mr 3rd(medical industry marketing)_20110907 knowledgecommons vol.6

Post on 13-Dec-2014

2.045 Views

Category:

Business

1 Downloads

Preview:

Click to see full reader

DESCRIPTION

KnowledgeCOMMONS http://knowledgecommons.net/ by http://www.facebook.com/hidefumi.otsuka

TRANSCRIPT

製薬業界のマーケティング戦略の概略

バイオジェンアイデックジャパン(株)

メディカルマーケティング部

大塚 英文

自己紹介 1971年1月17日生まれの現在40歳

博士号をもつ分子生物学者として、大学で研究(33歳迄)。

東北大学

奈良先端科学技術大学院大学

東京大学

日本医科大学

医療系広告代理店で、広告戦略や戦術にに携わる(36歳迄)

製薬企業でマーケティング業務に携わる(現在)

製薬のマーケティングでの経験:4年

ノボノルディスクファーマ:糖尿病の薬

バイオジェンアイデックジャパン:多発性硬化症

自己紹介〜興味

ダイビング歴 6年、235本。今月パラオへ

アシュタンガヨガ歴 4年

旅行 25カ国、好きな場所はロンドン、ニース

読書 年間300冊以上

Mixi歴3年、Facebook歴1年、ブログ始めたばかり

日本文化全般への興味(書道、茶道(裏千家))

心理学 コーチング、NLP、タロット

第一回目のフロー

薬の開発 薬を売る

準備

(prelaunch)

薬の承認

と発売(approval

and launch)

PMDA

MHLW

薬事法

実は、マーケティング戦略は開発から始まる。。。

薬の開発 薬を売る

準備

(prelaunch)

薬の承認

と発売(approval

and launch)

薬事法

マーケティング戦略

マーケティングとは?

• 充足されていないニーズや欲求を突き止め

• その重要性と潜在的な収益性を明確化、評価し、

• 組織が最も貢献できる標的市場を選択した上で

• 当該市場に最適な製品、サービス、プログラムを決定し

• 組織の全構成員に、顧客志向、顧客奉仕の姿勢を求めるビジネス上の機能である。

コトラーのマーケティングコンセプトより

将来の売り上げ、利益を売るための「売れる仕組みづくり」 (グロービス MBAマーケティング)

戦略とその重要性

• 戦略とは、戦いに勝つための大局的な方策

• 何をしないかという戦略が、戦略の核心である(Michael Porter)。

• 何らかの販売は必要である。しかし、マーケティングの理想は販売を不要にすることである(Peter F Drucker)。

• 例えば・・・、第二次大戦の米国による飛び石作戦

飛び石作戦とは?①

• 第二次大戦の太平洋戦線において、アメリカ軍がとった戦略がアイランドホッピング、またはリープホッピング(蛙飛び)と呼ばれ、日本では、飛び石作戦と呼ばれることが多い。

• これは、ラバウルなど要塞化された日本軍の拠点を避けながら、比較的日本軍の戦力が薄く、かつ日本本土に迫るには重要な位置にある島(サイパン島)に連合軍を集中させて攻め落としていくもの。

堀栄三:大本営参謀の情報戦記より

飛び石作戦とは?②

• 日本がニューギニヤを東西に連なる陸地と考えていたとき、統治国のオーストラリアを友軍とした米軍は、戦前からすでに地誌資料を得て、

• 「これは陸続きではない、海だ。点々と存在する猫の額のような平地は、樹海の中の孤島だ」

• 米軍は、これを支配するのは歩兵ではない、航空以外にないと判断していたのである。

堀栄三:大本営参謀の情報戦記より

戦略と戦術

• 古代中国の孫子やシーザー、クラウゼヴィッツにいたる軍事理論の専門家全てが強調しているように、戦術は常に柔軟でなければならない。

• しかし、戦略は、明確な前提と目標のもとに固定されていなければならない。簡単に変えてはならない。

• 同じ事が、訓練、指揮系統、兵器についてもいえる。

ピータードラッカー:新しい現実より

どこに着眼するのか?着眼点が大切になる

薬の開発の復習

薬の開発 薬を売る

準備

(prelaunch)

薬の承認

と発売(approval

and launch)

薬事法

マーケティング戦略

薬の開発フロー

• 審査によって承認された医薬品のみが上市(医薬品でいう発売。英語ではlaunch)される。

–候補物質の探索

–非臨床試験

–臨床試験

–審査、承認、発売

非臨床試験とは?

• 医薬品の可能性のある物質を対象に有効性(薬効)、安全性(毒性)を詳細に調べるために、動物個体(in vivoとも呼ばれる)や培養細胞(in vitroとも呼ばれる)が用いられる。

• GLP(good laboratory practice)という医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施に関する基準を厚生労働省を設定

臨床試験とは?

• 非臨床試験の審査を通過した物質に対して、ヒトに対する有効性(efficacy)、安全性(safety)を調べることを目的に行われる試験が臨床試験(clinical studies又はtherapeutical trial)である。

• 治験と呼ばれることもある。

• 治験は薬事法用語で、市販前試験。

• 臨床試験は市販後調査も含まれる。

臨床試験の三段階

Phase 1 臨床薬理試験

少数の健常人(男性志願者)を対象に、副作用などの安全

性を検討

Phase 2 探索的試験

少数の患者を対象に、有効で安全な用法や用量を決めるために行う。

Phase 3 治験

多数の患者を対象に、有効性、安全性についてプラセボ(Placebo:偽薬)を対照に行う試験

薬事法

マーケティングの戦略をいつからたてればいいのか?着眼点は?

まず、成功確率をみると・・・

申請するために、いくつ臨床試験が必要か?:最新データより(トムソンロイターのデータより)

Phase 2までは確率は低い

• Phase 2の成功確率は、疾患領域によって異なるが、28%(2006-2007年)から18%(2008-2009年)と減少傾向にある1)。

• Phase 3の成功確率は、50%(2007-2010

年)2)。

=>そのため、phase 2で結果が出た段階で、Marketingとして動き始める!

1) Nature Rev. Drug Discov. 10, 87; 2011

2) Nature Rev. Drug Discov. 10, 87; 2011

開発コストは高まっている

臨床試験の三段階

Phase 1 臨床薬理試験

少数の健常人(男性志願者)を対象に、副作用などの安全

性を検討

Phase 2 探索的試験

少数の患者を対象に、有効で安全な用法や用量を決めるために行う。

Phase 3 治験

多数の患者を対象に、有効性、安全性についてプラセボ(Placebo:偽薬)を対照に行う試験

薬事法

マーケティング戦略

は、リスクが低くなるPhase 3以降

• 開発は、承認を早く取る事が大事

–施設選定は、効率優先

–対照薬の選定も入手しやすさを優先

• マーケティングは製品が承認後、売り上げを上げる事が大事

–施設選定は影響力のある施設を:影響力のある先生にも使ってもらいたい。

–対照薬の選定:高い薬価を取るために行う

開発とマーケティング戦略のずれ

特に薬価戦略を考えることが大事!

薬価の基本的な決まり方

類似薬効比較方式

比較薬はあるか?

YES

NO

原価計算方式

新規性はあるか?

YES

NO

剤形間補正

諸外国補正

補正加算

剤形間補正

諸外国補正

営業利益率加算

薬価につくpremium:有用加算 分類 -2001 2002- 2006- 2008- 新薬の適用

評価基準 加算率(%) 2006-2008

画期性加算

臨床上のアウトカム

40 40-100 50-100 70-120 0(0%)

有用性加算(1)

10 15-30 25-40 35-60 6(5.4%)

有用性加算(2)

臨床上のアウトカム/製剤改良の有用性

3 5-10 5-10 5-30 24(21.6%)

小児加算 小児への適用 3-10 5-20 3(2.7%)

市場性加算(1)

希少疾病用医薬品

10 10 10 10-20 5(4.5%)

市場性加算(2)

市場規模が小さい

5 5 5 5 2(1.8%)

薬価はどのように決まるか?

画期性、有用性を

満たすための条件

イノベーションの分類

画期性加算 有用性加算1 有用性加算2

臨床上有用な新規の作用機序を有する事

全て要件

3つの要件のうち2つの要件

いずれかの1つの要件

類似薬に比して、高い有効性又は安全性を有する事が、客観的に示されている事

疾病又は負傷の治療方法の改善が客観的に示されている事

製剤における工夫により高い医療上の有用性を有する事が客観的にに示されている事

医薬品の薬価収載

医療用医薬品が使われるためには薬価基準に収載されることが必要。

市場で実際に販売されている価格、すなわち市場実勢価格を適正な薬価基準に反映させるため、薬価調査(市場価格調査)により実態を把握、適宜に薬価は改正される。医療用医薬品は薬価基準という公定価格がある。

通常、薬価は2年に一度改正される。卸からの納品価格と保険者への請求価格との間に差額が生じた場合、「薬価差益」となる。

また、市場環境によって薬価が見直されることがある。

薬価は、類似薬価方式、原価加算方式の二種類によって算定される。

後発品は、先発品の70%で算出される。

薬価の見直し

ありとあらゆる手段を使い、厚生労働省は薬価を下げようとしている。

2年おきの薬価改定(納入価格に対して、適用)、2−5%の減少

対象疾患の市場が拡大したとき、15−25%減少

売り上げ予想に対して、2倍~3倍で、減少を検討。

より大きな市場性のある適応追加、2−5%減少

合剤の場合、2つの薬剤の合計の80%の薬価になる

利益がでない場合:薬価を上げることありうる

2010年度薬価改定の影響 (医療用医薬品の平均引き下げ率)

国内製薬企業 海外製薬企業

武田 7%台 大日本住友 9%強 ファイザー 7%台

アステラス 6%強 持田 8.7% ノバルティス 7.4%

第一三共 7%台 協和発酵キリン

6.6% アストラゼネか

7%台

エーザイ 4%台半ば 味の素 約6% 万有 8%程度

田辺三菱 約6%強 キッセイ 6.6% 日本イーライリリー

約2%

薬事ハンドブック2011 じほう

医薬品の特徴など

医薬品の製品の特徴は、「多品種、少量、高価」である点。

商品の特性(用法・用量、効能・効果、安全性など)の情報の提供が必要。

モノと情報はセットとなっているところに流通の特徴がある。

卸は、製薬企業から仕切り価格で供給を受け、利益を便乗、医療機関へ納品する。そのときに、薬価という公定価格があるために、上限がある。

納品価格は、医療機関と卸との間の交渉により決定。薬価を下回る額を納品した場合には、医療機関の利益にある。

医療用医薬品と薬価基準

医療用医薬品が使われるためには薬価基準に収載されることが必要。

市場で実際に販売されている価格、すなわち市場実勢価格を適正な薬価基準に反映させるため、薬価調査(市場価格調査)により実態を把握、適宜に薬価は改正される。医療用医薬品は薬価基準という公定価格がある。

通常、薬価は2年に一度改正される。卸からの納品価格と保険者への請求価格との間に差額が生じた場合、「薬価差益」となる。

また、市場環境によって薬価が見直されることがある。

薬価は、類似薬価方式、原価加算方式の二種類によって算定される。

後発品は、先発品の70%で算出される。

薬価差の問題を解決させるために

薬価差の問題を解決するために、厚生労働省は、2年に一度実態調査を行う。その結果に基づいた薬価を設定する。

1990年までは、薬価差は薬剤費の20%、1兆5000億円だったが、現在減少している。

医療機関の価格の高い先行医薬品の方がもうけが大きいことから、後発品の普及の足かせとなっている。

本日の発表の流れ

薬の開発 薬を売る

準備

(prelaunch)

薬の承認

と発売(approval

and launch)

薬事法

マーケティング戦略

医薬品がどのように流れているのか?

製造業者

製造販売業者 卸売一般販売業

薬局 病院・診療所 その他

全て薬事法により決まっており、

許可を得なければ販売できない。

医薬品の流通の仕組み

医薬品の製品の特徴は、「多品種、少量、高価」である点。

商品の特性(用法・用量、効能・効果、安全性など)の情報の提供が必要。

モノと情報はセットとなっているところに流通の特徴がある。

卸は、製薬企業から仕切り価格で供給を受け、利益を便乗、医療機関へ納品する。そのときに、薬価という公定価格があるために、上限がある。

納品価格は、医療機関と卸との間の交渉により決定。薬価を下回る額を納品した場合には、医療機関の利益にある。

なぜ、製薬は情報提供活動のみか?

かつては、納品価格は、製薬企業と医療機関との間の交渉で決まっていた。

そのため、卸は注文と代金回収のみに終始

納品価格が、卸への仕切り価格よりも低いこともあった(その場合、値引補償制度により補填された)。

この仕組みの欠点は、製薬会社が価格を自由に設定できるというところ。また薬価差により医療機関も儲かる=>独禁法に抵触

そこで、1992年に、医療機関と製薬企業との間の価格交渉が禁止となる。

製薬企業のMR(medical representative)は情報提供のみに終始、価格は卸のMS(medical specialists)が行うこととなった。

MRは何を伝えるのか?

全ての情報は、医薬品医療機器情報ホームページより入手可能

医療用医薬品添付文書(医薬情報の要約、添文ともいう)

医薬品製品情報概要(医師向け)(医薬品の適正な使用を目的に作成)。

インタビューフォーム(薬剤師向け)(日本病院薬剤師会からの依頼で作成。全ての安全性、有効性の情報が入っている)

新医薬品の使用上の注意の解説(添付文書の安全性情報を詳細にのべたもの)

緊急安全性情報(ドクターレター)。

このように、MRは、科学的データに基づく公正な情報を伝える。そして、医療機関から効果、安全性情報を集める

発売準備①

基本的に、日本は未承認の薬剤に関する情報提供活動は不可。

そこで、MSL(medical science liason)の職務登場。

薬のawareness(認知度を上げる活動をする)

具体的には:臨床試験の結果を受けて、

どのような患者に対して、この薬を使ってもらえるのか?

どういったメッセージを伝えるのか?

どの医師をターゲットとするのか?

市場調査を受けてどのようなメッセージを伝えるか?

発売準備②

MSLがアプローチするときに、どれだけの医師に対して何回アプローチするのか?

その医師の優先順位づけはどう行うのか?

発売後、どれだけのディテーリング(ここでは医師の面会と定義)を行えばいいのか?

他の薬ではどれだけディテーリングをかけているのか?

本日の発表の流れ

薬の開発 薬を売る

準備

(prelaunch)

薬の承認

と発売(approval

and launch)

PMDA

MHLW

薬事法

マーケティングとは?

• 充足されていないニーズや欲求を突き止め

• その重要性と潜在的な収益性を明確化、評価し、

• 組織が最も貢献できる標的市場を選択した上で

• 当該市場に最適な製品、サービス、プログラムを決定し

• 組織の全構成員に、顧客志向、顧客奉仕の姿勢を求めるビジネス上の機能である。

コトラーのマーケティングコンセプトより

将来の売り上げ、利益を売るための「売れる仕組みづくり」 (グロービス MBAマーケティング)

戦略と戦術

• 古代中国の孫子やシーザー、クラウゼヴィッツにいたる軍事理論の専門家全てが強調しているように、戦術は常に柔軟でなければならない。

• しかし、戦略は、明確な前提と目標のもとに固定されていなければならない。簡単に変えてはならない。

• 同じ事が、訓練、指揮系統、兵器についても言える。

ピータードラッカー:新しい現実より

どこに着眼するのか?着眼点が大切になる

戦略と戦術

売り上げを伸ばすには?

状況分析(situation analysis)(SWOTおよび患者フロー) ↓

課題(key issue)/戦略(strategy) ここで、目的とキーイッシューとの間にどのようなギャップがある

か?

戦術(tactics) ↓

実行(action)

SWOTと戦略

強み(strength)

守る

弱み(weakness)

機会(opportunities)

脅威(threats)

手を組み強化する

攻撃する 見直す、撤退する

キーイッシュと戦略と戦術の違いは?

キーイッシュー(戦略)は、案ではなく(それは戦略)、行動を伴うものではなく(戦術)、あくまでも問題点(どのような障害があるのか?今後乗り越えるべきものは何か?)を列挙することである。

「リピトールのスタチン売り上げ全体の占める割合が20%で非常に低い」は、キーイッシューではない。これはあくまで現状を表現したものに過ぎない。

スタチンの市場において競合品が多くなり今後競合が起きるだろうと表現した「ストロングスタチンでの競合」は、障害や乗り越えるべき問題を表現しているのでキーイッシューとなる。

ポジショニングとは

• 「新製品そのものに対して」行うことではなく、「見込みの客の心(マインド)に対して」行うこと、すなわち「製品を見込み客の心の中に位置づけること」

• ターゲット顧客の頭の中に自社製品についての独自のポジションを築き、ユニークな差別化のイメージを植え付けるための活動。顧客に自社製品のユニークな価値を認めてもらう事で、競合製品に対して優位に立つ事を目的にしている。

• ターゲットとする市場セグメントにおいて、競合製品から自社製品を差別化し、優位な地位を占めるための考え方。(NRI)

コール数とSOV

• SOV(share of voice)とは、「競合品の中での自社品に関するコール数(detailing数)の比率」のことをいう。

• 「それぞれの薬効群中のマーケットシェアときわめて比例関係」にあることを前提にMR数を計算する。

• 結局、「製品が持っている優秀性についての正しいメッセージが、市場の場で競合品に負けないくらいの頻度でドクターの耳に届いているか?」という視点で営業を考える。

• 最終的に1 MRあたり1日1回、一ヶ月17日~18日の稼動日数をかけ、必要なMR数を割りだす。

ご清聴ありがとうございました

top related