公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 2019年度指定公募 ... · 2020. 12....

15
公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 2019 年度指定公募 「訪問看護ステーションなどが開設する医療・介護の相談室づくり(3年計画)」 3 年目 完了報告書 申請者:小澤 愛 所属機関:訪問看護ステーション芍薬 提出年月日:2020 年 11 月 30 日

Upload: others

Post on 27-Jan-2021

5 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

  • 公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団

    2019 年度指定公募

    「訪問看護ステーションなどが開設する医療・介護の相談室づくり(3年計画)」

    3 年目

    完了報告書

    申請者:小澤 愛

    所属機関:訪問看護ステーション芍薬

    提出年月日:2020 年 11 月 30 日

  • はじめに

    急速に進行する少子高齢化による社会構造の変化を背景に、高齢者が人生の最終段階に

    至るまで、住み慣れた地域で生活できるよう、地域包括ケアシステムの整備が進められてい

    る。医療の進歩にともない、医療ケアが日常的に必要となった障害児・者においても、地域

    で安心して暮らせるような支援体制の整備が進められている。さらに、精神障害のある人々

    も地域の一員として自分らしく暮らせるように、包括的な地域支援も求められている。地域

    における包括的なケアを実現するには、医療、介護、福祉の連携が必要であり、その担い手

    として、生活の視点を持ち、重症者から軽症者、障害児者、高齢者と幅広い人々に対応でき

    る、質の高い訪問看護が求められている。

    そのような状況下、当法人は、横浜市内 2か所(神奈川区、青葉区)に訪問看護ステーシ

    ョンを運営し、多職種による包括的な支援を目指してきた。そして、本助成制度を活用させ

    ていただき、「訪問看護ステーションなどが開設する医療・介護の相談室づくり」を実現す

    るために、訪問看護ステーションにソーシャルワーカー(社会福祉士・精神保健福祉士)を

    一定期間勤務させ、看護師とソーシャルワーカーの協働を通して訪問看護ステーションに

    おける相談機能の充実を図る取り組みを行ってきた。

    この取り組みは、実践しながらの評価、研究であるアクション・リサーチの枠組みを念頭

    に、「観察=実情の客観的把握と課題抽出」「考察=課題分析と対応計画」「行動=実際の対

    応」の流れに沿って実施してきた。まず一年目は業務現場の観察を重ねながら、看護師とソ

    ーシャルワーカーの協働する流れを明確にすることを試みた。二年目においては、看護師の

    担う相談業務を明らかにし、看護師とソーシャルワーカーが協働して行う相談事業の中か

    ら、地域のニーズとしての医療的ケア児への支援に着目した。医療的ケア児への支援を実行

    に移す準備として特定相談支援事業所と障害児相談支援事業所の開設に至った。

    そして、最終年度である三年目の事業内容としては、相談支援事業の地域への展開として、

    地域における協力体制づくりを、利用者への展開として、相談支援事業の拡充や医療ケア児

    とその家族の交流を進めていく計画をたてた。しかしながら、年明けより新型コロナウィル

    スが拡大し、本プロジェクトの進行においても、感染防止を第一に考える観点から計画を縮

    小・変更せざるを得ない事態となった。しかしそれは、新型コロナウィルスとともにある新

    しい生活様式の中で、訪問看護ステーションの相談事業をどのように地域展開していけば

    よいかを模索する好機ともなった。その過程と今後の課題について報告する。

    I. 看護ステーションにおける相談支援事業の地域への展開 1.コロナ禍における関係機関との連携

    地域包括ケアにおいては、医療、介護、福祉の関係機関が連携し、協働する体制を構築す

    ることが重要である。当訪問看護ステーションでは、地域関係機関と多職種による協働を実

    践するため、毎月関係機関を交えたカンファレンスを開催してきた。

  • これまでの参加者は、在宅支援診療所の医師やソーシャルワーカー、地域の訪問看護ステ

    ーション看護師、調剤薬局薬剤師や栄養士、ヘルパー事業所などであった。場をともにする

    ことで「顔の見える」関係づくりを行い、徐々に参加関係機関を広げることを検討していた。

    しかしながら、新型コロナウィルス感染症の影響で、感染防止のため三蜜を避ける業務体

    制が強いられ、ステーションで集まるカンファレンスはできなくなった。そこで代替方法と

    して情報通信技術(ICT)を利用してオンラインでの Web 会議を行うことにした。

    1)インフラストラクチャー

    当訪問看護ステーションでは Web 会議を開始するにあたり、まず、Web 会議システムの選

    択を行った。数社のシステムの中から、情報のセキュリティ、利便性、コストパフォーマン

    スを考慮した。デバイスとしては個々のスタッフに貸し出しているスマートフォンを主と

    して利用することとした。ステーション内においては Wi-Fi 環境は整っており、スフマート

    フォンを使用することでステーション外においても利用することができた。関係機関の状

    況については、利用するシステムが異なることもあったため、いくつかの異なるシステムを

    利用することとなった。介護事業所や区役所などはインフラストラクチャーが整っておら

    ず、個人情報を扱う理由で Web 会議への参加を許可されない機関もあった。

    2) Web 会議の実践

    実際に行われた Web 会議は、退院前カンファレンス、地域連携ケース会議、組織内会議で

    あった。退院前カンファレンスについては、主催が病院となるため、病院の決めた Web 会議

    システムを利用し、多機関が参加し、10 人以上のメンバーとなることもあった。また、Web

    システムが利用できず会議室で集まるメンバーと Web システムをとおして参加するメンバ

    ーの混合で開催される会議もあった。

    地域連携ケース会議は、当訪問看護ステーションが主催し、情報共有や意見交換が必要と

    思われたケースについて、随時開催した。メンバーの特定をしたのち、Web 会議システムに

    ついて参加メンバー全員が利用できるかの確認、日時の設定と事前連絡、会議運営を行った。

    2.多機関連携としての Web 会議の評価

    Web 会議システムを利用した会議が、地域連携構築につながったかどうかを評価するため、

    参加者にアンケートを行った。連携とは「共有された目的を達成するために、相互促進的な

    協力関係を通じて行為や活動を展開するプロセス」(末光、大塚、2017)であり、その成否

    には構成メンバーのコミュニケーションと協力関係のありかたが影響する。そこで、Web 会

    議を通したコミュニケーション(相互の意思疎通)と協力関係の構築(目的や役割の共有)

    に着目した。調査は当訪問看護ステーションとの Web 会議に参加していただいた5つの関

    係機関のスタッフと当ステーションのスタッフ計 21 名に対してアンケート用紙を送付し、

    21 名から回答を得た。

  • 以下に回答の結果を記す。

    1)調査結果:Web 会議環境について

    Web 会議環境について、デバイス、電波の状況、参加していた環境について確認した。デ

    バイスについては、20 名中 13 名が PC 利用、6名がスマホ利用、1 名が PC,スマホの両方を

    利用していた(図1)。半数以上はよいと感じていたが、スマホでは画面が小さく資料が見

    づらいことが挙げられていた(図2)。電波に関しては半数が何らかの課題を感じており、

    電波の状態の不安定さ、複数の人が同じ場所を使用することによるハウリング、雑音、遅延

    や途中切断などを経験していた。Web 会議に参加していた環境については、静かなで心地よ

    い場所を選び自らできる工夫をし、移動時間の車内を使うなどフレキシブルに対応した様

    子がうかがえた。

    2)調査結果:コミュニケーションについて

    コミュニケーションについては、自分の意思が伝えられたか、相手の意図が理解できたか

    の 2 点についての問いに対し、賛否の分かれる意見が出された。まず、意見を伝えることに

    ついては、半数以上が良いとの評価であったが、コメントの中では「話し出すタイミング」

    の難しさや、「時間も限られ遠慮」したことなど、話し出すことへ難しさが出されていた。

    また意見を出せた場合も、「繊細な部分がうまく伝わったか不安が残った」、「伝えたと思っ

    たことが後で伝わっていなかったことが分かった」「今後の課題や問題点については話しに

    くさがあった」「相手のリアクションがわからなかった」など、伝えることの難しさを感じ

    ていた。相手を理解できたかどうかについては、必要な情報を得ることができ、情報共有が

    できたという体験が記されていた(図3)。

    図2

    6

    14

    1

    デバイス (n=21)

    スマホ PC スマホ∔PC

    図1

    0

    5

    10

    15

    インフラストラクチャー(n=21)

    デバイス 電波 環境

    図2

  • 3)調査結果:協力関係の構築

    協力関係の構築については、目的や

    役割の共有について問うたところ、

    目的共有については全員ができたと

    の回答であった。必要な情報共有が

    できたとの意見が多く、日常的なコ

    ミュニケーションに加え、カンファ

    レンス形式による意見交換の

    重要性を感じたという意見も

    あった。同時に、情報の共有ま

    ではできるが、それ以上内容を

    深めるたり発展させるような

    意見交換までは難しいと感じ

    たとの意見もあった。また、時

    間の制約もあり一方的な情報発信の場と感じた意見もあった。 役割共有については概ね

    良好との回答であり、連携機関として参加する意義を感じたという意見もあった(図4)。

    4)提示された意見や感想

    その他の意見として、「〈顔が見える〉会議ではあるけれど対面した会議とは違うと感じた」

    「参加や実施のしやすさの点では、メリットが大きく、通常時間調整に困難な他機関多職種

    との連携においては大いに利用したい」「今後の対コロナ対策としても有効」「web 会議シス

    テムを使いこなすためのスキルを上げたい」「区役所、児童相談所、学校)は Web 会議の環

    境が整っていないため、会議に参加することができなかったことが残念であった」などの意

    見があった。

    5)考察

    健康・医療・介護の分野における ICT 化が進められているが、実際に Web 会議開催するに

    あたり、いくつかの課題があった。まず、インフラストラクチャーについては ICT の利用に

    かなりばらつきがあり、タブレットやスマートフォンの使用をしていない小規模な事業所

    の参加をどのように達成するかが課題となった。次に Web 会議システムが統一されていな

    05

    1015

    コミュニケーション(n=21)

    伝える 理解する

    図3

    05

    101520

    協力関係の構築

    目的共有 役割共有

    図4

  • いために、機関で決められたシステム以外は参加者できない状況が発生した。次に個人情報

    保護をどのようどのように担保するのかについての課題も大きく、保健福祉センターなど

    の公的機関においては参加できない状況であった。これらの課題については、回数を重ねな

    がら工夫していく必要があると思われる。

    電子媒体を利用したチーム作りの要点として、①効果的なコミュニケーション、②感情や

    統一感、③少数意見の表出を促す、④社会的ステータスの影響をマネージすることの 4 つが

    挙げられている(P.J.Caproni,2005)。今回の Web 会議は「顔のみえる」会議ではあるが、

    場を同じくする会議とは異なる部分が多かった。効率的なコミュニケーションという点で

    は、電波やデバイスの問題で言語・非言語のコミュニケーションが十分に伝わらないことが

    あった。また、少数意見の表出の点では、時間が限られる中の会議運営の中では、些細な意

    見の表出がされにくい環境であった。そして、情報共有という目的は達成されたと思われる

    が、チーム作りに重要な社会的ステータスの影響や帰属感や統一感については確認できな

    かった。

    連携と共同には発展過程があり、利用者を中心として、目的のために(1)つながり

    (Linkage)(2)調整し(Coordination)、(3)一体化(integration)していくプロセスを

    たどる(堀越,2020)。新型コロナウィルス感染による新しい生活様式の中で ICT の利用はま

    すます広がると思われる。今回、「つながり(Linkage)」については ICT の物理的環境が整

    いさえすれば達成することがわかった。しかし、コミュニケーションや意見表出・交換とい

    った「調整(coordination)」に欠かせないことについては、課題があることも見えてきた。

    ICT の利用によって、新しい生活様式においても医療・介護・福祉の連携が必要とされてい

    る現在、ICT を連携構築の効果的なツールにできるよう、引き続き実践を積み重ねていく必

    要があると思われた。

    II.訪問看護ステーションにおける相談支援事業の利用者への展開

    1.今年度相談支援室の活動状況

    1)利用者状況

    今年度(2019 年 10 月から 2020 年9月)、相談支援室の関わったケースは 27 件、うち継

    続ケースは 11 件、新規ケースは 16 件であった(図5)。年齢層は 8 割以上が 18 歳未満の

    児童で、半数以上は未就学児の相談であった(図6)。疾患については、小児慢性疾患、低

    酸素脳症、出政治超低体重児、脳腫瘍、ガン末期などで、医療的ケア児が 9 割を占め、医療

    ケアについては 1 人を除き全員が何らかの医療ケアが必要であった(図7)。

    未就学児

    52%就学児30%

    成人

    18%

    相談ケース(n=27)

    新…継続:

    11

    相談ケース(n=27) 図6 図5

  • 2)相談内容

    相談内容については、多岐にわたっている。訪問診療の導入、入浴介助や移動支援など

    成長に伴い必要になった介護支援、介護負担軽減のためのレスパイト、手当、福祉サービ

    ス、医療機器や福祉用具の購入などの制度利用、子育て支援や保育園入所、家族の失業や

    第二子誕生に伴う生活の変化、卒業後の生活への移行など、様々な相談があった。新規の

    ケースのみではなく継続ケースにおいても、ライフステージの変化に伴い様々な課題が生

    じていた(図8)。

    3)計画相談支援から見える新型コロナウィルスの影響

    コロナ禍の環境変化は、医療的ケア児とそのご家族にも様々な影響を与えた。この時期の

    相談内容として以下の相談があった。

    <新型コロナウィルスへの対応>

    4

    10

    20

    16

    35

    10

    5

    10

    15

    20

    25

    人工呼吸器 気管切開 経管栄養 吸引 酸素 その他 なし

    実施されていた医療処置 (n=27,重複あり)

    3

    11 11 11 10

    53 4

    8

    2

    02468

    1012

    相談内容 (n=27重複あり)

    図7

    図8

  • ・子供が感染した場合、入院すると会えなくなるといわれた。

    ・親が感染した場合、子供のケアはどうなるのか、引き受けてくれる病院はあるのか。

    <福祉サービスの利用>

    ・通所施設に行かせているが、大丈夫だろうか。

    ・感染を心配し、通所施設や居宅介護は断ったが、いつ再開すべきか。

    ・同じ放課後デイサービスを使っている子供が濃厚接触者になったかもしれない。

    ・学校に行かせたいが心配で行かせられない。

    ・重度心身障害者施設の短期入所が取れない。

    <生活の変化>

    ・アルコール綿などの医療ケア物品が手に入らない。

    ・通所を休ませているため、日常生活の買い物もいけなくなった。

    ・近所の生活音が気になり、攻撃されているようで自宅にいられない。

    ・きょうだい児が不登校になり、母の負担が増えている。

    ・コロナの影響で父が失職、保育園に行けなくなるかもしれない。

    医療ケアを必要とする障害児者は、基礎疾患を有し、感染すると重症化する可能性の高い

    最もハイリスクなグループである。感染リスクを避けるための自粛した日常生活の中で、介

    護する家族の介護負担の増加による身体的な疲労に加え、子供の生命の危険を心配しなが

    ら、社会生活参加のためどこまで生命のリスクを取るべきかという葛藤を感じ、難しい選択

    を迫られている。今後もこれらの課題は続くことが予想され、様々な状況における生活支援

    や意思決定支援が必要と思われる。

    4)考察

    訪問看護師との協働において、ソーシャルワーカーの介入が必要と判断したケースのほ

    とんどは重度心身障害児・者や医療的ケア児であった。この理由として、相談支援事業に

    よる計画相談支援が横浜市では障害福祉サービス利用者の 3 割しか利用しておらず、相談

    支援員による計画相談支援が浸透していないことがある(横浜市健康福祉局 2019)。

    また、重度心身障害児・者や医療的ケア児の支援は、医療や福祉に関する制度が複雑で

    あることや、成長とともにニーズが変化すること、主介護者である母親の負担軽減やきょ

    うだいじを含めた家族への支援など、幅広い濃厚な支援が必要であるにも関わらず、支援

    事業所が限られ、計画も広がりの少ない支援内容にならざるを得ないことなどが要因とし

    て考えられる(岡田他 2015、中井他 2011、丸山 2009)。

    医療技術の進歩により、人工呼吸器、経管栄養、吸引など、医療ケアが必要な重度心身

    障害児・者は増加している。地域生活を支えるため、国も支援体制の整備のため保健、医

    療、福祉などの連携を進めるための施策を推進しており(厚生労働省資料 2019)、地域に

    おける多職種連携を進めるため、質の高い訪問看護が期待されている(平成 30 年診療報

  • 酬改定資料)。医療ケアは訪問看護の得意とする領域であり、こうしたニーズや期待に応

    える為にも、訪問看護ステーション相談支援機能を充実させることは重要と考える。

    訪問看護ステーションにおける相談支援機能を周知するツールとしてパンフレットを作

    製した。また医療的ケア児を持つ親に対しては、ライフステージにおける社会資源が見通

    せるような図も加えた。これらを利用しながら相談支援の地域拡大を進めていきたい。

    2.医療的ケア児の保護者の交流会

    医療的ケアの必要な子供との生活の中で、親は孤立しがちになってしまいがちである。

    日々の訪問の中で親同士交流の必要性について看護師から提案があった。ソーシャルワー

    カーの訪問においても、同じ年齢の子供や親と交流ができるよう、地域の赤ちゃん会や子育

    て支援センターでの集まりを紹介していたが、外出することの大変さや、医療ケアや障害に

    ついてどう説明するかなどを考え、地域社会に出ていくことに高いハードルを感じている

    家族が多かった。そこで、地域社会とつながる体験をしてもらうことを目標として、家族交

    流会を企画した。

    1)準備

    対象者は、当ステーションを利用している医療ケアを必要とする子を育てている家族と

    した。7家族に声をかけたが、体調などの理由で最終的に参加は5家族(親 6 名子ども3

    名)で加えて、日ごろ協力体制にある在宅支援診療所、訪問看護ステーション、訪問薬局に

    声をかけ、スタッフとして参加してもらうこととなった。

    場所については、地域の子育て支援センター、地域包括支援センターなども検討したが、

    最終的に地域にある新設の企業型保育園より場所の提供を受けられることになった(添付

    資料1)。

    2)会の進行

    医療ケア児のいる家族 5 家族(親 6名子ども3名)が会場に集まった。スタッフが保育を

    提供しながら親たちが子供のケアから一時離れ、ゆっくりと話ができる場を作った。

    アイスブレーキングとして、自己紹介と「こども自慢」をしてもらいながら、それぞれの

    経験や今の思いを共有した。その後はフリートークタイムを作り、スタッフとの交流やお互

    いの子供たちとも触れ合う時間を持った(添付資料2)

    3)参加者アンケート

    参加後のアンケートからは、以下のような回答を得られた。

  • 満足度:会の満足度については、概ね「満足」

    との回答を得られた(図9)。

    企画内容:企画内容については、お互いの交流

    について評価されるとともに、「一時保育の紹

    介」という社会資源の情報についても高い評価

    が得られた(図10)。

    次回の参加希望:

    次回の参加希望についても、概ね参加したい

    との希望があった(図11)。

    企画の頻度:

    企画頻度については、2~3 か月に一度程度が

    最も多く、中には毎月参加したいという回答

    もあった。定期的な開催を希望されていた(図

    12)。

    希望する企画内容:

    企画内容としては、外出よりもゆったりとした

    落ち着ける場所を希望されている方が多かっ

    た(図13)。

    自由記載:

    自由記載の欄では、「不安が解消された」

    「(会場の広さが」子供たちに目が届きよかっ

    た」、「近くに同じようなお子さんがいるとは

    知らなかった」、「他のお子さんも抱っこする

    ことができて、みんな一生懸命生きていると

    感じた」などの感想が寄せられた。

    0 2 4 6

    満足

    やや満足

    どちらともいえない

    やや不満足

    不満足

    満足度 n=6

    0 2 4 6 8

    一時保育の案内

    子どもの交流

    ママ・パパ交流

    その他

    企画内容 (n=6 複数回答あり)

    0 2 4 6

    ぜひ参加したい

    参加したい

    タイミングが合えば

    あまり参加したくない

    参加したくない

    次回の参加希望(n=6)

    0 1 2 3 4 5

    毎月

    2から3か月に一度

    半年に一度

    年に一度

    開催頻度 (n=6)図12

    図11

    図10

    図9

  • 新型コロナウィルスの影響で、4 月に

    予定していた家族交流会は中止となり、

    以降このような会は実現していない。今

    後は、感染防止対策を行いながら、新し

    い生活様式での家族会開催を検討する必

    要がある。Web 会議での開催や、地域の

    子育て支援センターなどのとの連携をす

    ることで、利用者の輪を広げながら支援

    を継続していきたいと考える(添付資料

    3)。

    おわりに

    訪問看護ステーションにおける相談室として看護師とソーシャルワーカーの協働体制を

    進める過程で、地域における医療的ケア児や重症心身障害児・者に対する相談支援が不足

    している状況が明らかになった。訪問看護は、重度心身障害児・者や医療的ケア児にかか

    わることで、日々の生活支援から成長に伴う変化に柔軟に対応しながら、継続した支援を

    提供することができる。そこにソーシャルワーカーが加わることによって、訪問看護ステ

    ーションにおける相談支援の機能が広がることを実感することができた。

    今後は、訪問看護ステーションによる相談支援事業の地域に向けた周知を進めていき、医

    療的ケア児者・重症心身障害児者に対し、訪問看護ステーションの強みを活かした支援体制

    の構築を目指したいと考える。年齢、障害、疾病に問わず、住み慣れた地域で生活できる地

    域包括ケアシステムの構築するために、支援につながりづらい人々が取り残されることが

    ないよう訪問看護ステーションとしての相談機能の充実を図っていきたい。

    「訪問看護ステーションなどが開設する医療・介護の相談室づくり」の助成を通し、相談

    支援体制を整える機会を与えていただいた勇美記念財団に感謝申し上げる。

    0 2 4 6

    ゆったり会話

    勉強会

    遊びの会

    イベント会

    おでかけ

    その他

    企画の希望 (n=6 複数回答あり)図13

  • 参考資料

    Caproni.P.J (2005) Management Skills for Everyday Life 2nd ed.,Pearson Education,Inc.

    末光茂、大塚晃 監修(2017)「医療的ケア児等支援者養成研修テキスト」中央法規

    堀越由紀子(2020):多職種・他機関連携の支店と方法 -協働の力を生かそうー」 2020 年

    度神奈川県医師会在宅医療トレーニングセンター研修会資料

    中井敦美、他(2011)「したい受持有事の母親における社会資源の利用プロセスの検討」小

    児保健研究 70(5)676-682

    谷口美紀、他(2004)「小児在宅医療及び育児を支えるための訪問看護ステーション利用の

    現状と課題 日本新生児看護学会誌 10(1)10-37

    在宅医療介護連携を進めるための情報共有と ICT の活用、平成 24 年度厚生労働科学特別

    研究事業 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-

    Hokenkyoku/0000119320.pdf

    厚労省 地域包括ケアシステムの実現に向けて

    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/c

    hiiki-houkatsu/

    丸山真紀子(2009)「在宅療養中の重症心身障害の社会資源利用に関する文献検討―家族の

    ニーズに焦点を当ててー」宮城大学看護学部紀要 12(1)99-106

    岡田喜篤 監修 (2015)「重症心身障療育マニュアル」医歯薬出版

    横浜市健康福祉局障害福祉課(2019):指定特定相談支援事業所を対象とした集団指導資料

    file:///C:/Users/tomok/Downloads/CT12N1767.pdf

    横浜市こども青少年局障害児福祉保健課(2019)令和元年相談支援事業集団指導資料

    「公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団の助成による」

  • ママ会のお知らせ

    日に日に寒さが増してきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

    この度、NPO法人おれんじハウスと共同で、ママ会を企画いたしまし

    た。

    医療ケアのあるお子さんと生活していらっしゃるお母様、お父様方が、

    一息つける場になればよいと思っています。ぜひご参加ください。

    日時:令和 2年 1月 10日金曜日 13半時から 15時

    場所:おれんじハウス反町保育園

    神奈川区広台太田町1-1 横浜銀行アイスアリーナ 1階

    当日、おれんじハウスの一時預かり事業の説明会も行います。

    ご参加希望の方は、訪問看護ステーション芍薬看護師にお伝えくださ

    い。

    訪問看護ステーション芍薬

  • 本日の次第

    13:15 開場 お子様の保育見学

    13:30 開始

    13:30-14:00 おれんじハウス一時ケアについて

    14:00-15:00 自己紹介

    「オランダへようこそ」のご紹介

    トークタイム

    15:10-15:30 終了

    *アンケートへのご協力をお願いいたします。

    主催 訪問看護ステーション芍薬

    (小澤、石崎、山口、山村)

    協力 おれんじハウス

    こども訪問看護ステーション

    (本川、竹内)

    おれんじハウス反町保育園

    (小野、石村)

    福澤クリニック

    (袴田、笠原、小林)

    薬樹薬局三ッ沢 2号店

    (倉橋、小野田)

    令和 2年 1月 10日(金)

    おれんじハウス反町保育園にて

  • ありがとうございました

    またお会いしましょう!

    令和 2年 1月 10日(金)

    おれんじハウス反町保育園にて