児童相談所における 保護者支援のための プログラ...
TRANSCRIPT
児童
相談
所に
おけ
る保
護者
支援
のた
めの
プロ
グラ
ム活
用ハ
ンド
ブッ
ク
「児童虐待事例の家族再統合等にあたっての親支援プログラムの開発と運用に関する研究」
平成24~25年度 厚生労働科学研究費補助金
(政策科学総合研究事業)
(H24-
政策
-一
般-
003)
平成
26年
3月
目次
― 1
―
目
次
はじ
めに
....
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
. 2
総論
:
保護
者支
援に
おけ
るプ
ログ
ラム
の活
用
児童
相談
所の
取組
みの
流れ
と家
族支
援 ...
......
......
......
......
......
......
....
4
虐待
対応
にお
ける
保護
者支
援を
考え
る ...
......
......
......
......
......
......
....1
0
支援
プロ
グラ
ムと
子ど
もの
安全
につ
いて
~
サイ
ンズ
・オ
ブ・
セイ
フテ
ィー
に学
びな
がら
~ ..
......
......
.....1
7
プロ
グラ
ム活
用の
道筋
と体
制づ
くり
.....
......
......
......
......
......
......
.....2
5
〔コ
ラム
〕 児
童虐
待に
おけ
る、
支援
者-保
護者
間の
関係
性形
成と
プ
ログ
ラム
の個
別化
につ
いて
.....
......
......
......
......
......
......
......
..29
各論
:
各プ
ログ
ラム
の活
用
-課
題と
工夫
の現
状-
は
じめ
に ..
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
35
各
プロ
グラ
ムの
特徴
と運
用上
の工
夫
S
oS ..
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
...38
FGC
.....
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
.....4
6
〔コ
ラム
〕フ
ァミ
リー
グル
ープ
・カ
ンフ
ァレ
ンス
の可
能性
......
.53
CS
P ..
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
...55
精研
式ペ
アレ
ント
トレ
ーニ
ング
.....
......
......
......
......
......
......
......
..62
CR
C ..
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
..67
トリ
プル
P ..
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
72
M
yTre
e ..
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
..76
PC
IT ..
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
..81
CA
RE
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
..87
AF-
CB
T 、
TF-C
BT
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
.....9
2
おわ
りに
....
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
......
....1
01
-303-
― 2
―
はじめに
はじめに
― 3
―
はじ
めに
児童
相談
所の
子ど
も虐
待事
例に
関し
ての
保護
者支
援 は
、厚
生労
働省
によ
る子
ども
虐待
対応
の手
引き
によ
って
児童
相談
所の
業務
の一
環と
して
位置
づけ
られ
てい
る。受
理、
援助
方針
決定
、保
護、
措置
等の
業務
に追
われ
負担
が大
きい
なか
で、
保護
者支
援に
どの
よう
に取
り組
んで
ゆく
かに
つい
て、
それ
ぞれ
の児
童相
談所
の努
力が
重ね
られ
てい
る。
保護
者支
援に
当た
って
は、
担当
児童
福祉
司が
中心
とな
って
行う
場合
や、
家族
支援
の
ため
の部
署が
設け
られ
てい
る場
合な
ど、
児童
相談
所に
よっ
て状
況が
異な
る。
家族
支援
にあ
たっ
ては
、コ
モン
セン
スペ
アレ
ンテ
ィン
グな
ど、
すで
に開
発さ
れて
いる
プロ
グラ
ムを
活用
する
場合
もあ
る。
これ
らは
、先
進的
な児
童相
談所
で取
り入
れら
れて
より
、国
内で
広が
りが
みら
れて
いる
。
この
ハン
ドブ
ック
は、
すで
にこ
うい
った
プロ
グラ
ムを
取り
入れ
て活
用さ
れて
いる
児
童相
談所
から
得ら
れた
情報
をも
とに
、取
り入
れて
行っ
た経
験や
、活
用の
経験
から
、運
用に
あた
って
、ど
のよ
うに
工夫
して
ゆく
とよ
り効
果的
であ
るか
など
につ
いて
、情
報提
供し
てゆ
こう
とす
るも
ので
ある
、
「プ
ログ
ラム
」と
いう
用語
に関
して
、定
義に
混乱
が起
こる
かも
しれ
ない
懸念
があ
る。
すで
に家
族支
援の
取り
組み
が確
立し
てい
る児
童相
談所
にお
いて
は、
引取
りを
含め
て、
親子
関係
を再
構築
して
ゆく
工程
全体
を「
家族
支援
プロ
グラ
ム」「
再統
合プ
ログ
ラム
」
と呼
んで
いる
場合
が多
いよ
うに
思う
。
こう
いっ
た全
体の
工程
を「
プロ
グラ
ム」
と呼
んで
いる
児童
相談
所も
ある
ので
、そ
れ
に組
み合
わせ
てゆ
く個
々の
ツー
ルは
、「プ
ログ
ラム
」以
外の
名称
で呼
ぶほ
うが
適切
で
ある
とい
う考
え方
もあ
る。
本ハ
ンド
ブッ
クで
は、
紛ら
わし
いき
らい
もあ
るが
、組
み合
わせ
てゆ
く個
々の
ツー
ルの
方を
「プ
ログ
ラム
」と
呼ば
せて
いた
だく
こと
をお
許し
願い
たい
。
本ハ
ンド
ブッ
クで
は、
こう
いっ
た「
全体
の工
程」
に組
み合
わせ
てゆ
く個
々の
「プ
ロ
グラ
ム」
の内
容に
つい
て、
詳し
い解
説を
行う
わけ
では
ない
。内
容に
関し
ては
、む
しろ
参考
資料
をご
紹介
する
こと
とし
、そ
うい
った
運用
をし
てゆ
く上
で、
児童
相談
所が
どの
― 2
―
はじめに
はじめに
― 3
―
よう
な困
難を
感じ
、ど
のよ
うな
工夫
をし
てい
るの
かと
いう
、実
際の
運用
に関
して
、参
考に
でき
るも
のに
しよ
うと
試み
た。
本ハ
ンド
ブッ
クで
用い
る「
再統
合」
とい
う用
語に
つい
ても
異な
る意
味で
用い
られ
る
こと
があ
る。
すな
わち
、親
子関
係を
再構
築す
ると
いう
広い
意味
合い
で用
いら
れる
こと
と、
分離
事例
が家
庭復
帰す
ると
いう
狭い
意味
合い
で用
いら
れる
こと
との
両方
があ
る。
本ハ
ンド
ブッ
クで
は、「
再統
合」
を前
者の
概念
で捉
える
。 従
って
、家
庭復
帰が
展望
で
きな
い事
例や
在宅
の事
例に
つい
ても
対象
とし
て捉
えて
いる
。
社会
福祉
分野
の議
論に
おい
ては
、「ケ
ース
ワー
ク」
があ
まり
使わ
れな
くな
り、「
ソー
シャ
ルワ
ーク
」へ表
現が
移行
して
きて
いる
。一方
現場
では
、個別
援助
の意
味あ
いで「
ケー
スワ
ーク
」が
使わ
れる
場合
が多
い。
こう
いっ
た経
緯か
ら、
本ハ
ンド
ブッ
クで
は、
前後
の文
脈に
応じ
て、「
ソー
シャ
ルワ
ーク
」と
「ケ
ース
ワー
ク」
の両
方の
表現
が用
いら
れ
てい
る。
児童
相談
所が
任意
の相
談へ
の支
援を
主流
とし
てい
た時
代が
あっ
たと
ころ
へ、
介入
的
支援
によ
り子
ども
の保
護を
行う
よう
にな
った
こと
から
、介
入と
支援
とい
う相
反す
る二
つの
機能
を持
つよ
うに
なっ
てい
ると
ころ
も、
家族
支援
を考
えて
ゆく
うえ
で重
要な
留意
点と
なっ
てい
る。
その
点に
関し
て、
本ハ
ンド
ブッ
クで
は保
護者
支援
を考
えて
ゆく
上で
参考
にな
る専
門家
の考
え方
をお
示し
した
。な
るほ
どと
強く
共感
され
る一
方で
、そ
のよ
うな
レベ
ルま
で意
識が
つい
て行
かな
いと
いう
実感
を持
たれ
るこ
とが
ある
かも
しれ
な
い。
経験
を積
み考
え進
めた
結果
、持
つに
至っ
た見
解と
して
触れ
てい
ただ
くこ
とで
、今
後の
支援
の見
通し
を立
てる
ヒン
トに
なる
ので
はな
いか
と考
える
。
また
、本
ハン
ドブ
ック
の総
論部
分で
は、
サイ
ンズ
オブ
セー
フテ
ィの
考え
方を
基本
と
して
ソー
シャ
ルワ
ーク
の有
り方
が述
べら
れて
いる
。サ
イン
ズオ
ブセ
ーフ
ティ
は、
支援
の枠
組み
全体
に関
する
考え
方で
あり
、保
護者
支援
の工
程に
組み
込ま
れる
個々
の「
プロ
グラ
ム」
とは
異な
った
意味
合い
の存
在な
ので
、総
論の
中で
記載
した
次第
であ
る。
児童
相談
所で
保護
者支
援プ
ログ
ラム
を実
施し
てゆ
く上
の実
際に
起こ
って
くる
問題
に
直面
した
時、
何か
お役
にた
てる
参考
とな
れば
とね
がい
つつ
、こ
のハ
ンド
ブッ
クを
お届
けし
たい
。
-304-
― 4
―
総論/児童相談所の取組みの流れと家族支援
総論/児童相談所の取組みの流れと家族支援
― 5
―
児童
相談
所の
取組
みの
流れ
と家
族支
援
児童
相談
所で
は虐
待相
談を
受理
した
後、
必要
に応
じて
一時
保護
を実
施す
るな
どし
て
家族
状況
をア
セス
メン
トし
、援
助方
針を
決定
する
。施
設入
所ま
たは
里親
等委
託と
なっ
た場
合は
、そ
の後
に家
族再
統合
のた
めの
取組
みを
始め
る。
家庭
復帰
が困
難と
判断
され
る場
合に
も、
家族
との
関係
修復
や、
子ど
もが
自立
に向
けて
生い
立ち
や家
族と
の関
係を
整理
する
とい
う意
味で
の家
族再
統合
に取
り組
むこ
とと
なる
。一
方、
在宅
での
生活
が可
能な
場合
には
、地
域の
関係
機関
と連
携し
て、
家族
関係
を修
復す
るた
めの
支援
を実
施す
る。
これ
もま
た家
族再
統合
の取
組み
の一
環と
言え
る。
以下
では
、児
童相
談所
の取
組み
の流
れと
それ
ぞれ
の局
面に
おけ
る支
援の
留意
点を
簡
略に
記載
し、家
族再
統合
の取
組み
にお
ける
保護
者支
援プ
ログ
ラム
活用
の参
考と
した
い。
(な
お、
詳細
は「
子ど
も虐
待対
応の
手引
き」
1を
参照
。)
1
.受
理・
調査
虐待
通告
を受
けた
場合
や市
区町
村か
ら送
致等
を受
けた
際に
、児
童相
談所
はた
だち
に
緊急
受理
会議
を開
催し
て調
査の
方針
を検
討す
る。
調査
の要
点は
、子
ども
の安
全・
安心
が守
られ
てい
るか
どう
かに
ある
。子
ども
の安
全・
安心
が危
険な
状態
であ
ると
判断
され
る場
合に
は迅
速に
一時
保護
を実
施す
る。
一時
保護
にあ
たっ
て子
ども
と保
護者
の同
意は
要件
とは
なら
ない
。
虐待
相談
は保
護者
に相
談へ
の動
機付
けが
なく
、一
般の
相談
援助
活動
のよ
うな
信頼
関
係に
基づ
く援
助を
実施
する
こと
に困
難を
伴う
。実
際、
子ど
もの
安全
・安
心に
関し
ては
保護
者に
対し
て妥
協す
るこ
とが
許さ
れな
い。
それ
でも
保護
者と
児童
相談
所が
子ど
もの
安全
・安
心を
共働
で実
現す
るも
のと
して
の相
談関
係を
形成
でき
るよ
うに
、調
査の
当初
か
ら関
係構
築に
努め
るこ
とが
求め
られ
、児
童相
談所
は困
難な
作業
を遂
行す
るこ
とと
なる
。
1
「子
ども
虐待
対応
の手
引き
」(平
成25
年8
月改
訂版
)厚
生労
働省
雇用
均等
・児
童家
庭局
総務
課
総論
:保
護者
支援
にお
ける
プロ
グラ
ムの
活用
― 4
―
総論/児童相談所の取組みの流れと家族支援
総論/児童相談所の取組みの流れと家族支援
― 5
―
2
.ア
セス
メン
トと
プラ
ンニ
ング
関係
機関
から
の情
報収
集や
児童
相談
所内
多職
種の
協働
によ
り、
子ど
もと
家族
の状
況
を正
確に
アセ
スメ
ント
する
。子
ども
と家
族が
現在
に至
る生
活歴
、生
育歴
はど
うだ
った
のか
、ど
こに
リス
クが
あり
、ま
たど
のよ
うな
支援
が必
要な
のか
(ニ
ーズ
)、さ
らに
子
ども
と家
族が
有し
てい
る強
み(
スト
レン
グス
)は
どこ
にあ
るの
か、
子ど
もと
家族
をサ
ポー
トで
きる
のは
誰か
とい
った
諸点
をア
セス
メン
トす
る。
地域
の関
係機
関と
検討
する
場合
は、
共有
のア
セス
メン
トシ
ート
に基
づい
て協
働し
て行
う。
児童
相談
所が
介入
した
ため
に家
族と
対立
して
、そ
のた
め十
分な
聴き
取り
が行
えな
い
場合
もあ
るが
、で
きる
限り
多角
的に
情報
を集
める
。ま
た子
ども
や家
族に
対し
て児
童相
談所
の見
方を
伝え
なが
ら共
に考
えて
いく
こと
を働
きか
ける
。子
ども
の安
全と
安心
に関
して
懸念
を持
って
いる
点を
わか
りや
すく
正確
に家
族に
告知
する
こと
もあ
わせ
て重
要で
ある
。
以
上の
アセ
スメ
ント
のも
とに
、児
童相
談所
とし
ての
援助
方針
をた
てる
。援
助方
針に
つい
ては
、そ
の理
由を
含め
て子
ども
と家
族に
丁寧
に説
明し
、子
ども
と家
族の
参画
のも
とで
検討
でき
るよ
うに
努め
る。
その
際に
は、
子ど
もと
家族
の状
況を
改善
する
ため
に取
り得
る支
援に
つい
て、
地域
サー
ビス
の活
用、
地域
関係
機関
によ
る援
助、
子ど
もや
保護
者に
対す
る医
療や
カウ
ンセ
リン
グ、親
子グ
ルー
プや
親グ
ルー
プ等
への
参加(
父親
グル
ー
プ、
父親
塾等
を含
む)、
ペア
レン
ティ
ング
の導
入な
ど、
多様
な手
法を
組み
合わ
せて
計
画を
たて
る。
子ど
もや
保護
者を
プロ
グラ
ムへ
促す
場合
には
、十
分な
ソー
シャ
ルワ
ーク
によ
り子
ども
や保
護者
の思
いを
聴き
取り
、当
事者
が必
要性
を認
識で
きる
よう
に支
援す
るこ
とが
求め
られ
る。
以上
の取
組み
によ
り、
子ど
もと
家族
、あ
るい
は地
域関
係機
関の
理解
の基
に、
子ど
も
と家
族を
中心
とし
た地
域関
係機
関協
働の
支援
ネッ
トワ
ーク
を構
築し
てい
くこ
とが
必要
であ
る。
3
.施
設入
所・
里親
等委
託後
の支
援
施設
入所
・里
親等
委託
にあ
たり
、児
童相
談所
は短
期及
び中
長期
の援
助方
針を
策定
す
-305-
― 6
―
総論/児童相談所の取組みの流れと家族支援
総論/児童相談所の取組みの流れと家族支援
― 7
―
る。
その
中に
は家
族再
統合
に向
けて
の見
通し
と支
援方
法が
含ま
れる
。援
助方
針に
つい
ては
、入
所又
は委
託前
後に
施設
又は
里親
等と
十分
に協
議し
て、
自立
支援
計画
に結
実さ
せる
こと
とな
る。
施設
入所
・里
親等
委託
後の
支援
につ
いて
は、
子ど
もへ
の支
援、
保護
者へ
の支
援、
子
ども
と保
護者
の関
係性
への
支援
、保
護者
以外
の家
族・
親族
への
支援
に分
けら
れる
。そ
れぞ
れが
抱え
る課
題を
整理
して
目標
を提
示し
、子
ども
と家
族と
共有
する
と共
に、
児童
福祉
施設
や里
親と
児童
相談
所と
が十
分協
議の
上で
連携
して
支援
する
。児
童相
談所
と保
護者
が対
立的
な関
係に
ある
場合
にも
、児
童福
祉施
設の
職員
や里
親等
が保
護者
と良
好な
関係
を構
築す
るこ
とで
、家
族支
援が
進む
こと
もあ
る。
施設
入所
・里
親等
委託
後も
子ど
もと
家族
の状
況の
変化
を見
守り
なが
ら、
児童
福祉
施
設や
里親
等と
十分
な情
報共
有を
した
上で
、ア
セス
メン
トを
継続
する
。そ
の結
果、
支援
計画
を見
直す
必要
も出
てく
る。
保護
者支
援プ
ログ
ラム
を実
施す
る際
には
、関
係者
の協
議と
了解
の上
で導
入す
るこ
とと
なる
。
4
.段
階的
親子
交流
家庭
復帰
が可
能と
判断
され
た場
合、
ある
いは
家庭
復帰
には
つな
がら
なく
ても
子ど
も
と保
護者
との
交流
が可
能と
判断
され
た場
合に
、親子
交流
の計
画が
検討
され
る。
子ど
も・
保護
者の
意向
を十
分に
聴き
、児
童福
祉施
設や
里親
の判
断を
十分
に尊
重し
た協
議を
経た
うえ
で児
童相
談所
が慎
重に
判断
する
こと
とな
る。
ほと
んど
の事
例で
は、
段階
的な
親子
交流
が実
施さ
れて
いる
。そ
の経
過は
、ま
ず児
童
相談
所職
員あ
るい
は児
童福
祉施
設職
員の
同席
によ
る面
会か
ら始
め、同
席な
しで
の面
会、
近隣
への
短時
間の
外出
、一
日か
けた
外出
、短
期間
の自
宅外
泊(
施設
内宿
泊や
自宅
外へ
の外
泊を
行う
場合
もあ
る)、
長期
間の
外泊
と順
を追
って
慎重
に進
めて
いく
。そ
の過
程
では
、交
流後
の子
ども
と保
護者
の様
子を
児童
福祉
施設
にお
いて
子細
に観
察し
、ま
た児
童相
談所
が状
況を
十分
に把
握し
て、
その
都度
交流
の適
否を
アセ
スメ
ント
する
こと
が重
要で
ある
。場
合に
よっ
ては
、交
流の
進度
を戻
すこ
とや
交流
の中
止を
検討
しな
けれ
ばな
らな
い。
施設
入所
・里
親等
委託
中の
保護
者指
導の
ため
には
児童
福祉
司指
導を
とる
こと
が有
効
― 6
―
総論/児童相談所の取組みの流れと家族支援
総論/児童相談所の取組みの流れと家族支援
― 7
―
であ
る。
段階
的親
子交
流を
次の
段階
に進
める
際に
は、
担当
者個
人の
判断
によ
るの
では
なく
、児
童相
談所
の援
助方
針会
議等
で組
織的
に点
検し
て判
断し
なけ
れば
なら
ない
。
5.
家庭
復帰
にあ
たっ
ての
支援
家庭
復帰
を判
断す
る際
には
、児
童福
祉司
指導
等の
結果
を十
分踏
まえ
て、
児童
相談
所と
して
慎重
な検
討の
上で
決定
する
。こ
の場
合、「
家庭
復帰
の適
否を
判断
する
ため
の
チェ
ック
リス
ト」
2 また
は自
治体
で作
成し
てい
るチ
ェッ
クリ
スト
など
のア
セス
メン
ト
ツー
ルに
基づ
く判
断が
必須
であ
る。
この
評価
には
、児
童福
祉施
設の
意見
を十
分に
反映
しな
けれ
ばな
らな
い。
また
、家
族再
統合
の取
組み
の過
程で
は、
地域
の関
係機
関に
子ど
もと
家族
の状
況を
伝
え、
家庭
復帰
後の
支援
の受
け皿
を準
備し
てお
くこ
とが
必要
であ
る。
入所
・委
託中
にも
要保
護児
童対
策地
域協
議会
の進
行管
理会
議で
状況
を伝
え、
外泊
にあ
たっ
ては
地域
の関
係機
関が
情報
を把
握し
てお
ける
よう
にし
てお
く。
また
家庭
復帰
前に
は要
保護
児童
対策
地域
協議
会の
個別
ケー
ス検
討会
議を
開催
して
、地
域関
係機
関の
理解
を得
ると
とも
に支
援の
役割
分担
をし
てお
くこ
とが
必須
であ
る。
この
場に
は入
所中
の児
童福
祉施
設職
員や
里親
等が
参加
する
こと
が必
要で
ある
。
その
際に
は、
子ど
もと
家族
の状
況に
つい
て、
地域
の関
係機
関が
どこ
に注
視し
てア
セ
スメ
ント
を継
続す
る必
要が
ある
のか
、ど
うい
う状
況に
なれ
ば連
絡が
必要
なの
か、
情報
連絡
先は
どこ
にす
るの
かな
ど、
支援
に必
要な
情報
を共
有し
てお
く。
なお
、家
族の
転居
先自
治体
で子
ども
を引
き取
る場
合に
は、
転居
先自
治体
を管
轄す
る
児童
相談
所や
地域
関係
機関
との
十分
な協
議が
必要
であ
る。(
詳し
くは
「子
ども
虐待
対
応の
手引
き」
第10
章5
.家
庭復
帰の
際の
支援
、参
照。)
家族
や親
族が
主体
とな
って
家庭
復帰
後の
生活
につ
いて
話し
合う
、フ
ァミ
リー
グル
ー
プカ
ンフ
ァレ
ンス
の取
組み
も模
索さ
れて
おり
、今
後の
実践
の展
開が
期待
され
る。
2 「
児童
虐待
を行
った
保護
者に
対す
る指
導・
支援
の充
実に
つい
て」(
平成
20年
3月
14日
付厚
生労
働省
雇用
均等
・児
童家
庭局
総務
課長
通知
)別
添の
「児
童虐
待を
行っ
た保
護者
に対
する
援助
ガイ
ドラ
イン
」の
別表
「家
庭復
帰の
適否
を判
断す
るた
めの
チェ
ック
リス
ト」
-306-
― 8
―
総論/児童相談所の取組みの流れと家族支援
総論/児童相談所の取組みの流れと家族支援
― 9
―
6.
家庭
復帰
後の
ケア
及び
在宅
支援
家庭
復帰
後の
生活
の中
では
、子
ども
と家
族の
関係
が必
ずし
も良
好に
推移
する
とは
限
らず
、そ
れま
でに
予想
して
いな
かっ
たよ
うな
問題
が生
じる
こと
もあ
る。
復帰
後も
継続
して
丁寧
なア
セス
メン
トと
支援
が必
要で
ある
。その
ため
、児童
相談
所は
少な
くと
も6
ヶ
月間
は児
童福
祉司
指導
等を
とり
、支
援関
係を
継続
しな
けれ
ばな
らな
い。
これ
は最
も順
調に
推移
した
場合
の期
間で
あり
、事
例に
よっ
ては
さら
に長
期に
わた
り支
援が
必要
とな
る。 家
庭で
の生
活が
始ま
った
後も
、施
設入
所・
里親
等委
託中
から
継続
した
子ど
もと
家族
への
支援
が必
要と
なる
。施設
等の
職員
が関
係を
維持
して
連絡
をと
るこ
とも
必要
であ
る。
児童
相談
所へ
の来
所が
滞っ
たり
、家
庭訪
問に
拒否
的と
なる
など
の状
況は
、危
険な
サイ
ンと
とら
えて
再ア
セス
メン
トを
行い
、支
援方
法を
再検
討す
ると
とも
に一
時保
護が
必要
な場
合に
は実
施す
る。
子ど
もに
は直
接S
OS
を出
せる
よう
な手
段を
伝え
てお
くこ
とも
有効
であ
る。
家庭
復帰
後の
生活
が良
好に
推移
した
場合
には
、児
童相
談所
の関
わり
を終
了し
て市
区
町村
に対
応を
引き
継ぐ
こと
とな
る。
その
場合
には
市区
町村
との
十分
な協
議が
必要
であ
る。
市区
町村
に引
き継
いだ
後で
も、
状況
の変
化に
より
児童
相談
所が
あら
ため
て介
入す
る必
要が
ある
場合
には
、積
極的
に対
応し
なけ
れば
なら
ない
。
以上
に述
べた
諸点
は、
一時
保護
を解
除し
て家
庭引
き取
りと
なる
場合
にも
同様
に留
意
すべ
きで
ある
。
最後
に、
施設
入所
・里
親等
委託
の援
助方
針を
採ら
ず、
在宅
支援
とな
った
事例
につ
い
て述
べる
。こ
うし
た事
例で
児童
福祉
司指
導等
によ
る支
援が
必要
とな
る場
合に
は、
児童
相談
所が
関与
する
理由
と方
法を
丁寧
に説
明し
、決
定通
知書
に十
分に
記載
して
手渡
すこ
とと
なる
。
在宅
支援
中の
家庭
状況
の変
化に
は十
分な
アセ
スメ
ント
を実
施し
て支
援の
見直
しを
行
う。
また
、在
宅で
の生
活状
況を
改善
する
とと
もに
子ど
もと
保護
者の
関係
を修
復す
るた
めに
は、
関係
機関
と連
携し
た支
援が
必要
であ
り、
その
ため
要保
護児
童対
策地
域協
議会
の個
別ケ
ース
検討
会議
で情
報共
有と
役割
分担
を図
ると
とも
に、
進行
管理
会議
で状
況を
― 8
―
総論/児童相談所の取組みの流れと家族支援
総論/児童相談所の取組みの流れと家族支援
― 9
―
共有
する
など
、協
働し
た対
応が
必要
であ
る。
在宅
支援
中に
おい
ても
、状
況に
応じ
て保
護者
支援
プロ
グラ
ムを
活用
した
子ど
もと
保
護者
の関
係改
善に
取り
組む
こと
が有
効で
ある
。
図1
. 児童
相談
所の
取組
みの
流れ
図
アセ
スメ
ント
・プ
ラン
ニン
グ・
プラ
ンニ
ング
の見
直し
地域
の支
援ネ
ット
ワー
ク構
築親
子関
係再
構築
支援
ア フ タ ー ケ ア ・ 在 宅 支 援
( 児 童 福 祉 司 指 導 等 )
受
理
→
調
査
施 設 入 所 ・ 里 親 等 委 託 措 置
援
助
方
針
会
議
援 助 方 針 会 議
家
庭
復
帰
一
時
保
護
段 階 的 親 子 交 流
自 立 へ 向
け た 支 援
⇒⇒
⇒
⇒⇒
⇒
⇒⇒
⇒⇒
⇒
在
宅
支
援
-307-
― 1
0 ―
総論/ 虐待対応における保護者支援を考える
総論/ 虐待対応における保護者支援を考える
― 1
1 ―
虐待
対応
にお
ける
保護
者支
援を
考え
る
1
.子
ども
の育
ちを
応援
する
そも
そも
児童
相談
所は
何を
目的
に業
務を
して
いる
ので
あろ
うか
。児
童福
祉法
では
、
「す
べて
国民
は、
児童
が心
身と
もに
健や
かに
生ま
れ、
且つ
、育
成さ
れる
よう
努め
なけ
れば
なら
ない
。す
べて
児童
は、
ひと
しく
その
生活
を保
障さ
れ、
愛護
され
なけ
れば
なら
ない
。」(第
1条
)とし
、「国
及び
地方
公共
団体
は、
児童
の保
護者
とと
もに
、児
童を
心
身と
もに
健や
かに
育成
する
責任
を負
う。」
(第2
条)と
され
てい
る。
この
児童
福祉
法
の理
念を
具体
的に
実現
する
こと
が児
相に
与え
られ
たミ
ッシ
ョン
であ
る。
子ど
もは
発達
の過
程で
大人
とし
て社
会生
活を
送る
ため
に必
要な
様々
な知
識や
技能
を
適切
に身
につ
けて
いく
必要
があ
る(子
ども
の発
達上
のニ
ーズ
)。こ
れら
の習
得の
ため
に社
会は
、さ
まざ
まな
シス
テム
を整
備し
、保
護者
によ
る養
育を
サポ
ート
して
いる
。大
半の
子ど
も達
は、保
育や
幼稚
園に
はじ
まる
養育
・教
育シ
ステ
ムの
サポ
ート
で大
人に
なっ
てい
くこ
とが
可能
であ
る。
しか
し、
何ら
かの
要因
によ
って
習得
がう
まく
いか
ない
子ど
も達
も存
在す
るた
め、
専門
家に
よる
支援
が準
備さ
れて
おり
、そ
の中
核的
な役
割を
担っ
てき
たの
が児
童相
談所
であ
る。
2
.児
相の
支援
児童
虐待
が社
会問
題化
する
以前
は、
児童
相談
所が
おこ
なう
支援
の大
半は
、保
護者
の
ニー
ズ(心
配)か
ら相
談が
始ま
り、
診断
を経
て、
子ど
もへ
は課
題に
対す
る直
接的
な支
援と
保護
者に
は適
切な
関わ
りが
でき
るよ
うサ
ポー
トす
る形
で、
保護
者の
心配
を解
消し
てき
た。
これ
らの
支援
は、
心理
療法
やソ
ーシ
ャル
ワー
クの
中核
をな
す、
受容
・共
感モ
デル
によ
るも
ので
あり
、同
意・
承諾
が根
底に
あり
、保
護者
と対
立す
るよ
うな
関係
は想
定さ
れて
いな
い。
伝統
的に
児相
はこ
のク
リニ
ック
的な
支援
を目
指し
て専
門性
を磨
いて
きた
ので
ある
が、
虐待
対応
では
保護
者に
相談
のニ
ーズ
がな
く、
子ど
もの
問題
に置
き換
えて
支援
を行
うこ
とが
子ど
もの
安全
を確
保す
るこ
とに
なら
ない
場合
が多
く、
新た
な支
― 1
0 ―
総論/ 虐待対応における保護者支援を考える
総論/ 虐待対応における保護者支援を考える
― 1
1 ―
援モ
デル
が必
要と
なっ
た。
海外
の様
々な
取り
組み
が紹
介さ
れる
中で
、適
切な
養育
スキ
ルの
学習
をテ
ーマ
にし
た
ペア
レン
トト
レー
ニン
グや
児童
虐待
対応
の現
場の
工夫
をま
とめ
、構
造化
した
サイ
ンズ
・オ
ブ・
セイ
フテ
ィ(S
igns
of
Saf
ety)
や枝
分か
れし
たパ
ート
ナリ
ング
・フ
ォー
・
セイ
フテ
ィ(P
artn
erin
g fo
r S
afet
y)(
以下
、こ
の二
つの
枠組
みを
SoS
等と
略す
)
など
が支
援の
方法
とし
て取
り入
れら
れる
よう
にな
って
きて
いる
。家
庭復
帰の
必修
条件
とし
てペ
アレ
ント
トレ
ーニ
ング
の受
講を
設定
して
保護
者対
応を
して
いた
こと
もあ
った
が、
プロ
グラ
ム受
講と
子ど
もの
安全
がイ
コー
ルと
なら
ない
場合
が多
く、
プロ
グラ
ムは
道具
とし
て活
用し
て、
子ど
もの
安全
に焦
点を
当て
た支
援の
枠組
みと
して
SoS
等を
取
り入
れ、
虐待
対応
に取
り組
まれ
るよ
うに
なっ
てき
てい
る。
3
.支
援者
の立
ち位
置と
方法
論
繰り
返し
にな
るが
、児
童相
談所
の社
会的
使命
は、
子ど
もの
権利
擁護
と発
達保
障に
あ
る。
子ど
もの
場合
、将
来、
大人
にな
った
時に
社会
の構
成員
とし
て生
活し
てい
くた
めに
必要
な知
識や
行動
様式
など
を身
につ
けて
いく
こと
が必
要で
あり
、現
在だ
けで
なく
、過
去か
ら未
来に
わた
る子
ども
の生
活と
発達
保障
を視
野に
入れ
てお
く必
要が
ある
。し
た
がっ
て相
談内
容に
よっ
て問
題と
対応
方法
が異
なる
場合
はあ
るが
、目
指す
とこ
ろは
子ど
もの
ウェ
ルビ
ーイ
ング
の実
現で
ある
。
この
目標
達成
のた
めに
は保
護者
との
協働
が不
可欠
な要
素で
ある
。し
かし
、虐
待対
応
の場
合、
非審
判的
な受
容で
は虐
待行
為を
容認
して
しま
うこ
とに
なる
ため
、部
分受
容に
なり
、評
価を
示さ
なけ
れば
なら
ない
場面
も多
くあ
る。
また
、子
ども
の最
善の
利益
を優
先す
る必
要が
ある
こと
から
親権
を制
限す
るこ
とも
ある
わけ
で、
保護
者の
役割
を支
援者
が肩
代わ
りす
るこ
とも
少な
くな
い。
また
、相
談・
治療
(支
援的
関与
)で
は、
親子
の利
害は
一体
のも
のと
考え
、た
とえ
子
ども
が来
談し
なく
ても
保護
者に
対す
る支
援が
間接
的に
子ど
もの
発達
保障
につ
なが
ると
考え
るの
だが
、虐
待対
応(
介入
的関
与)
では
、保
護者
と子
ども
の利
害は
独立
と考
え、
それ
ぞれ
の課
題を
明ら
かに
して
適切
な支
援を
講じ
てい
く必
要が
ある
。
-308-
― 1
2 ―
総論/ 虐待対応における保護者支援を考える
総論/ 虐待対応における保護者支援を考える
― 1
3 ―
この
よう
に、
枠組
みや
方法
論が
かな
り異
なる
とこ
ろが
あり
、現
場出
身の
研究
者*1
らの
報告
や講
義な
どを
ベー
スに
加筆
して
整理
した
もの
を表
1に
示す
。(現
時点
での
整理
であ
り、
様々
な意
見が
あり
、今
後も
検討
を続
けて
いく
必要
なも
ので
ある
こと
をお
断り
して
おく
)
表1
虐待
対応
(介
入的
関与
)相
談・
治療
(支
援的
関与
)
目的
ウェ
ルビ
ーイ
ング
:個
人の
権利
や自
己実
現が
保障
され
、身
体的
、精
神的
、社
会的
に良
好な
状態
にあ
るこ
と子
ども
が育
ちの
過程
で獲
得す
る必
要が
ある
価値
観や
物の
捉え
方や
行動
の様
式な
どを
安全
・安
心に
獲得
して
いく
こと
を保
障す
る
支援
のた
めの
原則
子ど
もの
安全
・安
心な
生活
を最
優先
し、
法に
定め
られ
た権
限を
行使
して
いく
(リ
スク
マネ
ジメ
ント
)告
知、
聴取
、丁
寧な
説明
によ
る理
解と
協力
を求
める
努力
はす
るが
、義
務権
限の
執行
にお
いて
同意
・承
諾は
必須
とな
らな
い。
不作
為(権
限の
不行
使)を
とが
めら
れる
ニー
ドを
スタ
ート
ライ
ンと
して
、ク
ライ
エン
トの
ペー
スに
合わ
せ、
受容
、傾
聴、
同意
、承
諾を
原則
とし
てサ
ポー
トし
てい
く
対象
者介
入さ
れた
家族
自発
的な
クラ
イエ
ント
(親
)
ゴー
ル支
援機
関に
よっ
て定
義ク
ライ
エン
トに
よる
定義
アセ
スメ
ント
第三
者へ
の調
査を
含む
客観
的情
報に
基づ
くア
セス
メン
トク
ライ
エン
トか
ら提
供さ
れる
主観
的情
報に
基づ
くア
セス
メン
ト
守秘
要保
護児
童対
策地
域協
議会
(法定
協議
会)に
おけ
る情
報共
有が
可能
秘密
:秘
密は
虐待
と仲
良し
…だ
から
オー
プン
に
承諾
なし
に連
携や
情報
共有
など
はで
きな
い秘
密:
秘密
は安
心の
場の
提供
…良
好な
関係
の証
(あか
し)
親権
明ら
かな
親権
への
制限
・制
止を
含む
対応
親権
に対
して
根拠
をも
って
権限
介入
する
義務
親権
を当
事者
の権
利と
して
上位
に置
く 親権
者の
意に
反す
る対
応は
原則
的に
不可
親子
関係
親子
の利
害は
独立
と考
え、
時に
利益
相反
も想
定し
、子
の安
全と
最善
の利
益の
保障
が最
優先
子の
安全
のた
めに
は理
由を
示し
て親
の抵
抗排
除
親子
の利
害は
一体
的な
価値
とし
て考
える
親と
の良
き相
談関
係が
子に
利益
をも
たら
す
専門
職の
役割
社会
的統
制と
影響
力を
うま
く行
使す
るコ
ーデ
ィネ
ータ
。ジ
ョイ
ニン
グと
傾聴
など
の基
礎的
な技
術+
解決
思考
の面
接技
術+
SoS
等の
フレ
ーム
ワー
ク
クラ
イエ
ント
が欲
する
もの
に焦
点を
合わ
せる
促進
者。
治療
構造
論に
基づ
く療
法・
ソー
シャ
ルワ
ーク
の技
術
― 1
2 ―
総論/ 虐待対応における保護者支援を考える
総論/ 虐待対応における保護者支援を考える
― 1
3 ―
4
.ア
セス
メン
ト…
育ち
のリ
スク
と支
援の
関係
を明
らか
に
効果
的な
支援
を行
って
いく
ため
には
、現
在の
子ど
もの
状態
、子
ども
への
かか
わり
方、
生活
の状
況な
どの
情報
を集
め、
その
関係
性を
明ら
かに
して
いく
アセ
スメ
ント
が必
要で
ある
。ア
セス
メン
トを
実施
して
いく
うえ
で、
どの
よう
な項
目に
注目
すれ
ばい
いの
かを
端的
に示
して
くれ
るの
がコ
モン
・ア
セス
メン
ト・
フレ
ーム
ワー
ク(
CA
F:C
omm
on
Ass
essm
ent
Fram
ewor
k)で
ある
。こ
れは
、英
国に
おい
て複
合的
課題
があ
り、
支
援を
必要
とす
る子
ども
たち
につ
いて
の総
合的
なア
セス
メン
トを
行い
、支
援に
関わ
る機
関と
家族
が共
有す
るこ
とで
、効
果的
・効
率的
な支
援を
行う
ため
に国
家的
なレ
ベル
で取
り組
まれ
てい
るも
ので
ある
。図
2は
、日
本で
紹介
され
てい
る文
献や
報告
書を
もと
に虐
待対
応を
考え
るた
めに
筆者
が加
工し
たも
ので
ある
。
大ま
かに
整理
する
と「
子ど
もの
状態
像」「
養育
力」「
家庭
・環
境要
因」
の3
つの
領域
に分
けら
れる
。現
在の
子ど
もの
育ち
に関
する
課題
につ
いて
、こ
れら
の領
域の
要素
がど
のよ
うに
関連
して
いる
のか
を明
らか
にし
、課
題解
決の
ため
に何
が必
要な
のか
を考
えて
いく
こと
にな
る。
①子
ども
の状
態像
面接
や心
理検
査、行
動観
察、関
係機
関へ
の調
査な
どか
ら、現
在の
身体
、知的
能力
、情緒
、
自己
イメ
ージ
、セ
ルフ
ケア
スキ
ル、
ソー
シャ
ルス
キル
など
の発
達状
況を
明ら
かに
する
。
次に
現在
の子
ども
の状
態か
ら保
護者
の養
育能
力や
家庭
・環
境要
因の
影響
を推
測し
、ど
のよ
うな
育ち
をし
てき
たの
かの
仮説
を立
て、
健全
な発
達を
促す
ため
にど
のよ
うな
関わ
りが
必要
なの
かを
検討
する
こと
にな
る。
②養
育力
養育
力と
は、
子ど
もが
健全
に育
って
いく
ため
に必
要な
関わ
り方
のこ
とで
あり
、安
全
と安
心を
保障
する
基本
的な
ケア
、情
緒的
な暖
かさ
と安
定性
、指
導・
励ま
し・
しつ
けな
どに
大別
でき
る。
1
山本
恒雄
(日
本子
ども
家庭
総合
研究
所):
日本
子ど
も虐
待防
止学
会、
松本
大会
のシ
ンポ
ジュ
ーム
、
安部
計彦
(西
南学
院大
学):
子ど
もの
虹情
報研
修セ
ンタ
ー研
修な
ど
-309-
― 1
4 ―
総論/ 虐待対応における保護者支援を考える
総論/ 虐待対応における保護者支援を考える
― 1
5 ―
ア)
安全
と安
心を
保障
する
基本
的ケ
ア
子ど
もの
生理
的欲
求を
充足
する
関わ
りの
こと
で、
衣食
住、
健康
のた
めの
配慮
、
危険
や危
害か
ら守
られ
るよ
う配
慮す
るこ
とな
どで
ある
。
イ)
情緒
的な
暖か
さと
安定
性
子ど
もの
情緒
的な
欲求
が満
たさ
れる
よう
受容
的に
接し
、自
尊感
情を
持て
るよ
う、
子ど
もを
認め
たり
、励
まし
たり
、褒
めた
りす
る安
定し
たか
かわ
りを
持つ
こ
とで
ある
。
ウ)
指導
・激
励・
しつ
け
適切
な刺
激を
与え
、子
ども
が自
らの
感情
をコ
ント
ロー
ルで
き、
社会
生活
を適
応的
に送
って
いく
ため
の価
値観
や行
動原
理を
身に
つけ
られ
るよ
う指
導し
てい
く
こと
であ
る。
これ
らに
つい
て、
保護
者面
接、
関係
者へ
の調
査な
どに
よっ
て明
らか
にし
、子
ども
の
状態
像と
関連
付け
て評
価を
する
必要
があ
る。
③家
庭・
環境
要因
生活
の土
台と
なる
住環
境、
家庭
の経
済活
動を
支
える
収入
や就
労、
地域
社
会と
家庭
のか
かわ
り、
援
助者
との
関係
など
のこ
と
であ
り、
客観
情報
とし
て
得や
すい
要因
であ
る。
こ
の家
庭・
環境
要因
は、
具
体的
な援
助と
して
分か
り
やす
いも
ので
ある
ため
、
プラ
ンニ
ング
の中
心に
す
えら
れが
ちで
ある
が、
子ど
もの
状態
の改
善、
育ち
のサ
ポー
トに
どう
役立
って
いる
のか
とい
う視
点が
大切
にな
る。
子ど
もの
育ち
につ
いて
のア
セス
メン
トで
は、
問題
にか
かわ
る情
報が
集ま
るた
め、
リ
図2
― 1
4 ―
総論/ 虐待対応における保護者支援を考える
総論/ 虐待対応における保護者支援を考える
― 1
5 ―
スク
中心
の評
価と
なる
とな
りが
ちで
ある
が、
子ど
もの
育ち
に役
立つ
かか
かわ
りや
、優
れた
かか
わり
とい
った
スト
レン
グス
につ
いて
の情
報も
収集
し、
SoS
等の
整理
様式
(鈴
木浩
之氏
が後
述)等
によ
って
包括
的な
アセ
スメ
ント
を行
い、
子ど
も・
保護
者・
支援
者
のニ
ーズ
をす
り合
わせ
て総
合的
な支
援に
つな
がる
評価
とす
る必
要が
ある
。
5
.プ
ログ
ラム
の役
割と
活用
本研
究で
は、
SoS
等の
よう
な対
応の
ため
の枠
組み
(方法
論)で
あっ
たり
、養
育力
を高
める
ため
のペ
アレ
ント
トレ
ーニ
ング
であ
った
り、
養育
者自
身の
内的
課題
を解
決す
るた
めの
方法
など
さま
ざま
な取
り組
みが
保護
者支
援の
プロ
グラ
ムと
して
紹介
され
てい
る。
実際
の虐
待対
応で
はS
oS等
を土
台と
して
各種
のプ
ログ
ラム
を実
施す
るこ
とに
な
るの
だが
、そ
れぞ
れの
プロ
グラ
ムに
はね
らい
目や
方法
に特
徴が
あり
、そ
の特
性を
理解
し、
包括
的な
アセ
スメ
ント
によ
り、
プロ
グラ
ム学
習を
含め
た支
援計
画を
立て
てい
く必
要が
ある
。こ
の支
援計
画や
プロ
グラ
ム受
講は
、保
護者
自身
が自
らの
変化
や成
長を
求め
て受
講す
るこ
とに
よっ
て最
大限
の効
果を
生じ
るも
ので
あり
、育
ちの
安全
の大
切さ
を共
有し
、受
講意
欲の
持続
と学
んだ
もの
を子
ども
の養
育の
中で
使い
、自
分の
もの
にし
ても
らえ
るよ
うな
丁寧
なサ
ポー
トが
必要
にな
る。
何か
一つ
のプ
ログ
ラム
に取
り組
んで
もら
うだ
けで
は、
効果
は限
定的
で、
それ
が汎
化
して
子ど
もの
育ち
の安
全を
保障
して
いく
には
時間
がか
かっ
てし
まう
場合
が多
い。
その
間も
保護
者に
よる
不適
切な
かか
わり
は続
くこ
とに
なり
、子
ども
は好
まし
くな
い体
験に
よっ
て社
会不
適応
的な
価値
観や
スキ
ルを
身に
つけ
、生
きに
くい
生活
を送
るこ
とに
なっ
てし
まう
こと
にな
るた
め、
子ど
もへ
の支
援も
並行
して
行っ
てい
く必
要が
ある
。
6
.リ
スク
マネ
ジメ
ント
保護
者支
援に
つい
て述
べて
きた
わけ
では
ある
が、
あく
まで
虐待
対応
は子
ども
の発
達
上の
ニー
ズの
充足
を妨
げ、
歪め
てし
まう
不適
切な
かか
わり
を如
何に
ブロ
ック
し、
子ど
もの
安全
・安
心な
育ち
をど
う保
障し
てい
くの
かと
いう
リス
クマ
ネジ
メン
トで
あり
、保
護者
の成
長・
変化
が主
たる
目的
では
ない
。
もち
ろん
、子
ども
の育
ちの
安全
を確
保す
る支
援は
、家
族の
生活
のク
オリ
ティ
を高
め
-310-
― 1
6 ―
総論/ 虐待対応における保護者支援を考える
総論/支援プログラムと子どもの安全について
― 1
7 ―
る支
援で
あり
、介
入に
よっ
て傷
つい
た保
護者
の自
信や
自尊
心の
回復
にも
つな
がる
。そ
のた
め、
継続
的な
支援
が保
護者
のニ
ーズ
を引
き出
し、
自発
的変
化を
引き
出し
てい
くと
、
支援
者の
意識
が支
援的
関与
のよ
うな
同意
・承
諾を
必要
とす
る関
係に
移行
し、
保護
者の
治療
が目
的の
支援
にな
って
しま
う可
能性
があ
る。
保護
者と
対立
して
支援
関係
が切
れて
しま
うこ
とを
危惧
して
、子
ども
の安
全を
脅か
すよ
うな
事態
を過
小評
価す
るこ
とが
ない
よう
、常
にボ
トム
ライ
ンを
意識
し、
面接
でも
口に
する
こと
が大
切に
なる
。
最後
に本
節は
、現
時点
での
考え
であ
り、
児童
相談
所の
取り
組み
の考
え方
は変
化し
て
いく
もの
であ
り、
読者
ご自
身が
業務
の刺
激と
して
受け
止め
、工
夫を
重ね
って
いっ
てほ
しい
と考
える
。
参考
文献
・イ
ギリ
ス保
健省
・内
務省
・教
育雇
用省
(松
本伊
智朗
、屋
代通
子訳
)、「
子ど
もの
保
護の
ため
のワ
ーキ
ング
・ト
ゥギ
ャザ
ー
児童
虐待
対応
のイ
ギリ
ス政
府ガ
イド
ライ
ン」、
医学
書院
、20
02
・川
崎二
三彦
他、「
イギ
リス
にお
ける
児童
虐待
の対
応視
察報
告書
」、子
ども
の虹
情報
研修
セン
ター
、20
07
・内
閣府
政策
統括
官(
共生
社会
政策
担当
)、「
英国
の青
少年
育成
施策
の推
進体
制等
に
関す
る調
査報
告書
」、20
09
・井
上直
美・
井上
薫編
「子ど
も虐
待防
止の
ため
の家
族支
援ガ
イド
」-サ
イン
ズ・
オ
ブ・
セイ
フテ
ィ・
アプ
ロー
チ入
門-
明石
書店
2008
・山
本恒
雄他
「児
童相
談所
等に
おけ
る保
護者
支援
の在
り方
に関
する
実証
的研
究」
厚
生労
働科
学研
究 2
010
・宮
井研
治編
「子ど
も・
家族
支援
に役
立つ
面接
の技
とコ
ツ」
明石
書店
20
12
・山
本恒
雄「
児童
相談
所に
おけ
る保
護者
支援
の現
状と
今後
の課
題に
つい
て」
子ど
も
の虐
待と
ネグ
レク
ト15
巻3
号、
岩崎
学術
出版
201
3
・大
島剛
他 「
発達
相談
と新
版K
式発
達検
査」
明石
書店
201
3
― 1
6 ―
総論/ 虐待対応における保護者支援を考える
総論/支援プログラムと子どもの安全について
― 1
7 ―
は
じめ
に
(危機
)介入
から
始ま
った
虐待
対応
が「支
援」
に移
行す
るこ
とで
、「保
護者
支援
の本
来的
な課
題が
すり
かえ
られ
たり
、そ
もそ
も介
入的
な判
断か
ら開
始さ
れた
作業
の意
義が
きち
んと
評価
され
ない
まま
、支
援名
目の
関係
性だ
けが
一人
歩き
して
しま
った
りす
るな
どの
問題
が浮
かび
上が
るこ
とと
なっ
てき
た(2
013
山本
)」と
いう
指摘
があ
る。
この
指摘
を真
摯に
受け
止め
るな
かで
、少
なく
とも
言え
るこ
とは
、子
ども
虐待
のソ
ー
シャ
ルワ
ーク
にお
いて
、子
ども
の安
全を
前提
とし
ない
「保
護者
支援
」は
成立
しな
い、
とい
うこ
とで
ある
。ま
た、「
保護
者支
援」
とい
う枠
組み
が子
ども
の安
全か
ら焦
点が
外
れる
ので
あれ
ば、
たと
え、
どれ
だけ
優れ
た「プ
ログ
ラム
」が
あっ
たと
して
も、
もは
や
それ
は「
保護
者支
援」
とは
いえ
ない
。こ
こで
言う
「保護
者支
援の
本来
的な
課題
」と
は
「子ど
もの
安全
の追
及」
であ
るこ
とに
他な
らな
い。
1
. 子
ども
の安
全に
焦点
を当
て続
ける
こと
の難
しさ
とそ
の理
由
しか
し、
子ど
もの
安全
から
焦点
をず
らさ
ない
とい
うこ
とは
、子
ども
虐待
の実
務に
携
わる
立場
から
して
も、
それ
ほど
簡単
なこ
とで
はな
い。
これ
らの
難し
さの
背景
、そ
して
、そ
の難
しさ
から
くる
前述
の混
乱の
理由
とし
て、
児
童相
談所
に二
つの
矛盾
しが
ちな
役割
が担
わさ
れて
いる
とい
うこ
とが
ある
ので
はな
いか
。
ひと
つは
、子
ども
の命
と安
全・
安心
を守
るた
めの
危機
介入
とし
ての
役割
であ
る。(
48
時間
以内
の目
視に
よる
安全
確認
、職
権一
時保
護、
立ち
入り
調査
、臨
検捜
索、
28条
申立
て、
親権
停止
、親
権喪
失等
)そ
して
もう
ひと
つは
家族
が再
び安
心し
て暮
らせ
るた
めの
支援(
「児
童虐
待の
防止
等に
関す
る法
律」第
11条「
児童
虐待
を行
った
保護
者に
対す
る指
導」
とし
て「
…指
導は
、親
子の
再統
合へ
の配
慮そ
の他
の児
童虐
待を
受け
た児
童が
良好
な家
庭
環境
で生
活す
るた
めに
必要
な配
慮の
もと
に適
切に
行わ
れな
けれ
ばな
らな
い。」
) で
ある
。
支援
プロ
グラ
ムと
子ど
もの
安全
につ
いて
~サ
イン
ズ・
オブ
・セ
イフ
ティ
ーに
学び
なが
ら~
-311-
― 1
8 ―
総論/支援プログラムと子どもの安全について
総論/支援プログラムと子どもの安全について
― 1
9 ―
立ち
入り
調査
、臨
検捜
索、
職権
一時
保護
など
の危
機介
入の
強力
な権
限と
、そ
の後
の
「支援
」の
ほと
んど
すべ
てを
児童
相談
所が
行わ
なけ
れば
なら
ず、
司法
的な
関与
は児
童
福祉
法第
28条
のよ
うな
限ら
れた
ケー
スで
しか
ない
とい
うこ
とが
ある
。し
たが
って
、
司法
的な
コン
トロ
ール
下に
おい
て福
祉的
な支
援が
行わ
れる
とい
うこ
とは
ほと
んど
ない
とい
うの
が実
情で
ある
。
先述
の「
介入
的な
判断
から
開始
され
た作
業の
意義
がき
ちん
と評
価さ
れな
いま
ま、
支
援名
目の
関係
性だ
けが
一人
歩き
して
しま
った
りす
る」
のは
、子
ども
虐待
対応
の時
間軸
の中
で、
ここ
に示
した
二つ
の矛
盾し
がち
な役
割が
、危
機介
入か
ら「
支援
」に
、根
拠も
乏し
くい
つし
か変
わっ
てし
まう
場面
であ
る。
その
結果
、子
ども
の安
全に
焦点
を合
わせ
てい
たは
ずが
、「保
護者
支援
の本
来的
な課
題」
を見
失っ
た「
支援
」の
なか
で、
子ど
も
の安
全の
テー
マが
あい
まい
にな
って
しま
うの
であ
る。
危機
介入
が「支
援」
にす
り替
わっ
てし
まう
、そ
の理
由は
いく
つか
思い
当た
る。
たと
えば
、次
のこ
とで
ある
。
(1)危
機介
入に
伴う
虐待
の告
知は
、児
童福
祉司
にと
って
は相
当ス
トレ
スフ
ルな
もの
で
あり
、知
らず
知ら
ずに
スト
レス
を低
減す
るよ
うな
方向
にベ
クト
ルが
向い
てし
まう
。
常に
、保
護者
に安
全を
問い
かけ
てい
くこ
とは
容易
では
なく
、そ
れを
実現
する
実践
モデ
ルの
確立
もい
まだ
途上
であ
る。
(2)長
い関
係性
のな
かで
親を
「信頼
した
い」
とい
う思
いが
生じ
てし
まう
。相
談関
係は
時に
冷静
なリ
スク
アセ
スメ
ント
を阻
害し
てし
まう
こと
があ
る。
(3)ス
トレ
ング
ス・
ベー
スド
・ア
プロ
ーチ
の表
層的
な理
解か
ら、
安全
がな
いが
しろ
に
なる
。本
来の
スト
レン
グス
・ベ
ース
ド・
アプ
ロー
チが
安全
を軽
んじ
るこ
とは
ない
。
(4)児
童福
祉司
は、
泣き
声通
告や
警察
から
のD
Vに
関わ
る心
理的
虐待
の通
告の
安全
確
認に
忙殺
され
てお
り、
丁寧
な対
応を
した
くて
もで
きな
い現
実が
ある
。
(5)そ
して
、「支
援的
」「介
入的
」と
いっ
ても
、多
くの
場合
は児
童福
祉司
が、
二つ
の役
割を
担わ
ざる
を得
ない
。頭
では
理解
して
も、
実務
的に
線を
なか
なか
引け
ない
とい
うこ
とが
生ま
れる
。職
場の
中で
、役
割分
担を
する
場合
もあ
ろう
がそ
れで
あっ
ても
、
同一
の機
関で
ある
。小
さな
児童
相談
所で
あれ
ば、
その
こと
すら
困難
であ
る。
その
他に
も、
理由
はあ
るだ
ろう
。
― 1
8 ―
総論/支援プログラムと子どもの安全について
総論/支援プログラムと子どもの安全について
― 1
9 ―
2
.子
ども
の安
全か
ら焦
点を
はず
さな
いた
めに
「保護
者支
援の
本来
的な
課題
」と
は「子
ども
の安
全の
追及
」で
ある
こと
はす
でに
述
べた
。で
ある
なら
、ケ
ース
の介
入の
始ま
りか
ら、
終結
まで
常に
その
こと
から
目を
離し
ては
なら
ない
ので
あり
、そ
れを
実現
する
実践
モデ
ルを
持た
なけ
れば
なら
ない
。
残念
なが
ら、
これ
をす
れば
すべ
てが
うま
くい
くと
いう
方法
はな
いし
、業
務に
忙殺
さ
れる
中で
、効
率の
良い
方法
もな
かな
か見
つか
らな
い。
もっ
とも
、こ
れで
大丈
夫と
思っ
た瞬
間か
ら、
子ど
もの
安全
は危
ぶま
れる
わけ
であ
って
、実
践家
は常
に子
ども
の安
全と
それ
を実
現す
る方
法を
考え
続け
なけ
れば
なら
ない
。
本調
査研
究の
中で
報告
され
てい
るが
、
全国
の児
童相
談所
の
中で
サイ
ンズ
・オ
ブ・
セイ
フテ
ィー
・ア
プ
ロー
チ(以
下、
サイ
ンズ
)を四
分の
一が
取り
入れ
てい
ると
い
う調
査結
果が
ある
。
これ
は、
上記
の実
践
モデ
ルの
構築
に対
す
るひ
とつ
の期
待と
も
思わ
れる
。
しか
し、
一方
で児
童相
談所
の現
場で
はサ
イン
ズを
どの
よう
に導
入し
てい
るの
だろ
う
か。
サイ
ンズ
が紹
介す
る様
々な
ツー
ルは
日々
の虐
待対
応で
役に
立つ
もの
が多
い。
しか
し、
その
使わ
れ方
によ
って
はサ
イン
ズが
目指
して
いる
方向
とは
異な
る道
に迷
い込
むこ
とも
ある
。図
はサ
イン
ズで
行わ
れる
「マ
ッピ
ング
」の
ため
の「
スリ
ーコ
ラム
」と
いう
ツー
ルで
あり
すで
に多
くの
児童
相談
所で
活用
され
てい
る。
しか
し、
スリ
ーコ
ラム
を整
理す
れば
、子
ども
の安
全が
マニ
ュア
ルの
ごと
く生
み出
さ
-312-
― 2
0 ―
総論/支援プログラムと子どもの安全について
総論/支援プログラムと子どもの安全について
― 2
1 ―
れる
とい
うこ
とは
決し
てな
い。
対話
によ
って
、家
族と
支援
者が
これ
に示
され
たこ
との
一つ
一つ
を丁
寧に
、そ
して
、慎
重に
進め
てい
くこ
とが
求め
られ
る。
家族
のス
トレ
ング
スに
注目
しな
がら
、子
ども
の安
全に
は一
切妥
協の
ない
、質
の高
い対
話が
なさ
れな
けれ
ばな
らな
い。
そし
て、
支援
者は
家族
に、
しつ
こい
ほど
に質
問を
重ね
、虐
待に
対す
る
「例外
」を
家族
と協
働し
て探
求し
、問
題解
決の
糸口
とし
てい
くの
であ
る。
サイ
ンズ
のマ
ッピ
ング
は、
家族
と子
ども
の虐
待を
めぐ
って
率直
な対
話が
なさ
れ、
子
ども
の安
全を
構築
する
こと
の話
し合
いが
でき
るよ
うな
枠組
み、
考え
方の
ガイ
ドと
なる
よう
にデ
ザイ
ンさ
れて
いる
。し
かし
、こ
れを
実効
ある
もの
とす
るの
は、
やは
り、
支援
者と
家族
の対
話で
あり
、そ
こか
ら生
まれ
る関
係性
であ
るこ
とは
言う
まで
もな
い。
私の
理解
の範
囲で
、子
ども
の安
全か
ら目
をそ
らさ
ず、
家族
と対
話を
率直
に話
し合
い
進め
てい
くた
めの
ポイ
ント
を、
スリ
ーコ
ラム
をガ
イド
にし
て考
えて
みた
い。
(1) ま
ずは
、児
童相
談所
が関
わっ
た理
由、
子ど
もに
何が
起き
たの
かを
、家
族と
児童
相
談所
が率
直に
、つ
ぶさ
に共
有す
るこ
とで
ある
。そ
して
、そ
の共
有は
危機
介入
から
なる
べく
早い
時期
に行
われ
るこ
とが
必要
であ
る。
サイ
ンズ
は、
保護
者が
落ち
着い
た場
面で
の家
族再
統合
のス
キル
と考
えら
れる
こと
があ
るが
、正
確な
理解
では
ない
。
(ハー
ム・
ステ
イト
メン
ト)
(2)
そし
て、
その
問題
が解
消さ
れな
いと
き、
子ど
もの
将来
にど
んな
影響
を及
ぼす
こ
とに
なる
のか
、その
心配
を明
確に
示し
、家族
と共
有す
るこ
とで
ある
。そ
のた
めに
は、
家族
との
共同
作業
の中
で、
文章
に起
こし
て共
有し
てい
くこ
とが
大切
にな
る。
専門
職の
言葉
では
なく
、家
族と
共有
でき
る言
葉で
、子
ども
のお
かれ
てい
る状
態を
言い
当て
るも
ので
なけ
れば
なら
ない
。こ
の点
が、
あい
まい
にな
って
しま
うと
そも
そも
何の
ため
の対
話な
のか
がわ
から
なく
なっ
てし
まう
。さ
らに
、こ
の部
分は
家族
の専
門性
と児
童相
談所
の専
門性
を動
員し
たリ
スク
アセ
スメ
ント
にな
って
いる
。専
門職
がチ
ェッ
クリ
スト
を使
って
アセ
スメ
ント
する
もの
とは
異な
り、
虐待
はど
んな
きっ
かけ
によ
って
発生
し、
どの
よう
に維
持さ
れて
きた
のか
など
を家
族と
つぶ
さに
検討
し、
虐待
の仕
組み
につ
いて
の共
通理
解を
積み
上げ
てい
く。
(デン
ジャ
ー・
ステ
イ
トメ
ント
)
(3) そ
して
、児童
相談
所は
、これ
らの
子ど
もに
関わ
る心
配が
どん
な状
態(子
ども
の安
全・
― 2
0 ―
総論/支援プログラムと子どもの安全について
総論/支援プログラムと子どもの安全について
― 2
1 ―
安心
が守
られ
てい
る状
態像
)にな
るこ
とを
家族
に求
めて
いる
のか
、明
確に
示す
こ
とが
必要
であ
る。
これ
まで
児童
相談
所は
家族
の問
題の
指摘
はし
ても
、そ
れが
どう
なれ
ばよ
いか
の子
ども
の状
態像
、問
題の
解決
像ま
でを
示し
、家
族と
共有
する
こと
は少
なか
った
ので
はな
いか
。
(児童
相談
所の
示す
セイ
フテ
ィー
ゴー
ル・
ステ
イト
メン
ト)
(4) そ
の上
で、
家族
に児
童相
談所
が示
した
子ど
もの
状態
像を
踏ま
えて
、家
族の
目標
(ゴー
ル)を
示し
ても
らう
。家
族が
家族
自身
の未
来の
状態
像を
豊か
に語
るこ
とが
、
家族
がセ
イフ
ティ
ー・
ゴー
ルを
イメ
ージ
する
助け
にな
る。
(家族
が示
すゴ
ール
)
(5) 児
童相
談所
は子
ども
の安
全に
関し
て絶
対譲
れな
いラ
イン
を示
し、
家族
と目
標を
共
有す
る。
ここ
で、
子ど
もの
安全
のゴ
ール
が共
有さ
れる
。こ
れに
よっ
て、
家族
と児
童相
談所
が、
どこ
に向
かっ
て歩
いて
いけ
ばよ
いの
かが
明確
に共
有さ
れる
。ゴ
ール
が見
えな
けれ
ば、ど
こに
向か
って
歩み
出せ
ばよ
いの
かわ
から
ない
。(ボ
トム
ライ
ン)
(6) そ
して
、こ
の目
標を
実現
する
ため
の安
全計
画を
家族
自身
に立
てて
もら
う。
計画
の
立案
は家
族自
身が
行う
ので
ある
。従
来、
児童
相談
所が
家庭
訪問
や通
所の
計画
を立
てた
り、
時に
ペア
レン
ト・
トレ
ーニ
ング
を課
すこ
とな
どを
引き
取り
の条
件と
した
が、
それ
とは
大き
く異
なる
。さ
らに
、安
全計
画は
児童
相談
所等
を十
分に
納得
させ
るも
ので
なけ
れば
なら
ない
。子
ども
の安
全に
妥協
はし
ない
。(セ
イフ
ティ
ー・
プ
ラン
)
(7) 安
全計
画の
実現
は家
族だ
けで
行わ
れる
ので
はな
く、
家族
は子
ども
の安
全を
守る
た
めの
イン
フォ
ーマ
ル・
ネッ
トワ
ーク
を、
親族
、知
人、
友人
など
あら
ゆる
人た
ちと
構築
する
こと
が求
めら
れる
。公
的機
関の
ネッ
トワ
ーク
には
自ず
と限
界が
あり
、イ
ンフ
ォー
マル
なネ
ット
ワー
クを
構築
する
こと
が永
続的
な安
全を
構築
する
こと
につ
なが
って
いく
ので
ある
。(セ
イフ
ティ
ー・
ネッ
トワ
ーク
の構
築)
(8) 更
に、
安全
計画
の中
心に
常に
子ど
もが
いて
、子
ども
は安
全計
画作
りに
参画
して
い
なけ
れば
なら
ない
。今
何が
起き
てい
るの
か、
なぜ
、保
護所
にい
るの
か、
なぜ
施設
に行
くの
か、
家に
戻っ
たと
きに
何が
心配
され
るの
か、
誰に
頼れ
ばよ
いの
か、
自
分の
意見
はど
のよ
うに
反映
され
るの
かと
いっ
たこ
とを
子ど
も自
身が
わか
らな
いま
ま、
支援
方針
が大
人だ
けで
決め
られ
てい
くこ
とが
ない
よう
にし
なけ
れば
なら
ない
。
-313-
― 2
2 ―
総論/支援プログラムと子どもの安全について
総論/支援プログラムと子どもの安全について
― 2
3 ―
(ワー
ズ&
ピク
チャ
ーズ
等に
よる
子ど
もの
参画
)
(9) 安
全計
画は
子ど
もの
安全
を確
実に
守る
ルー
ルと
ガイ
ドラ
イン
によ
って
構成
され
る。
また
、安
全計
画の
確実
な履
行が
なさ
れて
いる
か否
かの
立証
責任
は家
族に
あり
、
家族
が児
童相
談所
等に
いか
に安
全計
画が
履行
され
、子
ども
の安
全が
守ら
れて
いる
のか
を示
さな
けれ
ばな
らな
いの
であ
る。
(安全
計画
の履
行と
安全
の立
証責
任)
(10)
児童
相談
所の
かか
わり
の終
結は
、実
際に
子ど
もの
安全
が一
定期
間守
られ
続け
た
こと
が確
認さ
れ、
イン
フォ
ーマ
ルな
ネッ
トワ
ーク
に子
ども
の安
全の
担保
を委
ねる
こと
がで
きる
とき
であ
る。
(終結
の理
由と
それ
にい
たる
プロ
セス
)
ここ
に示
した
こと
は、
これ
まで
の児
童相
談所
の実
践を
振り
返っ
てみ
ても
、簡
単な
こ
とで
はな
い。
だか
らこ
そ、
対話
の中
で家
族の
スト
レン
グス
を引
き出
し、
この
困難
な作
業を
やり
ぬく
関係
性が
何よ
り大
切な
のは
言う
まで
もな
い。
特に
、(6
)の安
全計
画を
作る
のは
家族
であ
ると
いう
こと
(7
)の子
ども
の安
全を
め
ぐる
イン
フォ
ーマ
ルな
ネッ
トワ
ーク
を家
族自
身が
構築
しな
けれ
ばい
けな
いと
いう
点。
これ
まで
は虐
待の
事実
を親
族に
知ら
せる
こと
すら
拒否
する
こと
が多
かっ
たこ
とを
考え
れば
、大
きな
課題
であ
る。
(9)の
安全
計画
の確
かな
履行
は、
家族
が立
証し
なけ
れば
な
らな
いと
いう
こと
など
は、
いず
れも
従来
の児
相の
実践
とは
質的
に相
違す
る。
確か
に簡
単な
こと
では
ない
が、
サイ
ンズ
のマ
ッピ
ング
を経
て、
安全
プラ
ンを
作る
こと
を依
頼し
た多
くの
家族
が、
子ど
もの
安全
につ
いて
一生
懸命
考え
、文
章に
して
私た
ちに
示し
てく
れた
経験
をし
てい
る。
安全
のサ
イン
は家
族の
中に
ある
ので
ある
。
上記
の(1
)~(1
0)は
サイ
ンズ
・オ
ブ・
セイ
フテ
ィー
・ア
プロ
ーチ
のす
べて
を言
い
当て
てい
るわ
けで
はな
いと
思う
。し
かし
、こ
こに
示し
たこ
とを
意識
して
組織
的に
進め
てい
る児
童相
談所
はそ
れほ
ど多
くは
ない
ので
はな
いか
と思
う。
おそ
らく
、サ
イン
ズ・
オブ
・セ
イフ
ティ
ー・
アプ
ロー
チを
四分
の一
の児
童相
談所
が取
り入
れて
いる
とい
う本
研究
の調
査結
果は
、そ
のス
キル
を部
分的
に取
り入
れて
いる
、あ
るい
は、
個人
的に
導入
して
いる
とい
うレ
ベル
にと
どま
って
いる
と推
察さ
れる
。
しか
し、
部分
的な
導入
では
子ど
もの
安全
に焦
点を
あて
続け
てい
ると
いう
こと
には
な
らな
い。
時に「
介入
的な
判断
から
開始
され
た作
業の
意義
がき
ちん
と評
価さ
れな
いま
ま、
支援
名目
の関
係性
だけ
が一
人歩
きし
てし
まっ
たり
する
」と
いう
こと
にも
なり
かね
ない
― 2
2 ―
総論/支援プログラムと子どもの安全について
総論/支援プログラムと子どもの安全について
― 2
3 ―
ので
ある
。安
全に
焦点
を当
てた
、で
はな
く、
介入
の最
初か
ら終
結ま
で子
ども
の安
全に
焦点
を合
わせ
続け
ると
いう
こと
が、
今求
めら
れて
いる
ので
ある
。
子ど
も虐
待対
応の
中で
の保
護者
支援
とは
「子
ども
の安
全を
守る
とい
う目
的に
向か
っ
て、
家族
が主
体者
とな
り続
ける
こと
を支
援す
るこ
と」
であ
り、
虐待
のな
い生
活と
いう
選択
肢を
家族
に示
し、
とも
に考
え続
ける
こと
では
ない
かと
思う
。非
常に
、難
しい
実践
であ
る。
しか
し、
この
困難
な作
業を
家族
とや
りき
らな
けれ
ば子
ども
の安
全、
家族
の求
める
未来
には
近づ
いて
いか
ない
ので
ある
。
3
.子
ども
の安
全と
保護
者支
援プ
ログ
ラム
以上
述べ
たよ
うに
、本
論で
紹介
して
いる
様々
な保
護者
支援
プロ
グラ
ムは
子ど
もの
安
全・
安心
の構
築と
いう
土台
の上
に成
り立
つも
ので
ある
。そ
して
、様
々な
支援
プロ
グラ
ムそ
のも
のは
、子
ども
の安
全・
安心
に密
接に
関わ
るも
ので
ある
が、
それ
ぞれ
のプ
ログ
ラム
の目
的、
目標
に近
づく
こと
、達
成が
、安
全・
安心
の構
築と
同じ
では
ない
。し
たが
っ
て、
何ら
かの
プロ
グラ
ムを
実施
した
こと
で安
全が
確保
でき
るわ
けで
はな
い。
では
、支
援プ
ログ
ラム
とは
何で
あろ
うか
。
子ど
も虐
待に
おけ
る保
護者
支援
とは
「子
ども
の安
全を
守る
とい
う目
的に
向か
って
、
家族
が主
体者
とな
り続
ける
こと
を支
援す
るこ
と」、
そし
て、
その
ため
に家
族が
考え
て
いく
枠組
みを
提供
する
こと
で、
家族
の<
これ
から
のあ
り方
>に
つい
ての
選択
肢を
増
やし
、対
話に
よっ
て構
築さ
れた
目標
に向
かっ
て、
家族
と協
働す
るこ
とで
ある
、と
私は
思っ
てい
る。「
保護
者支
援プ
ログ
ラム
」とは
、その
プロ
セス
の中
で、そ
の動
機を
高め
たり
、
それ
を推
進す
るエ
ネル
ギー
とな
った
り、更
に、様
々な
視点
で親
子関
係を
捉え
なお
すき
っ
かけ
であ
った
り、
より
良い
関係
を構
築す
るこ
とな
どを
進め
るた
めに
、家
族自
身が
選択
して
いく
もの
では
ない
だろ
うか
。い
わば
、「安
全の
質」
を高
め、
より
良い
家族
を実
現
して
いく
ため
の方
法論
であ
り、
メニ
ュー
であ
ると
考え
てい
る。
「保
護者
支援
プロ
グラ
ム」
とは
、子
ども
の安
全と
いう
土台
の上
に、
家族
と支
援者
が
対話
を進
め、
その
こと
によ
って
築か
れた
協働
関係
を支
えと
しな
がら
、家
族自
身が
選択
し、
積み
上げ
てい
くも
ので
ある
と思
う。
-314-
― 2
4 ―
総論/支援プログラムと子どもの安全について
総論/プログラム活用の道筋と体制づくり
― 2
5 ―
引用
文献
(1)
「児童
虐待
相談
にお
ける
初期
調査
と子
ども
から
の事
情聴
取の
専門
性、
およ
びそ
れ
らの
基礎
とな
る子
ども
の安
全を
軸と
した
介入
的ソ
ーシ
ャル
ワー
クの
あり
方に
つい
て
の調
査研
究」
主任
研究
者
山本
恒雄
平
成25
年3
月
財団
法人
こど
も未
来財
団
参考
文献
(1)菱
川 愛
「講
座
サイ
ンズ
・オ
ブ・
セー
フテ
ィー
・ア
プロ
ーチ
[1]
~[
4]」『
ソー
シャ
ルワ
ーク
研究
』vo
l.39,
№1
~№
4,相
川書
房 2
013
(2)サ
イン
ズ・
オブ
・セ
イフ
ティ
ー概
論
The
Sig
ns o
f S
afet
y A
com
preh
ensi
ve
Bri
efing
Pap
er A
ndre
w T
urne
ll 20
10 菱
川 愛
訳
(3)井
上直
美 井
上 薫
(201
0)「子
ども
虐待
防止
のた
めの
家族
支援
ガイ
ド S
oSA
入門
」
金剛
出版
(4)T
urn
ell
An
dre
w a
nd
Su
sie
Ess
ex(2
006)
WO
RK
ING
WIT
H ‘
DE
FIN
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CH
ILD
AB
US
E: T
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n A
ppro
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1ST
editi
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pen
Uni
vers
ity
Pre
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K L
imm
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井上
薫、
井上
直美
監訳
,200
8「児
童虐
待を
認め
ない
親へ
の
対応
リゾ
ルー
ショ
ンス
・ア
プロ
ーチ
によ
る家
族の
再統
合」
明石
書店
(5)T
urn
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Ed
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Ste
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999)
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olu
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afet
y
orie
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App
roac
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Chi
ld P
rote
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=20
04。
白木
孝二
・井
上 薫
・井
上直
美監
訳「
安全
のサ
イン
を求
めて
子
ども
虐待
防止
のた
めの
サイ
ンズ
・
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・セ
イフ
ティ
ー・
アプ
ロー
チ」
金剛
出版
― 2
4 ―
総論/支援プログラムと子どもの安全について
総論/プログラム活用の道筋と体制づくり
― 2
5 ―
プロ
グラ
ム活
用の
道筋
と体
制づ
くり
1.
家族
支援
の体
制の
中で
児童
相談
所で
保護
者支
援プ
ログ
ラム
を実
施し
てゆ
く上
では
、児
童相
談所
の業
務の
中
にプ
ログ
ラム
を取
り入
れて
ゆく
とい
うス
テッ
プが
ある
。プ
ログ
ラム
を取
り入
れて
ゆく
のに
際し
て、
何か
「土
台」
のよ
うな
もの
が出
来て
いる
と、
その
上で
実施
でき
るこ
とを
検討
する
とい
うこ
とに
なっ
て、自
然に
プロ
グラ
ムが
取り
入れ
られ
やす
い。
その
「土
台」
とは
、あ
るい
は全
国で
約2
割の
児童
相談
所が
設置
して
いる
「家
族支
援チ
ーム
」も
し
くは
「家
族支
援担
当」
のよ
うな
役割
をし
てい
る職
員の
取り
組み
であ
り、
もし
くは
担当
のケ
ース
ワー
クの
流れ
がシ
ステ
ムと
して
確立
され
てい
る 場
合も
ある
。
家族
支援
の全
体像
とし
て 、
例え
ば担
当の
児童
福祉
司と
か、
担当
の相
談員
、児
童心
理司
の他
に、
第3
のポ
ジシ
ョン
とし
て親
子支
援チ
ーム
によ
るチ
ーム
・ア
プロ
ーチ
で、
家族
支援
をし
てい
く。
保護
者に
対し
ては
、応
援す
るポ
ジシ
ョン
が別
にあ
り、
そこ
と一
緒に
取り
組む
こと
にな
ると
、児
相職
員と
の間
で対
立的
な関
係が
生ま
れて
いて
も、
歩み
寄れ
るよ
うに
なる
こと
もあ
る。
「家
族支
援プ
ログ
ラム
」に
関し
て、
標準
的な
モデ
ルが
設定
され
てい
て、
その
中に
入
れる
形で
CS
Pな
どを
組み
込む
こと
も有
効で
ある
。ま
た、
家族
支援
チー
ムの
機能
が明
確に
備わ
って
いれ
ば、
何か
良い
もの
があ
れば
、取
り入
れて
みよ
うと
いう
こと
にな
る。
この
よう
な状
況が
あれ
ば、
そう
でな
い場
合に
比べ
て、
プロ
グラ
ムの
取り
入れ
は容
易と
なろ
う。
本ハ
ンド
ブッ
ク で
言う
「プ
ログ
ラム
の実
施」
とい
うの
は、
以上
のよ
うな
流れ
の中
で行
われ
る必
要が
ある
とい
うこ
とが
出来
る。
「支
援チ
ーム
」の
構成
は児
童相
談所
によ
って
様々
であ
る。
たと
えば
、県
内の
児童
相
談所
で親
子支
援チ
ーム
がそ
れぞ
れの
所に
、児
童福
祉司
と児
童心
理司
とい
う2
名で
配置
され
、家
族支
援に
関す
る業
務を
専属
で行
い、
地域
性や
、ケ
ース
の数
は異
なっ
ても
大体
基本
的に
は同
じよ
うな
取り
組み
をし
てい
ると
いう
とい
う場
合が
ある
。ま
た、
一人
の児
-315-
― 2
6 ―
総論/プログラム活用の道筋と体制づくり
総論/プログラム活用の道筋と体制づくり
― 2
7 ―
童福
祉司
が自
身の
担当
を持
つ一
方で
、担
当で
ない
ケー
スに
関し
て親
子支
援チ
ーム
の構
成メ
ンバ
ーと
して
機能
する
と言
った
仕組
みを
作っ
てい
る場
合も
ある
家族
支援
チー
ムの
有無
にか
かわ
らず
、プ
ログ
ラム
が導
入さ
れる
のは
、ケ
ース
ワー
ク
の流
れの
中で
ある
と言
うこ
とが
出来
る。
大き
な長
期的
な方
針を
、家
族支
援チ
ーム
との
協働
など
も含
めて
、全
体的
にコ
ーデ
ィネ
ート
して
いく
のは
主担
当で
ある
児童
福祉
司と
いう
こと
にな
る。
ケー
スワ
ーキ
ング
の流
れが
明確
なら
ば、
そこ
に何
を組
み入
れて
ゆく
かと
いう
主担
当の
判断
も、
そう
でな
い場
合に
比べ
て容
易に
なる
。
家族
支援
チー
ムの
よう
な基
盤が
あま
りな
いと
ころ
でプ
ログ
ラム
を始
める
とい
う場
合
もあ
る。
簡単
なと
ころ
から
取り
入れ
て、
どう
だっ
たか
を、
周り
の職
員と
話し
合っ
てみ
るこ
とが
有効
であ
る。
エッ
セン
スを
伝え
るよ
うな
とこ
ろか
らで
も始
めて
見る
とよ
いだ
ろう
。
2
.ゴ
ール
が明
確な
プラ
ンニ
ング
とア
セス
メン
トの
大切
さ
問題
を明
確に
し、
プラ
ンニ
ング
のゴ
ール
を定
めて
ゆく
。ゴ
ール
とは
、子
ども
の安
全・
安心
な生
活を
実現
する
とと
もに
子ど
もの
パー
マネ
ンシ
―を
保障
する
形態
のこ
とで
ある
が、
見通
しが
変わ
るこ
とも
無論
ある
。プ
ラン
の中
には
、面
接何
回、
面会
何回
等が
書い
てあ
るだ
けの
もの
も見
られ
るが
、援
助の
方向
性や
その
ため
の手
法な
ど、
十分
に記
載さ
れた
もの
でな
けれ
ばな
らな
い。
ヒス
トリ
ーを
ただ
羅列
する
だけ
でい
ると
、ス
トー
リー
が本
来の
筋道
から
ずれ
てゆ
く可
能性
が強
くな
り、
アセ
スメ
ント
が困
難と
なる
。 目
指
すも
のと
現状
の差
から
して
、何
が必
要か
とい
うプ
ラン
ニン
グを
行う
のが
本来
の姿
であ
る。 プ
ラン
ニン
グに
おい
ては
、見
通し
が描
けて
いる
かが
問題
であ
る。
プロ
グラ
ムが
使わ
れる
過程
で、
どん
な目
的で
どの
よう
にプ
ログ
ラム
を活
用す
るか
を保
護者
に伝
えて
ゆけ
るか
どう
かは
、ゴ
ール
の明
確な
プラ
ンニ
ング
の中
で可
能と
なる
。
ロー
ドマ
ップ
が描
かれ
、見
通し
が立
てら
れ、
ゴー
ルが
定め
られ
る。
数年
後を
見越
し
たケ
ース
ワー
クは
プロ
グラ
ムを
入れ
てゆ
く基
盤で
ある
。流
れに
合っ
た特
徴を
持つ
プロ
グラ
ムが
組み
込ま
れて
ゆく
必要
があ
る。 ―
26
―
総論/プログラム活用の道筋と体制づくり
総論/プログラム活用の道筋と体制づくり
― 2
7 ―
3.
プロ
グラ
ムが
組み
込ま
れて
ゆく
道筋
家族
支援
チー
ムの
有無
にか
かわ
らず
、ケ
ース
ワー
クの
流れ
や家
族支
援の
流れ
のな
か
では
、当
然ア
セス
メン
トが
必要
な時
点で
行わ
れて
いる
わけ
であ
り、
個々
のプ
ログ
ラム
を組
み合
わせ
てゆ
くう
えで
は、
保護
者が
プロ
グラ
ムを
受け
るの
に適
した
状態
かを
判断
の上
で実
施す
ると
言う
こと
にな
る。
流れ
の中
で、
個々
のプ
ログ
ラム
を組
み合
わせ
てゆ
く場
合は
、相
手に
合わ
せて
、ど
う
やっ
てい
くか
を見
極め
るの
が重
要で
ある
。個
々の
プロ
グラ
ムに
保護
者が
うま
く乗
れな
いよ
うな
印象
が有
った
場合
、保
護者
を否
定的
に見
るの
では
なく
て、
プロ
グラ
ムが
合う
か合
わな
いか
とい
う点
をき
ちん
とア
セス
メン
トで
きて
いな
いこ
とが
問題
にな
る。
アセ
スメ
ント
が出
来て
いる
と、
これ
に役
立つ
プロ
グラ
ムを
選択
する
こと
が出
来る
。
逆に
、ア
セス
メン
トで
きて
いな
いと
、プ
ログ
ラム
の活
用上
問題
が生
じる
こと
とな
る。
4.
保護
者支
援プ
ログ
ラム
実施
の評
価
保護
者支
援プ
ログ
ラム
の実
施は
ケー
スワ
ーク
の流
れの
中で
ある
とい
うこ
とが
共通
事
項で
ある
から
、そ
の効
果が
どう
であ
った
かは
、当
然ケ
ース
ワー
クの
流れ
の中
で、
見て
ゆく
こと
にな
る。
プロ
グラ
ムの
中に
は、む
ろん
数値
化し
た指
標で
評価
する
もの
もあ
り、
その
場合
効果
が数
字で
表れ
るが
、そ
れで
も、
ケー
スワ
ーク
の中
で、
プロ
グラ
ムを
実施
して
どう
だっ
たか
を、
同時
に見
てゆ
くこ
とに
なる
。児
童相
談所
のケ
ース
には
、仕
組み
とし
て、
担当
者 や
家族
支援
担当
が存
在す
るわ
けだ
から
、親
にと
って
、プ
ログ
ラム
を
実施
して
どう
だっ
たか
は、
担当
者や
、共
に取
り組
んで
いる
家族
支援
チー
ムな
どが
把握
して
いる
こと
にな
る。
プロ
グラ
ムの
評価
とし
て効
果判
定を
行っ
てゆ
くこ
とが
重要
であ
る。
それ
は、
アセ
スメ
ント
にお
いて
も参
考に
され
る。
プロ
グラ
ムに
よっ
ては
それ
に合
った
評価
法が
設定
され
てい
る場
合が
ある
。た
とえ
ばPC
IT
はEC
BIに
よっ
て評
価さ
れ、
親指
標も
取ら
れる
。ト
リプ
ルP
は、
SD
Qを
はじ
めと
した
いく
つか
の尺
度に
よっ
て評
価さ
れる
。A
F-C
BT
及び
TF-
CB
T は
対応
した
評価
法が
定め
られ
てい
るほ
か、
毎回
チェ
ック
イン
で状
況把
握を
行う
。
プロ
グラ
ムに
よっ
ては
、決
まっ
た評
価尺
度を
求め
てい
ない
もの
もあ
る。
CR
C、
-316-
― 2
8 ―
総論/プログラム活用の道筋と体制づくり
コラム/児童虐待における、支援者―保護者間の 関係性形成とプログラムの個別化について
― 2
9 ―
MyT
ree、
CS
Pは
現場
の感
覚で
判断
され
、ク
ライ
エン
ト個
人の
自己
申告
によ
る評
価
も活
用さ
れて
いる
。
プロ
グラ
ムに
は、
二通
りの
面が
ある
。す
なわ
ちコ
ミュ
ニケ
ーシ
ョン
の道
具と
して
、
知っ
てい
て便
利で
ある
もの
と治
療構
造の
ある
もの
との
二通
りで
ある
。後
者の
特徴
の強
いプ
ログ
ラム
には
、客
観的
に評
価す
るた
めの
尺度
があ
るこ
とが
多い
。
5.
プロ
グラ
ム終
了後
の支
援
プロ
グラ
ム実
施後
の親
の状
況を
フォ
ロー
して
ゆく
に当
たっ
ては
、児
童相
談所
内は
主
担当
児童
福祉
司が
見て
行く
ので
、家
族支
援担
当や
、プ
ログ
ラム
の実
施者
は、
その
効果
をフ
ォロ
ーし
たい
場合
、担
当児
童福
祉司
と経
過を
共有
する
。転
出等
で該
当児
童相
談所
ケー
スで
なく
なる
場合
は、
転出
先児
童相
談所
や関
係者
など
とと
もに
ケー
ス会
議を
開催
する
など
して
、支
援を
繋げ
てゆ
く。
プロ
グラ
ム終
了後
の支
援は
、プ
ログ
ラム
を自
分の
もの
とし
て定
着さ
せて
ゆく
プロ
セ
スで
ある
。フ
ォロ
ーと
いう
と、
単な
る見
守り
の意
味に
とら
れる
こと
もあ
るが
、そ
うで
はな
くて
、プロ
グラ
ムを
生活
の中
で実
践で
きて
いる
かど
うか
を見
るこ
とが
重要
であ
る。
6.
組織
的な
運用
プロ
グラ
ム を
組織
的に
活用
する
こと
によ
って
、児
童相
談所
の中
での
取り
組み
の継
続性
が保
てる
。組
織的
活用
に当
たっ
ては
、プ
ログ
ラム
が運
用さ
れて
行く
母体
とな
る仕
組み
を作
るこ
とが
肝要
とな
る。
家族
支援
チー
ムが
組織
とし
て設
置さ
れて
いる
場合
も含
む。
特定
の職
員だ
から
でき
る、
とい
った
もの
でな
く仕
組み
とし
て取
り組
んで
ゆけ
る方
向性
を作
る必
要が
ある
。
これ
が仕
組み
とし
て動
いて
いる
場合
、新
任の
職員
に最
初の
研修
で伝
えて
いる
自治
体も
ある
。こ
のよ
うな
場合
には
組織
とし
て家
族支
援チ
ーム
が定
着し
てい
る状
況が
見ら
れる
。
家族
支援
チー
ムは
、組
織の
中で
位置
づけ
られ
ない
と続
かな
い。
熱心
な職
員に
頼っ
たも
の
であ
ると
、そ
の人
がい
なく
なっ
たと
きに
動か
なく
なる
。保
護者
支援
プロ
グラ
ムの
取組
が
組織
とし
て位
置づ
けら
れて
いる
とこ
ろで
は、続
いて
いる
。そ
のた
めの
取組
が必
要で
ある
。
― 2
8 ―
総論/プログラム活用の道筋と体制づくり
コラム/児童虐待における、支援者―保護者間の 関係性形成とプログラムの個別化について
― 2
9 ―
ギリ
シャ
神話
に「
プロ
クル
ステ
スの
ベッ
ド」
とい
う逸
話が
ある
。プ
ロク
ル
ステ
スと
いう
悪人
が、旅
人に
「我
が家
には
、どん
な人
にも
ぴっ
たり
と合
うベ
ッ
ドが
用意
して
ある
。泊
まっ
てい
かな
いか
」と
声を
かけ
、自
宅に
連れ
込み
、歓
待し
た後
、ベ
ッド
に案
内し
た。
そこ
には
1台
のベ
ッド
があ
るの
み。
そこ
で
彼が
した
こと
は、
ベッ
ドか
らは
み出
す人
は、
足を
切り
、背
丈が
足り
ない
人は
引き
ちぎ
る、
とい
う残
虐極
まり
ない
こと
であ
った
とい
う。
この
逸話
は、
現代
にお
いて
、様
々な
こと
に例
えら
れて
使わ
れる
。た
とえ
ば、
福祉
にお
いて
、相
手が
求め
てい
るこ
とを
、支
援者
側が
用意
する
型に
むり
やり
にあ
ては
めよ
うと
する
こと
、そ
の危
惧に
つい
て語
る時
に引
用さ
れる
こと
もあ
る。
実は
、本
ハン
ドブ
ック
にも
同様
の落
とし
穴が
ある
。
その
落と
し穴
とは
、①
プロ
グラ
ムと
は、
個々
のケ
ース
に合
わせ
てそ
のケ
ー
スに
最も
合っ
た形
で実
施さ
れね
ばな
らな
いと
いう
こと
②
プロ
グラ
ムは
支援
者-
保護
者間
の関
係性
が構
築さ
れて
いる
こと
を常
に意
識し
なけ
れば
なら
ない
(た
だし
それ
は、
導入
前に
既に
関係
が出
来て
いる
こと
が前
提と
され
る場
合も
あれ
ば、
プロ
グラ
ムが
進む
中で
、プ
ログ
ラム
への
確か
な手
応え
を感
じ、
参加
意欲
が高
まる
中で
自然
と関
係が
でき
てく
るこ
とも
ある
)と
いう
2点
であ
る。
現在
、虐
待の
家族
支援
プロ
グラ
ムと
して
、各
地で
様々
なプ
ログ
ラム
が実
施
され
てい
る。
各プ
ログ
ラム
は、
虐待
の再
発予
防を
目的
とし
て行
われ
るの
であ
るが
、こ
こで
肝に
銘じ
てお
かね
ばな
らな
いの
は、
全て
のプ
ログ
ラム
は、
参加
者と
の良
好な
関係
を築
いた
上で
、実
施さ
れな
けれ
ばな
らな
い、
とい
う原
則で
ある
。た
だ実
際に
は、
プロ
グラ
ムが
進ん
でい
く中
で、
関係
がで
きて
いく
場合
もも
ちろ
んあ
る。
また
、関
係性
形成
自体
もプ
ログ
ラム
の目
的と
して
組み
込ま
れて
いる
もの
もあ
る。
いず
れに
して
も、
プロ
グラ
ムと
は、
支援
者と
保護
者と
児童
虐待
にお
ける
、支
援者
―保
護者
間の
関係
性形
成と
プロ
グラ
ムの
個別
化に
つい
て
コ ラ
ム
-317-
― 3
0 ―
コラム/児童虐待における、支援者―保護者間の 関係性形成とプログラムの個別化について
コラム/児童虐待における、支援者―保護者間の 関係性形成とプログラムの個別化について
― 3
1 ―
の関
係性
がそ
の中
核に
あっ
ては
じめ
てう
まく
機能
する
もの
なの
であ
る。
ここ
にお
ける
関係
性と
は、
支援
者と
支援
を受
ける
側の
間で
育ま
れた
情緒
的結
びつ
きの
こと
をい
う。
なぜ
ここ
で、
あえ
て関
係形
成に
つい
て論
じる
のか
。そ
れは
、児
童相
談所
とい
う場
所が
、福
祉機
関と
して
、特
殊な
機能
を持
つこ
とに
由来
する
。現
在
の児
童相
談所
は、
法に
基づ
き、
子ど
もと
その
家族
に対
して
様々
な権
限を
持
ち、
その
こと
自体
が、
支援
者と
保護
者の
間の
パワ
ーの
差を
生み
出し
てい
る。
これ
は、
ケー
スワ
ーク
とし
て、
子供
の安
全を
確保
する
とい
う意
味に
おい
て、
やむ
をえ
ない
部分
はも
ちろ
んあ
るし
、権
限を
行使
する
こと
によ
り、
保護
者
側に
、自
らの
行為
につ
いて
気づ
きや
反省
が生
まれ
るこ
とも
ある
ので
一概
に
良し
悪し
の判
断は
でき
ない
。し
かし
、気
をつ
けな
くて
はな
らな
いの
は、
法
的介
入が
、保
護者
と支
援者
の関
係形
成を
阻害
し、
その
こと
によ
り、
保護
者
が支
援者
に対
して
反感
を感
じ、
本来
プロ
グラ
ムが
持つ
はず
の効
果を
減じ
る、
もし
くは
逆効
果に
働く
危険
性を
持つ
とい
うこ
とで
ある
。法
を強
制的
に行
使
され
た保
護者
は、
必ず
やこ
ころ
の傷
を抱
えて
いる
こと
を決
して
忘れ
ては
な
らな
い。
ある
者は
、な
ぜ我
が子
を取
り上
げら
れね
ばな
らな
かっ
たの
かが
わ
から
ず理
解に
苦し
むだ
ろう
。ま
たあ
る者
は、
自分
のし
てい
たこ
とは
良く
な
いこ
とと
わか
りつ
つ、
子ど
もの
難し
い行
動に
どう
対処
すれ
ばよ
いの
かわ
か
らず
、体
罰こ
そが
唯一
それ
に処
すこ
との
でき
る方
法だ
と長
年信
じて
いた
の
で、
混乱
を来
し、
なか
なか
事態
を受
け入
れら
れな
いと
いう
こと
もあ
るで
あ
ろう
。こ
のよ
うな
場合
、児
童相
談所
によ
る法
的介
入は
、保
護者
に対
し情
緒
的な
混乱
や怒
りの
気持
ちを
引き
起こ
すこ
とも
ある
であ
ろう
。そ
の揺
れ動
く
情緒
と向
き合
うと
ころ
から
、虐
待対
応は
スタ
ート
する
ので
ある
。
保護
者支
援プ
ログ
ラム
は、
保護
者の
養育
行動
の改
善が
大き
な目
的の
一つ
にな
る。
しか
しな
がら
、長
年形
成さ
れて
きた
養育
行動
を変
化さ
せる
こと
は、
誰に
とっ
ても
並大
抵の
こと
では
ない
。そ
れは
、養
育行
動と
は、
子ど
もが
生
まれ
てか
ら、
もし
くは
その
前か
ら、
家族
のお
かれ
た環
境を
背景
にし
て、
そ
れぞ
れの
保護
者の
、感
情や
考え
方の
中で
培わ
れて
きた
もの
だか
らで
ある
。
― 3
0 ―
コラム/児童虐待における、支援者―保護者間の 関係性形成とプログラムの個別化について
コラム/児童虐待における、支援者―保護者間の 関係性形成とプログラムの個別化について
― 3
1 ―
また
、保
護者
自身
が虐
待を
受け
て、
歪ん
だ養
育モ
デル
を持
ち併
せし
まっ
てい
る場
合も
多い
。そ
のよ
うに
様々
な背
景を
持っ
て培
われ
てき
た行
動を
変え
てい
くに
は、
高度
なス
キル
が要
求さ
れる
。支
援者
個人
の経
験に
加え
て、
行動
変容
のた
めの
心理
療法
の手
法が
ふん
だん
に盛
り込
まれ
てい
る保
護者
支援
プロ
グラ
ムを
綿密
に施
行す
るこ
とに
より
、そ
れが
達成
され
る場
合も
もち
ろん
多い
。
そし
てこ
れら
のプ
ログ
ラム
は、
支援
者の
示す
態度
や、
支援
者と
保護
者と
の
関係
性が
、そ
の効
果に
大き
な影
響を
及ぼ
すこ
とは
既に
わか
って
いる
。常
に
暖か
みを
持ち
、保
護者
に対
して
誠実
であ
り、
彼ら
を承
認(
valid
atio
n)し
、
彼ら
の養
育行
動か
らは
不適
切さ
を的
確に
キャ
ッチ
し、
その
行動
変容
を、
支援
者と
保護
者の
共同
作業
によ
り、
養育
行動
の変
化を
目指
しな
がら
、寄
り添
い続
ける
一貫
した
態度
が、
プロ
グラ
ムが
本来
持つ
はず
の効
果を
引き
出す
ため
の重
要な
要素
とな
るの
であ
る。
保護
者が
納得
しな
いま
まに
プロ
グラ
ムを
行え
ば、
保護
者自
身が
、「支
援者
に自
分の
気持
ちを
わか
って
もら
えな
い」「
気持
ちや
そ
こに
至っ
てし
まっ
た道
筋を
理解
して
もら
えな
い」
とい
う、
怒り
やあ
きら
めの
気持
ちを
、支
援者
に対
し抱
くと
いう
可能
性も
ある
ので
ある
。そ
れは
、困
難事
例を
ます
ます
困難
なも
のと
して
いっ
てし
まう
こと
につ
なが
るか
もし
れな
い。
行動
変容
を目
的と
した
エビ
デン
スの
ある
プロ
グラ
ムは
、何
らか
認知
行動
療
法の
要素
を含
んで
いる
こと
が多
い。
そし
て、
認知
行動
療法
は、
セラ
ピス
トと
クラ
イア
ント
との
関係
性が
基盤
とな
って
おり
、そ
れな
くし
ては
、決
して
行っ
ては
なら
ない
心理
療法
であ
る。
また
古今
東西
、い
かな
る心
理療
法プ
ログ
ラム
も同
様の
ベー
スが
必要
であ
るこ
とを
否定
する
人は
いな
いで
あろ
う。
家族
再統
合に
おい
ても
、支
援者
と保
護者
の関
係性
が形
成さ
れな
いま
ま、
プロ
グラ
ムが
粛々
と行
われ
た場
合、
プロ
グラ
ムを
続け
るこ
とは
むし
ろ、
有害
であ
る可
能性
すら
ある
ので
ある
。
支援
の中
では
、ど
のよ
うな
局面
であ
って
も、
保護
者へ
の暖
かな
気持
ちを
持
ち続
け、
寄り
添い
続け
よう
とす
るこ
とは
、支
援者
と保
護者
との
関係
性を
構築
する
こと
につ
なが
る。
どの
支援
プロ
グラ
ムを
選ぶ
にせ
よ、
その
基本
をお
ろそ
かに
して
はな
らな
いで
あろ
う。
-318-
― 3
2 ―
コラム/児童虐待における、支援者―保護者間の 関係性形成とプログラムの個別化について
コラム/児童虐待における、支援者―保護者間の 関係性形成とプログラムの個別化について
― 3
3 ―
法的
介入
をし
なが
ら、
一方
で同
じ機
関、
さら
には
同じ
担当
者が
再統
合に
向
けて
いか
ねば
なら
ない
こと
もあ
ると
いう
、我
が国
独特
の実
情を
鑑み
ると
、両
者を
一手
に担
わね
ばな
らな
い支
援者
や相
談所
の苦
労は
並々
なら
ぬも
のが
ある
であ
ろう
。し
かし
、そ
うい
う中
にお
いて
もや
はり
、支
援者
-保
護者
間の
関係
構築
の重
要性
は、
いか
なる
局面
にお
いて
も、
常に
念頭
にお
いて
おか
ねば
なら
ない
こと
であ
る。
プロ
クル
ステ
スの
ベッ
ドの
よう
に、
養育
者を
、特
定の
プロ
グラ
ムと
いう
、型
には
まっ
たベ
ッド
に無
理矢
理に
合わ
せる
こと
は決
して
あっ
ては
なら
ない
。養
育行
動の
変容
は、養
育者
と支
援者
の両
者が
共に
歩み
なが
ら、
深く
考え
、そ
こで
出さ
れた
結論
に基
づい
て実
践し
てい
く、
それ
を繰
り返
して
いく
中で
引き
起こ
され
、定
着し
てい
くも
ので
ある
。そ
のた
めに
、様
々な
切り
口を
持つ
プロ
グラ
ムが
存在
して
いる
。保
護者
自身
が、
自ら
の行
動を
変え
てい
く主
体者
とな
って
いく
には
、個
々に
合っ
たプ
ログ
ラム
の実
施、
そし
て、
その
根底
にあ
る両
者の
関係
が確
固た
るも
ので
ある
こと
、も
しく
は、
少な
くと
もそ
こに
向か
って
いる
こと
は不
可欠
なこ
とで
あろ
う。
法的
対応
と関
係性
の構
築、
その
両立
は、
極め
て困
難で
ある
と感
じる
支援
者も
いる
かも
しれ
ない
が、
それ
を求
める
こと
なく
して
は、
プロ
グラ
ムに
よる
、保
護者
の養
育行
動に
変化
を求
める
こと
は困
難で
ある
こと
は肝
に銘
じて
おか
ねば
なら
ない
。
ただ
一方
で、
現実
には
、関
係を
作る
のが
なか
なか
思う
よう
に進
まな
い場
合
もあ
るで
あろ
う。
その
よう
な時
、最
初か
ら関
係性
が十
分に
構築
され
てい
なけ
れば
プロ
グラ
ムを
始め
るべ
きで
はな
い、
とい
うの
もま
た、
言い
過ぎ
であ
るよ
うに
思う
。矛
盾し
て聞
こえ
るか
もし
れな
いが
、実
際に
は、
プロ
グラ
ムを
実施
する
中で
、関
係性
が構
築さ
れ深
まっ
てい
く場
合も
ある
。そ
れは
、プ
ログ
ラム
の中
に、
関係
性形
成を
意識
した
要素
が組
み込
まれ
てい
る場
合に
は特
にそ
うで
ある
。ま
た、
その
よう
なこ
とを
特に
意識
をし
て作
成さ
れて
はい
ない
プロ
グラ
ムで
あっ
たと
して
も、
保護
者が
プロ
グラ
ムを
受け
る中
で、
それ
が自
らの
養育
の助
けに
なる
こと
を実
感し
、そ
の結
果、
自分
の問
題に
気づ
くこ
とも
ある
。も
し保
護者
がそ
こま
で達
する
こと
がで
きれ
ば、(
内心
)困
って
いた
問題
が自
ら
解決
でき
るよ
うに
もな
り、
プロ
グラ
ムの
効果
を実
感で
きる
よう
にな
るの
であ
― 3
2 ―
コラム/児童虐待における、支援者―保護者間の 関係性形成とプログラムの個別化について
コラム/児童虐待における、支援者―保護者間の 関係性形成とプログラムの個別化について
― 3
3 ―
ろう
。そ
れは
とり
も直
さず
、そ
れを
実施
する
人間
やそ
れを
彼ら
に勧
めた
支援
者に
信頼
を寄
せる
こと
につ
なが
る。
その
こと
が、
保護
者―
支援
者間
の関
係性
形成
や信
頼感
を深
め、
保護
者の
養育
行動
を改
善し
、虐
待的
行動
を減
らす
こと
にな
る場
合も
ある
。
これ
らの
前提
の上
で適
切に
実施
され
たプ
ログ
ラム
は、
いか
んな
く効
果を
発
揮し
てい
くと
いう
のが
原則
とす
る考
え方
であ
るべ
きな
ので
あろ
う。
これ
らの
関係
を簡
略化
して
下記
の図
に示
す。
保護
者―
支援
者間
の関
係を
形成
した
後に
プロ
グラ
ムを
行う
のか
、プ
ログ
ラ
ムを
行っ
てそ
の効
果を
実感
して
もら
うこ
とに
より
、関
係性
を構
築し
、さ
らに
深め
るの
か、
どち
らの
方法
がよ
り適
切で
ある
のか
は、
ケー
スに
より
けり
なの
であ
ろう
。し
かし
、ど
ちら
が先
だと
して
も、
支援
者が
、保
護者
との
信頼
感・
関係
性を
形成
し深
める
こと
を意
識す
るこ
とは
、支
援の
いか
なる
段階
にお
いて
も、
一貫
して
忘れ
ては
なら
ない
こと
であ
るの
は言
うま
でも
ない
。
*本
パー
トは
、国
立精
神・
神経
医療
研究
セン
ター
・認
知行
動療
法セ
ンタ
ー長
の大
野裕
先生
に一
部ご
助言
をい
ただ
きま
した
。大
野先
生に
は、
心よ
り感
謝申
し上
げま
す。
-319-
― 3
4 ―
コラム/児童虐待における、支援者―保護者間の 関係性形成とプログラムの個別化について
各論/はじめに
― 3
5 ―
図3
. 保護
者支
援プ
ログ
ラム
の実
施を
養育
行動
の変
化に
結び
つけ
る2
つの
プロ
セス
原則
は①
だが
、場
合に
よっ
ては
②で
あっ
ても
良い
。
プロ
グラ
ムの
実施
プロ
グラ
ムの
効果
保護
者-支
援者
間の
関係
性
保護
者-支
援者
間の
信頼
感
養育
行動
の変
化(
=虐
待行
動の
減少
)
①保
護者
-支
援者
間の
信頼
感・
関係
性構
築後
にプ
ログ
ラム
を実
施す
る。
→治
療的
(支
援)
効果
が上
がる
。
②プ
ログ
ラム
を実
施し
、そ
の効
果を
実感
して
もら
う中
で、
徐々
に関
係性
・信
頼感
を構
築し
てい
く→
治療
的(
支援
)効
果が
上が
る
― 3
4 ―
コラム/児童虐待における、支援者―保護者間の 関係性形成とプログラムの個別化について
各論/はじめに
― 3
5 ―
はじ
めに
本章
では
、各
プロ
グラ
ムの
運用
にあ
たっ
ての
課題
や留
意点
など
に触
れて
ゆく
が、
そ
の前
に、
日本
全体
とし
ての
状況
をふ
まえ
てお
くた
めに
、全
国児
童相
談所
の保
護者
支援
プロ
グラ
ムの
取り
入れ
状況
を概
観す
る。
保護
者支
援に
関し
て、
プロ
グラ
ムを
行っ
てい
るか
他の
方法
を取
って
いる
かに
つい
て表
2 に
示す
。特定
の方
法の
プロ
グラ
ム等
を実
施し
てい
る場
合が
半数
を超
えた
。厚労
省マ
ニュ
アル
での
対応
、自
治体
独自
のマ
ニュ
アル
がそ
れぞ
れ3
割台
であ
った
。保
護者
支援
プロ
グ
ラム
実施
など
の取
り組
みが
しに
くい
理由
は人
手や
時間
の不
足が
主な
もの
だっ
た(図
4)
導入
して
いる
プロ
グラ
ムの
名称
につ
いて
図5
に示
す。
コモ
ンセ
ンス
ペア
レン
ティ
ン
グ(
CS
P)
が44
.0%
で最
多、
サイ
ンズ
オブ
セー
フテ
ィア
プロ
ーチ
(SoS
) が
26.0
%
でそ
れに
次ぎ
、精
研式
ペア
レン
トト
レー
ニン
グは
13.0
%で
あっ
た。
プロ
グラ
ムが
取り
入れ
られ
てい
った
様子
を年
次推
移で
表す
と、
図6
にな
る。
15年
前
より
取り
入れ
られ
始め
、最
近数
年の
伸び
が著
しい
事が
分か
る。
プロ
グラ
ム実
施上
の課
題
につ
いて
質問
紙に
自由
記載
され
たも
のの
内容
を図
示し
てま
とめ
ると
、図7
のよ
うに
なる
。
表2 貴
所の
児童
虐待
事例
の再
統合
等に
当た
って
の親
支援
につ
いて
、以
下に
当て
はま
るも
のが
あり
まし
たら
、い
くつ
でも
○を
つけ
てく
ださ
い。
1 7
5 (
36.2
%)
厚労
省手
引き
など
を参
照し
つつ
対応
する
にと
どま
って
いる
2 1
3 (
6.28
%)
各児
相独
自の
マニ
ュア
ル等
があ
る
3 6
9 (
33.3
%)
各自
治体
独自
のマ
ニュ
アル
等が
ある
411
6 (
56.0
%)
特定
の名
称の
援助
技法
や親
プロ
グラ
ムな
どを
実施
して
いる
5 1
9 (
9.1
%)
各所
での
独自
の事
業を
実施
して
いる
各論
:各
プロ
グラ
ムの
活用
-課
題と
工夫
の現
状ー
-320-
― 3
6 ―
各論/はじめに
各論/はじめに
― 3
7 ―
図4
取
り組
みが
展開
しに
くい
理由
図5
取
り組
んで
いる
プロ
グラ
ム
図6
― 3
6 ―
各論/はじめに
各論/はじめに
― 3
7 ―
これ
らを
踏ま
え、
それ
ぞれ
のプ
ログ
ラム
にお
いて
、実
施上
の課
題と
解決
のた
めの
工
夫な
どを
、実
際に
取り
組ん
でい
る児
童相
談所
に聞
き取
り調
査を
行っ
て明
らか
にし
た。
以下
、プ
ログ
ラム
ごと
に聞
き取
り調
査に
よっ
て明
らか
にな
った
点に
つい
て表
にま
とめ
てゆ
く。
実際
に行
って
ゆく
上で
起こ
る問
題に
どの
よう
なも
のが
あり
、ど
のよ
うな
解決
法が
工夫
され
てい
るか
を描
き出
すこ
とに
よっ
て、
具体
的に
実施
して
ゆく
上で
のイ
メー
ジが
作ら
れ、
また
何か
困っ
たと
きの
解決
策と
して
、ご
参考
にな
れば
幸い
であ
る。
サイ
ンズ
・オ
ブ・
セー
フテ
ィー
(SoS
)は、
正確
には
「プ
ログ
ラム
」で
はな
いが
、活
用の
ため
の工
夫が
記さ
れて
いる
とい
うふ
うに
、ご理
解い
ただ
きた
い。
お示
しし
てい
る表
は、
その
プロ
グラ
ムに
関し
て、
聞き
取り
を行
った
児童
相談
所で
、ど
のよ
うな
考え
方で
やっ
てい
るか
とい
う内
容と
なっ
てい
るが
、そ
のプ
ログ
ラム
に限
った
こと
では
なく
、い
ろい
ろな
プロ
グラ
ム実
施の
ため
に共
通し
て参
考に
なる
考え
かた
も含
まれ
てい
るよ
うに
感じ
るの
で、
取り
入れ
を検
討中
のプ
ログ
ラム
のみ
なら
ず、
いろ
いろ
なプ
ログ
ラム
につ
いて
通読
して
いた
だい
ても
、参
考に
して
いた
だけ
る点
が多
いか
もし
れな
い。
プロ
グラ
ム実
施上
の課
題
親に
とっ
て内
容が
難解
対象
者が
少な
く、
グル
ープ
にな
らな
い
プロ
グラ
ムの
趣旨
につ
いて
の共
通認
識を
持つ
必要
があ
る
途中
で虐
待が
起こ
る
グル
ープ
に入
れな
い親
スキ
ルが
不十
分
スー
パー
ビジ
ョン
が必
要
ケー
スワ
ーク
上の
問題
プロ
グラ
ムの
特質親
側の
要因
人材
・人
員職
員・
職場
の要
因
職員
の多
忙
親子
分離
・分
離の
長期
化
人手
・エ
ネル
ギー
・設
備を
要す
る
ケー
スと
プロ
グラ
ムが
合わ
ない
-321-
― 3
8 ―
各論/プログラム名:サインズ・オブ・セーフティー・アプローチ(SoS)
各論/プログラム名:サインズ・オブ・セーフティー・アプローチ(SoS)
― 3
9 ―
プロ
グラ
ム名
:サ
イン
ズ・
オブ
・ セ
ーフ
ティ
ー・
アプ
ロー
チ(S
oS)
プロ
グラ
ムの
簡単
な解
説:
(SoS
は、
プロ
グラ
ムで
なく
、ソ
ーシ
ャル
ワー
クの
考え
方で
ある
)
オー
スト
ラリ
アの
児童
保護
の現
場か
ら生
まれ
世界
各国
で活
用さ
れて
いる
子ど
も虐
待
対応
の手
法。
当時
者で
ある
親と
子ど
もが
、主
体的
に安
全な
生活
を築
くた
めの
アプ
ロー
チ。
子ど
もの
安全
が実
現す
るた
めの
具体
的な
手法
につ
いて
、現
場の
良い
実践
の積
み重
ねを
体系
的に
まと
めて
いる
。家
族の
持っ
てい
る安
全性
の側
面(強
み)、
支援
者と
親が
パー
トナ
ーシ
ップ
を築
くこ
と、
安全
とリ
スク
をバ
ラン
ス良
くア
セス
メン
トす
るこ
とな
どに
関し
て、
19
99
年に
は12
の原
理と
6の
技法
にま
とめ
てい
る。
現在
も、
現場
の
良い
実践
を積
み重
ね、
日々
成長
して
いる
手法
であ
る。
日本
の実
践も
世界
にシ
ェア
され
てい
て、
若手
の良
い実
践や
丁寧
な仕
事ぶ
りが
評価
され
てい
る。
プロ
グラ
ムの
実施
に当
たっ
ての
参考
情報
プロ
グラ
ム方
法が
学べ
る機
関講
演会
や研
修会
に参
加す
る。
実践
者の
勉強
会が
定期
的に
開か
れて
いる
。
指導
者資
格が
必要
な場
合は
その
取得
方法
国際
的に
はト
レー
ナー
の資
格が
ある
。国
内で
は、
勉強
会に
参加
して
いる
メン
バー
を中
心に
無償
で活
動し
てい
る。
プロ
グラ
ムを
学ぶ
のに
必要
な費
用児
童虐
待の
最善
の実
践を
共有
する
目的
で、
年に
1回
、創
始者
のひ
とり
のア
ンド
リュ
ー・
ター
ネル
を国
内に
招き
、2
日間
の研
修を
行っ
てい
る。
例年
、参加
費は
2万
円前
後で
ある
。
プロ
グラ
ムを
実施
する
のに
必要
な費
用特
にな
し
教材
・参
考文
献・
問い
合せ
先児
童虐
待を
認め
ない
親へ
の対
応
アン
ドリ
ュー
・タ
ーネ
ルス
ージ
ー・
エセ
ック
ス
明石
書店
安全
のサ
イン
を求
めて
ア
ンド
リュ
ー・
ター
ネル
ス
ティ
ーブ
・エ
ドワ
ーズ
金
剛出
版ソ
ーシ
ャル
ワー
ク研
究39
-1
~4
号内
講
座
サイ
ンズ
・オ
ブ・
セー
フテ
ィ・
アプ
ロー
チ
菱川
愛
相
川書
房
― 3
8 ―
各論/プログラム名:サインズ・オブ・セーフティー・アプローチ(SoS)
各論/プログラム名:サインズ・オブ・セーフティー・アプローチ(SoS)
― 3
9 ―
プロ
グラ
ムに
かか
る時
間や
期間
ケー
スワ
ーク
の考
え方
なの
で、実
施の
ため
に特
別に
時間
を用
意す
ると
いう
事は
ない
プロ
グラ
ムの
特徴
と感
じて
いる
点(
他と
比べ
られ
る場
合)
○ソ
リュ
ーシ
ョン
・フ
ォー
カス
ト・
アプ
ロー
チの
考え
方を
取り
入れ
てい
るた
め、
解決
像の
ビジ
ョン
を持
って
、そ
れに
向か
って
いく
のが
基本
的ス
タン
ス。
解決
のた
めに
、家
族が
どん
なこ
とに
取り
組む
べき
なの
か、
具体
的で
実効
可能
なプ
ラン
を家
族と
とも
に考
える
ので
、家
族に
とっ
ても
取り
組み
やす
く、
実行
可能
性が
高ま
る。
また
、支
援さ
れる
べき
弱い
家族
から
脱却
し、
主体
性を
回復
させ
るこ
とが
でき
る。
○保
護者
と、「
子ど
もに
何が
起き
るこ
とが
心配
なの
か、
それ
が起
きな
いよ
うに
する
ため
に、
どん
なこ
とが
必要
なの
か」
を共
有で
きる
こと
で、
根拠
のな
い保
護・
措置
期間
の延
長や
、あ
いま
いな
まま
の引
き取
りに
つな
がる
こと
を防
げる
。○
家族
にい
いと
ころ
があ
れば
、子
ども
を返
して
しま
うと
いう
ふう
に誤
解さ
れる
こと
があ
る。
SoS
は、
まず
、子
ども
の安
全の
ため
に何
が必
要な
のか
を正
確に
アセ
スメ
ント
する
。そ
の上
で、
家族
のい
いと
ころ
が、
どう
子ど
もの
安全
につ
なが
って
ゆく
のか
とい
うと
ころ
をシ
ビア
に見
てゆ
く。
たと
えば
、親
に「
思い
」が
ある
とき
、実
際に
それ
はど
のよ
うな
行動
とし
て子
ども
の安
全に
つな
がっ
てゆ
くの
か、
親が
自ら
でき
ない
こと
は何
で補
うの
か等
、行
動レ
ベル
で実
際何
がで
きて
いる
かを
見て
ゆく
もの
であ
る。
○職
員が
SoS
を知
り、
職員
間の
より
よい
実践
を教
えて
もら
う対
話(A
I)の
文化
が根
付い
てく
ると
、そ
のパ
ラレ
ルな
変化
とし
て、
児相
職員
が保
護者
と対
話す
る内
容も
シン
クロ
して
変化
して
ゆく
。子
ども
の危
害の
洗い
出し
や家
族の
強み
を引
き出
す質
問と
して
援助
者を
通し
て、
家族
に投
げか
けら
れて
いく
。※
AI=
App
reci
ated
Inqu
iry
理解
的問
いか
け
かか
わり
の中
で役
にた
った
こと
、大
切な
こと
は何
かを
教え
ても
らう
質問
。
プロ
グラ
ムの
ねら
いや
意義
子ど
もの
安全
(子
ども
に起
きた
危害
が再
発し
ない
ため
の仕
組み
づく
り)
を実
現す
るこ
とを
目的
とし
たソ
ーシ
ャル
ワー
クの
考え
方
プ
ログ
ラム
の実
施
-322-
― 4
0 ―
各論/プログラム名:サインズ・オブ・セーフティー・アプローチ(SoS)
各論/プログラム名:サインズ・オブ・セーフティー・アプローチ(SoS)
― 4
1 ―
プロ
グラ
ムの
児相
業務
の中
での
位置
づけ
○ヒ
アリ
ング
した
児童
相談
所で
は年
11回
全職
員参
加希
望者
対象
に半
日の
研修
を行
って
いる
。児
童福
祉司
だけ
でな
く心
理司
や里
親担
当も
参加
対象
とな
って
いる
。○
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
では
家族
支援
チー
ムが
中心
とな
って
、困
難事
例の
コン
サル
テー
ショ
ンや
SoS
研修
の進
行な
どを
行っ
てい
る。
○ケ
ース
ワー
クの
いい
実践
につ
いて
シェ
アし
たり
、面
接で
一緒
に入
った
職員
が「
ここ
良か
った
ね」
と言
った
りす
る姿
を職
場内
で見
かけ
るこ
とは
多い
。よ
かっ
たと
ころ
につ
いて
のプ
ラス
のフ
ィー
ドバ
ック
があ
るの
で、
無力
感で
終わ
るこ
とは
ない
。
プロ
グラ
ムに
つい
ての
児相
職員
から
の評
判
職員
同士
のコ
ミュ
ニケ
ーシ
ョン
の取
りや
すさ
の向
上に
つな
がっ
てい
る。
担当
ケー
スワ
ーカ
ーが
どの
よう
にケ
ース
を見
立て
てい
るの
か、
親に
児相
の心
配を
どの
よう
に伝
えて
いる
のか
を、
SoS
の考
え方
を土
台に
した
り、「
デン
ジャ
ーは
?」
など
の共
通言
語を
使う
こと
で短
時間
で理
解し
あえ
る。
ケー
スカ
ンフ
ァレ
ンス
のプ
レゼ
ン時
間が
短時
間で
も有
効に
使え
る。
AI風
土も
コミ
ュニ
ケー
ショ
ンを
円滑
にし
てい
ると
思わ
れる
。
プロ
グラ
ムが
取り
入れ
られ
るに
当た
って
の、
熱心
な職
員の
努力
など
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
では
、研
修体
制の
確立
と継
続に
力を
注い
でい
る。
有用
性を
所に
理解
して
もら
うた
め、
初期
の家
族支
援チ
ーム
は、
難し
い事
例に
積極
的に
貢献
して
きた
。困
難事
例で
の成
功を
積み
重ね
てい
くこ
とで
職場
内で
承認
を得
るこ
とが
でき
、現在
の充
実し
た研
修体
制に
つな
がっ
てい
る。
プ
ログ
ラム
と児
相と
の関
係
プ
ログ
ラム
を取
り入
れる
に当
たっ
て努
力し
た点
実施
して
の効
果な
どの
状況
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
では
、児
童の
安全
を守
るし
くみ
につ
いて
、ど
のよ
うな
事例
でも
緻密
に話
し合
われ
る。
結果
、S
BS
(揺さ
ぶら
れっ
子症
候群
)や
性的
虐待
など
の重
傷事
例で
、通
常長
く分
離が
判断
され
るケ
ース
につ
いて
も、
安全
性が
確認
でき
るた
め、
早期
の家
族再
統合
がな
され
る。
家族
自ら
考え
るこ
とで
、継
続性
の高
いし
くみ
がで
きる
。そ
のた
め、
子ど
もの
安全
がよ
り長
く持
続す
る。
ケー
スワ
ーカ
ーの
専門
家と
して
のア
イデ
ンテ
ィテ
ィが
確立
され
、仕
事へ
の満
足度
・役
割へ
の自
信な
どが
向上
する
。バ
ーン
アウ
トを
防止
し、
家族
と前
向き
に協
働す
るモ
チベ
ーシ
ョン
が維
持さ
れる
。
― 4
0 ―
各論/プログラム名:サインズ・オブ・セーフティー・アプローチ(SoS)
各論/プログラム名:サインズ・オブ・セーフティー・アプローチ(SoS)
― 4
1 ―
人員
や時
間の
確保
につ
いて
○ヒ
アリ
ング
した
児童
相談
所で
は、
まず
は5
月ご
ろか
ら始
まる
SoS
入門
研修
を学
びの
場と
して
提供
して
いる
。新
人職
員や
、異
動し
てき
た職
員を
対象
とし
てい
る。
SoS
の基
本的
な考
え方
を、
半日
×3
セッ
ショ
ンか
けて
伝え
てい
る。
これ
まで
は外
部講
師を
招い
て行
って
きた
が、
平成
22年
度か
らは
、所
内の
職員
が講
師を
担え
るま
でに
なっ
てい
る。
新人
職員
も1
年目
から
地区
担当
の児
童福
祉司
とな
る。
不安
も多
いが
、S
oSを
土台
に実
践を
積み
重ね
るこ
とが
でき
てい
る。
○ヒ
アリ
ング
した
児童
相談
所で
は、
SoS
での
実践
を深
く積
んで
いる
職員
を中
心に
児童
福祉
司と
児童
心理
司の
混合
で構
成さ
れた
家族
支援
チー
ムが
ある
。家
族支
援会
議の
運営
、研
修の
企画
、ケ
ース
ワー
ク上
のア
ドバ
イス
をす
る役
割で
あっ
たり
、困
難ケ
ース
に家
族支
援担
当と
して
かか
わり
、担
当者
をサ
ポー
トし
てい
る。
サポ
ート
やス
ーパ
ービ
ジョ
ンを
どの
よう
に行
った
か
○所
内向
けの
サポ
ート
(ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
)年
に11
回東
海大
学の
菱川
氏を
お招
きし
てい
る。
全職
員参
加希
望者
対象
で2
時間
の研
修。
菱川
氏が
ケー
スを
ファ
シリ
テー
トし
アセ
スメ
ント
する
。エ
ッセ
ンス
を伝
えた
り、
議論
を参
加者
に投
げか
ける
こと
で、
参加
者の
アセ
スメ
ント
力、
家族
の力
を引
き出
すケ
ース
ワー
ク力
を伸
ばし
てい
る。
SoS
の枠
組み
でケ
ース
ワー
クを
アセ
スメ
ント
し、
支援
プラ
ンを
立て
る目
的で
、週
に1
回1
時間
半の
枠で
家族
支援
会議
を行
って
いる
。各
担当
者が
ケー
スの
進行
で迷
った
り、
確認
した
いと
きに
その
時間
を使
って
検討
する
。臨
時で
行う
こと
もあ
る。
担当
者と
家族
支援
チー
ムの
メン
バー
数名
が参
加し
、ケ
ース
をア
セス
メン
トし
てい
る。
○家
族支
援チ
ーム
への
スー
パー
ビジ
ョン
(ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
)菱
川氏
に年
に6
回所
内家
族支
援会
議の
スー
パー
ビジ
ョン
を依
頼。
家族
支援
チー
ムの
ファ
シリ
テー
ト力
の向
上を
目的
とし
てい
る。
ファ
シリ
テー
ター
の良
かっ
たと
ころ
や今
後の
課題
につ
いて
取り
上げ
、職
員同
士も
話し
合う
。
プ
ログ
ラム
を実
施す
るに
当た
って
の準
備な
ど
-323-
― 4
2 ―
各論/プログラム名:サインズ・オブ・セーフティー・アプローチ(SoS)
各論/プログラム名:サインズ・オブ・セーフティー・アプローチ(SoS)
― 4
3 ―
導入
のタ
イミ
ング
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
では
、ど
のタ
イミ
ング
でも
導入
可能
。
親の
モチ
ベー
ショ
ンが
不十
分な
場合
プロ
グラ
ムへ
のモ
チベ
ーシ
ョン
は関
係な
い。
子ど
もへ
の思
いや
引取
りへ
のモ
チベ
ーシ
ョン
が低
い場
合に
は、
新し
い家
族の
形に
向か
うモ
チベ
ーシ
ョン
につ
なげ
てい
く。
引取
り目
標の
親の
場合
とて
も向
いて
いる
。親
の引
き取
りた
い気
持ち
を支
点と
して
話し
合い
への
動機
づけ
を行
って
いく
。
プロ
グラ
ムの
内容
が親
にぴ
った
り合
って
いな
いと
感じ
たと
き
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
では
、子
ども
を預
けた
まま
連絡
が取
れな
いな
ど、
物理
的に
話し
合う
こと
がで
きな
いと
きに
はケ
ース
ワー
クが
停滞
する
こと
があ
る。
親に
メン
タル
の問
題が
あっ
た時
(具
体例
など
)
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
では
、う
つや
統合
失調
症な
どの
、病
名を
問題
にす
るこ
とは
しな
い。
その
こと
が子
ども
の安
全に
かか
わっ
てく
るの
であ
れば
それ
を話
題に
し、
子ど
もの
安全
につ
いて
話し
合っ
てい
く。
親と
の日
程調
整の
苦慮
につ
いて
(具
体例
など
)
特に
なし
内容
が親
にと
って
難解
なと
き(
具体
例な
ど)
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
では
、解
決の
イメ
ージ
を共
有す
るた
めに
保護
者に
とっ
てわ
かり
やす
い面
接と
なる
よう
工夫
する
。児
童相
談所
が心
配し
てい
る事
を絵
と文
字を
使っ
て説
明し
てい
るケ
ース
もあ
る。
途中
で虐
待発
生の
時(
具体
例な
ど)
状況
の変
化に
応じ
て「
子ど
もの
安全
の仕
組み
」を
修正
して
いく
。
プロ
グラ
ムは
部分
活用
を許
して
いる
か
部分
活用
は効
果的
か
SoS
では
、ケー
スワ
ーク
に対
する
姿勢
や考
え方
につ
いて
は、
用い
るす
べて
のケ
ース
ワー
クに
共通
する
もの
で、
部分
・全
体と
いう
活用
でな
く、
土台
のよ
うな
もの
とい
える
。そ
のう
えで
、ヒ
アリ
ング
児相
では
、質
問の
仕方
、ス
リー
ハウ
スや
セー
フテ
ィー
サー
クル
など
のツ
ール
はひ
とつ
のケ
ース
にす
べて
使う
とい
うも
ので
はな
く、
その
家族
に必
要な
もの
だけ
使っ
てい
く部
分活
用の
スタ
イル
をと
って
いる
。
親の
状況
親側
の要
因
運用
の実
践面
での
課題
プ
ログ
ラム
実施
上の
問題
― 4
2 ―
各論/プログラム名:サインズ・オブ・セーフティー・アプローチ(SoS)
各論/プログラム名:サインズ・オブ・セーフティー・アプローチ(SoS)
― 4
3 ―
1.
サイ
ンズ
オブ
セー
フテ
ィー
の手
順や
道具
など
のう
ち、
どの
部分
が役
に立
ちま
すか
。そ
の理
由
SoS
がど
のよ
うに
活用
され
てい
るか
把握
する
ため
に、
それ
を引
き出
しや
すい
質問
を設
定し
た。
役に
立つ
部分
(回答
児相
数)
/ そ
の理
由…
回答
児相
数
スリ
ーコ
ラム
(15)
/
共通
理解
、情
報の
共有
、同
じ視
点…
7 問
題の
整理
、見
える
化、
具体
的で
わか
りや
すい
…8
強み
も見
られ
る…
1ス
リー
ハウ
ス(1
4) /
分か
りや
すく
具体
的に
状況
を確
認で
きる
、子
ども
が話
しや
すい
…10
子
ども
の心
情が
わか
る(支
援者
が、
親が
)、子
ども
が気
持ち
を整
理で
きる
…4
スケ
ール
(5)
/感
じ方
や考
え方
を整
理で
きる
ので
、子
ども
や養
育者
に伝
えや
すく
なる
プラ
ンニ
ング
(4)
/関
係者
同士
(家族
と職
員、
職員
同士
など
)の理
解…
2 家
族が
主体
とい
う責
任感
、共
同作
業…
2ワ
ーズ
&ピ
クチ
ャー
ズ(6
) /
子ど
も自
身の
理解(
問題
,状況
,プラ
ンな
ど)…
4 共
同作
業(保
護者
、子
ども
、支
援者
、親
族等
)で、
今後
を共
有し
てゆ
ける
…3
マッ
ピン
グ(
4) /
分か
り易
く客
観的
に整
理で
きる
…3
共有
して
確認
でき
る…
2ゴ
ール
(2)
/ ゴ
ール
を明
確に
考慮
でき
る
プロ
グラ
ムの
効果
を持
続さ
せる
工夫
虐待
の再
発を
予防
する
、す
なわ
ち子
ども
の安
全を
守る
とい
う効
果を
持続
する
こと
を目
的と
した
ケー
スワ
ーク
技法
であ
る。
その
ため
、S
oSの
考え
方で
ケー
スワ
ーク
をす
るこ
とが
持続
につ
なが
ると
思わ
れる
。
配布数 51 回収数 30 回収率 58.8%
効果
の維
持に
つい
て
活
用に
関す
る質
問紙
調査
の結
果
-324-
― 4
4 ―
各論/プログラム名:サインズ・オブ・セーフティー・アプローチ(SoS)
各論/プログラム名:サインズ・オブ・セーフティー・アプローチ(SoS)
― 4
5 ―
2.
サイ
ンズ
オブ
セー
フテ
ィー
によ
る取
り組
みを
通し
て、
保護
者と
児童
相談
所職
員と
の関
係が
良く
なっ
た経
験
共有
、協
働、
共通
認識
が持
てた
…12
強
みや
うま
くい
って
いる
こと
、努
力し
てい
るこ
とを
認め
た…
7見
通し
が持
てる
…4
ゴー
ル、
見通
しが
持て
るよ
うに
なっ
た…
4関
係が
特に
よく
なっ
たわ
けで
はな
い、
スム
ーズ
に運
べた
とは
いえ
る…
4
取り
組ん
だこ
とで
、親
との
関わ
りに
マイ
ナス
に働
いた
ので
はな
いか
と感
じた
こと
思い
当た
る原
因
リス
クの
扱い
がお
ろそ
かに
…2
安全
、危
険と
いっ
た言
葉に
親が
反応
した
…3
保護
者と
児相
のあ
いだ
の考
え方
の違
い…
3 自
分た
ちで
考え
られ
ない
親…
2メ
ンタ
ルや
発達
障害
の親
…2
特に
ない
…12
(S
oSが
適切
に活
用さ
れて
いな
い事
例を
捉え
てみ
よう
とい
う意
図の
設問
だっ
たが
、考
え方
自体
がマ
イナ
ス効
果を
もた
らす
とは
考え
にく
い、
設問
の意
図は
?と
いう
回答
もあ
った
)
3.
職員
同士
で実
践に
つい
て話
し合
うこ
とが
あり
ます
か。
どの
よう
なこ
とを
話し
合っ
たか
。
良か
った
点改
善点
につ
いて
話し
合う
…4
(AIの
状況
を見
よう
とし
たの
で、
以上
の4
件が
行っ
てい
ると
する
こと
が出
来る
)ど
のよ
うに
取り
組ん
でゆ
こう
かと
いっ
た内
容の
話し
合い
をす
る…
22特
に話
し合
うこ
とは
ない
…2
〇S
oSで
いう
AI(A
ppre
ciat
ed I
nque
ry役
に立
った
こと
など
を教
えて
もら
う)の
実践
状況
を把
握す
る意
図で
あっ
た。
その
意味
で実
践し
てい
ると
いう
回答
は4
件で
あっ
た。
4.
サイ
ンズ
オブ
セー
フテ
ィー
に取
り組
む上
で、
職員
への
サポ
ート
やス
ーパ
ービ
ジョ
ンを
どの
よう
に行
って
いる
か。
職員
同士
でサ
ポー
ト、
研修
会、
検討
会な
ど…
16ス
ーパ
ービ
ジョ
ンを
受け
る…
7 特
にな
し…
5
― 4
4 ―
各論/プログラム名:サインズ・オブ・セーフティー・アプローチ(SoS)
各論/プログラム名:サインズ・オブ・セーフティー・アプローチ(SoS)
― 4
5 ―
5.
サイ
ンズ
オブ
セー
フテ
ィー
は児
童相
談所
のケ
ース
ワー
クに
役に
立っ
てい
ると
感じ
ます
か。
0
:児
童相
談所
のケ
ース
ワー
クに
役に
立っ
てい
ない
10
:役
に立
って
いて
児童
相談
所の
ケー
スワ
ーク
の要
にな
って
いる
とし
た数
字:
その
数字
を選
んだ
理由
は何
です
か。
お書
きく
ださ
い。
選ん
だ数
字(回
答し
た児
相数
)/理
由…
回答
した
児相
数10
(1)
/ ケ
ース
ワー
クの
要に
なっ
てい
る…
18(
2) /
県下
児相
と管
轄市
町村
にお
ける
共有
率か
ら考
えて
…1
安全
のポ
イン
トを
ぶら
さず
に関
係機
関の
連携
が図
られ
る…
1
7(12
) /
取り
組む
人が
一部
でし
かな
い…
4取
り組
む場
が一
部に
限ら
れて
いる
…3
児相
の意
志決
定の
シス
テム
に組
み込
まれ
てい
ない
…2
双方
向の
理解
が可
能と
なる
…3
6(6)
/取
り組
んで
いる
人が
少な
い…
2 取
り組
むケ
ース
が限
られ
る…
3組
織で
取り
組む
段階
に行
かな
い…
1
5(4)
/限
られ
た職
員…
2
限ら
れた
ケー
ス…
1S
oS以
外の
ソー
シャ
ルワ
ーク
の手
法も
必要
だか
ら…
1
4(2)
/周
知が
途上
…2
3(1)
/職
員に
余裕
が無
く使
いこ
なせ
ない
…1
児童
相談
所全
体と
して
の取
り組
みに
なっ
てき
た場
合、
どの
よう
にし
て理
解を
得て
いっ
たか
全体
の取
り組
みに
はな
って
いな
い…
9研
修を
行っ
てき
てい
る…
4理
解さ
れて
きて
いる
…3
-325-
― 4
6 ―
各論/プログラム名:ファミリー・グループ・カンファレンス(FGC)
各論/プログラム名:ファミリー・グループ・カンファレンス(FGC)
― 4
7 ―
プロ
グラ
ム名
:フ
ァミ
リー
・グ
ルー
プ・
カン
ファ
レン
ス(F
GC
)
― 家
族支
援の
取り
組み
へ(「
家族
支援
プロ
グラ
ム」
に)
組み
込ま
れた
形と
して
プロ
グラ
ムの
簡単
な解
説:
子ど
も虐
待等
にお
ける
危機
介入
の中
で「
家族
の参
画と
家族
の意
思決
定」
を支
援過
程
の中
核に
据え
るソ
ーシ
ャル
ワー
クモ
デル
。し
たが
って
、支
援プ
ログ
ラム
とい
う位
置づ
けは
なじ
まな
い。
拡大
家族
や友
人・
知人
とい
った
イン
フォ
ーマ
ルネ
ット
ワー
クの
潜在
的能
力を
活用
し、
それ
らが
ソー
シャ
ルワ
ーカ
ーを
始め
とす
る専
門職
とと
もに
、子
ども
の安
全、
健全
な養
育を
確保
する
ため
に養
育の
主体
、場
所、
その
あり
方等
の必
要事
項を
話し
合う
会議
。ニ
ュー
ジー
ラン
ドで
はFG
Cが
実施
され
るこ
とが
法律
によ
り規
定さ
れ
てお
り、
公式
の会
議と
して
位置
づい
てい
る。
諸外
国で
積極
的な
実践
が展
開さ
れて
いる
が、
必ず
しも
法に
位置
づい
てい
るも
のば
かり
では
ない
。ま
た、
当事
者だ
けで
の話
し合
い時
間が
確保
され
てい
る形
のミ
ーテ
ィン
グは
FGC
とさ
れる
が、
ファ
ミリ
ータ
イム
の
ない
当事
者参
画型
のミ
ーテ
ィン
グも
実践
され
てお
り、
アメ
リカ
では
FTD
M(F
amily
Team
Dec
isio
n M
eetin
g)な
どと
表現
され
てい
る。
いず
れも
、当事
者参
画が
キー
ワー
ドで
あり
、日
本型
の実
践の
展開
が期
待さ
れる
。
プロ
グラ
ム方
法が
学べ
る機
関先
進事
例の
視察
など
によ
って
学ぶ
。
指導
者資
格が
必要
な場
合は
その
取得
方法
資格
は特
にな
い。
プロ
グラ
ムを
学ぶ
のに
必要
な費
用費
用を
徴収
する
研修
は設
定さ
れて
いな
い。
プロ
グラ
ムを
実施
する
のに
必要
な費
用担
当ス
タッ
フ等
の人
件費
一
般的
な用
具を
準備
する
費用
など
プ
ログ
ラム
を実
施に
当た
って
の参
考情
報
― 4
6 ―
各論/プログラム名:ファミリー・グループ・カンファレンス(FGC)
各論/プログラム名:ファミリー・グループ・カンファレンス(FGC)
― 4
7 ―
教材
・参
考文
献・
問い
合せ
先C
on
no
ly,M
ari
e a
nd
McK
enzi
e,M
arg
are
t(1
99
9)
Effec
tive
Par
ticip
ator
y P
ract
ice,
Ald
ine
De
Gru
yter
高
橋、
澁谷
、森
他訳
(2
005)
「フ
ァミ
リー
グル
ープ
・カ
ンフ
ァレ
ンス
子ど
も家
庭ソ
ーシ
ャル
ワー
ク実
践の
新た
なモ
デル
」有
斐閣
「子
ども
家庭
福祉
分野
にお
ける
家族
支援
のあ
り方
に関
する
総合
(代表
高
橋重
宏)「
ファ
ミリ
ーグ
ルー
プ・
カン
ファ
レン
ス
子ど
も虐
待へ
の新
たな
家族
支援
」(2
008-
2010
)報告
書
テキ
スト
D
VD
林 浩
康(2
008)
「子
ども
虐待
時代
の新
たな
家族
支援
」明
石書
店林
浩康
鈴
木浩
之編
著
(201
1)フ
ァミ
リー
グル
ープ
カン
ファ
レン
ス入
門
子ど
も虐
待に
おけ
る「
家族
」が
主役
の支
援
明石
書店
プロ
グラ
ムに
かか
る時
間や
期間
必要
があ
るも
しく
は実
施が
効果
的で
ある
と思
われ
るタ
イミ
ング
で行
われ
る。
現状
では
、限
られ
たケ
ース
に試
行的
に実
施し
てい
ると
いう
のが
現実
。ミ
ーテ
ィン
グ自
体は
、支
援の
節々
で行
われ
るが
、子
ども
の生
活の
場を
話し
合う
場面
、家
庭引
取り
につ
いて
話し
合う
など
の重
大な
局面
で行
われ
るこ
とが
多い
。ミ
ーテ
ィン
グ自
体は
2時
間以
上か
かる
こと
が多
い。
また
、フ
ァミ
リー
・グ
ルー
プに
なる
人々
との
連絡
調整
など
、相
当の
手間
ひま
の必
要な
実践
であ
る。
プロ
グラ
ムの
特徴
と感
じて
いる
点(
他と
比べ
られ
る場
合)
FGC
の特
徴の
一つ
は、
従来
の3
親等
に限
らな
い家
族、
親族
、友
人な
ども
含め
てフ
ァミ
リー
・グ
ルー
プが
主役
を担
うと
いう
こと
であ
る。
これ
まで
の家
族の
認識
にと
らわ
れな
いイ
ンフ
ォー
マル
なネ
ット
ワー
クを
構築
し、
そこ
にあ
る潜
在的
な力
を問
題の
解決
=虐
待の
解決
に動
員し
てい
くこ
とと
なる
。主
役は
家族
なの
で、
家族
が話
し合
い、
時に
は家
族、
ファ
ミリ
ー・
グル
ープ
だけ
での
話し
合い
によ
って
、子
ども
と家
族の
行く
末を
話し
合い
、意
思決
定過
程に
参画
する
。FG
Cは
おお
むね
次の
通り
展開
され
る。
①ア
イス
ブレ
イク
、②
情報
共有
、③
ファ
ミリ
ータ
イム
、④
合意
形成
、⑤
クロ
ージ
ング
であ
る。
FGC
は家
族・
ファ
ミリ
ー・
グル
ープ
のイ
ンフ
ォー
マル
なネ
ット
ワー
クを
構築
し、
それ
ぞれ
が持
って
いる
潜在
的な
パワ
ーを
子ど
もの
安全
・安
心そ
して
、親
子関
係の
再構
築に
結び
付け
てい
くの
であ
る。
FGC
は主
役で
ある
家族
がフ
ァミ
リー
・グ
ルー
プと
のつ
なが
りを
再生
し、
専門
職を
パー
トナ
ーと
して
活用
し、
自ら
意思
決定
して
いく
ため
の枠
組み
、と
いえ
るだ
ろう
。
プ
ログ
ラム
の実
施
-326-
― 4
8 ―
各論/プログラム名:ファミリー・グループ・カンファレンス(FGC)
各論/プログラム名:ファミリー・グループ・カンファレンス(FGC)
― 4
9 ―
プロ
グラ
ムの
ねら
いや
意義
○家
族自
身の
自己
決定
に向
けた
支援
(エン
パワ
メン
ト)
○イ
ンフ
ォー
マル
ネッ
トワ
ーク
の構
築
○子
ども
自身
の意
思決
定へ
の参
画
○子
ども
の安
全・
安心
な生
活の
確保
実施
して
の効
果な
どの
状況
○当
事者
参画
によ
る支
援の
あり
方と
して
のひ
とつ
の形
態。
主体
者と
して
家族
が尊
重さ
れ、
子ど
もの
生活
のあ
り方
が決
めら
れて
いく
こと
で、
家族
の意
思決
定が
具体
化さ
れる
。意
思決
定に
家族
自身
が責
任を
持つ
こと
で、
子ど
もに
とっ
ての
より
良い
決定
、永
続的
な安
定し
た生
活環
境に
より
近づ
いて
いく
こと
にな
る。
○ま
た、
子ど
もを
支援
する
ネッ
トワ
ーク
や、
時に
養育
者が
拡大
され
るこ
とで
施設
養護
以外
の生
活形
態の
選択
肢が
広が
る可
能性
があ
る。
○FG
Cの
プロ
セス
によ
り家
族が
エン
パワ
メン
トさ
れて
いく
。
プロ
グラ
ムの
児相
業務
の中
での
位置
づけ
家族
支援
の考
え方
につ
いて
:家
族支
援や
、親
子支
援チ
ーム
のあ
り方
につ
いて
は児
相業
務に
すで
に位
置づ
いて
おり
、職
員が
児童
相談
所に
着任
する
と研
修等
によ
って
周知
が図
られ
る。
FGC
につ
いて
は、
所全
体で
共有
され
てい
る実
践と
まで
は言
えな
い。
まだ
、限
られ
たケ
ース
への
支援
とい
う域
を出
てい
ない
。
親子
支援
チー
ムの
位置
づけ
引き
取り
や、
家族
関係
再構
築な
どを
専属
で取
り組
むの
が親
子支
援チ
ーム
とい
う位
置づ
けで
ある
。引
き取
りま
での
プラ
ンを
家族
、子
ども
、担
当者
と作
成し
たり
、親
子関
係の
評価
をし
たり
、親
や親
族を
入れ
たミ
ーテ
ィン
グ(合
同ミ
ーテ
ィン
グ)の
進行
や記
録を
した
りす
る。
ミー
ティ
ング
では
、子
ども
虐待
対応
の様
々な
場面
で、
ファ
シリ
テー
ター
とし
ての
役割
を担
う。
いず
れも
、児
相の
行う
チー
ムア
プロ
ーチ
の中
で職
責を
果た
す。
親子
支援
チー
ムだ
けが
担当
を担
うこ
とは
ない
。
プ
ログ
ラム
と児
相と
の関
係
― 4
8 ―
各論/プログラム名:ファミリー・グループ・カンファレンス(FGC)
各論/プログラム名:ファミリー・グループ・カンファレンス(FGC)
― 4
9 ―
人員
や時
間の
確保
につ
いて
設定
され
たカ
ンフ
ァレ
ンス
に対
して
、相
応の
人員
や時
間の
確保
が必
要で
ある
。人
材育
成:
新人
研修
の一
環と
して
のト
レー
ニン
グが
あり
、家
族支
援の
全体
像を
学ぶ
。当
県(
ヒア
リン
グ対
象例
)で
は、
福祉
職採
用を
行っ
てい
る。
サポ
ート
やス
ーパ
ービ
ジョ
ンを
どの
よう
に行
った
か
仕組
みの
中で
、職
員同
士の
交流
やア
ドバ
イス
が行
われ
る。
機材
の調
達が
必要
だっ
た場
合特
段の
機材
はな
いが
、例
えば
、ホ
ワイ
トボ
ード
マー
カー
など
、通
常必
要に
なる
物品
が万
が一
ない
場合
など
に気
を遣
う(特
に出
張で
行う
場合
など
)。
プロ
グラ
ムが
取り
入れ
られ
るに
当た
って
の、
熱心
な職
員の
努力
など
県全
体で
、親
子支
援チ
ーム
とい
うも
のが
、充
分に
認知
され
てお
り、
取り
組み
には
いろ
いろ
なや
り方
が組
み合
わさ
れて
いく
。親
子支
援チ
ーム
に配
属さ
れる
と、
研修
が確
保さ
れて
おり
、仕
事の
内容
や意
義に
つい
て理
解を
深め
るこ
とが
でき
る。
全県
に渡
るこ
うい
った
状況
が整
うに
至っ
た時
期に
は苦
労が
あっ
たと
思わ
れる
が、
現在
は考
え方
や方
法論
があ
る程
度認
知さ
れ、
定着
して
きて
いる
。
プロ
グラ
ムに
つい
ての
児相
職員
から
の評
判
親子
支援
チー
ムの
存在
、子
ども
、家
族を
主体
とし
た当
事者
参画
型の
ミー
ティ
ング
は「合
同ミ
ーテ
ィン
グ」
とし
て定
着し
てい
るが
、FG
Cの
支援
、特に
、イン
フォ
ーマ
ルネ
ット
ワー
クの
構築
、フ
ァミ
リー
タイ
ムの
実施
、当
事者
によ
る意
思決
定は
、ご
く限
られ
たケ
ース
に適
用し
てい
ると
いう
のが
実態
であ
る。
当事
者参
画型
のミ
ーテ
ィン
グ自
体は
、そ
れ自
体が
子ど
も虐
待ソ
ーシ
ャル
ワー
クに
おい
て、
不可
欠な
もの
と考
えら
れて
いる
と思
う。
プ
ログ
ラム
を実
施す
るに
当た
って
の準
備な
ど
プ
ログ
ラム
を取
り入
れる
に当
たっ
て努
力し
た点
-327-
― 5
0 ―
各論/プログラム名:ファミリー・グループ・カンファレンス(FGC)
各論/プログラム名:ファミリー・グループ・カンファレンス(FGC)
― 5
1 ―
この
プロ
グラ
ムに
向い
てい
ると
思わ
れる
保護
者
向き
不向
きで
はな
く、
すべ
ての
家族
に等
しく
機会
が提
供さ
れな
けれ
ばな
らな
いも
の。
しか
し、
実際
は親
族が
協力
的に
なっ
てく
れて
、親
族の
サポ
ート
が有
効に
働く
こと
が予
測さ
れる
場合
、あ
るい
は、
子ど
もの
安心
・安
全の
ため
にき
ちん
と応
援し
てく
れそ
うな
親族
がい
る場
合が
多い
。
導入
のタ
イミ
ング
ソー
シャ
ルワ
ーク
の中
で判
断さ
れる
。担
当者
は援
助方
針会
議の
中で
、FG
C等
のミ
ーテ
ィン
グの
進め
方を
提案
する
。FG
Cを
含め
た合
同ミ
ーテ
ィン
グ(当
県の
造語
、家
族を
含め
たい
ずれ
かの
話し
合い
を包
括的
に呼
ぶ)は
、ミ
ーテ
ィン
グの
運営
によ
り中
立的
な立
場に
ある
者が
ファ
シリ
テー
トす
るこ
とが
有効
であ
るた
め、
親子
支援
チー
ム(福
祉職
1名
、心
理職
1名
から
なる
家族
支援
チー
ム)が
支援
チー
ムに
加わ
るこ
とが
多い
。
導入
はソ
ーシ
ャル
ワー
クの
流れ
の中
にあ
る。
全体
のコ
ーデ
ィネ
ート
をし
てい
くの
は、
主担
当の
児童
福祉
司で
ある
。
親の
モチ
ベー
ショ
ンが
不十
分な
場合
モチ
ベー
ショ
ンを
構築
する
こと
も支
援。
指導
的な
対応
は、
一方
で家
族を
無力
化す
るこ
とも
ある
。家
族・
子ど
もが
、い
かに
主体
者と
なる
支援
を展
開で
きる
かが
鍵と
なる
。当
事者
参画
はそ
のた
めの
キー
ワー
ドで
あり
、FG
Cは
その
こと
を追
求し
てい
った
場合
のひ
とつ
の到
達点
とい
えよ
う。
親に
対し
て甘
くな
るこ
とと
引き
取り
の焦
りに
関し
て
家族
のス
トレ
ング
スに
焦点
を合
わせ
るか
ら、
子ど
もの
安全
につ
いて
「親に
対し
て甘
くな
る」
とい
うこ
とで
は決
して
ない
。子
ども
の安
全に
焦点
を合
わせ
続け
る実
践モ
デル
が必
要で
ある
。FG
Cで
は、
情報
共有
の段
階で
「子
ども
に起
きた
心配
なこ
と」
を率
直に
共有
する
。そ
して
、そ
のこ
との
解決
の方
法と
して
、フ
ァミ
リー
・グ
ルー
プが
いか
に関
与す
れば
よい
のか
話し
合う
ので
あり
、そ
の結
果が
不十
分で
ある
と判
断さ
れれ
ば、
児童
相談
所等
から
更な
る検
討が
求め
られ
るの
であ
る。
※
情報
共有
段階
では
、サ
イン
ズ・
オブ
・セ
イフ
ティ
ー・
アプ
ロー
チの
マッ
ピン
グ等
によ
って
対話
が進
めら
れる
こと
が多
い。
親の
状況
プ
ログ
ラム
実施
上の
問題
― 5
0 ―
各論/プログラム名:ファミリー・グループ・カンファレンス(FGC)
各論/プログラム名:ファミリー・グループ・カンファレンス(FGC)
― 5
1 ―
引取
り目
標の
共有
現行
のシ
ステ
ムで
は、
司法
が関
与す
るこ
とは
例外
であ
り、
その
ため
、児
童相
談所
が危
機介
入、
指導
・支
援、
評価
、家
庭復
帰、
指導
終結
等の
一連
の流
れと
、そ
の時
々の
判断
をし
てい
かな
けれ
ばな
らな
い。
保護
者に
は、
親子
分離
され
た場
合の
家庭
復帰
まで
のシ
ステ
ムと
ルー
ル、
ガイ
ドラ
イン
を示
さな
けれ
ばな
らな
い。
当県
の場
合は
、段
階的
な親
子交
流の
枠組
みと
、その
段階
がど
のよ
うに
進展
する
か「支
援プ
ラン
」と
して
フロ
ー図
等に
示す
こと
が多
い。
これ
は、
児相
が家
族に
課題
を一
方的
に示
すの
では
なく
、あ
くま
で家
庭引
取り
に至
るま
での
評価
の仕
組み
を示
すも
ので
あり
、本
来は
司法
の枠
組み
の中
で示
され
るも
のか
もし
れな
い。
この
枠組
みの
中で
何を
する
のか
は、
家族
が考
えて
いく
こと
であ
り、
安全
を構
築す
るの
も家
族で
ある
、児
相等
はこ
の枠
組み
の中
で家
族の
取り
組み
を支
援し
てい
くこ
とと
なる
。
プロ
グラ
ムの
内容
が親
にぴ
った
り合
って
いな
いと
感じ
たと
き
現状
では
、FG
C自
体を
行う
のが
限ら
れた
ケー
スで
ある
ため
、FG
Cが
なじ
みそ
うな
ケー
スで
行っ
てい
る。
今後
、よ
り多
くの
ケー
スに
導入
した
場合
には
、な
じま
ない
ケー
スも
ある
かも
しれ
ない
。特
に、F
GC
のひ
とつ
の目
標と
して
ファ
ミリ
ー・
グル
ープ
の拡
大が
ある
。「誰
か、
子ど
もの
支援
に関
わっ
てく
ださ
る方
はい
ます
か」
と聞
くと
、多
くの
家族
は「そ
んな
人が
いた
ら、
とっ
くに
頼ん
でい
る」
と答
える
こと
がし
ばし
ばで
ある
。し
かし
、こ
こか
ら「
家族
を拓
く」
こと
こそ
がFG
Cで
ある
。虐
待に
は「
孤立
の病
理」
があ
るこ
とを
踏ま
えれ
ば、
ここ
をぜ
ひと
も乗
り越
えた
いの
であ
る。
した
がっ
て、
合う
合わ
ない
とい
うよ
り、
支援
上の
課題
と理
解す
るこ
とが
大切
であ
ると
思う
。
親が
希望
した
タイ
ミン
グで
丁度
よく
実施
され
るク
ール
がな
いと
き
特に
、ク
ール
とい
う制
限は
ない
。
親に
メン
タル
の問
題が
あっ
た時
(具
体例
など
)
カン
ファ
レン
スが
続き
にく
くな
った
事例
はあ
る。
親と
の日
程調
整の
苦慮
につ
いて
(具
体例
など
)
人数
が大
勢な
ので
、日
程調
整は
大変
であ
る。
親側
の要
因
-328-
― 5
2 ―
各論/プログラム名:ファミリー・グループ・カンファレンス(FGC)
コラム/ファミリーグループ・カンファレンスの可能性
― 5
3 ―
内容
が親
にと
って
難解
なと
き(具
体例
など
)カ
ンフ
ァレ
ンス
の意
義の
理解
を確
かめ
なが
ら行
う。
ホワ
イト
ボー
ドに
まと
めな
がら
進め
られ
るた
め、
比較
的理
解は
スム
ーズ
であ
る。
途中
で虐
待発
生の
時(具
体例
など
)ア
セス
メン
トを
行っ
て、
個別
事例
ごと
に判
断す
る。
プロ
グラ
ムの
途中
中断
につ
いて
(具
体例
など
)
FGC
に限
らな
いが
、臨
機に
対応
を変
更し
てい
る。
FGC
の枠
組み
で進
めよ
うと
した
が、
ファ
ミリ
ー・
グル
ープ
が集
まら
なか
った
り、
ファ
ミリ
ータ
イム
を実
施し
よう
とし
たが
、家
族間
の葛
藤が
強く
話し
合い
に至
らな
かっ
たり
する
こと
はあ
る。
また
、子
ども
の参
加に
つい
ても
慎重
に判
断せ
ざる
を得
ない
ケー
スも
少な
くな
い。
グル
ープ
を作
れる
ほど
人数
が集
まら
ない
とき
(具
体例
など
)
1ケ
ース
単位
の取
り組
みで
ある
。
グル
ープ
に合
わな
い人
が出
てき
たと
き(
具体
例な
ど)
1ケ
ース
単位
の取
り組
みで
ある
。
プロ
グラ
ムは
部分
活用
を許
して
いる
か
部分
活用
は効
果的
か
アメ
リカ
のFT
DM
(Fam
ily T
eam
Dec
ision
Mee
ting)
のよ
うに
ファ
ミリ
ータ
イム
を行
わな
い実
践も
あり
、FG
Cの
多様
化が
進ん
でい
る印
象が
ある
。法
定の
枠組
みの
なか
での
FGC
はわ
が国
には
なじ
まず
、日
本の
現場
に適
応す
るFG
Cを
構築
して
いく
必要
はあ
る。
部分
活用
とい
う以
前に
、改定
FGC
、M-F
GC
であ
る。
部分
活用
とし
て何
が有
効な
のか
は慎
重に
判断
した
い。
その
他運
用上
の問
題児
童相
談所
に合
うFG
Cを
展開
して
いく
こと
が課
題で
ある
。FG
Cに
限ら
ずフ
ァミ
リー
グル
ープ
を拡
大す
るこ
と、
当事
者の
参画
・自
己決
定な
どは
子ど
も虐
待対
応で
は共
通の
課題
であ
る。
運用
の実
践面
での
課題
プロ
グラ
ムの
効果
を持
続さ
せる
工夫
カン
ファ
レン
スの
中で
、ア
フタ
ーフ
ォロ
ーを
して
いく
こと
を確
認す
る。
家庭
引き
取り
後に
転出
する
よう
な場
合は
、家
庭引
き取
り前
から
転出
先の
児相
や関
係者
がミ
ーテ
ィン
グに
参加
し協
働し
なが
ら支
援を
引き
継い
でい
くこ
とも
ある
。
プロ
グラ
ム終
了後
起こ
る問
題家
庭引
取後
に家
族の
モチ
ベー
ショ
ンが
低下
しな
いよ
う、
家庭
引取
りが
新た
な始
まり
だと
いう
こと
を家
族と
共有
する
こと
が大
切で
ある
。ま
た、
児童
福祉
司指
導と
して
モニ
ター
等を
義務
付け
るこ
とも
大切
であ
る。
効果
の持
続に
つい
て
― 5
2 ―
各論/プログラム名:ファミリー・グループ・カンファレンス(FGC)
コラム/ファミリーグループ・カンファレンスの可能性
― 5
3 ―
ニュ
ージ
ーラ
ンド
に起
源を
持つ
ファ
ミリ
ーグ
ルー
プ・
カン
ファ
レン
ス(以
下FG
C)は
子ど
も虐
待対
応等
にお
いて
、そ
の有
効性
が認
めら
れ世
界的
な拡
がり
を見
せて
いる
。わ
が国
にも
近年
紹介
され
、一
部の
児童
相談
所で
は試
行的
な実
践が
始ま
って
いる
。し
かし
、そ
の拡
がり
は、
本研
究の
調査
結果
にあ
るよ
うに
、い
まだ
一部
の試
行的
実践
の範
囲を
出な
い。
児童
相談
所に
おけ
る子
ども
虐待
対応
にお
いて
、FG
Cが
拡大
して
いく
可能
性を
考え
たい
。
FGC
とは
、子
ども
虐待
等に
おけ
る危
機介
入の
中で
「家
族の
参画
と家
族の
意思
決定
」を
支援
過程
の中
核に
据え
、拡
大家
族や
友人
・知
人と
いっ
たイ
ン
フォ
ーマ
ルネ
ット
ワー
ク(フ
ァミ
リー
グル
ープ
)の潜
在的
能力
を活
用し
、専
門職
とと
もに
、子
ども
の安
全、
健全
な養
育を
確保
する
ため
に、
養育
の主
体、
場所
、そ
の支
援の
あり
方等
を話
し合
う会
議、
その
プロ
セス
をい
う。
一般
的に
はコ
ーデ
ィネ
イタ
ーの
役割
を担
う者
が、
子ど
も、
家族
と相
談し
なが
らFG
C
に参
加し
ても
らう
メン
バー
を開
拓し
てい
く。
そし
て、
カン
ファ
レン
スは
①ア
イス
ブレ
イク
、②
情報
共有
、③
ファ
ミリ
ータ
イム
、④
合意
形成
、⑤
クロ
ージ
ング
と進
む。
①ア
イス
ブレ
イク
は文
字通
り、
参加
メン
バー
が緊
張を
解き
、話
し合
いに
備え
る段
階で
あり
、そ
れぞ
れの
文化
に応
じた
準備
があ
る。
②情
報共
有は
家族
、専
門職
がそ
れぞ
れ持
って
いる
情報
を共
有す
るこ
とで
、子
ども
家族
が意
思決
定に
参画
でき
るよ
うに
する
。③
ファ
ミリ
ータ
イム
では
、関
係専
門機
関を
除い
たメ
ンバ
ーだ
けで
話し
合い
が行
われ
る。
④合
意段
階で
は、
再び
関係
専門
機関
が加
わり
ファ
ミリ
ータ
イム
の結
論を
児童
相談
所が
求め
る条
件、
意向
等と
照ら
し合
わせ
なが
ら子
ども
の養
育の
主体
、生
活の
場、
支援
計画
など
を立
案す
る。
⑤ク
ロー
ジン
グで
は、
困難
な作
業に
取り
組ん
だこ
とを
ねぎ
らい
、敬
意を
払い
つつ
終了
とな
る。
FGC
を構
成す
る要
件と
して
特に
大切
なも
のは
、一
つ目
とし
て、
ファ
ミリ
ー
ファ
ミリ
ーグ
ルー
プ・
カン
ファ
レン
スの
可能
性
コ ラ
ム
-329-
― 5
4 ―
コラム/ファミリーグループ・カンファレンスの可能性
各論/プログラム名:コモンセンスペアレンティング(CSP)
― 5
5 ―
グル
ープ
を開
拓す
るこ
とで
ある
。虐
待対
応の
実務
を担
うす
べて
のソ
ーシ
ャル
ワー
カー
が思
うこ
とは
、家
族を
支え
るイ
ンフ
ォー
マル
なネ
ット
ワー
クを
構築
する
こと
の難
しさ
であ
る。
多く
のケ
ース
では
、親
族等
に連
絡を
取る
こと
さえ
も強
い拒
否に
あう
こと
が珍
しく
ない
。し
かし
、子
ども
の安
全を
作っ
てい
くこ
とに
おい
て、
イン
フォ
ーマ
ルな
ネッ
トワ
ーク
を構
築す
るこ
とは
きわ
めて
重要
なテ
ーマ
であ
る。
FGC
では
、イ
ンフ
ォー
マル
なネ
ット
ワー
クを
いか
に拡
大
して
いく
のか
とい
うこ
とそ
のも
のが
実践
の課
題と
して
位置
づい
てお
り、
実践
的な
蓄積
があ
る。
もち
ろん
、ニ
ュー
ジー
ラン
ドの
よう
に法
的な
位置
づけ
があ
る国
との
実践
の相
違は
ある
が、
「家族
を拓
く」
とい
う課
題は
同じ
であ
る。
二つ
目は
、最
初か
ら最
後ま
で子
ども
の参
画が
保障
され
てい
るこ
とで
ある
。
もち
ろん
、ケ
ース
によ
って
は子
ども
が参
画で
きな
いこ
とも
ある
がそ
のた
めの
多様
な参
画の
方法
が用
意さ
れて
いる
。
三つ
目は
、当
事者
だけ
の話
し合
いと
、子
ども
の生
活の
在り
方に
つい
ての
意
思決
定に
子ど
も、
家族
が関
与す
るこ
とで
ある
。意
思決
定が
でき
る範
囲は
、自
ずと
その
国の
制度
とケ
ース
の状
況に
よっ
て決
まっ
てく
るだ
ろう
。大
切な
こと
は、
重大
な決
定が
誰か
に決
めら
れた
とい
うこ
とで
はな
く、
子ど
もも
参画
して
家族
自身
が決
めた
とい
うコ
ンテ
キス
トで
ある
。な
お、
当事
者だ
けで
の話
し合
い時
間が
確保
され
てい
る形
のミ
ーテ
ィン
グは
FGC
とさ
れる
が、
ファ
ミリ
ー
タイ
ムの
ない
当事
者参
画型
のミ
ーテ
ィン
グも
実践
され
てお
り、
アメ
リカ
では
FT
DM
(Fam
ily T
eam
Dec
isio
n M
eetin
g)な
どと
表現
され
てい
る。
FGC
の実
践は
、始
まっ
たば
かり
であ
る。
パタ
ーナ
リス
ティ
ック
な指
導だ
けで
は、
家族
が主
体者
にな
るこ
とは
難し
く、
子ど
もの
安全
は保
障さ
れな
い。
当事
者参
画と
いう
キー
ワー
ドの
中で
、日
本型
のFG
Cの
実践
展開
が期
待さ
れ
る。
― 5
4 ―
コラム/ファミリーグループ・カンファレンスの可能性
各論/プログラム名:コモンセンスペアレンティング(CSP)
― 5
5 ―
プロ
グラ
ム名
:コ
モン
セン
スペ
アレ
ンテ
ィン
グ(C
SP
)
プロ
グラ
ムの
簡単
な解
説:
米
国最
大の
児童
福祉
施設
で開
発さ
れた
被虐
待児
の保
護者
支援
のペ
アレ
ント
トレ
ーニ
ング
プロ
グラ
ム。
日本
の文
脈に
合う
よう
に、
児童
養護
施設
「神
戸少
年の
家」
で開
発さ
れた
。暴
力を
使わ
ず子
ども
を育
てる
技を
親に
伝え
るこ
とで
、虐
待の
予防
や関
係性
の回
復を
目指
す。
2005
年よ
り日
本で
普及
活動
が始
まる
。行
動理
論の
背景
を元
に、
効果
的
にし
つけ
るス
キル
を、
視聴
覚教
材を
用い
ロー
ルプ
レイ
やモ
デリ
ング
によ
って
学ぶ
。
プロ
グラ
ム方
法が
学べ
る機
関ト
レー
ナー
オブ
トレ
ーナ
ーに
よる
養成
が行
われ
る機
関
指導
者資
格が
必要
な場
合は
その
取得
方法
トレ
ーナ
ーオ
ブト
レー
ナー
によ
る養
成に
より
トレ
ーナ
ーと
なる
プロ
グラ
ムを
学ぶ
のに
必要
な費
用3
日間
連
続3
日で
なく
ても
良い
計
25時
間で
宿題
付き
25
000
円
プロ
グラ
ムを
実施
する
のに
必要
な費
用特
段必
要な
い
DV
Dが
再生
でき
れば
よい
教材
・参
考文
献・
問い
合せ
先野
口啓
示
むず
かし
い子
を育
てる
ペア
レン
ト・
トレ
ーニ
ング
―親
子に
笑顔
がも
どる
10 の
方法
明
石書
店野
口啓
示
コモ
ンセ
ンス
ペア
レン
ティ
ング
・ワ
ーク
ブッ
ク
明石
書店
伊藤
徳馬
ど
なら
ない
子育
て
Dis
cove
r
プ
ログ
ラム
を実
施に
当た
って
の参
考情
報
プロ
グラ
ムに
かか
る時
間や
期間
○2時
間×
6 フ
ォロ
ー1
回
月1
にす
ると
、半年
かか
って
しま
う○
通所
面接
では
、パー
ツを
使っ
てゆ
く
ダイ
ジェ
スト
版(
CS
Pの
内容
をコ
ンパ
クト
に解
説し
た内
容)が
多い
。
プ
ログ
ラム
の実
施
-330-
― 5
6 ―
各論/プログラム名:コモンセンスペアレンティング(CSP)
各論/プログラム名:コモンセンスペアレンティング(CSP)
― 5
7 ―
プロ
グラ
ムの
特徴
と感
じて
いる
点(
他と
比べ
られ
る場
合)
○C
SP
は非
暴力
コミ
ュニ
ケー
ショ
ンの
具体
的な
ノウ
ハウ
が詰
まっ
てい
る心
理教
育プ
ログ
ラム
であ
る。
一次
予防
から
三次
予防
まで
と、
その
適用
範囲
が広
いの
が特
徴で
ある
。こ
れに
より
、子
ども
の安
全を
家族
が確
保し
てい
くに
際し
ての
具体
的な
スキ
ルと
成り
得る
もの
であ
る。
○普
及版
(神
戸少
年の
町版
)の
トレ
ーナ
ーは
、一
度ト
レー
ナー
とな
れば
、基
本テ
キス
ト(
マニ
ュア
ル)
から
レジ
ュメ
の作
成、
イラ
スト
の引
用等
が可
能と
なる
。ト
レー
ナー
は現
場の
実践
家に
より
主に
構成
され
てい
るこ
とか
ら、
普及
の仕
方は
トレ
ーナ
ーに
一任
され
るた
め、
汎用
性が
高い
もの
とな
る。
トレ
ーナ
ー資
格維
持の
ため
にあ
らた
めて
の再
登録
等が
なく
、コ
スト
パフ
ォー
マン
ス的
にも
優れ
てい
る
プロ
グラ
ムの
ねら
いや
意義
○人
と人
との
つな
がり
の基
本を
おさ
える
ツー
ルと
して
有用
○「
非暴
力的
」と
いう
ミニ
マム
スタ
ンダ
ード
を押
さえ
よう
とし
てい
る
実施
して
の効
果な
どの
状況
○効
果測
定は
アン
ケー
トに
よる
自己
評価
式で
ある
。○
実際
には
、家族
支援
の「
プロ
グラ
ム(プ
ラン
)」が
あっ
て、
その
中で
組み
合わ
せて
CS
Pを
やる
ので
、そ
の場
合、
CS
P単
独の
効果
かど
うか
はわ
から
ない
。
プロ
グラ
ムの
児相
業務
の中
での
位置
づけ
○ヒ
アリ
ング
した
児童
相談
所で
は、
ケー
スワ
ーク
の中
で非
暴力
のコ
ミュ
ニケ
ーシ
ョン
スキ
ルを
部分
的に
伝え
てい
くこ
とか
ら、
当事
者の
セッ
ショ
ン受
講の
モチ
ベー
ショ
ンを
少し
ずつ
たか
め、
たか
まっ
たら
、セ
ッシ
ョン
実施
へ誘
い紹
介す
る。
プロ
グラ
ムに
つい
ての
児相
職員
から
の評
判
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
では
、県
内で
共通
言語
とな
り得
てお
り、
有効
性が
児童
相談
所職
員間
で共
有さ
れて
いる
。ダ
イジ
ェス
ト版
を児
相職
員が
共有
して
いる
。
プ
ログ
ラム
と児
相と
の関
係
プロ
グラ
ムが
取り
入れ
られ
るに
当た
って
の、
熱心
な職
員の
努力
など
核と
なる
職員
がい
るこ
とで
取組
が進
んで
きた
。
プ
ログ
ラム
を取
り入
れる
に当
たっ
て努
力し
た点
― 5
6 ―
各論/プログラム名:コモンセンスペアレンティング(CSP)
各論/プログラム名:コモンセンスペアレンティング(CSP)
― 5
7 ―
児童
相談
所で
の取
り組
みの
継続
性に
つい
て
○組
織的
に取
り組
む仕
組み
とし
て残
して
ゆく
事が
出来
れば
、継
続は
容易
○児
童相
談所
全体
が組
織的
に取
り組
んで
いく
必要
があ
る。
地域
での
広が
り○
県レ
ベル
で、
県内
の児
童相
談所
や、
市区
町村
にも
広
げて
いる
県が
ある
。
○C
SP
は市
町村
での
予防
的取
り組
みに
向い
てい
る面
があ
る。
→ど
の程
度市
区町
村で
実施
して
いる
でし
ょう
か?
市区
町村
の自
立が
望ま
しい
が、
児相
が応
援す
る場
合も
ある
○通
告受
理後
の児
相ケ
ース
では
、グ
ルー
プは
難し
いこ
とが
多い
。
グル
ープ
は市
区町
村で
予防
的に
行う
場合
に適
して
いる
。
○市
区町
村の
保健
セン
ター
でグ
ルー
プを
、児
相職
員を
トレ
ーナ
ーと
して
行っ
たケ
ース
あり
。
○い
ろい
ろな
機関
の職
員に
グル
ープ
を行
って
、非
暴力
的コ
ミュ
ニケ
ーシ
ョン
を伝
える
取り
組み
があ
る
例:
児童
自立
支援
施設
、情
緒障
害児
短期
治療
施設
など
も
○市
区町
村か
ら必
要を
感じ
る事
例の
照会
が有
るこ
とも
ある
連
携を
行っ
てい
る
人員
や時
間の
確保
につ
いて
ケー
スワ
ーク
の一
部と
して
行う
場合
は、
特段
の人
員確
保が
必要
とは
なら
ない
が、
グル
ープ
プロ
グラ
ムと
して
行う
場合
は、
人員
や場
所の
確保
、保
育の
手配
、外
部か
らの
トレ
ーナ
ーの
応援
など
が必
要に
なる
。
サポ
ート
やス
ーパ
ービ
ジョ
ンを
どの
よう
に行
った
か
スキ
ル維
持や
スキ
ルア
ップ
のた
めに
は、
職員
間の
研修
や事
例検
討が
重要
機材
の調
達が
必要
だっ
た場
合D
VD
が再
生で
きる
装置
が必
要。
出先
の場
合、
ポー
タブ
ルプ
レー
アー
や、
ノー
トパ
ソコ
ンな
どを
活用
プ
ログ
ラム
を実
施す
るに
当た
って
の準
備な
ど
-331-
― 5
8 ―
各論/プログラム名:コモンセンスペアレンティング(CSP)
各論/プログラム名:コモンセンスペアレンティング(CSP)
― 5
9 ―
導入
のタ
イミ
ング
○セ
ッシ
ョン
受講
に際
して
は、
当事
者の
受講
モチ
ベー
ショ
ンが
あが
って
いる
こと
が大
前提
であ
る。
○(家
族支
援チ
ーム
があ
る児
相の
場合
)今ま
での
段階
があ
って
、C
SP
に到
達し
て、
主担
当者
の面
接と
か、
子ど
もの
面接
とか
と組
み合
わせ
てや
って
いる
。こ
れら
を全
体と
して
捉え
てい
る感
じで
ある
。C
SP
は無
理だ
と判
断さ
れる
ケー
スも
ある
。ど
れだ
けき
ちん
とア
セス
メン
トが
出来
てい
るか
と言
うこ
とが
、基
本。
親の
モチ
ベー
ショ
ンが
不十
分な
場合
ケー
スの
アセ
スメ
ント
をき
ちん
とし
て、
モチ
ベー
ショ
ンを
評価
する
必要
があ
る。
引取
り目
標の
親の
場合
CS
Pが
検討
素材
とな
る場
合も
ある
。こ
うい
った
関わ
りを
する
こと
が必
要な
ので
、出
来て
いな
いと
引き
取り
が出
来ま
せん
よ、
とい
った
説明
のた
めの
材料
に使
う場
合が
ある
。
プロ
グラ
ムの
内容
が親
にぴ
った
り合
って
いな
いと
感じ
たと
き
個別
にエ
ッセ
ンス
を伝
える
とき
は、
各ケ
ース
にと
って
必要
と感
じた
内容
を選
択し
て伝
える
ので
、だ
いた
いニ
ーズ
に合
致す
る。
親が
希望
した
タイ
ミン
グで
丁度
よく
実施
され
るク
ール
がな
いと
き
必要
なタ
イミ
ング
に個
別で
技術
の一
部を
伝え
るこ
とが
多い
。
親の
状況
プ
ログ
ラム
実施
上の
問題
親に
メン
タル
の問
題が
あっ
た時
(具
体例
など
)
○親
のう
つな
どの
場合
、育
てて
ゆき
たい
とい
う気
持ち
があ
れば
、そ
うい
った
ニー
ズに
応え
る、
うつ
に対
応に
むし
ろ意
識す
るよ
うな
、別
の支
援を
考え
る○
発達
障害
など
が混
ざる
とこ
だわ
りの
ため
に全
体と
して
伝わ
らな
いこ
とも
ある
。そ
の場
合、非
暴力
的コ
ミュ
ニケ
ーシ
ョン
、安
全の
仕組
みな
ど、
部分
を伝
えて
ゆく
親と
の日
程調
整の
苦慮
につ
いて(
具体
例な
ど)
グル
ープ
に入
れよ
うと
する
と、
日程
あわ
せが
大変
にな
るの
で、
個別
対応
する
事も
多い
内容
が親
にと
って
難解
なと
き(
具体
例な
ど)
○理
解力
の問
題の
ある
親に
は繰
り返
し伝
える
○生
活基
盤の
問題
など
の時
は、
別の
支援
を行
う
途中
で虐
待発
生の
時(
具体
例な
ど)
在宅
例で
再発
のケ
ース
はあ
る。
個別
のケ
ース
ワー
クの
中で
、活
用を
再検
討
親側
の要
因
― 5
8 ―
各論/プログラム名:コモンセンスペアレンティング(CSP)
各論/プログラム名:コモンセンスペアレンティング(CSP)
― 5
9 ―
プロ
グラ
ムの
途中
中断
につ
いて(
具体
例な
ど)
○主
担当
者が
ケー
スワ
ーク
の流
れの
中で
CS
Pを
部分
活用
する
場合
など
は、
主担
当者
の判
断で
実施
や中
止が
行わ
れる
。
グル
ープ
を作
れる
ほど
人数
が集
まら
ない
とき
(具
体例
など
)
個別
対応
する
場合
が多
い
グル
ープ
に合
わな
い人
が出
てき
たと
き(
具体
例な
ど)
○個
別対
応す
る場
合が
多い
○グ
ルー
プで
行う
典型
的な
形で
のC
SP
は市
町村
の子
育て
支援
とし
て行
って
いる
場合
が多
い。
そこ
に児
童相
談所
のケ
ース
が参
加し
ても
なか
なか
うま
くい
かな
い場
合も
ある
。
プロ
グラ
ムは
部分
活用
を許
して
いる
か部
分活
用は
効果
的か
通所
面接
では
、パ
ーツ
を使
って
ゆく
。
ダイ
ジェ
スト
版を
活用
する
こと
が多
い。
運用
の実
践面
での
課題
プロ
グラ
ムの
効果
を持
続さ
せる
工夫
ケー
スワ
ーク
の一
環と
して
、状
況を
把握
する
。
プロ
グラ
ム終
了後
起こ
る問
題子
ども
の安
全が
確保
され
る仕
組み
(土
台)
が確
立し
た上
に、
非暴
力の
コミ
ュニ
ケー
ショ
ンス
キル
が導
入さ
れ、
その
スキ
ルを
維持
し続
ける
ため
に「
フォ
ロー
アッ
プセ
ッシ
ョン
」が
毎回
の通
常個
別面
接で
重ね
られ
るの
が望
まし
い。
効果
の持
続に
つい
て
1.
CS
Pプ
ログ
ラム
のど
のよ
うな
点が
児童
相談
所で
行う
のに
適し
てい
ると
考え
たか
。
具体
的な
関わ
りの
仕方
を伝
える
ので
わか
りや
すい
…35
視聴
覚教
材、
マニ
ュア
ル、
ロー
ルプ
レイ
で分
かり
やす
い…
13 プロ
グラ
ムと
して
構造
化さ
れて
いる
…12
低価
格…
3
2.
ケー
スワ
ーク
の中
でど
のよ
うに
位置
づけ
て使
って
いる
か(
一部
とし
て組
み込
む、
実施
して
いる
とこ
ろに
つな
げる
、等)。
ケー
スワ
ーク
の一
部と
して
組み
込む
…46
一部
とし
て組
み込
むの
と、
紹介
する
のと
両方
…11
引取
り条
件や
引取
りの
判断
とす
る…
3
配布数 91 回収数 67 回収率 73.6%
全
国質
問紙
調査
結果
-332-
― 6
0 ―
各論/プログラム名:コモンセンスペアレンティング(CSP)
各論/プログラム名:コモンセンスペアレンティング(CSP)
― 6
1 ―
3.
CS
Pプ
ログ
ラム
の手
法を
部分
活用
する
こと
があ
るか
。あ
れば
その
状況
につ
いて
。
部分
活用
する
、エ
ッセ
ンス
を伝
える
…52
部分
活用
はし
ない
…10
4.
以下
のよ
うな
中断
例に
つい
て経
験が
あれ
ばそ
の状
況。
①日
程調
整が
付か
なく
なっ
た
中断
する
こと
はな
い、
続け
られ
るよ
う親
の都
合に
合わ
せる
…19
親の
勤務
就労
状況
で中
断…
16動
機付
け不
十分
から
ドロ
ップ
アウ
ト…
3
②親
のモ
チベ
ーシ
ョン
によ
る親
の思
いと
食い
違っ
た…
10自
然に
参加
しな
くな
った
、意
志の
尊重
…5
親子
関係
が安
定し
たの
で中
止…
4精
神障
害知
的障
害…
3押
し付
けム
ード
から
淡々
受講
…2
ケー
スワ
ーク
のつ
まづ
き…
2
③児
童相
談所
職員
の判
断に
よる
(判断
基準
)
親子
関係
の改
善…
3家
庭の
問題
…2
親の
心身
の不
調…
9プ
ログ
ラム
が合
わな
い…
1ケ
ース
ワー
クの
状況
…2
該当
無し
…22
5.グ
ルー
プか
個別
か、
どち
らで
行う
こと
が多
いか
。そ
の理
由。
個別
…62
グル
ープ
のみ
…1
両方
行っ
てい
る…
2グ
ルー
プは
市で
行っ
てい
る…
2グ
ルー
プは
里親
に対
して
行っ
てい
る…
3グ
ルー
プは
施設
職員
等に
対し
て行
って
いる
…4
6.
プロ
グラ
ムへ
の参
加を
通じ
て、
保護
者と
児童
相談
所職
員と
の関
係が
良く
なっ
た経
験
その
状況
。
共有
し一
緒に
考え
る…
13関
わり
の様
子が
具体
的に
客観
的に
分か
る…
10実
際に
効果
が現
れた
ので
…6
定期
的に
会う
こと
での
親近
感…
5保
護者
に理
解し
ても
らい
やす
い…
5児
相の
考え
の押
しつ
けで
ない
こと
が分
かっ
ても
らえ
た…
4す
でに
関係
が出
来て
いる
とこ
ろか
らや
るの
であ
まり
変わ
らな
い…
3
― 6
0 ―
各論/プログラム名:コモンセンスペアレンティング(CSP)
各論/プログラム名:コモンセンスペアレンティング(CSP)
― 6
1 ―
プロ
グラ
ムに
取り
組ん
だこ
とが
親と
の関
係に
マイ
ナス
に働
いた
と感
じた
こと
はあ
りま
すか
。思
い当
たる
原因
があ
れば
、そ
れも
お書
き下
さい
。
親が
一方
的な
感じ
を持
った
…6
夫婦
の不
和に
つな
がっ
た…
1親
が落
ち込
んだ
…1
マイ
ナス
では
ない
が、
効果
がな
かっ
た…
2そ
うい
う事
はな
い…
28
7.
家庭
引き
取り
に際
して
の当
該プ
ログ
ラム
実施
につ
いて
お伺
いし
ます
。①
引き
取り
に当
たっ
て、
CSP
プロ
グラ
ムへ
の参
加を
義務
付け
てい
ます
か
義務
づけ
るこ
とが
ある
…7
義務
づけ
はな
い…
58
②C
SPプ
ログ
ラム
の実
施状
況を
引き
取り
に関
する
判断
の参
考に
する
こと
があ
りま
すか
する
こと
があ
る…
38参
考に
する
こと
はな
い…
24
(2
者は
対照
的)
8.
CSP
プロ
グラ
ム実
施職
員の
サポ
ート
やス
ーパ
ービ
ジョ
ンを
どの
よう
に行
って
いま
すか
。
スー
パー
ビジ
ョン
をや
って
いる
…9
ピア
サポ
ート
や職
員同
士の
協力
によ
る…
33特
に行
って
いな
い…
15
9.
CSP
プロ
グラ
ムの
効果
を持
続す
るた
めに
何か
工夫
して
いま
すか
。
面接
の時
など
に要
素を
確認
する
…37
特に
して
いな
い…
18
10
.コ
モン
セン
スペ
アレ
ンテ
ィン
グを
児童
相談
所以
外の
機関
にも
勧め
てい
ます
か。
どの
よう
な機
関に
勧め
てい
ます
か。
市町
村に
…30
施設
職員
等に
…21
里親
に…
4勧
めて
いな
いが
市で
すで
にや
って
いる
…2
特に
勧め
てい
ない
…13
-333-
― 6
2 ―
各論/プログラム名:精研式ペアレントトレーニング
各論/プログラム名:精研式ペアレントトレーニング
― 6
3 ―
― 親
子グ
ルー
プの
取り
組み
に組
み込
んだ
経験
より
―
プロ
グラ
ムの
簡単
な解
説:
ペア
レン
トト
レー
ニン
グは
、子
ども
のし
つけ
など
で悩
みを
抱え
る家
族を
支援
する
方
法の
一つ
とし
て、
アメ
リカ
・U
CLA
神経
精神
医学
研究
所の
ハン
ス・
ミラ
ー博
士に
よっ
て19
74年
に開
始さ
れた
。日
本で
は国
立精
神・
神経
セン
ター
で日
本に
あっ
たプ
ログ
ラ
ムが
開発
され
た。
養育
スキ
ルを
向上
させ
るこ
とで
、子
ども
の適
応行
動を
増や
して
いく
こと
、親
子関
係の
悪循
環を
絶ち
、安
定し
た親
子関
係を
はぐ
くめ
るよ
うに
する
こと
を目
指し
てい
る。
はじ
まり
はA
DH
D の
子ど
もを
もつ
保護
者向
けの
プロ
グラ
ムだ
った
、現
在は
発達
障害
全般
が対
象に
なり
、児
童虐
待事
例に
も応
用さ
れる
。
プロ
グラ
ム方
法が
学べ
る機
関国
立精
神神
経セ
ンタ
ー精
神保
健研
究所
まめ
の木
クリ
ニッ
ク講
演会
・研
修会
指導
者資
格が
必要
な場
合は
その
取得
方法
資格
は特
にな
いが
、実
施の
ため
には
2日
間の
トレ
ーニ
ング
を受
ける
必要
があ
る。
プロ
グラ
ムを
学ぶ
のに
必要
な費
用50
00円
から
3万
円程
度ラ
イセ
ンス
では
ない
。講
師料
とい
った
位置
づけ
プロ
グラ
ムを
実施
する
のに
必要
な費
用外
部講
師に
委託
する
場合
はフ
ァシ
リテ
ータ
ー雇
い上
げ謝
金
教材
・参
考文
献・
問い
合せ
先シ
ンシ
ア・
ウィ
ッタ
ム
AD
HD
のペ
アレ
ント
トレ
ーニ
ング
難
しい
子に
やさ
しい
子育
て
明石
書店
プ
ログ
ラム
を実
施に
当た
って
の参
考情
報
プロ
グラ
ム名
:精
研式
ペア
レン
トト
レー
ニン
グ
プロ
グラ
ムに
かか
る時
間や
期間
オリ
ジナ
ルは
1ク
ール
10回
だが
、ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
では
、親グ
ルー
プの
中で
その
内の
6回
に短
縮し
てや
って
いる
。
プ
ログ
ラム
の実
施
― 6
2 ―
各論/プログラム名:精研式ペアレントトレーニング
各論/プログラム名:精研式ペアレントトレーニング
― 6
3 ―
プロ
グラ
ムの
特徴
と感
じて
いる
点(
他と
比べ
られ
る場
合)
発達
障害
に用
いら
れる
こと
が多
いプ
ログ
ラム
だが
、ヒ
アリ
ング
児相
では
子ど
も虐
待ケ
ース
に親
支援
プロ
グラ
ムを
実施
する
必要
が生
じた
ため
応用
され
た。
プロ
グラ
ムの
ねら
いや
意義
子ど
もの
特性
を理
解し
、具
体的
な対
応法
を学
ぶこ
とに
より
、日
常生
活が
より
穏や
かに
なる
よう
にす
る。
親子
関係
の悪
循環
を絶
ち、
安定
した
親子
関係
をは
ぐく
める
よう
にす
る。
実施
して
の効
果な
どの
状況
○「
ほめ
る」「
注目
する
」か
ら入
るが
、困
って
いる
こと
を充
分に
聞き
なが
ら行
うの
で、
単純
にス
キル
を教
える
とい
った
感じ
では
ない
。○
話を
聞く
こと
と、
プロ
グラ
ムを
進め
るこ
とと
のバ
ラン
スを
取る
。○
「ほ
める
」が
実践
でき
ない
親が
多い
ので
、繰
り返
し行
う。
○一
人の
親が
話を
仕切
った
り、
トラ
ウマ
の話
にな
った
り、
舵取
りが
難し
いが
、ヒ
アリ
ング
した
児童
相談
所で
は雰
囲気
を作
りな
がら
やっ
てい
る。
○ヒ
アリ
ング
児相
では
、指
示の
部分
は、
エッ
セン
スだ
け、
最後
の方
で伝
える
こと
にな
る。
孤立
して
いる
人が
多い
ので
、こ
こに
いる
人た
ちは
同じ
体験
をし
てい
ると
言う
こと
で楽
にな
る○
ファ
シリ
テー
ター
は、
臨床
経験
が多
い人
でな
いと
難し
い○
子ど
もの
側か
ら見
ると
、い
つも
あま
りか
かわ
って
くれ
なか
った
親が
、し
っか
り半
年か
かわ
って
くれ
たと
いう
のは
、も
のす
ごく
いい
体験
だっ
たこ
とに
なる
。○
遊ぶ
って
どう
いう
こと
か分
から
ない
方が
、こ
うい
う体
験を
する
のは
貴重
な事
であ
る。
プロ
グラ
ムの
児相
業務
の中
での
位置
づけ
〇ケ
ース
ワー
クの
部署
との
間で
連携
して
いる
。ス
ター
トの
とこ
ろで
どん
なケ
ース
か、
施設
の職
員さ
んも
含め
て協
議す
る。
最終
協議
では
、プ
ログ
ラム
を実
施し
た側
から
結果
の情
報提
供を
行う
。毎
回何
があ
った
かは
、シ
ステ
ムで
記録
を入
力し
てい
て、
ケー
スワ
ーク
の部
署か
らも
見ら
れる
よう
にな
って
いる
ので
、共有
でき
る。
〇終
了の
決定
は、
治療
指導
部門
との
協議
後に
児童
相談
所の
援助
方針
会議
で行
う。
プロ
グラ
ムに
つい
ての
児相
職員
から
の評
判
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
では
、再
統合
事業
の一
環と
して
位置
づけ
られ
てい
るの
で、
児童
相談
所業
務の
中で
の位
置づ
けは
明確
であ
る
プ
ログ
ラム
と児
相と
の関
係
-334-
― 6
4 ―
各論/プログラム名:精研式ペアレントトレーニング
各論/プログラム名:精研式ペアレントトレーニング
― 6
5 ―
導入
のタ
イミ
ング
○通
おう
とい
うく
らい
のと
ころ
まで
親が
準備
でき
てい
ない
状態
で、
先走
る場
合が
多い
印象
にあ
る。
もう
ちょ
っと
待て
ばも
しか
した
らじ
っく
り来
ても
らえ
るケ
ース
でも
、慌
てる
と、
中途
半端
な結
果と
なっ
てし
まう
。○
心理
面接
もそ
こそ
こに
、機
が熟
さな
いま
まプ
ログ
ラム
につ
なげ
られ
ると
、う
まく
いか
ない
こと
も多
い。
親の
モチ
ベー
ショ
ンが
不十
分な
場合
もう
少し
じっ
くり
待て
ば、
続け
て参
加で
きる
よう
な状
態に
持っ
てこ
れた
ので
はな
いか
とい
うケ
ース
はあ
る。
親の
準備
状態
を見
極め
るこ
とが
大事
引取
り目
標の
親の
場合
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
では
、改
善し
たわ
けで
はな
くて
も、
親グ
ルー
プに
出た
から
、引
き取
り出
来る
だろ
う、
と言
う風
に親
が言
って
くる
場合
があ
る。
子ど
もの
安全
につ
いて
など
、話
し合
う。
プロ
グラ
ムの
内容
が親
にぴ
った
り合
って
いな
いと
感じ
たと
き
親の
タイ
プが
プロ
グラ
ムに
合う
合わ
ない
では
なく
て、
プロ
グラ
ムの
やり
方を
どう
する
かで
ある
。
親の
状況
プ
ログ
ラム
実施
上の
問題
プロ
グラ
ムが
取り
入れ
られ
るに
当た
って
の、
熱心
な職
員の
努力
など
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
では
、親
グル
ープ
をや
るの
に、
何か
柱に
なる
プロ
グラ
ムは
ない
か探
した
ら、
精神
神経
セン
ター
のグ
ルー
プが
やっ
てい
たの
で、
取り
入れ
た。
親グ
ルー
プを
やる
こと
にな
って
いた
のが
きっ
かけ
。そ
れは
組織
的な
再統
合事
業で
あっ
た
人員
や時
間の
確保
につ
いて
○ヒ
アリ
ング
した
児童
相談
所の
自治
体で
は、
新採
用の
心理
司全
員に
2日
間の
トレ
ーニ
ング
を行
う○
心理
職は
全員
がペ
アレ
ント
トレ
ーニ
ング
が出
来る
よう
にな
って
いる
機材
の調
達が
必要
だっ
た場
合初
期投
資と
して
かか
る費
用は
、ヒ
アリ
ング
した
児童
相談
所で
は、
まず
は心
理職
が全
員や
れる
よう
にな
るた
めに
研修
会を
やる
、そ
の講
師謝
礼が
、必
要な
費用
とな
る。
プ
ログ
ラム
を取
り入
れる
に当
たっ
て努
力し
た点
プ
ログ
ラム
を実
施す
るに
当た
って
の準
備な
ど
― 6
4 ―
各論/プログラム名:精研式ペアレントトレーニング
各論/プログラム名:精研式ペアレントトレーニング
― 6
5 ―
親が
希望
した
タイ
ミン
グで
丁度
よく
実施
され
るク
ール
がな
いと
き
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
では
年2
回程
度の
実施
で、
開始
時期
に関
する
不都
合は
あま
り起
こら
ない
。今
すぐ
にプ
ログ
ラム
が開
始さ
れな
くて
も、
ケー
スワ
ーク
等で
その
間を
繋げ
る。
親に
メン
タル
の問
題が
あっ
た時
(具
体例
など
)
○む
しろ
子ど
もに
コミ
ュニ
ケー
ショ
ン障
害の
ある
ケー
スが
多い
。○
精神
障害
の重
い人
は参
加が
難し
い。
○人
格障
害の
軽い
方で
、落
ち着
いて
ると
きと
いう
事例
は多
い。
○被
虐待
傾向
の人
で、
しっ
かり
やっ
て認
めら
れよ
うと
、脅
迫的
に頑
張っ
てし
まう
人で
、子
ども
が発
達障
害の
範疇
にあ
る場
合な
ど、
苦し
んで
しま
う
親と
の日
程調
整の
苦慮
につ
いて
(具体
例な
ど)
都合
がつ
かな
いた
め、
欠席
にな
る事
は多
い。
10回
中6
回出
席で
きれ
ば、
親子
グル
ープ
が終
了し
たと
見な
せる
事と
する
。
内容
が親
にと
って
難解
なと
き(
具体
例な
ど)
知的
障害
のあ
る人
で、
それ
なり
に社
会適
応は
でき
てい
る人
は、
少し
言葉
を添
えな
がら
一緒
にや
って
ゆく
とい
う感
じ。
途中
で虐
待発
生の
時(
具体
例な
ど)
在宅
例で
、プ
ログ
ラム
実施
中に
保護
にな
る例
はあ
る。
親側
の要
因
プロ
グラ
ムの
途中
中断
につ
いて
(具体
例な
ど)
○ヒ
アリ
ング
児相
では
、親
グル
ープ
はト
ータ
ル10
回だ
が、
6回
くら
い来
たら
修了
証を
出す
。1
回や
2回
では
出せ
ない
が。
がん
ばっ
てき
たと
いう
証で
、改
善度
が高
いと
言う
こと
では
ない
。○
しか
し、
継続
して
?こ
れな
い人
は、
いろ
いろ
な問
題を
抱え
てい
る可
能性
があ
る。
○つ
なが
れば
、来
る人
は皆
勤、
来な
い人
は1
回で
来な
くな
る。
○一
回で
来な
くな
る場
合、
ワー
カー
児童
福祉
司に
戻す
とい
うよ
り来
てい
ませ
ん、
つな
がり
ませ
んで
した
、と
いう
感じ
。→
1回
で来
なく
なる
場合
だけ
では
ない
。児
童福
祉司
には
伝え
て終
了と
して
いる
。こ
こは
はっ
きり
しな
いの
で削
除し
ては
どう
かと
思い
ます
。
運用
の実
践面
での
課題
-335-
― 6
6 ―
各論/プログラム名:精研式ペアレントトレーニング
各論/プログラム名:CRC(チャイルド・リソース・センター)親子プログラム
― 6
7 ―
グル
ープ
を作
れる
ほど
人数
が集
まら
ない
とき
(具
体例
など
)
グル
ープ
とい
って
も、
1ケ
ース
しか
来な
かっ
たり
する
こと
もあ
るが
、開
催し
てい
る。
グル
ープ
に合
わな
い人
が出
てき
たと
き(
具体
例な
ど)
○親
はそ
れぞ
れ問
題を
抱え
てい
るの
で、
グル
ープ
の運
営は
、個
別の
ニー
ドに
答え
なが
らグ
ルー
プを
運営
する
工夫
が必
要と
なる
。○
グル
ープ
に繋
げる
前に
、ど
のよ
うな
プロ
グラ
ムな
のか
、親
とよ
く話
し合
う。
○グ
ルー
プで
うま
くい
かな
いよ
うな
ら、
他の
適切
な方
法を
親と
相談
して
考え
る。
プロ
グラ
ムは
部分
活用
を許
して
いる
か部
分活
用は
効果
的か
○児
童心
理司
の面
接で
、話
の中
で、
ペア
レン
トト
レー
ニン
グの
手法
を小
出し
して
取り
入れ
るこ
とは
多い
○10
回に
限ら
ず、
面接
の中
で出
しな
がら
、長
く続
けて
ゆく
場合
もあ
る。
運用
の実
践面
での
課題
プロ
グラ
ムの
効果
を持
続さ
せる
工夫
○ケ
ース
ワー
クの
中で
経過
を確
認す
る○
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
では
、全
例に
対し
てで
はな
いが
、ア
フタ
ーケ
アを
個別
にす
るこ
とは
ある
。A
F-C
BT
を導
入し
たり
、ト
ラウ
マ治
療を
個別
にや
るな
ど。
プロ
グラ
ム終
了後
起こ
る問
題
効果
の持
続に
つい
て
― 6
6 ―
各論/プログラム名:精研式ペアレントトレーニング
各論/プログラム名:CRC(チャイルド・リソース・センター)親子プログラム
― 6
7 ―
プロ
グラ
ム名
:C
RC
(チ
ャイ
ルド
・リ
ソー
ス・
セン
ター
)親
子プ
ログ
ラム
プロ
グラ
ムの
簡単
な解
説:
平
成19
年度
から
大阪
府子
ども
家庭
セン
ター
がN
PO
法人
チャ
イル
ド・
リソ
ース
・
セン
ター
に委
託し
、子
ども
に虐
待を
して
しま
った
り、
子育
てに
しん
どさ
や不
安を
抱え
てい
たり
する
親と
その
子ど
もを
対象
に実
施す
るプ
ログ
ラム
。親
自ら
が将
来に
わた
り、
子ど
もの
安全
基地
にな
るこ
とを
認識
し、
子ど
もへ
のか
かわ
りを
適切
なも
のに
改善
す
るこ
とを
目的
とす
る。
カナ
ダの
親子
再統
合プ
ログ
ラム
を参
考に
して
作成
され
た親
子1
組毎
の個
別プ
ログ
ラム
であ
り、
親時
間・
子ど
も時
間+
親子
交流
時間
の2
部構
成と
なっ
てい
る。
内容
とし
ては
「A
コー
ス(
虐待
(性
的虐
待は
除く
)行
為が
あり
家族
再統
合
にむ
けて
の支
援が
必要
なコ
ース
)」1
回2
時間
程度
×13
回(
終了
後フ
ォロ
ーア
ップ
1回
を含
む)・
「B
コー
ス(
養育
経験
がな
く親
子関
係が
希薄
で関
係構
築に
支援
が必
要な
ケー
ス)」
1回
2時
間程
度×
10回
(終
了後
フォ
ロー
アッ
プ1
回を
含む
)が
ある
。
プロ
グラ
ム方
法が
学べ
る機
関府
(子
ども
家庭
総合
セン
ター
)で
は「
家族
再統
合支
援事
業」
と位
置づ
け、
職員
に毎
年周
知研
修で
プロ
グラ
ムの
説明
を行
う。
CR
Cは
、プロ
グラ
ムの
教材
の一
部を
活用
した
親子
支援
シー
ト集
研修
を独
自に
開催
して
いる
。
指導
者資
格が
必要
な場
合は
その
取得
方法
プロ
グラ
ムは
NP
O法
人チ
ャイ
ルド
・リ
ソー
ス・
セン
ター
への
委託
とし
て行
われ
、職
員へ
の養
成講
座は
実施
され
てい
ない
。
プロ
グラ
ムを
実施
する
のに
必要
な費
用プ
ログ
ラム
実施
の保
護者
の費
用負
担は
ない
。
教材
・参
考文
献・
問い
合せ
先特
定非
営利
活動
法人
チ
ャイ
ルド
・リ
ソー
ス・
セン
ター
TEL&
FAX
06
-646
3-17
88U
RL:
ht
tp:/
/hom
epag
e3.n
ifty.
com
/chi
ldrc
/
プ
ログ
ラム
を実
施に
当た
って
の参
考情
報
-336-
― 6
8 ―
各論/プログラム名:CRC(チャイルド・リソース・センター)親子プログラム
各論/プログラム名:CRC(チャイルド・リソース・センター)親子プログラム
― 6
9 ―
プロ
グラ
ムに
かか
る時
間や
期間
○場
所:
児童
相談
所、乳
児院
○回
数:(
Aコ
ース
)13回
(終
了後
のフ
ォロ
ーア
ップ
1回を
含む
)
(B
コー
ス)1
0回(
終了
後の
フォ
ロー
アッ
プ1回
を含
む)
○時
間:
1回
2時
間○
構造
:親
時間
・子
ども
時間
お
よび
親子
交流
時間
の2部
構成
○期
間:
事例
選定
5月~
プ
ログ
ラム
7月~
3月(
フォ
ロー
アッ
プを
含む
)
プロ
グラ
ムの
特徴
と感
じて
いる
点(
他と
比べ
られ
る場
合)
○親
子1
組毎
の個
別プ
ログ
ラム
○子
ども
は乳
幼児
から
概ね
小学
校低
学年
まで
。○
親時
間・
子ど
も時
間及
び親
子交
流時
間の
2部
構成
にな
って
いる
。○
親子
交流
時間
でも
スタ
ッフ
が同
席し
、親
子に
直接
働き
かけ
る。
○親
子交
流時
間を
ビデ
オに
録画
し、
親と
とも
に子
ども
への
かか
わり
につ
いて
振
りか
えり
、具
体的
な養
育ス
キル
を高
める
。○
プロ
グラ
ムを
提供
する
NP
O法
人チ
ャイ
ルド
・リ
ソー
ス・
セン
ター
(以
下、
CR
C)
は、
処遇
には
関与
しな
い○
CR
Cは
、児
童相
談所
や養
護施
設、
乳児
院と
密接
な連
携を
行う
プロ
グラ
ムの
ねら
いや
意義
親が
、子
ども
にと
って
より
よい
親子
関係
につ
いて
考え
、自
らが
将来
にわ
たり
、子
ども
の安
全基
地に
なる
こと
を認
識し
、子
ども
への
かか
わり
を適
切な
もの
に改
善す
るこ
とを
目的
とす
る。
実施
して
の効
果な
どの
状況
○参
加し
た親
の生
の声
を確
認す
る。
○親
、担
当職
員(
ワー
カー
)、施
設職
員を
対象
にプ
ログ
ラム
実施
後ア
ンケ
ート
を行
って
いる
。○
担当
職員
(ワ
ーカ
ー)
のケ
ース
ワー
クの
ヒン
トに
なっ
てい
る。
プ
ログ
ラム
の実
施
プロ
グラ
ムの
児相
業務
の中
での
位置
づけ
府(
中央
子ど
も家
庭セ
ンタ
ー)
では
、平成
22年
度か
ら「
家族
再統
合支
援事
業」
とし
て実
施。
プ
ログ
ラム
と児
相と
の関
係
― 6
8 ―
各論/プログラム名:CRC(チャイルド・リソース・センター)親子プログラム
各論/プログラム名:CRC(チャイルド・リソース・センター)親子プログラム
― 6
9 ―
プロ
グラ
ムに
つい
ての
児相
職員
から
の評
判
○ア
ンケ
ート
等か
ら親
の子
ども
との
関係
性の
改善
とと
もに
子ど
もの
親へ
の安
心感
が増
した
とい
う結
果が
得ら
れて
いる
。○
職員
の親
への
理解
が深
まり
、支
援へ
のヒ
ント
が得
られ
たと
評価
がな
され
た。
プロ
グラ
ムの
実施
場所
実施
場所
は中
央を
含む
2カ
所の
子ど
も家
庭セ
ンタ
ーで
毎年
、他
の2
カ所
の子
ども
家庭
セン
ター
では
1年
交代
で実
施し
、計3
か所
で行
って
いる
。乳
児院
でも
毎年
実施
して
いる
。
プロ
グラ
ムが
取り
入れ
られ
るに
当た
って
の、
熱心
な職
員の
努力
など
府の
元職
員(
宮口
智恵
氏)
がカ
ナダ
の親
教育
プロ
グラ
ム(
Pro
ject
P
aren
t)の
枠組
みや
理念
を参
考に
、独
自の
プロ
グラ
ムを
開発
。平
成19
年度
から
府子
ども
家庭
セン
ター
「す
こや
か家
族再
生事
業プ
ロジ
ェク
ト」
にお
いて
、C
RC
が実
施者
とし
て試
行的
に始
動し
た。
プ
ログ
ラム
を取
り入
れる
に当
たっ
て努
力し
た点
人員
や時
間の
確保
につ
いて
プロ
グラ
ムは
、1
組の
親子
にC
RC
スタ
ッフ
がそ
れぞ
れ1
名ず
つ担
当し
、親
子一
組に
CR
Cの
スタ
ッフ
は2
名で
実施
する
。
サポ
ート
やス
ーパ
ービ
ジョ
ンを
どの
よう
に行
った
か
CR
Cは
、児
童精
神科
医及
び、
元児
童相
談所
所長
(福
祉職
)の
スー
パー
ビジ
ョン
を得
てい
る。
機材
の調
達が
必要
だっ
た場
合C
RC
が準
備す
る
プ
ログ
ラム
を実
施す
るに
当た
って
の準
備な
ど
導入
のタ
イミ
ング
○虐
待対
応の
初期
場面
から
家族
再統
合を
考え
る事
例に
は、
次年
度の
当プ
ログ
ラム
の導
入を
視野
に入
れて
ケー
スワ
ーク
を展
開す
る。
○ま
た、
以前
から
子ど
もが
入所
して
いた
事例
でも
、家
族状
況の
変化
など
によ
り、
親子
関係
の再
構築
への
特別
な支
援が
必要
な事
例に
つい
て導
入を
試み
る。
親の
状況
プ
ログ
ラム
実施
上の
問題
-337-
― 7
0 ―
各論/プログラム名:CRC(チャイルド・リソース・センター)親子プログラム
各論/プログラム名:CRC(チャイルド・リソース・センター)親子プログラム
― 7
1 ―
親の
モチ
ベー
ショ
ンが
不十
分な
場合
○「
子ど
もと
やり
直し
たい
」と
いう
親の
ニー
ズを
引き
出す
。○
親が
「自
分が
プロ
グラ
ム選
別に
落ち
た」
と思
わな
いよ
うに
、事
例選
定後
に案
内す
る場
合も
ある
。
引取
り目
標の
親の
場合
処遇
に関
与し
ない
団体
がプ
ログ
ラム
を実
施す
るこ
とに
より
、親
が評
価を
気に
せず
、自
分の
課題
を見
つめ
、虐
待の
事実
を認
める
こと
がで
きる
ので
、プ
ログ
ラム
の受
講を
引き
取り
の条
件に
なら
ない
よう
親に
案内
して
いる
。
プロ
グラ
ムの
内容
が親
にぴ
った
り合
って
いな
いと
感じ
たと
き
親子
一組
毎の
個別
プロ
グラ
ムな
ので
、か
なり
各親
子に
合わ
せた
内容
とな
って
いる
。ま
た、
担当
職員
が各
事例
につ
いて
CR
Cに
詳し
く説
明す
る時
点で
、親
や子
ども
、担
当職
員の
ニー
ズな
どを
しっ
かり
と出
し、
CR
Cと
導入
のタ
イミ
ング
やプ
ログ
ラム
の特
徴と
限界
など
も含
め協
議を
して
いる
。
親に
メン
タル
の問
題が
あっ
た時
(具
体例
など
)
担当
職員
(ワ
ーカ
ー)
が、
例え
ば家
庭訪
問で
プロ
グラ
ムを
説明
した
り、
プロ
グラ
ムに
通う
ため
に必
要な
工夫
など
につ
いて
親や
家族
と十
分に
話し
合う
。
親と
の日
程調
整の
苦慮
につ
いて(
具体
例な
ど)
○C
RC
が、
担当
職員
(ワ
ーカ
ー)
同席
の下
、プ
ログ
ラム
開始
時に
最終
日ま
での
スケ
ジュ
ール
(概ね
2週
間に
1回
の頻
度)
を提
示。
親の
不安
をし
っか
りと
聞き
取り
、欠
席連
絡方
法や
プロ
グラ
ム中
断等
につ
いて
、丁
寧に
説明
して
いる
。○
担当
職員
(ワ
ーカ
ー)
の意
見を
聞い
て、
CR
Cは
開始
時間
を考
慮し
たり
、プ
ログ
ラム
前日
にC
RC
のス
タッ
フか
ら親
に電
話を
いれ
るこ
とも
多い
。○
担当
職員
(ワ
ーカ
ー)
が開
始当
初は
駅ま
で迎
えに
行く
こと
など
もあ
る。
内容
が親
にと
って
難解
なと
き(
具体
例な
ど)
CR
Cは
、親
の能
力に
あわ
せて
教材
の内
容や
伝授
方法
等を
配慮
して
いる
。
途中
で虐
待発
生の
時(
具体
例な
ど)
プロ
グラ
ム開
始時
に、
CR
Cは
親に
、親
子の
支援
に必
要な
こと
は担
当職
員(
ワー
カー
)に
伝え
ると
明言
し、
了解
を得
てい
る。
CR
Cは
、親
との
信頼
関係
を保
ちつ
つ、
虐待
発生
の時
には
、親
から
担当
職員
への
開示
を促
した
り、
担当
職員
や施
設職
員等
と緊
密な
連携
をと
って
おり
、ケ
ース
バイ
・ケ
ース
で対
応し
てい
る。
親側
の要
因
― 7
0 ―
各論/プログラム名:CRC(チャイルド・リソース・センター)親子プログラム
各論/プログラム名:CRC(チャイルド・リソース・センター)親子プログラム
― 7
1 ―
プロ
グラ
ムの
途中
中断
につ
いて(
具体
例な
ど)
○プ
ログ
ラム
は中
断が
少な
いの
と、
個別
であ
るの
で日
程の
調整
がし
やす
い。
○プ
ログ
ラム
は枠
組み
はあ
るが
、親
の能
力、
特性
、特
徴に
応じ
て臨
機応
変で
ある
。
グル
ープ
を作
れる
ほど
人数
が集
まら
ない
とき
(具
体例
など
)
グル
ープ
でな
く個
別実
施で
ある
。
グル
ープ
に合
わな
い人
が出
てき
たと
き(
具体
例な
ど)
グル
ープ
でな
く個
別実
施で
ある
。
プロ
グラ
ムは
部分
活用
を許
して
いる
か部
分活
用は
効果
的か
部分
活用
は許
して
いな
い。
(プロ
グラ
ムを
通し
ての
親子
の見
立て
など
支援
の手
がか
りな
どは
ケー
スワ
ーク
に活
用し
てい
る)
その
他運
用上
の問
題○
対応
でき
る支
援数
(家
族数
)が
限ら
れて
てい
る。
○現
時点
で、
独自
のプ
ログ
ラム
であ
るた
め随
意契
約で
ある
。今
後も
継続
的に
実施
して
いき
たい
。
運用
の実
践面
での
課題
プロ
グラ
ムの
効果
を持
続さ
せる
工夫
担当
者を
中心
に地
域や
施設
にお
いて
サポ
ート
が継
続す
る作
戦を
立て
、支
援が
途切
れな
いよ
うに
親に
安心
して
もら
う必
要が
ある
。
プロ
グラ
ム終
了後
起こ
る問
題終
了の
約6
か月
後に
フォ
ロー
アッ
プ(
次年
度)
を行
って
いる
が、
その
後、
プロ
グラ
ムと
して
のフ
ォロ
ーア
ップ
に未
着手
であ
る。
効果
の持
続に
つい
て
-338-
― 7
2 ―
各論/プログラム名:トリプルP
各論/プログラム名:トリプルP
― 7
3 ―
プロ
グラ
ムの
簡単
な解
説:
トリ
プル
Pは
、豪
州ク
イー
ンズ
ラン
ド大
学マ
ット
・サ
ンダ
ース
らに
より
開発
され
た「
前向
き子
育て
プロ
グラ
ム」
で、
日本
には
2005
年に
導入
され
た。
前向
き子
育て
は
親と
子ど
もが
よい
関係
を作
って
いく
子育
て法
。認
知行
動療
法を
原則
理念
とし
、親
への
心理
教育
プロ
グラ
ムで
ある
。一
般に
は地
域の
親た
ちを
対象
とす
るプ
ログ
ラム
で、
提供
法に
より
5段
階レ
ベル
が用
意さ
れて
いる
が、
この
うち
標準
的な
レベ
ル4
のグ
ルー
プト
リプ
ルP
が児
童相
談所
で実
施さ
れて
いる
。1
週間
毎、
1回
2時
間の
グル
ープ
学習
を
4回
行い
、2
-3
回の
15-2
0分
の個
別電
話相
談、
最終
のグ
ルー
プ学
習で
構成
され
て
いる
。児
相で
は「
子育
て支
援」
と「
虐待
の再
発予
防」
を目
的に
実施
され
てい
る。
プロ
グラ
ム方
法が
学べ
る機
関ト
リプ
ルP
ジャ
パン
UR
L: h
ttp:
//w
ww
.trip
lep-
japa
n.or
g/E-
mai
l: offi
ce@
trip
lep-
japa
n.or
g
指導
者資
格が
必要
な場
合は
その
取得
方法
トリ
プル
Pジ
ャパ
ンが
主催
する
ファ
シリ
テー
タ養
成講
座を
受け
、認
定試
験に
合格
した
もの
がプ
ログ
ラム
を提
供す
る。
プロ
グラ
ムを
学ぶ
のに
必要
な費
用養
成講
座3
日間
は18
-19
万円
。
プロ
グラ
ムを
実施
する
のに
必要
な費
用親
の受
講は
無料
。教
材費
は25
00円
(消
費税
別)
であ
るが
、プ
ログ
ラム
が安
心子
ども
基金
(子育
て創
生基
金)で
行わ
れる
場合
は無
料。
教材
・参
考文
献・
問い
合せ
先グ
ルー
プ学
習参
加に
あた
り教
材が
準備
提供
され
る。
一般
向け
に、
トリ
プル
P~
前向
き子
育て
17.の
技術
~(
診断
と治
療社
)、エ
ブリ
ペア
レン
ト(
明石
書店
)が
出版
され
てい
る。
トリ
プル
Pジ
ャパ
ン T
EL:0
3-57
85-6
928
プ
ログ
ラム
を実
施に
当た
って
の参
考情
報
プロ
グラ
ム名
:ト
リプ
ルP
― 7
2 ―
各論/プログラム名:トリプルP
各論/プログラム名:トリプルP
― 7
3 ―
プロ
グラ
ムに
かか
る時
間や
期間
1週間
毎、1
回2時
間の
グル
ープ
学習
を4回
行い
、15-
20分
の個
別電
話相
談2-
3回、お
よび
最終
のグ
ルー
プ学
習1
回の
計7-
8回
で構
成さ
れて
いる
。
プロ
グラ
ムの
特徴
と感
じて
いる
点(
他と
比べ
られ
る場
合)
○「
罰す
る」
とい
う方
法は
とら
ず、
子ど
もに
はっ
きり
とわ
かる
よう
に伝
え理
解さ
せる
とい
う接
近の
仕方
をと
る。
○子
ども
に発
達障
害な
ど何
か問
題が
あっ
ても
ある
いは
問題
がな
くて
も、
子ど
もと
のか
かわ
りの
基本
はあ
まり
変わ
らな
い共
通の
もの
であ
ると
考え
る。
○親
や子
ども
のメ
ンタ
ルヘ
ルス
を盛
り込
んで
いる
。○
親と
子ど
もと
の良
い関
係を
作る
こと
を重
視し
てい
る。
プロ
グラ
ムの
ねら
いや
意義
子ど
もへ
のか
かわ
りに
悩ん
でい
るい
わゆ
る「
育児
不安
」や
「育
児困
難」
の親
は、
孤立
しメ
ンタ
ルヘ
ルス
に陥
いる
リス
クを
抱え
てい
る。
子ど
もと
の好
まし
い姿
勢を
作る
こと
を目
的と
して
いる
。
実施
して
の効
果な
どの
状況
○プ
ログ
ラム
前後
で数
種類
のア
ンケ
ート
を実
施し
、評
価は
外部
委託
し、
客観
的な
効果
測定
を行
って
いる
。○
プロ
グラ
ムで
のス
キル
を使
った
母親
から
スキ
ルが
効果
的で
あっ
たこ
とを
聞い
て実
践効
果を
確認
でき
た。
○外
部講
師と
親と
の良
好な
関係
を見
聞し
てい
るが
、児
相と
親と
の関
係の
変化
には
至っ
てい
ない
。
プ
ログ
ラム
の実
施
プロ
グラ
ムの
児相
業務
の中
での
位置
づけ
保護
者支
援の
援助
業務
の一
環と
して
位置
付け
るこ
とは
重要
であ
ると
感じ
てい
る。
プロ
グラ
ムに
つい
ての
児相
職員
から
の評
判
聞き
取り
調査
の時
点で
児童
相談
所全
体と
して
、積
極的
に取
り入
れる
とい
う段
階に
は至
って
いな
い。
プ
ログ
ラム
と児
相と
の関
係
プロ
グラ
ムが
取り
入れ
られ
るに
当た
って
の、
熱心
な職
員の
努力
など
○「
安心
子ど
も基
金(
子育
て創
生基
金)」
の助
成を
受け
、児
相職
員20
名が
ファ
シリ
テー
ター
養成
講座
を受
講し
た。
○プ
ログ
ラム
実施
のた
め予
算を
計上
した
。○
県の
子ど
も未
来課
に働
きか
けた
。
プ
ログ
ラム
を取
り入
れる
に当
たっ
て努
力し
た点
-339-
― 7
4 ―
各論/プログラム名:トリプルP
各論/プログラム名:トリプルP
― 7
5 ―
人員
や時
間の
確保
につ
いて
○プ
ログ
ラム
は外
部委
託し
てい
る。
○養
成講
座を
受け
てい
ない
職員
も資
格取
得を
考慮
して
いる
。○
プロ
グラ
ムは
平日
午前
中に
実施
して
いる
。
サポ
ート
やス
ーパ
ービ
ジョ
ンを
どの
よう
に行
った
か
○プ
ログ
ラム
は外
部講
師が
主体
で実
施し
、職
員は
スタ
ッフ
とし
てプ
ログ
ラム
のサ
ポー
トを
する
。○
職員
の予
定を
あら
かじ
め確
保し
てい
る。
機材
の調
達が
必要
だっ
た場
合○
プロ
グラ
ムで
は、
DV
D,ス
ライ
ド等
の機
材を
使用
する
が、
必要
機材
は外
部か
らの
持ち
込み
であ
る。
○プ
ログ
ラム
参加
案内
(紹
介)
のチ
ラシ
は職
員が
作成
した
。
プ
ログ
ラム
を実
施す
るに
当た
って
の準
備な
ど
導入
のタ
イミ
ング
○親
と一
時保
護中
の面
会を
進め
るう
えで
紹介
した
。○
何度
も担
当職
員か
ら保
護者
に声
掛け
をし
てい
る。
親の
モチ
ベー
ショ
ンが
不十
分な
場合
○親
が子
ども
への
対応
で困
った
こと
を職
員に
相談
した
場合
、プ
ログ
ラム
を紹
介し
た。
引取
り目
標の
親の
場合
○「
プロ
グラ
ム受
講す
るこ
とで
引き
取り
が可
能に
なる
」わ
けで
ない
こと
の説
明も
必要
であ
る。
引き
取り
のモ
チベ
ーシ
ョン
を下
げな
い工
夫が
必要
。
プロ
グラ
ムの
内容
が親
にぴ
った
り合
って
いな
いと
感じ
たと
き
○学
ぶ姿
勢を
強く
持っ
てい
る人
がプ
ログ
ラム
に一
生懸
命参
加し
、プ
ログ
ラム
中の
発言
も多
い。
○一
人一
人の
子育
てを
作り
上げ
る趣
旨の
プロ
グラ
ムな
ので
、保
護者
が自
分に
合う
よう
に応
用し
てゆ
ける
。
親が
希望
した
タイ
ミン
グで
丁度
よく
実施
され
るク
ール
がな
いと
き
○1
対1
の個
別対
応を
取っ
た。
○他
の市
町村
のプ
ログ
ラム
実施
を紹
介し
た。
親の
状況
プ
ログ
ラム
実施
上の
問題
― 7
4 ―
各論/プログラム名:トリプルP
各論/プログラム名:トリプルP
― 7
5 ―
親に
メン
タル
の問
題が
あっ
た時
(具
体例
など
)
グル
ープ
での
取り
組み
が困
難で
あっ
た事
例で
、個
別対
応や
補習
を行
った
。
親と
の日
程調
整の
苦慮
につ
いて(
具体
例な
ど)
ファ
シリ
テー
ター
と相
談し
て、
補習
など
で調
整し
た。
内容
が親
にと
って
難解
なと
き(
具体
例な
ど)
難解
と感
じる
親は
少な
かっ
たが
、あ
れば
個別
で対
応す
る。
途中
で虐
待発
生の
時(
具体
例な
ど)
大き
な虐
待と
して
の再
発は
なか
った
が、
小さ
なも
ので
はプ
ログ
ラム
を継
続し
た。
親側
の要
因
プロ
グラ
ムの
途中
中断
につ
いて
(具
体例
など
)
○困
難事
例で
は、
5名
中2
名程
度の
中断
があ
るよ
うに
思う
。○
中断
例は
、プ
ログ
ラム
にな
じめ
ない
人、
自分
のこ
とを
話し
たが
らな
い人
、時
間確
保が
困難
な人
であ
った
。
グル
ープ
を作
れる
ほど
人数
が集
まら
ない
とき
(具
体例
など
)
職員
が親
とし
てグ
ルー
プに
参加
した
。
グル
ープ
に合
わな
い人
が出
てき
たと
き(
具体
例な
ど)
感想
を聞
いて
理由
を探
るよ
うに
して
いる
。
プロ
グラ
ムは
部分
活用
を許
して
いる
か部
分活
用は
効果
的か
職員
も面
接時
にス
キル
の一
部を
活用
して
いる
。
その
他運
用上
の問
題特
にな
し。
運用
の実
践面
での
課題
プロ
グラ
ムの
効果
を持
続さ
せる
工夫
○効
果の
持続
性は
現時
点で
は不
明で
ある
。○
親と
の面
接で
プロ
グラ
ムの
振り
返り
をし
たり
、ト
リプ
ルP
で習
った
事を
説明
して
いる
。
プロ
グラ
ム終
了後
起こ
る問
題特
に問
題を
経験
して
いな
い。
むし
ろプ
ログ
ラム
終了
後に
母親
同士
で相
談し
たり
、昼
食会
をす
るな
ど良
い面
を多
く見
聞し
てい
る。
効果
の持
続に
つい
て
-340-
― 7
6 ―
各論/プログラム名:MY TREEペアレンツ・プログラム
各論/プログラム名:MY TREEペアレンツ・プログラム
― 7
7 ―
プロ
グラ
ム名
:M
Y T
RE
Eペ
アレ
ンツ
・プ
ログ
ラム
プロ
グラ
ムの
簡単
な解
説:
20
01年
に森
田ゆ
り氏
によ
って
開発
され
た心
理教
育プ
ログ
ラム
。子
ども
への
虐待
的
言動
を繰
り返
して
しま
う親
のセ
ルフ
ケア
力と
問題
解決
力の
回復
を促
し、
親子
関係
の修
復を
目的
とし
てい
る。
約10
人の
参加
者と
3人
の実
践者
でグ
ルー
プを
構成
し、
1回
2
時間
のセ
ッシ
ョン
を13
回行
う。
内容
はカ
リキ
ュラ
ム化
され
た「ま
なび
のワ
ーク
」と「
じ
ぶん
をト
ーク
」で
構成
され
てい
る。
子ど
もに
向か
う怒
りの
爆発
の裏
側に
隠さ
れて
いる
悲し
み、
不安
、自
信喪
失な
どの
感情
に気
づき
語る
ツー
ルを
使え
るよ
うに
なる
。身
体、
感情
、理
性、
魂の
すべ
てに
働き
かけ
て、
木や
太陽
や風
から
も生
命力
の源
をも
らう
とい
う全
体性
の回
復を
目指
すと
ころ
に特
色の
一つ
があ
る。
プロ
グラ
ム方
法が
学べ
る機
関M
Y T
REE
ペア
レン
ツ・
プロ
グラ
ムセ
ンタ
ー
指導
者資
格が
必要
な場
合は
その
取得
方法
MY
TR
EEペ
アレ
ンツ
プロ
グラ
ムが
実施
する
基礎
講座
と実
践者
養成
講座
の受
講及
び、
森田
ゆり
氏が
実施
する
多様
性フ
ァシ
リテ
ータ
ー養
成講
座の
受講
が必
要。
プロ
グラ
ムを
学ぶ
のに
必要
な費
用81
,000
円
プロ
グラ
ムを
実施
する
のに
必要
な費
用○
外部
委託
した
場合
、1
クー
ルの
実施
に約
100
万円
(人
件費
、保
育費
、会
場費
等)。
○ヒ
アリ
ング
した
自治
体が
委託
して
いる
プロ
グラ
ムで
は、
参加
者が
テキ
スト
代(
2800
円程
度)
を負
担。
教材
・参
考文
献・
問い
合せ
先教
材:「
しつ
けと
体罰
」「気
持ち
の本
」(森
田ゆ
り著
童
話館
出版
)問
い合
わせ
先:
MY
TR
EEペ
アレ
ンツ
プロ
グラ
ムセ
ンタ
ーE
メー
ル:
mai
l:myt
ree@
mai
l.goo
.ne.
jp
ht
tp:/
/ww
w.g
eoci
ties.
jp/m
ytre
e120
6/
プ
ログ
ラム
を実
施に
当た
って
の参
考情
報
― 7
6 ―
各論/プログラム名:MY TREEペアレンツ・プログラム
各論/プログラム名:MY TREEペアレンツ・プログラム
― 7
7 ―
プロ
グラ
ムに
かか
る時
間や
期間
1セッ
ショ
ン2時
間で
13回
のプ
ログ
ラム
を約
3ヶ月
間か
けて
毎週
実施
する
。その
他に
、個別
の面
接が
3回、同
窓会
が1(
~2
)回を
実施
する
ため
、期間
とし
ては
1ク
ール
に約
半年
かか
る。
プロ
グラ
ムの
特徴
と感
じて
いる
点(
他と
比べ
られ
る場
合)
○子
ども
虐待
とは
これ
まで
人と
して
尊重
され
なか
った
痛み
や悲
しみ
を怒
りの
形で
子ど
もに
爆発
させ
てい
る行
動で
ある
との
認識
に立
つプ
ログ
ラム
。○
安心
なグ
ルー
プの
場で
、怒
りの
仮面
の裏
側の
不安
や恐
れに
気づ
き語
るプ
ロセ
スは
大き
な変
容を
個人
及び
グル
ープ
にも
たら
す。
○心
、身
体、
思考
、魂
のす
べて
に総
合的
に働
きか
ける
ホ―
リス
ティ
ック
なア
プロ
ーチ
をと
る。
○呼
吸法
や気
功を
取り
入れ
てマ
イン
ドフ
ルな
脳の
トレ
ーニ
ング
を行
う。
○日
本の
自然
の四
季を
、自
分と
グル
ープ
の変
化と
成長
に呼
応さ
せて
深く
受け
入れ
るた
めの
物語
やシ
ンボ
ルを
多用
する
。
プロ
グラ
ムの
ねら
いや
意義
虐待
的言
動の
ある
保護
者を
対象
にし
てい
る。
問題
解決
力や
セル
フケ
アの
ツー
ルを
学ぶ
こと
で子
ども
との
関係
を改
善す
る。
実施
して
の効
果な
どの
状況
○子
ども
の心
や体
を傷
つけ
たり
、コ
ント
ロー
ルし
ない
子育
ての
方法
へ改
善が
見ら
れる
。○
また
、参
加者
の変
化は
一個
人の
中で
の気
づき
にと
どま
らず
、グ
ルー
プ全
体に
揺さ
ぶり
と質
的変
化を
もた
らし
、個
別支
援で
は得
られ
ない
ダイ
ナミ
ック
な変
容を
もた
らす
。○
参加
型の
学習
によ
り、
次第
に自
分の
言葉
で気
持ち
を話
せる
よう
にな
り、
相手
との
コミ
ュニ
ケー
ショ
ンの
スキ
ルが
向上
する
ため
、人
間関
係や
生き
るこ
と全
般の
態度
に変
容が
生ま
れる
。○
感情
のコ
ント
ロー
ルや
セル
フケ
アの
方法
を学
び、
日常
生活
に活
用で
きる
よう
にな
る。
○参
加者
自身
の自
己肯
定感
が高
めら
れる
。○
現実
の状
況や
物事
の捉
え方
が柔
軟に
なる
。
プ
ログ
ラム
の実
施
-341-
― 7
8 ―
各論/プログラム名:MY TREEペアレンツ・プログラム
各論/プログラム名:MY TREEペアレンツ・プログラム
― 7
9 ―
プロ
グラ
ムの
児相
業務
の中
での
位置
づけ
○ヒ
アリ
ング
を行
った
自治
体(
政令
市)
では
、職
員向
けの
プレ
説明
会を
毎年
開催
して
おり
、職
員に
周知
を図
って
いる
。ま
た、
プロ
グラ
ム参
加ケ
ース
は児
童福
祉司
から
提案
があ
った
もの
を家
族回
復支
援担
当者
が検
討し
て決
定し
てい
る。
○同
様に
ヒア
リン
グを
行っ
た別
の自
治体
(都
道府
県)
では
、職
員へ
の周
知研
修で
プロ
グラ
ムを
終え
た人
の体
験談
を話
して
もら
った
。○
上記
の2
つの
自治
体(
都道
府県
と政
令市
)は
共同
で実
施し
てお
り、
同一
グル
ープ
に相
互乗
り入
れし
て費
用を
負担
して
いる
。○
両自
治体
はN
PO
法人
子育
て運
動え
んに
委託
して
実施
して
いる
。児
童相
談所
とは
一定
の独
立性
を持
って
実施
され
てい
るが
、プ
ログ
ラム
の中
間と
終了
時に
児童
相談
所は
報告
を受
けて
いる
。○
上記
自治
体の
内の
1つ
では
「親
への
グル
ープ
プロ
グラ
ム」
とし
て委
託事
業者
を公
募し
、M
YTR
EEプ
ログ
ラム
を提
供し
てい
るN
PO
法人
子育
て運
動え
んが
採択
され
て実
施し
てい
る。
プロ
グラ
ムに
つい
ての
児相
職員
から
の評
判
児相
職員
に効
果が
見え
るこ
とで
定着
して
きた
。
プ
ログ
ラム
と児
相と
の関
係
プロ
グラ
ムが
取り
入れ
られ
るに
当た
って
の、
熱心
な職
員の
努力
など
ヒア
リン
グを
行っ
た2
つの
自治
体に
おい
ては
、熱
心に
取り
組ん
でき
た民
間団
体と
の契
約に
より
委託
して
実施
して
いる
。
人員
や時
間の
確保
につ
いて
ヒア
リン
グを
行っ
た2
つの
自治
体が
委託
して
いる
プロ
グラ
ムで
は、
グル
ープ
の人
数を
10人
とし
てい
るた
め、
グル
ープ
が成
立す
るだ
けの
ケー
スを
集め
る必
要が
ある
。
プ
ログ
ラム
を取
り入
れる
に当
たっ
て努
力し
た点
プ
ログ
ラム
を実
施す
るに
当た
って
の準
備な
ど
― 7
8 ―
各論/プログラム名:MY TREEペアレンツ・プログラム
各論/プログラム名:MY TREEペアレンツ・プログラム
― 7
9 ―
導入
のタ
イミ
ング
○担
当児
童福
祉司
が保
護者
に働
きか
けて
プロ
グラ
ムに
つな
ぐ。
保護
者に
プロ
グラ
ムを
勧め
られ
るよ
うな
関係
性の
構築
が肝
要。
○当
事者
から
の申
込や
児童
相談
所の
提案
をも
とに
プロ
グラ
ム実
施団
体が
イン
テー
ク面
接を
十分
に実
施し
て参
加を
決定
する
。
この
プロ
グラ
ムが
向い
てい
ると
思わ
れる
保護
者の
タイ
プ
虐待
に至
った
保護
者。
子育
て不
安、
孤立
、生
きる
こと
全般
への
自信
のな
さ、
伴侶
との
関係
の悪
さ、
PTS
D症
状、
未解
決の
傷つ
き体
験な
どを
背景
に、
子ど
もを
虐待
、ネ
グレ
クト
して
いる
保護
者。
引取
り目
標の
親の
場合
家族
再統
合に
向け
た保
護者
の回
復支
援と
して
開発
され
た。
実際
には
親子
が分
離さ
れた
ケー
スだ
けで
はな
く在
宅ケ
ース
でも
実施
して
いる
。
親の
状況
プ
ログ
ラム
実施
上の
問題
親に
メン
タル
の問
題が
あっ
た時
(具体
例な
ど)
かな
り症
状の
重い
方も
参加
して
いる
。個
人に
合わ
せて
目標
を設
定し
てプ
ログ
ラム
を実
施し
てい
る。
内容
が親
にと
って
難解
なと
き(具
体例
など
)知
的に
課題
のあ
る参
加者
はテ
キス
トに
仮名
を振
るな
どし
て参
加し
てい
る。
途中
で虐
待発
生の
時(具
体例
など
)プ
ログ
ラム
途中
で一
時保
護と
なっ
たケ
ース
があ
った
。そ
の場
合に
はプ
ログ
ラム
参加
を継
続し
た場
合と
取り
やめ
た場
合が
あっ
た。
親側
の要
因
プロ
グラ
ムの
途中
中断
につ
いて
(具体
例な
ど)
ヒア
リン
グを
行っ
た2
つの
自治
体が
委託
して
いる
プロ
グラ
ムで
は、
プロ
グラ
ムに
欠席
する
と連
絡を
取り
継続
を働
きか
けて
いる
が、
働き
かけ
にも
かか
わら
ず2
回欠
席す
ると
とり
やめ
とし
てい
る。
グル
ープ
を作
れる
ほど
人数
が集
まら
ない
とき
(具体
例な
ど)
グル
ープ
力動
に適
切な
人数
のグ
ルー
プを
成立
させ
る必
要が
ある
。
運用
の実
践面
での
課題
-342-
― 8
0 ―
各論/プログラム名:MY TREEペアレンツ・プログラム
各論/プログラム名:PCIT
― 8
1 ―
グル
ープ
に合
わな
い人
が出
てき
たと
き(
具体
例な
ど)
グル
ープ
外で
の保
護者
同士
の交
流が
あっ
たた
めに
参加
を取
りや
めて
もら
った
方が
あっ
た。
プロ
グラ
ムの
効果
を持
続さ
せる
工夫
○た
とえ
話と
シン
ボル
を多
用し
て、
修了
後も
セル
フケ
アや
子ど
もと
の関
係性
の改
善に
活用
でき
るツ
ール
を提
供し
てい
る。
○終
了時
の個
別の
面接
にお
いて
、本
人の
変化
、課
題、
必要
なサ
ポー
ト資
源な
どを
明確
にす
る。
○3
か月
後及
び6
か月
後の
同窓
会を
開催
する
。
効果
の持
続に
つい
て
― 8
0 ―
各論/プログラム名:MY TREEペアレンツ・プログラム
各論/プログラム名:PCIT
― 8
1 ―
プロ
グラ
ムの
簡単
な解
説:
子ど
もの
ここ
ろや
行動
の問
題に
対し
、親
子の
相互
交流
を深
めそ
の質
を高
める
事に
よっ
て回
復に
向か
うよ
う働
きか
ける
行動
学に
基づ
いた
心理
療法
。19
70年
代に
アメ
リ
カフ
ロリ
ダ大
学の
アイ
バー
グ教
授ら
のグ
ルー
プに
より
開発
され
た。
日本
には
2000
年
代に
導入
され
その
有効
性が
認め
られ
広が
って
いる
。親
子二
者の
様子
をビ
デオ
カメ
ラで
撮影
し、
別室
でセ
ラピ
スト
がモ
ニタ
ーを
見な
がら
トラ
ンシ
ーバ
ーで
ライ
ブコ
ーチ
ング
をす
るこ
とが
特徴
であ
る。
プロ
グラ
ム方
法が
学べ
る機
関○
東京
女子
医大
の加
茂登
志子
氏が
国内
で指
導で
きる
資格
を取
得中
。○
米国
から
アイ
バー
グ教
授ら
PC
IT in
tern
atio
nalの
指導
者が
来日
して
講習
が行
われ
る場
合が
ある
指導
者資
格が
必要
な場
合は
その
取得
方法
米国
でア
イバ
ーグ
教授
らP
CIT
inte
rnat
iona
l が
指導
者養
成を
行っ
てい
る
プロ
グラ
ムを
学ぶ
のに
必要
な費
用米
国か
らア
イバ
ーグ
教授
が見
えて
講習
を受
ける
場合
には
5日
間で
30万
円
プロ
グラ
ムを
実施
する
のに
必要
な費
用ビ
デオ
とト
ラン
シー
バー
など
機材
費
人件
費(必
要が
有れ
ば)
など
の実
費
教材
・参
考文
献・
問い
合せ
先P
CIT
-Jap
an (
代表
加
茂登
志子
東
京女
子医
科大
学附
属女
性生
涯健
康セ
ンタ
ー内
)ht
tp:/
/pci
t-ja
pan.
com
/
プ
ログ
ラム
を実
施に
当た
って
の参
考情
報
プロ
グラ
ム名
:P
CIT
-343-
― 8
2 ―
各論/プログラム名:PCIT
各論/プログラム名:PCIT
― 8
3 ―
プロ
グラ
ムに
かか
る時
間や
期間
○養
育者
が定
めら
れた
スキ
ルが
マス
テリ
ー(何
とか
出来
ると
いう
感じ
)に達
し、評
価尺
度EC
BI(ア
イバ
ーグ
子ど
もの
行動
調査
票
36項
目で
、2~
16歳
の子
ども
の問
題行
動を
測る
)の
スコ
アが
基準
値以
下に
なれ
ば、修
了と
なる
。○
通常
は前
半の
CD
I(親
が子
ども
のリ
ード
に従
うこ
とに
よっ
て、親
子の
関係
を強
化す
る)が
7-8
回、後
半の
PD
I(保
護者
が主
導と
なり
、効果
的な
指示
の出
し方
や不
適切
な行
動を
減ら
すた
めの
. 方法
を練
習す
る)が
7-
8回の
合計
15回
程度
だが
、スキ
ル獲
得に
時間
がか
かる
養育
者で
は、前
半だ
けで
12回
や、1
3回か
かる
人も
いる
。○
長期
化し
ても
、その
間つ
なが
って
いる
ので
、ケー
スワ
ーク
も有
効に
出来
るの
で、メ
リッ
トが
ある
。
プロ
グラ
ムの
特徴
と感
じて
いる
点(
他と
比べ
られ
る場
合)
親子
の関
わり
をモ
ニタ
ーし
ライ
ブコ
ーチ
ング
を行
える
こと
で、
親子
の関
係性
を直
接観
察で
き、
養育
者も
ライ
ブで
褒め
られ
る経
験も
出来
るな
ど、
濃厚
な治
療で
ある
。ま
た治
療目
標が
明確
であ
るた
め、
治療
者側
もゴ
ール
を想
定し
やす
い。
プロ
グラ
ムの
ねら
いや
意義
親子
の関
わり
の実
際に
つい
て、
段階
的に
てい
ねい
に進
めて
ゆく
こと
によ
り、
養育
者も
、た
だ説
明を
され
るだ
けで
なく
、ラ
イブ
コー
チン
グで
実践
でき
るこ
とで
、よ
りよ
い関
わり
が持
てる
よう
にす
る
実施
して
の効
果な
どの
状況
○児
相で
の治
療的
関与
に抵
抗の
ある
養育
者で
も、
構造
化さ
れた
治療
なの
でや
って
みた
いと
思っ
ても
らえ
る。
点数
が変
わら
なく
ても
見立
てや
アセ
スメ
ント
とし
て何
かが
改善
した
よう
に評
価さ
れる
事が
ある
。○
スキ
ルの
獲得
が遅
い場
合や
、評
価尺
度EC
BIが
低下
しな
い場
合な
ど、
治療
経過
が長
くな
って
も、
具体
的な
対応
を長
期に
渡り
支援
され
るこ
とで
、児
童福
祉司
との
接触
の機
会が
増え
るな
どの
効果
があ
る。
○ラ
イブ
コー
チン
グで
親を
ほめ
るこ
とも
治療
上有
効で
、生
育歴
でほ
めら
れた
こと
がな
かっ
たり
、遊
び方
が分
から
ない
親に
とっ
て受
容体
験に
よっ
て自
信を
持つ
こと
がで
き、
子ど
もと
の関
係つ
くり
に有
効で
ある
。○
親の
変化
も客
観的
に評
価し
、ス
キル
が身
につ
いた
とこ
ろで
治療
が終
了す
る。
プ
ログ
ラム
の実
施
― 8
2 ―
各論/プログラム名:PCIT
各論/プログラム名:PCIT
― 8
3 ―
プロ
グラ
ムの
児相
業務
の中
での
位置
づけ
児童
相談
所の
相談
対応
とコ
ンビ
ネー
ショ
ンを
組む
。ラ
イブ
コー
チン
グを
する
とき
に、
治療
者だ
けの
部屋
に児
童福
祉司
にも
入っ
ても
らう
こと
があ
る。
多職
種が
時間
を合
わせ
る困
難さ
があ
るが
、児
童心
理司
が窓
口と
なっ
てス
ケジ
ュー
ルを
調整
する
。
プロ
グラ
ムに
つい
ての
児相
職員
から
の評
判
取り
組み
始め
た当
初は
、モ
デル
ケー
スと
して
中央
児童
相談
所で
幾つ
かの
ケー
スに
実施
して
効果
を確
認し
、そ
の後
、地
域児
童相
談所
を含
めた
会議
や研
修会
で説
明し
たこ
とで
、有
効な
プロ
グラ
ムで
ある
とい
う認
識が
得ら
れた
。
プ
ログ
ラム
と児
相と
の関
係
プロ
グラ
ムが
取り
入れ
られ
るに
当た
って
の、
熱心
な職
員の
努力
など
ヒア
リン
グし
た自
治体
では
、治
療部
門の
取り
組み
とし
てま
ず取
り入
れら
れた
。
人員
や時
間の
確保
につ
いて
○親
面接
の時
、子
ども
を見
てい
ても
らう
必要
があ
ると
き、
もう
一名
職員
が必
要に
なる
。
サポ
ート
やス
ーパ
ービ
ジョ
ンを
どの
よう
に行
った
か
ヒア
リン
グし
た自
治体
では
、ス
ーパ
ーバ
イズ
を東
京女
子医
大加
茂氏
が月
一回
、研
究ベ
ース
で、
児童
相談
所に
来所
して
実施
。
機材
の調
達が
必要
だっ
た場
合○
PC
ITは
ビデ
オな
どの
機材
を必
要と
する
。被
害面
接用
に購
入し
た機
材を
活用
し一
部買
い足
した
児童
相談
所も
ある
。ト
ラン
シー
バー
、延
長コ
ード
など
を購
入。
ヒア
リン
グし
た自
治体
では
、ビ
デオ
カメ
ラを
設置
した
部屋
があ
り、
別室
でモ
ニタ
ーで
きる
よう
にな
って
いる
。○
実施
して
いる
児童
相談
所数
が少
ない
と、
他の
児童
相談
所に
通う
のが
大変
で続
かな
いの
で、
自治
体内
児童
相談
所す
べて
で実
施す
るた
めに
機材
を準
備し
た。
○観
察室
を含
め2
部屋
使用
する
ので
、小
さい
児童
相談
所だ
と、
他の
面接
に影
響が
出る
こと
もあ
る。
プ
ログ
ラム
を取
り入
れる
に当
たっ
て努
力し
た点
プ
ログ
ラム
を実
施す
るに
当た
って
の準
備な
ど
-344-
― 8
4 ―
各論/プログラム名:PCIT
各論/プログラム名:PCIT
― 8
5 ―
対象
とな
る保
護者
○在
宅で
育児
不安
が大
きい
場合
、一
時保
護で
家に
返す
のが
心配
なケ
ース
、里
親の
養育
に問
題が
生じ
た場
合、
施設
入所
中の
ケー
ス○
在宅
が4
分の
1、一
時保
護が
5分
の一
、里
親に
対す
る実
施も
多い
。施
設の
場合
は引
き取
り前
後が
行い
やす
い。
施設
職員
の対
象に
実施
する
場合
は、
子ど
も側
の変
化を
ねら
う。
子ど
もは
職員
を半
日独
占で
きる
ので
安定
する
。○
関係
性の
問題
が対
象と
なる
。子
ども
に問
題は
なさ
そう
でも
、親
子の
関係
がま
ずい
とか
、一
定の
養育
者と
の関
係が
悪い
よう
なケ
ース
が対
象と
なる
。
導入
のタ
イミ
ング
○ヒ
アリ
ング
した
児童
相談
所で
は20
11年
から
開始
。児
童心
理司
が適
切な
なケ
ース
を紹
介し
て実
施し
てき
た。
当初
は軌
道に
乗せ
るた
めに
つな
がり
そう
なケ
ース
を選
んだ
傾向
はあ
る。
○対
応方
法が
知り
たい
とい
う養
育者
側の
動機
付け
が重
要○
アメ
リカ
では
、親
の動
機付
けグ
ルー
プ療
法を
行う
。計
6回
。
親の
モチ
ベー
ショ
ンが
不十
分な
場合
モチ
ベー
ショ
ンの
状況
をつ
かん
で、
児童
福祉
司か
らも
働き
かけ
、プ
ログ
ラム
を実
施す
る。
引取
り目
標の
親の
場合
○引
き取
り目
標は
、実
施す
る上
での
きっ
かけ
とな
りや
すい
○プ
ログ
ラム
を受
ける
こと
を引
き取
りの
条件
とす
るこ
とは
ない
が、
親子
関係
の改
善に
よっ
て引
き取
りに
つな
がり
やす
くな
るこ
とは
多い
。
プロ
グラ
ムの
内容
が親
にぴ
った
り合
って
いな
いと
感じ
たと
き
プロ
グラ
ムの
効果
があ
まり
現れ
ない
よう
な場
合で
も、
定期
的に
児童
相談
所に
通う
こと
によ
り、
児童
相談
所職
員と
の関
係が
良く
なり
、ケ
ース
ワー
クが
円滑
に行
われ
るよ
うに
なる
事が
ある
。
親が
希望
した
タイ
ミン
グで
丁度
よく
実施
され
るク
ール
がな
いと
き
個別
なの
で、
親の
状況
に合
わせ
てプ
ログ
ラム
を開
始す
る
親の
状況
プ
ログ
ラム
実施
上の
問題
― 8
4 ―
各論/プログラム名:PCIT
各論/プログラム名:PCIT
― 8
5 ―
親に
メン
タル
の問
題が
あっ
た時
(具
体例
など
)
○統
合失
調症
など
は程
度に
よっ
ては
難し
いが
、う
つと
か、
パニ
ック
障害
では
実施
して
いる
。知
的な
方は
、70
位ま
では
やっ
てい
る。
○メ
ンタ
ルが
重い
と、
来な
くな
って
しま
う。
間が
空く
。○
遊べ
ばい
いん
です
ね、
と敷
居を
軽く
感じ
てく
れる
場合
もあ
る。
親と
の日
程調
整の
苦慮
につ
いて
(具
体例
など
)個
別な
ので
、親
が来
やす
い設
定に
なる
よう
配慮
する
内容
が親
にと
って
難解
なと
き(
具体
例な
ど)
一対
一な
ので
、繰
り返
し分
かり
易く
説明
する
こと
が出
来る
途中
で虐
待発
生の
時(
具体
例な
ど)
途中
で一
時保
護に
なっ
た例
もあ
るが
、一
応努
力し
た記
録が
残っ
てい
るの
で、
ケー
スワ
ーク
に活
かせ
る。
ケー
スワ
ーク
の中
でそ
の努
力を
認め
るこ
とが
出来
る。
親側
の要
因
プロ
グラ
ムの
途中
中断
につ
いて(
具体
例な
ど)
○ヒ
アリ
ング
した
自治
体の
児童
相談
所で
は20
11年
開始
以来
中断
率は
22例
中27
%、
軌道
に乗
せる
ため
に、
つな
がり
そう
なケ
ース
を選
ぶ傾
向あ
り。
○米
国の
場合
は、
中断
率が
50%
○優
れた
ツー
ルな
ので
、ケ
ース
ワー
クと
絡め
れば
効果
があ
る、
きれ
いに
終わ
らな
くて
も、
やる
意味
はあ
る○
続か
なく
なっ
ても
、ケ
ース
ワー
クで
フォ
ロー
する
こと
は出
来る
。○
病理
が深
いと
言う
こと
で、
別の
治療
法に
転換
する
ケー
スも
あっ
た。
グル
ープ
を作
れる
ほど
人数
が集
まら
ない
とき
(具
体例
など
)
個別
を対
象と
した
プロ
グラ
ムで
ある
。
グル
ープ
に合
わな
い人
が出
てき
たと
き(
具体
例な
ど)
グル
ープ
に全
然乗
せら
れな
いよ
うな
人で
も、
個別
で教
える
こと
がき
る。
手間
暇か
かる
けれ
ども
、個
別ケ
ース
であ
るが
故に
有効
であ
る。
プロ
グラ
ムは
部分
活用
を許
して
いる
か部
分活
用は
効果
的か
スケ
ジュ
ール
が決
まっ
てい
るの
で、
部分
活用
とい
う活
用の
仕方
はな
い
運用
の実
践面
での
課題
-345-
― 8
6 ―
各論/プログラム名:PCIT
各論/プログラム名:CARE
― 8
7 ―
プロ
グラ
ムの
効果
を持
続さ
せる
工夫
○ヒ
アリ
ング
した
児童
相談
所で
完全
に修
了で
きた
8名
の予
後を
見た
。一
回再
保護
にな
って
いる
人も
いる
が、
現在
は再
び在
宅に
なっ
てい
る。
○P
CIT
は濃
厚な
治療
なの
で、
市区
町村
や、
教育
相談
に繋
げて
、児
童相
談所
は助
言修
了す
る時
など
は、
移行
がス
ムー
スに
なる
よう
に努
める
。受
け皿
の機
関が
、濃
厚な
治療
を受
けて
いた
こと
を知
って
いな
いと
、話
がか
み合
わな
くな
って
問題
。○
児相
で長
く係
わる
ケー
スも
多い
ので
、通
所と
か、
福祉
司指
導を
継続
する
こと
にな
る。
児童
相談
所ケ
ース
の場
合は
、児
童福
祉司
から
その
後の
様子
が聞
ける
効果
の持
続に
つい
て
― 8
6 ―
各論/プログラム名:PCIT
各論/プログラム名:CARE
― 8
7 ―
プロ
グラ
ムの
簡単
な解
説:
米国
オハ
イオ
州シ
ンシ
ナテ
ィ子
ども
病院
で開
発さ
れた
、子
ども
と関
わる
大人
のた
め
の心
理教
育的
プロ
グラ
ム。
PC
ITの
理論
をベ
ース
にお
いて
いる
。子
ども
との
間に
、温
かな
関係
を築
き、
関係
をよ
りよ
くす
るた
めに
大切
なこ
とを
体験
的に
学ん
でい
く。
落ち
着き
がな
かっ
たり
、困
った
行動
をし
てし
まい
がち
な子
ども
との
関わ
りが
ずっ
と楽
にな
るさ
まざ
まな
スキ
ルが
盛り
込ま
れて
いる
。
プロ
グラ
ム方
法が
学べ
る機
関C
AR
E-ja
pan
指導
者資
格が
必要
な場
合は
その
取得
方法
○C
AR
E-ja
pan
のワ
ーク
ショ
ップ
に2
回参
加す
るこ
と及
びト
レー
ナー
トレ
ーニ
ング
を受
ける
。○
実践
後は
、実
践報
告書
を提
出す
る。
プロ
グラ
ムを
学ぶ
のに
必要
な費
用ワ
ーク
ショ
ップ
は初
回6
千円
、2回
目は
25
00
円。
トレ
ーナ
ート
レー
ニン
グは
4万
円程
度。
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
の属
する
自治
体で
は児
童心
理司
現任
研修
とし
てワ
ーク
ショ
ップ
を実
施し
た。
プロ
グラ
ムを
実施
する
のに
必要
な費
用資
料作
成な
どに
かか
る費
用程
度
教材
・参
考文
献・
問い
合せ
先C
AR
E-ja
pan
事務
局
プ
ログ
ラム
を実
施に
当た
って
の参
考情
報
プロ
グラ
ム名
:C
AR
E
-346-
― 8
8 ―
各論/プログラム名:CARE
各論/プログラム名:CARE
― 8
9 ―
プロ
グラ
ムに
かか
る時
間や
期間
○1回
、3~
3時間
半で
の実
施が
可能
だが
、2,3
回に
分け
て実
施し
、フォ
ロー
アッ
プな
ども
入れ
る方
が効
果的
であ
る。
○ヒ
アリ
ング
した
児童
相談
所で
は、こ
れを
7回程
度の
プロ
グラ
ムに
分け
て親
子通
所グ
ルー
プの
中で
実施
して
いた
。○
また
、個別
相談
の中
でも
、保護
者の
状況
に合
わせ
てポ
イン
トを
絞り
、1~
3回程
度で
実施
して
いた
。
プロ
グラ
ムの
特徴
と感
じて
いる
点(
他と
比べ
られ
る場
合)
○時
間が
かか
らず
コン
パク
トな
プロ
グラ
ム。
○ロ
ール
プレ
イで
確認
がで
きる
。○
宿題
シー
トで
確認
がで
きる
。○
重度
では
ない
虐待
や子
ども
との
接し
方が
わか
らな
いと
いう
方、
子ど
もへ
の対
応が
不適
切で
ある
こと
の認
識が
あり
、新
たな
コミ
ュニ
ケー
ショ
ンス
キル
を学
ぶ意
欲の
ある
保護
者に
有効
なプ
ログ
ラム
。深
刻な
虐待
に対
する
治療
的な
関わ
りと
は異
なる
。○
いき
なり
しつ
けの
方法
を伝
える
とい
うの
では
なく
、ま
ずは
子ど
もを
褒め
るこ
とに
上手
にな
って
から
しつ
けに
入る
とい
うわ
かり
やす
い組
み立
てに
なっ
てい
る。
○保
護者
だけ
では
なく
、養
継親
、里
親、
施設
職員
、保
育士
など
の養
育者
、子
ども
が施
設入
所中
の非
加害
親な
どに
も有
効。
○他
のペ
アレ
ント
トレ
ーニ
ング
と比
較し
て、
親子
の会
話が
増え
、親
子関
係が
良く
なる
印象
があ
る。
○プ
ログ
ラム
の中
では
遊び
を中
心と
した
ロー
ルプ
レイ
が多
く、
大人
も楽
しい
時間
を過
ごし
なが
ら習
得が
でき
るよ
う工
夫さ
れて
いる
プロ
グラ
ムの
ねら
いや
意義
○親
子の
良い
関係
つく
りを
中心
にし
てい
る。
保護
者が
ほめ
られ
る体
験が
でき
、グ
ルー
プの
保護
者同
士も
ほめ
あう
様子
が見
られ
る。
○入
所事
例で
は子
ども
の楽
しそ
うな
顔を
見る
こと
で親
子関
係の
改善
につ
なが
る。
○実
施ケ
ース
は入
所・
在宅
事例
が半
々で
、虐
待ケ
ース
以外
でも
実施
して
いる
。
実施
して
の効
果な
どの
状況
もと
もと
親子
のコ
ミュ
ニケ
ーシ
ョン
量が
少な
かっ
たり
、親
主導
のコ
ミュ
ニケ
ーシ
ョン
に偏
りが
ちだ
った
場合
は、
変化
が見
えや
すい
。
プ
ログ
ラム
の実
施
― 8
8 ―
各論/プログラム名:CARE
各論/プログラム名:CARE
― 8
9 ―
プロ
グラ
ムの
児相
業務
の中
での
位置
づけ
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
では
、児
童心
理司
中心
に実
施し
てい
た通
所グ
ルー
プで
の活
動メ
ニュ
ーと
して
導入
した
。在
宅支
援や
再統
合に
向け
た支
援の
中で
実施
して
いる
。
プ
ログ
ラム
と児
相と
の関
係
プロ
グラ
ムが
取り
入れ
られ
るに
当た
って
の、
熱心
な職
員の
努力
など
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
では
、個
人と
して
外部
団体
の研
修を
受け
、通
所グ
ルー
プに
導入
して
いっ
た。
同じ
児童
相談
所の
児童
心理
司全
員が
ワー
クシ
ョッ
プ受
講済
みで
あり
、プ
ログ
ラム
実施
の補
助が
でき
るよ
うに
なっ
てい
る。(
グル
ープ
のト
レー
ナー
とな
るに
は、
今後
トレ
ーナ
ート
レー
ニン
グを
受け
る必
要が
ある
。)
また
同じ
自治
体内
の他
の児
童相
談所
でも
プロ
グラ
ムを
支援
に導
入し
てい
る所
があ
る。
人員
や時
間の
確保
につ
いて
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
では
、月
1回
の通
所グ
ルー
プの
中で
実施
して
いる
。ス
タッ
フは
児童
心理
司が
担っ
てい
る。
サポ
ート
やス
ーパ
ービ
ジョ
ンを
どの
よう
に行
った
か
○ト
レー
ナー
勉強
会へ
の参
加。
○実
践報
告書
を年
1回
CA
RE-
japa
nに
提出
して
いる
。
機材
の調
達が
必要
だっ
た場
合必
要な
い
プ
ログ
ラム
を取
り入
れる
に当
たっ
て努
力し
た点
プ
ログ
ラム
を実
施す
るに
当た
って
の準
備な
ど
導入
のタ
イミ
ング
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
では
、継
続的
な相
談の
中で
、通
所グ
ルー
プへ
の参
加に
つな
がっ
た事
例に
実施
して
いる
。
親の
モチ
ベー
ショ
ンが
不十
分な
場合
回数
を分
けて
実施
した
場合
には
定期
的に
通っ
ても
らえ
るか
どう
かが
課題
。
親の
状況
プ
ログ
ラム
実施
上の
問題
-347-
― 9
0 ―
各論/プログラム名:CARE
各論/プログラム名:CARE
― 9
1 ―
引取
り目
標の
親の
場合
○次
年度
又は
2~
3年
後に
引き
取り
を予
定し
てい
るケ
ース
の参
加が
ある
。保
護者
が施
設に
迎え
に行
って
参加
した
り、
施設
職員
の送
迎も
ある
。○
入所
事例
では
、宿
題を
きょ
うだ
いや
父親
など
に対
して
やっ
てみ
るよ
うに
促す
。
親が
希望
した
タイ
ミン
グで
丁度
よく
実施
され
るク
ール
がな
いと
き
○途
中参
加も
可能
。そ
の場
合は
個別
に補
って
いる
。○
なお
、ヒ
アリ
ング
した
児童
相談
所で
は数
回に
分け
て実
施し
てい
たが
、1
回で
の実
施も
可能
なた
め、
平成
25年
に実
施し
たア
ンケ
ート
調査
では
、通
所回
数が
限ら
れた
保護
者に
適し
てい
ると
いう
意見
があ
った
。
親に
メン
タル
の問
題が
あっ
た時
(具
体例
など
)
グル
ープ
ワー
クが
可能
な方
を対
象に
して
いる
。
親と
の日
程調
整の
苦慮
につ
いて(
具体
例な
ど)
欠席
した
場合
には
個別
に補
うよ
うに
して
いる
。
内容
が親
にと
って
難解
なと
き(
具体
例な
ど)
わか
りや
すい
プロ
グラ
ムの
ため
、軽
度の
知的
課題
のあ
る保
護者
も参
加し
やす
い。
親側
の要
因
プロ
グラ
ムの
途中
中断
につ
いて(
具体
例な
ど)
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
では
回数
を分
けて
実施
して
いる
ため
中断
例が
あっ
たが
、通
常は
1回
でも
実施
可能
なプ
ログ
ラム
。
グル
ープ
を作
れる
ほど
人数
が集
まら
ない
とき
(具
体例
など
)
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
によ
ると
、グ
ルー
プを
成立
させ
るた
めの
参加
親子
の確
保と
、継
続し
て参
加す
るた
めの
支援
が必
要。
プロ
グラ
ムは
部分
活用
を許
して
いる
か部
分活
用は
効果
的か
個別
相談
の中
でポ
イン
トを
絞っ
て伝
える
こと
があ
る。
その
他運
用上
の問
題○
児童
相談
所へ
の定
期的
な通
所が
距離
的・
時間
的に
困難
な場
合が
ある
。(今
後は
より
身近
な市
町村
で実
施さ
れる
よう
な講
習を
検討
して
いる
。)○
子ど
もが
施設
入所
中の
場合
、施
設か
ら児
童相
談所
まで
の児
童の
送迎
につ
いて
、施
設職
員や
児相
内他
職種
の協
力が
必要
な場
合が
ある
。
運用
の実
践面
での
課題
― 9
0 ―
各論/プログラム名:CARE
各論/プログラム名:CARE
― 9
1 ―
プロ
グラ
ムの
効果
を持
続さ
せる
工夫
ヒア
リン
グし
た児
童相
談所
では
数回
に分
けて
実施
して
いる
理由
とし
て、
1回
で集
中し
て実
施す
るよ
りも
一定
期間
継続
して
実施
した
方が
保護
者に
定着
する
と考
えて
いた
。ま
たそ
の間
の保
護者
の状
況変
化も
把握
でき
ると
のこ
と。
効果
の持
続に
つい
て
-348-
― 9
2 ―
各論/AF-CBT、TF-CBT
各論/AF-CBT、TF-CBT
― 9
3 ―
AF-
CB
T、TF
-CB
T
1
.は
じめ
に
現在
、A
F-C
BT(
Alte
rnat
ives
for
Fam
ilies
: C
ogni
tive
Beh
avio
ral T
hera
py)
(邦
訳-
家族
のた
めの
代替
案:
認知
行動
療法
)、TF
-CB
T(Tr
aum
a-Fo
cuse
d
Cog
nitiv
e B
ehav
iora
l The
rapy
)(邦
訳:
トラ
ウマ
フォ
ーカ
スト
認知
行動
療法
)と
いう
いず
れも
米国
で開
発さ
れた
、虐
待臨
床に
向け
た2
つの
精神
療法
プロ
グラ
ムが
我が
国に
おい
ても
広が
りを
見せ
てい
る。
いず
れも
、認
知行
動療
法(
以下
、C
BT)
がそ
の
手法
の中
心の
一つ
とな
って
いる
が、
両者
とも
、プ
ログ
ラム
実施
にお
ける
クオ
リテ
ィ・
コン
トロ
ール
が厳
密で
ある
ため
、実
施数
はま
だま
だ少
数で
あと
いう
のが
現状
であ
る。
しか
し、
これ
らの
プロ
グラ
ムは
エビ
デン
スベ
ース
に開
発さ
れて
おり
、我
が国
にお
ける
導入
は他
のプ
ログ
ラム
に比
べて
遅れ
はと
った
もの
の、
今後
必ず
や広
がり
を見
せて
いく
もの
と確
信す
る。
ここ
では
、両
プロ
グラ
ムに
つい
て、
主に
CB
Tと
いう
視点
から
概観
する
。
2
.A
F-C
BT、
TF-C
BT
を構
成す
る精
神療
法は
何か
?
いず
れも
CB
Tの
他、
家族
療法
など
複数
の精
神療
法も
とり
いれ
てま
とめ
あげ
た統
合
的プ
ログ
ラム
であ
る。
両者
とも
に、
子ど
もと
保護
者に
対す
る心
理介
入を
行う
が、
AF-
CB
Tは
、保
護者
(加
害者
であ
って
も、
加害
者で
なく
とも
どち
らで
も良
い)
と子
ども
の感
情調
節を
行い
なが
ら家
族内
の困
難を
減ず
るこ
と等
に、
TF-C
BT
は、
加害
者で
は
ない
保護
者と
子ど
もに
対し
ての
、子
ども
が虐
待を
体験
した
こと
によ
るト
ラウ
マケ
ア等
に焦
点を
当て
なが
ら進
めら
れる
。
3
.虐
待の
再発
予防
にお
いて
、な
ぜC
BT
を用
いる
のか
?
いず
れの
プロ
グラ
ムも
、虐
待の
再発
予防
効果
につ
いて
のエ
ビデ
ンス
が存
在し
、現
在
の問
題に
つい
て扱
いな
がら
、虐
待の
被害
者で
ある
子ど
もの
トラ
ウマ
治療
を平
行し
て行
― 9
2 ―
各論/AF-CBT、TF-CBT
各論/AF-CBT、TF-CBT
― 9
3 ―
う。
もと
もと
、A
F-C
BT
は身
体的
虐待
を対
象と
して
、TF
-CB
Tは
性的
虐待
を対
象と
して
開発
され
たの
が出
発点
であ
り、
具体
的に
はA
F-C
BT
は、
最近
の、
トラ
ウマ
とは
直接
には
つな
がら
ない
出来
事に
つい
て取
り上
げて
、そ
れに
まつ
わる
認知
を変
容さ
せる
こと
によ
り感
情を
コン
トロ
ール
し、
その
こと
によ
り親
子の
行動
・関
係が
変わ
って
いく
こと
を目
指し
、保
護者
がそ
れま
での
暴力
的な
養育
行動
を、
暴力
的で
ない
養育
行動
に置
き換
えて
いく
こと
を目
標と
し、
保護
者の
感情
調節
を行
って
いく
こと
が中
心に
なる
。そ
れに
対し
、TF
-CB
Tは
、子
ども
が、
自ら
が抱
える
トラ
ウマ
体験
を自
ら乗
り越
える
こ
とが
主眼
とな
って
おり
、い
ずれ
も保
護者
と子
ども
本人
が主
体と
なり
、治
療者
は適
切な
ヘル
プを
する
とい
う役
割が
求め
られ
る。
そし
て、
その
手法
の一
つに
CB
Tは
据え
られ
てい
る。
4
.C
BT
とは
どん
な治
療法
なの
か?
CB
Tの
起源
には
諸説
ある
が、
アー
ロン
・ベ
ック
がう
つ病
に対
して
行っ
た精
神療
法
プロ
グラ
ムが
始ま
りで
ある
とい
うの
が一
般的
であ
る。
人は
何か
出来
事が
起こ
る度
に、
喜ん
だり
、悲
しん
だり
、焦
った
り、
怒っ
たり
、様
々
に感
情が
揺さ
ぶら
れる
もの
であ
る。
その
出来
事を
自分
なり
に解
釈し
、そ
の解
釈に
基づ
いて
感情
が沸
き起
こる
ので
ある
。ま
た、
自分
で自
覚す
るは
っき
りと
した
解釈
がな
いの
に感
情が
高ぶ
るこ
とも
ある
。そ
して
感情
が高
ぶる
と、
人の
心の
視野
は狭
まり
、そ
うな
ると
考え
方は
極端
に偏
った
もの
にな
りが
ちな
ので
ある
。た
とえ
ば、
子ど
もが
、友
達に
対し
て、「
遊ぼ
う」
と声
をか
けて
いる
のに
、自
分に
は声
をか
けて
くれ
なか
った
→「
自
分は
みん
なに
嫌わ
れて
いる
んだ
」と
深刻
に悩
んだ
りす
る、
また
、相
手が
意図
せず
体に
ぶつ
かっ
てき
た時
、「わ
ざと
攻撃
をし
かけ
てき
た」
と考
えて
怒り
の感
情が
湧い
てく
る、
など
であ
る。
この
よう
な勘
違い
は子
ども
のみ
なら
ず大
人に
おい
ても
起こ
るも
のな
ので
ある
。特
に怒
り心
頭の
時な
ど、
感情
が極
端に
高ぶ
った
時ほ
ど、
物事
の捉
え方
には
現実
との
ずれ
が生
まれ
やす
い。
この
よう
に、
ある
状況
に対
して
、人
はそ
の状
況を
心の
中で
その
人な
りの
評価
をし
、そ
れを
心の
中で
つぶ
やき
(そ
のつ
ぶや
きの
内容
を自
動思
考と
呼び
、自
動思
考は
認知
の一
部と
考え
られ
る)、
それ
に伴
い感
情が
揺れ
動き
、そ
の結
果
とし
て何
らか
の行
動が
ある
。そ
れら
を一
連の
もの
と捉
えた
のが
、認
知行
動モ
デル
であ
-349-
― 9
4 ―
各論/AF-CBT、TF-CBT
各論/AF-CBT、TF-CBT
― 9
5 ―
り、
その
認知
行動
モデ
ルに
基づ
いて
、感
情や
行動
をコ
ント
ロー
ルし
よう
と試
みる
のが
CB
Tで
ある
。
CB
Tは
、最
近の
出来
事を
切り
口に
して
、認
知行
動の
変容
を目
指す
のが
一般
的な
手
法と
され
る。
それ
は、
直近
の出
来事
につ
いて
の認
知が
変わ
れば
、行
動や
感情
が変
わっ
てく
るか
らで
ある
。
いず
れの
プロ
グラ
ムも
、虐
待の
再発
予防
をそ
の目
的の
一つ
とす
るこ
とが
でき
、保
護
者の
養育
行動
を不
適切
なも
のか
ら適
切な
もの
へと
置き
換え
なが
ら、
子ど
もの
、虐
待に
より
生じ
たト
ラウ
マ治
療を
平行
して
行う
こと
には
変わ
りは
ない
。
5
.誰
に対
して
行う
のか
?
虐待
を引
き起
こす
のは
、直
接に
は保
護者
であ
る。
AF-
CB
Tに
おい
ては
、保
護者
(そ
れは
加害
者で
あっ
ても
そう
でな
くと
もど
ちら
でも
可能
であ
る)
の養
育行
動の
変容
をき
たす
こと
を目
的に
、保
護者
との
セッ
ショ
ンを
中心
とし
、家
族内
の困
難を
減ず
るべ
くそ
の認
知・
行動
・感
情を
変容
させ
るこ
とを
目指
して
進め
られ
る。
一方
TF-C
BT
にお
い
ては
、加
害者
では
ない
保護
者に
対す
るセ
ッシ
ョン
と、
虐待
によ
りト
ラウ
マを
抱え
る子
ども
に対
する
セッ
ショ
ンが
ある
。そ
こで
は、
保護
者は
、子
ども
自身
がト
ラウ
マを
持っ
たこ
とに
より
生ず
る、
現在
の現
実の
生活
の中
での
様々
な心
理的
困難
・現
実の
困難
を解
決す
る、
その
手助
けを
する
ので
ある
。い
ずれ
の療
法も
、子
ども
と保
護者
の両
者に
対し
て行
われ
、保
護者
セッ
ショ
ン、
子ど
もセ
ッシ
ョン
、保
護者
・子
ども
合同
セッ
ショ
ンを
目的
に合
わせ
て組
んで
いく
。
6
.児
童虐
待に
おけ
る親
支援
に向
けた
CBT
で用
いる
主な
技法
以下
、C
BT
を児
童虐
待に
援用
する
際の
一般
的留
意点
につ
いて
述べ
る。
1)心
理教
育
虐待
とは
どの
よう
な養
育行
動を
指す
のか
、し
ては
なら
ない
行動
とは
どの
よう
な行
動
なの
か、
など
虐待
的で
ない
子育
てに
つい
ての
知識
を学
んで
もら
うな
ど、
教育
的な
方法
― 9
4 ―
各論/AF-CBT、TF-CBT
各論/AF-CBT、TF-CBT
― 9
5 ―
が効
果が
上が
ると
判断
され
る場
面で
行わ
れる
。
2)認
知再
構成
「偏
った
見方
・考
え方
を修
正す
る」
とい
うこ
とに
なる
が、
気を
つけ
ねば
なら
ない
こ
とは
、相
手を
「指
導す
る」
ので
は決
して
ない
とい
うこ
とで
ある
。「こ
うい
う風
に考
え
ると
いい
よ」
と言
うの
でも
ない
。ま
して
や「
あな
たの
考え
が間
違っ
てい
る」
と言
うの
でも
ない
。人
は、「
君の
考え
違う
んじ
ゃな
い?
」と
言わ
れれ
ば、
心が
傷つ
き、
反発
を
覚え
るこ
とも
ある
ので
ある
。考
え方
が違
うと
いわ
れ、「
そう
か、
自分
の考
えは
間違
っ
てい
た」
とな
かな
か思
える
もの
では
ない
。人
の考
え方
とい
うの
は、
長い
時間
をか
けて
培わ
れた
その
人固
有の
もの
であ
る。「
その
考え
方は
違う
よ」
と言
われ
れば
、そ
れは
、
その
人の
それ
が培
われ
てき
たそ
の人
なり
の歴
史を
否定
し、
心を
傷つ
ける
こと
もあ
るの
であ
る。
それ
が反
発に
つな
がっ
てし
まう
。丁
寧な
やり
とり
が必
要と
され
、技術
がい
る。
3)ア
サー
ショ
ン・
スキ
ル
虐待
をす
る保
護者
、虐
待を
受け
る子
ども
両者
とも
に、
自分
の気
持ち
や考
えを
相手
に
伝え
るこ
とが
苦手
であ
る場
合は
多い
。そ
のた
め、
その
よう
な保
護者
は、
子ど
もの
行動
を正
そう
とす
るの
に、
言葉
で伝
える
ので
はな
く、
体を
叩く
、蹴
るな
どの
直接
的な
手段
に出
てし
まう
こと
があ
り、
それ
が虐
待に
つな
がる
。一
方、
子ど
もの
側も
、自
分の
気持
ちを
表現
でき
ずに
、嫌
なこ
とで
あっ
ても
拒否
の意
思を
伝え
るこ
とが
でき
ない
、そ
の結
果と
して
、不幸
にし
て虐
待と
いう
形を
とっ
てし
まう
こと
は多
い。
この
よう
な場
合に
は、
保護
者・
子ど
もの
双方
が自
分の
気持
ち・
考え
を相
手に
伝え
るた
めの
スキ
ルを
身に
つけ
るこ
とが
役立
つ。
4)問
題解
決技
法
問題
を具
体的
にし
、そ
れを
解決
する
ため
に、
その
方法
を教
えて
解決
して
いく
。そ
の
際に
は、
問題
をで
きる
だけ
具体
的に
する
こと
、ま
た、
解決
法を
ブレ
ーン
・ス
トー
ミン
グで
でき
るだ
け多
く挙
げて
みる
こと
が大
事で
ある
。
-350-
― 9
6 ―
各論/AF-CBT、TF-CBT
各論/AF-CBT、TF-CBT
― 9
7 ―
5)モ
ニタ
リン
グ
自ら
の行
動・
感情
・認
知を
客観
視す
るた
めに
行う
。児
童虐
待再
発予
防を
目的
とす
る
場合
、結
果と
して
虐待
行動
をモ
ニタ
ーす
るこ
とに
はな
るが
、行
動だ
けを
取り
上げ
るの
は正
しく
ない
。決
して
強要
する
もの
では
なく
、保
護者
や子
ども
の自
発的
な取
り組
みで
なけ
れば
なら
ない
。
7
.C
BT
を児
童虐
待に
利用
する
際に
留意
すべ
きこ
と
1)相
手の
感情
・認
知・
行動
を頭
から
否定
しな
い。
教え
込も
うと
しな
い
虐
待と
いう
名の
養育
行動
は、決
して
して
はな
らな
い行
動で
ある
こと
は確
かで
ある
。
しか
し、
虐待
通告
に至
るま
で、
その
家族
には
虐待
行動
が定
着し
てき
た家
族な
りの
背景
があ
る。
支援
者は
その
こと
を念
頭に
おい
て関
わら
なけ
れば
なら
ない
。
2)相
手の
話に
よく
耳を
傾け
、相
手の
認知
・感
情に
は共
感を
示し
、相
手に
その
気持
ちが
伝わ
るよ
うに
心が
ける
ここ
で注
意せ
ねば
なら
ない
のが
、支
援者
が共
感し
てい
るつ
もり
でも
、保
護者
がそ
の
よう
に感
じて
いな
けれ
ば共
感し
たと
は言
えな
いと
いう
こと
であ
る。
また
、不
適切
な養
育行
動を
とっ
てい
るか
らこ
そ支
援者
は関
わる
ので
ある
が、
すべ
ての
行動
を批
判的
にみ
るの
では
なく
、で
きて
いる
こと
は評
価す
る姿
勢が
大切
であ
る。
3)相
手の
感情
・認
知・
行動
を早
わか
りし
ない
「虐
待す
る保
護者
とは
こう
いう
もの
」と
いう
いわ
ば色
眼鏡
を通
して
見て
はな
らな
い。
また
、自
分だ
った
らこ
うだ
ろう
とい
うの
は安
易に
あて
はめ
ても
いけ
ない
。保
護者
のこ
とを
一番
知っ
てい
るの
は保
護者
自身
であ
ると
いう
こと
を忘
れず
、保
護者
と共
同し
て、
養育
行動
を変
える
べく
、一
緒に
取り
組ん
でい
かね
ばな
らな
い。
決し
て一
方的
な関
係に
なっ
て派
なら
ず、
常に
謙虚
な姿
勢で
なけ
れば
なら
ない
。
― 9
6 ―
各論/AF-CBT、TF-CBT
各論/AF-CBT、TF-CBT
― 9
7 ―
4)ホ
ーム
ワー
クを
出す
面接
の中
で話
し合
った
こと
をも
う一
度考
えて
みた
り、
実際
に生
活の
中で
試し
てみ
た
り、
改め
て考
えを
整理
でき
るよ
うな
内容
を、
次回
まで
にし
てく
るこ
とと
して
設定
をす
る。
ホー
ムワ
ーク
を出
すこ
とは
、養
育者
が次
回セ
ッシ
ョン
まで
の間
、そ
れを
意識
した
生活
を送
るこ
とに
もな
り、
支援
の効
果を
格段
に向
上さ
せる
。
5)フ
ィー
ドバ
ック
をと
りな
がら
進め
る
相手
の認
知・
行動
・感
情を
早わ
かり
せず
、相
手の
話を
支援
者な
りに
理解
をし
た上
で、
「自
分は
この
よう
に理
解し
てい
るが
それ
でよ
いか
」な
ど、
相手
に確
認を
し、
支援
者と
相手
との
認識
のず
れを
明確
にし
、そ
の都
度修
正を
して
いく
。
6)モ
ニタ
リン
グ
認知
・感
情・
行動
をモ
ニタ
ーす
る。
モニ
タリ
ング
は、
自発
的に
行え
るよ
うに
なる
こ
とを
目指
すも
ので
あり
、決
して
「監
視」
では
ない
。自
身の
こと
を客
観的
に振
り返
るこ
とが
でき
るよ
うに
なる
ため
にモ
ニタ
リン
グは
存在
する
。
7)保
護者
との
関係
を形
成す
る
いか
なる
福祉
心理
的支
援に
おい
ても
、こ
れな
くし
ては
真の
成功
はな
いと
いっ
ても
過
言で
はな
い。
その
ため
には
、常に
暖か
く、真
摯な
態度
を示
すこ
とが
重要
であ
る。
それ
は、
職権
を用
いて
保護
者の
意に
反す
るこ
と(
たと
えば
、虐
待通
告後
の子
ども
の一
時保
護な
ど)
を行
う際
も同
様で
ある
。そ
して
、保
護者
の意
に反
する
行動
をと
らな
けれ
ばな
らな
い場
合に
は、
その
行動
の結
果と
その
機能
(そ
れが
子ど
もの
安全
確保
につ
なが
る最
適な
方法
であ
るこ
と)
につ
いて
理解
が得
られ
るよ
うつ
とめ
てい
く。
その
際に
も、
CB
Tを
用い
るこ
とは
大い
に役
立つ
。
8)治
療同
盟の
樹立
を目
指し
、共
同作
業を
する
児童
虐待
にお
いて
は、
治療
(支
援)
に対
する
保護
者の
参加
は自
発的
なも
ので
ない
場
合も
多い
。し
かし
、支
援は
必ず
や親
子に
とり
良い
結果
をも
たら
すは
ずで
ある
。そ
れを
-351-
― 9
8 ―
各論/AF-CBT、TF-CBT
各論/AF-CBT、TF-CBT
― 9
9 ―
理解
し、
治療
(支
援)
に自
発的
に参
加す
る心
境に
なる
よう
導か
ねば
なら
ない
。
9)保
護者
・子
ども
の体
験を
ノー
マラ
イズ
(no
rmal
ize)
し、
彼ら
を承
認(
valid
atio
n)し
たう
えで
、ま
ずは
心理
教育
など
をし
っか
りと
行う
ここ
では
、保
護者
の、
虐待
にい
たっ
た経
緯や
それ
にま
つわ
る認
知、
それ
に続
いて
起
きた
感情
を、「
それ
は特
別な
こと
では
ない
」と
伝え
る。
しか
し、
不適
切な
行動
をど
う
扱う
には
注意
を要
する
。虐
待と
いう
不適
切な
養育
行動
をと
るに
至っ
た状
況や
心情
は理
解で
きる
こと
も多
いが
虐待
行動
を容
認し
ては
もち
ろん
なら
ない
。虐
待行
動と
は明
らか
に、
子ど
もに
とり
、保
護者
にと
り、
子ど
も保
護者
関係
にと
り、
その
機能
を悪
化さ
せる
行動
以外
なに
もの
でも
ない
。こ
のこ
とを
理解
して
もら
うた
めに
は、
心理
教育
など
を通
して
その
意味
を考
えて
もら
い、
学ん
でも
らう
こと
など
をし
っか
りと
行う
必要
があ
る。
10)
相手
にと
り「
大切
なも
の」
を一
緒に
見つ
け、
それ
を長
期目
標と
し、
さら
に、
その
長期
目標
を実
現す
べく
具体
的に
すぐ
にと
りか
かれ
るこ
とを
短期
目標
とし
、そ
の実
現に
向け
てい
く
保護
者に
とり
、ま
た子
ども
にと
り、
真に
大切
なも
のに
気づ
くこ
とが
でき
、そ
の実
現
に向
けて
目指
して
いけ
ば、
虐待
行動
は、
保護
者に
とり
、真
に大
切な
もの
から
遠ざ
ける
もの
であ
ると
いう
こと
に気
づく
こと
がで
きる
であ
ろう
。
8
.最
後に
CB
Tは
、個
々の
技法
はな
んら
特別
なも
ので
はな
く、
我々
が普
段、
他人
から
相談
を
受け
た時
にす
るア
ドバ
イス
を寄
せ集
め、
まと
めあ
げた
もの
とも
いえ
る統
合的
精神
療法
であ
る。
いわ
ば「
常識
の治
療」
であ
るた
め、
その
方法
の実
践は
一見
たや
すく
見え
ない
こと
もな
い。
しか
し、
それ
らを
真の
治療
効果
が生
まれ
るべ
く行
うに
はや
はり
訓練
で培
われ
る技
術力
が求
めら
れる
。
CB
Tは
、単
に相
手を
受容
する
技法
では
ない
。「気
づき
を促
す」
こと
によ
り、
クラ
イ
アン
トが
自ら
問題
解決
に向
かう
こと
がそ
の根
幹を
なす
ので
ある
。「気
づき
」とは「
発見
」
であ
る。
では
、虐
待臨
床に
おけ
る保
護者
支援
にお
いて
は、
何に
気づ
かせ
るの
か?
それ
は、
虐待
の機
能や
、そ
の行
動を
とる
時の
保護
者自
身の
認知
・感
情・
行動
に気
づく
ので
― 9
8 ―
各論/AF-CBT、TF-CBT
各論/AF-CBT、TF-CBT
― 9
9 ―
ある
。近
年、
虐待
の再
発予
防に
向け
て、
保護
者支
援に
重点
が偏
った
結果
、虐
待再
発予
防に
おい
て、
最も
大切
なは
ずの
「子
ども
の安
全確
保」
がで
きな
いこ
とが
ある
ので
はな
いか
との
声を
聞く
こと
があ
る。
しか
し、
CB
Tを
行っ
た結
果、
その
よう
なこ
とが
起こ
ると
いう
こと
は基
本的
には
考え
にく
い。
なぜ
なら
ば、
CB
Tは
、人
間が
本来
持っ
てい
る力
を引
き出
す心
理療
法だ
から
であ
る。そ
のよ
うな
こと
が起
こる
こと
があ
ると
した
ら、
それ
は治
療が
間違
えて
いる
ので
はな
く、
支援
者の
技法
の習
得が
未熟
であ
るが
ゆえ
と考
える
方が
正し
いか
もし
れな
い。
虐待
行動
は、
親子
にと
り短
期・
長期
的に
様々
な弊
害を
もた
らす
。弊
害を
認識
し、
養
育行
動を
変え
てい
く、
それ
には
、保
護者
自身
が本
来持
って
いる
力を
借り
て、
一緒
に問
題を
解決
して
いく
、そ
のこ
とが
最大
限の
効果
を発
揮す
るこ
とに
なる
ので
あろ
う。
※子
ども
虐待
臨床
にお
ける
CB
Tは
、虐
待に
特化
した
モデ
ルが
必要
であ
ると
考え
る。
図1
では
モデ
ルを
図式
化し
、図
2で
は、
モデ
ルを
基に
実際
に子
ども
虐待
をC
BT
で
はど
のよ
うに
扱っ
てい
くの
かに
つき
、一
例を
図示
した
。
本パ
ート
は、
国立
精神
・神
経医
療研
究セ
ンタ
ー・
認知
行動
療法
セン
ター
長の
大野
裕
先生
に一
部ご
助言
をい
ただ
きま
した
。大
野先
生に
は、
心よ
り感
謝申
し上
げま
す。
図1
.児
童虐
待に
おけ
るC
BT
モデ
ル
感
情
虐 待
行 動
認
知
結
果(
具体
的な
、あ
る)
状況
-352-
― 1
00 ―
各論/AF-CBT、TF-CBT
おわりに
― 1
01 ―
図2
C
BT
モデ
ルに
よる
、保
護者
への
心理
学的
介入
方法
の基
本(
フロ
ーチ
ャー
ト)
望ま
しく
ない
養育
行動
(虐
待行
動)
介入
者の
頭の
中
意図
した
通り
の結
果で
ある
場合
保護
者の
養育
信念
(認
知)
を検
討す
る意
図し
た通
りの
結果
でな
い
保護
者の
、養
育に
対す
る不
安感
・子
に対
する
衝動
制御
(感
情)
を検
討す
る
一貫
・平
行し
て行
うこ
と〇
保護
者・
子ど
も・
保護
者-
子ど
も間
の強
み探
し〇
レジ
リエ
ンス
を引
き出
す
保護
者に
常に
示さ
ねば
なら
ない
姿勢
〇寄
り添
う姿
勢
〇承
認す
るこ
と〇
ノー
マラ
イズ
する
こと
〇
暖か
み〇
信頼
を得
るこ
と・
・・
等々
望ま
しく
ない
養育
行動
(虐
待行
動)
を望
まし
い養
育行
動に
置き
換え
置き
換え
る
これ
は保
護者
が意
図し
た通
りの
結果
なの
?だ
ろう
か?
― 1
00 ―
各論/AF-CBT、TF-CBT
おわりに
― 1
01 ―
おわ
りに
聞き
取り
調査
にご
協力
下さ
いま
した
以下
の児
童相
談所
職員
の方
々に
感謝
申し
上げ
ま
す。
また
、質問
紙調
査に
ご協
力下
さい
まし
た全
国の
児童
相談
所の
皆様
に感
謝致
しま
す。
千葉
県中
央児
童相
談所
(サ
イン
ズ・
オブ
・セ
ーフ
ティ
ー、
CS
P)
東京
都児
童相
談セ
ンタ
ー(
精研
式ペ
アレ
ント
トレ
ーニ
ング
、P
CIT
)
東京
都北
児童
相談
所(
CA
RE)
神奈
川県
中央
児童
相談
所(
サイ
ンズ
・オ
ブ・
セー
フテ
ィー
、FG
C)
大阪
府中
央子
ども
家庭
セン
ター
(C
RC
、M
YTR
EEペ
アレ
ンツ
・プ
ログ
ラム
)
和歌
山県
子ど
も・
女性
・障
害者
相談
セン
ター
(ト
リプ
ルP
)
さい
たま
市児
童相
談所
(サ
イン
ズ・
オブ
・セ
ーフ
ティ
ー)
大阪
市こ
ども
相談
セン
ター
(M
YTR
EEペ
アレ
ンツ
・プ
ログ
ラム
)
MY
TR
EE に
関し
ては
、N
PO
子育
て運
動え
ん理
事伊
藤悠
子氏
の報
告資
料 を
参照
しま
した
。
また
MY
TR
EEペ
アレ
ンツ
・プ
ログ
ラム
セン
ター
代
表森
田ゆ
り氏
に助
言を
得ま
した
。
CA
RE
につ
いて
は、
CA
RE-
japa
n福
丸由
佳氏
の助
言を
得ま
した
。
執筆
担当
者(五
十音
順)
加藤
則
子
国立
保健
医療
科学
院地
域保
健シ
ステ
ム研
究分
野統
括研
究官
総
論/
はじ
めに
プ
ログ
ラム
活用
の道
筋と
体制
づく
り
各
論/
はじ
めに
S
oS
FGC
C
SP
精
研式
ペア
レン
トト
レー
ニン
グ
PC
IT
川松
亮
厚生
労働
省雇
用均
等・
児童
家庭
局総
務課
児童
福祉
専門
官
総
論/
児童
相談
所の
取組
みの
流れ
と家
族支
援
各論
/M
y Tr
ee
CA
RE
坂戸
美和
子
新潟
県中
央福
祉相
談セ
ンタ
ー副
参事
コ
ラム
/関
係性
と個
別化
各
論/
AF-
CB
T TF
-CB
T
菅野
道
英
滋賀
県彦
根子
ども
家庭
相談
セン
ター
所長
総
論/
児童
虐待
にお
ける
保護
者支
援を
考え
る
鈴木
浩
之
神奈
川県
鎌倉
三浦
地域
児童
相談
所子
ども
支援
課長
総
論/
支援
プロ
グラ
ムと
子ど
もの
安全
につ
いて
~サ
イン
ズ・
オブ
・セ
イフ
ティ
ーに
学び
なが
ら~
各
論/
コラ
ム-フ
ァミ
リー
グル
ープ
・カ
ンフ
ァレ
ンス
の可
能性
柳川
敏
彦
和歌
山県
立医
科大
学保
健看
護学
部教
授
各
論/
CR
C
トリ
プル
P
-353-