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1 それでは、実際に社会福祉士がどのような現場で働かれているのかを見てみましょう。これから、いくつ かの施設を紹介します。それぞれの種別によって社会福祉士がどのように働かれているか、また、共通 するソーシャルワークの視点とは何か、といった点にも着目しながら視聴してください。 相談実習オリエンテーション 3講第2

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Page 1: 相談実習オリエンテーション第3講第2 - 日本福祉大学...かの施設を紹介します。それぞれの種別によって社会福祉士がどのように働かれているか、また、共通

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それでは、実際に社会福祉士がどのような現場で働かれているのかを見てみましょう。これから、いくつ

かの施設を紹介します。それぞれの種別によって社会福祉士がどのように働かれているか、また、共通

するソーシャルワークの視点とは何か、といった点にも着目しながら視聴してください。

相談実習オリエンテーション 第3講第2章

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石田)私が中学生の時に、すごく仲の良い友達がある日突然学校に来なくなったのですね。それで、い

わゆる不登校だと思いますけれども、特にいじめがあったわけでもなく、本当に昨日まで一緒の部活だっ

た、私も吹奏楽部だったのですけれど、それこそ演奏会に向けて、みんなで演奏している中で、じゃあま

た明日も頑張ろうねと言って別れて、その時突然、次の日から来なくなってしまったのですね。その時に、

何でだろうなとすごくやはり考えていて、私が中学生の時に、ちょうど中学校にスクールカウンセラーが

配置される多分初年度だったと思うのですけれども、その先生に、私が相談しに行ったのです。誰に相

談してよいか少し分からなかったもので。その時に、すごくよく親身になって聞いてくださって、最初はカ

ウンセラーという職業がいいかなというように少し思っていたのですけれども、もともと母親が社会福祉と

いうか、児童養護施設などに、何となく福祉関係の仕事って大まかには身近にあったのですけれども、そ

の中でもっともっと詳しく調べていくうちに、社会福祉って、結局人とではなくて、環境のものも調整できる

ものなのだなというのが。多分、本か何かで多分読んだのでしょうね、その時は環境って何だとか、全然

分からなかったですけれども、何となく私の中で、その人の問題だけじゃなくて、例えば家族だったりとか

その他にも、もしかしたら働き掛けられるのかなというのが、どこかでこう思ったのだと思うのですけれど

も。そこから、社会福祉をやってみたいなと思って、社会福祉がある大学を選んだのですね。

8時半から職員全体で今日1日の流れと利用者の特記を朝礼という形で発表します。9時半くらいから、皆

さん作業に行かれる方と、あと就労移行の場合には就労準備プログラムということでプログラムを週間で

予定を出していますので、その準備とプログラムが入っているときにはプログラムを職員が全て一から考

えて行います。皆さん15時半くらいまで作業だったりとかプログラムを受けていただくので、15時40分から

今度は終礼になります。就労移行の方は1日の流れを自分で書いてもらうようにします。今日はこの仕事

をやりましたとか、こんなプログラムを受けましたとか。

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それでその日誌を職員がチェックをして、次の日の目標を必ず考えていただくのですけれども、その日で

なかなかできなかったことだったりとか、新たにまたやってみたいことというのをご本人と一緒に考えたり

とか、ご本人に考えてもらえるように声を掛けたりとかして、目標を書いていただいて、それで、利用者さ

んの方には帰っていただきます。16時まで終礼なのですけれども、16時15分くらいから職員でミーティン

グということで今日1日の利用者の方の状況であったりとか、あと外部からやはり連絡が来ていて、例え

ばハローワークさんから求人が来たりとか、八王子市の就労生活支援センターの方から、就労された方

の情報だったりとか、これから就労する方で「動きどうなってますか」という連絡が結構来たりするのでそ

の確認の共有を職員全体で行います。16時45分から所内全体のミーティング(終礼)がありますので、そ

こに参加して、17時に終了ということになります。人と向き合うのはすごく、この仕事は濃いなというのは

思えます。一人一人やはり課題も違いますし、抱えている問題とか特性とかが違うけれども、そこを何か

お手伝いする中で、ご本人たちがやはり自分で働いてお金をもらって、大変いろいろありながらも、お金

をもらって続けていくことを身近に感じられるということは、一緒に歩んでいけるということは大変ながらも、

私としてもやりがいがあるかなというように感じます。施設の中で、例えば就労移行の準備として言葉遣

いであったりとか、先ほどもやったようにあいさつ一つの練習であったりとか、身だしなみであったりとか。

本当に一つ一つあるのですけれども、そこがどんなにクリアできても就職してから、人間関係とか、仕事

の内容とか、あと休日の過ごし方とか、生活面のこととか。いろいろ出てくるわけですよね。そこが、やは

り正直なところ、こんなに頑張っているのにどうしてここで駄目になってしまう、もったいないよねというそ

の気持ちと、しかし、援助というか支援をしていく仕事と、この自分の気持ちの葛藤というのかやはり人間

なのでスムーズに仕事が流れていったほうがいいよな、と思う時も。

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やはり、どうしてもそういう気持ちはあるのでそこに向き合い続ける覚悟というのか。それは一番大変な

ことなのかなというように思います。私たちも就労移行にはなるのですけれども、どこの実習先さんでも

同じかと思いますが、まず最初に利用者さんとの信頼関係を作っていただくために、まずは利用者さんと

同じような動きを何日かしてもらいたいと思っています。というのは、だからといって一緒に作業を体験し

ていただいたりとかというものがあって、その中で、まずは利用者の方がどういう目的でこちらに来て、ど

のようなことを学ぼうと思って、何を目指しているのかということを知っていただいた後に、その後、職員と

しての朝礼をやっていただいたりとか、日誌を見ていただいたりとか。日誌に私たちはコメントとか書いて

いるのですけれども、そういうことも職員と同じように動いていただく、というようにしています。その他に、

やはり個別での利用者の方を知るためには、実際に何かしなくてはなかなか難しいので、就労プログラ

ムを最後には必ず考えてもらうようにしているのですね。その方の支援計画は、私たちの方でだいたい

立てていますので、そちらを見ていただいたりとか、あと、記録を見ていただいた中で、実習期間の中で

実習生の方が見て、ここが例えば就労に対して、もっとやった方がいいのではないか、こういうことがあっ

たらもっといいのではないかという視点を持っていただくために、全て一から考えていただきます。その中

で、実際にプログラムをやっていただいて、自分のプログラムの内容は、最初なのでなかなか難しいと思

いますけれども、どういうところを考えて、どういう目的でやったのかということを大切にしていただいて、

実習として何か一つ、自分が職員として一つ体験するということができたらいいのかなというように思って

います。私自身も社会福祉士を取る時に現場実習を1カ月ぐらい行きました。その時に一番思ったのは

利用者の方との信頼関係を築くことの大変さを学んだのですけれども、しかし、その大変な後にはすごく

信頼関係ができた後というのは楽しくなってきて、そしていろいろなことを教えていただいたのですね。

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やはり学生の時には自分が何かをしてあげたいとか、こんなことができたらいいなという思いの方が強

かったのですけれども、実習に行った時には、それは少し違ったなとすごく思って、どの施設に行っても

利用者の方から教えられることの方が多かったですし、職員の方の動きを見ても学校ではやはり学べな

かったこととか、言葉遣いとか、雰囲気とか。やはりいろいろな方がいると思うので、それをまねして、自

分の中にいいところは取り入れられたらいいのかなというように思います。頑張ってください。

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松田)この仕事に就くきっかけとしては、自分が大学に入る前、1年間浪人する期間があって、そこでもう一度

自分が何をしたいのかなということを考えました。そこで考えている時に、中学の時にサッカー部の顧問だった

先生が特別支援学級の先生をしていたということもありまして障害を持っている方と接する機会が多かったの

で、それを生かせるのではないかと思いましてこの仕事を選びました。大学に入った時は特に障害とか老人と

かは考えていなかったのですがホームヘルパーの資格を取る時に、特別養護老人ホームに実習に行って、そ

の後に社会福祉士の実習で聴覚障害者の施設に行ったのですが、その両方を見てみて、自分に向いている

と感じたのが、障害者の方が自分に合っているのではないかと思いまして、この障害の方を選びました。

ここの施設もそうなのですが、重度の方と言葉でのコミュニケーションということがなかなか難しいので、相手

は一生懸命伝えようと思っていろいろな行動で示すのですけれども初めて会ったりすると、なかなかそれを読

み取れなくて、相手の思っていることをうまくくみ取れないというところが少し大変だったなと思います。日常的

にはやはり一緒に利用者の方と楽しく過ごす、利用者の方が笑顔で活動されていたりを見ていると、うれしい

なと思いますし、あとは保護者の方からも「ありがとうございます」などそういった言葉をいただけると、この仕

事をしていて、自分が何か役に立てているのだなと思って、それはうれしいと思っています。利用者の方が何

が思っているのかを聞くということを大事にしています。やはり言葉で伝えるということが難しい方が、特に自

分がやっている仕事では多いので、その行動の一つ一つをじっくり見て、その人は何を伝えたいのかをしっか

り考える心は大事にしています。

1日の仕事の流れとしましては8時半に朝の会をやりまして、その後、利用者さんを迎えに行きます。利用者の

方が全員登所されたら朝の会を、各グループ、4つのグループがうちの施設にはあるのですが、そこに分かれ

て、朝の会をして、1日の流れを確認します。その後、日中プログラムを実施していきます。午前の日中プログ

ラムの方が終わりましたら給食になって、その後、1時間半ほど休憩の時間があります。1時45分から午後の

日中プログラムをやって、その後に帰りの会をやって、次の日の活動内容の確認をしまして降所という形にな

ります。私自身の仕事に関しましては、送迎がある日は送迎が終わった後、戻ってきてからその日にやった利

用者の様子などを記録したり、ケースカンファレンス、支援サービス計画書などの仕事をしています。

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送迎がない日に関しましては、利用者の方が降所された後、掃除をして、その後に記録やそういった仕

事をしています。基本的には午前と午後の日中プログラムを一緒に支援についていただいて、最初の1

週間ぐらい見ていただいて、その後少しずつ支援員が見守る中で、一緒に直接介助したりということをし

ていただいています。希望を言っていただければ、利用者の方が降所した後に空き時間がありますので、

そこで実際にサービス計画書を見ていただいたり、もし作る過程を見たいということであれば、提供でき

るかと思います。

知的障害の方と重度の方が多いので、特に自閉症の方などが多いので、自閉症に関するTEACCHプロ

グラムや、ABA(応用行動分析)なども一応この施設では取り入れているのでそういったことに関して、あ

らかじめ勉強しておいていただけると、支援でどういった場面で使っているのかということが分かるので、

スムーズに活動できるのではないかなと思います。

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大塚)実は私がこの世界に入ったのは27歳なのですね。それまでの3年くらいいったん一般企業に入って

いるのですけれども、退職させていただいて、その後、要するに俗に非常勤というか、もっと偏るとフリー

ターみたいな感じでずっといた時期があったのですね。その時というのはやはりこの世の中の雇用情勢

も厳しくて、なかなか正規職員というのでは就職が難しい時期。ちょうど自分が非常勤だったときが介護

保険がスタートして、「福祉」という言葉を聞いたときに、自分がそういう所に身を置くことによって、少しで

も自分がその世の中の人の中の1つとして、何か役に立てたらいいのかなという気持ちがあって、この福

祉の世界に、27歳のときから始めたというきっかけがあります。前職とある程度影響があるのかなと思う

のですけれども、私は小売業界の方にいた人間ですから、数字だったりとかそういう形の見えるもので、

評価される世界だったのですね。相談業務に行きたいなと思ったときに、一人の人という、やはり数値で

測れない、その人の人生だったりだとか、思いだったりとかその人と一緒に、何か方向に向かって、相談

に乗りながら、自分が関わっていけるということがすごく良いのではないか、やってみたいな、ということ

があって、少し一歩を踏み出してみようかなと思ったところですね。やはり援助をする援助観とか、あとは

相手の価値観を知るとかにあたって、やはりそもそもの大きな根本は、自分自身の価値観だったり、そう

いうものが援助にすごく影響するのだということ。その日々の相談業務とか援助する中で、やはり自分自

身と向き合う。自分自身のその価値観、この価値観で本当に良いのだろうか、援助間と自分の価値観と

のぶつかり合いとか、そのようなところを非常に感じるので、私自身は自分自身がやはりどこまで客観的

に自分自身を見られるのかとかやはり自分の在り方ということは日々見つめられる、突き付けられる、そ

ういうところはすごくやりがいになり、自分自身も成長できるというきっかけになれるのかな。それは要す

るにいろいろな人の人生、生き方を通じて、感じることはとても多いので、とてもやりがいがあるというよう

に思いますね。私がよく向き合っていて思うことは、やはりアルコール依存とかそういう方のケースで、や

はりアルコールというものは飲んではいけないとアルコール依存に対して言うことは簡単だと思うのです

よ。でもその人の生き方、人生というところを考えた場合に、アルコールなしでは、本当にこの人はこれに

しか頼れなかったのだろうな、というところを感じた場合に、その本人の気持ちを考えると、一方的に駄目

だ、というのではなく、どうしてお酒を飲まなくてはいけないのか、というところに焦点をしていく。

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そこのところに本人が何を葛藤して悩んでいるのか、というところに向き合うところまでいかないと、やはりそこ

のところは本人と本当に向き合うことができない。私もやめてほしいのだけれども、なかなかやめられない本人

がいるというジレンマというものがあって、その中でどのように本人がお酒を減らすなり、なんなり、とにかく本

人のお身体の状態、あと本人がどのような生活をしたいのか、という目標に向かって、どうアプローチしていけ

ばいいのか、というところで思考錯誤するところが、向き合う、やっぱり、その都度。そしてこれは毎回同じパ

ターンではなくて、本当に人それぞれ千差万別あるので、その都度、向き合っていくことの難しさというものが、

そこが一方でやりがいではあるのかなと思います。やはり形がない。本当に相談にはいろいろな人がいらっ

しゃいますし、性別もそうですし、お国柄もそうですし、生き方だって本当にいろいろな生き方をしている中で、

どう相談ケースに対して個別個別で相手を尊重、自己決定とか大切にしながら支援できるのか。さまざまな方

と地域の方も含めて、関わって動いていかなければいけないので、その中でどう対応していくか。なるべく自分

で抱えすぎないように他の関係職種と連携をして、共有しながらやっていこうとは思うのですけれども、やはり

そこが自分では大変だなと思うところですね。基本的には同じ職種ですね。社会福祉士なら社会福祉士の、例

えば他の施設の方に話をするであるとか、自分がこういったことで困っていますということを話したり、ピアでお

話をしたりだとか、あとはスパーバイザー的な感じで、私もカウンセラーの先生ですとか、お知り合いの先生が

いらっしゃいますので、そういうときに、勉強会とかも定期的に参加しているので、客観的に見てもらったりであ

るとか、ということで、なるべくはそういう大変さを軽減していこうかな、と思っています。一つはやはり本人の自

己決定。いろいろな障害があったりとかで、自己決定をすること自体が大変な方もいらっしゃるとは思うのです

けれども、そういう中でもどれだけご本人様の意思を尊重していくかということが一つだと思います。もう一つと

しては、ご本人様の希望があって、例えば在宅でこういうように過ごしていきたいというときに私たちの援助側

の方が目標を決めて、ここに行きましょう、ではなく本人と話し合って、本人がどういうところで生活を望んでい

るのか、もちろんリスクはあると思うのですけれども、そういうところもお互い話をしながら、あとは、どういう社

会資源が、人が必要なのか話をしながら、最終的に本人が目指すゴール、ある程度の目標があるとは思うの

です。それに向かって私たちが引っ張っていくのではなく、並走する。一緒にプロセスに関わっていって、歩ん

でいけたらいいのかなというところは、援助職として大事にしている部分でもあります。

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包括支援センターの社会福祉士の業務といわれていて、基本的に三職種は共通基盤、総合相談とか権

利擁護、包括的ケアマネージメント、介護予防とケアマネジメントがありますけれども、まずは総合相談と

いう意味で、突然窓口に来られたりする方だとか、あとは電話をかけてこられたりする方もいますので、

そういう方の電話、もしくは面接対応をさせていただく形になるかと思います。面接を受けさせていただい

て、その中で緊急な対応が必要ということになれば、早急に訪問と、もしくは関係機関の方に連絡をして、

調整をするということもありますし、また緊急性がない場合については、情報提供のみであったりとか、あ

とは別日にご自宅に訪問することをご了解、本人様がいらっしゃれば訪問させていただくということをさせ

ていただいています。それ以外に包括で出てきた相談票ですね。各自の相談票等のデータの入力で

あったり、分析に向けての資料作りであったりとか。あとは週によってですけれども、定期的に社会福祉

士としての会議とか、区役所との定例のカンファレンスとかありますから、そういうのに出席しながら地域

の状況だったりとか、個別のケースの対応だったりとかの情報提供というのを集めております。まずは実

習生さんがどういう課題、目標と課題を持ってこちらに来られているのかというのを見た上で、プログラム

を作成させていただくという形になります。プログラムの作成にあたっては、日本福祉大学さんの方から

出ている実習要項のものを参考にさせていただきながら、基本的には職場、職種、ソーシャルワーク実

習という3つをもとにプログラムの方は組んでおります。その中で私どものやはり地域の事業、例えば配

食のお弁当とか、そういうところに実習生さんを同席させたりとかですね。基本的には今ある私たちの包

括でやって、もしくは関連している隣接している事業、もしくは会議とか、共済事業とか、あとは区役所の

カンファレンスとかそういうところに実習生を同行して、その中で事前にテーマを出して、考えてきてもらう

ということもあります。私としては、なるべくやはり実習生さんにはいろいろな事業、地域の団体さんと関

わっていっていただきたいと思いますので、ケアマネージャー、看護師の事業にも一緒に出席してもらい

ますし、地域の事業に関しましては、横浜市ですと地域活動交流という部門がありまして、そこが地域の

窓口の大きな役割を果たしていますので、そちらの地域交流のコーディネーターと連携をしまして、地域

交流が展開している事業、そこに一緒に同席してもらうというような形で、実習生の方にはプログラムとし

て、中には一応組み込ませていただいています。

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そうですね。まずは基本的にはこちらに来てもらう施設の概要ですね。横浜市は地域ケアプラザというで

すね、複合施設の中に地域包括支援センターが入っております。ですから地域ケアプラザとか、そういう

ところはどういうところなのかとか、そういうところを踏まえて、まずはまだ基本的なことを学んでいただき

たいかなというように思っております。自分の目と足を使っていただいてできれば見ていただけると、実

際に実習に入ってきたときに、後々からですね、その調べてきたものが、こう結びつくことが結構あるんで

すね。

介護保険の前提は、その仕組みとかはもう知っていただく。私自身がやっていることなんですけれども、

ソーシャルワーク実習のところで、実は面接のロールプレイをやらせていただいております。それは実習

生の面接です。社会福祉士としてですね。相談員として役割りを担ってもらって、相談する側は一応私が

担当するようになっています。相談内容はもう一般的な介護保険のことであったりであるとか、主訴が

はっきりしないのだけれども、例えば私の母親が最近物忘れがひどくなったであるとか、そういうテーマ

で面接をやらせていただいております。時間は15分、30分を考えているのですけれども、やはりその中で

事前学習をした地域包括のこと、介護保険のこと。そういうところがやはり役に立ってくる、ということがあ

るのですよね。ですからやはり最初にやった事前の勉強というものは、絶対実習の中でも役に立ってくる

ことがあるかと思いますので、特に社会人の方などは大変時間のない中だとは思うのですけれども、お

時間を使っていただいて、基本的なところは押さえていただきたいかな、と思っております。実習中のプ

ロセスを私は大事にしています。結果がどうこうではなく、その一つ一つのプログラムであるとか、実際に

訪問に行ったであるとか、地域の人に話を聞いたとか、その中で実習生がどう感じたであるとか、これか

ら自分がどういうふうにやっていきたいであるとか、そういうところを私は大事にしていきたいと思います。

やはり実習生一人一人がもっとチャレンジをしてほしいと思います。いろいろと緊張もして、これしたらよ

いのだろうか、あれしたらよいのだろうか、ととても悩まれることがあるのですが、その悩みも是非実習指

導者に話してほしいのですね。その悩みを一緒に共有しながら、では実習生の目標をどうしていこうか、

というところをとても大事にしたい、と思っていますので、是非チャレンジですね。臆せず取り組んでいた

だけたらな、と思います。

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社会福祉士を目指していたというよりは、高齢者に関わるお仕事がしたい、というのがもともとのきっかけなんで

すけれど、中学・高校のときのボランティア体験で養護老人ホームに行かせていただいて、お掃除したり、お料

理を一緒にしたり、そんなささいなことで、すごく「ありがとう」と言われる体験ですごく感動して、何か高齢者の方

に対して支援できるお仕事に就きたいなというのがもともとのきっかけで、どういう道があるのかなと自分で探せ

ばよかったのですけれど、高校のときに日本福祉大学が近いし、有名な大学だからということで勧められて進学

したのが社会福祉士を目指すきっかけだったかなと思います。やはり認知症の方ですね。認知症の方に接して、

どうやってコミュニケーションをとったらいいのかな、この病気ってどういうことなんだろうというのを、どんどん深く

知れば知るほど、もっとこの人たちに何か支援ができないのかなとかこの人たちと会話を成立させるためにはど

ういうコミュニケーションをとればいいのかななどといろいろ考える部分があって、すごくそこはやはり興味深くて、

アメリカに行くきっかけにもなったのですけれども。一日じっくり高齢者の方と関わって何か、しかも英語が好き

だったので高齢者の方の施設でボランティアしながら語学を勉強しませんかというプログラムがあったときに、こ

れは私に適しているなと思って、試験を受けさせていただいてて、行く機会をいただいたのですけれど。英語が

好きだとは言ってもコミュニケーションがうまくとれるわけではないので、英語でどうやって認知症の方と接しよう、

どう言葉を選んで良いのか本当に分からなかったので、逆に日本に戻ってきたときに、日本語をうまく使う大切さ

というのが学習になりましたし、認知症の方と接するときにこういう言葉を選んだほうがこの方に理解がしやすい

のだ、という勉強に本当になりました。正直、想像していたよりはしんどいですね。高齢者の方と接していればい

いというものでは正直ないですし、その方の背景にあるものだとか、ご家族様、社会、消費者としての接点がや

はり出てくるので、支えるものは高齢者だけではなくて、本当に社会全体を見るのが社会福祉士の仕事だな、と

いうのは思いますし、相談員の仕事をしているとやはりこういうところが法律として足りないとか、ハード面でこう

あったら良いのにというのはいろいろ、地域に目線が向いているかなと、向けていかないといけないのかなとは

思いますね。「ありがとう」をすごく言われる機会が多いですね、すごいささいなことでも「ありがとう」と利用者さん

は言ってくださいますし、ご相談に来られた方も「お話聞けてよかったわ、ありがとう」と言ってくださったりだとか、

すごく小さなことでも感謝して皆さん帰られたりというのがあるので、そういうことで嬉しいなと、何か役に立てた

のだなとすごく嬉しさを感じることが、やはり「やりがい」かなとは思います。

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もともと対人援助の仕事では、本当にコミュニケーション成立させること、信頼関係を構築することが、本当

に難しいと思うのですよ。その中で「ありがとう」が出てくるということは、相手の方と関係が何かとれたとい

う証拠だと思うのですよね。だからやはり嬉しいのかなと、思うことが多いですね。コミュニケーションをとる

ことが難しくて関係がうまく構築できなくて、苦情になってしまったりだとか怒られたりだとか、というふうに

なってしまうと、やはり少ししんどいなという部分もありますし、あと勤めているところが特別養護老人ホー

ムなので、どうしても利用者さんのほとんどの方が亡くなられて退所されていくものですから、どうしても喪

失感に耐えることが結構毎回大変ですね。まず一番は、やはりご本人様が一番大事で、ご本人様が中心

である。ご本人様に沿った対応を考える、ということですね。本人の利益が一番というのは常に大事にして

いるところですね。こういう人が入所したいと言っている、とご家族様から言われた場合も、本人にとってう

ちに入ることが良いことなのかな、というのをまず第一に考えたいと思うので、ご家族が言うので入るので

はなく、ご本人様にとって家にいるよりもうちがいいのか、というのを考えていくようにはしています。実は決

まったものはなくて、朝の9時の申し送りが終わったら後はスケジュールは自分で組み込んでいるものなの

で、日によっては入所の対応で一日つぶれてしまうこともあるし、相談でつぶれている日もありますし、外に

面接に行ったりだとか、日によって行事だとかあれば行事の担当をしていますし、外出の運転手をしている

ときもありますし、看取り介護を私たち実践している施設なので、最期が近づいている方のお部屋には必

ず毎日行こうとか、少し最近体調悪い方は必ず顔を見に行くとか、というので意識的にフロアに上がってご

本人様とお会いして、関わる職員たちと話をして、例えばご家族様に連絡した方がいいのかなとか、通院

を考えた方が良いのではないかな、とか思ったらナースと相談をしたりとかというのでなるべく関わるように

はしています。利用者さんに直接介護するのはもちろん介護職員、看護師なので、ご家族様にどう支援し

ていくかを考えるのが相談員として求められている部分かな、というのがあるので、たとえばいよいよ危な

いよとなったときに、どういうお言葉をかけたらいいのかなだとか、どういう説明をしたらご家族様にとって

理解をしてその瞬間を迎えていただけるかなということでその喪失感に対するフォローですね、私も必要で

すけれど、ご家族様へのフォローをすごく考えるようにはしています。

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基本的にはいわゆるOJTでうちは対応しているので、もう本当に相談員の横にくっついてもらって、個人

情報の問題のない範囲でお申し込みに立ち会ってもらったり、入所相談に立ち会ってもらったり、あとは

入所のご契約だとか、面接とか可能な範囲で立ち会ってもらうというのがまず第一ですね。あとは実習生

のうちでしかできないと思うので、介護職員と一日一緒にいていただいたり、看護師にも実は一日一緒に

付いていただいて嘱託医の話も聞いてもらったりだとか、という機会も設けておりますし、あとは行事を一

緒にしたり、企画したりだとか、あとショートステイの送迎に外に出ていただいて、地域とのつながりを見

ていただいたり、というので対応させていただいているのと、あとはケアプランですかね。個別支援計画

もなるべく作成した方がアセスメントの力を身につけるという意味で、すごく大事だと思いますので、せめ

てアセスメントだけでも頑張っていこうということで、ケアプランの導入部分を説明するようにはさせてい

ただいています。とりあえずアセスメントの前に、利用者さんとのコミュニケーションをとって関係を築いて

からだよということを再三言っているので、いきなり初対面の人に個人情報を聞き出すのはすごく失礼な

ことだということで指導はしていますので、なるべくコミュニケーションをとって相手も関係を作れるなと

思ってくれたときにアセスメントをしよう、ということで指導しているのと、あと例として、私がどういう対応

で、例えば入所相談に来た方の申込書を作るというのも結構アセスメントだと思うので、それを見ても

らって、私が初対面の方に対してどういう質問をして、どういう失礼のないように対応していくのかな、と

いうのを見ていただいた上で進めるようにするというので、なるべく土台を作った上で入るようにはさせて

いただいていますね。心構えの部分だと思うのですけれど、お相手が高齢者の方で、人生のすごく先輩

でいらっしゃるというので尊敬の念を忘れていただきたくないので、接遇の部分は基本事項なので、あい

さつをするとか言葉遣いをまず大前提として身に付けて来ていただきたいな、という子がたまにいます。

あとはベースの部分が分かっていないと、次に進めないので、施設の概要だったりだとか法制度とか、そ

ういったことはもう事前に頭に入れてきていただいて、「ああ、今はこの制度を使って説明をしているんだ

な」と「介護保険のこの部分なんだな」というのが分かったり、生活保護とか実際に使っているので、私た

ちは、そういったことが分かるようにベースの部分は勉強してきていただけると、もう少し深い学習ができ

るかなと思います。

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実習生ならではだと思いますので、たくさんいろいろ質問していただいてたくさん吸収をして、土台を作っ

て、社会に出て行っていただきたいなと思います。なので実習期間中たくさん質問をして、聞けることは

たくさん聞いて、学習してほしいと思いますので、遠慮なくいろいろ言ってほしいなと思います。事前学習

をしっかりしていただいて、実習中はたくさん質問をして、たくさん吸収をして、立派な社会福祉士になっ

ていただけるように祈っています。

相談実習オリエンテーション 第3講第2章