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“むくむ足”!何とかしたい
~自主訓練でできること~
論文作成者記入:今枝功子 共同研究者:藤田梢、渡邊陸貴、山下泰弘、本多久美
施設名記入 医療法人社団 介護老人保健施設 白梅ケアホーム リハビリテーション科
キーワード 浮腫 自主訓練プログラム FIM
Ⅰ.はじめに 通所利用者の中には両下肢に浮腫のある人が多くメドマー(波動式浮腫除去機器)を施
行していたが、効果は一時的で、「なんとかならないか」との訴えがあった。高齢者の浮腫
は筋ポンプ作用の低下から起こることが多く、足の冷感や感覚鈍麻を伴い、活動性低下の
悪循環を起こす。しかしながら、個別リハビリテーションの限られた時間の中では治療目
標とならないため、自宅で行う自主訓練プログラムを提供し、自らマッサージや体操をし
てもらうことにした。その結果にADL評価法のFIMで分析を加え考察を行った。 FIMとはFunctional Independence Measureの略で
機能的自立度評価表である。運動項目13個、認知項目5個で構成され、完全自立は 7 点
中 7 点と計算する。運動項目は 91 点が満点、認知項目は 35 点が満点となる。
Ⅱ.研究方法 1.研究期間 : 平成 25 年 7 月第1週から第 4 週 2.対象者 : 白梅ケアホームデイケアと内田記念院デイケアに通所する利用者の中で、下
腿(ふくらはぎ)に浮腫のある方 22 名。浮腫は親指で数秒皮膚を圧迫し、 その後、跡が残る状態を浮腫とした。
3.研究方法 : ①自宅での自主訓練プログラムを説明指導。理解しやすいように説明書に は写真を添付し、それぞれの訓練内容は継続しやすい回数を設定した。 プログラムは第 1 週と第 2 週はマッサージを中心にした5種類とした。 第 3 週と第 4 週は運動を中心とした5種類とした。写真(1 と2)参照。
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②自主訓練を実施したかどうかを、利用者自身で確認しやすいようにチ ェック表を毎週配布した。
③下腿・足首・足部周径を 1 週目、2 週目、3 週目、4 種目に計測し、撮 影した。 協力が得られる場合は、御家族にマッサージ等を行ってもらった。
④各利用者のADL評価の基準としてFIMを使用する。
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5.倫理的配慮 本研究対象者に対しては、研究概要と個人情報保護について説明し、同意を得ている。
Ⅲ.結果 研究期間中にデイケア目的で通所した利用者 22 名中、予定デイケア利用日の約半数を欠
席した方と、入院等にて利用を中止した方を除いた 16 名について報告する。 チェック表と実施状況から確実に実施している 10 名を実施群、実施が確実ではなかった
6 名を非実施群とした。実施群のうち左右どちらかの足で 3 ヶ所の周径の減少平均値が 0.5㎝以上となった 5 名を効果群、減少が 0.5 ㎝未満だった 5 名を非効果群とした。実施群、
非実施群の各部の初回と最終の 4 週目の平均値は表 1 の通りだった。 FIMの全体の平均値は 98.2 点、運動項目 68.5 点、認知項目 29.7 点だった。それぞれ
の運動項目平均値は、実施効果群 73.2 点、実施非効果群 56.6 点、非実施群 74.5 点、だっ
た。 認知項目平均点は実施効果群 32.2 点、実施非効果群 32.0 点、非実施群 25.0 点だった。図
1の折れ線グラフは、各群の部位別平均値の変化を示している。第3週から運動プログラ
ムを加え、赤の実線で示すように実施効果群で足首と下腿の周径が減少している。
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Ⅳ.考察 FIMの運動項目と認知項目の結果から次のような考察をした。分布図を作成し、赤の
縦線で運動項目、赤の横線認知項目の平均値ラインを示し、エリア分けを行った。赤い点
は実施効果群、青の点は実施非効果群、緑の点は非実施群である。
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非実施群は認知5項目中、4項目で5点以下だった。FIMの認知項目には、理解、表
出、社会的交流、問題解決、記憶の 5 項目を点数化する。5 点以下は介助が必要な段階であ
ると評価する。非実施群の方は、特にこの中の問題解決と記憶の項目の平均値がそれぞれ
4.5 と低値だった。認知項目平均値以下のエリア内に実施効果群の方がいた。この方は研究
期間中にサービス担当者会議があり、訪問看護師が声かけを行い継続ができた例だった。
この例のようにFIM認知項目が低値の方でも自主訓練を継続し、浮腫を軽減させるため
には、その方の認知レベルに応じた訓練方法の説明指導と継続するための声かけが常に必
要と思われる。 青の点の実施非効果群の方は、認知項目は平均値以上だが、車いす生活やパーキンソン
病などのため、活動性が低く運動項目が平均値以下となっている。この方々は、筋力の不
足や訓練中の体幹の保持等に支障があり、指導した自主訓練プログラムの実施が十分でき
なかったのではないかと思われる。そのため効果の表れが少なかったものと考える。運動
項目平均値以下のエリア内に実施効果群の方がいた。この方は「就寝前に夫が熱心にマッ
サージをしてくれる」と話していた。今回のプログラムでは大腿や下腿を体幹方向にさす
る内容をはずしたが、運動項目が低値の方でも、家族等の協力を得てマッサージを強化す
ることで、浮腫が改善する可能性があると思われる。
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Ⅴ.まとめ 浮腫のある人に自宅での自主訓練プログラムを指導し、下肢の周径を測定した。また継
続できるようにチェック表を毎週渡し、声かけをした。 1.周径結果とFIMで対象者の特徴を分析した結果、運動項目平均値 68.5 点以上、認知
項目平均値 29.7 点以上でプログラムを継続でき、浮腫軽減の効果が表れた。 2.マッサージに運動を加えることでより効果が見られた。 3.認知項目 29.7 点以下では声かけが必要であることがわかった。 4.運動項目 68.5 点以下では活動性が低く、マッサージ強化のプログラムが必要と思われ
る。適切なマッサージと運動と声かけをすることで浮腫を軽減する可能性があると思 われる。
Ⅵ.おわりに この研究に多くのご協力を頂いた御利用者及び御家族に深謝する。この研究をもとに一
層御利用者の浮腫が軽減できるような自主訓練プログラムの提供と指導を行っていきたい
と思う。また研究を進める中、塩浦医師や河内職員支援室に助言を頂いた。この場を借り
て感謝する。
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○参考文献 1.おうちでできる転倒予防体操 http://www.juryo.or.jp/grou
p/tairyoku/tentou2.html 2.ほどがや高齢者情報[はつらつシルバーエイジ] 転倒骨折予防 フットケア http://www.city.yokohama.lg.jp/hodogaya/b
unyabetu/fukusi/koureisya 3.初級講習テキスト ロイヤルリフレクソロジー協会