スパイクフォーム改善 ~ステップからゼロポジショ...

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スパイクフォーム改善

~ステップからゼロポジションに着目して~

神谷 眞叶 川島 萌華 松井 穂乃佳

1 はじめに

(1) 研究の背景

私達が行っている6人制バレーボール競技とは、ネット型のスポーツであ

る。

高校バレーボールでは、スパイクのミスが大きく勝敗に関わっている。私

たちバレーボール部が県大会上位に上がれない要因はスパイクにあると考え

注目した。

スパイクは、ゼロポジションの位置で打つことが重要だと言われている。

ゼロポジションとは、インド人整形外科医のSahaが手術をせずに肩の治

療をするために考案したポジションだ。特徴は、腕の挙上は耳に腕がつく程

度の完全な挙上位ではないことと、体を横から見たときにやや上腕が前に出

ていることである(図1)。野球のピッチャーで考えると、左肩を下げて左

肩から右肘にかけて一直線になるようにフォームを維持してリリースする。

バレーボールにおいてゼロポジションで打つことは、高い打点でボールをと

らえることによって、一番力を加えることができ鋭いスパイクを打つことが

できるポジションである。

そこで、ステップからゼロポジションに至るまでのスパイクフォーム改善

について研究を進めることにした。

図1 ゼロポジション(横) 図2 野球でのゼロポジション(前)

(2) 動機

私たち三好高校女子バレーボール部の目標は、「西三河優勝」「県大会ベス

ト4」という目標である。しかし、現在の大会成績は西三河大会で3位、県

大会でベスト16と目標である成績とは程遠い状況である。

ゲームで勝つにはスパイクのコースや強さが重要である。ステップの幅を

とることでジャンプが前に突っ込まず、ゼロポジションで打つことによって

打点が高くなり、コースの打ち分けができるようになる。ロングステップを

することにより、勢いがつき、ジャンプが前に突っ込まなくなるという利点

がある。

しかし、現在の私たちは、ステップによるジャンプ動作から前に突っ込ん

でいたり、肘が下がっていたり、ゼロポジションに行き着くまでにも、問題

が挙げられる。

現在、スパイク動作におけるステップからゼロポジションに着目してみる

と、ステップの幅が狭く、ゼロポジションではない位置で打っている部員が

ほとんどである。ステップからゼロポジションまでの改善をすることによっ

て、高い打点でボールをとらえ、一番力を加えることができ、鋭いスパイク

を打てることができるのではないかと考えた。

この研究を元に今後の練習に役立ててほしいと思う。

(3) 仮説

私たちは、ステップとゼロポジション矯正トレーニングを行うことで、高

い位置でボールをとらえ、一番力を加えることができ、鋭いスパイクが打て

ると仮説を立てた。

2 研究方法

(1) 目的

バレーボール競技のスパイク動作において、高い位置でボールをとらえ、

一番力を加えることができ、鋭いスパイクを打てるようになることを目的と

する。

(2) 対象

愛知県立三好高等学校バレーボール部(スパイカー3名)

(3) 手順

ア:初期段階のサンプル撮影

イ:分析

ウ:改善

(ア) バレーボールでの遠投 的当て (図3)

(イ)ステップ動作の改善 (図4)

(ウ)サークルスクラッチ (図5)

サークルスクラッチとは、元・広島カープ現・ロサンゼルスドジャーズの前田健太

投手が試合前にやっていたことから、「マエケン体操」とも言われる。

前傾姿勢で手のひらを顔に向けながら左右交互に肘で円を描く動作で肘関節に始ま

り胸鎖関節→肩関節→肘関節→手首の順で、滑らかに連動させてスイングする事で少

ない力で大きなパワーをボールに伝えることができる。

特に肘を後ろまでしっかり引くことが大事であり、肘を引くことで肩関節の広がりを

強く感じることができる。肘や肩の怪我予防にもなる。

エ:改善されたフォーム撮影

オ:再度分析

図3 バレーボールでの遠投・的当て 図4 ステップ動作の改善

図5 サークルスクラッチ

② ③

(ロングステップ)

(ステップの足の向き)

3 分析・結果

(1) 初期の分析

初期段階のサンプル撮影では、被験者1ではロングステップの図4の②,

③の幅が問題とされる。(図7,10)

被験者2では、ゼロポジションよりも頭部に近い位置でボールヒットしてし

まう事が問題とされる。(図8.12)

被験者3では、ゼロポジションが定まらず、一番力が入る場所で打ってない

ことが問題とされる。(図9,14)

3人とも特にゼロポジションに問題がある。

(2) 1週間後

被験者1は、初期段階と変化がなく、ロングステップの幅の改善が必要であ

る。被験者2は、まだゼロポジションよりも頭部に近い位置でボールヒットし

てしまう。図4の②,③のステップの幅が広く開いてしまっている。

被験者3は、初期段階と変化がなく、ゼロポジションが定まらず、一番力が

入る場所で打ってないことが問題とされる。

(3) 2週間後

被験者1は、ステップに変化が見られない。

被験者2は、完全に頭部の位置でボールヒットしていた。

被験者3はゼロポジションが定まらないことに加えて被験者2と同じく頭

部に近い位置でボールヒットしていた。

3人ともロングステップの幅が狭くなっていた。

(4) 3週間後

被験者1は、図4の③の着地後すぐに飛ぶため踏切が出来ていなくジャン

プが流れ飛びになっている。

被験者2は、図4の③の足が前に向いている。そして、頭部の位置でボー

ルヒットしている。

被験者3は、図4の②,③のステップがネットから近いため、ネットストレ

スを抱え打っている。そのためステップ練習の時に少し後ろから踏み込みを始

め図4の②,③でネットとの距離が近くならないように練習させた。

全体的にステップが気になったので、前に突っ込むのを防ぐため、ミニフラ

フープを使ってステップの矯正トレーニングを導入した。これが出来るように

なると、前飛びしなくなるためネットとの距離がとれるようになり、ゼロポジ

ションでボールヒットできるようになると考える。

(5) 4週間後

被験者1はまだステップの着地後すぐに飛ぶため踏切が出来ていなく流れ

飛びをしている。(図7,11)

被験者2は、ステップの足は1週間前よりは図4の③の足が改善されたが、

それでも前飛びしてしまうのでネットと体の距離がとれず頭部に近い位置で

ボールヒットしてしまう。(図8,13)

被験者3は図4の②,③のステップがネットから近かったが、ステップ練習

をしたので前より距離をとれてネットストレス無くなり打てていたが、体のブ

レがあり安定して打てていない。そしてゼロポジションが定まらず、頭部に近

い位置で打ってしまう。(図9,15)

(6) 結果

結果1ヶ月では大きな変化がなく改善できなかった。ロングステップで

は、被験者3人とも1週間画よりも、4週間後のほうが少し長くなってい

た。ゼロポジションでは、改善にそれぞれ差が見られた。

図6 ロングステップの長さ

100

120

140

160

180

200

220

1週間後 2週間後 3週間後 4週間後

(㎝)

ロングステップの長さ

被験者1 被験者2 被験者3

矯正トレーニング

開始

【ゼロポジション】

図7 被験者1のゼロポジション(左:初期段階 右:4週間後)

図8 被験者2のゼロポジション(左:初期段階 右:4週間後)

図9 被験者3のゼロポジション(左:初期段階 右:4週間後)

【ロングステップ】

図10 被験者1の初期段階のロングステップ

(ロングステップの長さ:1m33.0cm)

図11 被験者1の4週間後のロングステップ

(ロングステップの長さ:1m40.6cm)

図12 被験者2の初期段階のロングステップ

(ロングステップの長さ:1m56.4cm)

図13 被験者2の4週間後のロングステップ

(ロングステップの長さ:1m64.0cm)

図14 被験者3の初期段階のロングステップ

(ロングステップの長さ:1m87.8cm)

図15 被験者3の4週間後のロングステップ

(ロングステップの長さ:2m03.0cm)

4 考察

被験者1は、最後までロングステップに課題が見られた。(図11)ロングステッ

プの幅と、ステップ図4の②、③の幅が同じで図4の③の足が弱いため、流れて打っ

てしまっている。そのため、ステップのスピードが遅くまた、大腿四頭筋、ハムスト

リングスの筋力不足と、肩の痛みがあったためストレッチも同時に行う必要があった

ことが問題だと考えられる。

被験者2は、一ヶ月前は、頭部に近い位置で打っていたが、ゼロポジションの位置

で打てるようになった。(図8)だが、ステップ図4の②、③の足の間隔や臀部の深

さが問題に挙げられた。(図13)流れて打ってしまっているため、ネットとの距離

がとれずに前に振り切れていない。そのため、ステップ図4の②、③の足の間隔や臀

部の深さの問題は、大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋の筋力不足が問題だと考

えられる。

被験者3は、ネットストレスがなくステップとゼロポジションで打つことに一番良

い変化が見られた。被験者1,2とは違い、前に流れず打てている。初期段階は、ゼ

ロポジションの位置が問題とされたが、改善され、上下にぶれずゼロポジションで打

てるようになっていた。(図9)ステップは、初期段階より、ロングステップの幅が

広がっていた。(図15)しかし、新たな問題として、スパイクジャンプのタイミン

グが合っていないため、最高到達点でスパイクが打てていない。そのため、スパイク

の反復練習が必要だと考えられる。

5 まとめ

研究の結果、一ヶ月間矯正トレーニングを行ったが、スピード、筋力にも問題が挙

げられたため、仮説は立証されなかった。現在、三好高校バレーボール部では、あま

りスピードをつける練習を行っていない。また、筋力トレーニングを行っているが、

自分に必要な筋力を理解していない人が多いため、必要な筋力がついていないと考え

られる。そのため、スピードをつける練習や、自分に必要な筋力を把握し、鍛えてい

く必要がある。

バレーボール界でも、スパイクのフォーム改善は、最も難しいと言われている。そ

こに私たちは、着目したため、良い結果を得られることができなかった。

今回の研究をきっかけに、後輩たちが更なる発展をしてくれることを期待する。

6 参考文献

スパイクとゼロポジション

www.geocities.co.jp/Athlete-Athene/7907/kikou/zeroposi.html

3-1,サークルスクラッチ

www.japanlaim.co.jp>jplm

正しいサークルスクラッチを学んで肘・肩の怪我を防止しよう

https://spollup.jp/baseball/maeken-gym

スクワットで使う筋肉部位とその効果とは?

https://kintorecamp.com>squat-muscles

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