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磁性・誘電材料における 電磁場分布の定量解析法の開発
大阪府立大学 21世紀科学研究機構 ナノ科学・材料研究センター
特別准教授 戸川 欣彦
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研究の背景
・電子デバイスの小型化、大容量化、省エネルギー化は重要な課題である。 ・デバイスを構成する物質中の電場分布・磁場分布が直接観察できれば、新たな高性能電子デバイスを開発する際に大きなアドバンテージとなる。 ・透過型電子顕微鏡(TEM)は原子レベルまで
電場分布・磁場分布を観察することが可能な技術である。
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実像(実空間) 回折像 (逆空間)
TEM 断面図
電子線源
試料
対物レンズ
結像レンズ
実空間 (サイズ)
逆空間 (角度)
Toray Research Center, HPより
透過型電子顕微鏡 (TEM)
金(Au)格子
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透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたナノスケール電磁場解析 →(新)物質の(新)機能開拓→次世代電子デバイス動作原理の開発
STEM (JEM-2100F) TEM (JEM-2010) 格子 & 回折 EDX 解析
(原子スケール)
TEM (JEM-2010M) 格子 & 回折 強誘電ドメイン (~ nm スケール)
結晶構造 & 回折 磁気ドメイン
(~ 10 nm スケール)
磁性体デバイス, 強誘電体デバイス, 電池デバイス など
透過型電子顕微鏡 (TEM)
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5 500 nm
ローレンツ法 (アンダーフォーカス像)
電子線ホログラフィー (2倍増幅位相像)
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電子顕微鏡法を用いた磁場分布解析(従来技術) ローレンツ法
M. Schneider et al., JAP 92, 1466 (2002). T. Kasama et al., J. Appl. Phys. 98, 013903 (2005).
t = 3 nm
NiFe ビットパターンメディア
100 nmφ - 80 Gbit/inch2
100 nm
電子線ホログラフィー スピンバルブ素子: NiFe(4.1nm)/Cu(3 nm)/Co(3.5nm)
64 倍位相増幅
280 nm×75 nm - 30 Gbit/inch2
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従来技術とその問題点
電子線を用いた電磁場解析技術として、電子線ホログラフィやローレンツ法が知られている。 微細化した電子デバイスにおける物質中の電磁場分布を計測するには、検出感度の向上が課題であり、広く利用されるまでには至っていない。
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新技術の特徴・従来技術との比較
• “小角電子線散乱法”を新たに開発した。 • 磁性材料の磁気特性や誘電材料の誘電特性を局所的かつ定量的に解析することが可能。
• 従来の電子顕微鏡法を用いた電場、磁場分布解析技術に比べ、検出感度を3桁近く向上。
• 超格子構造体などの長周期構造解析に有効。
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電磁場による位相変化
∆φ = CE ∫V dz - e/h∫B ・dS
電子線(電子波): 振幅 Ψ 0 と 位相 φ
Ψ =Ψ0 eiφ
電子線源 位相変化 ∆φ 試料
位相の計測 → 電子線干渉計測法 (電磁場解析・イメージング)
電磁場による電子波の散乱
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Metal B0 (T) β (10-4 rad.) Fe 2.15 1.31 Co 1.79 1.08 Ni 0.61 0.37
磁化による電子線の偏向
材料 B0 (T) β (10-5 rad.)
Fe 2.15 1.31
Co 1.79 1.08
Ni 0.61 0.37
偏向角
x
z
電子線
磁壁 磁壁 磁気ドメイン
λ = 2.51 pm (200 kV) t = 10 nm e : 1.6×10-19 C
h : 6.62×10-34 J s
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電子線回折法
*R = 1 mm で記録
カメラ長 L
R
θ
光軸
照射電子線
試料
回折面
透過電子線による回折スポット 回折電子線による
回折スポット
透過電子線
回折(散乱)電子線
1 mrad 1 m
1 µrad 1 km
1 nrad 1 Mm
θ L*
小角電子線散乱(Small-Angle Electron Scattering:SAES)
10-910-810-710-610-510-410-310-210-1110-3
1
103
106
10-3
1
103
106
θ (radian)siz
e (n
m)
thic
knes
s (nm
)
磁石
周期
構造
200 kV TEM (λele= 2.5 pm)
Ms =
1.0
T 従来の
検出範囲
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小角散乱(Small Angle Scattering) ・ X線:Small-Angle X-ray Scattering(SAXS) ・中性子線:Small-Angle Neutron Scattering(SANS)
参照:材料科学技術振興財団
<周期構造解析> <形状解析>
Al合金の析出現象の解析 (1950年代~) 磁性材料における磁気構造解析
・金属材料における小角散乱
・ポリマーやゲル・ゴムなど(ソフトマター)研究では実用材料へ適用
コロイド溶液中の粒子サイズや粒子密度 樹脂中の結晶粒子のサイズや粒子密度
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カメラ長
TEM (JEOL JEM-2010)
開き角: 1×10-6 rad
R = 3.5 mm L = 700 m
YT et al., Pat. filed 2011-61352., T. Koyama, YT et al., AIP Advances 2, 012195 (2012).
2 µm 1×10 rad -5 500 nm Carbon grating → (β : 5×10-6 rad)
TEM 断面図
電子線源
試料
対物レンズ
結像レンズ
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小角電子線散乱 (SAES)
*スポット間距離 (R = 1 mm) で記録
1 mrad 1 m
1 µrad 1 km
1 nrad 1 Mm
θ L*
磁性
体
周期
構造
200 kV TEM (λele= 2.5 pm)
Ms =
1.0
T
*スポット間距離 (R = 0.1 mm) で記録
0.1 mrad 1 m
0.1 µrad 1 km
0.1 nrad 1 Mm
θ L*
10-910-810-710-610-510-410-310-210-1110-3
1
103
106
10-3
1
103
106
θ (radian)
size
(nm
)
thic
knes
s (nm
)
電界放出型電子銃 (α ~ 10-8 rad)
長いカメラ長 (up to ~ km) &
カメラ長可変、実区間&逆空間、微小領域 etc. <周期構造解析> <形状解析> <電磁場解析>
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1.2 µm NiFe 人工格子 (1.4 µm 間隔)
L = 100 m, R = 1.8 mm 開き角: 8×10-7 rad
1×10-5 rad
電子線小角散乱法(磁石の人工格子)
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1×10-5 rad
Lorentz 偏向: Lorentz力による 電子線の偏向 ∝ t ∝ B0 ( Ms )
Bragg回折: 周期構造による 電子線の回折
L = 1.4 µm λele = 2.5 pm ~1.79×10-6 rad
Cf.) 結晶格子による Bragg回折 ~10-2 rad
電子線小角散乱法
t = 30 nm ~1.8×10-5 rad
1.2 µm NiFe 人工格子 (1.4 µm 間隔)
L = 100 m, R = 1.8 mm 開き角: 8×10-7 rad
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カメラ長 = 250 m 開き角: < 6×10-7 rad
カメラ長 = 20 m 開き角: 8×10-6 rad
小角電子線散乱
2 µm NiFe 人工格子 (4 µm 間隔)
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面内磁気ドメイン 垂直磁気ドメイン
ローレンツ像
小角電子線散乱データ
磁化方向の同定(面内磁化膜 or 垂直磁化膜?)
T. Koyama et al., J. Phys. Soc. Jpn. 81, 043701 (2012).
100 nm
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19 19
T. Teranishi et al., Chem. Lett. 2004, 33, 130.; Trans. Mater. Res. Soc. Jpn. 2005, 30, 579. 強磁性ナノ粒子(FePt、CoPt)
小角電子線散乱
・粒子サイズの空間分布 ・各ナノ粒子内の磁気モーメント ・磁気モーメントの空間分布 ・結晶構造 など
ナノ磁性粒子の特性解析
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想定される用途
• 物質中の電場分布・磁場分布の局所定量解析 磁性材料の磁気特性 誘電材料の誘電特性 磁性材料・誘電材料の超格子構造 • 物質中の長周期構造の定量解析 自己組織化材料 多孔質触媒材料 光学材料 など
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実用化に向けた課題と企業への期待
• “小角電子線散乱法”の基本技術は開発済み。 • 解析実績の積み重ねが必要。 • 材料特性の評価技術として大いに活用していただきたい。
企業→大学:解析試料の提供 大学→企業:解析技術の提供 (適宜、応相談)
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :電子顕微鏡、および 回折像観察方法
• 出願番号 :特願2011-61352 • 出願人 :大阪府立大学 • 発明者 :戸川欣彦、原田研、森茂生
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お問い合わせ先
大阪府立大学 地域連携研究機構
シーズ育成オフィス 副オフィス長
阿部 敏郎
TEL 072-254-7943
FAX 072-254-7475
e-mail [email protected]