living in two places 2030 story book - printer version

Post on 14-Jan-2017

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Lifestyle

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日本学術振興会 先導的研究開発委員会「クライシスに強い社会・生活空間の創生」作『Living in

Two Places 2030 二拠点居住によるレジリエンス ストーリーブック』はクリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 ライセンスで提供されています

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仮 想 近接感

妻の恵美とは、今は月の半分は別居生活だ。

恵美はトキワ市で友人と一緒にお店をやっている。働

ける間は友達の多いトキワ市の暮らしが良いというこ

とで、月の半分は別々に暮らしている。働くのがしん

どくなれば、徐々にさくらビレッジで暮らす時間を長

くしようといっている。よく寂しくないかといわれる

が、必要な時はいつでもスマートフォンやTVのディ

スプレイでビデオ会話ができるのでさほど寂しくはな

い。夫婦関係も円満だと思っている。別々の時も週に

3日は食事の時間を合わせ、たわいない会話をしなが

ら食事をするのが習慣になっている。

ビデオ会話は必要な時だけだが、いつもはホームセン

ターで先月購入した金魚鉢型の仮想近接感装置を使っ

ている。この装置はペアで使うもので、トキワ市にい

る恵美の動きやまわりの音に応じて3D金魚の動きが

変化し、向こうの雰囲気が伝わってくる。まるで、隣

の部屋に住んでいるような感覚で、恵美が起きている

のか、寝ているのか、向うの様子がなんとなくわかる

ので安心である。

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