第13章化学産業と標準化 ー環境・安全・健康への取り組みー ·...

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1 第13章 化学産業と標準化 ー環境・安全・健康への取り組みー 制作日:2008年12月26日 作:(社)日本化学工業協会 野中 玲子 標準プログラ化教育ム [ 個別技術分野編-化学分野 本資料は、経済産業省委託事業である 「平成20年度 国内人材育成等基盤体制 強化事業 (標準化に関する教育体制整備)」 の成果である。

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Page 1: 第13章化学産業と標準化 ー環境・安全・健康への取り組みー · 量による。」これはルネサンス時代の医師・パラケルススの言葉である。

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第13章 化学産業と標準化ー環境・安全・健康への取り組みー

制作日:2008年12月26日制 作:(社)日本化学工業協会

野中 玲子

標準プログラ化教育ム[ 個別技術分野編-化学分野 ]

本資料は、経済産業省委託事業である「平成20年度 国内人材育成等基盤体制強化事業 (標準化に関する教育体制整備)」の成果である。

Page 2: 第13章化学産業と標準化 ー環境・安全・健康への取り組みー · 量による。」これはルネサンス時代の医師・パラケルススの言葉である。

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化学産業と標準化 2

化学産業の製造業での位置付け,役割及び化学物質の特性を理解する。

化学物質管理は,地球環境問題への対応の一つの重要な課題である。

その管理は,法による規制と産業界による自主管理の双方による取り組みや,

リスク管理が重要であること学ぶ。

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2

化学産業による自主管理活動であるレスポンシブル・ケアについて理解する。3

学習のねらい ・・・・・ 第13章 化学産業と標準化

4 化学産業における標準化の意義を学ぶ。また,化学物質管理を行う場合,活用されるJISの事例を理解する。

Page 3: 第13章化学産業と標準化 ー環境・安全・健康への取り組みー · 量による。」これはルネサンス時代の医師・パラケルススの言葉である。

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化学産業と標準化 3

1 化学産業の紹介

2 化学物質の特性と化学物質管理

3 化学産業の自主管理活動:レスポンシブル・ケア

4 化学産業における標準化の意義

まとめ

演習問題(A・B)

参考資料

目 次 ・・・・・ 第13章 化学産業と標準化

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化学産業と標準化 4

1 化学産業の紹介 ・・・・・ 暮らしの中で使われる化学製品

〔出所:わたしたちの生活と化学物質(環境省) http://www.env.go.jp/chemi/communication/guide/〕

・化学産業が生産する製品は,さまざまな製品として暮らしの中で使われている。

◆解説

化学産業が生産するさまざまな化学製品は,幅広い産業分野で原料,中間製品として使用されている。私たちの暮らしの中では,医薬品,化粧品,せっけん・洗剤,塗料,写真フィルムなどが最終製品として使われている。

日常生活の中で使われている様々な化学製品は,今日の豊かで衛生的な私たちの生活を支えており,化学製品がなければこのような快適な生活は成り立たないと言っても過言ではない。特に,発展途上国においては,農作物の収穫率の向上,貧困及び疾病の根絶,人の健康及び環境改善,さらに生活水準の向上のために化学製品が重要な役割を担っている。

◆参考資料

1) 環境省,わたしたちの生活と化学物質http://www.env.go.jp/chemi/communication/guide/

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化学産業と標準化 5

1 化学産業の紹介 ・・・・・ 暮らしと産業を支える化学産業

〔出所:日本化学工業協会,グラフでみる日本の化学工業2006及び2007〕

化学製品はさまざまな産業において,原料や中間製品として利用されている。

◆解説

化学工業は世間一般から見ると,なかなか分かりにくい産業と言われることが多くある。しかし,化学工業は原料や素材,技術の提供によって,産業・経済の発展を支えている。

このような化学産業の特徴から,「化学産業はさまざまな原料から,さまざまな目的のためのさまざまな製品を,主として,化学技術を用いて製造する産業」〔参考資料の1) より引用〕と定義され

ている。

※現在,世界全体では,化学物質として天然物由来のものを含めて数千万種類を超える物質が発見又は研究・開発されている。その中で工業的に製造されて世の中で流通している化学物質は,約10万種類とも言われている。

◆参考資料

1) 徳久芳郎,化学産業に未来はあるか,日本経済新聞社,1994.

2) (社)日本化学工業協会,グラフでみる日本の化学工業2006.

http://www.nikkakyo.org/upload/1848_2308.pdf

3) (社)日本化学工業協会,グラフでみる日本の化学工業2007.

http://www.nikkakyo.org/upload/2192_2771.pdf

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化学産業と標準化 6

1 化学産業の紹介 ・・・・・ 日本における化学産業の位置付け

・化学工業(プラスチックス,ゴムを含む)の出荷額は約41兆円で製造業の中で第2位・製造業の中で付加価値額は約17兆円,第1位の基幹産業・研究開発型産業

〔出所:日本化学工業協会,グラフで見る日本の化学工業2008〕

◆解説

化学工業は,我が国の製造業の中で重要な役割を果たしている。2006年の出荷額は約26兆円で製造業全体の8.3%を占めている。化学工業に,プラスチック製造業とゴム製品製造業を加えると,日本の製造業の中で第2位に位置付けられる。

化学工業は製造業の中で付加価値額で第1位を占める基幹産業であり,研究開発型の産業である。

化学工業の従業者数は約34万人で,製造業全体の4.2%を占める。

化学工業(医薬品を含む)の2006年度の研究費は,約2兆円で,全産業の15.3%を占めている。売上高に対する研究費の比率は5.3%である。

◆参考資料

1) (社)日本化学工業協会,グラフでみる日本の化学工業2008.

http://www.nikkakyo.org/upload/2393_3200.pdf

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化学産業と標準化 7

化学物質のリスクをどう管理するか?

物質固有の有害性と暴露量との関係

2 化学物質の特性と化学物質管理 ・・・・・ 化学物質の特性

有 用(Benefit)

有 害(Hazard)

◆解説

「すべての物質は毒である。毒でない物質は存在しない。それが毒となるか薬となるかは用いる量による。」 これはルネサンス時代の医師・パラケルススの言葉である。

化学物質には,何らかのリスクが内在している。化学物質のリスクを管理し,最小のものとするためには,まず個々の化学物質が有する固有の危険有害性(ハザード)を明確化する必要がある。しかし,化学物質が実際にヒトの健康や環境生態にどのような影響を及ぼすかについてはハザードだけからは測ることはできない。なぜなら,化学物質のリスクは,「ハザート×暴露」で表され,影響を受けるヒトや環境がどの程度その化学物質にさらされているかが特定されなければ求めることができないからである。

さまざまな用途に使われる化学物質については,総合的な観点からそのリスク評価を実施し,その評価を踏まえた上で管理を行うことが重要となる。

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化学産業と標準化 8

2 化学物質の特性と化学物質管理 ・・・・・ 化学物質管理の複雑さ

・多種多様な化学物質・発生源の多様化・環境への蓄積

・汚染範囲の広さ・汚染期間の長さ・汚染の複合化

化学物質管理の複雑さ

・影響の不確実さ・環境の確認の難しさ

関係者の要請・関心の多様化

〔出所:「地球環境化学」 指導資料(実教出版)より筆者加筆〕

・有効性の検証(バリデーション)試験方法の信頼性・妥当性試験データの質

◆解説

PCB,ダイオキシン類,有機スズ化合物,有機塩素化合物などのように有害性が科学的に明ら

かにされた物質も多いが,現在数万種以上と言われる人工化学物質の大半は,環境や人への影響が全て明らかになっているわけではない。現在,このように多種多様な人工化学物質が,大量に生産されるようになった背景には,新しい物質に対する利便性など私たちの豊かで快適な暮らしに必要不可欠なものになっているためである。

人工化学物質は,化学物質を製造する工場からだけでなく,自動車・家庭・農地など,人工化学物質を使用・消費する場からも発生する。これらの人工化学物質を製造・使用・焼却などこれらさまざまな場面から非意図的に生成される化学物質の影響は大きい。このような発生源の多様化は,その実態を把握することをさらに難しくしている。また,それぞれの物質が微量であっても,その種類はあまりにも多く,その一つ一つの物質が生物や環境に与える影響を定量的に明らかにし,規制の必要性,規制する値を決めるには,その費用・時間だけを考えても困難を伴う。

一方では,個々の人工化学物質の影響だけでなく,複合的な影響を考慮する必要もある。人の健康や生態系にとって,明らかに有害な物質の生産・使用の規制は必要であるが,単に規制という方法だけで化学物質管理に対処することは難しい。

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2 化学物質の特性と化学物質管理 ・・・・・ 化学物質管理の特徴

• 化学物質は,何らかの有害性(ハザード)を有し,

ハザードからもたらされるリスクを,適切に管理することが必要

• 数多くの化学物質が多岐多様な形態で使用され,

化学物質の環境安全についての影響(すなわちリスク)が多様

• 化学物質のリスクは,必ずしも全て科学的に解明されておらず,

どこまでを規制の対象にするかはそれぞれの国により異なる

・ 規制に至らないリスクも適切に管理されることが必要

化学物質を リスク評価 リスク管理 リスクコミュニケーション することが大切

◆解説

病気を治す薬,汚れを落とす洗剤,軽くていろいろな形がつくれるプラスチックなど,化学物質によって,我々の生活は快適で便利になっている。このような,「化学物質の利用による,快適さや便利さなどのよい影響」を「ベネフィット」と呼ぶ。しかし,食塩でもたくさん摂りすぎると健康によくないのと同様に,“適量”を超えた化学物質は,人や動植物などに悪い影響を及ぼすことがある.

このような,「化学物質が,人や動植物などに悪い影響を及ぼす可能性」のことを「化学物質のリスク」と言う。

また,「化学物質の危険性・有害性」を「ハザード」と呼ぶ。「ハザード」とは,例えば毒性や爆発性など,その化学物質が潜在的に持っている危険性・有害性の度合いであり,それに対し,「リスク」とは,ハザードだけでなく化学物質に触れる量や機会も考慮した,実際の危険や損失につながる可能性を指す。

化学物質を安全に利用するためには,化学物質に触れる量や機会が,”適量”を超えていないかどうかを

知り(リスク評価),化学物質のリスクを把握した上で,適切な取り扱い(リスク管理)をしていくことが必要である。また,管理の際には,その必要性や方法などについて,関係者間の情報共有や相談(リスクコミュニケーション)をしていくことが大切である。

◆参考資料

1) (独)製品評価技術基盤機構 http://www.safe.nite.go.jp/management/risk/index.html

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2 化学物質の特性と化学物質管理・・・・・ 化学産業を取り巻く外部環境

60~70年代日本では高度経済成長による急速な工業化で,公害の発生:大気汚染,水質汚染→個々の環境規制法の成立

70~80年世界の化学工場での大事故多発:セベソ(イタリア),ボパール(インド)他→(安全操作)管理の強化の必要性

80~90年地球規模の環境問題への関心:地球温暖化,オゾン層破壊,酸性雨等

→全世界での対応の必要性(地球サミット「アジェンダ21」(1992年))→「持続可能な開発」

90~00年多種多様な物質への対応:流通商品:10万種に上る→自主活動の重要性の高まり(レスポンシブル・ケア)

00年~サプライチェーン全体での化学物質管理(プロダクト・スチュワードシップ)の促進と実行(2002年環境開発サミット:WSSD→2006年国際化学物質管理会議:ICCMでSAICM:国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ発表)

→「化学品の分類と表示に関する世界調和システム:GHS」欧州の「包括的な化学物質管理に関する法律:REACH」へ

◆解説

20世紀は,工業化により経済発展が急速に進んだ時代であった。しかしながら,急速な発展の

一方で,生産現場においては経済効率が優先され,生産に伴い発生する環境汚染,廃棄物等の諸問題への配慮が,必ずしも十分に払われていなかった時代とも言える。結果として発生した環境問題は,発生源の周辺から地域の環境,さらに広範囲に影響を与え,地球全体に広がり,自然環境だけでなく,人間自身にもさまざまな影響をもたらしてきた。今後は,直接的な環境破壊や人への影響だけでなく,長期的な私たちの将来に影響を及ぼす地球環境問題がますます大きな課題となってくる。

なお,SAICMについては,p.14にて後述する。

主な地球環境問題:

・オゾン層破壊(紫外線増加-フロンガス)

・地球温暖化(南極の氷の融解→海水面の上昇-CO2)

・酸性雨(SOX,NOX)

・生物多様性の低下(生物種の保護)

・廃棄物による汚染(産業廃棄物-埋め立てるところがない-3Rの推進)

・地球資源の枯渇

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《第二段階:総合安全管理の時代》

内外の要請の高まり

化学物質の総合安全管理に対する

・化学物質の範囲の拡大

・関係者の多段階化

・要請・関心の内容の多様化

国際機関 各国動向 社会情勢

内外情勢の変化

法 の 改 正 ・ 運 用 の 変 更

産業界(各企業)の法への対応

《第一段階:法による規制の時代》

国際機関 各国動向 社会情勢

内外情勢の変化

〔幅広い対応〕

・多様な用途などの実態を踏まえた対応

・多段階の関係者の多様な使用実態を

踏まえた多様な対応

・多様な要請・関心の内容への対応

・新たにハザードが定義された化学物質

の場合

・不特定多数の関係者が存在し自主的管

理だけではリスクコントロールが不可

能な場合

産業界(各企業)による

自主的対応

・多様な用途などの実態

を踏まえた対応

・多段階の関係者の多様

な使用実態を踏まえた

多様な対応

・多様な要請・関心の内

容への対応

変 化

実態を踏まえた柔軟な対応

全般への対応

個々の化学物質について特性にあった管理(生産,使用,廃棄)

総合安全管理

・新たにハザード

が定義された化

学物質の場合

・不特定多数の関

係者が存在し自

主的管理だけで

はリスクコント

ロールが不可能

な場合

法による対応

法 の 改 正 ・ 運 用 の 変 更

産業界(各企業)の法への対応

2 化学物質の特性と化学物質管理・・・・・ 化学物質の管理体制と法規制との関係

地方公共団体

国土交通省

総務省消防庁

経済産業省

厚生労働省

環境省

環境省

厚生労働省

経済産業省

総務省消防庁

国土交通省

地方公共団体

数値による個別物質の規制

(多数)

PRTR法包括的な総量規制

◆解説

化学物質の中には,その製造・流通・使用・廃棄などの段階で,環境中に排出され,人の健康や生態系に悪影響を及ぼす恐れのあるものも多い。これらの化学物質を管理することが必要であるため,OECD(経済協力開発機構)は,1996年に加盟国に対して,PRTR制度(環境汚染物質排出・

移動登録制度)の導入に取り組むよう勧告した。欧米では,すでにさまざまな形で制度化されている。わが国では,産業界が独自にPRTR制度を導入し実施してきたが,国においても1999年7月にPRTR法が制定された。

このPRTR制度では,事業者は対象物質ごとに,工場や事業所から環境中に排出する量や,廃

棄物として移動する量を把握し,その結果を行政に報告する。そして,行政はそのデータを集計し,目録などの形で公表する。

今後,化学物質のリスク管理をするために,行政・事業者・市民が情報を共有しつつ,事業者は自主管理を徹底し,行政は化学物質の排出量などを早期に把握し,排出削減に向けた方策を検討することが必要である。

PRTR法(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律)

人の健康や生態系に有害な恐れのある化学物質について,事業所からの環境(大気,水,土壌)への排出量及び廃棄物に含まれた事業所外への移動量を,事業所が自ら把握して国に対して届け出るとともに,国は届出データや推計に基づき,排出量・移動量を集計し,公表する法律である〔詳細については,例えば「参考資料」の1)を参照〕。

◆参考資料

1) 新井 智,第9章 サプライチェーンと情報提供,標準化教育プログラム 個別技術分野編 化学分野,(財)日本規格協会,2009.http://www.jsa.or.jp/stdz/edu/edu.asp

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化学産業と標準化 12

2 化学物質の特性と化学物質管理・・・・・ 産業界による自主管理の重要性

自主管理の重要性- 全ての化学物質は,適正に管理されることが必要である。- 研究開発→製造→加工→消費→廃棄のライフサイクル全般のリスクを

管理することが重要である。

自主管理の利点- 管理の知識を最も持つのは当該事業者であり,リスクの管理に多様な

手段が存在する。このため,最も経営戦略に合致した手段の選択が可能である。

- 強制法規の水準を超えた管理を迅速に行える。

規制の限界- 膨大な数の化学物質が存在。個々の化学物質に着目した管理対策には

限界があり,場合によっては不適切である。

- 化学物質のハザード,リスクには未解明のものが多い。因果関係の特定,対応策の特定が容易でない。

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化学産業と標準化 13

2 化学物質の特性と化学物質管理・・・・・ 化学物質管理(リスク管理)

ハザード(リスク)評価

Aプログラム領域

化学的リスクの国際的評価の拡充と促進(全9項目)

安全性情報交換・提供

Bプログラム領域

化学物質の分類・表示の統一(全4項目)

Cプログラム領域

有害化学物質及び化学的リスクに関する安全性情報の交換・提供(全7項目)

リスク管理体制の整備

Dプログラム領域

リスク管理計画の策定(全12項目)

Eプログラム領域

各国の化学物質管理能力と体制の強化(全9項目)

Fプログラム領域

有害危険化学品の違法な国際移動の防止(全3項目) 1992.6 UNCED

「アジェンダ21」 第19章 の概要

◆解説

1992年,ブラジルのリオ・デジャネイロで開催された国連環境開発会議(地球サミット)で採択された「アジェンダ21」の第19章「有害かつ危険な製品の不正な国際的取引の防止を含む有害化

学物質の環境上適正な管理」では,化学物質の総合安全管理について,単に有害物質の排除ではなく,化学物質のリスクについての認識が化学物質の安全管理には必要であるとしている。そして,化学物質のライフサイクル全体を考慮に入れたリスク削減のため,情報の伝達・交換を通じた化学物質の管理システムの構築を推奨している。

具体的には,

①リスク評価の促進(A項)

②安全性情報の交換・提供(B,C項)

③リスク管理体制の整備(D項)

④化学物質の適正管理のための国家的組織及び立法の設置(E項)

⑤開発途上国のリスク管理支援(F項)

が記載されている。

◆参考資料

1) 経済産業省 http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/03kanri/c2.htm

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化学産業と標準化 14

2 化学物質の特性と化学物質管理 ・・・・・ 化学物質管理

• SAICM 「世界行動計画」 での36の作業領域

• 作業領域15:リスク評価,管理とコミュニケーション

– 活動No.64:化学物質,特にそのリスクの評価とリスク管理方法に関連する政策と意思決定への科学の統合のために,単純化された手法の開発を促進すべき

– No.129 :有害性評価を国際的に推奨される方法を含む,調和した健康と環境のリスク評価の要求事項を取り入れて実施すべき

– No.130:リスク評価において原理と方法を調和させるべき

– No.133:予防的取組みを考慮した透明で科学に基づくリスク評価の方法や科学に基づくリスク管理の手法を用いたさらなる手法を開発すべき

2006年の国際化学物質管理会議にてSAICMを採択

化学物質に関する戦略的アプローチ:SAICMの概要

◆解説

1992年のいわゆる地球サミットから10年後の2002年に開催された「持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD:World Summit on Sustainable Development)」では,地球環境問題の解決に向けた実施計画が採択された。その中で化学物質管理に関するものとして「予防的取組方法に留意しつつ,透明性のある科学的根拠に基づくリスク評価手順と科学的根拠に基づくリスク管理手順を用いて,化学物質が人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で使用,生産されることを2020年までに達成することを目指す。」ことが謳われている。

そして,具体的な行動計画を示すものとして2006年には国際化学物質管理会議において「国際的な化学物質に関する戦略的アプローチ(SAICM:Strategic Approach to International Chemicals Management)」が採択された。行動計画は273項目の活動からなり,それらは36の作業領域に区分されている。その一つの「作業領域15」が「リスク評価,管理とコミュニケーション」であり,19項目からなっている。

SAICMにおける化学物質管理は,

①科学的根拠に基づいた「リスク管理方法」を採用すること

②各国は2020年までに化学物質による悪影響の最小化を達成すること

◆参考資料

1) 環境省 http://www.env.go.jp/chemi/saicm/

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化学産業と標準化 15

• 政府による規制(化学物質ごとの「排出基準」の設置による改善命令や罰則等による強制力)

• 民間部門による自主管理活動(製品の開発から廃棄に至るまでの全ライフサイクルにわたる)

規制と自主管理の相互の補完関係が重要

2 化学物質の特性と化学物質管理 (まとめ)

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化学産業と標準化 16

3 化学産業の自主管理活動:レスポンシブル・ケア・・・・・環境・安全・健康問題への産業界の取り組み

• 汚染者負担原則(Polluter-pays Principle)

• 製造物責任法

• 事業者による自主管理の推進,自主管理の長所についての理解の進展 → アジェンダ21,SAICM– レスポンシブル・ケア– ISO14000 ファミリー規格の普及– ISO9000ファミリー,OHSAS18001等への取り組み– 社会的責任(SR)に関する規範の普及

(OECD, ISO,経団連等)

• 環境・安全・健康問題に関わるリスクへの危機管理

◆解説

汚染者負担原則(Polluter-Pays Principle)とは,公害防止のために必要な対策を取ったり,汚された環境を元に戻すための費用は,汚染物質を出している者が負担すべきという考え方の原則である。経済協力開発機構(OECD)が1972年に提唱し,世界各国で環境政策における責任分担の考え方の基礎となっている。もともとは,企業に厳しい公害対策を求める国とそうでない国があると公正な貿易ができなくなるので,こうした事態を避けるために作られた原則である。

なお,2000年閣議決定の環境基本計画では,環境政策の基本的考え方についての指針として,汚染者負担の原則,環境効率性,予防的な方策,環境リスクの4つを挙げて整理している。

製造物責任法(PL法)とは,製品の欠陥によって生命,身体又は財産に損害を被ったことを証明した場合に,被害者は製造業者などに対して損害賠償を求めることができることを規定した法律である。円滑かつ適切な被害者救済をねらいに制定された。

具体的には,製造業者などが,自ら製造,加工,輸入又は一定の表示をし,引き渡した製造物の欠陥により他人の生命,身体又は財産を侵害したときは,過失の有無に関わらず,これによって生じた損害を賠償する責任があることを定めている。また,製造業者などの免責事由や期間の制限についても定めている。

◆参考資料

1) EICネット http://www.eic.or.jp/ecoterm/

2) 「環境基本計画 ~環境の世紀への道しるべ~」(平成12年12月)http://www.env.go.jp/policy/kihon_keikaku/plan/new/index.html

3) 内閣府消費者の窓http://www.consumer.go.jp/kankeihourei/seizoubutsu/pl-j.html

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化学産業と標準化 17

3 化学産業の自主管理活動:レスポンシブル・ケア・・・・・レスポンシブル・ケアとは?

• 世界レベル〔国際化学工業協会協議会(ICCA)〕での化学工業界の取り組み。53の国と地域で実施されている。

• 化学物質を扱うそれぞれの企業が化学物質の開発から,最終消費を経て廃棄に至る全ての過程において,自主的に「環境・安全・健康」を確保し,活動の成果を公表し社会との対話・コミュニケーションを行う活動。

〔出所:日本化学工業協会 http://www.nikkakyo.org/organizations/jrcc/index.html〕

◆解説

「化学物質」 それは私たち人間が生活していく上で欠くことのできない大切なものである。しかし,時としてその取り扱いを間違えると,人体や環境を脅かす有害な物質として作用することがある。

地球環境問題や工業化地域の拡大などによる「環境・安全・健康」に関する問題の広がり,また,技術の進歩により発生する新たな問題等に対して,化学物質に関する環境・安全・健康を規制だけで確保していくことは難しくなっている。したがって,化学製品を扱う事業者が,環境・安全・健康を確保していくために責任ある自主的な行動をとることが今まで以上に求められる時代となっている。

こうした背景を踏まえて,世界の化学工業界は,化学物質を扱うそれぞれの企業が化学物質の開発から製造,物流,使用,最終消費を経て廃棄に至る全ての過程において,自主的に「環境・安全・健康」を確保し,活動の成果を公表し社会との対話・コミュニケーションを行う活動をしている。この活動を“レスポンシブル・ケア”と呼んでいる。

◆参考資料

1) 日本レスポンシブル・ケア協議会http://www.nikkakyo.org/organizations/jrcc/index.html

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日本レスポンシブル・ケア協議会100社の会員企業(2008年8月現在)

〔出所:日本化学工業協会 http://www.nikkakyo.org/organizations/jrcc/index.html〕

環境・安全・健康を守る化学産業の自主管理活動

3 化学産業の自主管理活動:レスポンシブル・ケア・・・・・レスポンシブル・ケアとは? ②

◆解説

レスポンシブル・ケアは,1985年にカナダで誕生した。1990年に国際化学工業協会協議会(ICCA)が設立され,今やレスポンシブル・ケア活動は,世界53ヶ国(2006年10月より)で展開されている。日本では,1995年,社団法人日本化学工業協会(日化協,JCIA)の中に,化学物質を製造し又は取り扱う企業74社が中心となり,日本レスポンシブル・ケア協議会(JRCC)が設立され,それまで各企業が独自に行なっていた環境・安全配慮の活動を統一・活発化し,社会の理解を深めていくこととした。2008年8月現在,JRCCの会員は100社となっている。

講義資料に示されているシンボルマークは,「両手と分子模型」をデザインしたもので『化学物質を大切に取り扱う』という趣旨を表しており,レスポンシブル・ケアを実施している企業・協会の国際的に共通なマークとしてICCAが定めたものである。ICCA加盟の各国化学工業協会及びその協会の加盟会員に使用が認められている。日本では,(社)日本化学工業協会及び日本レスポンシブル・ケア協議会の会員のみが使用することができる。

◆参考資料

1) 日本レスポンシブル・ケア協議会http://www.nikkakyo.org/organizations/jrcc/index.html

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3 化学産業の自主管理活動:レスポンシブル・ケア・・・・・レスポンシブル・ケアの実施方法

• 7つの実施基準:

「レスポンシブル・ケア コード」

• PDCAサイクル

• 実施計画,実施報告,内部

監査証明書をJRCCに報告

• レスポンシブル・ケア検証

〔出所:日本化学工業協会http://www.nikkakyo.org/organizations/jrcc/whatrc/whatrc2_4.html〕

◆解説

会員は,レスポンシブル・ケアを実践する際の基本的実施項目を定めた7つの「レスポンシブル・ケア コード」に従って,自らPDCAサイクルを回して活動を行っている。このサイクルでは,実施計画書を作成(Plan)し,活動を実施(Do),内部監査による自己評価(Check)を行い,実施報告書やパフォーマンスデータなどを作成してJRCCに報告するとともに,見直し・改善(Act)を行い,次の計画に反映させている。

内部監査評価表はレスポンシブル・ケア コードをそれぞれチェックリストに基づいて下記(参考)のように5点満点で採択したもので,その集計結果をグラフ「会員の自己評価」としてレスポンシブル・ケア報告書に掲載している。

参考:自己評価の評価点と区分

4.5点超 十分満足に整備

3.5点超,4.5点以下 ほぼ満足に整備

2.5点超,3.5点以下 整備中

2.5点以下 要整備

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3 化学産業の自主管理活動:レスポンシブル・ケア・・・・・レスポンシブル・ケアの実施項目

① 環境保全(地球上の人々の健康と自然を守ります)

② 保安防災(設備災害の防止に努めます)

③ 労働安全衛生(働く人々の安全と健康を守ります)

④ 化学品・製品安全(化学製品の性状と取り扱い方法を明確にし,

顧客も含めた全ての取扱者の安全と健康,環境を守ります)

⑤ 物流安全(物流の事故,災害防止に努めます)

その成果を公表して,⑥ 社会とのコミュニケーション

(活動の成果を公表)

〔出所:日本化学工業協会 http://www.nikkakyo.org/organizations/jrcc/index.html〕

◆解説

日本レスポンシブル・ケア協議会は,会員とともに,

① 環境保全 (地球上の人々の健康と自然を守る)

② 保安防災 (設備災害の防止に努める)

③ 労働安全衛生 (働く人々の安全と健康を守る)

④ 化学品・製品安全 (化学製品の性状と取り扱い方法を明確にし,顧客も 含めた

全ての取扱者の安全と健康,環境を守る)

⑤ 物流安全 (物流の事故,災害防止に努める)

の5項目を中心に活動を行い,その成果を公表して

⑥ 社会とのコミュニケーション

を進めている。

これらの活動は,JRCCの中の企画運営委員会の下に置かれた企画運営委員会幹事会と報告書,対話,会員交流,国際,プロダクト・スチュワードシップの5つのワーキンググループ(WG)を中心に行っている。

◆参考資料

1) JRCC http://www.nikkakyo.org/organization/jrcc/index.html

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3 化学産業の自主管理活動:レスポンシブル・ケア・・・・・レスポンシブル・ケアの活動の成果 (一例)

• 環境保全:産業廃棄物削減,

省エネ・地球温暖化防止,

化学物質の排出削減,

大気・水質汚染物質の削減

• 保安防災

• 労働安全衛生

• 物流安全

• 化学品・製品安全

• コミュニケーション

詳細は,レスポンシブル・ケア報告書2007参照http://www.nikkakyo.org/organizations/jrcc/report/2007/index.html

◆解説

活動の成果は,JRCC会員の個別活動を定量的に集約し,パフォーマンスデータとして毎年「レスポンシブル・ケア報告書」にて公表されている。

「レスポンシブル・ケア報告書」の入手方法

下記JRCC事務局にて有償(1部200円)で同報告書を頒布している。

JRCC事務局は(社)日本化学工業協会内にあり,問い合わせ先は下記の通り。

〒104-0033 東京都中央区新川 1-4-1 住友六甲ビル 7階TEL: 03-3297-2578 FAX: 03-3297-2615

◆参考資料

1) JRCC http://www.nikkakyo.org/organization/jrcc/index.html

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化学産業と標準化 22

4 化学産業における標準化の意義

• 強制法規における製品等の技術基準と試験方法の提供

• 強制ではなく当事者に合ったものを自主的,弾力的に選べる

→自主的取り組み等のインフラ提供

・ JIS策定プロセスは,より公正で透明性のある手続を経ているため多くの人に受け入

れ易い。

• 相互理解を促進できる。

– 標準は,多くの人が理解しやすいように範囲,試験方法,必要事項など

重要な事項を体系的に定めている。

– 標準は,どのような利用者でも同じ結果を繰り返し得られる。

• 国際標準になると貿易障害を減らすことができる。

– 地域的な規制は貿易障害となる。

〔出所:経済産業省産業技術環境局 「環境資源循環に資する標準化の推進」 2003年9月18日〕

◆参考資料

1) 経済産業省産業技術環境局, 「環境資源循環に資する標準化の推進」 ,2003年9月18日

http://www.jisc.go.jp/policy/pdf/Promotion_Env-Standardization.pdf

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化学産業と標準化 23

4 化学産業における標準化の意義・・・・・化学産業の環境・安全・健康問題解決のための三つの標準

1 組織の管理の質の向上

2 環境安全対策を行う手段,道具

3 統一的な情報提供を行う

・ 化学分野の規格は,基礎的,共通事項について規定する規格(情報提供)標準物質,試薬の規定化学物質(工業原料,中間製品)の規定試験方法,測定方法,分析方法

・ 2008年12月末現在,10183件のJISのうち,化学部門のJISは1787件で,部門別では最も多い。

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化学産業と標準化 24

4 化学産業における標準化の意義・・・・・ JIS部門別件数: 2008年12月末現在で,10,183件制定

〔出所:日本工業標準調査会 http://www.jisc.go.jp/jis-act/classification.html〕

◆解説

JISの分類

JISには,それぞれに固有の番号が付いている。このJIS番号は,分野を表すアルファベット一文字と原則として4桁の数字との組み合せからなっている。4桁の数字の上2桁が「JISの部門記号と分類番号」表の分類番号に対応する(p.25参照)。下2桁は分類番号ごとに付された通し番号である。

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化学産業と標準化 25

4 化学産業における標準化の意義・・・・・化学 K 具体的な規格分類

試薬

写真材料・薬品・測定方法

ゴム,皮革その他,プラスチック

顔料・塗料・書写材料

染料原料・中間物・染料・火薬

脂肪酸・油脂製品・バイオ・分離膜など

石油・コークス・タール製品など

単体・工業薬品など

化学分析

規定対象

00~09

80~89

90~99

(70)~79

60~(69)

50~59

40~49

30~39

20~29

10~19

分類番号

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対象となる産業 化学物質を製造し, 全ての組織又は,取り扱う企業

活動対象領域 環境保全 環境保全保安防災労働安全衛生化学品・製品安全物流安全社会との対話

適合性評価 自己適合宣言 第三者認証レスポンシブルケア検証

検証 システムと実績 システム

4 化学産業における標準化の意義・・・・・ 1 組織の管理 : レスポンシブル・ケアとISO14001の比較

その他,ISO9001やOHSAS18001,リスクマネジメント,社会的責任,社会セキュリティ,情報セキュリティ など

ISO140001レシポンシブル・ケア

◆解説

レスポンシブル・ケア検証の特徴

日本のレスポンシブル・ケア検証の特徴は,レスポンシブル・ケア報告書(環境報告書,CSR報告書)の検証を行っていることである。報告書の検証では,パフォーマンスデータ収集方法の合理性,データの正確性,記載事項の適切性などを審査している。

活動検証は,「どのように活動しているか」という活動の進め方を審査する「ハウツー審査」が特徴となっており,審査はその深さから3段階に分類できる。第1段階は,ISO認証に代表される「システム審査」で,基準・手順等の文書の有無と,それの活動を審査する。第2段階が企業で通常

行われている内部監査で,どのような活動を実施し,その結果,どのような成果(パフォーマンス)を得られたかを審査する。レスポンシブル・ケア検証は,その先の第3段階の審査である。ある活

動を実施し,ある成果が得られたとして,その活動の選定が適切であったかどうか,またその進め方が効果の上がる方法であったかどうかを審査する。名前を付けるとすれば,「ハウツー審査」と表現できる。レスポンシブル・ケア検証は,第1段階のシステムが存在すること,第2段階の望まし

い活動が実施されていることを前提とし,PDCAサイクルのアウトプットを大きくすることを目的として行われている。

◆参考資料

1) 日本レスポンシブル・ケア協議会,レスポンシブル・ケア報告書2006http://nikkakyo.org/organizations/jrcc/report/2006/index.html

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化学産業と標準化 27

4 化学産業における標準化の意義・・・・・ 2 化学物質管理のための手段,道具

化学物質管理や環境問題の現状把握のための調査を行うには,

共通の標準化された化学分析方法や測定方法が不可欠である。

●測定方法,分析方法 及び 試験方法

●試薬

●用語

●一般手引書

- 評価ツール

- 取扱マニュアル

◆解説

環境保全の技術を開発するための基盤技術として,環境を測定する技術がある。環境汚染の原因や程度を正確に測定することにより,適切な環境対策を講じることが可能になる。化学分野のJISには,多くの試験方法,測定方法があり,環境測定の手法として活用されている。

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4 化学産業における標準化の意義・・・・・ JISによる環境測定方法の例

B 7953窒素酸化物自動計測器

Z 8735振動レベル測定方法

Z 8731環境騒音の表示・測定方法その他

K 0093工業用水・工場排水中のポリクロロビフェニル(PBC)試験方法

K 0350-20-10用水・排水中の大腸菌群試験方法

K 0557用水・排水の試験に用いる水

K 0102工業排水試験方法(例)pHの測定

溶存酸素-DOの測定生物化学的酸素消費量BODの測定化学的酸素消費量COD懸濁物資SSの測定ヘキサン抽出物質の抽出法全窒素・全シアンの測定

K 0103排ガス中の硫黄酸化物分析方法

K 0101

Z 8808

K 0104

B 7957

B 7954

B 7951

B 7952

JISの番号

工業用水試験方法

排ガス中のダスト濃度の測定方法

排ガス中の窒素酸化物分析方法

オゾン及びオキシダントの自動計測器

浮遊粒子状物質自動計測器

一酸化炭素自動計測器

二酸化硫黄自動計測器

JISの名称

水質

大気

測定対象

◆解説

規格を規定する内容から分類すると,①基本規格,②試験方法規格,③製品規格,④管理システム規格に分けることができる。講義資料には,環境測定に使われるJISの試験方法規格を紹介している。

試験方法規格は,試験などの種類・項目,試験・測定の原理,共通的な条件(試験状態・試験条件など),装置・器具,試薬・標準物質,試料(サンプリング方法など),手順・方法・操作・計算,記録方法・記録様式,製品規格に引用する際に規定しなければならない事項などを規定している。この規格を製品規格に引用することにより,製品規格の記載事項を簡素化することができる。また,試験方法規格を独立した規格とすることで,規格が共有されやすくなり,試験方法を整合化することができる。さらに,試験方法規格は法規制のための基準として引用されることも多い。

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化学産業と標準化 29

•統一的な標準があると,多くの強制法規や任意規格に引用され,相互の

整合性が確保できる。

•それぞれの法律や規格で個別に内容を規定してしまうと,利用者に大きな負担がかかる。

4 化学産業における標準化の意義・・・・・規格の法律への引用例①

JIS K 8576

家庭用品品質表示法

飼料の安全性の確保及び品質の改善に

関する法律農林物資の規格化

及び品質表示の適正化に関する法律

廃棄物の処理及び清掃に関する法律

薬 事 法

他のJISに引用214件

〔JISCのWebデータベース検索より作図〕

〔JIS K 8576 水酸化ナトリウム(試薬)〕

◆解説

法規による規格の引用

JISは,工業標準化法の第67条によって国及び地方公共団体において鉱工業に関する技術上の基準を定めるとき,JISを尊重することを規定しており,これに基づき建築基準法,高圧ガス保安法,薬事法,電気用品安全法などをはじめ各法規に数多く引用されている。

JISは,任意規格であるため,規格の規定事項の採用の適否は任意とされているが,法規に引用されることによって規格が強制力を持つことになる。

参考:工業標準化法 第67条(日本工業規格の尊重)

国及び地方公共団体は、鉱工業に関する技術上の基準を定めるとき、その買い入れる鉱工業品に関する仕様を定めるときその他その事務を処理するに当たって第二条各号に掲げる事項に関し一定の基準を定めるときは、日本工業規格を尊重してこれをしなければならない。

◆参考資料

1) (財)日本規格協会 編,標準化テキスト(基礎編),(財)日本規格協会,2007.

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〔JISCのWebデータベース検索より作図〕

JIS K 0104鉱 山 保 安 法

海洋汚染等及び海上防災の防止に関する法律

大 気 汚 染 防 止 法

他のJISに引用13件

〔JIS K 0104 排ガス中の窒素酸化物分析方法〕

4 化学産業における標準化の意義・・・・・規格の法律への引用例②

◆解説

強制法規がJISを引用する場合は,次の3つの方法がある。

引用の方法:

a) 法令で規格番号を引用する場合→規格番号を必要な箇所で引用し,詳細な記述を省く。

b) 法令で規格の具体的な内容を引用する場合→例:圧力容器関連の強制法規

c) その他→JISを総括して引用する場合→例:「用紙は日本工業規格のA列4番とする」

また,通常,強制法規がJISを引用した場合,法規とJISとの関係は下図のようになる。

◆参考資料

1) (財)日本規格協会 編,標準化テキスト(基礎編),(財)日本規格協会,2007.

法規

JIS強制規格

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4 化学産業における標準化の意義・・・・・ 3 統一的な情報提供:情報の標準化

• 供給者から最終ユーザーまでの情報の受け渡し

– MSDS:製品安全データシート (JIS Z 7250)

– イエローカード:輸送中の事故に対応するための緊急連絡カード

• 化学物質データベース

(独)製品評価技術基盤機構化学物質総合情報提供システム(CHRIP)

神奈川県化学物質安全情報システム(kis-net)

(独)科学技術振興機構

(社)日本化学工業協会

提供元

日本化学物質辞書Web(日化辞Web)

物質DB検索

名称

◆解説

MSDSとは,化学製品を安全に取り扱うために必要な注意事項が規定されている。化学製品による事故を防止するとともに,使用者に正しい使い方をしてもらうためのものである。次の16項目名の番号,項目名及び順序は変更してはならない。

1.化学物質等及び会社情報

2.危険有害性の要約

3.組成及び成分情報,

4.応急措置

5.火災時の措置

6.漏出時の措置

7.取扱い及び保安上の注意

8.暴露防止及び保護措置

9.物理的及び化学的性質

10.安定性及び反応性

11.有害性情報

12.環境影響情報

13.廃棄上の注意

14.輸送上の注意

15.適用法令

16.その他の情報

イエローカードは,化学物質や高圧ガスを輸送時の万一の事故に備え,ロリーの運転手や消防・警察,周囲の人たちが取るべき処置が規定された緊急連絡カードのことである。このカードが黄色の紙上に印刷されていることから「イエローカード」と呼ばれている。混載ビンや少量品を容器にて輸送する場合,容器に貼り付けるラベルに,国連番号,応急措置指針番号を書き加えたものを「容器イエローカード」と呼ぶ。

化学物質を適切に管理するには,化学物質のリスクを評価,管理し,コミュニケーションを図ることが重要な要素となる。化学物質のリスクについて適正な評価及び管理を進めるためには,関係者間の相互理解・情報の共有化が不可欠であり,信頼性のある情報が広く継続して社会に提供されることが必要である。そのために,国,地方自治体,化学産業界では,化学物質のデータベースを構築し,ホームページ上で情報提供を行っている。

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4 化学産業における標準化の意義・・・・・標準と環境・安全確保規制との関係

事業者による自主管理 強制法規による規制

任意の規格

ISO,IEC,JISなど

ISO 14000ファミリー

JIS K 8576,K 0104など

•個々の企業のマニュアル

•自主的の工業会の指針:

レスポンシブル・ケア

任意規格の法規への引用

•政府機関の技術基準:

JIS

◆解説

化学物質管理に関する法規は,以下に示すように,その使い方,使われる場所により数多く制定されている。

・高圧ガス保安法

・労働安全衛生法

・消防法

・有害物質を有する家庭用品規制法

・毒物及び劇物取締法

・食品衛生法

・農薬取締法

・火薬取締法

・化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律

・PRTR法(化学物質管理促進法)

・ダイオキシン類対策途区別措置法

・PCB破棄物適正処理特別措置法など

日本の安全管理技術の進歩と経済活動のグローバル化に伴い,国内の規制の仕組みが「規制緩和推進計画」に基づき見直しが行われた。そこでは,一律による取り締まりから事業者による自主管理を促進させるとともに,規制,基準の内容の国際的整合化が図られた。ここで,事業者の自主管理を行うためのツールとして任意の規格が引用され,管理技術の裏付けが行われた。また,国際整合化を図るツールとしてISO,IECの規格が引用されるなど,任意の規格が活用されている。

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4 化学産業における標準化の意義・・・・・強制法規と任意規格の関係

• 強制法規には詳細な規定を設けず性能規格化し,当該法規(基準)へ適合することを示す具体的な例示基準等として,基本的にはJISが活用されている。

〔「規制改革推進3ヵ年計画」(平成14年3月閣議決定)〕

• 法規で規格を引用する利点

– 技術の進歩に合わせた柔軟かつ適切な対応(メンテナンス)が可能となる。

– 広く利害関係者が関与し,コンセンサスに基づき作成された任意規格は,社会のニーズを反映し,信頼性がある。

– 国際的に整合した制度での構築が可能 → 貿易障害の除去

– 共通の基本規格として法律に引用されることで,統一した体系に整備できる。

– 広く,容易に入手できる。

◆解説

法規で規格を引用する利点

法規が,規格を引用する利点としては次のような点が考えられる〔参考:ISO・ICE Guide15:ISO/IEC code of principles on “reference to standards” (規格引用の原則の ISO/IEC 規格)〕

a) 法的業務が単純化され迅速に行える。

法令に直接技術基準を含まない構造のため,技術的基準の変更による煩雑な法律手続きの繰り返しが回避でき,最新の技術を取り込んだ法整備が容易にしかも迅速に行える。

b) 貿易障害の除去が促進される。

法規が,国際規格と整合した国内規格を引用することによって,技術的に国際整合が図られ貿易の障害の除去が促進される。

c) 国際標準化機関の成果がより良く考慮される。

国際標準化機関における国際間の差異に基づく議論,各国間で相違する慣行,状況等の調整がされた規格を法令が引用されることによって,実際的で円滑な実務が遂行できる。

d) 技術的な規則を,科学・技術上の進歩を考慮して変更することが容易になる。

法規が規格を引用することによって,科学・技術上の進歩考慮して変更することが容易になる。

e) 専門的な要求事項がより遵守されやすくなる。

実務者は,日常業務において法規より規格を使うことに慣れているので,専門的な要求事項が守りや

すくなる。通常,実務者の多くは規格を参照することはあっても法令を参照することはまれである。

f) すべての技術的規則が一つの統一した体系の中に集積され整理される。

法規が一貫性をもって規格を引用し,規格も体系的に整備されると,法規による技術基準も体系的に整理されたものとなる。

g) 利害関係者がすべからく規格作成に参画する場合は,技術基準がより確実に履行され,また,各国の国家規格の不一致も回避できる。

規格作成に利害関係者が参加することによって,利害の調整が規格策定の段階で十分になされているため,法規に対する当該技術基準に対する理解も,その適用の方法も容易となる。また,国際規格と整合している規格であれば国際的な事情も反映しているため各国間の法規の不整合も回避されることになる。

◆参考資料

1) (財)日本規格協会編,標準化テキスト(基礎編),(財)日本規格協会,2007.

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まとめ

多種多様な化学物質の有効な管理には,法規制と自主管理の協調が大切である。

化学物質管理には,リスク評価,リスク管理,リスクコミュニケーションが重要である。

化学産業は,レスポンシブル・ケア活動を通じて,化学物質の管理,環境/安全/健康活動を実施している。

化学物質を規制する法律や規制の具体的な手法には,規格が活用されている。

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演習問題 A ・・・・・第13章 化学産業と標準化

1 化学産業の特徴及び化学物質の特性を述べなさい。

2 化学物質の管理を行う上での大切な3要素を示しなさい。

3 化学物質管理を行う上での標準の3つの役割を示しなさい。

◆解説

1 化学産業の特徴については,p.4~6を参照。

化学産業が生産する製品は,暮らしの中で使われる消費財の他,幅広く産業分野で原料,中間製品,一次製品として使用されている。日本の製造業の中で第2位の出荷額,付加価値額や研究費は第1位である。

化学物質の特性については,p.7を参照。

化学物質には何らかのリスクが内在する。化学物質の危険有害性(ハザード)を明らかにするだけでなく,どのくらいの量を用いるか,どの程度さらされるか(暴露)との関係で化学物質のリスクを評価することが重要である。

2 p.9を参照。解答は,① リスク評価,② リスク管理,③ リスクコミュニケーション

3 p.23~31を参照。

① 組織の管理の質の向上のために,管理システム規格やその考え方(PDCA)等を用い,組織のマネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,改善する活動を推進する。

② 環境安全対策を行う手段,道具として規格を用いる。例えば,環境測定を行う場合,共通の測定方法を用いて行うことで,データの信頼性が担保できる。

③ 標準化された書式,フォーマットに則った情報整備を行い提供する。例えば,JIS Z 7250に規定されたMSDSの内容及び項目の順序に基づき,化学品の情報を整備することで,サプライチェーン全体で混乱なく情報が活用される。また,情報整備の省力化が図れる。

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演習問題 B ・・・・・第13章 化学産業と標準化

1 化学産業の自主管理活動である「レスポンシブル・ケア」について概説しなさい。

2 レスポンシブル・ケアの実施方法を述べなさい。

3 レスポンシブル・ケアの実施項目(6項目)を示しなさい。

◆解説

1 p.17~18を参照。レスポンシブル・ケアとは,化学物質を扱う各企業が化学物質の開発から,最終消費,廃棄に至るまで自主的に「環境・安全・健康」を確保し,その活動の成果を公表し,社会との対話を行う化学産業界の自主管理活動のことを言う。世界の化学産業界が国際化学工業協会協議会(ICCA)のもとに実施している。

2 p.19を参照。レスポンシブル・ケアとは,ISOマネジメントシステム規格で用いられているPDCAサイクルを繰り返すことで,化学物質管理,環境・安全・健康への取り組み活動を効率的に管理し,改善を継続的に図っていく。

3 p.20を参照。レスポンシブル・ケアの具体的な実施項目は以下の6つである。

① 環境保全

② 保安防災

③ 労働安全衛生

④ 化学品・製品安全

⑤ 物流安全

⑥ 上記①~⑤までの活動の成果を公表し,社会とのコミュニケーションを図る。

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参考資料 ・・・・・第13章 化学産業と標準化

◆文献1) レスポンシブル・ケアを知っていますか?,日本レスポンシブル・ケア協議会2) レスポンシブル・ケア報告書2006,日本レスポンシブル・ケア協議会

2006年11月3) グラフでみる日本の化学工業,(社)日本化学工業協会4) 標準化テキスト(基礎編),(財)日本規格協会 平成19年9月5) 地球環境化学(高等学校工業科用教科書)及び同指導資料,実教出版,

平成19年6) 化学産業界の環境開発サミット(WSSD)への取り組み,化学経済,

2003年1月号7) 化学物質管理に関する最近の国際動向(上,下),化学経済,

2006年4,5月号8) 化学物質と上手につきあうために・・・,(独)製品評価技術基盤機構化学物質

管理センター

◆インターネット9) (社)日本化学工業協会 http://www.nikkakyo.org/

10) (独)製品評価技術基盤機構(NITE) http://www.nite.go.jp/11) 日本工業標準調査会(JISC) http://www.jisc.go.jp/