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AKAMAI CASE STUDY COMPANY カルソニックカンセイ株式会社 http://www.calsonickansei.co.jp/ グローバルテクノロジー本部 デジタル化推進グループ 部長 四方 INDUSTRY 輸送用機器 SOLUTIONS Terra Alta IP Application Accelerator KEY IMPACT 世界に点在する拠点間で、専用線を使わずCAD データの共有を実現 重要なCADデータを暗号化し、安全に送受信 グローバルPDMシステムを世界で初めてイン ターネットソリューションで構築 グローバルPDMシステムを世界で初めてインターネット経由で構築 カルソニックカンセイ株式会社は、埼玉県さいたま市に本社を置く日産自動車系の 大手自動車部品メーカーで、コックピットモジュールやエキゾーストシステム、エアコン ユニット、コンプレッサー、インストルメントパネル、ラジエーター、電子部品などを開発・ 生産している。日米欧の主要自動車メーカーを取引先として、北米、欧州、中国に統括 会社、 5カ国に開発拠点を持ち、生産拠点に至っては世界中に50以上がある、まさに グローバルなメーカーだ。 そのカルソニックカンセイが2014520日に「グローバルPDMシステム」(PDM Product Data Management)を構築したと発表した。グローバルPDMシステムは、 CADデータをはじめとする製品関連情報をグローバルに一元管理し、世界の開発 拠点の設計者が必要に応じていつでも利用・協業できる仕組みだ。このグローバル PDMシステムの最大の特徴は、大容量CADデータを安全性を確保しつつ実用的な 速度でやりとりするために、これまで使われてきた専用線ではなく、アカマイが提供する 技術を使ったインターネットソリューションを利用していることだ。 自動車部品メーカーとしてPDMシステムにインターネットを活用する事例は世界初 であるという。この革新的なグローバルPDMシステムはどのような経緯で構築された のか、このシステムによってカルソニックカンセイが得るアドバンテージはどういったも のなのかを、本システム構築に携わった同社グローバルテクノロジー本部デジタル化 推進グループ 部長の四方力氏にお話を伺った。 カルソニックカンセイは2000年にカルソニックとカンセイが合併して設立されたこと もあって、仕事のやり方や部品表(BOM Bills Of Materials)がグローバルで統一され ていなかった。そこでまず、グローバルPDMシステムに先立って、社内の基幹システム であるBOMを統合して一元管理するグローバルBOMの構築を行った。 「開発もどんどんグローバル化していて、 OEMの顧客がいるところには製造拠点 だけでなく、開発拠点も設立するようになってきています。そうするとBOMだけでなく CADデータもグローバルで統一する必要性が出てきました。そこで、グローバルPDM システムがグローバルBOMと同時期に構想されました」(四方氏) グローバルテクノロジー本部 デジタル化推進グループ 部長 四方 エンジニアリング情報を世界の開発拠点間で共有する PDMシステムを 世界で初めてインターネットソリューションで実現

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AKAMAI CASE STUDY

COMPANY

カルソニックカンセイ株式会社http://www.calsonickansei.co.jp/

グローバルテクノロジー本部デジタル化推進グループ 部長四方 力 氏

INDUSTRY

輸送用機器

SOLUTIONS

Terra Alta IP Application Accelerator

KEY IMPACT

• 世界に点在する拠点間で、専用線を使わずCADデータの共有を実現

• 重要なCADデータを暗号化し、安全に送受信

• グローバルPDMシステムを世界で初めてインターネットソリューションで構築

グローバルPDMシステムを世界で初めてインターネット経由で構築 カルソニックカンセイ株式会社は、埼玉県さいたま市に本社を置く日産自動車系の大手自動車部品メーカーで、コックピットモジュールやエキゾーストシステム、エアコンユニット、コンプレッサー、インストルメントパネル、ラジエーター、電子部品などを開発・生産している。日米欧の主要自動車メーカーを取引先として、北米、欧州、中国に統括会社、5カ国に開発拠点を持ち、生産拠点に至っては世界中に50以上がある、まさにグローバルなメーカーだ。

 そのカルソニックカンセイが2014年5月20日に「グローバルPDMシステム」(PDM:Product Data Management)を構築したと発表した。グローバルPDMシステムは、CADデータをはじめとする製品関連情報をグローバルに一元管理し、世界の開発拠点の設計者が必要に応じていつでも利用・協業できる仕組みだ。このグローバルPDMシステムの最大の特徴は、大容量CADデータを安全性を確保しつつ実用的な速度でやりとりするために、これまで使われてきた専用線ではなく、アカマイが提供する技術を使ったインターネットソリューションを利用していることだ。

 自動車部品メーカーとしてPDMシステムにインターネットを活用する事例は世界初であるという。この革新的なグローバルPDMシステムはどのような経緯で構築されたのか、このシステムによってカルソニックカンセイが得るアドバンテージはどういったものなのかを、本システム構築に携わった同社グローバルテクノロジー本部デジタル化推進グループ 部長の四方力氏にお話を伺った。

 カルソニックカンセイは2000年にカルソニックとカンセイが合併して設立されたこともあって、仕事のやり方や部品表(BOM:Bills Of Materials)がグローバルで統一されていなかった。そこでまず、グローバルPDMシステムに先立って、社内の基幹システムであるBOMを統合して一元管理するグローバルBOMの構築を行った。

 「開発もどんどんグローバル化していて、OEMの顧客がいるところには製造拠点だけでなく、開発拠点も設立するようになってきています。そうするとBOMだけでなくCADデータもグローバルで統一する必要性が出てきました。そこで、グローバルPDMシステムがグローバルBOMと同時期に構想されました」(四方氏)

グローバルテクノロジー本部 デジタル化推進グループ 部長四方 力 氏

エンジニアリング情報を世界の開発拠点間で共有するPDMシステムを世界で初めてインターネットソリューションで実現

AKAMAI CASE STUDY

Akamai®は、場所を問わず、あらゆるデバイスに対して安全かつ高パフォーマンスのユーザー体験を提供できる優れたクラウドプラットフォームをエンタープライズ向けに展開しています。当社のソリューションの中核となるのは、比類なき信頼性とセキュリティ、可視性、専門知識とともに幅広いリーチを実現する Akamai Intelligent Platform™です。またアカマイは、モバイル化が進む世界における接続に関する複雑さを取り除き、24時間体制で消費者の需要をサポートしながら、企業がクラウドを安全に活用できるようにしています。ハイパーコネクテッドワールドでアカマイが革新をいかに促進していくかについて、www.akamai.co.jp および Twitter の @akamai_jp で詳細をご覧ください。

©2014 Akamai Technologies, Inc. All Rights Reserved. 書面による明示の許可なく本文書の全体もしくは一部を再製することは禁止されています。Akamai および Akamai の波のロゴは登録商標です。本文書で使用されている他の商標の所有権はそれぞれの所有者に帰属します。アカマイは、本刊行物に掲載の情報がその公表時点において正確であると確信しています。ただし、かかる情報は通知なしに変更されることがあります。発行 03/14

アカマイ・テクノロジーズ合同会社は、1998年に設立された、アカマイ・テクノロジーズ・インク(本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):Tom Leighton【トム・レイトン】、www.akamai.com)が100%出資する日本法人です。アカマイは、世界40箇所以上にオフィスを構え、お客様のエンドユーザーに最高のインターネット体験を提供しています。各拠点の所在地は、www.akamai.co.jp/enja/html/about/

locations.html でご確認頂けます。

1日がかりのCADデータ転送が1時間に短縮 BOMは比較的データ量が小さいため、従来から拠点間を結んでいた専用線を利用してグローバルBOMシステムが構築された。それからグローバルPDMシステムの開発が始まるのだが、いくつかの課題の中で最も大きな課題の1つが、数百メガバイトというボリュームあるCADデータを、どうやって安全かつ安定的に高速に送るかということだった。自動車製造業では基本的に安全性を優先するという観点から専用線が利用されているが、専用線では帯域が不足していてCADデータを送ると半日から丸1日もかかるというのだ。

 「たとえば日本とアメリカで同じCADデータを使ってデザインレビューをやると想定したとき、日本側でデータを作って半日かけて送るのでよいのかというと、いまの自動車開発のビジネススピードの中ではそれはあり得ません」(四方氏)

 カルソニックカンセイがグローバルPDMシステムで目指したのは「CADデータを1時間以内で送る」こと。これを実現するためには、拠点間を結ぶ専用線の帯域を大幅に増設・強化する必要があるが、とんでもない帯域が必要で、非現実的なほどのコストとなってしまう。また、拠点を増やすたびに専用線を引かなくてはならない。そこで出会ったのがアカマイのソリューションだ。

 現在、同社のグローバルPDMシステムでは、日本、アメリカ、メキシコ、イギリス、中国、タイ、インドの拠点をつなぐことを目標として作業が進められている。このような主要国間のデータ転送であれば、アカマイ以外にもCDNベンダーは存在するのだが、実はデータを暗号化して安全性を確保しつつ送るソリューションを持っているのはアカマイだけで、これがセキュリティを必須とするカルソニックカンセイの条件に合致した。もちろんファイルの容量の大きさや速度などの条件も満たしていたのは言うまでもない。

 こうして世界初のグローバルPDMシステムが動き出した。しかし、カルソニックカンセイが目指すビジョンはもっとずっと高いところにある。

 「今回のグローバルPDMシステムの狙いは、1つのユニークな部品番号に、ユニークな設計情報(CADデータ、デザインノートなど)、製品までが結びつけられ、ユニークであることがちゃんと証明されて資源管理化されている状態に置きたいということです。それができていないことによっていろんな手戻りがあることが社内の一番の課題でした。グローバルPDMが実現するまでは、コピーされたCADデータがたくさんあって、同じCADデータであるが違う部品番号でそれがあちこちに存在しているというような状況がありました。将来的には部品番号、BOMに、コストや品質の情報など、ものづくりのための重要情報をつなげて、タイムリーに、コストや品質の開発状況を可視化したり、ERP等との連携で収益状況を見えるようにして、プロジェクトマネジメントを支える仕組みを全社的に目指していく必要があると思っています。その為のプラットフォームとしてこのグローバルPDMを今後も上手く活用してゆきたい。」(四方氏)

 実際のところ、BOMがグローバルに統一されているサプライヤーはまだ非常に少ないという。カルソニックカンセイでは、グローバルBOMにグローバルPDMシステムが加わり、BOMとCADデータが結びつくことで、スピーディーで品質の高い設計開発、そしてコスト競争力がある製品製造がグローバルでできるようになるはずだ。これは非常に大きなアドバンテージをもたらすことになるだろう。

カルソニックカンセイ株式会社