生活産業グループ - mitsubishi corporation...51.0 32.8 34.0 43.0 08.3 実績 09.3 実績 10.3...

4
51.0 32.8 34.0 43.0 08.3 実績 09.3 実績 10.3 見通し 生活産業グループ グループ CEOメッセージ 2009 3 月期の活動内容について 当グループでは、衣食住の分野において消費者が望む商品 やサービスを安定的に調達・提供できる仕組み作りに継続して 取り組んでいます。資源調達から小売に至るまでの幅広い領 域で食料品 、衣料品 、紙・包装材 、セメント・建材などの商品を 取り扱い、川上から川下までつながるバリューチェーンを構築し ていることが当グループの強みですが、各事業領域において 機能やサービスの拡充を続けることによってバリューチェーン を一層磐石なものとし、収益基盤の強化につなげています。 2009 3 月期の当期純利益(旧組織ベース)は、 328 億円と 前期比181 億円の減益となりました。上場株の減損を計上し たことや、全般的な景気低迷により資材関連会社での販売が 減少したことなどによるものです。 厳しい事業環境となりましたが、 2009 3 月期は「 資 源 調 達力の強化」「バリューチェーンの強化と業界再編への対応」 「海外市場への取り組み」という3 つの基本方針を掲げ、各施策 を実行しました。具体的にはオーストラリアの穀物集荷子会社 リベリナの西豪州拠点新設をはじめ、集荷拠点・加工拠点の充 実の継続、伊藤ハムの持分法適用会社化ならびに米久(当社持 分法適用会社)を加えた3 社間での包括業務提携締結、小売業 大手イオンとの資本業務提携締結の実行、海外では欧州の子 会社である大手食品メーカー、プリンセスにおける事業拡大 や、新興国でのタイヤ事業の本格展開など、着実に事業基盤を 強化しています。 組織 生活産業グループ CEOオフィス 生活産業グループ コントローラーオフィス 生活産業グループ 情報システム室 次世代事業開発ユニット ヒューマンケア・メディア本部 農水産本部 食品本部 繊維本部 資材本部 当期純利益 (単位:10 億円) n 旧組織ベース  n 新組織ベース * 組織改編により、ヒューマンケア事業、メディ ア・コンシューマー事業が旧イノベーション 事業グループから移管されました。 58 Mitsubishi Corporation Annual Report 2009 前列左より 矢野 雅英 常務執行役員 生活産業グループCEO 森山 透 執行役員 生活産業グループCEO補佐 (次世代事業開発担当) 後列左より 三須 和泰 食品本部長 垣内 威彦 農水産本部長 加賀 道夫 執行役員 資材本部長 尾畑 守伸 執行役員 繊維本部長 有吉 純夫 執行役員 ヒューマンケア・ メディア本部長

Upload: others

Post on 02-Feb-2021

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

  • 51.0

    32.8 34.0

    43.0

    08.3実績

    09.3実績

    10.3見通し

    生活産業グループ

    グループCEOメッセージ

    2009年3月期の活動内容について

     当グループでは、衣食住の分野において消費者が望む商品

    やサービスを安定的に調達・提供できる仕組み作りに継続して

    取り組んでいます。資源調達から小売に至るまでの幅広い領

    域で食料品、衣料品、紙・包装材、セメント・建材などの商品を

    取り扱い、川上から川下までつながるバリューチェーンを構築し

    ていることが当グループの強みですが、各事業領域において

    機能やサービスの拡充を続けることによってバリューチェーン

    を一層磐石なものとし、収益基盤の強化につなげています。

     2009年3月期の当期純利益(旧組織ベース)は、328億円と

    前期比181億円の減益となりました。上場株の減損を計上し

    たことや、全般的な景気低迷により資材関連会社での販売が

    減少したことなどによるものです。

     厳しい事業環境となりましたが、2009年3月期は「資源調

    達力の強化」「バリューチェーンの強化と業界再編への対応」

    「海外市場への取り組み」という3つの基本方針を掲げ、各施策

    を実行しました。具体的にはオーストラリアの穀物集荷子会社

    リベリナの西豪州拠点新設をはじめ、集荷拠点・加工拠点の充

    実の継続、伊藤ハムの持分法適用会社化ならびに米久(当社持

    分法適用会社)を加えた3社間での包括業務提携締結、小売業

    大手イオンとの資本業務提携締結の実行、海外では欧州の子

    会社である大手食品メーカー、プリンセスにおける事業拡大

    や、新興国でのタイヤ事業の本格展開など、着実に事業基盤を

    強化しています。

    組織 ■ 生活産業グループ

    CEOオフィス ■ 生活産業グループ コントローラーオフィス

    ■ 生活産業グループ 情報システム室

    ■ 次世代事業開発ユニット

    ■ ヒューマンケア・メディア本部■ 農水産本部■ 食品本部■ 繊維本部■ 資材本部

    当期純利益(単位:10億円)

    n 旧組織ベース  n 新組織ベース

    * 組織改編により、ヒューマンケア事業、メディア・コンシューマー事業が旧イノベーション事業グループから移管されました。

    58 Mitsubishi Corporation Annual Report 2009

    前列左より 矢野 雅英常務執行役員生活産業グループCEO

    森山 透執行役員生活産業グループCEO補佐 (次世代事業開発担当)

    後列左より 三須 和泰食品本部長

    垣内 威彦農水産本部長

    加賀 道夫執行役員資材本部長

    尾畑 守伸執行役員繊維本部長

    有吉 純夫執行役員ヒューマンケア・ メディア本部長

  • 顧 客

    環境省認定 三菱商事

    広域認定の範囲

    指定運搬業者

    リサイクルセンター

    マテリアルリサイクル

    ケミカルリサイクル

    [2]破 砕

    [3]リサイクル

    [1]収 集

    廃棄ユニフォーム

    使用済み資源を、従来型のプロセスで再利用すること

    使用済みの資源を、化学反応により組成変換した後に、再利用すること

    今後の見通しと『 INNOVATION 2009』について

     金融危機の影響による消費の低迷や消費者の価値観の多様

    化に加え、商品の安全や環境保護への関心の高まりなど事業

    環境が大きく変化しており、小売業では進行する少子高齢化、

    消費意欲の鈍化、激甚なる価格競争、提供する機能の多様化な

    どの問題に直面しています。生活者の消費行動・価値観の変化

    は、当グループのビジネスモデルにも影響することから、新た

    なる対応を検討すべきであり、2009年4月、小売業のこうし

    た問題への総合的面対応を強化するため、従来の商品縦割組

    織から本部をまたがる喫緊の課題を集約し、本部横断的な戦略

    の推進や消費市場への対応を担う「次世代事業開発ユニット」

    を新設しました。

     また、同時に旧イノベーション事業グループから医療周辺分

    野やメディアを通じて各種サービスを提供する「ヒューマンケ

    ア・メディア本部」を受け入れ、当社の消費者対面事業は当グ

    ループに略一元化されたと考えています。プラットフォームと

    しての活用を図る当本部のサービスやインフラの事業と、実取

    引を行う従来の当グループの事業を有機的に組み合わせ、変

    貌を遂げつつある消費市場にスピード感を持って取り組み、グ

    ループの成長につなげていきます。

     2010年3月期の当期純利益(新組織ベース)につきまして

    は430億円となる見通しです。景気後退の中チャレンジングな

    計画となりますが、2009年3月期(新組織ベース340億円)比

    では上場株式減損の反動増もあり、約100億円の増益を見込

    んでいます。

    常務執行役員 生活産業グループCEO

    矢野 雅英

    使用済みユニフォームのリサイクル事業

     当グループでは使用済みユニフォームのリサイクル事業

    を行っています。ケミカルリサイクル技術を活用すること

    で、廃棄物を分子レベルまで化学的に分解し、残渣(ゴミ)

    ゼロの100%再生リサイクルを実現しました。

     リサイクルセンターで破砕された使用済みユニフォーム

    を、当社では製鉄会社のコークス炉で処理し、「コークス炉

    ガス」、「炭化水素油」、「コークス」に再商品化して、製鉄所

    内の発電所などでの燃料、プラスチック原料、鉄鉱石還元

    剤など、すべて有効な資源として再利用しています。

     当社は、環境省から「広域認定制度」の認可を受けてお

    り、複数の都道府県にまたがって、産業廃棄物である使用

    済みユニフォームを回収・リサイクルしています。

    事業を通じた社会・環境貢献

    三菱商事ユニフォームリサイクルの概要

    59Mitsubishi Corporation Annual Report 2009

  • ヒューマンケア・メディア本部

    ■ ヘルスケアユニット■ ホスピタルソリューションユニット■ ライフケアユニット■ 新流通チャネル開発ユニット■ 消費者サービスユニット■ メディアコンテンツユニット

     当本部では、規制緩和や民間企業の活力導入が進む医療・介護分野において、病院のアウトソースサービス・経営支援から周辺サービスまで、トータルソリューションを提供し、サービスの向上や効率化に貢献しています。 また、テレビ・雑誌、インターネット、携帯電話などさまざまなメディアを通じて消費者の方々と接し、消費者ニーズに沿った情報や商品をご提供するほか、ポイントサービスやコンテンツを活用した販売促進手段ならびに消費者が安心して利用できる決済の仕組みなどを提供していきます。 2008年10月には、日本最大のSNS(ソーシャル・ネットワーキングサービス)『mixi』を提供するミクシィと共同で、ネクスパスを設立しました。同社は、インターネットユーザーに対して、利便性の高いウェブ決済サービスを提供していきます。

    農水産本部

    ■ 農産ユニット■ 穀物ユニット■ 水産ユニット■ 糖質ユニット■ 油脂ユニット■ 飼料畜産ユニット

     当本部では、穀物・米・青果物・水産物・糖質・油脂・飼料・畜産物などを取り扱い、集荷から輸送・加工・販売に至るまで、一貫したバリューチェーンを展開しています。 国内では、原料加工分野で子会社である日東富士製粉、日本食品化工、日本農産工業を核に事業基盤を強化し、食肉関連分野においては生産から加工・販売にまたがる事業を展開するなど、事業拡大に取り組んでいます。一方、北米、南米、オーストラリアなど主要産地では、調達力の強化と調達先の拡大を推進し、安定供給の確保に努めています。 2008年7月には、大手精米業のミツハシの株式を33.4%取得しました。当社と連携して安全な精米を供給するための一貫したチェーンの構築を目指しています。 また、2009年1月には伊藤ハムの株式を追加取得して筆頭株主(20.06%)となり、伊藤ハム、米久、当社の3社で包括業務提携契約を締結しました。調達、生産、物流などの分野で、今後各社の企業価値向上につながる具体的な取り組みを進めていきます。

    食品本部

    ■ 飲料原料ユニット■ 酪農食品ユニット■ 食品第一ユニット■ 食品第二ユニット

     当本部では、食品原料の調達から製品販売まで、国内外に幅広いネットワークを構築し、消費者の多様なニーズに対応しています。主な事業会社としては、菓子卸のサンエス、英国の大手食品メーカーであるプリンセスなどがあります。 現在、国内市場の縮小が進行する中で、急激な景気低迷によって消費者の購買動向が変化し、食の安全の重要性も増すなど、食品を取り巻く業界環境は大きく変わりつつあります。当本部では、コーヒー・果汁・酪農品などの食品原料について、持続的な安定供給に加えて、品質管理の強化に努めてきました。また、原料取引や製品販売を通じて、取引先をあらゆる面からサポートし、取り組みを強化しています。 海外では、プリンセスをはじめとする事業投資先の基盤拡充、ならびに今後も成長が見込めるアジアなどの有望市場においても、有力パートナーと連携しながら、それぞれの市場ニーズにあった取り組みを進めています。

    2009年1月、当社は伊藤ハムの筆頭株主となり、米久と3社で包括業務提携契約を結びました。

    ディーライツがタカラトミーの現代版ベーゴマ玩具と連携して企画・制作したアニメ放送「ベイブレード」は、2001年以降世界100カ国以上で展開されましたが、2009年4月から新たなテレビシリーズ「メタルファイト ベイブレード」の放送を開始しました。

    サンエスは、菓子卸業界のリーディングカンパニーです。菓子専門卸ならではのネットワークを活かし、日本全国・世界各地の多種多様なお菓子をお届けすることで、安らぎと楽しさを提供しています。

    生活産業グループ

    ©Takafumi Adachi, MFBBProject, TV Tokyo

    60 Mitsubishi Corporation Annual Report 2009

    伊藤ハム商品

    米久商品

  • 繊維本部

    ■ ブランド・アパレルユニット■ S.P.A.第一ユニット■ S.P.A.第二ユニット■ S.P.A.・機能材ユニット

     当本部では、衣類、靴、家具、雑貨などの生活関連分野の商品をはじめ、「繊維」を切り口に綿・糸・織物などの原料や素材から、光ファイバーなどの高機能材まで、国内外の幅広い商品と総合的なサービスをお客さまに提供しています。 当本部の主力事業は、日本国内市場向けの衣料品およびその周辺雑貨などのOEM(相手先ブランドによる商品供給)ビジネスです。日本の消費者の方々のファッションライフを充実させるため、国内はもとより、中国をはじめとした世界各国から品質の高い商品をタイムリーかつ安定的に供給することが当本部のミッションです。 海外では、日本国内で培ったOEM機能を展開するだけでなく、環境関連製品や光通信素材などの高機能材分野などにおいて、成長市場における事業拡大を推進しています。 今後とも、柔軟で、かつスピード感を持って業界動向に対応できるビジネスモデルを追求していきます。

    当社は米国トリーバーチ商品の日本向け独占輸入契約を締結しました。国内における独占販売権はルックが取得しており、2009年9月より百貨店、専門店などで販売が開始されます。

    環境にやさしい森林資源の確保を目的に、すでに実施しているオーストラリアやチリに加え、南アフリカ共和国においても、合弁で植林事業を開始しました。

    ローソンは2008年9月に、生鮮食品を含む食料品を主体としたシングルプライス・ストアの九九プラスを公開買付により子会社化しました。

    資材本部

    ■ 生活資材ユニット■ 紙・パッケージングユニット■ 住宅資材ユニット

     当本部の主要事業は紙関連事業・セメント事業・タイヤ事業の3つで、紙関連事業では、カナダのALPAC(パルプ製造)など川上の製紙原料分野から紙・板紙製品の製造分野、さらには川下の製品流通・販売を担う三菱商事パッケージングまで、一貫した事業展開を行っています。セメント事業では、三菱マテリアルとの合弁事業として、米国のMitsubishi Cement CorporationやMCC Development Corporation、中国の烟台三菱セメントなどを有しており、国内販売は総合建材商社の三菱商事建材が行っています。またタイヤ事業では、欧州やアジア・中国において合弁事業を展開しています。 2009年3月期は、紙製品の輸出販売体制強化や米国セメント事業への追加投資実行、ロシアでの合弁タイヤ販売会社設立など、当本部事業の将来への布石を打つことができました。中長期的には、北米や、中国・ロシアなどの新興国で主要取扱商品である紙・セメント・タイヤの需要拡大が見込まれており、引き続き事業強化に向けた取り組みを継続していきます。

    次世代事業開発ユニット

     日本の消費市場は、少子高齢化と成熟化、さらには今般の世界同時経済不況の影響も受けて、激しいスピードとダイナミズムを伴って変化をしています。こうした激しい変化に迅速に対応するには、従来の商品ごとの縦割り組織に加えて、消費者を起点としてグループ横断的に対応する組織が必要であるとの判断から、当ユニットが設立されました。 当ユニットでは、コンビニエンスストアのローソンやスーパーマーケットのライフコーポレーション、外食業界の日本ケンタッキー・フライド・チキンなどの事業投資先を中心に、消費者に総合的に対面する事業を展開していきます。加えて、インターネット販売や通販といった無店舗チャネルも含んで小売や中間流通に対応し、特に小売からの要請が一段と高まっている生鮮品の調達や国内農業への対応など、組織に横串を通す形で、当社の機能を充実させる方針です。

    61Mitsubishi Corporation Annual Report 2009