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第10回モーニングレクチャー 放射線科 村田 繁利 2015.7.2

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Page 1: 第10回モーニングレクチャー€¦ · 腎機能障害では造影剤腎症が起こる可能性がある eGFR が30-60 → 原則禁忌~慎重投与 eGFRが30以下 →

第10回モーニングレクチャー

放射線科 村田 繁利

2015.7.2

Page 2: 第10回モーニングレクチャー€¦ · 腎機能障害では造影剤腎症が起こる可能性がある eGFR が30-60 → 原則禁忌~慎重投与 eGFRが30以下 →

CT,MRI検査における同意書について

●現在の画像診断においてCT,MRIの造影検査の果たす

役割は大きく、造影剤の使用頻度も増加傾向にある

●一方で、副作用の問題は避けて通ることはできず、造影

剤適応の判断や検査に伴うリスクを最小限に抑えること

も要求されてくる

●造影検査前のチェックとして同意書は非常に重要である

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●ヨード造影剤には各社から様々なものが発売されている (化学構造式がそれぞれ異なる) ●造影剤アレルギーとは? ヨードそのものに対するアレルギーではない 抗原抗体反応ではなく、アレルギー様反応である ●副作用は過敏症反応か否か?重症度は? 造影剤を確認すること MRI用造影剤で副作用歴あり→ 慎重投与として扱う

●喘息があるからといって、一律に原則禁忌としない ①現在活動性で、薬剤などでコントロールできていない 状態 → 禁忌 ②薬剤などでコントロールされている状態 → 慎重投与~原則禁忌 ③小児喘息や過去の喘息で、現在無治療でも発作のない 状態 → 慎重投与

●ヨード造影剤の重篤な副作用発現率 喘息あり → 0.23% 造影剤副作用歴あり → 0.18% アレルギー歴あり → 0.10% アレルギー歴なし → 0.03%

●緊急事態に対応できる体制を準備しておくことが一番大切 安易な造影剤使用は慎むべきである

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ビグアナイド系糖尿病薬との併用についてはやや混乱しているのが現状 ●検査の前後にそれぞれ2日(合計5日)休薬する ●eGFRが60以上あれば、休薬の必要なしという意見もある ●eGFR30以下は → ビグアナイド系糖尿病薬の適応外 ●詳細は糖尿病専門医にご相談ください

●ヨード造影剤投与後に甲状腺中毒症が発症する恐れあり ●甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)において 薬物などでコントロールされていない → 禁忌 コントロールされている → 慎重投与 ●放射性ヨードを用いた治療を受ける時は、治療前少なく とも2ヶ月間はヨード造影剤の投与を避ける必要がある ●ヨード造影剤投与後2ヶ月間は甲状腺のRI検査に注意が 必要

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●腎機能障害では造影剤腎症が起こる可能性がある eGFRが30-60 → 原則禁忌~慎重投与 eGFRが30以下 → 禁忌~原則禁忌 ※予防には補液が有効 ●透析中 → ヨード造影剤の使用は問題ない、透析に合わ せる必要なし(水分の過剰補給に注意) ガドリニウム造影剤は禁忌~原則禁忌

●被曝の問題 原則として撮像しない ただし、緊急時には母体優先で検査する 医療被曝での危険性について(いずれも100mGy以上) 着床前 → 胎芽死亡 着床後から器官形成期 → 奇形の発生 その後出産まで → 精神発達遅延など ●ヨード造影剤の胎児への影響 安全性は確立していないが、上記緊急時などには必要に 応じて投与する ●授乳の問題 乳児への吸収量は母親への投与量の0.01%以下と非常 に少量である 少量とはいえ、アナフィラキシー様反応を引き起こす可能 性はゼロではないことから、基本的には数日間の断乳期 間を設けるのが望ましい(事前に母乳を搾乳しておく) ※乳児に異常が発生したとの報告がないことなどから断 乳の必要はないとの意見もある

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記載をお願いします 特に、リスクファクターがある患者で造影検査を行うときは 十分な説明と同意が重要となる

その他の注意事項 ●βブロッカーの問題(アドレナリンと拮抗する) ●腎毒性を有する薬剤の問題(NSAIDsや抗菌薬、抗癌剤) ●事前に体温程度まで温めておく(粘稠度低下) ●脳槽・脊髄造影に安易に使用しないこと(死亡例あり) ●極端な水分制限をしないこと(特に子供や高齢者) ●副作用の予防目的での事前のステロイド投与は? 有効性は確立していないが、やるなら12時間前および2 時間前に経口投与などが推奨されている

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●前回検査後の手術歴などの確認 ●ガドリニウム製剤の副作用発現率 Gd製剤の副作用歴あり → 21.3% ヨード造影剤の副作用歴あり → 6.3% 喘息あり → 3.7% 全症例 → 2.4%

●NSFとの関連 ●造影剤の種類により、添付文書の記載内容に若干の相違 が見られる ●どうしても必要な時は、NSF発症報告の少ないマクロ環構 造の造影剤(プロハンスなど)を使用する ●腎機能をeGFRで評価 60以上 → 危険性が高いとする根拠に乏しい 30-60 → 利益と危険性を慎重に検討し、最小量使用 30以下 → 禁忌~原則禁忌

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●体内金属がある場合は人体への危険性について検討 ●危険性はなくても、撮像部位によっては画像の歪み出現 たとえば、関節置換術後やAAAのステント後など ●安全性がはっきりしないものは、添付文書でも確認 放射線科、技師にも問い合わせる HP参照(http//www.mrisafety.com/) ●金属の有無が不明なときはXpなどでも確認

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●CTと異なり被曝はないので、その点では安全 ●しかし、磁場やRFパルスが胎児に与える影響は完全には わかっておらず、米国のFDAのガイドラインでは「妊婦の MRI検査における胎児の安全性は確立していない」として いる ●特に器官形成期である妊娠14週以内での撮影は避けるべ きである ●ただし、母体や胎児に生命の危機がある場合など、一刻を 争う場合は、これらの点も理解し、説明した上で撮影するべ きである

●ガドリニウム造影剤は胎盤を通過する ●胎児に不利益な影響を与えたという報告はないが、安全が 実証されているわけでもない ●どうしても必要なとき以外は使うべきでない

●ガドリニウム造影剤は母乳にも移行する ●24時間授乳を控えるという意見もある

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●“MRI対応ペースメーカー”はあくまで条件付きであること ●事前に研修を受けて登録した施設で、決められた手順や検 査条件の元でのみ検査可能 ●緊急の検査として直ぐには対応できないので注意が必要

※登録病院数 メドトロニック 松山市内(5病院) 愛媛県内(16病院)

セントジュードメディカル 松山市内(2病院) 愛媛県内(7病院)