国立先進トランスレーショナル科学センター (nih...

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国立先進トランスレーショナル科学センター (NIH-NCATS) 臨床橋渡し科学資金(CTSA) プログラム概要 平成27年12月25日 資料3-2-1

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Page 1: 国立先進トランスレーショナル科学センター (NIH …インパクトファクター(2006-2011) 4 雑誌名 CTSA研究者による論文数 Impact Factor PLoS

国立先進トランスレーショナル科学センター(NIH-NCATS)

臨床橋渡し科学資金(CTSA)プログラム概要

平成27年12月25日

資料3-2-1

Page 2: 国立先進トランスレーショナル科学センター (NIH …インパクトファクター(2006-2011) 4 雑誌名 CTSA研究者による論文数 Impact Factor PLoS

臨床・橋渡し科学資金(CTSA)プログラム設立背景N

IH政

策動

向橋

渡し

研究

支援

議会

・国

立科

学ア

カデ

ミー

2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

NAS報告書『NIHの成長力の促進:

新たな課題に対応するための組織改革』

NIH改革法P.L.109–482

医学研究会議(IOM)報告書『NIHにおけるCTSAプログラム:臨床・橋渡し研究促進の機会』

共通基金(CF)の設置

21世紀治療法案下院通過(5/21):

NIH予算5年間$10bil増加

Francis S Collins長官Elias A Zerhouni長官長官

CTSA及び関連SBIR/STTRプログラム

の所管が国立研究資源センター(NCRR)からNCATSへ移行

臨床センター(CC)所外研究者へ開放

SMRB『橋渡し医療と治療法』

科学的管理評価委員会(SMRB)設置

SMRB『NIH臨床センターに関する報告書』ロードマッププログラム

~1960s臨床研究センター(GCRC)プログラム

公衆衛生法修正

歳出予算法P.L.112-74

臨床・橋渡し科学資金(CTSA)プログラム設置

国立先進トランスレーショナル科学センター

(NCATS)設置

2006年以前のNIHによる臨床研究支援は、1970年代以降急速に成長した分子生物学分野のような基礎研究者を広く取り込む設計ではなく、また2000年以降に急速に進歩を遂げたデータ駆動型研究に対応できる体制になっていなかった → Zerhouni前NIH長官がCTSA設置を決定

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NCATSにおける臨床・橋渡し科学資金(CTSA)プログラム

SMRB Report on Translational Medicine and Therapeutics; Clin Transl Sci. 2012 April ; 5(2): 121–129; http://www.ncats.nih.gov/pubs/science/2015; http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/cts.12144/abstract

予算と拠点数

プログラムの主な構成要素

0

200,000

400,000

600,000

800,000

1,000,000

1,200,000

1,400,000

NCATS予算の約8割をCTSAに利用 (千ドル)

CTSA

NCRR

NCATS

NCATSにおいてはCTSAプログラムが組織予算

の中核

http://officeofbudget.od.nih.gov/を基にCRDS作成:2006~2014(実績)2015(見込)2016(予算案)

• NIH年間プログラム予算約500億円• 1拠点年間約約4億円から約9億円の支援• 31州62拠点(2015年10月時点)

A データ整備・基礎・臨床データの統合的研究利用環境整備

B 機関内グラント・パイロット・グラント でシーズの蓄積

C 研究方法・設計の相談・生物統計学・疫学・倫理・規制

E 患者の研究参加・所内・所外データベースの構築・連結

D ガバナンス・地域医療機関、産業界、患者団体など

G 若手支援・ポスドク及び博士課程の給与・研究グラント

F 治験・ネットワーク・多施設間の連携促進

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CTSA研究者による論文数とインパクトファクター(2006-2011)

4

雑誌名 CTSA研究者による論文数 Impact FactorPLoS ONE 341 4.351Proceedings of the National Academy of Sciences 308 9.432The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 246 6.202The Journal of Biological Chemistry 194 5.328Diabetes Care 183 6.718Blood 172 10.555Neurology 161 5.69Journal of Virology 124 5.15Journal of Clinical Oncology 121 13.598Circulation 121 10.94Diabetes 119 8.505Journal of General Internal Medicine 115 2.964The New England Journal of Medicine 111 51.296The Journal of Allergy and Clinical Immunology 107 9.165Journal of the American College of Cardiology 103 9.701Cancer Research 103 7.543NeuroImage 99 5.739American Heart Journal 99 3.514The American Journal of Clinical Nutrition 97 6.307The Journal of Infectious Diseases 95 5.865Pediatrics 93 5.012The Journal of Clinical Investigation 92 15.387Clinical Cancer Research 92 6.747

• CTSA研究者が公表した論文で最も件数が多い雑誌が、世界最大級のオープン・アクセス誌であるPloS ONEであった。当時のインパクト・ファクターで10を超える科学誌については、基礎研究から臨床研究まで広く研究報告を扱う米国血液学会刊行のBlood、米国腫瘍学会によるJournal of Clinical Oncology、臨床研究において世界で最も歴史のある雑誌の一つであるThe New England Journal of Medicine、そして米国臨床研究学会によるThe Journal of Clinical Investigationが名を連ねている。

• 2006年以降、主要CTSA論分数は900報程度(その他のNIHグラントとの重複が在り、むしろその他グラントの貢献が多いという見解あり)• 知財データ公開されていない

https://www.plos.org/; http://health-equity.pitt.edu/3949/1/CTSANationalEval_FinalReport_20120416.pdf; http://www.ncats.nih.gov/pubs/science/2015

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CTSA(U54)

NCATSNCRR

CTSA支援の枠組み政

策動

向C

TSA

構成

要素

CTSAIOM提言反映

2006 2007 2007 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

TL1(博士課程・博士研究者支援)

KL2(博士研究者支援)

UL1(統合的研究基盤整備:パイロットグラント、医学情報学、データ管理システム、生物統計学、IRB、レギュラトリサイエンス)

CTSA

第三期(全国化)

RIC(U24)

TIC(U24)

X02 pre

U01 full

第一期(機関内での基盤整備) 第二期(地域・州内の基盤整備)

所管

U54

追加

支援 2015年には、拠点間共同研究支援グラント(U01)、

多施設実施による臨床試験支援グラント(TIC)、並びに患者リクルート支援グラント(RIC)が整備され、拠点間のネットワーク化(全国化)に向けたNIHのリーダーシップが本格化

医学研究機構(IOM) 報告書 2013•拠点間協力の促進

•NCATSの拠点への関与の拡大

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CTSA成果と課題

課題

成果

• データ駆動型研究、個別化医療などへの対応の基盤構築に寄与

• 特に中堅大学の基盤整備における効果は大きい

• 個人の研究者も、グラント獲得・論文の公表に寄与(知財の成果は乏しい)

• 長期的な基盤整備の取り組みの実現

• NIHが各拠点の取り組みにどの程度実質的な関与(リーダシップを発揮)してきたか不明確

• 拠点間ネットワークの遅れ

• プログラム全体の評価指標構築の遅れ

• CTSA予算はNIH予算全体の中ではいまだ極めて小規模

• CTSA拠点の成果の多くがNCATS以外の疾患別研究所(国立がん研究所など)からの支援に依存

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参考

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CTSAプログラム

NCATS所長室

NCATS評議会

グラント管理・科学的評価室

希少疾患研究室

臨床イノベーション局(DCI)

前臨床イノベーション局

政策・対話・戦略的提携室

事務局

CTSA拠点31州62拠点

作業部会(Domain Task Force)目的(5分野における拠点間協力の推進)人材育成拠点の地域的関与臨床研究方法論生涯を射程に入れた研究情報科学

構成(各部会共通)部会責任者6名(NCATS1名、拠点5名)各拠点(62拠点)より1名

外部諮問委員会

運営委員会(Steering Committee)目的

拠点責任者(拠点長・PI)との連携強化作業部会への助言NCATSの意思決定を補佐

構成NCATS所長、DCI局長CTSA拠点より選出されたPI12名

疾患別NIH研究所より所長・局長クラス4名FDA1名、患者団体1名

CTSA運営体制

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拠点におけるCTSA予算利用・拠点予算におけるCTSA支援の割合(事例)

9

24%

20%

18%

13%

9%

8%

3% 3%

2% 医療情報科学

教育

パイロットファンディング・プ

ロジェクト管理

研究資源

監査・管理

拠点運営費

生物統計学

コミュニティ参加

デューク大学CTSA予算の利用例($10.7 millionの内訳)

https://www.dtmi.duke.edu/sites/www.dtmi.duke.edu/files/images/_misc/ctsa_flyer_29sep2015forweb.pdf

20%

20%

20%

20%

13%

7%

CTSA

学内支援(医学部系)

学内支援(全体)

その他学内・学外支援

サービス料

間接経費返却分

拠点予算におけるCTSA支援分の割合

$15millionドル(約18億円)

ヒアリング情報のため公開資料による出典無し

拠点予算におけるCTSA支援分は20%程度拠点維持に多様な外部資金を利用

CTSA予算の利用例として医療情報科学分野の割合が高い

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支援枠組

目的 金額 支援期間 審査プロセス 備考 出典

U54

UL1(U54申請において必須項目)・機関内研究支援ガバナンスの整備・橋渡し科学基盤の整備(情報科学、学際研究支援、患者コミュニティとの関係強化)・研究設計・方法論の助言プログラム設置(橋渡し人材の育成、生物統計学・疫学・研究デザイン、レギュラトリサイエンス)・研究実施と参加の支援(機関内パイロットグラント(Phase II‐a以前)特別集団(特定年代・特定人種など)の研究参加支援)、・ネットワーク資源と選択性モジュールの準備(多施設参加型研究支援、患者リクルート支援、CTSA研究を基にした疾患特異的な研究への橋渡し

・UL1及びKL2アワードの年間費用の合計は$3Mから$7.5Mとする。・左記項目に加え、施設・設備費(建物)に利用も可能

最長5年間

・公示:2015年7月23日・公募開始:2015年8月25日・公募〆切:2015年9月25日・科学的メリット審査:2016年2・3月予定・アドバイザリ委員会審査:2016年5月予定・助成開始:2016年7月予定

・2015年7月23日公示の公募内容を基に作成。U54の公募内容とは異なる点あり。

http://grants.nih.gov/grants/guide/pa-files/PAR-15-304.html

KL2(U54申請において必須項目)博士研究者への研究者主導型研究実施の支援

・CTSAの助成金額が年間$6M以下の拠点においては3名、$6Mから8Mの拠点においては5名、$8Mから10Mの拠点においては8名の支援を行う。・研究者の給与は年間最大$100,000とし、75%のエフォートをキャリア開発および研究活動に利用するもととし、最低2年間の支援を実施する。・また、Kグラントの予算として以下の助成を追加申請することが可能であるが、博士研究者一人あたりに利用する直接費用の合計が$200,000を超えてはならない。(a:学費およびキャリア開発に必要な経費、b:設備・人件費を含む研究費用、c:最大$2,500の旅費、d:統計サービス利用費)

TL1(Ruth L. Krischstein-NRSA)(選択)博士課程・博士研究者への研究トレーニング支援

・CTSAの助成金額が年間$6M以下の拠点においては10名、$6Mから8Mの拠点においては15名、$8Mから10Mの拠点においては20名の支援を行う。・研究会議またはトレーニングへの参加に必要な旅費は最大$1500とする。・トレーニングに際し拠点が負担(健康保険、教員の給与、トレーニング相談料、研究資材、および教員の旅費)する費用の軽減を目的に、博士課程学生1名につき年間$4,200、博士研究者1名につき $7,850を申請することが出来る。

U01

3~4のCTSA拠点の研究者の協力のもと以下の内容を含む共同研究プロジェクトを支援・多施設参加の研究プロジェクトで利用可能なインフォームドコンセント取得プロセスの簡易化・他分野で成功している技術・方法論の臨床・橋渡し研究への応用・個別化医療の実現にむけた革新的アプローチの開発・患者・健常者コミュニティとの協力関係構築にむけた革新的方法と技術の開発と実施・異なる拠点における成功事例(チーム研究・レギュラトリサイエンス・企業・実験的学習)の共有、企業や規制当局への出向を通じた橋渡し人材の育成・臨床・橋渡し研究に資する成功事例(技術・方法論)の異なる拠点間での共有・患者の転帰(治療成績)情報の共有するためのIT技術・コミュニケーション技術を利用した革新的臨床研究・試験デザインの設計

臨床プロジェクトに関しては年間直接経費最大$1M、非臨床プロジェクトに関しては年間直接経費最大$50万とする。

最長5年間 ・公示:2015年4月2日・公募開始:2016年1月3日・公募〆切:2016年2月3日、2016年7月7日、2016年11月10日、2017年3月9日、2017年7月13日、2017年11月9日、2018年3月8日、2018年7月11日・科学的メリット審査:2016年6月、2016年11月、2017年3月、 2017年7月、2017年11月、2018年3月、2018年7月、2018年11月・アドバイザリ委員会審査:2016年10月、2017年1月、2017年5月、2017年10月、2018年1月、2018年5月、2018年10月、2019年1月・助成開始:2016年12月、2017年4月、2017年7月、2017年12月、2018年4月、2018年7月、201812月、2019年4月

U54のアワード保持が申請条件

http://grants.nih.gov/grants/guide/pa-files/PAR-15-172.html

X02

上記U01の申請に向けた研究計画の事前申請 本公募はアイデアの事前申請のため助成無し 該当せず ・公示:2015年4月2日・公募開始:2015年5月24日・公募〆切:2015年6月24日、11月10日、2016年3月8日、2016年7月6日、2017年7月11日、2017年11月7日・科学的メリット審査:2015年10月、2016年3月、2016年7月、2016年11月、2017年3月、2017年7月、2017年11月、2018年3月・アドバイザリ委員会審査:無し

U54のアワード保持が申請条件

http://grants.nih.gov/grants/guide/pa-files/PAR-15-173.html

TIC(U24)

CTSA拠点間における多施設実施による臨床試験の効率化を目的とした、治験審査委員会(IRB)・中央治験審査委員会設置を支援

・CATSとパートナーのNIH研究所・センター(ICs)は2016年度、合計約$12Mにより3件の支援を実施する。・一件ごとの直接経費は$2.4Mを超えないものとし、本プログラムの支援は7年間とする。

7年間 ・公示:2015年6月5日・公募開始:2015年8月15日・公募〆切:2015年9月15日・科学的メリット審査:2016年2月・アドバイザリ委員会審査:2016年5月・助成開始:2016年6月

U54のアワード保持が申請条件

http://grants.nih.gov/grants/guide/rfa-files/RFA-TR-15-002.html

RIC(U24)

CTSA拠点間における多施設実施による臨床研究における患者リクルート支援を目的に、各拠点で集められた医療情報のCTSA拠点間での共有、研究システムとのEHRの統合化、IT技術利用、患者の負担を軽減できるリクルート方法の開発など多施設実施型臨床試験の支援TIC(U24)と相補的に拠点を支援

・NCATSは2016年度、最大$6Mにより2件の支援を実施する。(今後の詳細は政府歳出予算の影響を受ける)・NLMからも2016年度最大$250,000の追加支援が行われる。・一件ごとの年間直接経費は$2Mを超えないものとし、本プログラムの支援は最長5年間とする。

最長5年間 ・公示:2015年3月15日・公募開始:2015年6月22日・公募〆切:2015年7月22日・科学的メリット審査:2015年11月・アドバイザリ委員会審査:2016年1月・助成開始:2016年2月

U54のアワード保持が申請条件

http://grants.nih.gov/grants/guide/rfa-files/RFA-TR-15-004.html

CTSAにおける支援の枠組み

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申請項目 概要A.拠点運営・管理体制の

整備

NCATSとCTSA拠点間の協力体制• 年間1回もしくは2回開催されるCTSA合同会議への出席、月例電話会議、並びに5つの作業部会への参加といった、NCATSとの協力について具体的な体制と方法

• 拠点の自己評価のための指標と方法• 拠点ごとにおいて、橋渡し研究の成果を評価する際の情報収集の方法及び自己評価の方法• 拠点ごとに組織している外部諮問委員会の役割、協力方法、並びに委員の詳細情報• 効率的・効果的な組織管理• 安全で倫理的な研究推進体制の構築(ヒトを対象とする研究における研究計画、実施可能性、患者の参加プロセス、進捗管理、分析、並びに研究結果の公開手続きについて、拠点として

の体制を説明)B. 情報科学 診療情報・患者データ登録・遺伝子解析データなど、各種データ基盤の整備と統合的研究利用環境の整備と情報データチームの構成

• 情報学分野人材の教育• 保健福祉省の認める技術水準に見合った、また、現場の研究者にとって利用しやすい、データ制度・管理戦略(遺伝子、イメージング、臨床、医療経済、環境、患者の行動学的データ)の

構築• 国民の健康情報のプライバシー・安全に関して保健福祉省が定めた医療保険の携行性と責任に関する法律(HIPAA)に準拠した電子医療情報(EHR)の研究利用環境の整備、もしくは既

存の拠点外のデータベース( MiniSentinel, PopMedNet/PCORNet, i2b2, or SHRINE)と拠点によるデータベース互換性の説明C. 橋渡し研究コミュニティ

との協力研究者と橋渡し研究コミュニティとの協力体制の構築

• 橋渡し研究コミュニティは、研究者及び患者のみではなく、産業界、慈善団体、患者団体、地域の医療機関、並びに地域の非医療系団体(人種・人権団体など)を広く定義する。• 分野横断的チームサイエンスのための協力• 基礎研究、臨床研究分野に関係する、特に薬理学、情報科学、統計学分野の横断的な研究実施の補佐

D.人材育成とパイロットグ

ラント

橋渡し人材の育成 (TWD)• 臨床試験の実施の基準(GCP)に準拠した研究実施に資する、ポスドク・博士課程の研究者教育に加えて、大学職員(研究者)へのトレーニング(例:統計学など)の実施

• 橋渡し研究パイロットグラント• 各拠点が独自の判断で重要であると考えられる研究について、小規模のパイロットグラントを設け、学内公募・申請評価・実施・評価を行う。ただ、ここでのグラントは個別野の疾患に特化

した内容ではなく、疾患分野は広く設定• 評価の実施例として、第一段階としては申請内容と関係する専門分野の研究者による査読と、第二段階においては分野横断的な観点から異分野の研究者を含めた査読審査を実施。

E.研究手法・薬事規制に

関する支援

生物統計学、疫学、並びに研究デザイン(BERD)• 研究者に対する統計学・疫学的観点からの相談サービスの実施(相談実施窓口、対応できる研究者層、相談費用など)• 統計学・疫学に関する研究者へのトレーニングコースの実施• 橋渡し研究に資する統計学・疫学分野の技術および方法論の開発• 薬事規制(レギュラトリ・サイエンス)教育と研究支援 (RKS)• 研究者に対する薬事規制(治験審査委員会手続き、州・連邦法などを含む)に関して、拠点内に設置されている既存の治験審査委員会との協力により、相談サービス・教育の実施(相談実

施窓口、対応できる研究者層、相談費用など)• 前臨床研究(動物・ヒト試料(iPS細胞など)を用いた研究)からヒトでの臨床研究に移行する際に前臨床研究結果をまとめた資料及び臨床研究用の新医薬品(IND)提出時において規制手

続きに関する研究者の補佐F. Hub Research

Capacity(治験・患者参加

の拠点間連携)

特定(患者・人種)集団の研究参加• 小児および老年医学における医療格差、希少疾患患者、もしくはその他の特定集団(人種など)の研究支援体制、またそれに必要な看護師やコーディネーターなど臨床研究に必要な技術

者の支援• 患者参加の計画、参加状況の把握、データ管理・監査、研究継続・停止の判断を含んだ現実的な研究設計、またそれに必要なNIH研究所(疾患別研究所)との協力

G.多施設治験・患者の研

究参加支援

治験イノベーションセンターとのリエゾン (LTICs)• 治験審査、治験プロジェクト予算策定・契約、並びにプロジェクト管理の経験のある人材により、各拠点において治験支援ユニットを設置し、治験審査委員会への申請手続きの補佐、研究

契約手続きを補佐、並びに特定患者集団の参加促進(小児・高齢、マイノリティ・低所得 )にむけた市民の意識啓発• また、これらのユニットは、治験イノベーションセンター(TICs)との連絡役を担う(TICsは複数の拠点が共同で実施する治験手続きの効率化を目的とした方法論の構築を行うセンターで、

2016年からCTSAの拠点に対する追加的支援の枠組みである。)患者リクルートセンターへのリエゾン (LRICS)

• 臨床研究における電子医療情報(EHR)の管理に経験のある人材により、各拠点において患者の研究参加支援ユニットを設置し、臨床研究に必要な患者の参加・進捗状況の把握を補佐、

及び感化情報の匿名化・同意手続の効率化• また、これらのユニットは、患者リクルート・イノベーションセンター(RICs)との連絡役を担う(RICsは複数の拠点が共同で研究に参加できる患者の確保を目的とした方法論の構築を行うセ

ンターで、2016年からCTSAの拠点に対する追加的支援の枠組みである。)

CTSA-U54の申請要件概要

11

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DCI構成員概要

12

氏名 学位(分野) 役職Petra Kaufmann M.D.(M.Sc.生物情報学) Division DirectorPhilip John (P.J.) Brooks Ph.D.(神経科学) Program DirectorMeryl Sufian Ph.D.(医療社会学) Program OfficerDavid Wilde M.D.(Ph.D.免疫学) Program OfficerOlga Brazhnik Ph.D.(物理学) Program Officer/Computer

ScientistBernard Talbot M.D.( Ph.D.生物物理学) Medical OfficerJoan Davis Nagel M.D.( M.P.H.産科学) Medical OfficerTodd Wilson D.O.(自然医学) Medical OfficerEugene Passamani M.D. ConsultantDaRel Barksdale M.P.H. (医療政策) Management AnalystAbby Bronson M.B.A. Director of OperationsRebecca Katz 該当情報無し Project Coordinator

CTSAのプログラム・ディレクター(PD)が1名と、それぞれ異なる学術的背景をもつプログラム・オフィサー(PO)が4名所属している。POはCTSAプログラムの拠点長との月例電話会議、年1回の拠点長合同会議、ならびに各拠点から毎年提出される年次報告書の管理を行う。また、医学分野の専門職が3名所属しており、これらの専門官は、CTSAプログラムの下で、NIHと拠点責任者(PI、拠点長等)間で構成される5つの作業部会(人材育成、拠点の地域的関与、臨床研究方法論、生涯を射程に入れた研究、情報科学)での活動に参加する。

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T0 T1 T2 T3 T4

基礎研究健常者への橋

渡し患者への橋渡

し臨床現場への

橋渡し国民への橋渡

前臨床・動物実験

実証実験第一層試験

第二層試験第三層試験

第四層試験市販後評価

集団単位での評価研究

基礎研究から臨床研究への橋渡し新たなデータの医療現場での意思

決定への橋渡し

機構解明

ターゲット評価

リード化合物

新規診断・予防・治療・モデ

効果的治療に向けた試験

患者に見合った時勢を得て奨励される医

療の提供

国民利益に貢献

CTSAが重点化を目指す橋渡し経路

IOM (2013) The CTSA Program at NIH: Opportunities for Advancing Clinical and Translational Research. National Academy Press: Washington, D.C.

13

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研究進捗評価報告書

• 拠点整備、ポスドク支援、博士課程研究者トレーニングに関する取り組みについて全体で5頁程度の情報をまとめ、各拠点からNCATSへ提出

• 本報告書の主な目的は進捗管理であるが、特に、プロジェクトの実施に際して拠点が直面している課題の報告が重要視されている。もし課題が表明された場合、その改善に向けた対応と実施計画も併せて報告が必要となる。成果に関しては、論文・知財に加え、未承認薬や既存の承認薬をこれまでとは別の疾患に利用して臨床試験を実施する場合に規制当局から承認を得る制度(Investigational New Drug: IND)の承認件数なども評価の対象となる。そして、

各拠点に設置されている治験審査委員会に提出された研究計画、研究者氏名、治験審査承認数などが報告の対象となる。これらに加え、次年度の活動予定として拠点が計画している臨床試験、小児疾患研究の実施状況、並びにエイズ研究に関する取り組みを提示する必要がある。

• この他、各拠点には、外部有識者で構成される諮問委員会が設置されており、年に一度諮問委員会は拠点の評価を実施し、拠点責任者に対して提案を行う。諮問委員会による評価内容も年次評価報告書に記載する必要がある。拠点ごとに諮問委員会の規模は異なるが、委員の多くは他のCTSA拠点責任者が約10名程度で構成されていることが多い。最後に執行年度予算の内訳が求められる。

• 医療機器に関してはIDEの承認件数 http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000055543.pdf

• CTSAは特定の疾患研究を推進するプログラムではないが、エイズ研究に関しては、拠点活動の一定の割合が充当されるべきであるという記載がある。

• http://grants.nih.gov/grants/guide/notice-files/NOT-OD-15-014.html14

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プログラム全体の共通評価指標の検討

• 「共通指標の検討」については、医学研究機構(IOM)報告書(2013)が公表

される前から、試験的な取り組みに着手

• 検討を行う主体はCTSA作業部会の一つであった「主要評価機能委員会」Key Evaluation Function Committeeであり、CTSA各拠点から127名が2012年の段

階で指標に関する検討を開始し、それぞれ5つから8つの指標案を提示

• 有効性・実効性の高いと考える15の指標の同定

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4019992/

15

1. 機関内治験審査委員会への研究計画申請から承認に必要とされた時間

2. 研究プロジェクトが達成した治験登録数3. 研究費採択から研究実施までに必要とされた時間4. キャリア開発(教育・トレーニング)5. キャリア経路(教育後の経歴)

6. 拠点のサービス(医療情報・パイロット・グラント・研究計画相談窓口など拠点のあらゆるサービス)を利用して研究を実施した研究者数

7. 拠点で研究利用されたサービスの種類8. サービス利用に対する研究者の満足度

9. 拠点が独自に設置する小規模グラントおよびポスドク支援の投資利益

10. 拠点内研究者間協力の達成度11. 拠点間協力の達成度12. 技術移転事例13. 研究支援から論文公表までの時間14. 論文公表によるインパクトの評価15. 他先例研究結果と新たな研究結果との情報整理・統合

• 概要:17の拠点が自発的にこれらの指標を試験的に導入→ 結果を2015年に公表

• 課題:指標ごとに情報収集のためにアクセスできるデータベースが異なり、データベースの所在が確認できた場合であっても、指標の評価に必要なデータが利用可能な状態となっていない事例など、限界あり

• 結論:拠点間共通の指標は必要最小限の内容とし、その際の指標の設置目的と定義を最大限明確化する必要性が指摘

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26073891

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Precision Medicine Initiative関連情報

• PMI作業部会におけるメンバー構成において、生物情報学分野・統計学分野に長けた拠点からの参加が確認できる(共同委員長Bary Patrick –Lake:Duke大学、Josh Denny:Vanderbilt大学など)

• デューク大学:生物情報学分野への投資が予算内で相対的に高い比重を占めている(24%)。CTSAの採択においても、拠点整備において生物情報科学分野に長けた研究者を確保が重要である点を反映。

• コロンビア大学:以前デューク大学のヒトゲノム多様性研究所の所長を務めたDavid Goldstein博士が、2015年1月にコロンビア大学のゲノム医療研究所の初代所長として雇用され、遺伝学を用いた医学研究の推進をコロンビア大学のCTSA拠点と連携しながら全学的に進める体制を整備。

– その背景の一つに、2015年度大統領一般教書演説で公表された個別化医療イニシアチブ(Precision Medicine Initiative)などの新たな国家的優先課題への時勢を得た対応を目指す際

、コロンビア大学としては、医学部と緊密に連携しながら遺伝学の基礎研究を牽引できる人材が必要となっていた。

– Goldstein博士は英国University College London所属時にC型肝炎・てんかん・統合失調症に関する疾患遺伝子の同定に成功

– David Goldstein Appointed Director of Columbia’s Institute for Genomic Medicine http://www.columbia.edu/content/david-goldstein-appointed-director-columbia-s-institute-genomic-medicine.html

– http://newsroom.cumc.columbia.edu/blog/2014/12/10/david-goldstein-promise-precision-medicine/ 16