第2章 膨張宇宙モデル...• 2次超曲面として実現される時空の曲率 –...
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第2章 膨張宇宙モデル
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2. 1 一般相対論の復習
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一般相対性原理
• 一般共変性 – 物理法則は任意の一般座標系で同じ表式で表すことができる.
• 等価原理 )重力場がゼロとなる(無限小)局所座標が存在し,そこでは特殊相対性理論が成立.
• 計量仮説 ) 重力場は時空計量により記述される.
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重力場の作用 特殊相対論
• 座標系 – Minkowski座標 xa
• 時空計量 • 運動方程式
• 場の方程式
一般相対論 座標系
一般座標系 x¹
時空計量 運動方程式
場の方程式
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重力場の方程式 • Einstein方程式
ここで
• 作用原理による表現
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エネルギー運動量保存則 • Bianchi恒等式
• 理想流体の運動方程式
– エネルギー運動量テンソルは
– 保存則より
– 特に,圧力ゼロの時
これは,流線が測地線となることを意味する.
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曲率テンソルの自由度 • 関係式
– Rabcd=-Rbacd=-Rabdc – Rabcd+Rbcad+Rcabd=0
– Rabcd=Rcdab 最後の関係式は最初の2つより導かれる.
• R#ijk (i,j,k=1,…,d)の自由度: Md=Md-1+ (d-1)2+d-1 より, Md=d(d2-1)/3.
• Rabcdの自由度: ND=ND-1+D(D-1)/2+MD-1 より,
ND= D2(D2-1)/12.
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摂動論 • 摂動方程式
とおくと,線形近似でのEinstein方程式は
ここで,¢LはLichnerowicz作用素である.
• ゲージ変換
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• 調和ゲージ
• 平坦な時空での摂動
– 調和ゲージのもとで,摂動方程式は
– ゲージ条件は
– 拘束条件
– 残留ゲージ自由度
– 重力波の力学自由度
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Newton近似 • 非相対論近似: ²=GM/L, ¯=v/c とおくとき,
摂動方程式より
計量の摂動は
• 粒子に対する作用積分は
• 運動方程式とEinstein方程式
• Newtonポテンシャル
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2. 2 時空の分解
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接続の分解 • Riemann接続(Levi-Civita接続)
1. (metricity) r g=0.
2. (torsion free) rX Y- rY X=[X,Y]
• Gaussの公式
– Riemann多様体 M 内の超曲面Σに対し,X,YをΣに接するベクトル場,nを単位法ベクトル場とするとき,
• Weingartenの公式
– X,YをΣに接するベクトル場として,Σ上の(1,1)型テンソル場K(X)を
g(K(X),Y)=K(X,Y)
– により定義するとき,
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• 計量による表現 – (d+1)次元時空の計量を一般に
と表すことができる.
– この表示のもとで,t=一定面 Σ tの単位法ベクトル n は
となる.T=N n に対して,
なので,次の表式を得る:
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曲率の分解
• Riemann曲率テンソル
• Gauss-Codazzi方程式
• 残りの曲率テンソル
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Einstein方程式の分解 • Einsteinテンソルの分解
• 拘束条件
• 発展方程式
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定曲率空間 • 定曲率空間
• 2次超曲面の曲率
– Ep,q(p+q=d+1,q=0,1)内の2次超曲面
に対し,その上の点Xにおける単位法ベクトルは, n=X/A (n¢ n =²)なので, Σの接ベクトルXに対し,
よって,Gauss方程式より
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一様等方な空間 • 等方な空間
球面Â=一定外部曲率は,Kij=(f’/f)gij.
よって,(d+1)分解の公式より空間の曲率は
• 一様等方なら定曲率空間なので
この方程式の解で,f(0)=0となるものは,
以上より,一様等方な空間は定曲率空間である球面,Euclide空間,双曲空間のいずれかに限られる.逆に,定曲率空間は完備単連結ならば一様等方であることも示される.
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定曲率時空 • 2次超曲面として実現される時空の曲率
– Ep,q(p+q=D+1,q=1,2)内の2次超曲面
に対し,その上の点Xにおける単位法ベクトルは, n=X/A (n¢ n =²)なので, Σの接ベクトルXに対し,
よって,Gauss方程式より
したがって,²=1のとき正定曲率(de Sitter)時空,²=-1のとき負定曲率(反de Sitter)時空となる.
• Ricci曲率
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2. 3 一様等方宇宙
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一様等方宇宙モデル
Hubbleの法則(1929)
銀河の後退速度 / 距離 v= H0 r
宇宙の膨張と一様等方性
Robertson-Walker宇宙モデル
• 空間は一様等方で,一様な曲率 K をもつ
• 空間のサイズ a(t)が時間 t 共に増大
K=0
K>0
K
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基礎方程式 時空次元 D=1 + n
– 等長変換群 G=ISO(n), SO(n+1), SO(n,1) ) 空間は定曲率
– 時空計量
– エネルギー運動量テンソル
– Einstein方程式 Gµν + Λ gµν = κ2 T µ ν
– エネルギー保存則 rν Tµν=0
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2. 4 様々な宇宙モデル
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宇宙パラメータ • 宇宙膨張の方程式
• エネルギー方程式
• 物質組成
密度パラメーター
ハッブル定数
wパラメーター(関数)
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単純な宇宙モデル • w=一定のとき
特徴 Λ
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Friedmannモデル (D=4, Λ=0, ΩM=Ωn+Ωr)
� ΩΜ=1 (Einstein-de Sitterモデル: K=0)
� ΩΜ
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2. 5 特異点
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時空特異点 • 宇宙膨張の加速度
(宇宙項 Λは ρ = -P = Λと対応.)
• 宇宙の初期特異点
– 強エネルギー条件
が満たされれば、必ず有限な過去にa=0となる.すなわち,宇宙は有限な年齢をもつ.
• Big-Rip特異点
– w0) とおくと,
より,有限な時間でスケール因子も密度も発散
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Raychaudhuri方程式
強エネルギー条件 RµνVµ Vν ¸0 が満たされるとき,
• 重力は引力となる. • 一旦収束し始めた非回転的光線束(時間的測地線
束)は 有限時間内に「一点」に収束する.
Hawking-Penroseの特異点定理 強エネルギー条件(+一般性条件) 因果性条件 強重力条件(捕捉的集合の存在) の3つの条件が満たされるとき,無限に延長できない光的ないし時間的測地線が存在する
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平坦モデル (K=0, w=一定)
– 物質優勢(4D,Λ=0): γ=2/3, t0=2/(3H0)=9.3 Gyrs (0.7/h) – 輻射優勢(4D ,Λ=0): γ=1/2, t0=1/(2H0)=7 Gyrs (0.7/h) – Flat ΛCDM (4D, ΩM=0.25): t0 ' 1.01 /H0=14Gyrs (0.7/h)
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2.6 赤方偏移とホライズン
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光の伝搬 • 光波面の方程式
RW計量が
と表される座標系において,
• 宇宙論的赤方偏移
動径距離χの位置から時刻 t およびt+∆ t に出た光が原点χ=0 に到達する時刻 をそれぞれ t0, t0+∆ t0 とすると
これより,時刻 t に共動的天体から出た光の赤方偏移は
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ホライズン • 粒子ホライズン
– 時刻 t の観測者を頂点とする過去の光円錐は
– 時刻 t までに観測できる球領域の共動半径 LH(t) は
– LH は次の条件が満たされると有限となる.
– LH(t)は,初期面上の1点から出た光波面の時刻 t での共動半径と一致する.
• Hubbleホライズン – ゆらぎの力学的振る舞いなどでは,Hubbleホライズン半径
1/Hが上記のLH(t)より重要となる. – Friedmannモデルでは,Hubbleホライズン半径は LH(t) と
同程度となり,時間 t に比例して増大する.
初期面
宇宙晴上り
現在
時間
第2章 �膨張宇宙モデル2. 1�一般相対論の復習一般相対性原理重力場の作用重力場の方程式エネルギー運動量保存則曲率テンソルの自由度摂動論スライド番号 57Newton近似2. 2�時空の分解接続の分解スライド番号 61曲率の分解Einstein方程式の分解定曲率空間一様等方な空間定曲率時空2. 3�一様等方宇宙一様等方宇宙モデル基礎方程式 2. 4�様々な宇宙モデル宇宙パラメータ単純な宇宙モデルFriedmannモデル2. 5�特異点�時空特異点Raychaudhuri方程式平坦モデル2.6�赤方偏移とホライズン光の伝搬ホライズン