第3章 三和地域市営住宅建設基本計画 - itoman第3章...
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第3章 三和地域市営住宅建設基本計画
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第3章 三和地域市営住宅建設基本計画
(1)三和地域住宅施策基本方針
1)三和地域住宅施策の体系
三和地域における市営住宅の整備検討にあたっては、三和地域における住宅施策の体系的な
検討の中で位置づける必要がある。三和地域の住宅課題を受けて、三和地域の住宅施策の体系
を示すと次のようになる。
■三和地域の住宅施策の考え方の流れと施策の体系
三和地域の課題は…地域コミュニティの維持
人口減少を抑制し、人口をできるだけ維持するとともに、若
い子育て層が住めるまちづくりをしていくこと。
そのためには…
産業施策、福祉施策、教育施策等々様々な施策が必要である
が、本計画では「住む」=住宅施策に絞って考える。
○持家の更新支援施策
・地域の 90%以上を占める持家の更新・リニューアル
①3 世代同居リニューアル更新支援
②耐震・エコ住宅リニューアル支援
③空家対策 ・空家バンク登録制度 ・滅失・活用支援 ・共同住宅建設支援
○市営住宅建設施策
・過疎対策・若者定住促進を意図した市営住宅の建設
①住宅困窮子育て世帯への低廉賃貸住宅の供給
②転入者のための魅力化を図る住宅供給(住宅選定の差別化)
③地域の活性化に寄与するまちづくり
○福祉のまちづくり施策
・住宅施策と連動した福祉施策
①高齢独居・障がい者等の対応のためのグループホーム・デイケア等の整備
②子育て支援施設との連動
③地域福祉のまちづくりのシステム化
【事業主体】
・民間(持家所有者)
・空家活用については、公共も考えられる
【事業手法】
・国・県の支援事業を活用(市の担当窓口による啓発)
・3 世代同居リニューアルについては、市の独自施策を検討
【事業主体】
・市
・PFIによる民間活用も検討
【事業手法】
・国の公営住宅建設事業
・集会所の地域利用等地域貢献も考慮
【事業主体】
・市及び民間
・施設により、事業主体は異なる
【事業手法】
・各種福祉施設整備事業
・社会教育施設整備事業
・システム化については、包括支援センター
三和地域の住宅施策の体系(3本柱)
第3章 三和地域市営住宅建設基本計画
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2)三和地域関連居住層と住宅施策との対応
三和地域の住宅状況と居住層(需要層)と住宅施策との対応を以下に示す。
■居住層別の住宅施策対応図
外部から三和地域に住む(転入する)施策
三和地域で住み続ける (転出しない)施策
空家の発生
現況居住世帯
(高齢者・地区内居住)
三和地域出身者で地元
へ戻りたい層(県外在
住リタイア層含む)
本島南部地域での住宅
困窮層(現住地での確
保困難)
○住み続けるための持家住宅リニューアル(耐震・エコ・バリアフリー・三世代同居対応)
○空家の活用(転出防止・転入促進)
・三和地域新規持家への転換 ・民間借家への転用
○民間アパートの建設促進
空家化抑制施策
多世帯同居
●市営住宅の
建設・入居
○三和地域での住宅確保の優位
性施策(利便性・家賃・環境・子
育て・福祉等まちづくり)
新規農業従事者
家督相続する世帯
(大部分転出)
世帯分離層(転出)
居住層(
需要層)
持家
老朽化の進行
世帯分離層など住宅を必要とする世帯の住宅確保不能→転出
持家(9割) 民間借家ほとんどなし 新規住宅用地不足 現
在の住宅状況
転入者の受け入れ住宅の確保困難
第3章 三和地域市営住宅建設基本計画
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(2)三和地域における市営住宅建設戸数の検討
1)糸満市の公営住宅需要
①著しい困窮年収未満の世帯数の推計
公営住宅は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整
備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することによ
り、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とするものである。(公営住宅法
第 1 条) よって、著しい困窮年収未満の世帯数の推計(国交省提示プログラム)を行い、本市におけ
る公営住宅需要を算出する。 著しい困窮年収未満の世帯数の推計結果については以下に示す。 ◇著しい困窮年収とは 世帯年収と地域の民営借家市場の実態から、自力で最低居住面積水準を達成すること(適
切な家賃負担割合で最低居住面積水準以上の民間賃貸住宅を確保すること)が著しく困難な
年収をいう。 著しい困窮年収(年収分位別・世帯人員別)=[民営借家の平均家賃]×[最低居住面積
水準面積]÷[地域別家賃負担限度率] 総世帯数の増加にともない、公営住宅需要の基礎となる著しい困窮年収未満世帯も増加し、
2040 年度において、著しい困窮年収未満の世帯数は約 5,000 世帯と予測される。現在の公営
住宅供給量が 1,562 戸であるため、約 3,500 戸の公営住宅が不足していることとなる。
■著しい困窮年収未満の世帯数の推計結果
②市営住宅需要
上記で示したように、公営住宅の需要からみると、現在の供給量より約 3,500 戸の公営住宅
が不足しているが、著しい困窮年収未満世帯について、市営住宅のみで対応することは不可能
である。 そのため、低廉かつ一定の質が確保された民間借家やサービス付き高齢者向け住宅の建設
を促進するとともに、今後、増加が想定される民間借家の空家などの活用により対応を図る。
その中で、市営住宅の供給については、市の財政状況を勘案し設定することとする。
単位:世帯数
2015年度 2020年度 2025年度 2030年度 2035年度 2040年度
総世帯数推計 20,483 21,413 21,956 22,372 22,662 23,080
著しい困窮年収未満の世帯数
4,318 4,615 4,827 4,941 5,017 5,032
第3章 三和地域市営住宅建設基本計画
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2)糸満市営住宅整備方針と三和地域の位置づけ
本市における公営住宅需要については市内 5 地域(糸満、西崎、兼城、高嶺、三和)のうち、
本県の公営住宅整備比率(世帯比 5.1%)を満たしていない糸満地域、兼城地域、三和地域にお
いて公営住宅整備比率(世帯比)をあげていくことが必要である。
その中でも三和地域については、人口減少が著しく、地域コミュニティの維持が困難になりつ
つある現状を踏まえ、人口回復のために、糸満市全体の公営住宅整備比率(世帯比)7.1%を超
える整備を行うことを検討する。糸満地域、兼城地域については、隣接する西崎地域において県
営住宅が大量に供給されているため、供給としては問題がないと考えられる。
3)三和地域における市営住宅建設戸数の検討
市営住宅建設戸数を検討するにあたっては、県営新垣団地(56 戸)が三和地域の真壁小学校
区に属しており、実態に即した検討とするため、以降の検討の既設公営住宅数を真壁地区(68戸)、喜屋武地区(24 戸)、米須地区(50 戸)、計 142 戸で算定する。
目標値を糸満市の公営住宅整備比率(世帯比)である 7.0%に 3.0%を加え、人口回復を意図
した 10%にあたる戸数を三和地域でも確保することを目標とする。
注)公営住宅整備比率(世帯比)の 7%は、公営住宅の本来の整備目的である著しい困窮年収
未満世帯に対して糸満市平均公営住宅整備水準を確保するものであり、人口回復を意図した加
算を 3%確保するものである。なお、加算の 3%は糸満市の公営住宅整備状況から政策的に決定
したものである。
以上の結果、三和地域で 10.0%の公営住宅を確保するには、232 戸の公営住宅が必要であり、
現在の供給量が 142 戸であることから、90 戸の公営住宅を新規建設する必要がある。
■三和地域の目標公営住宅戸数
■三和地域の目標公営住宅戸数設定概念図
世帯数(世帯) 世帯数比公営住宅 公営住宅数(戸) 新設必要戸数(戸)
現況 2,316 6.1% 142
目標 2,316 10.0% 232 90
参考(市平均整備率) 2,316 7.0% 162 20
注)三和地域の公営住宅整備率は、県営新垣団地を算入すると、6.1%となる。
県営新垣団地を
加えた現況
市平均整備率 目標整備率
の考え方
3.5%
86戸
現況
6.1%
142戸
7.0%
162戸
7.0%
162戸
3.0%
70戸
10.0%
232戸
6.1%
142戸
既設
3.9%
90戸
新規
目標戸数 新規整備
整備目標
人口回復のための加算
著しい困窮年収未満世帯対応
第3章 三和地域市営住宅建設基本計画
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3)三和地域 3 地区における公営住宅目標値配分
①公営住宅整備率の平準化から見た配分
三和地域において 10.0%の公営住宅整備比率(世帯比)目標を達成するため、三和地域内の 3地区での公営住宅の配分を検討する。
三和地域全体で 232 戸の公営住宅が必要であることから、3 地区の世帯比より按分し、真壁
106 戸、喜屋武 52 戸、米須 74 戸を目標配分とする。
新規建設目標は、現況公営住宅戸数が真壁 68 戸、喜屋武 24 戸、米須 50 戸であるため、真壁
38 戸、喜屋武 28 戸、米須 24 戸、計 90 戸となる。
■三和地域 3 地区における公営住宅目標値配分
■公営住宅の平準化による目標公営住宅整備率設定概念図
②地域活性化の必要性から見た配分
三和地域における市営住宅整備の一番の目標は地域コミュニティの維持にある。この観点に
立つと 3 地区の人口動向が問題となる。
真壁地区は、人口減少率(△24.4%)は高いが、世帯数は増えている。現在(平成 30 年度)
の児童数は、136 人である。
喜屋武地区は、人口減少率(△35.3%)が最も高く、世帯数も減少している。現在の児童数は
66 人であり、学校規模としても危機的状況にあると言わざるを得ない。
米須地区は人口減少率(△17.5%)が最も低く、世帯数の増加数も最も多い。現在の児童数は
160 人である。
真壁 1,056 45.6% 106 68 38
喜屋武 520 22.5% 52 24 28
米須 740 32.0% 74 50 24
計 2,316 100.0% 232 142 90
新規建設目標現況公営住宅
(戸)公営住宅目標値配分(戸)
比率世帯数(戸)小学校区分
7.0%
162戸
3.0%
70戸
三和地域
目標整備率
人口回復のた
めの加算
著しい困窮年収
未満世帯対応
7.0%
74戸
3.0%
32戸
真壁地区
目標整備率
7.0%
36戸
3.0%
16戸
喜屋武地区
目標整備率
7.0%
52戸
3.0%
22戸
米須地区
目標整備率
第3章 三和地域市営住宅建設基本計画
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■三和地域 3 地区の人口動向(昭和 60 年~平成 27 年)
したがって、人口増加への寄与という点での公営住宅必要度は、喜屋武地区⇒真壁地区⇒米須
地区ということになる。
3 地区における公営住宅整備率を目標の 10%として、各地区の人口減少率に応じて公営住宅
整備率を設定し必要公営住宅数を算出すると、真壁地区に 37 戸、喜屋武地区に 36 戸、米須地
区 18 戸、計 90 戸の市営住宅の建設が必要と推計された。
■人口減少率から見た各地区の公営住宅整備率の設定
■地域活性化の必要性から見た各地区の公営住宅整備目標
■地域活性化の必要性から見た配分による目標公営住宅整備率設定概念図
S60(1985) H27(2015) 増減数 増減率 公営住宅必要度
人口 4,394 3,322 -1,072 -24.4%世帯数 978 1,056 78 8.0%世帯当たり人員 4.49 3.15 -1.35 -30.0%人口 2,099 1,358 -741 -35.3%世帯数 554 520 -34 -6.1%世帯当たり人員 3.79 2.61 -1.18 -31.1%人口 2,921 2,409 -512 -17.5%世帯数 609 740 131 21.5%世帯当たり人員 4.80 3.26 -1.54 -32.1%人口 9,414 7,089 -2,325 -24.7%世帯数 2,141 2,316 175 8.2%世帯当たり人員 4.40 3.06 -1.34 -30.4%
備考
真壁人口減少率は高いが、世帯数は大幅に増えている
○
計
米須人口減少率は最も低く、世帯数は大幅に増えている
△
喜屋武人口減少率は最も高く、世帯数も減少している
◎
地区 世帯数(2015) 人口減少率 公営住宅整備率
真壁 1,056 24.4% 9.96%喜屋武 520 35.3% 11.29%米須 740 17.5% 9.13%計 2,316 24.7% 10.0%
公営住宅整備率7%+α2.96%
2.13%4.29%
3.00%
地区 世帯数(2015) 公営住宅整備率 公営住宅数 既存公営住宅 新設真壁 1,056 9.96% 105 68 37喜屋武 520 11.29% 59 24 35米須 740 9.13% 68 50 18計 2,316 10.00% 232 142 90
7.0%
162戸
3.0%
70戸
三和地域
目標整備率
人口回復のた
めの加算
著しい困窮年収
未満世帯対応
7.0%
74戸
2.96%
31戸
真壁地区
目標整備率
7.0%
36戸
4.29%
23戸
喜屋武地区
目標整備率
7.0%
52戸
2.13% 16戸
米須地区
目標整備率
人口回復加算
3%ライン
第3章 三和地域市営住宅建設基本計画
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(3)三和地域における市営住宅配置方針の検討
①配置のケーススタディ
市営住宅新規建設については、整備の目的、規模、住居タイプ、配置の考え方からも本市として、
確固とした整備方針を定めることが重要となる。そのため、3 つの考え方に基づくケーススタディ
を行うものとする。 3 つのケーススタディを以下に示すが、いずれにしても、三和地域における市営住宅整備の長
期ビジョンを示す中で、市営住宅建設の規模と内容を位置づける必要がある。
ケース1 ⇒三和地域拠点づくり
三和地域における将来世帯数に対応する新規整備目標の 90 戸を 1 ヵ所でまとめて整備するこ
とで、三和地域の新たな拠点形成を図る。 団地規模が大きくなることから、福祉施設等の導入を図るなど、名実ともに三和地区の拠点と
しての形成を目指すものである。 ■ケース1:三和地域の拠点づくり 配置図
注)なお、新規整備市営住宅の位置は、特定されたものではなく、配置の考え方を示したものである。
■ケース1における三和地域市営住宅の整備目標
目標 既存公営住宅 新設市営住宅
計 232戸 142戸 90 戸
真壁地区 68 戸 68 戸 -
喜屋武地区 24 戸 24 戸 -
米須地区 50 戸 50 戸 -
場所未定 90 戸 - 90 戸
県営新垣団地 56 戸
市営真壁団地 12 戸
県営米須団地 50 戸
新規市営住宅 90 戸 福地市営住宅
24 戸
既存公営住宅
新規整備市営住宅
第3章 三和地域市営住宅建設基本計画
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ケース2 ⇒3 地区でそれぞれ 10.0%の公営住宅整備比率(世帯比)を確保
三和地域及び 3 地区それぞれで 10.0%の公営住宅整備比率(世帯比)を達成するため、公営
住宅整備目標戸数の 232 戸について、真壁 127 戸、喜屋武 52 戸、米須 92 戸と計画配置する。 新規建設目標については、真壁 59 戸、喜屋武 28 戸、米須 42 戸となる。 しかし、この際も早期に全建設は困難であり、長期計画で位置づける必要があることから、現
状で最も公営住宅戸数が少ない、喜屋武地区において先行的に整備する必要がある。
■ケース2:3 地区でそれぞれ 10.0%の公営住宅整備比率(世帯比)を確保 配置図
注)なお、新規整備市営住宅の位置は、特定されたものではなく、配置の考え方を示したものである。
■ケース2における三和地域市営住宅の整備目標
目標 既存公営住宅 新設市営住宅
計 232戸 142戸 90 戸
真壁地区 106戸 68 戸 38 戸
喜屋武地区 52 戸 24 戸 28 戸
米須地区 74 戸 50 戸 24 戸
県営新垣団地 56 戸
市営真壁団地 12 戸
県営米須団地 50 戸
福地市営住宅 24 戸
新規市営住宅 38 戸
既存公営住宅
新規整備市営住宅
新規市営住宅 28 戸
新規市営住宅 24 戸
第3章 三和地域市営住宅建設基本計画
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ケース3 ⇒地区活性化必要度による配置
三和地域における公営住宅整備目標戸数を 232 戸とし、真壁 105 戸、喜屋武 59 戸、米須 68戸として計画配置することで、3 地区での公営住宅必要度に見合った新設整備を図る。
その場合、新規建設目標については、真壁 37 戸、喜屋武 35 戸、米須 18 戸となる。 しかし、この際も早期に全建設は困難であり、長期計画で位置づける必要があることから、現
状で最も公営住宅戸数が少ない、喜屋武地区で先行的に整備する(戸数は検討が必要)。
■ケース3:地区活性化必要度による配置 配置図
注)なお、新規整備市営住宅の位置は、特定されたものではなく、配置の考え方を示したものである。
■ケース3における三和地域市営住宅の整備目標
目標 既存公営住宅 新設市営住宅
計 232戸 142戸 90 戸
真壁地区 105戸 68 戸 37 戸
喜屋武地区 59 戸 24 戸 35 戸
米須地区 68 戸 50 戸 18 戸
県営新垣団地 56 戸
市営真壁団地 12 戸
県営米須団地 50 戸
福地市営住宅 24 戸
新規市営住宅 37 戸
既存公営住宅
新規整備市営住宅
新規市営住宅 35 戸
新規市営住宅 18 戸
第3章 三和地域市営住宅建設基本計画
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②ケーススタディの評価
ケース1は、100 戸程度の規模の市営住宅を三和地域の 1 個所で整備することにより、新たな
地域の拠点を形成することを意図したケースであり、三和地域の核づくりには貢献できるが、3地区とも自分の地区にとの意見があることと用地確保が困難であるという点がある。
ケース 2 は、公営住宅の整備率(世帯数比 10%)を地区ごとに平準化させようという案で、
それぞれの地区の理解は得られやすいと考えられる。しかしながら、三和地域での公営住宅整備
の目的である人口回復の必要度という点から見ると、地区の要望には即していない点がある。
ケース 3 は、各地区での人口回復の必要度(小学校の維持等)に応じて市営住宅を整備しよう
という考え方で、最も三和地域の市営住宅整備の目的に合致したケースであると考えられる。
以上から総合的な評価を行うと、ケース 3 が最も望ましいのではないかと考えられる。
■3 ケースの評価表
ケース 配置の考え方 整備戸数 長所 短所 評価
1
三和地域拠点づくり
○三和地域の新規整備目標 128 戸を 1 ヵ所でまとめて整備することで、三和地域の新たな拠点形成を図るものである。
【目標戸数】 232戸
【地区別戸数】 真壁地区:68戸 喜屋武地区:24戸 米須地区:50戸 新 拠 点:90戸 【新規整備】 新 拠 点:90戸
・市営住宅 90戸の整備に伴い、福祉施設の導入を考慮し、地域全体の新しい拠点形成が可能となる。
・学区を喜屋武小学校区とすることができれば、児童減少問題は解消される。
・場所選定で 3 地区とも自分の地区でという意見が多く、三和地域全体の理解を得るのがむつかしい。
・大規模な用地確保が必要であり、農用地の土地利用規制の緩和措置等がないと用地の確保が困難。
△
2
3地区均等水準確保
○3 地区で均等に世帯当たりの整備水準を確保するものである。
【目標戸数】 232戸
【地区別戸数】 真壁地区:106戸 喜屋武地区:52戸 米須地区:74戸 【新規整備】 真壁地区:38戸 喜屋武地区:28戸 米須地区:24戸
・3地区の均等な整備水準を確保することで、地区整備率の平準化が図れる。
・均等配分ということで、各地区の理解は得られやすいと思われる。
・公営住宅の整備水準の平準化を意図しているため、地区の公営住宅の必要度が反映されない。
・地区の要望という面では、合致しないことが考えられる。
○
3
地区活性化必要度配置
○各地区の人口回復を目的とした公営住宅必要度に応じ、配分するものである。
【目標戸数】 232戸
【地区別戸数】 真壁地区:105戸 喜屋武地区:59戸 米須地区:68戸 【新規整備】 真壁地区:37戸 喜屋武地区:35戸 米須地区:18戸
・公営住宅の必要度(人口回復の必要度)に応じた整備を図るため、それぞれの要望に沿った計画となる。
・各地区での公営住宅整備率に差異が生ずるので、その理解が必要となる。
◎
第3章 三和地域市営住宅建設基本計画
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■三和地域市営住宅建設方針検討の流れ
三和地域市営住宅整備の条件
【上位計画の位置づけ】
○三和地域への市営住宅建設は、地域の要望
も受け、過疎対策・若者定住促進を目的と
し、子育て世帯(多子世帯を含む)向けを
主として、高齢者・障がい者支援、地域の
核づくりも意図とした供給が期待されて
いる。
【三和地域の現状】
・人口減少・少子高齢化が顕著
で、生産年齢層及び児童数
の激減により、地域コミュ
ニティの維持に危機感。
・住宅は持家が 90%以上、既
存住宅の老朽化・空家化が
激しく、民間借家について
は建設用地がほとんどない
状況。
・このため、地区出身者が転出
せず、転入が図れる市営住
宅の整備が望まれている。
【地域ゆんたく会での主要意見】
真壁地区 喜屋武地区 米須地区
学校問題
・近年の児童数の減少は激しいが、三和中学校があることで深刻に考えていないようである。
・児童数が少なく、他地域から喜屋武小学校に通わす児童もいるなど深刻に捉えられている。
・児童数の減少はあるが、三和地域で最も多い児童数を擁しており、学校問題の指摘はなかった。
市営住宅への要望
・県営新垣団地は中心集落(字真壁)より遠く、市営真壁団地は12戸と規模が小さいので、字真壁に相応の市営住宅建設を望んでいる。
・子育て層の確保のため、最も市営住宅の要望が高い地区であった。
・戸数も 50 戸以上という具体的数字も示され、建設候補地の可能性も多く出された。
・県営米須団地(50 戸)が字米須にあるためか積極的な戸数要望までは出なかった。
・しかし、県営ではなく市営住宅がほしいという意見が出された。
【三和地域 3地区の現状】
・真壁地区は、人口の減少率は三和地域の平均に近い。近年
の児童の減少は激しく人口に対する児童率は最低水準に
なっており、子育て世帯の流出が激しい。 ・喜屋武地区は、人口の減少と児童数の減少が最も激しい地
区となっており、特に児童数は 66 人と小学校の存立にも
関わる事態を迎えている。 ・米須地区は、三和地域の中で最も人口減少率が少なく、児
童数も三和地域で最大の 160 人を確保し、世帯数に占め
る児童の割合は 6.7%と子育て世帯を比較的維持している
状況が伺える。
真 壁 地 区:人口減少率△24.4%,児童数 136 人,児童率 4.0% 喜屋武地区:人口減少率△35.3%,児童数 66人,児童率 5.2% 米 須 地 区:人口減少率△17.5%,児童数 160 人,児童率 6.7%
○三和地域は環境と調和した農村地域・市
街化調整区域の位置づけであり、市営住
宅整備は拠点集落において行うべきと
されている。(総合計画・都市マスター
プラン)
第3章 三和地域市営住宅建設基本計画
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配置のケース 配置の考え方 整備戸数 選定理由 留意点
ケース3
地区活性化
必要度配置
○各地区の人口回復
を目的とした公営
住宅必要度に応
じ、配分するもの
である。
【目標戸数】
232戸
【地区別戸数】
真 壁 地 区:105戸
喜屋武地区: 59戸
米 須 地 区: 68戸
【新規整備】
真 壁 地 区:37戸
喜屋武地区:35戸
米 須 地 区:18戸
・公営住宅の必要度
(人口回復の必要
度)に応じた整備
を図るため、それ
ぞれの要望に沿っ
た計画となる。
・各地区での公営住
宅整備率に差異が
生ずるので、その
理解が必要とな
る。
【目標】
○三和地域の最大の課題は、地域コミュニティの維持と発展であり、人口減少を抑
制し、人口をできるだけ維持するとともに、若い子育て層が住めるまちづくり
をしていくこと。
⇒そのための住宅施策の中心を担うものとして、市営住宅の建設促進を図るものとす
る。
三和地域市営住宅整備の方針
【整備の考え方】
○目標戸数は、通常の公営住宅需要層に対する平均的な整備率(市平均 7.0%)に加
えて、人口回復を意図した転入増加を加味した 10%の整備目標(世帯数比)とす
る。現況:142 戸→目標:232 戸 新規整備:90 戸
○地域コミュニティの維持に欠かせない児童数の確保に向け、子育て世帯(多子世帯)
向けの住居タイプを主として、高齢者・身障者対応も一部において考慮する。
市営住宅配置の方針
【整備の優先度】
○3地区における現況とゆんたく会での意向から、最もコミュニティの維持に問題が
大きい喜屋武地区での整備を優先するものとする。
①真壁地区
・真壁地区は、三和村の時代に村役場が置かれ、現在も三和中学校があるなど、三
和地域の中核として位置づけられている。 ・公営住宅の整備状況では、県営新垣団地は中心集落(字真壁)より遠く、市営真壁
団地は 12戸と規模が小さいので、字真壁に相応の市営住宅建設を望んでいる。 ②喜屋武地区
・喜屋武地区は、人口の減少と児童数の減少が最も激しい地区となっており、特に児
童数は平成 30 年度で 66 人と小学校の存立にも関わる事態を迎えている。 ・公営住宅の整備状況では、字福地に 24 戸の市営住宅があるが、中心集落の字喜屋
武に公営住宅はなく、強く市営住宅建設を望んでいる。 ③米須地区
・米須地区は、三和地域の中では最も人口減少率が少なく、児童数も三和地域で最大
の 160 人(平成 30 年度)を確保している。 ・市営住宅建設では、県営米須団地(50 戸)が字米須にあるため充足しているが、
県営ではなく市営住宅がほしいという意見が出された。
【市営住宅配置の方針】検討ケース3で設定
【ケース3の市営住宅目標配置図】
注)なお、新設団地は、拠点の字に配置するものとするが、具体的な位置を示したものではない。
第3章 三和地域市営住宅建設基本計画
85
(4)三和地域市営住宅建設基本方針
1)三和地域における市営住宅建設の考え方
三和地域への市営住宅建設は、過疎対策・若者定住促進を目的とし、子育て世帯(多子世帯含む)向けを主として、高齢者・障がい者支援、地域の核づくりも意図した供給が期待されている。
■三和地域市営住宅建設基本方針
市営住宅の建設は、過疎対策・若者定住促進のための子育て世帯の入居が一番の目的であるが、
合わせて、高齢者・障がい者支援及び地域の核づくりにも貢献する必要がある。
■高齢者・障がい者支援及び地域の核づくりについて
高齢者・障がい者支援については
三和地域の高齢者比率は高いが、ほとんど持
家居住であり、賃貸需要は低い。障がい者世
帯も同様。⇒持家のバリアフリー化及びグル
ープホーム整備を検討。
市営住宅整備において、1階部分にバリアフ
リー住居(高齢者・障がい者対応特目)を適
宜配置することで対応。
地域の核づくりについては
都市マスタープランで新規住宅整備は地域
拠点でのみ認めるとされている。⇒また、公
営住宅入居の優位性(利便性・環境・子育て・
福祉等)が必要。
拠点集落に配置するとともに、医療・福祉・子
育て等との連携、集会所を整備する際は地域
コミュニティの醸成に資するよう、入居者及
び地域住民の利活用を意図したものとする。
市上位計画の三和地域への市営住宅建設の位置づけは…
過疎対策・若者定住促進を目的とし、子育て世帯(多子世帯を含む)向けを主として、高齢
者・障がい者支援、地域の核づくりも意図とした供給を図るとされている。
市営住宅建設とは…
本来、賃貸の低所得住宅困窮者に対して、低廉な住宅を公的に供給
することを目的としている。
⇒原則的には、地域限定入居や特定目的入居はできない。
しかしながら、三和地域では…
民間賃貸住宅が極めて少なく(60戸、世帯
数の 2.6%)、需要として顕在化していな
い。新規住宅用地が確保されない。
一方、糸満市全体では…
低所得の住宅困窮世帯が、約 5,000世帯と
推計され、公営住宅需要は約 3,500世帯に
上るとされている。
本来の目的に沿う、低所得の住宅困窮世帯
に対する市営住宅整備率を市平均水準に
するとともに、人口回復のための需要を加
算して整備目標とする。
今後とも低廉な民間賃貸住宅が供給され
る見込みは少なく、住宅を持たない低所得
の子育て世帯層は、外部へ転出せざるを得
ない状況にある。
過疎対策・
若者定住促進に
ついては
第3章 三和地域市営住宅建設基本計画
86
2)市営住宅建設の住戸タイプの設定
住戸タイプの主要な部分は、過疎対策・若者定住促進を目的として、子育て世帯(多子世帯含む)向けとなる。
但し、転入者には高齢リタイア層の U ターン層及び新規農業従事者(外国人対応の考慮も必
要)も考えられるため、そのための小規模住宅の供給も必要と考えられる。
高齢者対策としては、高齢単身世帯が多くなっていることは認められるが、三和地域において
は、持家がほとんどであり賃貸需要は大きくないとはいうものの、リタイア高齢者のUターン層
の受け皿として一定量は確保すべきであろう。これは、障がい者等についても同様と考えられる。
ただし、1 階部分等において、障がい者適応住宅を一定用意することは必要と考えられる。
以上のことから住居タイプとしては、子育て世帯(多子世帯含む)向けを中心とし、子育て支
援施設との連動等が望まれる。また、その規模等において地域の核づくりとなることが望ましい。
次頁に住居タイプ設定の流れと住居タイプのモデルを示す。
■住戸タイプ設定の流れ
市上位計画の三和地域への市営住宅建設の位置づけは…
過疎対策・若者定住促進を目的とし、子育て世帯(多子世帯を含む)向けを主として、高齢
者・障がい者支援、地域の核づくりも意図とした供給を図る。
①地域の子育て世帯
(他地域居住のUタ
ーン含む)
【量→大・主要】
公営住宅
需要層は…
③ハンデキャップ世帯
(障がい者等)
(高齢Uターン含む)
【量→小】
②転入世帯
(新規農業従事者含
む)
【量→中】
住居タイプ
多子世帯向け
特目住宅
(3~4LDK)
標準世帯向け
一般住宅
(3DK~LDK)
小規模世帯向
一般住宅
(2DK~LDK)
身障者向け
特目住宅
(2DK~3LDK)
*具体的な量的配分は、整備地区の状況に応じて検討するが、考えられるモデルは次の通りである。
【1棟 18戸 3階建てモデル】
標準世帯向け
一般住宅
(3DK~LDK)
標準世帯向け
一般住宅
(3DK~LDK)
標準世帯向け
一般住宅
(3DK~LDK)
標準世帯向け
一般住宅
(3DK~LDK)
小規模
一般住宅
(2DK)
多子世帯向け
特目住宅(3~4LDK)
標準世帯向け
一般住宅
(3DK~LDK)
標準世帯向け
一般住宅
(3DK~LDK)
標準世帯向け
一般住宅
(3DK~LDK)
標準世帯向け
一般住宅
(3DK~LDK)
小規模
一般住宅
(2DK)
多子世帯向け
特目住宅(3~4LDK)
標準世帯向け
一般住宅
(3DK~LDK)
標準世帯向け
一般住宅
(3DK~LDK)
標準世帯向け
一般住宅
(3DK~LDK)
標準世帯向け
一般住宅
(3DK~LDK)
小規模
一般住宅
(2DK)
身障者向け
特目住宅
(2DK~3LDK)
*1階 は、バリアフリー対応
第3章 三和地域市営住宅建設基本計画
87
3)三和地域市営住宅建設目標
三和地域の市営住宅整備の目的である各地区のコミュニティ維持を最優先とし、整備目標を
設定する。三和地域全体では、糸満市公営住宅の平均の整備率、世帯数比 7.0%に人口回復を
意図した 3%を加えた 10%を確保し、整備目標戸数を 232 戸とする。 新規整備を図る市営住宅は、コミュニティ維持を図るための必要整備戸数を地区ごとに想定
し、真壁地区:37 戸、喜屋武地区:35 戸、米須地区:18 戸、計 90 戸とする。
なお、整備目標年次は長期に渡ることから、今後の人口動向(児童数の動向等)及び産業動向
等を踏まえ、必要に応じて見直しを行うものとする。 ■三和地域市営住宅の整備目標
目標 既存公営住宅 新設市営住宅
計 232戸 142戸 90 戸
真壁地区 105戸 68 戸 37 戸
喜屋武地区 59 戸 24 戸 35 戸
米須地区 68 戸 50 戸 18 戸
建設の実施については、人口回復の優先度と用地確保の可能性から、喜屋武地区において 1 棟
(18 戸程度)を優先的に建設する。また、その後は、市財政における市営住宅建設に投入でき
る投資額との調整を図りながら順次、地域動向も踏まえたうえで積極的に進めていくこととす
る。
第3章 三和地域市営住宅建設基本計画
88
(5)実現に向けての課題
実現に向けての課題としては、市営住宅建設に向けての課題と三和地域の住宅施策の促進の
2つがある。
1)市営住宅建設に向けての課題
市営住宅建設に向けては、次の課題が考えられる。
・本計画を糸満市市営住宅ストック総合活用計画及び糸満市営住宅長寿命化計画に位置付け
るとともに、県・国との調整を図る必要がある。
・計画の実施場所となる三和地域の各地区の建設に対する理解と協力を得る必要がある。特
に、優先的に整備を行う喜屋武地区については、実施への具体的協議を進める必要があ
る。
2)三和地域の住宅施策の促進に向けての課題
本計画の目的である地域コミュニティの維持・発展に向けての課題は、市営住宅の建設のみ
で達成されるものではない。市営住宅の建設と並行して、次のような課題に取り組む必要があ
る。
・既存住宅の老朽化や空家化が進行していることに対して、空家の利活用の促進、既存住宅
のリニューアル支援策を実施する必要がある。
・民間アパートを含め新設住宅の建設用地が既存の土地利用規制や集落の伝統等で不足して
いるため、土地利用規制の緩和や地域による利活用の障害除去に取り組む必要がある。