【第 31 回(2017 年)管理栄養士国家試験問題(食べ物と ......【第31...

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【第 31回(2017年)管理栄養士国家試験問題(食べ物と健康)】 1. 魚介類に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。 (1) 赤身魚の脂質含量は、白身魚より少ない。 (2) 魚肉の肉基質たんぱく質含量は、畜肉より多い。 (3) 貝類の旨味は、酒石酸による。 (4) 淡水魚の生臭さは、ピぺリジンによる。 (5) さけ肉の赤色は、β-クリプトキサンチンによる。 2. 食用油脂に関する記述である。正しいのはどれか。2 つ選べ。 (1) 不飽和脂肪酸から製造された硬化油は、融点が低くなる。 (2) 硬化油の製造時に、トランス脂肪酸が生成する。 (3) ショートニングは、酸素を吹き込みながら製造される。 (4) ごま油に含まれる抗酸化物質には、セサミノールがある。 (5) 牛脂の多価不飽和脂肪酸の割合は、豚脂よりも多い。 3. 微生物利用食品に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。 (1) ビールは、麹菌の糖化酵素を利用する。 (2) 豆みそは、米麹を利用する。 (3) 濃い口しょうゆの食塩濃度は、淡口醤油より高い。 (4) 糸引き納豆の粘質物には、ポリグルタミン酸がある。 (5) 果実酢は、合成酢に分類される。 4. 日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ 選べ。 (1) たんぱく質量は、食品に含まれる窒素量から算出する。 (2) 酢酸のエネルギー換算係数は、アルコールより大きい。 (3) 肉類の炭水化物の値は、差し引き法を適用する。 (4) 食物繊維の定量は、ガスクロマトグラフ法を適用する。 (5) 「-」は、測定で検出されなかったことを示す。

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【第 31 回(2017 年)管理栄養士国家試験問題(食べ物と健康)】

1. 魚介類に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 赤身魚の脂質含量は、白身魚より少ない。

(2) 魚肉の肉基質たんぱく質含量は、畜肉より多い。

(3) 貝類の旨味は、酒石酸による。

(4) 淡水魚の生臭さは、ピぺリジンによる。

(5) さけ肉の赤色は、β-クリプトキサンチンによる。

2. 食用油脂に関する記述である。正しいのはどれか。2 つ選べ。

(1) 不飽和脂肪酸から製造された硬化油は、融点が低くなる。

(2) 硬化油の製造時に、トランス脂肪酸が生成する。

(3) ショートニングは、酸素を吹き込みながら製造される。

(4) ごま油に含まれる抗酸化物質には、セサミノールがある。

(5) 牛脂の多価不飽和脂肪酸の割合は、豚脂よりも多い。

3. 微生物利用食品に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) ビールは、麹菌の糖化酵素を利用する。

(2) 豆みそは、米麹を利用する。

(3) 濃い口しょうゆの食塩濃度は、淡口醤油より高い。

(4) 糸引き納豆の粘質物には、ポリグルタミン酸がある。

(5) 果実酢は、合成酢に分類される。

4. 日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ

選べ。

(1) たんぱく質量は、食品に含まれる窒素量から算出する。

(2) 酢酸のエネルギー換算係数は、アルコールより大きい。

(3) 肉類の炭水化物の値は、差し引き法を適用する。

(4) 食物繊維の定量は、ガスクロマトグラフ法を適用する。

(5) 「-」は、測定で検出されなかったことを示す。

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5. 食品中のたんぱく質の変化に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) ゼラチンは、コラーゲンを凍結変性させたものである。

(2) ゆばは、小麦たんぱく質を加熱変性させたものである。

(3) ヨーグルトは、カゼインを酵素作用により変性させたものである。

(4) 魚肉練り製品は、すり身に食塩を添加して製造したものである。

(5) ピータンは、卵たんぱく質を酸で凝固させたものである。

6. 食物繊維と主な構成糖の組合せである。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) ペクチン ―――――――― マンノース

(2) イヌリン ―――――――― フルクトース

(3) コンドロイチン硫酸 ――― N アセチルグルコサミン

(4) ヒアルロン酸 ―――――― N-アセチルガラクトサミン

(5) アガロース ――――――― ガラクツロン酸

7. 食品に含まれる色素に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) クロロフィルは、酸に安定である。

(2) β-カロテンは、光に安定である。

(3) ヘモグロビンには、マグネシウムが含まれる。

(4) ミオグロビンは、酸化すると褐色になる。

(5) アントシアニンは、酸性で青色を呈する。

8. 植物性食品の味とその成分の組合せである。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) こんぶの旨味 ――――― クロロゲン酸

(2) きゅうりの苦味 ―――― ククルビタシン

(3) しょうがの辛味 ―――― ナリンギン

(4) わさびの辛味 ――――― テアニン

(5) トウガラシの辛味 ――― ピペリン

9. 食品とその物性に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 板こんにゃくは、ゾルである。

(2) マヨネーズは、O/W 型エマルションである。

(3) スクロース水溶液は、非ニュートン流動を示す。

(4) でんぷん懸濁液は、チキソトロピー流動を示す。

(5) トマトケチャップは、ダイラタンシー流動を示す。

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10. 微生物に関する記述である。誤っているのはどれか。1 つ選べ。

(1) クロストリジウム属細菌は、水分活性 0.9 以上で増殖できる。

(2) バシラス属細菌は、10%の食塩濃度で生育できる。

(3) 通性嫌気性菌は、酸素の有無に関係なく生育できる。

(4) 偏性嫌気性菌は、酸素の存在下で増殖できる。

(5) 好気性菌は、光が無くても生育できる。

11. 食中毒の原因菌と原因食品の組合せである。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 腸管出血性大腸菌 ――― 卵焼き

(2) サルモネラ属菌 ―――― しめさば

(3) 腸炎ビブリオ ――――― あゆの塩焼き

(4) ボツリヌス菌 ――――― ソーセージの缶詰

(5) 下痢型セレウス菌 ――― はちみつ

12. 人畜共通感染症に関する記述である。誤っているのはどれか。1 つ選べ。

(1) リステリア症は、髄膜炎の原因となる。

(2) 炭疽は、感染動物との接触によって感染する。

(3) ブルセラ症は、感染動物由来の乳製品が感染源となる。

(4) レプトスピラ症は、汚染した水が原因となる。

(5) プリオン病は、ワクチンで予防できる。

13. 残留性有機汚染物資に関する記述である。誤っているのはどれか。1 つ選べ。

(1) ワシントン条約によって、規制される対象物質が指定されている。

(2) ダイオキシンは、ゴミの焼却により生成される。

(3) PCB は、カネミ油症事件の原因物質である。

(4) アルドリンは使用が禁止されている。

(5) DDT は、自然環境下では分解されにくい。

14. アクリルアミドに関する記述である。正しいのはどれか。2 つ選べ。

(1) 動物性食品の加工により多く生成される。

(2) 食品の凍結により生成される。

(3) アスパラギンとグルコースが反応して生成される。

(4) 加熱調理で分解される。

(5) 神経障害を引き起こす。

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15. 食品添加物に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 指定添加物は、消費者庁長官が指定する。

(2) 天然物は、指定添加物の対象にならない。

(3) 生鮮食品の表示では、食品添加物の記載は必要ない。

(4) ビタミンを栄養強化の目的で使用した場合には、表示を省略できる。

(5) 一日摂取許容量(ADI)は、最大無毒性量(NOAEL)に 1/10 を乗じて求める。

16. 食品の栄養成分表示に関する記述である。誤っているのはどれか。1 つ選べ。

(1) 栄養成分の含有量は、1 食分でも表示できる。

(2) 熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の順に表示する。

(3) 数値が基準より小さい場合でも、「0」と表示することはできない。

(4) 「ひかえめ」は、「低い旨」の強調表示である。

(5) 「豊富」は、「高い旨」の強調表示である。

17. 特定原材料として表示が義務付けられている食品である。正しいのはどれか。

2 つ選べ。

(1) 大豆

(2) 落花生

(3) 鶏肉

(4) さば

(5) えび

18. 特別用途食品に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 厚生労働大臣が、表示を許可している。

(2) 特定保健用食品は、特別用途食品の 1 つである。

(3) 低ナトリウム食品は、病者用食品である。

(4) えん下困難者用食品は、病者用食品である。

(5) 低たんぱく質食品は、個別評価型の食品である。

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19. 栄養機能食品の栄養機能表示である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) ビタミン B2は、炭水化物からのエネルギー産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄

養素です。

(2) ビタミン B6は、正常な血液凝固を維持する栄養素です。

(3) ビタミン C は、抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を

助ける栄養素です。

(4) カルシウムは、正常な血圧を保つのに必要な栄養素です。

(5) n-3 系脂肪酸は、皮膚の健康維持を助ける栄養素です。

20. 機能性表示食品に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 特別用途食品の 1 つとして位置付けられている。

(2) 機能性及び安全性について国による評価を受けたものではない。

(3) 販売後 60 日以内に、消費者庁長官に届け出なければならない。

(4) 疾病の予防を目的としている。

(5) 容器包装の表示可能面積が小さい場合、栄養成分表示を省略できる。

21. 食品の保存に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 乾燥は、食品中の自由水の割合を高める。

(2) 塩漬は、食品中の自由水の割合を高める。

(3) 酢漬は、水素イオン濃度を低下させる

(4) 冷蔵では、保存性が低下する野菜類がある。

(5) CA(Controlled Atmosphere)貯蔵では、庫内の二酸化炭素濃度を低下させる。

22. 食品の加工とそれに関与する酵素の組合せである。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 麦芽糖の製造 ―――――― β-アミラーゼ

(2) 無乳糖牛乳の製造 ―――― インベルターゼ

(3) 転化糖の製造 ―――――― パパイン

(4) 果汁の清澄化 ―――――― ミロシナーゼ

(5) 肉の軟化 ―――――――― ラクターゼ

23. 食品の加工に伴う成分変化に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) たんぱく質をアルカリで加熱したときには、リシノアラニンが生成する。

(2) 清酒製造では、米のデンプンがリパーゼにより糖化する。

(3) 食肉の塩漬では、保水性と結着性が低下する。

(4) 紅茶の発酵過程では、カテキンが分解される。

(5) ナチュラルチーズの製造では、乳清たんぱく質が凝固する。

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24. 米とその製品の調理に関する記述である。正しいのはどれか。2 つ選べ。

(1) うるち米飯は、もち米飯よりも水分が少ない。

(2) もち米を蒸す場合は、不足する水分を振り水で補う。

(3) すし飯は、加水量をすし酢の分だけ少なくして炊く。

(4) 上新粉は、冷水を用いてこねる。

(5) 白玉粉は、熱水を用いてこねる。

25. 日本の日常食の配膳について、料理や食器・食具の特徴、食べやすさの合理性から示し

たものである。最も適切なのはどれか。1 つ選べ。

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【食べ物と健康/解説】

1. 魚介類に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 誤り。脂質含量は、白身魚より赤身魚の方が多い。

(2) 誤り。魚肉の肉基質たんぱく質は、畜肉より少ない。

(3) 誤り。貝類の旨味成分は、タウリンやコハク酸である。酒石酸は、ぶどうやパイナ

ップルの酸味成分である。

(4) 正しい。ピぺリジンは、微生物の作用でリシンから生成される。

(5) 誤り。さけ肉の赤色は、カロテノイド系色素のアスタキサンチンによる。

2. 食用油脂に関する記述である。正しいのはどれか。2 つ選べ。

(1) 誤り。硬化油では、原料油脂の不飽和脂肪酸より融点が上昇する。

(2) 正しい。水素添加の際に、二重結合の一部が天然のシス型とは異なるトランス型に

なる。

(3) 誤り。ショートニングは、硬化油や豚脂、パーム油などの原料油脂に窒素ガスを吹

き込みながら練り合わせて冷却したものである。

(4) 正しい。ごま油には抗酸化物質として、セサミノールやセサモールというゴマリグ

ナンが含まれているため、不飽和度が高い割には酸化安定性が高い。

(5) 誤り。多価不飽和脂肪酸の割合は、牛脂より豚脂の方が高い。牛脂は豚脂より飽和

脂肪酸が多く、融点が高い。

3. 微生物利用食品に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 誤り。ビール製造における糖化には、麦芽の酵素を利用する。

(2) 誤り。豆みその製造には、大豆から作った豆麹を利用する。

(3) 誤り。濃口しょうゆの方が、淡口しょうゆより食塩濃度は低い。

(4) 正しい。糸引き納豆の粘質物は、ポリグルタミン酸とフラクタンの混合物である。

(6) 誤り。果実酢は、醸造酢に分類される。

4. 日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ

選べ。

(1) 正しい。たんぱく質量は、食品中の窒素を定量した値に「窒素-たんぱく質換算係数」

を乗じて算出する。

(2) 誤り。エネルギー換算係数は、酢酸が 3.5kcal/g、アルコールが 7.1kcal/g で、アル

コールの方が大きい。

(3) 誤り。肉類の炭水化物はアンスロン-硫酸法で定量する。一般に炭水化物の成分値は

差し引き法で算出されるが、魚介類、肉類の炭水化物はアンスロン-硫酸法により直

接分析される。

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(4) 誤り。食物繊維の定量には、AOAC2011.25 法、プロスキー変法を適用する。ガス

クロマトグラフ法で定量されるのは、脂肪酸とコレステロールである。

(5) 誤り。「―」は、未測定であることを示す。測定で検出されない場合は「0」と表示

する。

5. 食品中のたんぱく質の変化に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 誤り。ゼラチンは、コラーゲンを加熱して可溶化させたものである。

(2) 誤り。ゆばは、大豆たんぱく質を加熱変性させたものである。

(3) 誤り。ヨーグルトは、乳酸発酵で産生した酸によりカゼインを変性凝固させたもの

である。

(4) 正しい。魚肉練り製品は、魚肉の 1~3%の食塩を加えて成形・加熱したものである。

(5) 誤り。ピータンは、卵たんぱく質を強アルカリで変性凝固させたものである。

6. 食物繊維と主な構成糖の組合せである。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 誤り。ペクチンは、ガラクツロン酸が直鎖状につながったものである。

(2) 正しい。イヌリンはキクイモの主成分である。

(3) 誤り。コンドロイチン硫酸の構成糖は、アセチルガラクトサミンとグルクロン酸で

ある。

(4) 誤り。ヒアルロン酸の構成糖は、アセチルグルコサミンとグルクロン酸である。

(5) 誤り。アガロースの構成糖は、ガラクトースである。アガロースは寒天の主成分。

7. 食品に含まれる色素に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 誤り。クロロフィルは、酸性で黄褐色のフェオフィチンとなり緑色を失う。一方、

アルカリ性ではクロロフィリン(緑色)に変化する。

(2) 誤り。β-カロテンは光、酸素などに対して不安定であるが、熱、酸、アルカリには

比較的安定である。

(3) 誤り。ヘモグロビンは分子内に鉄を含んでいる。同じポルフィリン系色素であるク

ロロフィルは、分子内にマグネシウムを含んでいる。

(4) 正しい。暗赤色のミオグロビンは酸化すると赤褐色のメトミオグロビンになり、さ

らに加熱により灰褐色のメトミオクロモーゲンになる。

(5) 誤り。アントシアニンは、酸性で赤色、アルカリ性で青色を呈する。

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8. 植物性食品の味とその成分の組合せである。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 誤り。こんぶの旨味は L-グルタミン酸による。クロロゲン酸は、コーヒーの渋味成

分である。

(2) 正しい。

(3) 誤り。しょうがの辛味成分は、ジンゲロン、ショウガオールである。ナリンギンは

なつみかんやグレープフルーツの苦味成分である。

(4) 誤り。わさびに含まれる辛味成分はシニグリンであり、シニグリンが酵素ミロシナ

ーゼの作用でアリルイソチオシアネートに変化すると辛味を呈する。テアニンは緑

茶の旨味成分である。

(5) 誤り。トウガラシの辛味成分は、カプサイシンである。ピペリンはこしょうの辛味

成分である。

9. 食品とその物性に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 誤り。板こんにゃくは、分散媒が固体、分散相が液体のゲルである。

(2) 正しい。

(3) 誤り。スクロース水溶液は、水などと同様にニュートン流動を示すニュートン流体

である。

(4) 誤り。高濃度のでんぷん懸濁液は、ダイラタンシー流動を示す。

(6) 誤り。トマトケチャップは、チキソトロピー流動を示す。

10. 微生物に関する記述である。誤っているのはどれか。1 つ選べ。

(1) 正しい。細菌の増殖に必要な最低水分活性値は 0.9 である。クロストリジウム属細

菌は、偏性嫌気性菌で芽胞を作る性質を持つ。

(2) 正しい。バシラス属細菌には多くの属があり、高塩濃度に適応している種も多い。

(3) 正しい。

(4) 誤り。偏性嫌気性菌は、酸素がない状態または非常に少ない状態で増殖し、酸素が

存在する状況では、ほとんど増殖できない。

(5) 正しい。好気性菌とは、生育のために酸素を必要とする菌の総称であり、光は必須

条件ではない。

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11. 食中毒の原因菌と原因食品の組合せである。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 誤り。腸管出血性大腸菌は、食肉(特に牛肉)に存在する。食中毒の原因食品には

生の肉やレバー、乳製品、野菜、井戸水などがある。

(2) 誤り。サルモネラ属菌は多くの動物の体内や環境中に広く分布し、食中毒の原因と

なる食品には、卵とその加工品、食肉などがある。

(3) 誤り。腸炎ビブリオは海水中に存在し、海産魚介類や漬物などの二次汚染食品が原

因食品となる。

(4) 正しい。ボツリヌス菌は偏性嫌気性菌であり、缶詰などの酸素を遮断された食品が

原因となりやすい。

(6) 誤り。下痢型セレウス菌の原因食品には、食肉、スープ、プリンなどがある。

12. 人畜共通感染症に関する記述である。誤っているのはどれか。1 つ選べ。

(1) 正しい。リステリア菌に汚染された乳や乳製品、食肉の摂取を通じてリステリア症

を発症すると、髄膜炎、敗血症、流産などを起こし、死亡する場合もある。

(2) 正しい。ヒトへの感染経路には、経皮感染のほか、経口感染、吸入感染がある。

(3) 正しい。ブルセラ症は、家畜が感染すると流産をおこすが、ヒトブルセラ症では流

産は起こらず、波状熱(発熱と解熱を長期にわたり繰り返す)が特徴的な症状である。

(4) 正しい。レプトスピラ菌は保菌・感染動物の腎臓に保菌され、尿中に排菌されて水

を汚染する。

(5) 誤り。プリオン病予防のワクチンはない。

13. 残留性有機汚染物資に関する記述である。誤っているのはどれか。1 つ選べ。

(1) 誤り。ストックホルム条約(POPs 条約)により指定されている。

(2) 正しい。

(3) 正しい。

(4) 正しい。アルドリンは有機塩素系殺虫剤である。

(5) 正しい。DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)も有機塩素系殺虫剤である。

現在わが国では製造と輸入が禁止されている。

14. アクリルアミドに関する記述である。正しいのはどれか。2 つ選べ。

(1) 誤り。炭水化物を多く含む穀物や野菜(植物性食品)を加工するときに生成される

(2) 誤り。120℃以上の高温で加熱調理する時に生成される。

(3) 正しい。アスパラギンと還元糖(グルコース、フルクトース)のアミノカルボニル

反応の過程で生成される。

(4) 誤り。加熱調理で合成される。

(6) 正しい。神経障害の他にも、動物実験で発がん性が認められている。

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15. 食品添加物に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 誤り。指定添加物を指定するのは、厚生労働大臣である。

(2) 誤り。指定添加物は、化学合成物も天然物も対象である。

(3) 誤り。ほとんどの生鮮食品には添加物の表示義務はないが、一部の品目(下記の例

を参照)には添加物の表示規則が定めてある。

【例】豆類、果物(柑橘類など)、食肉、卵、生食用の切り身またはむき身にした鮮

魚介類とその冷凍食品 など。

(4) 正しい。

(5) 誤り。一日摂取許容量(ADI)は、最大無毒性量(NOAEL)を安全係数の 100 で除

して(1/100 を乗じて)求める。

16. 食品の栄養成分表示に関する記述である。誤っているのはどれか。1 つ選べ。

(1)・(2)・(4)・(5) 正しい。

(3) 誤り。ゼロと表示できる基準がある。下巻p245 最下段~p246 上段の説明・表参照。

16. 特定原材料として表示が義務付けられている食品である。正しいのはどれか。

2 つ選べ。

(2) 落花生、(5)えび 正しい。

17. 特別用途食品に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 誤り。表示を許可するのは内閣総理大臣であり、実際の許可業務を行うのは消費者

庁長官である。

(2) 正しい。

(3) 誤り。平成 21 年の制度の見直しにより、低ナトリウム食品、低カロリー食品、高た

んぱく質食品は特別用途食品から除外された。

(4) 誤り。えん下困難者用食品は、病者用食品とは区別される。

(5) 誤り。低たんぱく質食品は、病者用食品の許可基準型に分類される。

19. 栄養機能食品の栄養機能表示である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 誤り。「ビタミン B2は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」

(2) 誤り。「ビタミン B6は、たんぱく質からのエネルギー産生と皮膚や粘膜の健康維持

を助ける栄養素です。」

(3) 誤り。「ビタミン C は皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ

栄養素です。」

(4) 誤り。「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。」

(5) 正しい。

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20. 機能性表示食品に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 誤り。特別用途食品のカテゴリーには含まれない。

(2) 正しい。

(3) 誤り。消費者庁長官への届け出は、販売日の 60 日前までに行わなければならない。

(4) 誤り。疾病の予防や治療を目的とするものではない。

(5) 誤り。栄養成分表示は省略できない。

21. 食品の保存に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1)・(2) 誤り。乾燥、塩漬により自由水の割合が低下し、水分活性が低下する。

(3) 誤り。酸の添加により水素イオン濃度は上昇する。

(4) 正しい。冷蔵温度で青果物に起こる生理的障害を低温障害という。バナナ、パイナ

ップル、マンゴー、ピーマン、なす、きゅうりなど熱帯・亜熱帯産の果実・野菜で多

くみられる。

(5) 誤り。CA 貯蔵とは、通常の空気組成より酸素濃度を低く(2~10%)二酸化炭素濃

度を高く(2~10%)調節して呼吸作用を整え、青果物の保存性の向上を図る貯蔵法

である。

22. 食品の加工とそれに関与する酵素の組合せである。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 正しい。

(2) 誤り。無乳糖牛乳(乳糖不耐症ミルク)の製造には、ラクターゼを用いる。

(3) 誤り。転化糖は、ショ糖にインベルターゼを作用させて製造する。

(4) 誤り。果汁の濁りを取り除いて清澄化させるには、ペクチナーゼを利用する。

(5) 誤り。肉の軟化に利用される酵素は、プロテアーゼである。

23. 食品の加工に伴う成分変化に関する記述である。正しいのはどれか。1 つ選べ。

(1) 正しい。

(2) 誤り。清酒の製造では、米のデンプンはコウジカビがもつアミラーゼによって糖化

される。

(3) 誤り。食肉を塩漬すると、保水性、結着性がともに向上する

(4) 誤り。紅茶の発酵過程では、ポリフェノールオキシダーゼの作用によりカテキンが

酸化、さらに酸化重合する。

(5) 誤り。ナチュラルチーズの製造では、凝固するたんぱく質(カゼイン)の凝固物(カ

ード)を利用する。牛乳からカードを取り除いた半透明の上澄みが乳清である。

Page 13: 【第 31 回(2017 年)管理栄養士国家試験問題(食べ物と ......【第31 回(2017 年)管理栄養士国家試験問題(食べ物と健康)】 1. 魚介類に関する記述である。正しいのはどれか。1

24. 米とその製品の調理に関する記述である。正しいのはどれか。2 つ選べ。

(1) 誤り。水稲めし(精白米)100g 当たりの水分を比較すると、うるち米が 60g、もち

米が 52.1g で、うるち米飯の方が水分が多い(日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)

より)

(2) 正しい。

(3) 正しい。加水量は米重量の 1.3 倍強とする。

(4) 誤り。上新粉は粒度が粗く吸水しにくいため、湯でこねて吸水を促す。

(5) 誤り。白玉粉は粒度が細かく吸水しやすいので、水でこねる。

25. 日本の日常食の配膳について、料理や食器・食具の特徴、食べやすさの合理性から示

したものである。最も適切なのはどれか。1 つ選べ。

(2) 適切。通常右手で箸を使う人を標準として、手前左に主食の飯、手前右に汁、向こ

う側右に主菜、向こう側左に副菜を配置するのが適切である。副菜がもう一皿多い場

合には、中央に配置する。