こんなにいろいろなモデルがあるんですか?! ボディ・シェイプが一緒であるのにも関わらず、ボルト・オンもセット・ネックもありますよね。根本が同じ形なのに、それからヴァリエーションを増やすというのは、ベ

ータとVHSなみに大変なことなんじゃないですか? あれ、例えが古いですか? でも、それぐらいスルーネックとボルト・オンというのは違うのに、シェイプが同じなんです。そこに、職人魂というか、頑固オヤジの気持ちが見えてきます。い

かに、このデザインにこだわっているのかということがわかります。 そして、ボディの形に人間工学を採り入れたのは、スペクターが最初の頃だと言われていますが、やはりさすがです! 僕にも、ピッタリと身体にフィットするんです。僕は身体も手も小さいのに、すごく弾きやすい。たぶん、身体が大きい人も弾きやすいと思うんです。 つまり、楽器に身体を合わせる努力や労力が、

必要ないんですよね。“俺に合わせろよ!”という威張った楽器もあると思うんですが、スペクターにはそれがないんです。楽器屋さんに行って試奏してみれば、手に持つ道具として、しっくりくる、気持ちのいい楽器だということがわかるはずです。バランスがいいから、ヘンにヘッドが下がったりもしない。 ふだんはそこまで考えて弾いていないけど、今回の試奏であらためて気づかされましたね。スペクターは、こうした優れたバランスを持ちつつ、個性的で前向きな自己主張の強い音を出してくれるからいいんでしょうね。

スペクターは、弾く人を問わず、それでいて個性的で前向きなベース!総評

長くして、相当低く構えないとカッコ悪い(笑)。 でも、変形ですが、スペクター独特のボディ・カーブがあって、音もハムバッキングのスペクター

です。スペクターとは思えない形なのに、音的にはLegend 4 Customにも通じる、フラットで作りやすいトーンなんですね。 弾き心地は通常のスペクターと違うんですが、変形だけど、座っても弾けるし、そんなに違和感はないです。ハイ・ポジションの弾き心地も、他のスペクターとは違いますが、ベーシストって、そんなにハイ・ポジションで弾かないですから(笑)。ライヴにピッタリだし、家でしか弾かないのは、もったいない。ライヴでは、変形だからボディ・エンドを他のメンバーにぶつけないように(笑)。

 エントリー・モデルとして充分すぎるクオリティとお値打ち価格を両立させたプロフェッショナル・シリーズ。ここでは、セットネックのLegend 4 Customをチェックした。内田:これはセット・ネックなんですね! まったく

 ユーロ・シリーズのボルト・オン・ジョイント・モデルがReBopだ。ピックアップも、パッシヴ・タイプが搭載されているなどの違いがある。内田:ピックアップが違うためか、ハムバッキングなのに4LX-TWよりは暴れないですね。適度な弾きやすさがあって、扱いやすいサウンドです。ボルト・

オンといえどもハイ・フレットの弾きやすさとかはスルーネックとそんなに違和感ないです。あと、ネック幅が広いですね。 ネックがかなりボディに

食い込んだボルト・オンのためか、フロント・ピックアップが、ややリア側に搭載されていますよ。そのため、フロント・ピックアップの音が他のモデルと違うんですが、だからといってハイがキツいわけではなく、まとまっているんです。 ボディも、じつはやや細めで、若干、軽いんですよ。ボディのカーブとか一緒だし、バランスもスペクターらしさを失っていなくてすごいです。どんどん扱いやすいサウンドになっているし、スペクターらしさを残しつつ、幅広いジャンルに対応できるようになっているモデルなんですね。

■問い合わせ:パール楽器製造㈱ (http://www.pearlgakki.com/)

残暑もぶっ飛ばせ! 新製品も続 !々

真夏の楽器大試奏会

スペック ●ボディ:フィギャード・メイプル・トップ+アルダー・バック ●ネック:グラファイト・レインフォースド・ロック・メイプル(3ピース)、スルーネック ●指板:ローズウッド、24フレット ●ピックアップ:EMG-TW×2 ●コントロール:ヴォリューム×2、トレブル、ベース

 ユーロ・シリーズを代表するのが、このEuro 4LX-TWだ。今年よりピックアップがEMG-35TWに変更されている。内田:これまで試奏した2本と明らかに音が違いますね。ハムバッキングだと、こんなにも違うのかと

いう感じです。あまりハムバッキングのベースを使ったことがなかったし、意識したこともなかったんですが、現代的な音に近くなる感じですかね。あと、ハム

バッキングだから暴れん坊な印象かもしれないけど、じつはU.S.A.のほうが、もっと暴れん坊だったりします。 それに、このモデルは、タップすることでシングルコイルのピックアップとしても使えるので、ベース本体で幅広い音作りができます。ハムバッキングではスペクターの前向きな個性が、さらに際立ちますし、イコライザーの効きもいい。出したい音が決まっているベーシストならば、自分の音にたどり着くのが早いと思います。ヘヴィな音が得意だけど、ライトな音も出るでしょう。

スペック ●ボディ:メイプル・トップ+アルダー・バック ●ネック:グラファイト・レインフォースド・ロック・メイプル(3ピース)、スルーネック ●指板:ローズウッド、24フレット ●ピックアップ:EMG-P(フロント)、EMG-J(リア) ●コントロール:ヴォリューム×2、トレブル、ベース

 ヨーロッパで生産されているユーロ・シリーズ。スルーネックとボルト・オンの2タイプがある。そして、この夏にユーロ・シリーズに加わったのが、このイアン・ヒルのシグネイチャー・モデルで、彼が愛用している80年代中期のU.S.A.製NS-2を再現している。

わからなかった。スルーネックかと思いました。 このプロフェッショナル・シリーズは、価格は安いんですが、意外にいいんですよ! U.S.A.と比べる

と、ボディにやや厚みがあったり、少しシェイプも違うんですが、これはこれなりのよさがありますね。ボディの厚みが、個人的には好きなタイプです。ガッシリとしていて安定感があるんですよ。これまで試奏した4本に比べて、音はフラットですけど、スペクターらしさも残っています。3つのイコライザーが多彩で、ミドルが効くので中域を重視するベーシストは重宝するんじゃないでしょうか。 オーソドックスなベースにスペクターらしさを加えたニュアンスだし、スペクター入門者にもオススメです。

 スペクターには、変形モデルとしてRexがU.S.A.シリーズとプロフェッショナル・シリーズからラインナップしている。ここでは、プロフェッショナル・シリーズのRexをチョイスしてみた。内田:これは、独特ですね。弾く時は、ストラップを

内田:“アタックが強くて、レスポンスがいい”というスペクターらしさを残しつつ、もう少しフラットにして弾きやすいサウンドにした感じですかね。弾きやすい

音だから、U.S.A.よりオールマイティに使えるかも。サーキットも、U.S.A.のNS-2とは違うので、そのあたりも弾きやすい音になっている理由ですかね。 でも、他の弾き心地は、U.S.A.と変わらないです。コントロールがバランサーではなく、2ヴォリュームなんですね。 全体的に、他のユーロ・モデルやプロフェッショナル・シリーズに比べ、僕の80年代のスペクターに近い感じがします。 ネックが薄めとのことですが、塗装の関係か、あまり薄く感じないですね。

80年代中期のU.S.A.製NS-2をユーロ・シリーズで再現

イアン・ヒル(ジューダス・プリースト) のシグネイチャー・モデル

ユーロ・シリーズ

Euro 4LX-TW¥336,000

ユーロ・シリーズ

Euro 4LX Ian Hill¥325,500

ユーロ・シリーズのボルト・オン・ジョイント・モデル

スペクターらしい弾きやすさを持つ、ベーシック・モデル

ユーロ・シリーズ

ReBop 4DLX FM¥204,750

➡ブリッジの角が丸く加工されているのもユーロ・シリーズの特徴だ

➡音作りに貢献する、3バンド・イコライザー・コントロール

➡シングルコイルとハムバッキングの切り替えをワン・プッシュで行なえる

5点止めのボルト・オン・ジョ

イントを採用。ネックがボディの

深くまで入っているのがわかる

➡ヒジ当たる部分に、ゆるやかなアーチド加工が施されている

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