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東京税関 業務部原産地調査官部門
平成24年9月27日輸入者対象セミナー
説明資料
特恵税率一般特恵・EPA特恵
を活用するための原産地規則
本日の説明事項
1. 特恵税率を適用するにあたって
2. 特恵原産地規則の概要
3. 積送基準と税関における手続
4. ケーススタディ
※資料は平成24年9月現在のデータを使用
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1.特恵税率を適用するにあたって
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• 「特恵税率」とは、ある特定の国・地域に対して与える関税率に関する特別な待遇(ある特定の国・地域の産品に対して、他の国の産品に対して適用される税率よりも低い税率を適用)
「特恵税率」
一般特恵税率
・開発途上国及び地域が適用対象
・EPA相手国が適用対象
経済連携協定税率
特恵税率とは
(GSP:Generalized System of Preferences)
(EPA: Economic Partnership Agreement)
・日本が結んでいるEPAは13種類
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一般特恵(GSP) 経済連携協定(EPA)
【出典】税関ホームページ実行関税率表
http://www.customs.go.jp/ ※LDC:後発開発途上国(Least Developing Country一部の除外規定を除き無税
税率と適用順位
①EPA特恵税率(③~⑤より低い場合適用)
②一般特恵税率(①≦②の場合、②は適用できない)
③WTO協定税率(④・⑤より低い場合適用)
④暫定税率
⑤基本税率
※すべての原産地規則を満たす場合の適用順位
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一般的に税率は
低い
高い※MFN(Most -Favoured Nation Treatment)税率・・・実行最恵国税率(基本・暫定・WTO税率のいずれか低い税率)
MFN税率
【第5号】2国間EPA税率≦GSP ・・・ GSP適用除外
EPA税率のみ適用可能GSP<2国間EPA税率 ・・・ GSP適用可能
輸入者が希望すればEPA税率適用可能
【第6号】多国間EPA税率≦GSP ・・・ GSP適用除外
EPA税率のみ適用可能
GSP<多国間EPA税率 ・・・ GSP適用可能輸入者が希望すればEPA税率適用可能
★一般特恵とEPAが設定されている場合
EPA税率がGSP税率を超える場合を除き、GSP特恵税率の便益を与えない。(関税暫定措置法施行令第25条第2項第5号及び第6号)
産品がいずれの原産地規則も満たす場合
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2国間EPA税率≦GSPでGSPが適用除外になる場合、GSP<多国間EPA税率でもGSPは適用できない:2国間、多国間協定のいずれを適用するかは輸入者の選択による
LDCの場合、適用除外にならずGSPも適用可能:GSP・多国間協定のいずれを適用するかは輸入者の選択による
特恵適用対象国
シンガポール ブルネイ
タイ
フィリピン
マレーシア
ベトナム
カンボジア
ミャンマー
ラオス
メキシコ
チリ
インド
ペルー
インドネシア
スイス
アセアン締約国10カ国(含日本)
GSP受益国145カ国
2国間、アセアン適用可能
2国間、アセアン、GSP対象国
2国間、GSP対象国
2国間のみ適用可能
LDC:アセアン、GSP対象国
(アセアン協定未締約)
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原産地規則とは• 原産地規則とは、原産地(物品の国籍)を決めるためのルール
つまり
特恵税率の適用を受ける際に満たすべき規則特恵税率は、一定のルール(原産地規則)を満たし、原産品とされる産品に対して
のみ適用可能。
協定に基づくもの 協定に基づかないもの
特恵 EPA特恵税率シンガポール特恵税率 メキシコ特恵税率マレーシア特恵税率 チリ特恵税率タイ特恵税率 インドネシア特恵税率ブルネイ特恵税率 アセアン包括特恵税率フィリピン特恵税率 スイス特恵税率ベトナム特恵税率 インド特恵税率ペルー特恵税率
一般特恵(GSP)税率特別特恵(LDC)税率を含む
非特恵 WTO協定税率9
他の国
①輸入される産品に関し、特恵税率が設定されていること
(EPA税率の場合は協定の譲許表、GSPの場合は関税暫定措置法別表)
相手国
②生産された貨物が、「原産品」であると認められること(=原産地基準を満たしていること)
→この原産地基準を満たしていることを証明する書類が「原産地証明書」
③運送の途上で「原産品」という資格を失っていないこと(=積送基準を満たしていること)
→この「積送基準」を満たしていることを証明する書類が「運送要件証明書」(通し船荷証券の写し等)
④税関に対して、原産地証明書及び(必要に応じ)運送要件証明書を提出するなど、必要な手続き(手続要件)を行うこと
日本
4つの条件をすべて満たさなければいけない!
特恵税率適用のための4つの条件
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2.特恵原産地規則の概要
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原産地規則
原産地基準
①完全生産品
③実質加工品
積送基準
手続的規定
(b)自国関与基準
関税分類変更基準
加工工程基準
付加価値基準
(a)アセアン5カ国累積
(e)原産資格を与えることとならない作業
原産地規則の3つの構成要素
(材料:非原産材料を使用)
原産地証明書運送要件証明書
(材料:[自然]または完全生産品のみ)
原産地規則の構成(一般特恵)
一般ルール
第9条別表
実質的変更基準
実質的変更基準の例外
(d)僅少の非原産材料
一般特恵のみ
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原産地規則
原産地基準
①完全生産品
③実質的変更基準を満たす産品
積送基準
手続的規定
実質的変更基準の例外
(c)累積
関税分類変更基準
加工工程基準
付加価値基準
(d)僅少の非原産材料
(e)原産資格を与えることとならない作業
②原産材料のみから生産される産品
(材料:非原産材料を使用)
(材料:原産品のみ)
原産地証明書運送要件証明書
(材料:[自然]または完全生産品のみ)
原産地規則の構成(EPA)
原産地規則の3つの構成要素
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実質的変更基準
EPAのみ
マレーシア
マンゴージャム
日本
第20類
①完全生産品
ペクチン
マレーシア
マンゴー
マレーシア
マレーシアで収穫されたマンゴーの実と、マレーシアで製造されたペクチンを使用して製造されたマンゴージャムは、マレーシアの完全生産品と認められる。
マレーシアからマンゴージャムを輸入する場合
「完全生産品」とは、その「生産」に1ヵ国のみが関与する(=その「生産」が1ヵ国で完結している)産品 タイプ3:完全生産品のみから生産される物品
タイプ2:くず、廃棄物やそれらから回収される物品
タイプ1:農水産品、鉱業品の一次産品
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マレーシア
マンゴージャム
(2007.99)
日本
第20類
②原産材料のみから生産される産品
ペクチン
マレーシア
マンゴー
マレーシア
マンゴージャムの生産に使用された材料(マンゴー、ペクチン)はすべてマレーシア産であるため、外見上は1カ国で生産が完結しているように見えるが、実際には二次材料に他の国の材料(ニュージーランド産りんご)を使用しているもの。
ニュージー
ランド
りんご
一次材料
二次材料
EPA EPA
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③実質的変更基準を満たす産品
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この「大きな変化」を「実質的変更」と呼び、「実質的変更」が起こった国を原産地とする考え方を「実質的変更基準」と呼ぶ。そして、このような産品を「実質的変更基準を満たす産品」と呼ぶ。
大きな変化
最初の産品(材料)と違う性質を持っている産品
加工等他の国
実質的変更基準の種類• 「大きな変化」=「実質的変更」には、以下の3つの基準が存在する。
(1)関税分類変更基準最終製品の関税分類番号と、すべての非原産材料の関税分類番号とが異なることとなるような製造が行われた国を原産地とするもの
(2)付加価値基準製造工程において付加される価値が、要求される条件を満たした国を原産地とするというもの
(3)加工工程基準非原産材料にある特定の加工工程が施されて最終製品が得られた国を原産地とするもの
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○ 原産材料 → 産品の材料のうち、当該材料に対し、原産地基準を適用して考えた場合に、原産品と認められるもの
○ 非原産材料 → 原産材料以外の材料
産品の生産に
「直接」使用
○ 材料 → 他の産品の生産に使用される産品
非原産材料のみ考慮する
一般特恵アセアンスイスベトナム
インドその他の協定
一般ルール
他の項の材料からの変更
他の項の材料からの変更又は
付加価値40%以上
他の号の材料からの変更及び
付加価値35%以上
品目別規則に全て規定
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・品目ごとに品目別規則に規定・品目別規則に規定のない産品は、一般ルールを適用する。
実質的変更基準の設定
品目別規則の読み方(日アセアン包括協定の例)
最終産品である「ウィスキー(第2208.30号)」の品目別規則は、
RVC40%又は
CTH(第22.07項を除く)
※RVC:域内原産割合(生産された物品の価格に占める付加された価値の割合)
※ CTH:HSコード4桁の項の変更
いずれか一つを満たせば原産品と認められる。
付加価値基準
関税分類変更基準
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一般特恵一般ルール:HS4桁変更
A国(特恵受益国)
ひまわり油日 本
第1512.19号
B国
第1206.00号
ひまわりの種(B国で収穫)
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(1)関税分類変更基準
C国
第2936.28号
○
○酸化防止剤(ビタミンE,C国で生産)
すべての非原産材料の関税分類番号と、最終製品の関税分類番号とが異なることとなる製造が特恵受益国で行われている。
⇒このような製造が行われた国を原産地と認めるというのが関税分類変更基準。
GSP・スイス協定は、非原産品の価格そのものを生産された物品の価格と比較⇔EPA(スイスを除く)は国内で付加された価値(原産材料、労務費、間接費、利益等)と産品価額とを比較
非原産材料の価格
≦Ⅹ%
原産材料
労務費
製造経費
利益
その他
非原産材料
123456
12
3456
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付加価値基準(2)付加価値基準その国の生産において十分なコスト等が投入され、「大きく価値が付加」された場合、大きな変化があったと考える。
「非原産品の割合」 =
円グラフの全体が「生産された物品の価格」
「非原産材料の価格」
生産された物品の価格
「付加された価値」
部分品1
(点火プラグ)
タイ
自動車
B国(非締約国)
部分品3
(シリンダー)
部分品2
(ピストン)
ブレーキ、タイヤ等
自動車:10,000ドル(FOB)
エンジン:3,000ドル(CIF)
他の価額構成要素(工賃等)
非原産材料 原産材料
非原産材料価額――――――――
産品の価額= = 30(%) < 40%
非原産品の割合は30%であり、第87.03項の付加価値基準を満たすことから、自動車は、一般特恵上のタイの原産品と認められる。
3,00010,000
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(2)付加価値基準第87.03項(乗用自動車):使用した非原産品のうち、生産された物品と異なる関税定率法別表の項に属するものの価格の生産された物品の価格のうちに占める割合
が 40%以下となり、かつ、・・・(以下略)
=非原産品の割合