新形片吸込うず巻ポンプ - hitachi∪.d.c.る21.る71.22::00る.78...

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∪.D.C.る21.る71.22::00る 新形片吸込うず巻ポンプ New Series of Single Suction Vo山te Pumps 従来,遠心ポンプの各部寸法は,各メーカーでまちまちであったが,日立製作所 ではこのたび,ポンプ据付上の寸法を統一するISOに準拠した,JIMSが制定され たのを機会に,この規格に基づいた新形片吸込うず巻ポンプを各種研究成果を折り 込んで製品化した。 この新形ポンプは,従来機に比べてポンプ効率,吸込性能の向上を図っていると ともに,ポンプ単体,据付寸法など規格寸法を採用して互換性をもたせ,据付後, 分解組立などのメンテナンスが容易なようにBPO方式の構造を採用した特色のあ るポンプである。 今後,使いやすさの点からも,しだいにこのポンプに切り替わってゆくものと思 われる。 u 近年,遠心ポンプについても国際化の気運が高まり,主と してポンプの据付上の寸法を規制する国際規格の必要性が叫 ばれるようになってきた。 このような背景の下で,1975年ISO規格(国際規格)2858「片 吸込遠心ポンプ+が制定されるに及び,我が国でも1976年5月 日本産業機械工業会風水力機械部会で,ISO規格に準拠した 団体規格案の作成を決定し,規格作成委員会を設置して作業 を進めてきた結果,1977年8月JIMS規格(日本産業機械工業 会規格)C-1004-1977として制定されるに至った。 以上の経過に従い,JIMS規格による新形片吸込うず巻ポ ンプの製品化を図るため種々の研究開発を進め,今回そのシ リーズ化を完成したので,この規格の紹介と開発に当たって の問題点及び新形片吸込うず巻ポンプの概要について順を追 い述べる。 臣lJIMS規格 ISO規格は50Hz,16bar刻)級1種類であるが,JIMS規格で は60Hzにも適用できるように,また需要の多い10bar周,及 び高押込圧用として25barを追加し,3圧力段階としている。 すなわち, (1)16bar:原則としてISO2858のとおr)であるが,60Hzに も使用できるように60Hz周要目寸法を追加している。 (2)10bar:DIN規格(ドイツ工業規格)24255(10bar級)を参 考にISO2858制定の精神を生かして作成したものであるが, 我が国の実情に合わせて4極用と2極用とに別けて規定して いる。 (3)25bar:高押込圧用として,ISO2858(16bar)を基準とし, これに耐圧を考慮して規定している。 のようになる。 以上の各圧力段階別に,次に述べるような項目が規定され ている。 2.1片吸込遠心ポンプの呼び要目及び外形寸法 これは,ISO2858を基準に規定している。このうち,最も ※1)1bar=1.01972kgf/m2 森岡吟也* 肌)γJoんα方軸α 長谷川健吾* 肋ざggαWα∬e柳 吉田政雄* ‰5んgdα〟αざα0 需要の多い10bar級についての規格の一例について示す。図1 にポンプ呼び要目とポンプ単体寸法の一部抜書きを示す。同 図に示すように,口径に対する吐出し量,羽根車の基準外径 とそれに対する基準揚程などの呼び方,呼び要目が規定され ており,各呼び要目に対し同図に示す各記号の寸法が規定さ れている。 2.2 パッキン箱寸法 ISO3069を参考に,メカニかレシール寸法統一を考慮して, 軸直径に対するパッキン柏内径が図2に示すように規制され ている。 2.3 ベッド寸法と据付寸法 これは,ISO3661が基本になっている。ISOは軸継手がス ペーサ付きになっているが,分解,組立の頻度の少ない装置 などスペーサを付けなし、場合も多いので,スペーサなし,付 きの両者についてJEM(日本電機工業会標準規格)の電動機 寸法に基づいて規格化している。ただし,ベッドの長さ,幅 寸法についてはISO3661規格どおりである。図3に規制され ている各部寸法の一部抜書きについて示す。 この規格の基本構造は,ポンプ胴体に脚が付き,吸込口及 び吐出し口の配管を取り外すことなく,羽根車,回転部分を 駆動側に分解できるBPO(Back-Pull-Out)方式の構造であ り,吐出し方向は直上吐出しであって配管荷重に対して丈夫 な構造になっている。 開発上の検討事項 JIMS規格寸法は従来のボンフロに比べ,軸端径が=一段細く, 仕様的には図1に示すように,羽根車基準外径に対して基準 揚程が高い(羽根車揚程係数が小さい)ために,新形ポンプの 開発に当たっては主に次の点を重点的に研究した。 (1)高効率ポンプの開発 羽根車径が,従来品に対し約80~90%と小さくなるため, ケーシング,軸,軸受などが小形化されるが,ポンプ効率, 吸込性能が悪化する傾向にある。この問題点を解決するため に,シリーズ化範囲仝ゴ或で高効率,高吸込性能を目標に豊富 な実績の解析に基づく最適設計により種々モデルランナを試 * 日立製作所習志野工場 63

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Page 1: 新形片吸込うず巻ポンプ - Hitachi∪.D.C.る21.る71.22::00る.78 新形片吸込うず巻ポンプ New Series of Single Suction Vo山te Pumps 従来,遠心ポンプの各部寸法は,各メーカーでまちまちであったが,日立製作所

∪.D.C.る21.る71.22::00る.78

新形片吸込うず巻ポンプNew Series of Single Suction Vo山te Pumps

従来,遠心ポンプの各部寸法は,各メーカーでまちまちであったが,日立製作所

ではこのたび,ポンプ据付上の寸法を統一するISOに準拠した,JIMSが制定され

たのを機会に,この規格に基づいた新形片吸込うず巻ポンプを各種研究成果を折り

込んで製品化した。

この新形ポンプは,従来機に比べてポンプ効率,吸込性能の向上を図っていると

ともに,ポンプ単体,据付寸法など規格寸法を採用して互換性をもたせ,据付後,

分解組立などのメンテナンスが容易なようにBPO方式の構造を採用した特色のあ

るポンプである。

今後,使いやすさの点からも,しだいにこのポンプに切り替わってゆくものと思

われる。

u 緒 舌

近年,遠心ポンプについても国際化の気運が高まり,主と

してポンプの据付上の寸法を規制する国際規格の必要性が叫

ばれるようになってきた。

このような背景の下で,1975年ISO規格(国際規格)2858「片

吸込遠心ポンプ+が制定されるに及び,我が国でも1976年5月

日本産業機械工業会風水力機械部会で,ISO規格に準拠した

団体規格案の作成を決定し,規格作成委員会を設置して作業

を進めてきた結果,1977年8月JIMS規格(日本産業機械工業

会規格)C-1004-1977として制定されるに至った。

以上の経過に従い,JIMS規格による新形片吸込うず巻ポ

ンプの製品化を図るため種々の研究開発を進め,今回そのシ

リーズ化を完成したので,この規格の紹介と開発に当たって

の問題点及び新形片吸込うず巻ポンプの概要について順を追

い述べる。

臣lJIMS規格

ISO規格は50Hz,16bar刻)級1種類であるが,JIMS規格で

は60Hzにも適用できるように,また需要の多い10bar周,及

び高押込圧用として25barを追加し,3圧力段階としている。

すなわち,

(1)16bar:原則としてISO2858のとおr)であるが,60Hzに

も使用できるように60Hz周要目寸法を追加している。

(2)10bar:DIN規格(ドイツ工業規格)24255(10bar級)を参

考にISO2858制定の精神を生かして作成したものであるが,

我が国の実情に合わせて4極用と2極用とに別けて規定して

いる。

(3)25bar:高押込圧用として,ISO2858(16bar)を基準とし,

これに耐圧を考慮して規定している。

のようになる。

以上の各圧力段階別に,次に述べるような項目が規定され

ている。

2.1片吸込遠心ポンプの呼び要目及び外形寸法

これは,ISO2858を基準に規定している。このうち,最も

※1)1bar=1.01972kgf/m2

森岡吟也* 肌)γJoんα方軸α

長谷川健吾* 肋ざggαWα∬e柳

吉田政雄* ‰5んgdα〟αざα0

需要の多い10bar級についての規格の一例について示す。図1

にポンプ呼び要目とポンプ単体寸法の一部抜書きを示す。同

図に示すように,口径に対する吐出し量,羽根車の基準外径

とそれに対する基準揚程などの呼び方,呼び要目が規定され

ており,各呼び要目に対し同図に示す各記号の寸法が規定さ

れている。

2.2 パッキン箱寸法

ISO3069を参考に,メカニかレシール寸法統一を考慮して,

軸直径に対するパッキン柏内径が図2に示すように規制され

ている。

2.3 ベッド寸法と据付寸法

これは,ISO3661が基本になっている。ISOは軸継手がス

ペーサ付きになっているが,分解,組立の頻度の少ない装置

などスペーサを付けなし、場合も多いので,スペーサなし,付

きの両者についてJEM(日本電機工業会標準規格)の電動機

寸法に基づいて規格化している。ただし,ベッドの長さ,幅

寸法についてはISO3661規格どおりである。図3に規制され

ている各部寸法の一部抜書きについて示す。

この規格の基本構造は,ポンプ胴体に脚が付き,吸込口及

び吐出し口の配管を取り外すことなく,羽根車,回転部分を

駆動側に分解できるBPO(Back-Pull-Out)方式の構造であ

り,吐出し方向は直上吐出しであって配管荷重に対して丈夫

な構造になっている。

田 開発上の検討事項

JIMS規格寸法は従来のボンフロに比べ,軸端径が=一段細く,

仕様的には図1に示すように,羽根車基準外径に対して基準

揚程が高い(羽根車揚程係数が小さい)ために,新形ポンプの

開発に当たっては主に次の点を重点的に研究した。

(1)高効率ポンプの開発

羽根車径が,従来品に対し約80~90%と小さくなるため,

ケーシング,軸,軸受などが小形化されるが,ポンプ効率,

吸込性能が悪化する傾向にある。この問題点を解決するため

に,シリーズ化範囲仝ゴ或で高効率,高吸込性能を目標に豊富

な実績の解析に基づく最適設計により種々モデルランナを試

*

日立製作所習志野工場

63

Page 2: 新形片吸込うず巻ポンプ - Hitachi∪.D.C.る21.る71.22::00る.78 新形片吸込うず巻ポンプ New Series of Single Suction Vo山te Pumps 従来,遠心ポンプの各部寸法は,各メーカーでまちまちであったが,日立製作所

144 日立評論 VOL.引 No.2(1979-2)

鯉〔1

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吐出し口径

A J

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+:ご

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呼 び 方 呼 び 要 目 寸 法 l

1,450_

1,750m-n▲、l

2,900一

3,500鮒、1羽根車

呼び外径

(mm)

回転数1,450汀Iin‾1

回転数2,900min‾〝1

回転数1.750mjn‾1

回転数3.500minJl ポ ン プ

吸込口径 吐出し口径吸込口径 吐出L口径 吐出L董 全損程 吐出L量全揚程 吐出し量全揚程 吐出L量 全揚程あ

(ノ

./力l ん2

(mm) (帽m) (mm) (mm) (m3ノh) (m) (mりh) (m) (m3/h) (m) (m3川) (m)

40 32 50 40 125

6.3

5

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20

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7

11,5 15

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80 360

=2 140

5040 32 50 40 160 8 4(∋ 132 180

40 32 50 40 200 12.5 50 柑 72 160 180

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5050 40 6b 50 160 8 32 11.5 46 132 160

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180 180

50 40 65 50 250/224 20 80 29 80 180 225 85\

85 50 80 65 125

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5065 50 80 65 160 8 32 11.5 46 160 180

l l l

一 l

l

l

l

l

l

l

l1 1 l I

診Z

▲てコl11I

(a)アンバランス形メカニカルシール又は

ソフトパッキン(スリープ付,又はなし)

‾「、ゴ一芸

(b)バランス形メカニカルシール

(短いスリーブ付,又時なし)

(0)バランス形メカニカルシール

(スリープ付)

図2 パッキン箱の寸法 バランス形メカニカルシール及びアンバランス形メカニカルシール並びにソフ

トパッキンに使用するパッキン箱寸法を示す。

作し,更に効率の高いモデルランナの開発を行なった。

(2)混i充羽根車鋳造技術の確立

鋳造精度が,ポンプ性能上のばらつきに大きく影響を及ぼ

す関係上,特に混i充羽根車について形状が正しく,鋳はだの

良好な薄肉の鋳造技術の確立を行なった。

(3)強度及び信頼性の確認

規格自体小形化されているため,特に,羽根車ハブ周り及

び軸強度,ケーシング耐圧強度の把握と信頼性の確認を行

なった。

田 新形片吸込うず巷ポンプ概要

3章で述べた3項の成果を析り込んで,汎用性の高い標準

ポンプとしてJIMS規格(10bar級)寸法に準拠して,新しく製

品化した片吸込うず巻ポンプ0の外観を図4に示す。同図(a)に

軸継手直結形を,(b)に電動機-一一体形を示す。

64

J任

垣】l 呼び要目と寸

法(10bar級ポンプ)

二の規格は口径に対する

吐出L量.羽ノ限車呼び外

径などを規二走し,各々の

ポンプ単体のタt形寸法も

押さえ,ポンプの互換性

を高めている。

22242628303335粥・一・

3436384041444648…-

注:単位(mm)

d

4.1概略仕様及び製品化範囲

表lにこの新形ポンプの概略仕様,及びシリーズ化した製

品化の範囲を示す。

4.2 新形ポンプの特長

(1)BPO方式のため,メンテナンスが容易である。

ケーシングに脚を付けているので,ボン7d吸吐配管を取り

外すことなくそのまま羽根車などの回転部分が分解点検できる。

(2)吐出し口が軸中心線上,垂直真上にあるため,配管荷重

に対してポンプ全体が無理なく支持され,変形しにくい構造

である。

(3)軸受部はメンテナンスの容易な密封形玉軸受を使用し,

玉軸受への浸水を防J卜するために,日立製作所独自の特殊防

水構造(特許出願中)を採用しているので,軸受部の信頼性が

尚い。

(4)亡障殊精密鋳造法(特許出願中)による混流羽根車を採用し

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a

ポンプー_

電動機+ヨ

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有効面積

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A Bノ】

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「‾‾m‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾RR‾‾

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エ4ナノZC 上′3 D

No. エ1 上z ム与 ん4土25 月王 月2 β3 ム巾。ご d

01

02630 105 420 35

240

270

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380

290

320125 M16

11

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710 115 480 35

240

270

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330

360

390

290

320

350

125 M16

22

23800 130 540 35

270

300

360

390

320

350125 M16

注:単位(mm)

図3 共通ベッド及び据付主要寸法 共通ベッドの長さ,幅寸法はISO

36引値を採用している。基礎穴の四つ穴(A.B,C,D)又は三つ穴(A.C,E)

いずれかの採用はポンプ製造菓者が決める。

(a)軸継手直結形ポンプ

(b)電動機一体形ポンプ

図4 軸ラ継手直結形ポンプ及び電動機一体形ポンプ 製品化Lた軸

継手直結形と電動機一体形の外観を示す。この2種菜頁は,電動機部を除くポン

プ部品の共用化を図っている。

新形片吸込うず巷ポンプ145

表l ポンプの仕様及び製品化範囲 二のポンプの仕様条件とLて.

適用基準及び適用範囲を示す。

\\\-、-、、、きンプ形式項 目

\ 軸継手直結形(CH式) 電動機一体形(MH式)

口 径(mm)32.40,50,65,80,

100,12532,40,50,65,80

羽根車呼び径(mm)125,160.200,250,

315,4【)D125,160,200

J50Hz:0・05~l・25t60Hz:0.06-l.5

吐出し量(m3/min) 寸喜呂:……呂二呂…二三:三

全揚程(m)

回転数(rpm)

f50Hz:4~90 r50Hz:4~55

t6DHz:4.5~90 l60Hz:4.5~65

r50Hz二l′458,2′900 †50Hz:l.450,2.900160Hz:し750,3.508 t60Hz:l′750,3.500

電動機出力(kW)r50Hz:0・4~45 ノ50Hz:0・4~7・5160Hz:0.4~55 し60Hz:0.4~7.5

取 扱 う夜水道水,工業用水,空調用プ令温水,河川水など

液温:0~1000c pH5.4~8.6 比重l

ているので,日立製作所の従来機に比べ,ポンプ効率,【吸込

性能が大幅に向上している。

4.3 ポンプ性能

シリーズ化範凶の適用線図の一例を図5に示す。

ポンプは運転条件に合致した要目で設計されるべきである

が,汎用ポンプは需要が多く.そのつど個々の運転条件に合

わせて設計することが困難である。そのため,どのような需

要にも応ずることができるように,ノンオーバロード特性の

動力基準形作能とし,完成品在庫のできる形とした。ノンオー

バロード特性の場合,一般にポンプ効率が低下する傾向にあ

るのでこの新形ポンプでは,それを改善して在来機程より大

幅に向上を図るため,シリ【ズ化範囲乃ざ(比速度)を50~500

ぐらいまで数種類の試作モデルを用いて損失分析を行ない,

高効率,高吸込性能のモデル羽根車を開発した。代表機種の

一例を図6に示す。-一方,比較的口径の大きいものについて

は,特殊精密鋳造法による鋳はだの良い3次元の子昆流羽根車

を採用してし-る。従来,混流羽根車は,羽根模型を数ピース

に分割する方法を主体としていたため,寸法精度,鋳造能率

に改善の余地があったが,今回,3次元の羽根模空せを-1一体で

成型する方法を考案し,更に中子砂,粒形などの検討を加え

た特殊精密鋳造法の開発によ†),鋳造精度の良い混流羽根車

を製作することができるようになった。

4.4 ポンプ構造

今回日立製作所が開発した片吸込うず巻ポンプの構造図を

匡17に示す。この新形ポンプの各寸法は2章で述べたJIMS

C-1004-1977の10bar寸法を採用してし、る。

4.4.1 ケーシング

ケーシングは,水力性能的には羽根車にマ、ソナした形才大と

した。耐圧強度を維持し,軽量化を図るために,いろいろな

形二状のケーシングについて有限要素法による応力,波形の解

析と実験から最適肉厚形状の検討を行なった。その結果,ケー

シング各部の応力分布が均一で値も低く,変形も少ない,耐

圧強度の優れた肉厚補強構造のケーシングを才采用した。

4.4.2 軸 受

軸受構造は最も一般的な玉軸受を使用し,主軸はオーバハ

ング形である。密封形玉串由′受を使用することによりユーザー

のメンテナンスを容易にしている。軸受の防水に関しては,

日立製作所独自の防水構造をj采用し効果を挙げている。

4.4.3 軸封装置

軸封パッキン箱の基本寸法はISO3069に規格されたものを

採用した。グランドパッキン構造を標準とし,主軸を保護す

65

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146 日立評論 VO+.61No.2(19了9-2)

0

0

0

0

0

0

8

(n)

5

4

3

2

(∈)泄悲制

10

40)く32B2-52.2

65×50×2Ⅷ515

65×50X2-511

50〉(40C2冊53フ

40X32日2-51.5

40×32C′i-50.75

40×32B4-50.4

50×40C4

一50.75

50〉ぐ40Bl-50.4

65×50臥

-50175

や~

80×65B.1

w51.5

句フ

100×80×2-545

125×100乙i

・522

0.1 0.2 0.3 0.4 0.6 0,81.0

吐出し量(.m3′/in)

2.0 3.0 4.0 5.0

る軸スリーブを設けた構造としている。また多用途に適用で

きるように,ケーシングカバーの改造によりメカニカルシー

ル形にも対応できる。封水方式は内部自己注水形を標準とし

ているが,ケーシングカバーの改造によr),容易に外部注水

などの要求に応ずることができる。

20

15

10

805

600

40

3

220

1

00

厩転数:1,450rpm

単軸

舟ソづ成一一

4ノ言

Re.NPSH 2歪:Z

0超

鱗動力

】lil

(kW)

(%〉

(m)

00.40、81▲21.6

吐出し量(m3/min)

注:Re.NPSH=所要正味吸込水頭

図6 〃5240モデルの性能 製品シリーズ化範囲をN5(比速度)で了モデ

ルに分け,高効率・高吸込性能モデルの開発を完成させた。図はNs240のモデル

の性能を示すものである。

66

注:1.記号の説明

65〉(50B2几-53.7

吸込。忘丁吐出(ご岩左+(mm)

ケーシング種類

2▼回転数

頂器買£Hz,一電動機極数(ニ極)

1,450rpm

2,9()0「Pm

吐出し ケーシングカバー

図5 軸継手直結形ポ

ンプの;塞定区l(50Hz)軸継手直結形ポンプの50Hz

適用選定図を示す。吐出

し圭,全揚程が定まると

この図により適用機種が

選定できる。

ー軸封部

軸スリープ

芸忘;ング三・∴邪二 主軸軸受

吸込ブ

_.∴ノゝこ.・R・X・ズーズ姓男・

l

l

.\

図7 軸継手直結形ポンプの構造図 軸継手直結形ポンプでグランド

パッキンタイプの標準構造を示す。ケーシングカバーの改造により,メカニカ

ルシール形などにも容易に対応できる。

切 結 言

以上,JIMS規格に準拠した新形片吸込うず巻ポンプの開

発に際して,高効率モデルの開発,特殊鋳造技術の確立など

の成果を取り入れて製品化を行なった結果,

(1)メンテナンスの容易なBPO方式の構造とした。

(2)特殊精密鋳造法による混i充羽根車を採用して,大幅に性

能を向上させることができた。

(3)規格で統一された寸法を採用しているので,据付寸法が

統一されるとともに,各部品のメンテナンスも容易である。

など,ユーザーに最も適した新形ポンプをシリーズ化するこ

とができた。今後は規格寸法を保ちながら,ポンプ性能の向

上に,更にいっそうの努力を続けていきたいと考える。