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18
眼下 壊井 晃|佐葉大学理工学部建設工学科助教授 正鴻哲諺!佐賀大学理工学部建設工学科教授 1.まえがき 土構造物が動的な外力,例えば地震,機 械・交通振動,衝撃・爆破,波浪・潮汐等を 受ける場合には,たとえひずみレベルが小 さくてもその載荷速度と繰返し効果によっ て,従来の静的な設計法では予灘できない 地盤沈下や支持力低下を示すことが知られ ている.特に,地震の多いわが国では耐震 設計に関する動的問題が大きな関心事とし て取り上げられてきた経緯があるが,現在 では,周期の長い地下水位の季節的変動, 中くらいの周期の潮汐や貯蔵物荷重の変動, および短周期の交通高重や海底地盤におけ る波浪の影響についても研究が進みつつあ る.しかし,地盤の変形挙動は,これらの 動的外力の種類によって大きく異なりかっ メカニズ、ムも複雑であるために,繰返し荷 を受ける土構造物の安定性や変形の評儲 においては,対象とする掠動荷重とその土 構造物の種類を明確にしたよで検討を進め る必要がある.特に,繰返し荷重を受ける 軟弱地盤の変形挙動は,長期間にわたる速 度依存性を有した繰返しせん断・圧密の複 合形態であるが,いまだ実用に供するよう な統一的な理論構成は確立されていないの が現状である. 本研究は,繰返し高震を受ける軟弱地盤 の沈下問題のなかで,繰返し…次元圧密現 象に対官、すると考えられる地下水位変動に 伴う広域地盤沈下を対象に挙げる.農業用 水や消雪用に地下水を揚水している地域は, 長期的にみでほぼ一定の地下水位を保持し ているにもかかわらず地下水位変動による 繰返し庄密によって地盤沈下が進行してい くことが知られている 1)2) この地下水位の 季節的変動に停う地盤沈下現象のメカニズ ムは,従来の一方向の有効応力の変化だけ でなく,季節的な地下水位変動によって, 軟弱地盤内の有効応力が時間的・季節的に 変化する繰返し庄密の効果によるものであ ると考えられている.特に,農業用水とし て夏に多量の地下水を揚水している佐賀平 野では,広く堆積している軟弱な沖積粘土 (有明粘土)の長期にわたる広域地盤沈下 が社会的問題としてあげられ,現在,この 低判研究 NO.2MAR 印刷一一一59

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Page 1: b) - saga-u.ac.jpportal.dl.saga-u.ac.jp/bitstream/123456789/13852/1/sakai...眼下 壊井 晃|佐葉大学理工学部建設工学科助教授 正鴻哲諺!佐賀大学理工学部建設工学科教授

眼下

壊井 晃|佐葉大学理工学部建設工学科助教授

正鴻哲諺!佐賀大学理工学部建設工学科教授

1.まえがき

土構造物が動的な外力,例えば地震,機

械・交通振動,衝撃・爆破,波浪・潮汐等を

受ける場合には,たとえひずみレベルが小

さくてもその載荷速度と繰返し効果によっ

て,従来の静的な設計法では予灘できない

地盤沈下や支持力低下を示すことが知られ

ている.特に,地震の多いわが国では耐震

設計に関する動的問題が大きな関心事とし

て取り上げられてきた経緯があるが,現在

では,周期の長い地下水位の季節的変動,

中くらいの周期の潮汐や貯蔵物荷重の変動,

および短周期の交通高重や海底地盤におけ

る波浪の影響についても研究が進みつつあ

る.しかし,地盤の変形挙動は,これらの

動的外力の種類によって大きく異なりかっ

メカニズ、ムも複雑であるために,繰返し荷

を受ける土構造物の安定性や変形の評儲

においては,対象とする掠動荷重とその土

構造物の種類を明確にしたよで検討を進め

る必要がある.特に,繰返し荷重を受ける

軟弱地盤の変形挙動は,長期間にわたる速

度依存性を有した繰返しせん断・圧密の複

合形態であるが,いまだ実用に供するよう

な統一的な理論構成は確立されていないの

が現状である.

本研究は,繰返し高震を受ける軟弱地盤

の沈下問題のなかで,繰返し…次元圧密現

象に対官、すると考えられる地下水位変動に

伴う広域地盤沈下を対象に挙げる.農業用

水や消雪用に地下水を揚水している地域は,

長期的にみでほぼ一定の地下水位を保持し

ているにもかかわらず地下水位変動による

繰返し庄密によって地盤沈下が進行してい

くことが知られている 1)2) この地下水位の

季節的変動に停う地盤沈下現象のメカニズ

ムは,従来の一方向の有効応力の変化だけ

でなく,季節的な地下水位変動によって,

軟弱地盤内の有効応力が時間的・季節的に

変化する繰返し庄密の効果によるものであ

ると考えられている.特に,農業用水とし

て夏に多量の地下水を揚水している佐賀平

野では,広く堆積している軟弱な沖積粘土

(有明粘土)の長期にわたる広域地盤沈下

が社会的問題としてあげられ,現在,この

低判研究 NO.2MAR印刷一一一59

Page 2: b) - saga-u.ac.jpportal.dl.saga-u.ac.jp/bitstream/123456789/13852/1/sakai...眼下 壊井 晃|佐葉大学理工学部建設工学科助教授 正鴻哲諺!佐賀大学理工学部建設工学科教授

繰返し任密現象の把握と長期間におよぶ地

盤沈下予測法の確立およびその対策が急務

となっている.このような地下水位の季節

的変動による地盤沈下の併としては,

用水として夏に多量の地下水を揚水してい

る佐賀県白石地毘制)・茨城県鹿部町逆に消

として冬に多最の地下水を利用してい

る新潟県の高田平野(上越)6)7).南魚沼郡六

日町8)等が挙げられる.季節的に地下水位

が大きく変動する地域では,地下水位の変

動による地盤に加わる応力の繰返し効果で

一年中地下水を揚水する場合よりも大きな

累積沈下を示すことが指摘されている叩0)

このような地盤沈下を防止するためには,

年間の揚水総量を規制するだけでなく,規

制地域内での時間的・場所的な揚水方法を

工夫することによって沈下を減少させるよ

うな対策法を検討することが極め

ある.本論文は,地盤沈下に及ぽす地下水

位変動の影響を明らかにするために,繰返

し一次元圧密解析法の提案と,それを用い

た地下水位の季節的変動を受ける佐駕平野

の地盤沈下解析への適用性について調べる

とともに,沈下に及ぽす種々の地下水位変

動の影響について解析的検討を行ったもの

である.

2.繰返し一次元皮密モデル

飽和粘性土の繰返し圧密は,粘性土地盤

が繰返し荷重を受け,その過程および結果

として間隙水の排水を伴いながら沈下もし

くは変形を生じる現象とされている.この

とき生じる沈下最は,繰返し荷重の大きさ,

方向,周期およびその継続時間等の影響を

受けることになるが,種々の繰返し庄密に

よる軟弱地盤の変形挙動を統一的に説明で

きるような理論や解析法は確立されていな

い.従来,繰返し匠密の理論的研究として

は,大別して, (i)一次元圧密理論を基本

にした解析モデノレと(ii)三次元的変形を考

慮した解析モデルに分けられる 11) 前者は,

60…ーーベ同研究 No.2附 R仰 19幻

さらに a)テルツアーギの一次元圧密理論

を基本にしたもの12)-18¥ b)レオロジーモ

デルと連成させたもの, C)ニ次庄密の効果

したものが上げられる.

(1) 本解析に用いた地盤沈下解析モデル

本解析では,地下水位変動に伴う広域地

盤沈下を対象にしているために,一次元的

取り扱いが可能であるとして,テルツァ

ギの一次元庄密方程式

δu kδ2Uδ2U 一口一一…一一口Cv…_2 ・H ・........・H ・.(1)θt mvrωδIZ2 -vδz

を基本にした地盤沈下解析モデノレを提案す

る.繰返し荷重を受けるときの配密特性は,

除荷時および過圧密領域の挙動に依存して

いるところにその特徴がある.したがって,

従来,テルツアーギの一次元圧密理論を基

にした繰返し庄密モデルは,圧街、に関す

る定数を一定とする場合12)だけでなく,載

再・除荷および繰返し回数に応じて圧密定

数を変化させる場合同-18)がある.本モデル

においても,繰返し載荷に対する土の物性

値の変化を考癒するために,庄密定数を変

化させる方法を採用し載荷時と除荷時の体

穣庄縮係数および圧密係数の比 (mvs/mv,

Cvs/Cv)を任意に設定することによって,繰

返し一次光正密時における沈下と過剰間際

水圧を算出している.特に,本解析モデノレ

の特徴は,圏-1に示すように,除荷時の

体積圧縮係数比 mvs/mv=α(<1)に対し,

過庄密領域における再載荷時の体積圧縮係

数 111'vsとして繰返し効果による沈下を

した m'vs/mv=β(丞α)の{躍を設定する

ことにある.ここに,正規庄密における載

荷時の体積圧縮係数 mv,除荷持の体積圧

縮係数 mvs>同様に載荷時の庄密係数 Cv,

除荷時の圧密係数 Cvsとする.また,体積圧

縮係数 mvは,有効応力と間際比の関数

mvこ O.434Cc/(1十e)・ゲ…..,・ H ・-……(2)

を使用した.本解析は,この解析モデルを

使用し,有限要素法を用いた繰返し一次元

圧密解析に適用した.ここに,除荷時およ

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e 修、".'-c'

log σ

図-1 繰返し毅荷時における体積圧縮係数の設定

び載碕時の過圧密領域における体積圧縮係

数は,計算過程において最大有効応力が発

したときの体積圧縮係数に,載荷・除荷

時の体積圧縮係数の比 lTIvs/mvおよび

ぽ vs/mvを乗じて算出している.

(2) 繰迭し載待を受けるときの圧密定数

本解析モデルでは,載祷時と除荷時の圧

密定数の比を変化させる方法を採用してい

るが,この解析モデルの適用にあたっては

繰返し荏重下における圧密定数の決定が重

要である.繰返し載荷時の体積庄縮係数

mvまたは m'vsが,静的圧密時の mvに従う

のか,あるいは,繰返し載荷履摩によって

異なった値を示すのかは,繰返し一次元圧

密試験により求めなければならない課題で

ある.しかし,正規圧密状態でかつ載荷周

期が短いときの繰返し一次元圧密試験では,

載荷時には過庄密状態と正規正密状態が漉

在することにもなり,各有効応力での載荷

時の体積庄縮係数を求めることは困難を伴

うことになる.また,繰返し載荷時におけ

る庄密係数も,載荷周期の時間の長さから

その値を決定するのは難しい.以上のこと

に鑑み,本解析では繰返し載荷時における

正規庄密状態の圧密定数は静的圧密におけ

る配密定数に等しいものと仮定して,沈下

に及ぼす除荷時と載荷時のEE密定数の比

mvs/mv, cvs/cvおよび過庄密領域における

載荷時の体積圧縮係数 lTI'vsの値を任意に

設定して種々の解析的検討を行った.また,

除荷持および過密時の透水係数ks(載荷

持の透水係数は k1) は,繰返し載荷におい

て最大有効応力が発生したときの体積任縮

係数 lTIvと,載荷時の圧密係数 Cvによって

算出された透水係数 k1に載荷・除荷時の体

積圧縮係数比 mvs/mvと載荷・除荷時の圧

密係数比 Cvs/Cvを乗じて算出している.

3 .繰返し一次元在密解軒

実地盤の沈下解析に先だ、って,まず繰退

しEE密に対する本解析モデルの有用性を調

べるために,関別計測裂庄密試験装簡を用

いて得られた有明粘土の繰退し圧密試験問

を対象にした繰返し一次元庄密解析を行い,

実澱値と比較検討した.

(1) 解析モデノレと解析条件

本解析は,層別計鵠型繰返し圧密試験19)

(2 cmの分鶴供試体を 51田直列に連結した

層淳10cmの5層供試体,上部排水条件)の粘

土供試体を対象に,図-2に示す厚さ10cm

を合計32要紫に分割したモデルを用いて解

析を行った.解析条件は,表-1に示す.繰

:11三日開

国一 2 解析モデル

表-1 解析条件

供試体筒さ H 10.0cm 圧縮指数 Cc 0.86 任主管係数 Cv 0.048cm'/min 初期間際上t eo 2.1 初期応力的 1. Okgf!cm' 繰返し毅荷荷j縫ムσ 1.0kgf!cm' F司 II耳 T lOOOsec 計終i時間刻み 10sec 分割j要索令数 32

5 N

低平地研究 No.2附 RCH1993一一-61

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返し荷重は矩形波である.ただし,ここで

は透水係数は載荷時と捻荷時の値が等しい

として載荷時・除荷持の体積圧縮係数およ

び圧密係数の比をそれぞれmvs/mvヱ 0.3,

Cvs/Cv =3.33とした.ここに,麗別計測型

密試験装置による粘土の繰返し一次元圧密

試験は,佐賀県有明沿岸で採取した有明粘

土(Gs=2.63,WL=1l8.4%, Wp=39.2%)

を用いて,各分割層ごとに両面排水で圧省、

力的=1.0kgf/cぱ(パックプレッシャ

ーご1.0kgf/cnIつを負荷した後,片面排水条

件でぬ=1. Okgf/ cm2の繰返し載荷を行って

いる.繰返し荷重の波形は矩彩波であり,

載荷の周期はTご 1000秒{載荷時間 T1/ 除

荷時間(=T TJ=l}である.

(2) 解析結果

図-3 (a) (b)は各層の軸ひずみを時系列

で表したものである.下部に位置する麗の

沈下は,初期の段階において解析髄が実溺

値より幾分小さい値を恭しているが,全般

的な沈下傾向は再者よく一致している.ま

た,解析によって得られた全層平均の

軸ひずみは,実測値とほぼ同ーの髄を

示している.ただし,第 1層自における

解析による軸ひずみの半サイクル内の

変動鷺は,実測値の 2倍近く変動して

いるが,これは mvs/mvご 0.3とmvsを

幾分大きく設定していることから,除

荷時の軸ひずみの戻りが大きくなった

ことによるものと考えられる.

次に,時系列で表した過剰間際水在

比(深さ位置 Z/H=0.2)を示したのが

図 4(aXb)である.解析値は実測値よ

りも消散の開始が若干遅れる傾向があ

り,載荷時・除荷時の各半サイクノレ内

での過剰間際水圧の変動量が小さいこ

とが認められる.過剰間際水圧の消散

1.0

b 0.8 d

¥

コ0.4

迫 0.2出

E霊山0.2

Z4A 型l

間-3 時間一戦ひずみ胎線

(爽iJtIJイ鐙と解析伎の比較)

遅れは,載高時・除荷持、の透水係数を思-4 時間一過剰間際氷庄比曲線

等しくしているため, Cvsが小さい{誼と (実測値と解析悠の比較(z/H=O.2))

なり,過圧密状態時および除高時での

過剰間隙水圧の消散速度が小さくなる

62…一→邑制研究 NQ.2附 HIω3

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過堅持酷奴水圧比 u/D.O

ー1.0

0.0

-0.2

ロロ¥¥ 8.33111n H

-0.6

町 向 ト - Ifi析姐

ω0.8t i ……ー一笑羽 11'"

N"60

1.0

(時荷〉 {臨時)

昭一 5 深さ方向の過剰間際水圧幽線

(実jlll]ii盛と解析{穫の上ヒ較)

ことに起因していると考えられる.

間一 5は, 60サイクル目(経過時間1000

分時点)における過剰間際水圧比の深さ方

向の分布である.上部自由表面より,深さ

位謹 Z/Hニ 0.2までの間の実測値が得られ

ていないため,これらの深さでの解析値と

実測値との正確な比較はできないが,解析

{直は実測値に比べて過剰間際水圧の消散が

幾分遅れる傾向にあるものの,載荷時・除

荷時ともほぼ向ーの傾向を示しているのが

わかる.

4.沈下に及lます在密定数の影饗

(1) 圧密定数の影響

繰返し荷重を受けるときの沈下に及

ぼす庄密定数の影響を調べるために,

載荷・除荷時における体積圧縮係数比

および圧密係数比の値を種々変化させ

た解析を行った.具体的には,除荷時・

載荷時の透水係数比 ks/l王lニ 1.0,ffivs/

ffiv = 0.02"-'0.3, Cvs/ Cv = 50.0"-'3.33

の範期における種々のケースについて

実施した.

図 6 (aXb)は,体積-圧縮係数の比が

異なる ffivs/ffiv 0.02と0.3における

各層の軸ひずみの経時変化を比較した

ものである. ffivs/ffivの髄が大きくな

るほど除荷時の軸ひずみの戻りが大き

くなり,残留ひずみは小さく,半サイ

クノレ内での軸ひずみ変動量は増加して

いる.ただし, ffivs/ffivの値が小さい場

1.0

O

1 11111 下--1,1間六れ|11111 1111

ト 11 J J 指1¥i¥ 11J4ii.4 11

1il ιムU iii i 11 h Ho.l-- ¥ 11

111111 Ho.2ぺ¥ト ks/kl;l.O

2 』

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6

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10000

G

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3

4

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5A同h

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l 100 時限〈分〉

ーよ10000 10

国-6 時間一戦ひずみ曲線

(mvs/mv=0.02, 0.30)

て“コ 0.4

公 0.2

出 0.0長盟主同0.2

隠-D.4鹸

努)-D.6

-D.8

b4¥コ

ま4H三尚

喜連

値目0.4夜

祭)-D.6

叫 0.8

司1.0]:

密-7 時間一過剰陶磁水圧比臨線

(mvs/mv=0.02, 0.30; z/村口0.2)

ili平地研究 NO.2附 RCH1993…… 63

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自1.00.0

-<).2

コ-<).4

¥ トl

-<).6

-<).8

-1.0

i晶鶴間結水圧比 u/L:.a 。 1.0

(除荷〉

i畠剰岱隠水圧比 u/ム。-1.0 1.0

No60

(鈴斑) 〈臨時〉

図-8 深さ方向の過剰間総水EE幽線

(mvs/mv=0.02, 0.30)

合には, Cvsが大きくなり,載荷周期の影響

もあって初期の段階では逆に 1サイクル当

りの軸ひずみ変動量が大きくなる傾向が認

められる.

圏 7 (a) (b)は,時系列で表した過剰間隙

水圧比である(深さ位寵Z/H= 0.2) • mvs/mv の髄が小さい場合は, Cvsが大きな値とな

り J品圧密状態および除荷持での過剰間隙

水圧の消散速度が大きくなることから,各

半サイクル内でトの過剰開隙水圧の変動議は

大きくなっている.

一方 1サイクル内における過剰間際水

(60サイクル悶,経過時間1000分)の深

さ方向の分布を示したのが図-8 (a) (b)で

ある.mvs/mvの値が小さいときは,鴎-7

の傾向と同様,各半サイクル内での過剰間

際水庄の変動量が大きく下部層までその影

響領域が広がっているのがわかる.

透水係数を一定(ks/k1= 1. 0)としたとき

の繰返し庇密特性に及ぽす mvs/mvの影響

を示したのが図-9 (a)"-'(d)である.鴎(aXb)

は,第 1関自における残留ひずみの経時的

変化および各層間の残留ひずみ (1000分経

過時)をそれぞれ載荷・除荷持の体積圧縮

64一一一惜平腕究 No.2附 RCHI抑

係数比 mvs/mvに対してプロットしたもの

である.全体として mvsがIJ¥さくなる(この

とき Cvsは大きくなる)ほど,残留ひずみは

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時間 (分〉

(a) 残留納ひずみに及ぼす mvs/mvの彩終 (~l "爵筏)

攻吋。

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11 8 0.2 0.3 0.1

m日 Imv

(b) 残稼紺lひずみに及ぼすIl1vs/Il1vの彩警察 (1000分時

点)

0.3

42 min E z

嘱 0.2

4語

" e い 0.1

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O O 0.1 0.2 0.3

mv,/mv

(c) 沈下の変動滋に及ぽす mvs/Invの彩線 (~l R夜目)

m 日 Imv

(d) 過剰間隙水圧の変動援に及ぽすIl1vs/Il1vの彩警察

(Z/日=0.2)

阻-9 繰返し!王密特性に及ぽす mvs/mvの影轡

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大きくなり,沈下の収束状況も早くなって

いることがわかる.また,函(cXd)は,屠NO.1

の各半サイクノレ(載荷時)における沈下お

よび過剰間離水圧 (z/Hニニ0.2)の変動議

に及ぽす ffivs/ffivの舘の影響を示している.

沈下の変動量は ffivs/ffivの値が小さくな

るほど減少するが, Cvsが大きいために逆に

馬期が短くなるほど載荷初期の過庄密状態

において沈下が増加している.また,過剰

間際水圧の変動量は ffivs/ffivの値が小さ

くなるほどまた式(2)より繰返し回数が増加

するほど Cvsの舗が大きくなるために増加

する傾向にある.

これら除荷時・載持時の透水係数比

ks/klニ一定とした場合の沈下や過剰間際

水圧に及ぽす ffivs/ffivの影響は,正規圧密

状態からの繰返し載荷に対しては以下のよ

うな説明が可能である.まず,沈下に関し

ては, ffivs/ffivが小さくなると Cvsが大きい

ために除荷時での魚の過剰開瞭水圧の消散

が早く,除荷時の軸ひずみの炭りが早い時

点、に収束に向かう.また,ffivsが小さいため

に捻荷時の軸ひずみの戻りは…般に少なく

なる.このために, ffivs/ffivが小さくなるほ

ど,残留ひずみが大きくなり,半サイクル

当りの軸ひずみ変動鷺は小さくなることに

なる.ただし,載帯四数が少ない段階では,

一部に ffivsが小さくなるほど軸ひずみやそ

の変動最が逆に大きくなっているところが

あるが,これは Cvsが大きいために過庄密

領域が早く進行するとともにその変形速度

の方が体積圧縮係数の影響を上回ることに

よって,結果的に沈下やその変動量が大き

くなるものと考えられる.次に,過剰間隙

水圧比の半サイクル内での変動量は,ffivs/ffiv

が小さくなるほどすなわち Cvsが大きくな

ると,除荷持の負の過剰関際水圧の消散速

度と,載荷時過圧密領域での過剰間隙水圧

の場合についても検討したが,上記に述べ

た傾向と同様な鰻向が認められた.

(2) 過圧密領域における載荷時の体積庄縮

係数 m'vsの影響

繰返し圧密による沈下は,短期的には静

的圧密沈下より小さくても,長期的には静

的二次庄密を上田る大きな沈下を生じるこ

とが指摘されている.しかしながら,繰返

し荷重を受ける圧密沈下の解析において,

テルツアーギの一次元圧密理論のような一

次圧密のみを取り扱うモデルを使用する場

合には,長期的な沈下傾向を表現するため

に何らかの工夫が必要である.

図-10(aXb)は,それぞれ層別計測型圧密

試験装置および本解析モデルを用いた数髄

解析によって得られた全層平均の軸ひずみ

(静的・繰返し)を比較したものである.

ここに示した解析結果は,静的圧密沈下と

繰返し圧密沈下(庄密定数比:ffivs/ffiv

0.02'"'-'0.3, cvs/cv =50.0'"'-'3.33, ks/kl =1.0) である.残留ひずみは, ffivs/ffivの値が大き

供滋体E量出 11自開

E制撤 Ip1η 庄総翁数 cc10.部

圧密係数 evl自.04恥ポノmin感綴胎 e,12.1

7H欄応力吋1.0困問宅 1:rI総腕力!:.U11.0同f/e<<i' li aH周鍛 γ 11日間調。 11

、・、、

1 10000 10 100 1000 島幸 悶 t分}

0

1

2

3

4

5

6

7

8

gA吋h

b怨

1 10000

の消散速度が共に大きいため,載荷持・除 時殴叶}

荷時半サイクル内での過剰間際水庄比の変 sI-l0 静的・繰返し載荷における全腐平均の紬

動量が大きくなる.さらに, ks/kl = l. 5, 0 . 5 ひずみ

イ民平地研究 No・2附 RCH19幻…一一一65

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い場合には静的圧密曲線より小さく,逆に

小さくなると大きな沈下を示すようになる

が, mvの値として静的圧密における定数を

吊いているために繰返し圧密沈下震は最終

的には静的な一次圧密叢を越えるには主っ

ていない.すなわち,載荷時(正規圧密領

域)の体積圧縮係数として静的圧密時の定

数を使用する限りにおいては,静的な最終

庄密沈下議を越すことは見られない.また,

テノレツアーギの一次元圧密理論を基に載

荷・除高時の圧密定数比を任意に設定し,総

荷時のEE密定数と過圧密時の密定数を等

しいとする解軒手法を用いた場合には,載

荷時の大部分を過圧密領域が支配する l次

圧密の後半部分において載荷時と験荷時の

圧密定数が等しくなり,過剰間離水圧の変

動が定常状態となって沈下も停止すること

になる.

したがって,本解析モデルでは,長期的

な繰返し圧密沈下を評価するために 2.

において訴したような隷荷時の体積圧結係

数と過圧密状態における載荷時の体積圧縮

係数の比m'vs/mvの鐘として臨時/mvより

も大きな値を設定する手法を採用してい

る.圏一11には,圧密定数の比として,載

待時の過圧密状態、の m'vs/mv二 0.315>

mvs/mv = 0.30を用いたときの全罵平均の

軸ひずみを示す.この臨から分かるように,

除荷時よりも過圧密状態における載荷時の

体積任縮係数比が大きい場合には,

長期的な沈下を表現することが可能

である.しかし,その沈下は,最終

的に収束する額向は得られず,載荷

回数が大きくなる詰ど過大評価とな

る.したがって,図-11には,mvs/mv

の値を載荷田数Nの関数とし,載荷

毘数とともにその値を減少させる方

法を舟いた解析結果についても示し

ている.ここに,除荷時の mvs/mvニ

0.30・N-O.5,載荷時の過EE密状態の

m'vs/mv二 0.315・N-O・5とした.この

66一一一→同研究 No,2 MARCH 19幻

0123456

5必

1 10 100 1000 10000 時 塁塁 《分}

国-11 時間…斡ひずみ曲線(平均の執ひずみ)

設定方法は載荷自数が無限大になった時点

において,総荷持と載荷時の過圧密状態の

体積庄縮係数が等しくなり,沈下が停止す

ることを意味している.長期的な繰返し庄

密沈下を評鏑するこれらの方法は,静的な

一次圧密沈下量を越して静的な場合の二次

庄密に棺当ずる長期的な沈下傾向を表現す

ることが可能である.

5.住費平野(白石地霞)の地撃沈下解析

(1) 解析対象地盤と解析条件

本解析モデlレの具体的な適用例として,

地下水位の季節約変動を受ける軟弱地盤の

沈下解析を取り上げる.解析対象地盤とし

ては,佐賀平野(白石地区)に広く分布す

る軟弱な有明粘土地盤(有明東小学校の地

盤)を採用した.図-12は,解析対象地盤

より採取した有明粘土の標準圧密試験結果

(庄密降伏応力・圧縮指数・圧密係数)と

ii:tUil土齢層日(耳)tt;;fck' CC M 弘前0r<V'1l!!!," "~ 0;:2 iS 立_1_2¥0-2 10→ 円<1務滋じ 1I

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(0実認健, 一一解析に路いた鍵)

図-12 解析地銭(有明粘土騒)の地鍍特性

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における対象地盤層としては,繰返し密

試験等によって繰返し圧密時の土嚢定数が

設定可能な宥明粘土層(深度23.4m)のみ

を取り上げることにする.

解析対象期簡は,昭和52年 6丹から昭和

62年 6月までの10年間である.したがって,

地盤の初期応力条件としては,解析を始め

る昭和52年6月の地盤応力(初期有効土か

ぶ、り圧と圧密降伏応、力)の値を初期値とし

て設定する必要がある.しかし,地盤の初

期liIS力については現在より推定するしかな

いため,表… 3および図-13に示すような

地盤の初期応力状態を種々設定して解析を

行った.まず,初期脊効土かぶり圧につい

ては,地下水位より上部の粘土躍の水中単

γ'が地下水位低下の影響を受

けない状態から過剰間際水任が完全に消散

して全有効土かぶ、りEE増分が作用する状態

の間にあると考えられる.したがって,表

-3に示す①②の両応力状態を設定した.

紳士患研究 NO.2MARCH 1993一一 67

上を

答品…間

件一一

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条一一一位

カ一内円

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初一慾一

の一状一

銭一ヵ一

地一応一

現在のEE~苦降伏応カ

1E笈圧密状慾を怒定

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1E規圧後状霊童

σvO樹J自

ゲVO一定

ア…イ

初期予言奴!こk絞

りEE

EE~苦降伏þr;カ

その解析設定鐘を示す.この図からも

分かるように,本解析対象の有明粘土

地盤における圧密状態は,過圧密比が

上部で約2.0の過圧密状態にある.一般

に,佐賀自石地区に分布する有明粘土

地盤は,深さ約10mを境にこと質特性が

幾分異なることから,本解析において

も深さ10mを境に 2層に分けて解析を

行った.表 2は,解析に用いたこと質

諾定数(圧縮指数・庄密係数・初期間際比)

と解析条件を示している.地盤メッシュは,

深さ3.6m'"'"'23.4mの有明粘土罵を第 l層

(3.6m-10m)と第 2麗 (10m-23. 4m)に

それぞれ要素分割数日,30の計46に分割し

た.解析は,上下排水条件のもとで,有隈

要素法を用いた繰返し…次元任密解析を行

った.繰返し載荷時の初期の圧密定数は,

不擾乱有明粘土(佐賀県福富町役場から援

取)の繰返し…次元庇密試験(正規圧密,

周期60秒)結果とのフィッティングから得

たものである.ここに,繰返し庄密に伴う

長期的な沈下を表現するために,過在密領

域における再載荷時の体積圧縮係数比の値

をm'vs/mv二 0.3'"'"'0.54の間で変化させた

解析を行い,実測値と比較検討した.ただ

い有明粘土層以深の洪積罵は,砂層や粘

を含む複雑な層構成であり,その土質

特性,特に繰退し圧密時における土質定数

の設定が鴎難である.したがって,本解析

解析地擦のニヒ質諮定数と解析条件

喜一!習|第二 j議

3.8m~10.0m 110.0m~お 4m

1.300 1.000

86cm'/day I 86cm'/day O.lcvo

3.00

30

0.30

3.33

0.30~0.54

1.0day

o .lcvo

3.50

16

表-2

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O

~ 5・5堅議室

ィペ(Vハifi/九'1:¥:制 104詰

"* 15

6月 12月 6,Ej 12J寺6月 12月6,Ej 12,Ej 6月 12月6,Ej 12,Ej 6月 12,Ej 6月 12月6月 12月 6月 12,Ej6,Ej

aa刊 52年崎将 53年勾ff]S4:i手昭犯 55年昭 1056l1' ag初 57年昭柁 58茸 B召4日59年昭 1060年D91061年昭旬 62年

額一14 地下水位の変動(有明D-1)(昭和52年-62年)

また,本解析対象地盤は現在過圧密状態に

あるが,解析開始時の昭和52年における庄

密降伏応力は,昭和53年の大渇水期を経て

いることからも少なくとも現在より幾分小

さな圧密捧伏応力であったと考えるのが妥

当である.本解析では,圧密降伏応力とし

て,的現在の圧密降伏応力を用いる場合か

ら, (1)初期有効土かぶ、り圧と同じ正規圧密

状態、を想定した場合の再ケースを設定し

た.具体的な解析地盤の初期条件としては,

ケース 1(①,ア),ケース 2(①,イ),ケ

ース 3 (②,ア)およびケース 4(②,イ)

の4種類について実施した.

解析に用いた過去10年間の地下水位変動

は,有明東小学校に最も近い観鴻井,有

明D-1 (深度150m,ストレーナ1l3.5m-

124.5m)の観鵠記録3)を使用した.圏-14

は,観測井(有明D-1)において昭和52年

6月から昭和62年6丹までに観澱された地

下水位変動量(実線)と解析に用いた値(破

線)を示したものである.夏に地下水位が

低下し,冬に回復する 1年周期の地下水位

変動を示している.解析開始時点、の昭和52

年6月の地下水位は3.6mであり,初期の 2

年間をi徐けばそれ以降の10年聞はほぽ開じ

水位の高さまで回復しているのがわかる.

また,地下水揚水に伴う水位低下は,昭和

53年に約15mと最も激しくなっているが,

昭和58年以降は約 6mのほぽ一定の変動議

となっている.地下水位の変動に関して註,

10年間にわたる観測値の地下水位変動とで

68一一→民平地研究 NO.2附 RCH1993

o 2 3 0

、E r::仏~l、O ~10

,~20

30

時1m年〉

56789 口

¥戸-寸、

、 ~l\ 二-'、てフマ

D6

宣言-D4 ~ D3 -て=立与、一下}f7--でオDl0時制

一3足淵姐

菌-15 地盤各層の沈下幽線(ケース1)

きるだけ一致させるよう図中に示すような

各年間の水位を 5"-'8ステップ毎に分割し

て入力データを作成した.

(2) 解析結果

図-15に京す解析結果の一例は,ケース

1 (初期有効土かぶり圧:①地下水位面上部

の粘土層の γ'を一定,圧密降伏応力:的現

在の圧密捧伏応力)において,m'vs/mvご 0.415

としたときの地盤各層の沈下曲線を示した

ものである.Dlは,観測地点と同じ地表面

の沈下を表している.沈下解析結果の傾向

は,実測値の傾向と同様,全体的にみて地

下水位低下が激しい最初の 2年間(昭和52,

53年)に大きな沈下を法し,その後は初期

の沈下増分率よりも小さくほぽ直線的な沈

下傾向を示している.また,地表覇Dlの沈

下量に対し粘土層の深さ23.4mの中間より

浅い深さ10mの地点、 D6(この地点までの沈

下に占める割合は25%程度)までの沈下傾

向から,沈下の大部分は地表面付近の数臆

に集中しているのがわかる.ただし,この

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2 3 6 7 8 9 10

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2 3 6 8 9 10

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30トー十一一→一一い一←ート制区手土下二二

仁(b) (σv0:②, m',,/m,=O.300)

G G

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2 3 6 8 9 10

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日20p,・,(i'l<ケース 1)

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30 一仁(c) (川:①心/町仏415)ニ同ヨヨ

時rn1年〉

o 2 3 6 8 9 10 a

ハυ

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υ「P.';②(ケ-::(3)

《ミ20

30 Lt烹ιむ11171:@,mhJmA415)

函ー16 地表題の沈下曲線に及ぼす初期応力条件

の影響

地点、の有明粘土層のみの沈下霊の観測記録

がないことから,実測による沈下量は,有

明粘土層だけでなく厚く堆積している洪積

の沈下最も含んだ値であり,解析対象地

盤として有明粘土層のみを取り上げている

本解析条件とは対応していない.しかし,

時間(年〉

6

D

D 2 3

nu

gu〉

1"

,,2口

30

…(b) ト ~3

図-17 池袋面の沈下磁線に及ぼす体積圧縮係数

比 m'vs/mvの影響

地盤沈下に占める自石地罷の荷明粘土層の

沈下議は,簡易沈下計と水準点、より推定し

た結果,洪積層も含めた沈下全体の 5額程

度であると報告されている 5)

図-16(a)""(d)は,地盤沈下に及ぽす初期

応力条件(初期有効土かぶり圧と圧密降伏

応力)の影響を明確にするために,ケース

1""ケース 4の沈下曲線をそれぞれ過庄密

領域における再載荷時の体積圧縮係数比

m'vs/mvニニo. 300, 0.415に対してプロット

したものである.この留から,ケース 2,4

の正規庄密状態から生じる沈下は,初期に

大きな値を示し,その後時間の経過ととも

に過圧密領域が拡大してケースし 3にお

ける沈下増分との差が除々に減少している.

また,本解析では体積任縮係数 mvが有効

応力に反比例する式(2)を用いていることか!

ら,初期有効土かぶり庇が大きくなると

逆に小さなmvの値を設定することにな

り,初期予言効土かぶ、り圧の小さいケース 2

の方が大きな沈下量を示している.…方,

現在の過圧密状態(ア)を設定した沈下曲線

低平地研究 No.2 MARCH 1993……-69

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し,すでに述べたように,自省地区の地盤

沈下に占める有明粘土麗の沈下は,洪積躍

も含めた沈下全体の 5割程度であると推定

されている5)ことから,本解析対象地盤の

この期間(6年目から10年目)における有

明粘土閣の年間平均沈下重は実澱舗の約半

分にあたる0.95cm程度と考えられる.この

{直を基準にケース 1,3を見ると, m'vs/mv

の値としては約0.4に相当しているのがわ

かる.

2.01

11 1十契約{置での王将簡単均悦下窓口.9cm/year) ゐ

'3 1..一一ーー ;…ー../今

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.4γ.~'.... 6王手闘から10年目での年間平均沈下数

O O . 3O ・4 0 ・5

m'vs /mv

地袋顕の年間平均沈下識に及lます体繍庄

繍係数上ヒ m'vs/mvの彩饗

図-18

6 .地繋沈下に及{ます地下水位変動の影響

(1) 地下水位のレベル・変動i憶の影響

本解析モデルは,佐賀平野(出石地底)

を対象にした過去10年間にわたる地盤沈下

解析の結果,解析ノfラメータの適切な設定

によって,地下水イ立の季節的変動を受ける

ときの地盤沈下を長期的に予測することが

可能であることが示された.ここでは,今

後地下水位のレベル(地下水位の位龍)と

変動!隔が変化したときの地盤沈下傾向を明

らかにするために,前主主と同じ解析地盤と

解析条件を対象に地下水位の初期レベルと

変動掘を種々変化させた解析を実施した.

ただし,本解析地盤における初期応力条件

としては,前章に述べた検討結果より現在

の過EE密状態を設定した圧密降伏芯力(ア)と

初期有効土かぶり任ぴVO②を使用している.

また,過圧密領域における再載荷時の体積

庇縮係数比m'vs/mvの値としては,有明粘

土層と洪積層の沈下割合から本解析地盤の

有明粘土層の沈下に対応する値として

6Fl

υ世

(ケースし 3)は,ケース 2,4の正規圧

密状態における沈下よりも小さく,1U'vs/mv

の値が同じだと初期有効土かぶり庄ぴVO①

と②の関の沈下の差異はあまり認められな

いものの, 10年間の実瀦備に対しては②の

方が幾分良い沈下傾向が見られる.

また,図 17(a) (b)は,地表面沈下に及ぽ

すm'vs/mvの影響を明らかにするために,

過圧密地盤のケース 1とケース3の沈下曲

線をそれぞれ比較したものである.両ケー

スとも m'vs/mvの値が増加するほど沈下

は大きくなっている.また,有効土かぶり

圧の小さいケース 1の方が, nγvs/mvの増

加分の小さい0.385の値までは過圧密領域

の大きさの影響が優って結果的にケース 3

の場合に比べ小さな沈下議を示している

が,それよりも m'vs/mvの値が大きくなる

と逆に過圧密状態の場合が沈下を増加さ

せていることがわかる.留-18は,これら

沈下増分への影響を明らかにするために,

各ケースの後半の 6年白から10年居までの

年開平均沈下震に及ぽすぱvs/mvの影響

について示したものである.この圏中には

同時に実澱値の億も示している.実測によ

る年間平均沈下重は1.9cmであるが,この値

は沖積層の有明粘土層だけでなく惇く堆積

している洪積!習の沈下も含んでいるため,

脊明粘土閣のみを対象とした沈下解析の

各ケ…スより大きな髄を示している.しか 地下水位変動のモデル波形(1年分)図-19

70一一……引地研究 NO.2制 R仰 1993

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初期水位レベル3.6mにおいて,地下水位変

動幅が大きくなると,変動!臨 1mのときの

沈下に比べて変動幅 3mでは約 3倍,変動

11話6mでは約 6倍弱の大きな沈下量を示す

ようになる.これらのことから,初期水位

レベルを上昇させてもそれほど沈下に影響

はなく,水位変動隔を低減することによっ

て,より効果的な沈下対策が可能である.

(2) 地下水位変動パターンの影響

農業用水として地下水を多量に揚水して

いる佐賀平野のような地域では,菱に地下

水位が低下し,冬に回復する 1年周期の地

下水位変動を示している.しかし,ここで

は佐賀平野で観測される平均的水位変動パ

ターンに限らず,沈下防止対策として最適

な揚水方法を検討するために,種々の地下

水位変動波形パターンの影響について解析

的検討を加えた.ただし,本論文で用いた

地下水位変動波形は,地下水の揚水方法を

念頭に置いてはいるものの,地下水の揚水

条件の設定によって解析上得たものではな

く,水位変動波形そのものを任意に設定し

たものである.今回設定した地下水位変動

パターンは,以下に訴す還りである.i)年

間 1周期の水位変動:水位低下期間(3,

6, れ 12ヶ月間)の異なる矩務波および

10

時間

E量動栂 lmi

世E油悶 3m;:平i胡湖水桂

寸ι らい-+3.6mGm

m ,笥Im,=O.4

o o

30

g u 10

)

ド20世

水ti.変動幅(m)

002 3 4 5φ u.

L51!

〈隅折年取 5'手自}

0.5 α叫制r 1"

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2{

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nu「ppa

nu

3" 1""与制 2"

2

3

av国経間同尽

沈下に及lぎず地下水伎のレベル・変動織

の影響(過応畿地盤)

図-20

円程〉怨諸制出耗

10

)コ矩n;坦(年 I閤納

127丹

9ヶ月一一j=ヰ

間立コォ

6ヶ月 コ=司3ヶ月

地下水位低下期間と変動樋の彩欝(矩形

波,年 1周期)

30

留一21

9 8 〈年)

6 開

5 時

A 3 2 自

nu

ao)ト

時20

m'vs/mvニ 0.4を用いた.

解析に用いた地下水伎のそデlレ波形は,

図-19に示すような佐費平野(出石地思)

において観測された地下水位変動(1年間

分)の平均的な波形を採用し10年間の計算

を実施した.地盤内の初期水位レベルは,前

と同じ3.6mを基準としており,これより

1. 4m~ 5 mの間(1.4mと2mは水位レベル

が上昇 5mは水位レベノレが減少)で変化

させた場合の計 4ケース(地下水位変動幅

は6m) について計算した.また,地下水

位変動幅としては, 1 m~6 mの関で 1m,

3mおよび6mの3ケース(水位レベルは

3.6m) を設定した.

圏一20(a)(b)は,これら騒々の条件下にお

ける解析結果であり,地表面の沈下に及ぽ

す水位レベルと水位変動幅の影響を示した

ものである.地下水位レベルの影響につい

ては,基準の水位レベルから上昇させた場

合には沈下重が僅かながら増加しているが

大きな差異は認められない.しかし,地下

水位レベルが低下する場合には沈下蓋は明

らかに大きくなっているのがわかる.

低平地研究 No・2MAR印 1993一一 71

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さらに,図-22には種々の水位変動波形

を設定したときの沈下曲線を比較した.波

形の種類としては,前節で用いたモデノレ波

形と図 21に示した水位一定・矩形波に加

え,三角波(2種類)・台形波の計6種類を

用いた.この結果,地表面の沈下鷺の小さ

い波形のI1展番は,水位一定(2.25m),台形

波,三角波 2・三角波 1,モデル波形,矩

形波(6ヶ月間)となった.水位変動幅が

大きな場合は,最も大きな変動i櫨6.0mを有

水伎変動の廃期・波形の影響(向ーの水

位変動綴)

同ーの

10

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水位変動の周期の影響(短形波,

水位変動橘)

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図-23

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3日

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変動波形(水位一定・矩形波・三角波・台

形波)の影響,ii)年間周期の影響:年間周

期(年1, 2, 3, 6周期)の異なる矩形

波および変動波形(矩形波・三角波・合形

波)の影響.ここに,水位変動幅と時間の

積によって得られる面積は,すべて同ーの

値とした.なお,解析地盤と解析条件は,

前節と向ーの条件を用いている.

a)年間 1周期の水位変動

図-21は,沈下に及ぽす地下水位の低下

期間と変動幅の影響について示している.

水位波形は矩形波であり,その低下期間は,

12ヶ月(水位変動幅2.25m=一定), 9ヶ月

(刀 3.0m), 6ヶ月 (J14.5m),3ヶ月 (ll

9.0m)の4種類とした.地表面の沈下は,

地下水位低下期間が短くなるほど増加する

鎖向を示しており,年間 3ヶ月間だけ水位

低下を生じる場合には,年間を通じて一定

の波形を示すものに比べて約 2倍の沈下量

を示している.すなわち,地下水位変動が

一年周期の場合には,地下水位低下が短期

間に集中するほど沈下はかなり増大するこ

とカ吋コかる.

10

水位変動波形の種類の影響(年 1周期)

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72一…ー→正判研究 No.2 MARCH 19幻

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図-22

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するそデル波形よりも,変動揺は4.5mであ

るがその低下期間が長い矩形波の方が結果

的に沈下に大きな影響を与えている.また,

三角波1, 2による差異はほとんど見られ

ないが,地下水位の低下期聞が長い三三角波

1 (二等辺三角形),三三角波 2のI1顕にわずか

に大きな沈下重を訴している.

b)年間河期の影響

圧密沈下に及ぼす繰返し効果は,繰返し

田数の増加に伴って増大することが考えら

れる.したがって,解析対象の波形パター

ンとしては,図-23に示すような水位変動

揺が同一で、 1年当りの周期が異なるときの

水位変動パターン(年 1, 2, 3, 6周期

の4種類)について検討した.その結果,

りの水位変動周期が大きくなるほど

沈下霊も大きくなり,年6周期になると年

1周期に比べて約 5割増しの沈下増加にな

っている.また,年2周期の場合にも,図

-21に示した地下水位低下期間 3ヶ月の場

合とほぼ同じ沈下最を示している.以上の

ことから,沈下に及ぽす地下水位変動パタ

ーンの影響は,地下水位低下期間が短いぼ

ど,また水位変動の周期が大きくなるほど

増大する傾向にあることがわかる.

また,図-24に示すように三角波(年し

6周期)と合形波(年 1,2周期)につい

ても沈下解析を行い,沈下に及ぽす波形の

種類の影響についても検討した.年 1周期

の波形を比較すると,三角波,台影波,矩

表-4 種々の地盤・解析条件

地議室条件圧密係数比

水佼変動波形(ニCv!C,,)

C-1 現地縫 0.1,0.5,1.0,2.0, 水位-JE,台形波,

(過EH谷地盤) 3.0,4.0 放物線淡,三角波

(Cvo=8.6cm'/ しれモデル波

day) 形, ~立?移波

(年1周j羽)

C-2 JE規EE密地控室 0.1,1.0,4.0 水位一定,三角波

1, ~思形波

(年 l周期)

D-1 E見地盤 0.1,1. 0,4.0 綬形波

(i設任後地盤) (年1,2,3.6潟期)

時間(年)

o 2 3 4 6 8 9 10 5

E

310

ドL

~20

30

ト (Cω1:過庄密地盤)

矩J!j誼一一

O.lCv.-

Cv.ω一一一

4Cv.

図-,25 地表部沈下に及ぽす圧密係数の影響

形波の順番に沈下最が大きくなっている.

また,三角波・台形波も年周期が増加する

と,矩形波と同様沈下量が増大し,台形波

(年2周期)と三角波(年6用期)の沈下

は矩形波の向じ周期の沈下量よりも大き

く,三角波(年6周期)では矩形波の年3

周期の沈下議とほぼ問じ値を示している.

c)地盤・解析条件の影響

前節において採用した地盤条件だけでな

く,種々の地下水位変動ノfターンを受けた

ときの地盤沈下に与える地盤条件(圧密係

数,正規・過圧密)の影響について明らか

にした.表 4は,これら種々の地盤・解

析条件(3種類 :C-1, C 2, D 1)を

一覧表にしたものである.本解析は,種々

の水位変動波形を受けるときの地盤沈下に

及ぽす庄響係数の影響を調べるために, C

シリーズでは年 1周期の波形, Dシリーズ

では載荷周期の異なる波形を設定した.サ

フィックス Iは現在の過圧密地盤,サフィ

ックス 2は正規庄密地盤を示す.使用した

水位変動波形は,前節の図-22に示した水

位一定 (2.25m),台形波,三角波 1,2,

モデノレ波形,矩形波である.地下水位位置

は3.6mとした.また,圧密係数比(Cu/Cvo)

の基準となる圧密係数 Cvoは,前節のEE密

係数 (=8.6cm2/day) と同じ値を用いてい

る.

図-25は,矩形波の水位変動を受けると

きのC-1タイプ(年 1周期,過圧密地盤)

における地表面沈下の時系列を示したもの

{紳士患研究 NO.2MAR印刷3一一 73

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庄密係数比

0.5 1.0

0

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1

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30

圧~!果、数比

0.1 0.5 1.0 o

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40

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酪-26 池袋函沈下に及ぽす庄密係数・水伎変動

波形(年 1周期)の影響

0.1 o

認密 E車数比0.5 1.0

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010

40

60

(D-1 :通夜警智均慾〉

LLl

随一27 地畿函沈下に及ぽす戦符廃期と庄窃係数

の影轡

である.庄密係数が大きく(小さく)なる

抵ど沈下は増大(減少)し,圧密係数比Cv/Cvo

が0.1および4.0では,それぞれ約0.5倍, 2

倍の沈下となっているイまた,図-26(a)は,

関 22に恭した種々の波形に対して解析を

行った10年目の沈下撃をそれぞれの任密係

数に対してプロットしたものである.圧密

74一一→正平地研究 N.o.2附月仰 19幻

係数の増加に伴う沈下の傾向は,すべての

水位変動波形に対して滑らかな増加傾向が

見られ,各水位変動波形に対する沈下霊の

大小に関する服番(水位一定,台形波,三角

波 2,三角波 1,モデル波形,矩形波)もEE密係数の値に関わりなく陪ーの{頃向を示し

ているのがわかる.一方,留-26(b)の正規圧

密地盤では,各圧密係数・水位変動波形の

沈下撃が過圧街地盤の沈下撃に比べて大き

くなっているが, EE密係数の値の変化に伴

う沈下増加率および水位変動波形の種類に

よる沈下傾向は,過EE密地盤に対して得ら

れた傾向とほぽ関ーである.

鴎-27は,載再開期の異なる D 1 (矩

形波,過圧密地盤)の10年目における地表

面沈下と任密係数の影響を三日している.す

でに(2)において明らかになったように 1

年のサイクル数が増加するほど沈下撃は増

大するが,密係数の{鹿が小さくなるとき

の沈下低減率は年6周期のようにサイクル

数が大きくなる場合には減少する領向にあ

る.

にまとめ

本研究は,地下水位の季節的変動による

地盤沈下の解析対象として佐費平野(白石

地区)を取り上げ,繰返し圧密による地盤

沈下室の解析手法の提案とそれを用いた

種々の地下水位変動に対する沈下解析を実

施した.その結果は,以下に示す通りであ

る.

(I)本解析では,地下水位変動に伴う広

域地盤沈下を対象にしているために,繰返

し一次元在密問題としてテルツアーギの一

次元圧密方程式を基本にした地盤沈下解析

モデノレを提案した.特に,本モデノレの特徴

は,繰返し載荷に対する土の物性億の変化

を考慮するために,繰返し載荷を受けると

きの載荷時と徐荷時の体積圧縮係数および

任密係数の比 (mvs/mv,cvs/cv)を任意に

設定するだけでなく,過圧舘領域における

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載高時の体積EE縮係数 II1'vsとして m'vs孟

mvsを使用している点、にある.従来,テノレツ

アーギの…次元庄密理論を基に載荷・除荷

持の圧密定数比を任意に設定し,除荷時の

圧密定数と過庄密、時の庄密定数を等しいと

する解析手法を用いた場合には,載荷時の

大部分を過草野領域が支配する 1次配密の

後半部分において載荷時と除荷時の庇密定

数が等しくなり,過剰間瞭水任の変動が定

常状態となって沈下も停止することになる.

したがって,本解析では,長期的な繰返し

任密沈下を評価するために,除荷時の体積

庄縮係数と載荷時の過正密状態の体積庄縮

係数に異なった舗を設定する方法を採用し

た結果,静的な場合のニ次庄密に相当する

長期的な沈下傾向の表現が可能となった.

また,体積圧縮係数 mvは,有効a力と間際

比の関数 mv二 O.434Cc/(1十e)・σ'を使用

していることから,本モデルは非線形弾性

モデノレに属するものである.

本解析モデルは,層別計澱型圧密試験装

によって得られた有明粘土の繰返し圧密

試験結果との比較から,繰返し…次元圧密

解析モデルとしての有用性が確認された.

(2) 佐賀平野(白石地区)を対象に本解

析法の実地盤への適用性を謂べた結果,本

解析モデルは,解析パラメータの適切な設

によって,地下水位の季節的変動を受け

るときの地盤沈下を長期的に予測すること

が可能で、あることが示された.ただし,

業用に深い被圧帯水層から揚水している佐

賀平野のような場所では,地表面のより正

確な地盤沈下最の予測に対しては,表層部

の10m"-'30mに堆積している軟弱な沖積粘

土層(有明粘土閤)の沈下はもちろんのこ

と,深い洪積層の沈下に与える影響につい

ても今後明らかにしていく必要がある.

(3) 佐賀平野(白石地区)において観測

された地下水位変動(1年間分)の平均的

な波形を採用して,地下水位の季節的変動

を受けるときの現地盤の沈下に及ぽす初期

水位レベルと水位変動幅の影響について調

べた.その結果,初期の地下水位レベルが

低下すると沈下量は大きくなるものの,初

期水位レベルを上昇させた場合にはそれほ

ど沈下抑制に効果はなしむしろ水位変動

!憶を低減することによって,より効果的な

沈下対策が可能である.

また,地下水揚水に伴う沈下防止対策を

検討'するために,観測される平均的水位変

動パターンに限らず,種々の地下水位変動

波形パターンの影響についても解析的検討

を行った.その結果,矩形波の場合は地下

水位低下期間が短いほど,また水位変動の

周期が大きくなるほど沈下が増大する傾向

にあることがわかった.また,沈下に及ぽ

す地下水位変動波形の額類の影響は,最大

水位変動幡が同じ場合には,三角波,台形

波,矩形波のJI国番に沈下議が大きくなり,

年周期が増加すると,矩形波と同様沈下量

が増大する.

最後に,これらの研究成果は,環境庁水

質保全局の委託研究によって実施したもの

である.また,本学卒業生の福田降雄・中

野純平の両氏には,解析・データ整理に関

する協力を得たことを記し,深く感謝の意

を表します.

参考文献

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76一一一→同研 究他国 2附 R仰 1993

盤著者暗歴

坂井晃(さかいあきら)

昭和58年3月 九州大学博士課程

佐賀大学理工学部助教授

工学博士

三浦哲彦(みうら のりひこ)

昭和38年九州大学卒業

昭和59年佐賀大学教授

平成 3年低平地妨災研究センター長

(併任)

工学博士