症例⑥

4０歳台、女性

主訴： 呼吸困難、めまい

既往歴： 強迫神経症

腺腫様甲状腺腫に対し左甲状腺摘除術

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受診日の4日前から息苦しさを感じ、階段昇降時呼吸

困難となり、立ち上がる時にめまいがする。

しばらく様子を見ていたが改善しないため来院した。

強迫神経症にて精神科通院中で、強迫的手洗いの症状

あり。呼吸困難が出現する前日、手に足がついて汚れ

たと、長時間にわたり風呂場で手洗いをしていた。

現病歴：

2

受診時身体所見

身長 １５８ｃｍ

体重 ７６ｋｇ （BMI：30.4）

体温 ３７．１ ℃

血圧 １５３/１１３mmHg

脈拍 １０６／分

ＳｐＯ２ ９３％（room air）

3

受診時心電図

心電図

4

血液生化学検査

WBC

RBC

HGB

HCT

MCV

PLT

PT(秒) PT(％) PT-INR APTT フィブリノーゲン Dダイマー

TP

ALB

AST

ALT

ALP

LD

CK

γ-GTP

T-Bil

Na

K

Cl

BUN CRE UA T-Cho TG Glu BNP CRP FT3 FT4 TSH

8.03×103/μL

4.24×106/μL

13.2ｇ/ｄL

38.9％

91.7ｆL

15.5×104/μL

12.2sec 90.5% 1.05 31.1sec 251.0ｍｇ/dL 5.5μｇ/mL

6.4g/d L

3.8g/dL

38IU/L

69IU/L

341IU/L

305IU/L

126IU/L

143IU/L

0.38mg/dL

140mmol/L

4.3mmol/L

107mmol/L

11.8 1.09 5.2 160 76 110 421.3pg/mL 1.63mg/dL 2.64pg/ml 0.95ng/ml 5.281μIU/ml

5

胸部レントゲン

CTR 44%

6

心エコー

32㎜

7

TR: PG 42mmHg

造影CT

9

診断

肺血栓塞栓症

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入院後検査

プロテインＣ(抗原量) 66％ （基準値 70～150％）

プロテインＣ活性 62％ （基準値 64～146％）

プロテインＳ抗原量 83％ （基準値 83～135％）

カルジオリピン抗体(IgG) 8以下（基準値 10未満 U/ml）

カルジオリピン抗体(IgM) 5以下（基準値 8未満 U/ml）

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服用抗精病神薬

ロナセン

アナフラニール

レキソタン

セレネース

ロヒプロニール

セロクエル

ハルシオン

パキシル

ジプレキサ

ヒルナミン

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考察

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重大な副作用 肺塞栓症，深部静脈血栓症：抗精神病薬において，肺塞栓症，静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので，観察を十分に行い，息切れ，胸痛，四肢の疼痛，浮腫等が認められた場合には，投与を中止するなど適切な処置を行うこと．

重要な基本的注意 抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の危険因子を有する患者に投与する場合には注意すること。

抗精神病薬 添付文書 使用上の注意

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向精神病薬の高用量服用

深部静脈血栓症

肺血栓塞栓症

肥満、長時間座位

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肺血栓塞栓症の典型的な心電図所見

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Ｓ１Ｑ３Ｔ３ Ⅰ誘導 ー 深いＳ波

Ⅲ誘導 ー Ｑ波

Ⅲ誘導 ー Ｔ波陰転

Ｓ１

頻度 １０～２０％

Ｑ３ Ｔ３

前胸部誘導Ｔ波陰転

時計方向回転 (移行帯の側方偏位)

• 前胸部誘導Ｔ波陰転

• 時計方向回転

• 洞頻拍

• 右脚ブロック など

肺血栓塞栓症でみられる心電図所見

• Ｓ１Ｑ３Ｔ３パターン

Ⅰ誘導 ー 深いＳ波

Ⅲ誘導 ー Ｑ波

Ⅲ誘導 ー Ｔ波陰転

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Ｓ１

Ｑ３？ Ｔ３

時計方向回転

Ｔ波陰転

S1Q3T3パターンではなかったが、上記より右心負荷を疑う

ことができる。

心電図が肺血栓塞栓症の確定診断となることはないが、心電

図から右心負荷所見を読み取ることで、その診断の一助とな

ると考えます。

・右軸偏位

・胸部誘導の時計方向回転

・V1～V4誘導でT波陰転

本症例の心電図の特徴所見

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