jsise39_多重課題シミュレーション事前学習eラーニング開発計画

Post on 27-May-2015

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新人看護師対象の多重課題シミュレーションについて、事前学習eラーニング教材の開発計画をプレゼン(発表15分質疑5分)

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新人看護師を対象とした多重課題シミュレーションに関する事前学習eラーニング教材の開発計画

淺田義和*1,*2、都竹茂樹*1、鈴木克明*1、中野裕司*1

*1:熊本大学大学院 教授システム学専攻 *2:自治医科大学

第39回教育システム情報学会 Sep. 11, 2014(和歌山)

全体の概要• 新人看護師を対象とした集合研修としての多重課題シミュレーションについて、学習の効果・効率を高めるために、問題解決能力(知的技能)について事前学習し入口を揃える必要性がある。

• 多重課題に必要な知識・スキルの全体像、および実施されている研修との関連性を整理した。また、GBS(Goal Based Scenario)に基づくeラーニング教材の設計計画を整理した。

• SMEと協力のうえでプロトタイプとしてのeラーニング教材設計を進めており、形成的評価の実施を検討している。

多重課題シミュレーション• 臨床現場で患者の状態が変化する中、優先順位を判断し、適切な看護を行うためのシミュレーション

• (例)4床部屋で点滴を交換しようとしたところ、他の患者がトイレ希望を希望。さらに、他の患者が様態急変。

• 誰を優先して対応するか?

• いつ、応援を呼ぶか?

患者B

患者A 患者D

患者C

ナースステーション

トイレ 入口

多重課題シミュレーション

医療知識看護知識

病棟での多重課題対応

運動技能を伴う知的技能の実践

現場での学習国家試験までの学習

基本的な看護実践

入職時の集合研修病棟での指導や個別学習

運動技能言語情報・知的技能

この部分を補完する eラーニング教材の開発

先行研究1:eラーニングを シミュレーションの事前学習として利用

• 杉浦ら(2013)、Perkinsら(2011):前提知識の確認としてのeラーニングをシミュレーション前に実施した

• 多重課題シミュレーションのように多数のシナリオを想定し、意志決定に関する事前学習を行ったうえでシミュレーションを実施した教材はほとんど見つからなかった

GBS(Goal Based Scenario)•Roger Schankにより提唱 •現実的文脈・課題の中で「失敗からの学習」を擬似体験(=シミュレーション)するためのストーリー構築を目的

•刻一刻と場面が変化するような多重課題の状態を再現するには、学習者の選択がシナリオに影響を与えるGBSの形式が適する

先行研究2:医療分野におけるGBS利用

• 岡崎(2012)による、手術室災害対策に関するeラーニング(独学教材)の開発および検証研究→ シミュレーションの事前学習ではなく、独学教材といての位置づけ

• Scottら(2013)は臨床推論に関するシナリオベースの教材を開発 → 形成的評価や総括的評価に関する記載は見られない

‘eSimulation’ Part 1: Development of an interactive multimedia mental health education program

for generalist nurses. Scott Lamont, Scott Brunero, The Australian Journal of Nursing Practice,

Scholarship and Research, in press

多重課題シミュレーション

医療知識看護知識

病棟での多重課題対応

運動技能を伴う知的技能の実践

基本的な看護実践

先行研究1

運動技能言語情報・知的技能

*先行研究2

研究目的• 新人看護師を対象とした、多重課題・時間切迫時の対応に関するシミュレーション研修の事前学習eラーニング教材に関する開発を検討

• GBS(Goal Based Scenario)を用いた教材を作成することで、オンライン上で多重課題の場面を仮想体験し、知識の定着度や応用力が確認可能

• シミュレーションの前提条件(主に知的技能レベル)を揃えることで、より効果的な教育を提供

• 多重課題のみならず、集合研修の形式を見直すためのモデルケースとしての位置づけ(例:急変対応)

多重課題シミュレーション

医療知識看護知識

病棟での実践 運動技能を伴う知的技能の実践

現場での学習

基本的な看護実践

個別タスクのシミュレーション

運動技能言語情報知的技能

一連の学習過程における教材の位置づけ

*実事例を元に改定

*多重課題の 事例集的側面

繰り返し学習を基本とする設計 eラーニング

(研究対象)

国家試験

集合研修病棟での指導

基礎知識として必要な内容1. 各施設による特徴

•業務体制、手順、使用器具 2. 優先順位の判断基準

•患者の危険度(生命の危険) •自分の能力評価(能力限界の理解)

3. 実場面における上記知識の応用力  *国家試験レベル・・・今回の範囲外(前提条件)

教材の設計(with SME)• 【基礎編】多重課題のシナリオ(例年用いているシナリオをサンプルとして取りあげる)をベースに、必要な知識を整理し、テスト問題(4択や計算問題、穴埋め問題)を作成

• 言語情報

• 知的技能(弁別、概念)

• 知的技能(問題解決)

• 【実践編】多重課題のシナリオを再現し、それぞれの場面ごとで意志決定を行いながらシナリオを進められる教材(GBS)を構築する

シナリオの流れ(例) ����� ZV^���

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作成中のプロトタイプ

教材の形成的評価• GBS教材としての評価

• 7要素が正しく満たされているかのレビュー

• カークパトリックに基づく評価

• 学習者の満足度:アンケート

• 学習達成度の評価:学習終了状況や終了後の自己省察

• 行動変容:シミュレーションと組み合わせた研修の評価

カバーストーリー

ある病院(病床数、看護師数などは中~大規模)において新人看護師として登場する

役割 勤務から半年が経過し、夜勤が開始した

使命 夜勤開始から1ヶ月の間(夜勤回数はおよそ4回)、勤務中は患者に安全な医療を提供し続けることができる

情報源 シナリオを一時停止し、ストーリーから抜けたうえで参照できる(多重課題中に人に聞くのは非現実的)

フィードバック 正しい選択を行わないと、「患者の憤慨」「様態の悪化」「急変(or 死亡)」などが発生する

学習目標 能力限界を理解し、必要に応じて同僚や先輩の助けを借りながら、病棟での様々な多重課題を切り抜けられる

シナリオ操作 ・多重課題の場面で、「どちらの場面を選ぶか?」・状況によっては、時間切迫も再現

Kirkpatrick eラーニング シミュレーション

Level 1・教材の満足度・繰り返し学習の回数・シミュレーション後の再学習

・シミュレーションの満足度・シミュレーションの没入感

Level 2 ・GBSの成績・学習成果のリフレクション

・シミュレーションの評価表・学習成果のリフレクション

Level 3・シミュレーションおよび 現場における学習成果の活用・職場での継続学習環境

・学習成果の活用(行動変容) およびそのリフレクション・職場での継続学習環境

Level 4 ・より安全な医療の提供 (患者満足度)

今後の計画•プロトタイプの完成 •形成的評価 •作成したプロトタイプそのもの •シミュレーションとの組み合わせ •プロトタイプの改善

改善の可能性• eラーニングの内容・構成

• 時間切迫の再現

• eラーニング後のリフレクション or デブリーフィング

• 掲示板等での非同期型

• 運動技能の再現・評価

• シナリオの選定

• 院内インシデントレポートを元に作成?

• eラーニングのみでシミュレーションを置き換え可能か?

まとめ• 看護師を対象とした多重課題シミュレーションの学習効果・効率向上のため、GBS(Goal Based Scenario)に基づくeラーニング教材の設計計画を整理した。

• 現状:SMEと協力のうえでプロトタイプとしてのeラーニング教材設計を進めており、形成的評価の実施を検討している。

• 課題:時間切迫の再現、リフレクションの導入、シナリオの増加

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