山海川水系 流域の概要①上流区間の河川環境 山海川水系 流域の概要③...

5
流域の概要 基準点 橋詰 流域面積 4.2km2 河川延長 1.0km 流域内人口 約9百人 浸水面積 床下浸水 床上浸水 60分 24時間 ha ( ) ( ) 最大雨量 (mm) 最大雨量 (mm) S34.9 (伊勢湾台風) 不明 1,053 1,198 21 97 名古屋(気象台) S49.6 ( 豪雨 ) 225.7 253 503 72.0 146 南知多 ( ) 洪水年月 備考 要因 愛知県知多郡南知多町大字山海の山嶺に発し、下流の市街 地を流れた後、伊勢湾に注ぐ、流路延長約1.0km、流域面積 約4.2 の二級河川である。 河川の特徴から下流部(河口~月の輪橋地点)、上流部(月 の輪橋~二級河川上流端)に分けられる。感潮区間は約 0.9kmまでとなっている。 下流部は、川幅が10~30m程度、河床勾配が1/600程度とな っており、瀬や淵は見られず、単調な河川環境となっている。 また、両岸ともにコンクリート護岸が整備されており、河川の 背後には市街地が広がっている。全域が感潮区間である。 上流部は、川幅が7~10m程度、河床勾配が1/200程度となっ ており、全区域において水際植生が繁茂している。また、両岸 ともにコンクリート護岸が整備されており、河道は主に有堤河 道となっている。河川の背後には農地が広がっている。 気候については、山海川流域の気候は太平洋気候区に属し、 四季を通じて温暖である。昭和58年から平成24年までの平均年 間降水量が約1,500mm、年平均気温は約15℃である。 産業については、山海川流域に位置する南知多町では、古くから 漁業、農業が栄えていた。 山海川の特徴的な産業として、河口付近における海水浴場と一 体となった観光産業を挙げることができる。 流域の土地利用は、流域の大半が山地であるが、中上流の 河川沿いに水田、下流部には市街地が分布しており、平成26 年時点で宅地等の市街地が約6.8%、水田や畑等の農地が約 29.4%、山林が約63.4%、左記以外の土地利用が約0.4%とな っている。 ▲②国指定重要文化財:金銅法具類 ▲①国指定重要文化財 :大蔵経(一切経) ▲③町指定文化財 :西村区山車彫刻 0 50 100 150 200 250 300 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 月間降水量[mm] 0 5 10 15 20 25 30 月平均気温[℃] 月間降水量 月平均気温 月平均気温の平均値 月間降水量の平均値 山海川流域には国指定文化財として2件、南知多町指定 文化財として2件が存在する。 :水田 :その他の農地 :森林 :荒地 :建物用地 :幹線道路 :その他 :河川地及び湖沼 :海浜 :海水域 ▲▼ 現況土地利用(平成26年度) 山海川水系 流域の概要① 現況土地利用 降雨量と気温 浸水実績 ▼過去の主な浸水被害状況 ▼S49年6月の浸水状況 ・近年、住家等への浸水被害は 発生していないが、流域内の 水田に浸水している。 ・過去には昭和49年6月に発生 した洪水により大規模な被害 が発生した。 産業 ▲南知多町産業分類別就業者数 歴史・文化 ▲指定文化財位置図 ①,②岩屋寺 ③西村区 ④龍江寺 ▲④町指定文化財:龍江寺の廻船絵馬 資料3

Upload: others

Post on 15-Aug-2020

11 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 山海川水系 流域の概要①上流区間の河川環境 山海川水系 流域の概要③ 区分 上流区域 下流区域 区間 1.01k~0.5k 0.5k~河口 地形 平地 平地

流域の概要流域の概要

基準点 橋詰流域面積 4.2km2河川延長 1.0km流域内人口 約9百人

浸水面積 床下浸水 床上浸水 60分 24時間

(ha) (戸) (戸) 最大雨量

(mm)最大雨量

(mm)S34.9 (伊勢湾台風) 不明 1,053 1,198 21 97 名古屋(気象台)S49.6 (豪雨) 225.7 253 503 72.0※ 146 南知多(県)

洪水年月日

備考要因

• 愛知県知多郡南知多町大字山海の山嶺に発し、下流の市街地を流れた後、伊勢湾に注ぐ、流路延長約1.0km、流域面積約4.2 の二級河川である。

• 河川の特徴から下流部(河口~月の輪橋地点)、上流部(月の輪橋~二級河川上流端)に分けられる。感潮区間は約0.9kmまでとなっている。

• 下流部は、川幅が10~30m程度、河床勾配が1/600程度となっており、瀬や淵は見られず、単調な河川環境となっている。また、両岸ともにコンクリート護岸が整備されており、河川の背後には市街地が広がっている。全域が感潮区間である。

• 上流部は、川幅が7~10m程度、河床勾配が1/200程度となっており、全区域において水際植生が繁茂している。また、両岸ともにコンクリート護岸が整備されており、河道は主に有堤河道となっている。河川の背後には農地が広がっている。

• 気候については、山海川流域の気候は太平洋気候区に属し、四季を通じて温暖である。昭和58年から平成24年までの平均年間降水量が約1,500mm、年平均気温は約15℃である。

• 産業については、山海川流域に位置する南知多町では、古くから漁業、農業が栄えていた。

• 山海川の特徴的な産業として、河口付近における海水浴場と一体となった観光産業を挙げることができる。

• 流域の土地利用は、流域の大半が山地であるが、中上流の河川沿いに水田、下流部には市街地が分布しており、平成26年時点で宅地等の市街地が約6.8%、水田や畑等の農地が約29.4%、山林が約63.4%、左記以外の土地利用が約0.4%となっている。

▲②国指定重要文化財:金銅法具類

▲①国指定重要文化財:大蔵経(一切経)

▲③町指定文化財:西村区山車彫刻

0

50

100

150

200

250

300

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

月間

降水

量[m

m]

0

5

10

15

20

25

30

月平

均気

温[℃

]

月間降水量

月平均気温

月平均気温の平均値

月間降水量の平均値

• 山海川流域には国指定文化財として2件、南知多町指定文化財として2件が存在する。

凡 例

:水田

:その他の農地

:森林

:荒地

:建物用地

:幹線道路

:その他

:河川地及び湖沼

:海浜

:海水域

▲▼ 現況土地利用(平成26年度)

山海川水系 流域の概要①現況土地利用現況土地利用

降雨量と気温降雨量と気温 浸水実績浸水実績

▼過去の主な浸水被害状況

▼S49年6月の浸水状況

・近年、住家等への浸水被害は発生していないが、流域内の水田に浸水している。

・過去には昭和49年6月に発生した洪水により大規模な被害が発生した。

産業産業

▲南知多町産業分類別就業者数

歴史・文化歴史・文化

▲指定文化財位置図

①,②岩屋寺

③西村区④龍江寺

▲④町指定文化財:龍江寺の廻船絵馬

資料3

Page 2: 山海川水系 流域の概要①上流区間の河川環境 山海川水系 流域の概要③ 区分 上流区域 下流区域 区間 1.01k~0.5k 0.5k~河口 地形 平地 平地

河道の状況河道の状況

▲山海川の整備状況

【施設計画上の津波】• シミュレーションの結果、山海川における設計津波高は

T.P.+5.10mとなり、計画堤防高T.P.+4.50mよりも高い結

果となった。このため、カーテンウォールの嵩上げ等の検討が必要となる。

• 河口水門については、耐震性能や津波襲来時の波力に対する確認を行い、補強等の検討が必要となる。

山海川水系 流域の概要②

【現状と課題】・下流部(河口~0.3k)は、沿川は市街地で、主に掘り込み河道となっている。・上流部(0.3k~上流端)は、周辺は水田で、有堤河川で、主に山地部からの雨水を排水している。・河口付近~0.15kは、計画規模1/5の護岸整備を行っている。上流部は、未改修。

・近年の洪水で、水田への浸水はあるものの、住家浸水等の被害は生じていない。

・土砂堆積の影響で樋門等の操作への影響が生じている。

【対応】・治水目標とする洪水を安全に流下させる。・下流~山海川樋門周辺の土砂堆積の抑制に努める。

・整備にあたっては、生物の生息・生育・繁殖環境や生態系ネットワークの形成を考慮し、川と人とのふれあいの場を創出するとともに、良好な景観の維持・形成に努める。

▲上流部(1k000付近)

▲河口付近状況

津波・高潮対策の状況津波・高潮対策の状況

【現状と課題】・山海川水門は、伊勢湾台風規模の高潮に対応しており、平成10年に改築した。

高潮時の排水ポンプは設置されていない。・災害時に水門の閉鎖を迅速かつ安全に行うことを目的に平成20年に耐震化・遠

隔操作化を実施した(2002年東海・東南海地震モデル対応)が、さらなる耐震化が必要となっている。

・土砂堆積の影響で水門操作への影響も生じている。

【対応】・伊勢湾台風規模の高潮による浸水被害の防止を図る。

・河川津波対策については、南海トラフ沿いで発生する、発生間隔が数十年から百

数十年に一度規模の地震・津波(施設計画上の津波)に対し、津波が河川を遡上し、

河川堤防を越流して発生する災害から人命や財産等を防御する。

・地震対策としては、南海トラフ沿いで発生する地震や内陸直下型地震に対し、河

川堤防が地震により沈下し、地震直後の平常の河川水や、復旧期における小規模な

洪水が堤防を越流して発生する被害を防ぐ。

・土砂の適切な管理を実施して水門への土砂堆積の抑制に努める。

▲山海川樋門より上流 ▲下流側左岸側人家状況

▲山海川樋門

▲山海川の現況流下能力

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2

流下

能力

(m3/s)

距離(km)

現況堤防評価

余裕高評価

HWL

計画流量(W=1/30)

計画流量(W=1/5)

Page 3: 山海川水系 流域の概要①上流区間の河川環境 山海川水系 流域の概要③ 区分 上流区域 下流区域 区間 1.01k~0.5k 0.5k~河口 地形 平地 平地

上流区間の河川環境上流区間の河川環境

山海川水系 流域の概要③

区分 上流区域 下流区域

区間 1.01k~0.5k 0.5k~河口

地形 平地 平地

特性 瀬、淵 汽水域

河床材料

小礫、砂泥 小礫、小石、砂

勾配 1/600 水平~1/450

植物相ヨシ等の水際植生 水際に植生はない

動物相

コイ、ミナミメダカ、カワニナ、クロベンケイガニ、モズ、トノサマガエル、カヤネズミ、バッタ類、ヤマトアシナガバチ等

ニホンウナギ、ボラ、ウミニナ、モクズガニ、サギ類、スズメ、トノサマガエル、バッタ類等

【現状と課題】・両岸はコンクリート護岸となっており、干潟、ヨシ原等も分布せず、植生は乏しい。・干潮域で汽水環境となっており、エビ、カニ、貝類、汽水海水魚の生息場やサギ類の餌場として利用されている。・絶滅が危惧されているニホンウナギが確認されている。

【対応】・治水との整合を図りつつ、良好な環境を有する箇所での河床形態などの維持・形成に努める。・寄せ石などにより魚類の潜み場を確保する

【現状と課題】・上流ではヨシ帯や緩流域、瀬、淵が形成され、動植物にとって良好な環境となっている。特に緩流域や淵では重要種であるミナミメダカが多く確認されている。・重要種であるミナミメダカ、カヤネズミ、トノサマガエル、ヤマトアシナガバチ等が確認されている。

【対応】・治水との整合を図りつつ、良好な環境を有する箇所での河床形態などの維持・形成に努める。・生態系に悪影響を及ぼす可能性のある外来種の必要に応じた対策

・山海川(法河川)からの水利権は無いが、清水橋上流部では取水している。

・知多半島では、古くからため池が多く設置され、水源として利用されてきた。多数のため池が現存している。

・現在は、山間部の畑は愛知用水の供給域となっている。

・河口部周辺は山海海水浴場があり、観光客が訪れる。また、山海川水門付近ではイベントが開催され、利用されている。

出典:南知多町山海観光協会HP

・山海川流域では下水道整備は実施されていない。・汚水処理人口普及率は約30%と低い。・山海川流域は、環境基準の類型指定はされていない。・水質は、平成26年1月と平成26年3月に観測され、山海川下流ではBOD 0.8mg/Lと1.3mg/Lで、AA~A類型に相当し、上流の清水橋では0.8mg/Lと1.6mg/Lで、AA~A類型に相当する。・今後、良好な水質維持を図る必要がある。

ニホンウナギ(愛知県:絶滅危惧IB類 環境省:絶滅危惧IB類)

ウミニナ(愛知県:準絶滅危惧 環境省:準絶滅危惧)

カワヂシャ(愛知県:- 環境省:準絶滅危惧)

トノサマガエル(愛知県:- 環境省:準絶滅危惧)

ミナミメダカ(愛知県:準絶滅危惧 環境省:絶滅危惧II類)

流域図流域図

河川区分と自然環境河川区分と自然環境

河川利用河川利用

下流区間の河川環境下流区間の河川環境

▲山海川海水浴場▲山海川水門付近のイベント

(納涼フラダンス)

利水の状況利水の状況

水質水質

Page 4: 山海川水系 流域の概要①上流区間の河川環境 山海川水系 流域の概要③ 区分 上流区域 下流区域 区間 1.01k~0.5k 0.5k~河口 地形 平地 平地

山海川水系 流域図

Page 5: 山海川水系 流域の概要①上流区間の河川環境 山海川水系 流域の概要③ 区分 上流区域 下流区域 区間 1.01k~0.5k 0.5k~河口 地形 平地 平地

山海川 縦断図

乃野橋 久村橋 西村川合流点

無名橋

無名橋 無名橋

無名橋

清水橋

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

5

6

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 1100 1200

標高

[T.P

.m]

延長(m)

HWL

計画堤防高

現況堤防高(左岸)

現況堤防高(右岸)

最深河床高

計画堤防高

T.P.+4.50m

計画高潮位

T.P.+3.58m

山海川樋門

朔望平均満潮 T.P.+1.00m