神戸国際中学校 ・ 高等学校 河野記念 アルモニホール...4.合宿施設...

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神戸国際中学校 ・ 高等学校 河野記念 アルモニホール

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Page 1: 神戸国際中学校 ・ 高等学校 河野記念 アルモニホール...4.合宿施設 5.ゼミ室 6.計画建物 6 キャンパスプラン Akashi Ohashi Rokko Sanmyaku 高倉山よりキャンパスを望む

神戸国際中学校 ・ 高等学校

河野記念 アルモニホール

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神戸国際中学校 ・ 高等学校

河野記念 アルモニホール

明石海峡や淡路島をのぞむ須磨の丘陵地に神戸国際中学高等学校は、豊かな知性と気品に満ちた国際感覚を備えた女性の育成を目指す中高女子一貫校として1992年に開校した。記憶に残るキャンパスをテーマにコンクリート打放しの建物の各所にこめられた「濃密な場所性」が、卒業生が訪れたとき今も変わらず在り続けるように維持されてきた。

今回の計画は開校20周年の記念事業の一環であり、講堂としても利用可能なバスケットコート1面分の大きさの体育館の計画である。既存のキャンパスは明確な軸線と正方形と円形のみの構成(図―1)、コンクリート打放しを基調とした素材(左写真)によって築かれてきた。これまで受け継がれてきたデザインコードを継承しつつも、豊かに恵まれた自然と呼応した新しい体育館を目指し、キャンパス最奥部の三角地を建築地としてまわりとの関係性を重視した。厳格な幾何学に基づき里山の斜面に食い込むように配置された中学校棟は自然と対比的に内包するロトンダを中心として、すべてが中心との関係から成立するように構成されている(図-1)。それに対し、斜面との間に空地を設け建物と里山との間に「濃密な場所性」を創出する方法をとった(図-2)。

ロトンダ

ホール

13

4

5

21.中学校

2.体育館

3.高等学校

4.合宿施設

5.ゼミ室

6.計画建物

6

キャンパスプラン

Akashi Ohashi

Rokko Sanmyaku

高倉山よりキャンパスを望む

既存中学棟 既存高校棟 図ー1: 既存中学棟平面図  図ー2: 体育館平面図

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河野記念 アルモニホール

設計主旨

「 周辺環境と呼応する木架構の体育館 」

神戸国際中学校・高等学校は、開校より今日に至るまで明快な軸線計画、コンクリート打放しを基調とした素材美

を有するキャンパス計画がなされてきた。今回の計画は、講堂としても利用可能なバスケットコート1面分の体育

館、そして教員室、倉庫、便所からなる付属施設の計画である。

今回の建物は、これまでのキャンパスのデザインコードを継承しつつも、豊かな周辺環境を最大限取込むことを

狙った。体育館は機能上、周辺環境に対して閉鎖的な空間になりがちであるが、今回は、木架構を取り入れること

で、可能な限り豊かな周辺環境と呼応する建築を目指した。

計画にあたり既存棟につながる南面はキャンパスの景観に配慮し高さ6m、長さ46mの「コンクリート」壁、北側

の豊かな生態系を有する里山に対しては長大スパン20mの「木」架構とし対比的な構成とした。

構造形式も、北面を除く三方をコンクリート壁で水平力を完全に負担し、木の屋根架構の水平剛性を高めること

で、北面の木柱は鉛直荷重のみを負担すなるように計画。

これにより豊かな生態系を有する北面は開放され、美しい周囲の風景を上下にフレーミングすることで、木架構

を浮かび上がらせ、上部に広がる空や樹木に対しての仰角への開放性と足元に広がる広場に対しての水平的な

連続性を視覚的に同時に体感できるようにしている。

さらに、十分な開口を設けることで、夏の北面からの心地よい風がふき、法面にリバウンドした安定した光で満た

され、外部にあふれる里山の緑へとつながってゆく場を実現している。   

また周辺の植生の現地調査および文献調査から、計画地の樹木の移植、周辺チガヤの種子からの培養と植栽を

行い、この地に現存する植生を用いて計画することで、視覚的にも、生物学的にも連続性のあるランドスケープ

を作り出すことを試みた。

このように視覚的な連続性のみならず、光や風といった自然環境の面でも、また構造形式、動線計画においても

周辺環境を最大限読み解いた、多様な選択性もつ、環境に開かれた建築である。

高倉台尚風館  1997.09神戸国際中学校  1992.08 神戸国際高校  1993.12

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河野記念 アルモニホール

Nature

Nature

Light

Wind

北面を除く三方のRC壁で水平力を完全に取りきる

アクソメダイアグラム

キャンパスの景観に配慮しコンクリート打放し壁木の屋根架構の水平剛性を高めることで木柱は鉛直荷重のみを負担する風、光、緑の豊かな周辺環境を取り込む木架構

Light 安定した北面採光

10:00 12:00 14:00

Wind 法面から吹き下ろす北風による自然通風

Nature 生態系のランドスケープ

この地の植生を用い、生物学的にも連続性のあるランドスケープを作り出す建設地の周辺地域よりチガヤ種子を採取、培養、建物周囲に植栽

周辺環境と呼応する木架構の体育館

夏の北風を内部に取り込む. 空調レスの体育館.ー神戸市の風向と風速の分析ー

計画地に生育していた樹木を建物のアイストップに移植し、新たな価値付けを行う

体育館という用途上、南側の直射日光を避け、北側の法面にリバウンドした安定した柔らかい光を取り組む.晴天時、曇天時は、照明なしで運用可能である.ー体育館床面の照度シュミレーションー

k

北風

西風

夏 冬

hrs167+

<16

hrs130+

<13

NORTH

SOUTH

NORTH

SOUTH

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北面の里山より建物を望む明石大橋や淡路島をのぞむ風景の中にふわりと浮いた木屋根が、里山のり面、中庭、体育館とを連続的につないでいく

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既存高校棟の円形劇場から建物南面を望む.手前は円形劇場の影.コンクリート打放しのキャンパスの統一感に配慮した高さ6m、長さ46mの一発打ちコンクリート壁

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アプローチ南面はコンクリート壁、北側の豊かな生態系を有する里山に対しては木架構とし対比的な構成とした

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河野記念 アルモニホール

付属棟廊下より南面の中庭と建物南面を望んだ朝の様子夏はのり面をつたって風が吹きこむ.朝はさわやかな光が差し込み、日中はのり面をリバウンドした柔らかい光が入りこむ

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河野記念 アルモニホール

ホール内より北側の豊かな生態系を有する里山を望む北側の開口一面に北側の里山の緑を借景する.北面の柱は屋根の鉛直荷重のみを負担しているため軽やかな立面となっている.

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中庭とホール中間期には中庭とホールが一体利用される. 長さ=20mの木梁が2.2mの軒を支える

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ホール内部夜景照度均斉度、配光性を要する体育館へのLED照明の導入. LED照明による高い演色性. 器具の小型化による建築との融合.

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中庭よりホール内部を望む日没とともに浮かび上がるオープンエンドの木質空間

.

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Scale 1/300

Scale 1/600断面図

既存棟計画建物

Light

Wind

Nature

1

2

6

3

4

5

Scale 1/600配置図1.ホール 2.倉庫 3.教員室 4.男子トイレ 5.女子トイレ 6.中庭

既存高校棟

仏間ステージ

下足入

踏込

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河野記念 アルモニホール

ホールホール倉庫

ステージ教員室

男子トイレ

女子トイレ

1,100 35,500 2,200

3,500

8,900

1,700 18,100 2,100 16,750

900 14,550 1,300

2,150

6,750

500160

平均 CH=7,500

2,850

8,900

2,850

5,860

8,900

2,365

2,850

8,900

5,860

8,900

Scale 1/600

d

a c

d

d

d

e

jj

bg

a c

c

a c

e

8,900

1,900

160

1,3502,850

160 40

a c

cd

d

e

fg

東 立面図 西 立面図

南 立面図北 立面図

断面図 2断面図 1

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A

北面矩計図  Scale 1/70 A詳細図  Scale 1/30

合わせ梁間詳細図  Scale 1/30

b

a

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河野記念 アルモニホール

ダイナミックな木架構をみせるディテール

FEM解析図

主体架構は、北面を除く三方のコンクリート壁で水平力を完全に負担し、

屋根面の水平剛性を高め、木柱の負担を鉛直力のみとなるように計画した。

この架構形式を可能な限りシンプルにみせるため、欄間ガラスは二辺支持とし、上枠は母屋と一体化、下枠は雨仕舞上アルミサッシとした。

設備機器や配線については合わせ梁の間に納め、天井面は木質系仕上げのみとした。

水平力

木の屋根架構の水平剛性を高めることで

木柱は鉛直荷重のみを負担する

北面を除く三方のRC壁で

水平力を完全に取りきる

a-a

b-b

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河野記念 アルモニホール

■ 大梁のたわみ量や水平変位の厳密になコントロール:構造体とガラスが直接取合うため、厳密な計算を行っている.

■ 20mの大梁のデリバリー:構造計画にあたり、ピン接合なしの1本の剛な梁として計画するため、デリバリーの可否の検討を設計の初期段階で行った.

建築計画、構造計画、施工計画がフラットに進んでいくプロセス

明快な構造形式を如何にシンプルにダイナミックに表現できるか、機能性、経済性、生産性などを満足しつつも、この課題にこたえるため、建築計画→構造計画→施工計画という流れではなく、建築計画⇔構造計画⇔施工計画という繰り返し行き来するプロセスを歩んだ

西側の法面から搬入西側の法面から搬入 西側の法面から搬入奈良から神戸までの大梁の輸送経路 NARA

KOBE

■ 大梁間に納められる全ての設備器具:天井高が高い大空間において、およそ日本初となる全面LEDの導入や、施工手順可否の検討により、全ての設備器具を合わせ梁間に集約している.

■ 69mmの屋根スラブ:69mmの間には防水、屋根材のつり子、断熱、ブレース、照明下地、構造用合板が納まる.

施工手順

照度分布 配光実験 球ぎれ実験 施工可否の実験

69mmに納めるためブレース端部のディテールの工夫 この上に断熱敷きこみ、防水、吊子となる

①構造用合板(屋根上)に通芯墨だし②ボルト位置墨だし→構造用合板に屋根上から穴あけ(10mm穴)③下部よりボルトを屋根上に突出し→屋根上でナット締付け作業④吊り金具取付→ボルト寸法調整⑤レースウェイ上部作業(非常スピーカー取付作業)⑥レースウェイ取付及び連結作業⑦レースウェイ内配線工事→器具支持金具取付⑧レースウェイ落下防止ワイヤー取付⑨レースウェイ通り調整⑩照明器具取付

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既存棟のコンクリート打放し同様、素材を可能な限り、そのものがもつ特性、反射率や材度、明るさ、凹凸感、滑らかさ、色、奥行き、ムラをそのまま表現している。それぞれの朽ちる時間、褪せる時間の違いが、大きな時の流れを感じさせる。

エントランス・アプローチ 床花崗石 ベルファスト JP600×800×30

エントランス・渡り廊下 庇スチールプレート t=4.5 切板溶融亜鉛メッキリン酸処理

外壁塗装溶融亜鉛55%

アルミニウムめっき鋼板t=0.5

柱・梁ベイマツ集成材木材保護塗料野地板

構造用合板 t=24木材保護塗料

床、腰壁カリン 複合フローリング t15

1液形油変性ポリウレタンワニス塗り

付属棟腰壁コンクリート杉板本実型枠

化粧打ち放し撥水材塗布

付属棟廊下豆砂利洗い出し 3分黒仙・青玉石

中庭床レンガマンガン黒300×100×60

多様な素材の美

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河野記念 アルモニホール

エントランスホール突き当たりの法面にはツツジが見え、床に映りこんでいる。

設 計 概 要

 建 物 名 称 神戸国際中学校・高等学校 河野記念 アルモニホール

 所 在 地  神戸市須磨区高倉台7-21-1

 用 途 地 域 第1種低層住居専用地域 / 第1種住居地域  法22条指定地域

 建 物 用 途  学校、体育館

 敷 地 面 積   47,659.65㎡

 建 築 面 積 742.95㎡

 延 床 面 積 838.07㎡

 最 高 高 さ 8.900m

 規 模 構 造  F1 W + RC造  

 工 期  2010年11月 ~2011年5月 

 設 計 施 工  株式会社 竹中工務店

 

主な仕上げ

外 部 仕 上

屋  根 :塗装溶融亜鉛55%アルミニウムめっき鋼板

軒  天 :構造用合板 木材保護塗料

外  装 :コンクリート化粧打放し 撥水材塗布

       塗装溶融亜鉛55%アルミニウムめっき鋼板 

    床   :花崗岩 ジェットバーナー仕上げ 、レンガ

内部 仕上

ホール 天井 :構造用合板 木材保護塗料

    壁 :コンクリート化粧打放し・フレキシブルボード 

腰壁 :カリン・複合フローリング

     床 :カリン・複合フローリング

渡り廊下 天井 :コンクリート化粧打放し

      壁 :コンクリート化粧打放し 撥水材塗布

      床 :豆砂利洗い出し

 設 備 概 要 

 空 調 設 備 :24時間換気用換気扇

 衛 生 設 備  :便所・手洗い 給排水 既存利用

 電 気 設 備  :電動スクリーン、電動衣装用バトン、ワイヤレスマイク、

        LED照明、分電盤

 防 災 設 備  :煙感知器、非常放送