外来で一人で糖尿病患者を診る場面 コツとピット …...2011/11/18 ·...
TRANSCRIPT
神戸大学糖尿病・内分泌内科
助教
坂口一彦
11月18日(金) 12:00~
外来で一人で糖尿病患者を診る場面コツとピットフォール
はじめに糖代謝の復習
正常人の食後状態
Liver
brain
muscle
Pancreas
Fat
glucose
insulin
glucose
G-6-P
glycogenglucose
G-6-P
glycogen
ATP
TG
glucose
(+)
正常人の空腹状態
Liver
brain
muscle
Pancreas
Fat
G-6-P
glycogenglucose
glucose
TGGlycerol
FFA
ATPFFA
glycogen
G-6-P乳酸
アラニン
グリコーゲン分解
糖新生
肝からの糖放出
insulin
(-)
(-)
ケトアシドーシスの時
Liver
brain
muscle
Pancreas
Fat
G-6-P
glycogenglucose
glucose
TGGlycerol
FFA
ATPFFA
glycogen
G-6-P乳酸
アラニン
グリコーゲン分解
糖新生
肝からの糖放出
insulin
(-)
(-)
血糖の高い人をみたらはじめにやるべきことは
代謝失調かどうかの判断
代謝失調とは・HHS (hyperglycemic-hyperosmolar syndrome)・DKA(diabetic ketoacidosis)
こんな糖尿病患者は要注意○バイタルサインの異常を伴っているとき(意識状態、呼吸数、脈拍、血圧)○電解質の異常を伴っているとき○腹痛・嘔気などの症状があるとき○体重の減少を伴っているとき
下記の2つの式は必須
○血清浸透圧 2×Na(mEq/L) + + 18 2.8
血糖(mg/dl) BUN (mg/dl)
○アニオンギャップ Na-(Cl+HCO3)
正常値 覚えにくい
291 (= 290±5) mOsm/kg H2O
正常値 12
なんのために尿検査をするのか?その1
飢餓状態によるケトン体と
糖尿病性ケト(アシド)ーシスを簡単に見分けるには?
Diabetic ketoacidosisから身を守るために4つのピットフォール
主訴を知る昏睡が主訴でない場合が多い。むしろ腹痛・嘔気など胃腸炎様の症状からDKAを想起できるかどうかがカギ。
尿中ケトン(+++)かつ尿中糖(+++)を見落とさないこと
治療で血清K値はダイナミックに
変化する来院時は
危険なレベルの高カリウム血症
数時間後には危険なレベルの低カリウム血症
尿試験紙でみるケトン体検査の
限界を知る
大量の生食輸液と静脈内インスリン投与
治療開始は
記憶すべき数値は1-2-3と0.1~0.2
ケトアシドーシスの基本的な知識
代謝失調ではない血糖の高い患者さん
まずやるべきことは何か?
問診:何のために問診をとるのか?①病型分類に役立つ情報を得たい②罹病期間に役立つ情報を得たい③悪化の原因につながる情報を得たい
身体所見:何のために診察するのか①病型分類に役立つ情報を得たい②合併症の存在、度合いに役立つ情報を
得たい
病型分類と病期の分類
すべての糖尿病は病因と病期で分類される
ただし病因は1つとは限らない。
2型糖尿病には適切なマーカーがないので、除外診断になる
インスリン依存状態とは生命維持にインスリンが必要。
従って、いかなる場合(経口摂取量=0)でも基礎分泌の補充は不可欠
病因分類
病期分類
Pitfall
インスリン依存状態・1型糖尿病を見落とさないコツ
その他の糖尿病(others)を見落とさないコツ
•内分泌疾患はしばしば生活習慣病を模倣する(ex:肥満・脂質異常・血圧高値・耐糖能障害はmetabolic syndromeとCushing症候群に共通)
•薬剤性糖尿病・薬剤による耐糖能の悪化はいつも念頭におく
•肥満を伴わない糖尿病・低身長を伴う糖尿病は要注意(ミトコンドリア糖尿病)
(カルシニューリン阻害剤、インターフェロン・αリポ酸など)
①インスリンを長年使用している患者、②引き継いだ患者でインスリンを使用している理由
(血糖コントロールのために使用しているのか、生存のために使用しているのか)がわからない患者、
③インスリンを使用しているのに血糖が改善しないあるいは不安定な患者→空腹時採血で血糖とCPRをみる
目安の一つ:空腹時のCPR<0.5 ng/mLならIDDM, CPR>1.0 ng/mLならNIDDM
・自己免疫性疾患(特に自己免疫性甲状腺疾患)をもつ人はSPIDDMを含むIA型糖尿病かもしれないという目でみる。
病因分類・病期分類に役立つ初診時検査3点セット
ー血糖とHbA1cだけでは不十分ー
・血中CPR・抗GAD抗体
・尿中ケトン体
なんのために尿検査をするのかその2
尿蛋白の出ている糖尿病患者は、大血管合併症を起こしやすいhigh risk 患者
インスリンの絶対適応とは何か?
• 1型糖尿病
• 2型糖尿病で以下の病態の時
– 糖尿病昏睡(ケトアシドーシス昏睡,非ケトン性高浸透圧性昏睡)
– 重度の外傷・中等症以上の外科手術,重症感染症の併発
– 糖尿病合併妊娠
経口血糖降下薬の理解インスリン分泌促進作用の有無と、下げたい血糖の狙いがFPGかPPGかで
理解する
インスリンの分泌促進あり
インスリンの分泌促進なし
空腹時血糖を下げたい
食後血糖を下げたい
経口治療薬の位置づけと副作用の理解
SU薬
グリニド薬
ビグアナイド薬
α-GI薬
チアゾリジン薬DPP-4阻害薬
単独でも低血糖を起こしうる
単独でも低血糖を起こしうる
消化器系の副作用
消化器系の副作用
体重増加を来しにくい
体重増加を来しにくい
体重増加を来しやすい
体重増加を来しやすい
アディポカインを介して多臓器に効果
乳酸アシドーシス造影剤使用の2日前から中止
腎でNa再吸収→水分貯留
インスリン分泌↑のみでなくグルカゴン分泌↓
体重増加を来しにくい 体重増加を来しやすい
おまけ
Staub-Taugott(シュタウプートラウイゴット)効果(2nd meal phenomenon)とは何か?
血糖
朝ご飯 昼ご飯(第2食目)
朝ご飯抜き 昼ご飯(第1食目)
血糖
絶食期間が長いと、次の食後の血糖は高くなる75g OGTTも長期の絶食後に実施されたものでは、悪めに出ます。
Pitfall
以上です。
ここからあとは参考資料です。
SU剤
ブドウ糖による膵β細胞からのインスリン分泌
SU剤による膵β細胞からのインスリン分泌SU剤
余談:自殺目的でCa blockerを大量服薬した人の血糖はあがっていた
~治療にはインスリンの持続注入~
SU剤の禁忌
• インスリン依存状態
• 糖尿病性ケトアシドーシス,重症感染症,中等以上の外科手術,重篤な肝・腎障害,重篤な外傷などを伴う場合
• 膵の破壊あるいは摘出により生じた二次性糖尿病
• サルファ薬やSU薬に対する過敏性を示す場合
• 妊婦・挙児希望の女性
• 抗GAD抗体陽性
SU剤治療の問題点
• 低血糖が心配である.それ故に,糖尿病の治療開始が遅くなりがちである.
• 2次無効,肥満の問題
• 膵β細胞の疲弊.アポトーシスの問題(?)
アマリール
オイグルコン・ダオニール
グリミクロン
ラスチノン
TOPICS1
KATPチャンネルは2つのサブユニット(Kir6.X + SURX)からなる
Ischemic preconditioningに関係??臨床的意義は不明とする説もある
グリベンクラミド (第2世代 オイグルコン・ダオニール): Epac2を介するグリクラジド(第2世代 グリミクロン):Epac2を介さないグリメピリド(第3世代 アマリール):Epac2を介する
TOPICS2
ビグアナイド剤
一般名
塩酸メトフェルミン
塩酸ブホルミン
商品名
グリコランメルビンメディット
ジベトスB
血中半減期(時間)
1.5-4.7
3
作用時間(時間)
6-14
6-14
1錠中の含有量(mg)
250
50
1日の使用量(mg)
250-750
50-150
糖尿病治療ガイドライン2004-2005より
メトホルミンの作用機序
肝臓糖新生の抑制 脂肪酸合成の低下
糖産生低下インスリン作用増強
消化管
糖吸収の遅延
筋肉・脂肪組織
糖取込みの亢進糖利用亢進
メトホルミン
血糖低下
欧米では,肥満のある場合の第一選択薬として用いられておリ,スルホニル尿素薬と同等の血糖改善があるとされているが,食事摂取状況,体格,健康保険で許可されている用量(~750mg/日)が違う日本では,どの程度の効果があるかどうか不明な点が多い.副作用として胃腸障害がしばしばみられる. 科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン より
ビグアナイド薬の作用特性と使い方
• インスリン抵抗性の強い過体重・肥満2型糖尿病例に有効である(やせている人にも効く)
• 単独使用では低血糖をきたす可能性は極めて低い
糖尿病治療ガイドライン2004-2005より
メトホルミンによる乳酸アシドーシスの危険因子(n=47)
慢性危険因子
心血管系疾患 24 (51%)慢性腎不全 12 (26%)アルコール乱用 5 (11%)慢性肝不全 4 (8.5%)呼吸不全 2 (4.3%)急性危険因子
急性腎不全または慢性腎不全の急性増悪
43 (92%)
造影剤による急性腎不全 12 (26%)敗血症 9 (19%)急性心疾患 3 (6.4%)
J Intern Med 255: 179-187, 2004
乳酸アシドーシスの症例
ビグアナイドの(本当の)禁忌症例
• 腎機能障害
• 肝機能障害
• 低酸素血症・ショック
造影剤使用の前3日間は休薬する
DPP study
N Engl J Med 2002;346:393-403.
Diabetes Prevention Program(アメリカで行われた糖尿病予防プログラム)
境界型糖尿病3234名を対象に,・ライフスタイル改善群・プラセボ薬投与群・メトホルミン(1700mg/day)投与群で,2型糖尿病の発症予防効果を検討した
年
糖尿病の発症率
ライフスタイル改善プログラム
生活習慣の改善① 体重減少 (>7%)
② 運動療法 (150分/ 週)
31% 58%
2010年5月10日から高用量メトホルミン発売開始
TOPICS
チアゾリジン薬
一般名
塩酸ピオグリタゾン
血中半減期(時間)
5
1日の使用量(mg)
30
糖尿病治療ガイドライン2004-2005より
チアゾリジン薬の作用特性と使い方
• インスリン抵抗性の改善を介して血糖降下作
用を発揮する
• インスリン分泌促進作用はないため,単独で
は低血糖の危険は少ない
糖尿病治療ガイドライン2004-2005より
チアゾリジン誘導体によるインスリン抵抗性改善の機序
チアゾリジンジオン前駆脂肪細胞→小型脂肪細胞分化促進
大型脂肪細胞のアポトーシス促進
インスリン 抵 抗 性
インスリン抵抗性 改善
糖 取り込み (+)TNF-α ↑↑レプチン ↑↑FFA ↑↑
糖取り込み(++)TNF-α 正常
レプチン 正常
FFA 正常
チアゾリジン薬の使用上の注意点• 副作用として,浮腫,貧血,血清LDH,血清CPKの上昇などが時に認められる.
• 水分貯留を示す傾向があり,心不全患者,心不全の既往者には使用しない.
• 妊娠中または妊娠の可能性のある女性および授乳中の女性には使用しな
い
• 体重が増加しやすいので食事療法を確実に実行することが大事である
• 高齢の女性では骨折を増やす→骨密度定量を
糖尿病治療ガイドライン2004-2005より
BNPの測定
チアゾリジン薬によるエビデンス
糖尿病の一次予防
DREAM Study
目的:Thiazolidinedione(TZD剤)であるrosiglitazoneが,糖尿病の一次予防に有効であるかどうか?
対象:5269名の,30才以上のIGT, IFG, IGT/ IFGの人
方法:rosiglitazone 8 mg/day投与群(2365人)とプラセボ群(2634人)を3年間観察Primary Endopoint: 糖尿病の発症,または死亡
結果: Rosiglitazone Placebo
Primary endopoint 306/ 2365(11.6%)
686/ 2634(26.0%)
Hazard ratio 0.40 (P<0.001)
Becoming normoglycemia
1330/ 2365(50.5%)
798/ 2634(30.3%)
1.71(p<0.0001)
その他:rosiglitazone群で0.5%の心血管イベント,プラセボ群では0.1%rosiglitazone群では3年で2.2kgの体重増加
結論:Rosiglitazone 8mg/day投与は,2型糖尿病の発症予防と,正常型への改善に有効
Lancet. 368:1096-105,2006
Diabetes Reduction Assessment with Ramipril and Rosiglitazone Medication (DREAM) study
インスリン抵抗性改善剤(TZD剤)による糖尿病発症阻止
0 1 2 3 40 1 2 3 4
Cum
ulat
ive
Haza
rd0.
00.
10.
20.
30.
40.
50.
6Cu
mul
ativ
e Ha
zard
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
13101148
217241425382635TZD剤
177215024702634Placebo年
Placebo
TZD剤
60% リスク減少
収縮期血圧
拡張期血圧
<0.000179.8 (10.5)78.4 (10.7)拡張期 (mm)0.0001131.1 (17.5)129.4 (17.0)収縮期 (mm)
PPlaceboTZD Mean Final
Base 2 6 12 24 36 48 Final
7678
8082
8486
126
128
130
132
134
136
138
TZD剤
Placebo
TZD剤
Placebo
インスリン抵抗性改善剤(TZD剤)による降圧効果
TZD剤
Placebo
Months
ALT
(U/l
)
P <0.0001
2224
2628
30
Base 2 4 6 8 10 12
インスリン抵抗性改善剤(TZD剤)による肝機能改善効果
チアゾリジン薬によるエビデンス
良好な血糖を長く維持(薬剤とその効果の継続について)
空腹時血糖150mg/dl程度の2型糖尿病患者4360人を、TZD薬、またはMetformin 、またはSU薬で4年間治療Monotherapy failureは空腹時血糖180mg/dlに上昇したときと定義
2型糖尿病を,単剤でいつまで治療できるか?ADOPT STUDY
SU薬
TZD薬
Metoformin
A Diabetes Outcome Progression Trial
HbA1cの推移
SU剤
Metformin
TZD剤
ADOPT STUDY
早く効かせたいならSU剤(少量)長く効かせたいなら、チアゾリジン・メトホルミン
α-グルコシダーゼ阻害薬
α-グルコシダーゼ阻害薬の作用機序
空腸空腸 回腸回腸
十二指腸
十二指腸
大腸大腸糖質糖質
時時 間間
血血
糖糖
糖質糖質
空腸空腸 回腸回腸
十二指腸
十二指腸
大腸大腸
時時 間間
血血
糖糖
通常の糖質吸収のパターン通常の糖質吸収のパターン αα--グルコシダーゼ阻害剤をグルコシダーゼ阻害剤を
至適用量投与した場合至適用量投与した場合
二糖類から単糖類への分解を抑制 し,2型糖尿病患者における「インスリン分泌遅延」と一致させる
α-GIの禁忌
禁忌・高血糖性昏睡・重症感染症・妊婦,妊娠の可能性のある患者
慎重投与・他の糖尿病薬を内服している症例・開腹手術または腸閉塞の既往歴・慢性腸疾患の患者・大腸に狭窄,重篤な肝障害・重篤な腎障害・高齢者
薬剤相互作用・ジゴキシン:血中濃度の低下・ラクツロース:消化器症状増悪・消化酵素剤:両剤の効果減弱・ワルファリン:ワルファリンの効果が
減弱(グルコバイ),増強(ベイスン)・デパケン:血中濃度の低下・コレバイン:血糖降下作用を増強
血糖の変動と血管障害:介入試験から
STOP-NIDDM MeRIA7
心筋梗塞非発症率
100
99
98
97
96200 400 600 8000
追跡日数
非発症率
α-GI
プラセボ
64%リスク低下
p=0.0120
Hanefeld M.et al.:Eur. Heart J.,25,10,2004.
欧米で行なわれた7つの試験(プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験、投与期間52~164週)のメタアナリシスアカルボース群1,248例、プラセボ群932例
0 300 600 900 1200
0.02
0.04
0.06
0
無作為化後経過日数
すべての心血管系疾患発症率
α-GI
プラセボ49%リスク低下
心血管疾患発症率
p=0.03
耐糖能異常者にアカルボースとプラセボで糖尿病への移行を検討各軍1429名
グルコバイ 100 mg = ベイスン 0.2 mg =< セイブル 50 mg
セイブルは消化管から吸収される薬剤 食後1時間の血糖を改善
糖質 マルトース グルコース
スクロース
グルコース
フルクトース
スクラーゼ
マルターゼαアミラーゼ
acarbose(グルコバイ)
Voglibose, Miglitol(ベイスン) (セイブル)
α-GI 3種類の差異
グリニド系(即効型インスリン分泌促進薬)
glinide剤
Glinide剤による膵β細胞からのインスリン分泌
従来はこの経路だけと思われていた・・
J Pharmacol Exp Ther. 2007 Jul;322(1):1-7.
実験系において・SU剤は細胞培養液中にCaが存在しなければインスリンは分泌されない・グリニドは細胞培養液中にCaが存在しなくてもインスリンを分泌させることができる
SU剤とGlinide系
薬剤 長所 短所 適応
SU剤 確実な血糖降下作用 低血糖 非肥満2型糖尿病
空腹時血糖の低下 体重増加
細小血管症のリスク軽減 高インスリン血症
服用の簡便さ 膵β細胞の疲弊
安全性の確立
Glinide系 食後高血糖の改善 1日の服用回数が多い 軽症糖尿病
SU剤に比し低血糖,体重増加が少ない
低血糖 発症後まもない糖尿病
体重増加 高齢者の糖尿病
長期のデータがない 軽度肥満糖尿病
グリニドの役割は,
インスリンの分泌パターンを改善すること
分泌パターン改善剤
分泌促進薬では糖尿病の一次予防は得られないトピックス
インクレチン関連薬のこと
2型糖尿病治療薬の超えることができなかった問題点
・低血糖・肥満の助長・β細胞の疲弊・α細胞の異常
インクレチンとは何か?人工膵臓を使い、正常人の血糖を5分間で200mg/dlまであげ、そのまま維持する
0
50
100
150
200
250
300
0 20 40 60 80 100 120 140
time(min)P
lasm
a G
lucose
(m
g/ d
l)
0
50
100
150
200
0 20 40 60 80 100 120 140
time(min)
IRI (μ
U/m
l)
ブドウ糖75g 経口摂取 インクレチン
効果
血糖センサー
ブドウ糖入り点滴
採血用ルート
いぐちげんぞーさん
インクレチンとは?
炭水化物や脂質の経口摂取に引き続いて腸管から
分泌されるホルモン。
血糖上昇時にインスリン分泌を促進し、また、グルカ
ゴン分泌を抑制することにより血糖値を低下させる。
GLP-1 (Glucagon like peptide-1)、GIP (Glucose-dependent insulinotropic polypeptide)の2種が同定さ
れている。
膵臓
血糖コントロール血糖コントロール
グルカゴン
インスリン
食事
α細胞インクレチン(GLP-1, GIP)
血糖依存的作用
消化管
β細胞
食事によるインクレチンの分泌と血糖降下作用
(GLP-1、GIP)
(GLP-1)
DPP-4によるインクレチン分解
Deacon CF et al Diabetes 1995;44:1126–1131; Kieffer TJ et al Endocrinology 1995;136:3585–3596; Ahrén B Curr Diab Rep2003;3:365–372; Deacon CF et al J Clin Endocrinol Metab 1995;80:952–957; Weber AE J Med Chem 2004;47:4135–4141.より改変
腸管におけるGIP及びGLP-1
の分泌
GIP及びGLP-1が作用する
GIP (1–42)GLP-1 (7–36)
GIP (3–42)GLP-1 (9–36)急速な分解
(数分)
食事
DPP-4 DPP-4 (ジペプチジル・ペプチダーゼ4 )
AEGTFTSDVS SYL EGQAAKEFIAWL
VKGRamide -DPP-4
H
GLP-1 (7-36) amide
EGTFTSDVS SYL EGQAAKEFIAWL
VKGRamide -
AH
GLP-1 (9-36) amide
山田祐一郎 医学のあゆみ 2008; 227(11): 958-961.
インクレチンを用いた2型糖尿病の新しい治療戦略
インクレチン
DPP-4(分解酵素)
血糖改善体重変化なし
膵β細胞
血糖改善体重減少
インスリン分泌増強膵β細胞数の増加(?)
DPP-4阻害薬GLP-1受容体作動薬(DPP-4抵抗性)
経口薬皮下注射
インクレチンの働きを利用する薬剤
GLP-1誘導体
DPP-4による分解を受けにくいインクレチン(GLP-1)の誘導体。
代表的な薬剤:エクセナチド、リラグルチド
DPP-4阻害薬
DPP-4を阻害することにより内因性の活性型インクレチンの分解を抑制する薬剤。
代表的な薬剤:シタグリプチン、ビルダグリプチン
山田祐一郎 医学のあゆみ 2008; 227(11): 958-961.
糖尿病治療の問題点とインクレチン作用
糖尿病治療の問題点 インクレチンの作用インクレチンの臨床での成績
食後高血糖の是正と食前の低血糖
グルコース濃度依存性のインスリン分泌促進作用
血糖値の日内変動少なく,HbA1C値の改善
体重増加 食欲抑制ならびに消化管運動の抑制
体重の減少(GLP-1受容体作動薬)
機能的な膵β細胞量が徐々に減少
膵β細胞の保護作用と細胞数増加作用
?(臨床的に確認する方法がない)