国立病院機構七尾病院における慢性咳嗽の特殊検査による５年間の成績治療

下記の検査によって診断し、治療を開始。

長引く咳を病態的診断するための専門的検査所見

咳の特殊検査の内容（対象疾患）

１．カプサイシン咳検査（アトピー咳嗽）２．メサコリン咳検査（咳喘息）３．メサコリン気道過敏性検査（気管支喘息）４．気道可逆性検査（気管支喘息）５．喀痰中好酸球検査（アトピー咳嗽、咳喘息、気管支喘息、アレルギー性気管支肺真菌症）６．喀痰細菌・真菌培養検査（副鼻腔気管支症候群、アレルギー性気管支肺真菌症）７．胸部CT検査（咳喘息、気管支喘息、アレルギー性気管支肺真菌症）８．副鼻腔CT検査（上顎洞炎、篩骨洞炎）９．咳の問診票検査（胃食道逆流症）

気管支喘息 咳喘息 アトピー咳嗽 副鼻腔気管支症候群 胃食道逆流症

喀痰炎症細胞検査

気道可逆性検査

気道敏感性検査

メサコリン咳検査

カプサイシン咳検査

好酸球

陽性

陽性（亢進）

陽性（亢進）

陽性（亢進） 陽性（亢進）

好酸球 好酸球 好酸球 リンパ球・好中球

慢性咳嗽患者の病態的診断の治療成績（2013/9/1 ～ 2018/8/31　七尾病院）

： 咳嗽が 5/10 以下に軽快 2 週 （1-2）： 咳嗽が 2/10 以下に軽快 3 週 （3-4）： 咳嗽が消失 　 5 週 （5-6）

Median 95%CI

n = 291

咳が軽快しない患者の割合

治療開始後の週

a：咳嗽が 5/10 以下に軽快　　2週　　 （1-2）b：咳嗽が 2/10 以下に軽快　　3週　 　（3-4）c：咳嗽が消失　　　　　　 　5 週　　 （5-6）

中央値 95%信頼区間

1.0

0.8

0.6

0.4

0.2

0.0

0 20 40 60 80 100

(n=291)初診時の病態的診断と治療経過を加味した最終診断の内訳

重複診断CVA：咳喘息 　 252SBS：副鼻腔気管支症候群 　 151AC：アトピー咳嗽 　 117GER：胃食道逆流症 　　　　　 15ABPM：アレルギー性気管支肺真菌症 15DPB：びまん性汎細気管支炎 2Bronchorrhea：気管支漏 1Unknown：不明 　　　　　　　　　　 ０

ま と め

１. 2013 年 9月 1日から 2018年 8月 31日の 5年間に慢性咳嗽の診断と治療を 目的に初診した患者は303名だった。

２. 咳嗽が消失する前に受診しなくなった（drop out）患者は 12名（3.9%）だった。

３. 残りの 291名の患者では、283名（97.3％）で咳嗽が消失した。

４. 咳嗽消失までに要した期間は、平均値8.5±10.1（標準偏差）週、中央値5.0 週 （95%信頼区間 5-6、範囲 1～ >100週）だった。