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公立病院改革の現状と今後
平成23年3月29日
アイテック株式会社
八木秀幸
ITEC病院運営研究会 継続研修
1
1.公立病院の状況
2
医療政策の流れ
1961年:国民皆保険制度→ 医療施設の量的な整備
高齢化の進行→ 現役世代の減尐
国民医療費の増大→ 医療保険システム存続の危機
医療費抑制への取り組み→ 病床規制、包括払い
公立病院経営の効率化要請
3
公立病院の状況
【経営状況】(H20年度)
■ 医療費抑制からくる収益減
■ 収支構造の硬直化
■ 意思決定上の組織的制約
■ 病院数:932病院
■ 約3/4が経常収支赤字
財政負担軽減の要請
【医療提供状況】
■ 医師等スタッフ丌足
■ 業務量の増加
■ 患者トラブルの増加
■ 診療科閉鎖、閉院の事例
■ 医療提供機能の低下
医療崩壊の危機
4
公立病院の特徴
■公務員組織による安定的な運営体制
■丌採算医療の提供
■経営意識が希薄
■硬直的な運営制度
5
〝公立病院改革〝の意味
かつては・・・ 現在は・・・
■ 1病院の機能 ■ 地域全体の医療
■ 収支改善 ■ 収支改善
+
■ 医療提供体制
6
2.国からのアクション
7
公立病院改革ガイドライン(1)
公立病院改革の目的 公・民の適切な役割分担
地域において必要な医療提供体制の確保
公立病院の果たすべき役割 へき地医療
丌採算(小児・周産期・災害・精神)医療
高度先進(がんC・循環器C等)医療
広域的な医師派遣拠点機能
平成19年12月 総務省
8
公立病院改革ガイドライン(2)
平成19年12月 総務省
改革の3つの視点
① 経営効率化→ 目標設定と具体的方策
② 再編・ネットワーク化→ 地域経営資源の効率化、選択と集中
③ 経営形態の見直し→ 地方公営企業法全部適用、地方独立行政法人
→ 指定管理者制度、民間譲渡 等
9
ガイドラインでの目標数値
主な目標数値
医業収支比率
経常収支比率
職員給不比率
病床利用率
100%
95%
52%
80%
平成23年度までに・・・
70%を下回ったら、病床削減!
10
公立病院に関する財政措置の改正
建築単価の上限設定
病院建物に係る財政措置における建築単価の上限設定
「今後の病院施設等の整備費について、
病院建物の建築単価が1㎡当たり30万円を上回る部分を
普通交付税措置対象となる病院事業債の対象から除外することとし、平成21年度基本設計分から適用する」
平成20年12月 総務省
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地域医療再生資金
■厚生労働省「地域医療再生資金」・公立病院の再編を3年程度で加速
→ 2011年度から新たな財政支援→ 都道府県に最大120億円交付→ 財源:「地域医療再生基金」2100億円
■交付の仕組み・都道府県は、市町村・民間病院・地元医師会などと調整、「地域医療再生計画」を作成。5月中に厚労省へ提出。
・有識者で議論、地域医療再生につながると判断 → 支払い
・交付金の条件:ベッド数10%削減
■課題:都道府県の調整力
→ → → コンサルタントの出番
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3.改革に向けた取り組み
13
改革プランの策定状況
【平成22年9月時点の地方公共団体提出状況】
プラン策定済み→ 99.7%(904病院)
平成21年度で経常収支が黒字→ 31.0%(280病院)
平成23年度に経常収支黒字化見込み→ 65.5%(592病院)
(総務省調査 平成22年9月30日)
14
改革プランの実施(見込み)状況
改革の提出内容 病院数
■経営の効率化・平成23年度までの経常収支黒字化--------- 628 病院 (70%)
■再編・ネットワーク化・計画策定、策定予定---------------------- 567 病院 (63%)
■経営形態の見直し(決定済み;全76病院)・地方公営企業法全部適用-----------------
・地方独立行政法人-----------------------
・指定管理者制度-------------------------
・診療所---------------------------------
・民間譲渡-------------------------------
+27 病院 (36%)
+19 病院 (25%)
+12 病院 (16%)
+11 病院 (14%)
+ 7 病院 ( 9%)
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事例-①経常損益が黒字
【市立大森病院】(秋田県横手市、150床)
■病院概要(H20年度)・経常収支率101.3%、医業収支率98.8%、職員給不費率43.5%
■主な取り組み(病棟の再編)
・平均在院日数の短縮化
・一般病床看護基準10対1 収益アップ
再編前 再編後
病 4階(50床) (療養) (療養)
3階(50床) (一般)内科 (障害者)
棟 2階(50床) (一般)外科、整形外科 (一般)40床、亜急性期10床
2・3階13対1、4階25対1 2階10対1、3階13対1、4階20対1看護基準
区分
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事例-②再編ネットワーク化
【山形県・酒田市病院機構】(独立行政法人)
■整備概要・山形県立日本海病院(丌良債務課題)・酒田市立病院(経営黒字だが施設老朽化)・施設間距離は2㎞。ともに高度・急性期
→ 独法化、再編後は127百万円の経常利益
医療機能の再編
区分 変更前 変更後
日本海 528床 648床(救命救急センター18床、その他急性期630床)
総合病院 急性期 急性期
酒田医療 400床 110床
センター 急性期 回復期リハ、亜急性期
(合計) 928床 758床
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事例-③経営形態の見直し
【某県立病院の病院事業の在り方(答申の概要)】
対象病院 考え方 運営形態
(総合医療)Aセンター
・広範囲医療への柔軟・迅速対応
・責任と権限を明確にした運営転換
地方独立行政法人
(精神疾患)Bセンター
・精神科医療への県の直接運営
・院長を事業管理者へ
地方公営企業法の
全部適用
県立C病院 ・高齢者ケア機能への転換前提
・地域ニーズへ対応できる事業者
経営委譲
県立D病院 ・地域医療提供体制の再構築
・ノウハウを持つ事業者選定
指定管理者制度
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4.公立病院改革の考え方
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ドラッカーに学ぶ(1)
出典:ピーター・ドラッカー著「マネジメント」より
・人は、報われ方に応じて行動する。予算 イコール 成果と誤解する。
・予算への依存は、間違ったもの、陳腐化したものの廃棄を難しくする。
■公的機関と企業とは何が違うか・・・
企 業
顧 客
公 的 機 関
予 算
支払い 支払い満足 獲得
効 率 性 組織存続の危機成果・業績の向上
~ 公的機関不振の原因 ~
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ドラッカーに学ぶ(2)
出典:ピーター・ドラッカー著「マネジメント」より病院用に編集
1.「事業は何か、何であるべきか」を定義する。
2.その目的に関わる定義に従い、明確に目標を導き出す。
3.活動の優先順位を決める。
4.成果の尺度を求める。
5.尺度を用いて、自らの成果についてフィードバックを行う。
6.目標に照らして、成果を監査する。
・【公立病院】に必要なことは、企業のまねではない。
・何よりもまず、【病院】らしくなければならない。
・自らに特有の使命、目的、機能について徹底的に検討しなければならない。
~ 公立病院成功の条件 ~
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あるべき姿の明確化
病院のあるべき姿
住民のニーズ 地域医療計画 財政の考え方
職員の意欲 施設間競合
十分な分析・把握
明確化への反映
再生計画
22
1病院による努力の限界~ 地域社会全体の問題 ~
病院現場の意識改革地域施設間の協力地域の理解
全員参加型の議論が必要!
地域医療のあるべき姿
地域各医療施設の果たすべき役割
病院の基本理念
地域社会全体
共有
地域住民 地域他施設 議会等 関連団体
病院 自治体
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医療・・・質とコストとの両立
公 立 病 院
公共医療サービスの提供 財政負担の適正化
質 コスト
バランス・医療技術水準
・対応可能診療領域
・療養環境
・施設整備コスト
・運営コスト
・企画・計画コストベストパフォーマンス
再生計画策定・実施
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検討の手順(概略)
病院の経営課題調査
外部環境調査(地域需要、提供状況等)
内部環境調査(収支構造、診療体制等)
収支改善の可能性地域医療資源の効率性
○ × ○ ×
再編ネットワーク化経営効率化プラン策定 経営形態の見直し
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経営効率化の検討
・意思決定のための情報不足
・対処療法的取り組み
・収支均衡どまりの経営目標
【課題】 【必要要素】
目的:何のために? 継続的な医療サービスの提供
部門別のコスト把握と情報共有、意思決定への反映
将来にわたる診療機能維持・強化を見据えた投資・収支計画
病院現場の意識改革
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再編・ネットワーク化の検討
目的:何のために? 地域医療資源の効率活用
・公立病院中心の検討議論
・抽象的表現での機能分担
・各施設の利害関係
【課題】 【必要要素】
民間施設・福祉施設も含めた計画コミュニケーション
機能・資源の具体的(医療スタッフ、医療機器等)なレベルでの検討
自治体のリーダーシップ
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経営形態見直しの検討
目的:何のために? 医療環境への柔軟な対応
・現経営形態での限界
・新形態採用基準の不明確性
・変更メリットの活用
【課題】 【必要要素】
経営形態からくる制約(何が出来ないのか)の明確化
新形態へ変更した場合の想定シミュレーション
具体的構想の明確化
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5.改革の今後とコンサルタントの役割
29
5-1.“公”から“民”へ ???
30
公から民への流れ(地方財政白書より)
地方公営企業の抜本的改革の推進
(ア)現在地方公営企業が供給しているサービス自体の必要性について検討する。また、サービス自体が必要な場合であっても、地方公営企業として実施する必要性について十分検討し、特に公共性の確保等の意義が薄れている場合には、民間への事業譲渡について検討する。
(イ)地方公営企業として事業を継続する場合であっても、公の施設の指定管理者制度、地方独立行政法人制度、PFI事業、民間委託等の民間的経営手法の導入を促進する。
公から民への流れ
平成22年度 地方財政白書より
31
民営化・民間譲渡の実施状況
平成22年度 地方財政白書より
15 3 2
2
2
4
31
1
4
2 32 5
11
2
11
1
3
43
2
17
95 13
16
0
5
10
15
20
25
30
35
H17 H18 H19 H20 H21 (年度)
(事業数)
介護
観光・その他駐車場
と蓄場
市場
港湾整備
病院
ガス
電気
交通
工業用水道
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指定管理者制度の導入状況
平成22年度 地方財政白書より
604
557
494
456
80
0 100 200 300 400 500 600 700
21年度
20年度
19年度
18年度
17年度
(年度)
(事業数)
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社会医療法人
医療法人 自治体病院に代わる地域医療の主役へ
■社会医療法人の主な特徴・公共性の高い医療を担う(救急、へき地医療等)
・自治体病院民営化への公募に有利
・公募債(社会医療法人債)の発行が可能
・(法人税の優遇措置;今後の検討) など
創 設 の 狙 い・自治体病院を、民間病院へ
・不採算医療への繰入金を、公募債へ平成23年1月現在
116法人
34
PFI法改正 “コンセッション方式”
■コンセッション方式(国土交通省)・事業運営権を民間に売却、経営委託
・施設の所有権は公共が保有したまま
・民間経営ノウハウの活用、国・自治体財政負担の軽減
●対象外施設3施設
・道路:法改正困難
・空港:検討中
・産業廃棄物処理施設:既に民営化
●対象施設14施設
水道、医療施設、社会福祉施設、漁港、卸売市場、工業用水道、熱供給施設、
駐車場、都市公園、下水道、賃貸住宅、鉄道、港湾、浄化槽
成長戦略の優先事項
医療施設も対象に!“公”“から”民“へ加速?
35
PFI コンセッション方式の想定例
金融機関等
機関投資家等
●●事業
民間事業者
既存資産の所有権は市に残存
条例による指定管理者の指定
日本政策投資銀行HPより
市民
民間事業者
○○市
民間事業者等
将来の設備投資
負債
株主資本
サービス
料金
各種契約
事業権契約
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民営化への障壁
「ビジネスではない」
「サービスではない」
「命を預かる:公共性」
「医療」の特殊性
民営化になじまない
医療現場
・・・???
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何故、民営化を推進するのか?
国・地方財政の逼迫
医療費の抑制
医療施設の経営収支・生産性向上
民間(企業)のマネジメント力活用
背景:公立病院の生産性が低い
38
5-2.産業としての医療サービス
39
医療サービスの生産性(1)
出典:日本経済新聞医療サービスの生産性は平均の6割
40
医療サービスの生産性(2)
「な ぜ 、生 産 性 が 低 い の か?」
地域医療計画
診療報酬制度
・病床規制による参入障害
・競争原理が働きにくい
・公定価格による縛り
・サービス差の限界
国の医療制度の根幹 ・経済成長の重荷に?
41
生産性向上へ (1)規制緩和
「 生 産 性 を 高 め る た め に 」
参入障害の解消
料金規制の緩和
・病床規制の緩和(撤廃)
・株式会社等の参入認可
・柔軟な料金設定の認可
・混合診療の導入
規制緩和策 ・医療サービス産業の成長
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生産性向上へ (2)医療計画の見直し
■ 厚生労働省「医療計画の見直し等に関する検討会」新しい医療計画(2013年度から実施)→ 年内に新しい指針
・「4疾病5事業」→「5疾病5事業」(精神疾患を加える)
□ 現行の医療計画
“「病床規制」「医療圏設定」という社会目標を表明しただけ”
“本当に医療計画が必要か”
・病床数 → 医療計画に頼る必要がない
・医療圏 → 疾病ごとに医療圏を超えた患者の移動がある
“医療圏設定に実効性なし”
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市場化の進展(TPPへの参加)
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)
自由貿易協定:関税の撤廃
医療の市場化・自由化
(参加)
医療サービス市場の開放
利益追求型の病院
保険制度の改革
米国からの要求
・医療分野への企業参入
・医療法人の株式会社化
時代の流れ
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競争的視点の強化
【調査・分析】
■材料費率○%
■近くに県立病院
■循環器系疾患の増加
◆地域における役割
◆他施設との機能分担
◆地域での「序列」
市立病院の構想(例)
競争的視点の強化
競争力?
○ ×
戦略具体化
撤退・廃止
民間委譲
方向転換
45
SWOT分析?? (1) 事例
この分析はどの場合でも同じか?
ここから戦略はつくれるのか?
S:強み O:機会
・駅前立地の利便性 ・循環器系疾患の増加
・地域での知名度 ・郊外への優良物件
W:弱み T:脅威
・小規模施設・体制 ・高齢化の進展
・施設の老朽化 ・医師丌足
内部環境
外部環境
46
SWOT分析?? (2) 評価の視点
評価は戦略により異なる
S:駅前立地の利便性 ○
O:循環器系疾患の増加 ○
W:療養環境としては? ×
T:循環器科の競争激化 ×
W:小規模施設・体制 ×
T:高齢化の進展 ×
S:提供サービス均一化 ○
O:慢性期需要の増加 ○
■ 競争相手は誰か?
■ 顧客は誰か?
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SWOT分析?? (3)ツールの特徴
公立病院
基本構想
・応募・企画時点
・既に一定の方向性決定
SWOT分析
・白紙で方向性を検討
・複数の有力競合相手
検 討 の 環 境
理論立て明確
分かりやすい!
保有資源を客観分析
競合別の分析必要
強み・弱みは競合相手により異なる
より競争的視点を考慮する必要あり
48
5-2.”ノウハウ”が溢れている時代
49
情報(経営改善策)の幅広い公開
他施設
経営改善事例
手術室の固定的な割当てから
患者需要に応じた利用への見直し
年功序列の見直し
ジェネリック薬品の使用率の向上
保守・管理のスケジュール化
外部委託の積極的導入
【経営改善項目例】
公立病院改革ガイドラインより一部抜粋
インターネット 出版物 セミナー
秘密情報が少なく・
・・
50
“自治体価格”の崩壊 (1)建築単価
※金額=実施設計+施工
参加者金額
(税抜き)対
予定価格㎡当たり 1床当たり
西松建設 129.00億円 63% 21.3万円 2,580万円大成建設 143.00億円 69% 23.7万円 2,860万円鹿島 128.70億円 63% 21.3万円 2,574万円清水建設 139.95億円 68% 23.2万円 2,799万円竹中工務店 138.90億円 67% 23.0万円 2,778万円大林組 138.00億円 67% 22.8万円 2,760万円戸田建設 117.00億円 57% 19.4万円 2,340万円予定価格 205.90億円 100% 34.1万円 4,118万円調査基準価格 175.02億円 85% 29.0万円 3,500万円
延べ面積: 60,440㎡病床数: 500床
51
“自治体価格”の崩壊 (2)薬品調達
薬品調達に関する取り組み
◆薬品の共同調達→ 国立病院機構、日本赤十字社などで実施
→ 8割の病院で効果
◆全自病(全国自治体病院協議会)の取り組み→ 「医薬品ベンチマーク分析システム」
→ 会員病院が任意で仕入れ価格を登録
→ 自院の値引率の水準を推し量ることができる
→ 参加病院が同一価格で調達する仕組み
→ 共同購入、共同入札、価格交渉の一括化など
薬事日報ウェブサイトより
52
顧客(病院)側の変化
公開情報自治体
ネットワーク
~ ノウハウ・情報の入手 ~
コンサルティングに対する“ 要求レベルのアップ ”
53
より”踏み込んだ”情報の提供
■某公立病院の事例(独立行政法人への移行)
【大幅な収支改善】移行3年で黒字化達成
丌良債務●億円 → 半減
自治体長が絶賛
経営の先進事例 光
【行き過ぎた効率化?】労働条件の低下 → 過重労働?
過剰な病床管理等の利益志向?
看護師の大量離職
対患者ミスの多発 影
一般公開情報だけでは、高いフィーは得られない!
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“きれいな報告書”から“実践”へ
顧 客
公 立 病 院
・公開情報の選択・整理
・より深く、高付加価値
・案件に最適の選択
・“人”へのサポート
情 報 ノ ウ ハ ウ
顧客側のレベルアップ 競争的視点
より実践的な“実行支援”の提供!
55
5-4.建替え整備手法のトレンド
56
事業手法を巡る流れ
経営状況改善の社会的要請
施設老朽化への対応
効率的な整備手法の検討
財政当局への説得性
従来方式における反省
従来方式以外の整備手法
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PFI方式の動向
・設計・施工・調達・維持管理・運営等の包括委託
・複数年度、性能発注
・民間ノウハウ・資金の活用
■PFI方式
・近江八幡市民病院、高知医療センターの事業契約解除
・手探り状態の他既存案件
・「性能発注」の相互理解?
58
DB方式の動向
・設計・施工の一括発注
・施工技術の活用;建設コスト低減、スケジュール短縮
・ゼネコン主体
■DB方式
・検討案件の増加傾向
・PFI方式と比べ、応募しやすい
・基本設計も含むか、実施設計からか(案件で検討)
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その他方式の動向
■CM方式→ 未だ認知度、実施度が低い
→ 費用対効果について明確でない
■VE方式→ 他方式(PFIやDB)の中で実施
→ 単独採用の検討は尐ない
■DBO方式→ PFI方式との違いが?
→ 民間資金を活用しないPFI方式
60
整備手法の今後(1)
■(方式の選択)
PFI方式 調達、運営業務除く範囲
+ 指定管理者
+ コンセッション方式
PFI方式には抵抗、しかし従来方式では予算×
DB方式 ・ 応募しやすいスキーム
・ 今後も検討案件増加
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整備手法の今後(2)
■(応募周辺事業者)
商社系
(調達・運営)
PFI方式の代表企業
ゼネコン
(設計・施工)
・運営系業務の包括受注
・コンサルティングの強化
・DB方式の受注
・CM、VE機能の強化
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最近のDB方式採用(含検討)案件
病院名 規模 開院(予定) 発注 受注者
三春町立三春病院 86床 07年9月 設計+施工 清水建設
宇賀岳病院 179床 11年3月末予定 実施設計+施工 大林組
大崎市民病院岩出山分院 40床 11年12月予定 設計+施工 村田公務所JV
東埼玉総合病院 193床 12年5月予定 設計+施工 鹿島建設
多治見市民病院 250床 12年6月予定 実施設計+施工 戸田建設
磐田市立総合病院腫瘍センター
- 12年6月予定 設計+施工等 戸田建設
杏林大学付属病院 - 12年8月完成予定 設計・監理+施工 竹中工務店
埼玉県立がんセンター 500床 13年7月予定 実施設計+施工 戸田建設
大崎市民病院 500床 14年3月末予定 実施設計+施工 戸田建設・久米設計JV
小山市民病院 300床程度 15年度初予定 設計+施工等(検討中) -
藤沢市民病院 536床 15年10月完了予定 設計+施工 -
共立湊病院 154床 未定 設計+施工 戸田建設
春日部市立病院 350床 15年度予定 設計+施工等(検討中) -
松戸市立病院 - (検討中) 設計+施工等(検討中) -
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6.コーディネーターとしての役割
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公立病院を取り巻く関連主体
意思決定に関わる関連主体が多い公立病院経営の特徴 →
関連主体ごとに関心・役割が異なる
財政負担 医療技術療養環境
診療体制 運用効率
地域連携
選挙公約
関連主体ごとに、コンサルティング留意点が異なる
地域他施設
病
院
議会等
地域住民
関連団体
自治体
65
病院(現場スタッフ)に対して・・・
→ 「良い医療のために」が最大の関心事・ 日常業務での負担が大きく、スタッフ人員数の不足感が強い
・ 病院勤務の「やりがい」を見失いがちになる
“ 病院のあるべき姿が不明確 ”なため、
「病院の永続的な機能確保」へのインセンティブが働かない
∴ コンサルタントとしては・・・
病院の目指す方向性、中長期的な姿勢を明確に示す
本当に必要な体制規模を、(自治体側へ)客観的に示す
66
病院(事務サイド)に対して・・・
→ 黒字収支の事業計画策定・実施が最大の関心事・ 統計等の経営管理情報が、実情を正確に示しているか判断できない
・ 現場サイドからの信頼が得られていない
“ 医学関連の情報・主張について専門的に判断できない ”ため、
再生プランの現実性・妥当性に確信がもてない
∴ コンサルタントとしては・・・
現場サイドからの情報を、事務サイドへ「翻訳」する
参考となる他病院事例を(その妥当性も含め)提供する
67
病院(経営サイド)に対して・・・
→ 大きな問題なく病院運営すること、が最大の関心事・ 収支マイナス状況の理由説明に腐心している
・ 医師確保の難しさを常に感じている
“ 経営責任があいまいであり、モチベーションも低い ”ため、
再生計画へのリーダーシップに欠ける
∴ コンサルタントとしては・・・
リーダーとしての資質を見極める(客先への提案)
病院再生への尽力を要請する(精神的フォロー)
68
地域住民(患者含む)に対して・・・
→ 必要な医療が必要時に受けられるか、が最大の関心事・ 地域住民のニーズを把握しなければ、病院のあるべき姿は見えない
・ 主体的な「自分たちの病院」という意識は薄い
“ 病院現場の内情や自治体財政の状況がわからない ”ため、
病院に対し、単に患者側からの過剰要求型議論を展開しがち
∴ コンサルタントとしては・・・
要望を聞く一方、現場や財政の内情をわかりやすく伝える
自分たちの病院であり、決めるのは住民だと理解させる
69
地域の他施設に対して・・・
→ 該当病院機能が、自院と競合するか、が最大の関心事・ 公表資料等により該当病院の方向性を推察しつつ自院の戦略策定
・ 同地域に国・県・市立病院が並立する場合の、医療機能分担が不明確
“ 各施設が、経営戦略策定を自院内だけで行っている ”ため、
地域医療資源を闇雲に奪い合うケースがある
∴ コンサルタントとしては・・・
医療機能・体制に関する情報を提供・収集する(仲介役)
計画策定への参画を要請する(説得役)
70
地元議員・議会・首長に対して・・・
→ 地元社会全体へ寄与する医療、が最大の関心事・ 常に地元経済への影響を重視する傾向が強い
・ 現場が積み上げた検討結果を論拠なしに覆すケースがある
“ 大きな視点での、わかりやすいキャッチフレーズを好む”ため、
地域事情・現場の準備体制を軽視する傾向がある
∴ コンサルタントとしては・・・
病院再生が地域社会・経済へ不える影響を示す
現場の検討体制への適切な関わり方を提言する
71
自治体側に対して・・・
→ 財政再建と議会への説明、が最大の関心事・ 医療に関する専門性がなく、地域事情への実感が乏しい
・ 結果・経緯よりも「説明責任の果たし方」が重視される
“ 机上プランによる説明責任を最優先とする”ため、
現実の地域事情を軽視するケースがある
∴ コンサルタントとしては・・・
「全員参加型の議論」の必要性と方策を提言する
将来にわたる財政負担シナリオ(議会用)を提供する
72
コーディネーター的役割
公立病院再生のためには・・・全員参加型の議論が必要
・病院(現場スタッフ)(事務サイド)(経営サイド)・地域住民
・地域他施設 ・自治体 ・地元議員・議会 ・関連団体
互いの役割・状況が理解されていない
情報提供 調整・交渉
医業経営コンサルタント
プランナー + コーディネーター
計画策定