稀な部位に発生する子宮内膜症の病理...はじめに...

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はじめに 稀な部位に発生する子宮内膜症のうち,腸管, 尿路,皮膚,骨盤リンパ節をとりあげ,その病 理像と鑑別診断について述べる.さらに,良性 のミュラー管型上皮からなる頸管内膜症,卵管 内膜症,ミュラー管症についても概説し,内膜 症近傍腹膜みられる中皮細胞の過形成と鑑別診 断についても述べる. 子宮内膜症の病理像と好発部位 子宮内膜症 endometriosis (以下内膜症)は, 子宮内膜ないし子宮筋層以外の部位に子宮内膜 組織すなわち良性の子内膜腺と子宮内膜間質が 存在する状態である.ただし,腺,間質のいず れか一方のみしかみられない場合もある.生殖 年齢の女性に好発し,これらの10~15%にみら れるとされるが,真の頻度は不明である. 肉眼的に病変は,形成からの期間によって異 なる.新鮮な病変は,点状出血,赤色斑点を示 すが,時間が経過すると blueberry spot とよば れる青色ないし褐色調のやや隆起した斑状病変 となり,陳旧化すると癒着や線維化をきたし白 色調となる.病変は多発するが,異なる段階の 病変が混在することが多い.卵巣では,チョコ レート様の陳旧性血性内容をいれたN胞を形成 し,チョコレートN胞とよばれる. 組織学的に,定型的では内膜腺と子宮内膜間 質の両成分を認めるが(図1,2),上皮の剥 脱が著しい例や子宮内膜間質が極端に減少した 例も珍しくない.内膜間質内のらせん動脈,出 血,ヘモジデリンを貪食して黄金色の色素を有 する組織球の集簇が診断のヒントとなる.卵巣 N胞形成性病変では,上皮が剥脱し,N胞壁 のほとんどが出血やヘモジデリン貪食組織球を 伴う肉芽組織や線維性組織のみから構成される ことが比較的多い.このような場合,内膜症の 組織学的確定診断には,少量でも上皮または内 膜間質細胞を確認すべく丹念に観察する必要が ある.子宮内膜間質細胞は,正常子宮内膜増殖 期,分泌期,萎縮,内膜症のいずれにおいても 免疫組織化学的に CD 10陽性を示す.したがっ て,CD 10免組織化学は子宮頸部以外における 子宮内膜症の診断の補助として有用であるが, 線維芽細胞,血管内皮細胞,血管壁平滑筋細胞 にも陽性所見を示す〔1〕ので,炎症性肉芽組 織か子宮内膜間質かの鑑別には役立たない.脱 落膜は CD 10陰性または弱陽性を示す.子宮頸 部においては,頸管腺直下の間質が CD 10陽性 を示すため,子宮頸部の子宮内膜症の確定診断 には役立たない. 内膜症の好発部位は卵巣,子宮周囲の靭帯, ダグラス窩,直腸腟隔壁,子宮および卵管漿膜 をはじめとする骨盤臓器の漿膜である.比較的 頻度は低いものの,大腸,小腸,虫垂などの腸 管壁,子宮頸部,腟,卵管の粘膜面,皮膚,膀 胱,尿管,大網,鼠径部,骨盤リンパ節にもみ られ,腫瘤を形成することがある.きわめて稀 な部位として肺,胸膜,横隔膜,軟部組織,乳 腺,上腹部腹膜,胃,膵,肝などの発生例もあ る.肺や胸膜の内膜症では,月経周期に一致し て周期性気胸をきたすことがある. 稀な部位に発生する子宮内膜症 1.腸管子宮内膜症 下腹部開腹手術を行った患者の約10%に認め るとされ〔2〕,閉経後の女性でもみられる.た 〔教育講演〕 稀な部位に発生する子宮内膜症の病理 千葉大学大学院医学研究院病態病理学 清川 貴子 エンドメトリオーシス会誌 2012;33:44-48 44

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Page 1: 稀な部位に発生する子宮内膜症の病理...はじめに 稀な部位に発生する子宮内膜症のうち,腸管,尿路,皮膚,骨盤リンパ節をとりあげ,その病

はじめに

稀な部位に発生する子宮内膜症のうち,腸管,

尿路,皮膚,骨盤リンパ節をとりあげ,その病

理像と鑑別診断について述べる.さらに,良性

のミュラー管型上皮からなる頸管内膜症,卵管

内膜症,ミュラー管症についても概説し,内膜

症近傍腹膜みられる中皮細胞の過形成と鑑別診

断についても述べる.

子宮内膜症の病理像と好発部位

子宮内膜症 endometriosis(以下内膜症)は,

子宮内膜ないし子宮筋層以外の部位に子宮内膜

組織すなわち良性の子内膜腺と子宮内膜間質が

存在する状態である.ただし,腺,間質のいず

れか一方のみしかみられない場合もある.生殖

年齢の女性に好発し,これらの10~15%にみら

れるとされるが,真の頻度は不明である.

肉眼的に病変は,形成からの期間によって異

なる.新鮮な病変は,点状出血,赤色斑点を示

すが,時間が経過すると blueberry spotとよば

れる青色ないし褐色調のやや隆起した斑状病変

となり,陳旧化すると癒着や線維化をきたし白

色調となる.病変は多発するが,異なる段階の

病変が混在することが多い.卵巣では,チョコ

レート様の陳旧性血性内容をいれた�胞を形成

し,チョコレート�胞とよばれる.

組織学的に,定型的では内膜腺と子宮内膜間

質の両成分を認めるが(図1,2),上皮の剥

脱が著しい例や子宮内膜間質が極端に減少した

例も珍しくない.内膜間質内のらせん動脈,出

血,ヘモジデリンを貪食して黄金色の色素を有

する組織球の集簇が診断のヒントとなる.卵巣

の�胞形成性病変では,上皮が剥脱し,�胞壁

のほとんどが出血やヘモジデリン貪食組織球を

伴う肉芽組織や線維性組織のみから構成される

ことが比較的多い.このような場合,内膜症の

組織学的確定診断には,少量でも上皮または内

膜間質細胞を確認すべく丹念に観察する必要が

ある.子宮内膜間質細胞は,正常子宮内膜増殖

期,分泌期,萎縮,内膜症のいずれにおいても

免疫組織化学的に CD10陽性を示す.したがっ

て,CD10免組織化学は子宮頸部以外における

子宮内膜症の診断の補助として有用であるが,

線維芽細胞,血管内皮細胞,血管壁平滑筋細胞

にも陽性所見を示す〔1〕ので,炎症性肉芽組

織か子宮内膜間質かの鑑別には役立たない.脱

落膜は CD10陰性または弱陽性を示す.子宮頸

部においては,頸管腺直下の間質が CD10陽性

を示すため,子宮頸部の子宮内膜症の確定診断

には役立たない.

内膜症の好発部位は卵巣,子宮周囲の靭帯,

ダグラス窩,直腸腟隔壁,子宮および卵管漿膜

をはじめとする骨盤臓器の漿膜である.比較的

頻度は低いものの,大腸,小腸,虫垂などの腸

管壁,子宮頸部,腟,卵管の粘膜面,皮膚,膀

胱,尿管,大網,鼠径部,骨盤リンパ節にもみ

られ,腫瘤を形成することがある.きわめて稀

な部位として肺,胸膜,横隔膜,軟部組織,乳

腺,上腹部腹膜,胃,膵,肝などの発生例もあ

る.肺や胸膜の内膜症では,月経周期に一致し

て周期性気胸をきたすことがある.

稀な部位に発生する子宮内膜症

1.腸管子宮内膜症

下腹部開腹手術を行った患者の約10%に認め

るとされ〔2〕,閉経後の女性でもみられる.た

〔教育講演〕

稀な部位に発生する子宮内膜症の病理

千葉大学大学院医学研究院病態病理学

清川 貴子

日エンドメトリオーシス会誌2012;33:44-4844

Page 2: 稀な部位に発生する子宮内膜症の病理...はじめに 稀な部位に発生する子宮内膜症のうち,腸管,尿路,皮膚,骨盤リンパ節をとりあげ,その病

だし,腸管内膜症が存在しても,消化管症状が

出現し腸管切除を要する例は0.7~2.5%程度と

されている〔3〕.発生部位のうち最も頻度が高

いのは直腸で,S状結腸,虫垂,回腸末端,盲

腸,その他(Meckel憩室の例もあり)の順に

続く〔4〕.

多くは漿膜ないし漿膜下に局在するが,稀に,

粘膜下や粘膜にまでおよび隆起性病変を形成し

て腸管原発の癌との鑑別を要することもある

(図3,4).Yantissらは腫瘍の発生を伴わな

い腸管子宮内膜症44例を検討しているが,その

うち29例(66%)は腸粘膜に内膜症が及んでい

たこと,6例は粘膜のポリープ状病変を形成し

ていたこと,粘膜下の腫瘤形成により粘膜の潰

瘍をきたし腸管原発の癌と類似した肉眼像を呈

する例があること,13例は壁内腫瘤を形成して

いたことを報告している〔5〕.既存の腸管粘膜

上皮は,細胞質内粘液を有する杯細胞で,核は

粘液に圧排され基底側に配列する.これに対し

て,内膜症の腺管すなち内膜腺を構成する円柱

上皮は細胞質内粘液を欠き,類円形核を有し杯

細胞に比して N/Cが高く,時に核分裂像も認

めることから,腸管粘膜に及んだ内膜症は,組

織学的にも腸管原発の腺癌との鑑別を要するこ

とがある.鑑別点は,内膜間質を多少なりとも

伴っていることであるが,限られた大きさの生

検検体では内膜間質に乏しいこともある.鑑別

診断に内膜症が挙げられる場合は,免疫染色が

有用であり,結腸粘膜上皮は cytokeratin 7陰

性,cytokeratin20陽性であるのに対し,内膜

図1 腹膜子宮内膜症(H―E染色)腹膜に内膜腺と内膜間質からなる子宮内膜症を

認める.

図2 腹膜子宮内膜症(H―E染色)内膜腺と子宮内膜間質の両成分を認める定型例

である.

図3 結腸子宮内膜症

粘膜下の腫瘤形成により粘膜の潰瘍をきたし腸

管原発の癌と類似した肉眼像を呈する.

図4 結腸子宮内膜症(H―E染色)結腸粘膜下に及ぶ子宮内膜症を認める.

稀な部位に発生する子宮内膜症の病理 45

Page 3: 稀な部位に発生する子宮内膜症の病理...はじめに 稀な部位に発生する子宮内膜症のうち,腸管,尿路,皮膚,骨盤リンパ節をとりあげ,その病

腺は cytokeratin 7陽性,cytokeratin20陰性を

示す.

この部位においても内膜症を基盤とした悪性

腫瘍が発生しうる.Yantissらは腸管における

内膜症から発生した悪性腫瘍ないし腫瘍前駆病

変17例を報告しているが,その内訳は類内膜腺

癌8例,腺肉腫4例,低悪性内膜間質肉腫1例,

上皮内癌を伴う境悪性類内膜腺線維腫1例,異

型内膜増殖症2例,上皮内類内膜腺癌1例であ

り,このうち1例の類内膜腺癌は大腸原発腺癌

と誤認されていたという〔6〕.

虫垂に子宮内膜症を認めることは,比較的稀

である.骨盤内膜症で手術された虫垂漿膜に偶

然認める例がほとんどで,通常それ自体症状を

きたすことはないが,虫垂の内膜症により粘液

瘤形成や腹膜偽粘液腫をきたしたきわめて稀な

例が報告されている〔7―9〕.

2.膀胱子宮内膜症

尿路の内膜症の大部分は膀胱,尿管に認め,

患者の1/3~1/2は40歳以上であり,5%は閉経後の患者に発生する〔4〕.閉経後の患者で

はホルモン療法中にみられることが多い.尿路

の内膜症は,開腹手術を行った内膜症患者の16

~20%にみられ,その多くは膀胱漿膜に認める

〔2,10〕.尿管子宮内膜症のほとんどは末梢1/3に発生し,10%の例は両側性である〔11〕.

一方,膀胱内膜症のうち尿路症状を呈するもの

は,ほとんどが膀胱壁内腫瘤を形成する例であ

る.その好発部位は三角部や後壁で,単発の多

�胞性腫瘤(数mm~14cm)を形成する.病

変の周囲には線維化と平滑筋の増生を伴う.粘

膜にも病変が及ぶ例は60%で,時に内腔に隆起

する病変を形成する例や,粘膜に潰瘍形成や出

血をきたすこともある〔11〕.

内膜症組織にはその発生部位にかかわらず,

正所性内膜にみられるあらゆる変化が生じうる

が,Arias-Stella反応が子宮内膜症組織にみら

れることもある.Arias-Stella反応は,妊娠時

に子宮内膜腺にみられる変化であり,内膜腺上

皮の分泌亢進により,上皮細胞の胞体が淡明か

つ豊富となり,核は腫大しクロマチンに濃染す

る.hobnail型細胞も認める.内膜腺の拡張に

より,間質が狭小化し,back to back様構造

を呈することもある.Arias-Stella反応を示す

内膜腺は,核が腫大しクロマチンに濃染するこ

とから腺癌と誤認されることがある.なお,鑑

別点は,核分裂をほとんど欠く点,Arias-Stella

反応を示さない子宮内膜腺の混在,間質の脱落

膜反応である.Tropkovらは,妊娠16w時に超

音波断層法で膀胱前壁の腫瘤を膀胱鏡下に粘膜

の隆起を認め,同部の生検で内膜症と診断され

た症例を報告しているが,内膜症にも Arias-

Stella反応が起こりうることを知らなければ組

織学的に腺癌との鑑別を要するほどの核異型で

あること,腺管周囲間質には脱落膜変化を認め

たことを指摘している〔12〕.同腫瘤は正常分

娩後自然消失し40ヵ月間の経過観察中に再発は

認めていないという.

3.皮膚子宮内膜症

多くは手術瘢痕または針生検の刺入路に発生

し,それ以外は稀である.特に婦人科手術の後

の手術瘢痕に多く,帝王切開の瘢痕,外陰特に

分娩時の会陰切開の瘢痕がよく知られているが

臍にもみられる.術後数週間から数年を経て,

淡紅色から褐色調の硬い単結節(径6cmまで)

を形成し,その割面は灰色調で出血を伴うこと

もある〔13〕.発生機序として多くは子宮内膜

移植と考えられており,骨盤内膜症の合併は認

めないことが多い.

卵管内膜症,頸管内膜症,ミュラー管症

異所性に卵管型腺管が存在する状態を卵管内

膜症 Endosalpingiosis,良性頸管腺が存在する

状態を頸管内膜症 Endocervicosis,良性のミュ

ラー管型上皮が2種類以上混在する状態(例え

ば子宮内膜症と卵管内膜症の合併)をミュラー

管症Müllerianosisという〔14〕.

卵管内膜症は,生殖年齢の女性の手術検体中

12.5~25%にみられる〔15,16〕.好発部位は子

宮,卵管の漿膜,ダグラス窩,大網,骨盤リン

パ節である.偶然組織学的に発見されることが

多いが,腺癌の転移と誤認しないことが重要で

ある(図5).稀に�胞状に拡張し,肉眼的に

清川46

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aa

�胞性病変を形成する例の報告もある〔17〕.

卵巣漿液性境界悪性腫瘍の患者では,子宮頸癌

や子宮内膜癌の患者に比して高頻度に骨盤リン

パ節に卵管内膜症を認める〔18〕.

頸管内膜症 Endocervicosisは頸管腺類似の

良性腺管が異所性に存在する稀な病変であり,

膀胱後壁に好発し腫瘤を形成することが多い

〔19〕.子宮頸部前壁の深層にも及ぶことがあり,

頸部腺癌特 にminimal deviation adenocarci-

nomaとの鑑別を要する〔20〕.

中皮過形成Mesothelial hyperplasia

内膜症近傍の腹膜には中皮細胞の過形成を伴

うことが珍しくない〔4,21〕.中皮の過形成は,

腹膜表面のみならず,その直下,卵巣内膜症性

�胞の漿膜面や壁内にも認める.過形成性中皮

細胞は,重層化,索状,管状,乳頭状構造を呈

し,細胞質内空砲,淡明化を示し,細胞異型や

核分裂像も認める(図6,7).漿膜下や�胞

壁内に中皮細胞が取り込まれて増生する場合に

は,周囲に線維組織やフィブリンを伴い,偽浸

潤像を呈するため,浸潤癌や中皮腫と誤認しな

いことが重要である.弱拡大で観察すると,腹

膜面に平行に,線状に配列するのが特徴である.

中皮過形成と腺癌の鑑別には免疫染色が有用で

あり,中皮細胞は calretinin(図8),D2―40,cy-

tokeratin,desminに陽 性,EMA,MOC―31,

BerEP4陰性であるが,腺癌では cytokeratin,

EMA,MOC―31,BerEP4陽性,calretinin,D2―

40,desmin陰性である.中皮過形成に砂粒小

体を伴うこともある.砂粒小体は,漿液性腫瘍

や明細胞腺癌に伴って出現することが有名であ

るが,女性の腹膜では腫瘍とは無関係に認める

ことがある.

おわりに

腸管,尿路,皮膚,骨盤リンパ節,良性のミ

ュラー管型上皮からなる頸管内膜症,卵管内膜

症,ミュラー管症の病理像と鑑別診断,中皮過

形成と鑑別診断について述べた.子宮内膜症お

よびその類似病変の発生部位は多岐にわたる.

図5 骨盤リンパ節卵管内膜症(H―E染色)a.リンパ節内に管状構造を認める.(矢印)b.強拡大像.管状構造を形成する細胞は卵管上皮に類似し,異型を示さない.

図6 中皮過形成(H―E染色)卵巣内膜症性�胞壁.左下に内膜症組織を認め,

右上に浸潤様に増生する上皮を認める(点線内).

図7 中皮過形成(H―E染色,写真6点線内強拡大像)線維性間質内に,索状,管状,乳頭状構造を呈

する上皮様細胞の増生を認める.腺癌との鑑別

を要する像であるが,索状構造を呈する集塊は

平行に配列している.

稀な部位に発生する子宮内膜症の病理 47

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これらは時に腫瘤を形成して肉眼的に腫瘍との

鑑別を要することがあるだけでなく,組織学的

にも腺癌との鑑別を要することがある.また,

内膜症周囲には中皮過形成を認めることが多い

が,これも組織学的に転移性腺癌との鑑別を要

することがある.

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diagnostically useful immunohistochemical markerof normal endometrial stroma and of endometrialstromal neoplasms. Histopathology 2001;39�:273-278

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図8 中皮過形成(写真7の免疫染色)

上皮様細胞は calretinin陽性を示す中皮細胞である.

清川48