【pdf版】破壊的イノベーション ケーススタディ:テスラ・モータース
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破壊的イノベーション
ケーススタディ
テスラ・モータース
α VENTURE LAB
2011/08/06
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テスラは、ハイエンドなEV “Tesla Roadstar”を製造・販売するシリコンバレーのスタートアップです。ペイパル創業者のイーロン・マスクにより2003年に創業されました。
(http://www.teslamotors.com/)
TESLA ROADSTAR
• 97km/hまで4秒で加速(ポルシェより早い)
• 一回の充電で、394km走行可能
• 価格は約1,000万円
• 2008年の発売以来、1650台を販売
(http://en.wikipedia.org/wiki/Tesla_Roadster)
テスラ・モータースについて
• 2003年、EVが実現可能であることを世に知らしめる為に創業。一般消費者にリーズナブルなEVを販売することが目標。
• イーロン・マスクがUS$7millionのシードマネーを拠出して創業。6回に渡る増資で、Google創業者を含む投資家から合計200millionを調達。
• 2009年、米エネルギー省から465millionの低利融資を受ける。
• 2010年NASDAQ上場。▲154millionと未だ赤字ながら、時価総額はUS$2.9billionに至る。
(http://en.wikipedia.org/wiki/Tesla_Motors)
創業者:イーロン・マスク
• 1999年、スタンフォード在学中にZip2を創業、コンパック社に307millionで売却。
• ペイパルの創業に関り、eBayへの売却で150millionを手に入れる。
• 2002年、宇宙開発事業を手掛けるSpaceXを創業。現在NASA向けにロケット打ち上げサービスを提供。契約金額は1.6billion。
• 2003年、テスラ創業。
• 現在40歳。
(http://en.wikipedia.org/wiki/Elon_Musk)
テスラの何がすごいか?
テスラ・モータースの何がすごいか(1)
• EVの最大の技術的課題は、バッテリーの技術
• GM前バイスチェアマンRobert
Lutz氏曰く(2007年) : “All the
geniuses here at General
Motors kept saying lithium-ion
technology is 10 years away,
and Toyota agreed with us”
(http://en.wikipedia.org/wiki/Tesla_Motors)
テスラ・モータースの何がすごいか (2)
• ノートPC向けに規格化されたリチウムイオン電池を6,831個搭載して色々工夫。安い。
• 総容量は約53kWhで、三菱i-MiEVなどと比較すると3倍以上。
• 2008年には既に販売開始しており、i-MiEVやLeafに先行。
テスラ・モータースの何がすごいか(3)
• Lutz氏: “and boom, along comes Tesla.
So I said, ‘How come some tiny little
California startup, run by guys who
know nothing about the car business,
can do this, and we can't?’”
• Tesla Loadsterによって、EVの需要・技術的実現可能性に対する評価が一変した。近年のEVブームは、テスラが巻き起こしたもの。
出願特許もバッテリー周辺技術に特化
(http://monoist.atmarkit.co.jp/fpro/articles/ipmap/02/ipmap02b.html)
最近、日本企業とも連携を強化
• 2010年5月、トヨタが5,000万ドルを出資。 (http://japan.cnet.com/news/biz/20413851/)
• 2010年11月、パナソニックが3,000万ドルを出資。次世代リチウム電池の共同開発などで提携することを発表。
(http://japan.cnet.com/news/business/20422378/)
• 2011年7月、トヨタの電気自動車「RAV4 EV」向けに電動パワートレインを1億ドルで提供することを発表。
(http://japan.cnet.com/news/business/35005387/)
Innovation
ちょっと待った、
自動車は日本のお家芸
30% 世界販売台数別シェア
(http://www.autoinfoc.com/hanbai/sekaihanbai/h-sekaihanbai-10.html)
(2008年)
電池についても日本はトップ
42% リチウムイオン電池世界出荷数量シェア
10年前はシェア90%・・・
(http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110112/biz11011218460100-n1.htm)
特許出願件数でも日本はトップ
世界の出願人国別の出願件数シェア(電動推進車両技術に関する制御技術及び関連分野)2001~2006年
日本:69%
なぜ、テスラのような会社が、日本では無く、シリコンバレーで誕生したのか・・・
日本は、新しい産業を起こすようなイノベーションを生み出していかないと不味い
のではないか?
イノベーション?(1)
イノベーションとは、経済活動において旧方式から飛躍して新方式を導入することである。日本語では技術革新と訳されることがあるが、イノベーションは技術の分野に留まらない。シュンペーターはイノベーションとして以下の5類型を提示した。
• 新しい財貨の生産
• 新しい生産方法の導入
• 新しい販売先の開拓
• 新しい仕入先の獲得
• 新しい組織の実現(独占の形成やその打破)
イノベーションの実行者を企業者(アントレプレナー:entrepreneur)と呼ぶ。この意味における企業者は、一定のルーチンをこなすだけの経営管理者(土地や労働を結合する)ではなく、生産要素を全く新たな組み合わせで結合し(新結合: neue Kombination)、新たなビジネスを創造する者として重視される。この点を明確にするため近年は起業者と訳されることがある。
イノベーション?(2)
クレイトン・クリステンセン
「イノベーションのジレンマ」
技術革新が顧客の求める性能向上軸に沿っている。意思決定プロセスは既存の顧客ニーズに依存。
既存顧客が求める性能とは異なる性能(特性)を持っている。既存以外の層に受け入れられ、性能を向上させ、上位マーケットへ進出。当初の市場規模は小さい。最終的な用途とメイン顧客が分からない。
既存産業にとって「破壊的」な性格を持つ。
破壊的イノベーション 持続的イノベーション
持続的イノベーション
(Incremental Innovation)
• 既存市場に対して、
• 既存技術(ノウハウ)を応用して、
• より良い品質で、
• より安く、
• より効率的に、
• 製品・サービスを提供。
破壊的イノベーション
(Disruptive Innovation)
• 存在しない市場に対し、
• 全く新たな技術(ノウハウ)を用い、
• とにかく、
• とにかく、
• とにかく、
• 製品・サービスを提供。
持続的イノベーション:
破壊的イノベーション:iPod & iTunes
(http://paidcontent.co.uk/article/419-09-music-sales-shed-1-billion-u.s.-downloads-stagnant/)
2003
1999
2004
日本的イノベーションは、持続的イノベーションが多い?
「職人芸」型 「多機能追求」型
日米イノベーション比較
1937
1997
1968(ドコモ)
1947
1999
1994
1998
2006
2004
1984
1976
1985
大企業は、破壊的イノベーションが苦手
• すぐれた既存の大企業ほど、既存市場・顧客の動向を注意深く調査し、システマティックに最も収益率の高い投資を行う
• もともと市場の無い(又は極めて小さい)破壊的な製品・サービスに対する投資は実行されづらい
• 自らの優位性自体を破壊するような製品・サービスは生み出せない
• だからこそ、計画的に破壊的イノベーションに対処する必要がある
どのようにすれば破壊的イノベーションを取り込むことが出来るか?
答えの一つは、ベンチャー買収による破壊的イノベーションの取込み
既存の組織とは全く違った価値観・視点・意思決定プロセスを持った組織を取り込むことで、組織を活性化させる
• 社内R&Dに年間2.8billionを支出(Google収入の12% VS 産業平均13.3%)
• 年間100millionをベンチャー買収に充てる(2001~2010年で、YouTubeなどを含む85社を買収)
• Googleの収益の柱であるAdSenseも買収したベンチャーから
(http://www.googleventures.com/index.html)
ケース1:Google Ventures
ケース2:iPod & iTunes
• ベンチャー買収に積極的(2010年は600millionで5社を買収)。
• iPodは、外部人材であるTony Fadell氏のアイディア。
• iPodとの組合せで大ヒットしたiTunesも、サウンドジャム社から買収した。
• 開発開始から6ヶ月で、iPodを市場に。
もし日本で大企業がベンチャーを買収し始めたら・・・
主要246社の2010年度の研究開発費は、
10兆7千億円
トヨタだけでも、US$7.8billion/year
(http://www.nikkei.com/news/ranking/genre/article/g=96958A9C93819595E2E3E2E2828DE2E3E2EAE0E2E3E29F9FEAE2E2E0;p=9694E0E0E2E0E0E2E3E2E6E7E1E3;o=9694E3E6E3
E0E0E2E2EBE3EAE3E4)
クリステンセン教授は述べています:
個々の企業が市場の最上層で行き場を無くし、やがて衰退するとしても、それに代わる新しい企業が現れるため、米国経済は力強さを保っている。これは日本では起こり得ないことである。企業の伝統から、経験豊富な技術者が大企業を辞めることがほとんどなく、また、新企業に出資するような金融市場の仕組みができていないからだ。本書の理論から考えて、現在のシステムが続くなら、日本経済が勢いを取り戻すことは二度とないかもしれない。
重要なこと
ソニーは、ウォークマンで音楽を「個人で楽しむもの」に変えました
ホンダのスーパーカブは、バイクの楽しみ方を変えました
日本製品の評価は高い(1)
(http://www.hakuhodo.co.jp/pdf/2009/20090115.pdf)
日本製品の評価は高い(2)
Business Week: Top 50 Most
Innovative Companies
(http://www.businessweek.com/interactive_reports/innovative_50_2009.html)
日本はまだ行けます。何から始めよう? ご清聴有難うございました。
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