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Page 1: 第4章 日本と中国による廃家電リサイクルの最適化 …第4章 日本と中国による廃家電リサイクルの最適化にかかる考察と提言 本章では、前章までの調査結果等を踏まえ、日本及び中国による廃家電を中心とした含

第 4 章 日本と中国による廃家電リサイクルの最適化にかかる考察と提言

本章では、前章までの調査結果等を踏まえ、日本及び中国による廃家電を中心とした含

銅廃棄物のリサイクル最適化への考察と提言を行う。なお、自動車リサイクルによる含銅

廃棄物については、中国の現状を把握するのが困難であったため、考察と提言にはいたら

なかった。

4.1 中国での廃家電処理に対する日本企業のアプローチ

日本においては、今後、廃家電の必要処理量が大幅に増加するとともに、再商品化率の

向上を行っていく必要がある。この観点から、日本企業が国内に廃家電処理プラントを建

設する代わりに、中国に廃家電を輸出し処理を行うことを考えるのは、自然な流れである

といえる。既に複数の日本企業が中国側へこの点を打診していると伝えられている。

現地でのヒアリングによると、環境保護総局の王吉環境監察局処長は、「2001 年に、日

本人がきて廃家電等を中国へ持ってきて資源回収するとよいのではとの話をしていったが、

治的に国のリーダーの意識として、経済面のこともあり資源ならよいが、ごみの受け入

れと取られ 年後

はバージン資源ではやっていけなくなるだろう。」と述べている。

現在、中国は廃家電の輸入を全面的に禁止しており、王吉処長の話のとおり、日本企業

は廃家電品を中国に輸出し処理を行うことはできない。ただし、同処長の話ぶりには、現

在、中国における銅等非鉄金属資源の需要の伸びが高く、環境問題を引き起こすごみとし

てはだめでも、資源としてならば受け入れたいとの示唆があると受け取れる。

なお、日本の非鉄製錬メーカーである環境ビジネスを広く展開している同和鉱業株式会

社は、中国江蘇省蘇州市で、蘇州高新区経済発展集団総公司と合弁の、貴金属リサイクル

と電子基板等の廃棄物処理事業を平成 16 年から開始することを発表している。この合弁事

業は、中国に進出した日系企業の廃棄物を対象とするものであり、日本から輸出される廃

棄物を処理対象にしたものではないが、日中合弁で廃棄物処理事業を行うパイオニアプロ

ジェクトとして注目される。図 4.1 に、このプロジェクトの処理フローを示す。

るようなものなら、受け入れないであろう。ただし、長期的にみて 10~20

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図 4.1 廃プリント基板の処理及び貴金属と非鉄金属回収フロー

精製炉

(約 400

溶融ハン

ハンダと貴金属を含む廃プリント基

℃)

廃基

濾過 濾液

加熱炉

(200~300℃)

廃基盤 ダ 分離素子

溶解液

133

手解体・選別

焼却・外

王水溶解槽

亜鉛末置換

銅滓、錫

中和・放流

貴金属含有粗鉛、置換回収貴金

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4.2 日本

日本の家電リサイクル法の体系では、一旦、消費者から処理費を受け取った廃家電は、

国内製造業者等に引き渡し国内で処理しなければならず、国外へ持ち出すことは違法行為

と る。しかしながら、2004 年4月に、大手家電量販店等が、回収された廃家電を、製造

業者等に引き渡さず、海外に中古品として輸出するという事件が発生している。

日本の通関統計によると、2003 年の日本から中国への家電直接輸出量は、4品目合計で、

8 台程度であり、中古品はほとんどない。一方、香港には、テレビを中心として大量の

家電が輸出されており、そのうち中古品もテレビ 100 万台が含まれている。香港の市場

規模からみて日本から輸出された家電品の太宗は、中国へ再輸出されているとみられ、結

果として、香港経由で大量のテレビ中古品が中国へ流入していると考えられる。これら香

港経由の中古品が、中国国内でそのまま中古品として再利用されるのであれば問題はない

が、中国国内において廃 して解体処理されている可能性は否定しえない。

また、モーター、コ ックスメタル等のスクラップ類は、中国において

も輸入可能廃棄物に指定 おり、許可制で輸入可能である。しかしながら、今回、日

本の検査会社や中国での ングを行った結果によると、ライセンスの偽造や両国国内

での検査時 ける不正 が相当数にのぼるということである。

全体としてどの位の数量の廃家電やモーター ラップが中国 輸 されて

いるかは不 あるが、 た状況を踏まえると、両国の関連法規に違反する取引が相

当数行われ るとみら

こういった日中間の不 は、

① 日本において消費者から処理費を受け取った廃家電を国内で処理せず、中国

等に横流しすると相当の利益が見込める

② 中国における廃家電等の処理コス 本に比べ相当安価で、廃

価物として扱われている

③ 日本の家電販売量に対し、国内の廃家電処理能力が十分ではない

④ 中国の急速な経済成長のため、銅等非鉄金属資源の供給が不足しており、ス

クラップの供給源としての廃家電の需要がある

⑤ 日本においては最終廃棄物として処分されているミックスメタル等も中国に

おいては分離回収可能である

等といった理由で助長されていると考えられる。

不法取引は、日本において、処理費を負担する消費者に損害を与え、その横行は国内で

経済的にリサイクル可能な廃家電も中国に流出することにより、家電リサイクル制度その

ものの基盤を揺るがすこととなりかねない。また、中国において、廃棄物による環境問題

と中国の廃家電流通の実態

家電と

ンプレッサー、ミ

されて

ヒアリ

の発見

上述し

れる。

法取引

にお

等のスク へ不正に 出

明で

てい

トが日 家電等が有

134

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を悪化させ、日本に対する国際問題を惹起させかねないこととなる。

取引に対処する方法としては、両国の国内法の運用を厳格なものにすることが第一

不法

であるが、現在は存在していない廃家電に関する両国間の取引に係る制度を構築し、正規

のルートを拓くことにより、その一掃を図ることも一案である。

図 4.2 家電製品の海外への流出状況推定

図1 中古家電の中国への輸出-税関を通した正規輸出-

2003年

天津

漳州

: 0.1 万洗濯機 : 0.2 万

香港への輸出

エアコン:  21   万台冷蔵庫 : 0.5 万台

何%が中国へ再輸出されるか?

東南ア

中国

税関

(  )

太倉

寧波

中国への直接輸テレビ  : 1.4 万エアコン: 6.6 万冷蔵庫

 50% 65(50) 万台 70% 90(70) 万台 90%   116(90) 万台

香港      テレビ  : 129(100)万台

ジアへ?洗濯機 : 0.6 万台

資料提供 グリーン

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(通関統計による)

台台

日本

2004-2-11 平田

は中古品数

出台台

ラボ社

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4.3 日本と中国の家電リサイクル最適化への考察

防止する意味からも、

本から廃家電等を中国に輸出し、相互補完的なリサイクルシステムを構築することは、

検討の価

3.1 日本における家電リサイクルの課題

日本における家電リサイクルの課題を再整理すると以下のとおりである。

⑥ 家電販売量が 4品目合計で 2,500 万台を超えているのに対し、廃家電処理量は、1,000

万台程度であり、今後、廃家電処理能力の大幅な拡大が必要とされる。

⑦ 人件費の高さにより、廃家電の処理コストが高い。

⑧ 処理コストを抑えるため、機械式破砕が導入されているが、ミックスメタル等分離・

再資源化が困難なものを発生させている。

⑨ 現状の技術では、再商品化率の大幅な向上が見込めない。

⑩ 部品の再利用が一般的でないため、再利用可能でも機能破壊され廃棄物となっている。

以上の課題につき、仮に中国に日本で発生する廃家電を輸出し、処理できるようになる

と以下のような日本側のメリットが生じると考えられる。

⑥ 中国において処理する分だけ、廃家電処理能力を抑えることができる。

⑦ 中国の処理コストが安いため、全体の処理コストを抑えることができる。

⑧ 中国においては、手解体が中心となるため、日本においては機械破砕するものも手解

体により分離・再資源化可能となる可能性がある。

⑨ ミックスメタル等の発生量を抑えられ、結果として再商品化率を向上させることが可

能となる。

⑩ 中国においては、使用可能な部品は再利用することが一般的なため、全体として廃棄

物の発生量を抑制できる。

また、現在、中国の旺盛な銅需要を背景とした銅鉱石の高値買いにより、世界市場で銅

鉱の製錬費が低下し、日本の銅製錬所の採算が悪化するという問題が生じているが、中

国において廃家電を処理し、結果として含銅廃棄物から回収さ

、銅需給の緩和にもつながるというメリットがあると考えられる。一方、過度に中国に

廃家電処理を依存すると、日本そのものの銅需給を逼迫させる可能性があることにも留意

する必要がある。

前節までに述べたように、処理能力の拡充と処理コストの低減のため、日本企業は中国

での廃家電処理に関心がある。また、両国間の廃家電の不法取引を

値がある。

4.

れる銅資源の供給が増える

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4.3.2 中国における家電リサイクルの課題

一方、中国における家電リサイクルの課題を再整理すると以下のとおりである。

サイクルの適正化のため、家電リサイクル法等の整備中である。

廃家電の輸入は全面的に禁止されており、モーター等のスクラップ類も輸入ライセン

大規模かつ効率的なリサイクル体制を目指して、業者を集約化し、リサイクル工業団

フロンや廃電子基板に対する処理が行われていない。また、テレビブラウン管が再利

拡大しており、含銅廃棄物から

に輸出して中国で処理を

らの廃家電の輸入を解禁しても、中国が得られるメリットは、銅資源の供給拡大のみに

従って、日本から廃家電を輸出し、中国で処理する体制を作るにあたっては、それが相

考えられ

も重

中国へ廃家電を輸出し処理する場合、「社会リサイクル」のルートでは、コストはミニマ

処理能力は、500 千台/年

中国での処理比率は日本の処理比率と同じ

⑦ 廃家電の処理において、個人業者が主体の「社会リサイクル」が中心となっているた

め、環境汚染、中古品利用による事故、不法輸入等の問題が発生している。

⑧ 中国政府は、廃家電リ

ス制度が設けられている。

地の整備を進めている。

用されず、廃棄処分されている。

最終廃棄物の処分場が不足している。

⑫ 急速な経済成長により、銅等非鉄金属資源の需要が急

の銅の分離回収が必要とされている。

このような中国側の課題は、現状のままで、日本が廃家電を単

行うのみでは、さらに環境問題等を深刻化させる懸念がある。逆にいえば、中国側が日本

ると考えられる。

互補完的で、中国側にも十分なメリットがあるよう最適化していく必要があると

る。また、中国側の抱える技術的問題点を解決するため、日本から中国への技術移転

要となる。

4.4 日中廃家電リサイクル最適化システムによる経済的メリット

イズされるであろうが環境問題等を大きく増幅させる。このため、大型の処理プラントを

日本企業との合弁で、リサイクル工業団地内に建設することが、最も適切であると考えら

れる。この場合、日本側にどの程度の経済的メリットがあるか重要となる。

このため、中国立地の処理プラントの経済的メリットを、以下の仮定のもとに試算を行

った。

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③ トン当たり回収物価格は、鉄 2 万円、銅 18 万円、アルミ 11 万円、プラスティック 4

万円

ガラスについては、日本と同様 100%を有価物として回収

⑫ 費用は無視

試算

単位:百万円/年

構成要素(鉄、銅、アルミ、プラスティック)の 90%を有価物として回収

⑥ 廃電子基板についても、日本と同様 100%を有価物として回収

廃棄物の埋め立て処分費用は日本の 1/3

⑧ 労務費単価は日本の 1/10、労務原単位は 3倍

中国の電力料金は 0.6 元/kWh(8 円/kWh)、電力原単位は日本の 1/5

修繕費は日本の 1/5

⑪ 工場建設費用のコスト反映は 10 年の定額原価償却

工場敷地としての土地取得

結果を表 4.1 に示す。

表 4.1 中国立地の家電リサイクルの収入と支出

収 入(回収素材売却) 支 出

鉄 153 国内運搬費 250

銅 192 輸出運搬費 250

アルミ 56 労務費 285

プラスティック 164 電力費 14

ブラウン管ガラス 55 修繕費 60

廃プリント基板 29 その他経費 20

廃棄物処理費 41

減価償却費 83

計 649 計 1003

処理工場の運転費用は、日本の場合、第1章に示したように約 21億円/年であるが、中

回収品売却収入については、回収率の向上により、1億円/年の増加となった。その結果、

/4程度とな

の処理工場立地は、上述の結果のとおり、日本の家電リサイクルコストを大幅に

低減することが可能となるが、一方で、大量の廃家電が中国側に流出すると、日本国内の

国に立地した場合は、1/2 程度の約 10億円/年程度となると試算される。

処理費は、4品目加重平均で 708 円/台となり、日本における 3,231 円/台の 1

中国へ

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処理プラントが経済的に成り立たなくなることも懸念される。

出し中国で処理することは、日本側に大き

銅等非鉄金属資源の供給増をもたら

り、リサイクルの最適化が図れ

いて、制度面と技術面に分けて提言を行

5.1 制度面の提言

行の両国の法制度のもとでは、日本から廃家電を輸出し中国で処理することは不可能

である。どのような制度整備が必要となるかについて、以下に述べる。

4.5.1.1 二国 国際取り決めの締結

日本側 を中国に輸出するに の輸入を全面的に禁止してい

る現在、 り決めを締 り、公正で、透明性を有し、両

国の関係 ようなシ ることが必要となると考えられ

る。

二国間 り決めの内容は以下の諸点がポ う。

① 二国間取り決めに従った日本からの廃家電の中国輸出について、中国は、輸入禁

止を解除する。

の品目と数量を決定する必要がある。品目については、当面、日中両国が国内法で

指定している家電 4品目に限られることとなろう。なお、中国版 RoHS に定められた

本企業の処理プラント投資動向等を勘案して、各年毎に両国協議の上設定すること

が妥当と考えられる。

日本側の輸出及び中国側の輸入につき、それぞれ責任のある担当法人を指定するこ

4.5 日本と中国のリサイクル最適化のための提言

前節までの考察により、日本から廃家電を輸

な経済的メリットをもたらすが、中国側にとっては、

すものの、環境汚染の拡大等デメリットも大きくなるとの結論が得られた

本章では、両国間の廃棄物輸出・処理が相互補完的とな

るためには、どのような手段を講じるべきかにつ

4.

間の

の廃家電 は、中国が廃家電

何らかの二国間取 結することによ

が相互補完的となる ステムを担保す

取 イントとなろ

② 無制限な廃家電貿易が行われるのを防ぐため、日本から中国に輸出可能な廃家電

有害物質を含有する廃家電については、当該有害物質の名称、含有量等につき表示

することが必要となると考えられる。数量については、中国側の受け入れ能力、日

③ 公正で透明性のある貿易管理の方法につき、具体的に定める必要がある。当面、

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とにより、貿易管理の実をあげることが有効であると考えられる。日本側は、現行

法による指定法人でよいと考えられるが、中国側には、指定法人を新たに設ける必

要がある。国家発展改革委員会のもとで、中国の非鉄資源類につきリサイクル政策

面の候補となろう。

に限る指定

制とするとともに、同工場及び同工場から搬出される最終廃棄物の処理状況につい

が容易となるようにする必要がある。

日本の廃家電の中国における処理費について、公正な金額の定め方、受け渡し方

⑥ フロン処理等日本において技術的な解決が図られている問題で、中国において未

二国間技術協力の推進について定める必要がある

考えられる。

4.5.1 両国国内法の整備

上述した二国間取り決めについては、両国の国内法において所要の改正を行い、制度の

担保

日本の家電リサイクル法において、改正を要する点は、以下のとおりと考えられる。

⑪ 輸

⑫ 中

⑬ 輸

⑭ 中

⑮ 日 理費について、金額の定め方、受け渡し方法等を定める。

また、日本国内で消費者から受け取る処理費は、中国への輸出処理を行うことにより、

⑯ 日

実行の責を負っている、再生金属分科会等が当

④ 日本側が中国において、解体・処理・最終廃棄物処分にいたるまでの、物の流れ

を追跡・確認できる仕組みが必要となると考えられる。このため、中国において、

日本の廃家電を処理する工場についても、十分な技術要件を満たすもの

て、日本側が立ち入り検査権を有する必要があると考えられる。また、日本国内と

同様、指定輸入法人、指定処理工場等の間でマニフェストを発行し、廃棄物の追跡

法等を定める必要がある。

対応の問題につき、日本と中国の

本二国間取り決めが、廃棄物の越境移動を制限するバーゼル条約に抵触する可能

性がある場合は、所用の調整規定をおく必要がある。

.2

を図る必要がある。

中国に廃家電を輸出できる指定法人を定める。

出指定法人が中国に輸出可能な廃家電の品目と数量を定める。

国版 RoHS に指定された有害物質を含む廃家電につき、その物質の名称、含有量等を

示することを義務づける。

出指定法人と中国側指定法人等が受け渡すべきマニフェストについて定める。

国側指定法人等に対する立ち入り検査の権限を定める。

本の廃家電の中国での処

低下すると考えられ、処理費の定め方について、所要の見直しを行う。

本の廃家電の中国での処理を含めた再商品化率の計算方法につき、所要の見直しを

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⑰ バ

⑱ 不

国の法

⑦ 廃

⑧ 廃

⑨ 中

⑩ 中国側指定法人等で、日本側の要請を満たすマニュフェストの発行、受け取り制度を

める必要がある。

⑪ 側

の につき、一旦製造者から中国政府が処理費を受け取っ

後、日本に輸出され廃家電となるときに、日本の消費者から処理費が徴収されると、

⑫ 日 品として輸出され、実際は廃家電として処理されているものにつ

技術面の提言

の中国の廃家電リサイクルの実態をみると、日本からの廃家電輸出が行われると、

的にも環境的にもより最適なシステムとなる可能性がある。ど

ような技術面の対応が必要となるかについて、以下に述べる。

分離された部品は機能破壊さ

確認がおこなれ

発生量を抑える点で有効である。主として日本側の問

利用規制制度を設け

う。

ーゼル条約に抵触する場合は、所要の調整規定をおく。

正貿易を防止するため、法に定められた以外の方法で中国に廃家電を輸出すること

禁止することとし、不法輸出した場合は厳しい罰則規定をおく。

状、中国の家電リサイクル法が制定途中にあるため、確たることが言いづらいが、中

体系において、改正を要する点は、以下のとおりと考えられる。

家電の輸入につき、二国間取り決めに基づき輸入されるものを禁止対象から除外す

家電の指定輸入法人、指定処理工場を定める必要がある。

国側指定法人及び最終処分場等に対し、日本側の要請を満たす技術基準を定める必

がある。

中国 の処理費は製造者負担であり、日本側の処理費は消費者負担となっている。こ

ため、中国で製造されて家電

当該廃家電につき、二重の処理費が徴収されることとなる。このような事態が生じな

よう、製造者からの処理費徴収制度につき、所要の調整を行う必要がある。

本から、中古家電

き、取締り法規を制定し、違反のある日本業者については、日本政府に通報する規定

おく。

4.5.2

現行

国の環境問題がさらに悪化する懸念がある。一方、両国間で適切な技術移転や技術面で

の調和が図られると、経済

⑨ 中国では、部品の再利用が一般的であるが、日本では、

れている。中国における部品の再利用は、再利用後の品質、耐久性の

ていないまま実施されており、事故等の原因になっている。しかしながら、部品の再

利用は、全体としての廃棄物の

題であるが、部品が再利用できるような規格化、設計・製造段階の標準化、再利用に

係る耐用年数の設定等を行い、中国側もこれと調和した部品の再

れば、両国にとってメリットが大きいと考えられる。また、これにより、機能破壊せ

ずに分離したコンプレッサー、モーター等を有価で中国に輸出する道が拓ける可能性

がある。

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⑩ プの標準規格の制定については、現在、日本側でその改正作業が進められて

率の向上等に寄与す

中国側の指定処理工場については、日本企業との合弁による設置が現実的である。ま

の効率性をでき

システムとなるようプラント設計を工夫する必要がある。

移転することが必要である。フロンについては、日本で行われている回

いては、既に同和鉱業の専門プラントが稼働することとなって

によ

⑭ 非鉄金属を含むミックスメタル等については、細かい破砕をする前に中国

において手分解を行えば、再商品化率をかなり向上させられる可能性がある。日本側

のように変更すれば、中国での処理も含めた再商品化率をあげら

れるかについては、今後実証的な研究が必要であると考えられる。

最終廃棄物を減量するためには、ダイオキシン等を発生させずに焼却処理することも

スクラッ

いるが、中国側との制度の調和を図れば、円滑な貿易と再商品化

ると考えられる。

た、中国側の政策に沿い、業者の集約化を進めるため、リサイクル工業団地を活用す

るのが得策であろう。中国における処理については、中国側の手解体

るだけ活かしつつ、日本の機械処理を組み合わせることにより、最も低廉かつ効率的

な処理

⑫ 中国国内において回収が行われていない、フロン、廃電子基板等については、回収シ

ステムを技術

収システムを中国の指定工場内に設置することで容易に問題解決が図られると考えら

れる。廃電子基板につ

おり、発生量に応じて、こういった日中合弁の専門プラントの能力を拡大していく必

要があろう。

中国国内において、回収が行われていないブラウン管ガラスについては、指定工場内

でカレット化し、再度ガラスにリサイクルするシステムの技術移転又は日本企業

る投資が必要である。

銅等有用な

の破砕プロセスをど

⑮ 中国の最終廃棄物の処分場については、処理能力及び技術面で遅れており、日本から

の技術移転を促進する必要がある。

重要である。また、焼却処理で発生した熱により発電を行えば、さらに炭酸ガス等の

抑制が図られ、環境面でのメリットが増すこととなる。日本は、廃棄物の焼却、発電

プラント建設技術に優れており、中国への技術移転又は日本企業による投資を促進す

る必要がある。表 4.2 に中国におけるごみ焼却発電所の建設、運転状況を示す。

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表 4.2 中国のごみ焼却発電所の建設、運転状況

名称(場所) 建設時期 処理能力

トン/日

発電能力

MW

備考

浦東御橋ゴミ焼却工場 2002 1,100 28.5 フランス政府借款 上海

6.7 億元

上海浦西江橋ゴミ焼却工場 2003 1,000 スペイン政府借款

(第1期) 7.5 億元

市楓林ゴミ焼却工場 2001 1,000 4.0 億元

ピンゴミ焼却発電所

期)

2002 200 2 黒龍江新世紀エネルギ

ー有限会社

1.46 億元

温州臨江ゴミ発

寧波

ハル

(第1

浙江 電所 2002 3,200 温州市偉明環境保護工

事有限会社

1.63 億元

市双港ゴミ発電所 2004 1,200 18 天津泰達環境保護有限天津

会社

5.7 億元

李坑生活ゴミ焼却発電所 2004 1,000 7.2 億元

同興ゴミ焼却発電所 2004 2,600 12 4.5 億元

温州永強ゴミ発電所 2003 3,300 2.35 億元

ゴミ焼却発電所 2004 1,000 準備中

重慶

浙江

蘇州

太原市都市ゴミ焼却発電所 2004 1,000 準備中

アモイ後坑ゴミ焼却工場

(第1期)

2004 400 スイス政府借款

2.7 億元

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