能越道(中波地区)におけるcimの取り組み›³ 図-6...

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能越道(中波地区)におけるCIMの取り組み 大河 滉典 1 ・大島 博史 2 富山河川国道事務所 工務第二課 (〒930-8537 富山県富山市奥田新町2-1 2 前富山河川国道事務所 工務第二課 工務係長 CIMの取り組みとして,能越道(中波地区)において平成25年度に実施した道路土工工事 及び平成26年度に施工したPC方杖ラーメン橋工事について、施工段階でCIMを活用した結果 を報告します. キーワード CIM、3DCAD、3Dモデル、改良工事、橋梁工事 1. CIMの概要 CIM(Construction Information Modeling )とは,従来 の図面に代わり,コンピュータにより3次元モデルを 作成し,設計・施工等で活用する手法です.完成後の 構造物や付近の様子が3次元的に表示されるので,完 成イメージもよく分かり,施工上の注意点などを事前 に確認することができます.また,従来では何枚もの 設計図面が必要であり,図面同士の不整合がしばしば 起こりますが,CIMを用いることで,断面図や平面 図を一つの3次元モデルとして作成するので図面同士 や図面と数量計算書の不整合の防止にも効果がありま す. 建設分野全般にCIMを導入することにより,建設 生産プロセスの各段階において,CIMモデルを共 有・活用し,さらに発展させ,設計ミス,違算の防止, 最適な設計・施工,維持管理の高度化など,各業務の 効率化・高度化を図ることを目的としています. -1 CIMの概要 2. 試行対象工事の概要 富山河川国道事務所では,能越自動車道七尾氷見道 路事業において,中波地区の改良工事及び橋梁工事 (氷見市中波地先の市道立体交差箇所)を対象に,平 24 2012 )年度の試行業務で作成した橋梁3 次元モデ ルの工事での活用検証を行いました. 平成25 2013 )年度は,工事用道路モデル作成を含 む改良工事を中心とした試行を行い,平成262014年度は,橋梁工事を中心とした試行を実施しました. -2 試行対象位置図 (1) 改良工事概要 対象工事:能越道中波道路その3工事 工事種別:道路土工工事 工事概要:道路土工 56,600m 3 ,法面工 工期:2013 11 月~2014 3 ・工事用道路工事(平の山線~上野線) ・土砂運般路工事 ・橋台施工用パイロット道路工事 ・橋台施工掘削、施工基面切土 ・橋脚施工掘削、施工基面切土 -3 改良工事における実施内容 (2) 橋梁工事概要 対象工事:能越道中波市道跨道橋工事 工事種別:プレストレスト・コンクリート工事 工事概要:PC 方杖ラーメン中空床版橋 L=73m

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Page 1: 能越道(中波地区)におけるCIMの取り組み›³ 図-6 施工計画段階での活用場面(三者会議) b) 活用場面 2)施工計画/工事打合せ 工事打合せでは,「工事用道路の施工ステップ出来

能越道(中波地区)におけるCIMの取り組み

大河 滉典1・大島 博史2

1富山河川国道事務所 工務第二課 (〒930-8537 富山県富山市奥田新町2-1 ) 2前富山河川国道事務所 工務第二課 工務係長 〃

CIMの取り組みとして,能越道(中波地区)において平成25年度に実施した道路土工工事

及び平成26年度に施工したPC方杖ラーメン橋工事について、施工段階でCIMを活用した結果

を報告します.

キーワード CIM、3DCAD、3Dモデル、改良工事、橋梁工事

1. CIMの概要

CIM(Construction Information Modeling)とは,従来

の図面に代わり,コンピュータにより3次元モデルを

作成し,設計・施工等で活用する手法です.完成後の

構造物や付近の様子が3次元的に表示されるので,完

成イメージもよく分かり,施工上の注意点などを事前

に確認することができます.また,従来では何枚もの

設計図面が必要であり,図面同士の不整合がしばしば

起こりますが,CIMを用いることで,断面図や平面

図を一つの3次元モデルとして作成するので図面同士

や図面と数量計算書の不整合の防止にも効果がありま

す. 建設分野全般にCIMを導入することにより,建設

生産プロセスの各段階において,CIMモデルを共

有・活用し,さらに発展させ,設計ミス,違算の防止,

最適な設計・施工,維持管理の高度化など,各業務の

効率化・高度化を図ることを目的としています.

図-1 CIMの概要

2. 試行対象工事の概要

富山河川国道事務所では,能越自動車道七尾氷見道

路事業において,中波地区の改良工事及び橋梁工事

(氷見市中波地先の市道立体交差箇所)を対象に,平

成24(2012)年度の試行業務で作成した橋梁3次元モデ

ルの工事での活用検証を行いました. 平成25(2013)年度は,工事用道路モデル作成を含

む改良工事を中心とした試行を行い,平成26(2014)年度は,橋梁工事を中心とした試行を実施しました.

図-2 試行対象位置図 (1) 改良工事概要

対象工事:能越道中波道路その3工事 工事種別:道路土工工事 工事概要:道路土工 56,600m3,法面工 工期:2013年11月~2014年3月

・工事用道路工事(平の山線~上野線)

・土砂運般路工事

・橋台施工用パイロット道路工事

・橋台施工掘削、施工基面切土

・橋脚施工掘削、施工基面切土

図-3 改良工事における実施内容 (2) 橋梁工事概要

対象工事:能越道中波市道跨道橋工事 工事種別:プレストレスト・コンクリート工事 工事概要:PC方杖ラーメン中空床版橋 L=73m

Page 2: 能越道(中波地区)におけるCIMの取り組み›³ 図-6 施工計画段階での活用場面(三者会議) b) 活用場面 2)施工計画/工事打合せ 工事打合せでは,「工事用道路の施工ステップ出来

工期:2013年12月~2015年2月

図-4 試行対象橋梁と橋梁諸元

3. CIM検証場面の設定

(1) CIMの導入による施工段階の効果 CIMの導入による施工段階で想定される効果の検

証を行うべくCIM活用場面の設定を行いました.

<施工段階で想定される効果>

・完成イメージの可視化による工事の手戻り防止

・施工条件のモデル化による条件誤認防止

・任意点計測が可能になることによる施工精度向上

・地元説明,関係者協議利用による合意形成円滑化

・材料品質管理属性のCIMモデルへの付与による

維持管理段階への施工履歴情報充実

(2) CIMの活用場面

工事施工段階におけるCIM活用場面及び試行項目

として,工事毎に表-1,表-2に示す8場面を,予め関係

者協議により選定しました.今回は,昨年の中間報告

(表-1の着色部)を含む,全体のCIM試行内容を報

告します. なお,施工業者とのCIM関連の大容量データ等の

やり取りには,インターネット経由で複数関係者間で

の情報共有が可能な情報共有システムを利用しました. 表-1 改良工事におけるCIM試行項目

表-2 橋梁工事におけるCIM試行項目

4. 改良工事の検証結果

平成25(2013)年度に実施した改良工事を対象にし

たCIM活用の検証結果を以下に示します. (1) 活用効果

改良工事の各活用場面における活用効果を以下に示

します.

a) 活用場面1)施工計画/三者会議(設計者・施工者・

発注者)

三者会議では,「工事概要の共通認識の効率化」と

して,詳細設計の工事用道路設計図からCIMモデル

を作成し,3次元可視化による工事用道路(完成形)

の認識共有化を図ることで,以下の効果が確認されま

した. <活用効果>

・3次元可視化は,関係者間の合意形成に効果があっ

た ・設計・施工で実施した完成形のイメージを共有する

ことで,三者会議など契約単位の引き継ぎが円滑に

なり,責任主体も明確になった ・関係者は無償ビューワをインストールして3次元デ

ータを閲覧することで,打合せ以外にも活用でき,

指示,協議がスムーズに行えた 表-3 CIM活用試行手順(活用場面1)

図-5 工事用道路全体モデルイメージ

工事用道路完成イメージ可視化

Page 3: 能越道(中波地区)におけるCIMの取り組み›³ 図-6 施工計画段階での活用場面(三者会議) b) 活用場面 2)施工計画/工事打合せ 工事打合せでは,「工事用道路の施工ステップ出来

図-6 施工計画段階での活用場面(三者会議)

b) 活用場面2)施工計画/工事打合せ

工事打合せでは,「工事用道路の施工ステップ出来

形形状の確認」として,図-7に示すように工事用道路,

土砂運搬路,橋梁下部工のCIMモデルから可視化資

料を作成し,施工手順を確認することで,以下の効果

が確認されました. <活用効果>

・図8に示すように,施工者がビューワ測定機能を使

用して任意点間の距離確認等の検討に活用できた ・施工業者から施工に関する新たな提案を引き出すこ

とができた 表-4 CIM活用試行手順(活用場面2)

表-5 設定した施工工程による出来形形状の段階

図-7 施工段階別モデルイメージ

図-8 ビューワ機能を用いた任意点間の計測イメージ

c) 活用場面3)関係者協議/埋設物等の確認

埋設物等の確認は,「位置関係確認の迅速化」とし

て,詳細設計の用水路切回し計画図からCIMモデル

を作成し,3次元可視化による関係者との認識共有化

を図りました. <活用効果>

・図-9に示すように,既存用水路の3次元可視化により,

用水路が埋設された部分の状況,工事用道路設置時

の用水路切回し方法などが明確になり,関係者によ

る状況確認,対処方法等の合意形成に効果があった ・3次元の地形,用水路のモデル化ができたため,次

の展開として,CIMツールと流量計算,排水設計

など土木専用機能との連携や,新たな技術開発が望

まれる

表-6 CIM活用試行手順(活用場面3)

任意点間計測による施工関係者への指示円滑化

Page 4: 能越道(中波地区)におけるCIMの取り組み›³ 図-6 施工計画段階での活用場面(三者会議) b) 活用場面 2)施工計画/工事打合せ 工事打合せでは,「工事用道路の施工ステップ出来

図-9 用水路切回し計画モデルイメージ

d) 活用場面4)施工管理/施工数量の算出

施工数量の算出では,「施工ステップ別の数量算出

の迅速化」として,工事用道路CIMモデルから段階

別の土工数量を算出することで,以下の効果が確認さ

れました. <活用効果>

・数量計算において発生する人的ミス(図面との不整

合,拾い漏れ等)の排除,設計変更した場合も含め

た作業の効率化の効果が確認された ・3次元モデルより工事段階別に切土量,盛土量を容

易に抽出できるため,工事工程の中で必要となる排

出土用車両数の計画に活用できた

表-7 CIM活用試行手順(活用場面4)

表-8 施工段階別3次元モデルからの算出土工数量

(2) 施工者の評価

改良工事を担当する施工者(主任技術者)からは,

下記の意見がありました.

a) CIM試行全般

・今回のCIM試行は効果があったが,3次元モデル

の作成は施工進捗に合わせて事前にモデル化するこ

とが望ましいが,今回以上のレベルのモデル化は時

間と手間が掛る.

b) 活用場面1)施工計画/三者会議

・3次元可視化を用いて工事用道路に関する議論がで

き,また,第三者に説明する際に,完成イメージが

分かりやすく有効であっが,法面排水のモデル化や

目印となる測点番号の法線があるとより良かった. c) 活用場面2)施工計画/工事打合せ

・施工手順の確認では,図面より分かりやすく,現場

への指示がスムーズに行えた. ・オペレータが,車路先端の掘削深さを予めイメージ

することができた. ・施工範囲の確認では,ビューワの測定機能により任

意点間の距離等を確認できた. d) 活用場面3)関係者協議/埋設物等の確認

・情報共有システムからのデータ(51MB)ダウンロ

ードに1時間ほどかかった.CIMの活用にあたっ

ては,現場における通信インフラの整備も考慮する

必要がある. e) 活用場面4)施工管理/施工数量の算出

・工事段階別に土工量を容易に抽出できるが,地形モ

デル精度が粗く,3次元モデルから算出した土量に

ついて,別途,平均断面法による確認が必要である.

5. 橋梁工事の検証結果

平成26(2014)年度に実施した橋梁工事を対象にし

たCIM活用の検証結果を以下に示します. (1) 活用効果

橋梁工事の活用効果を以下に示します.

a) 活用場面1)安全管理/新規入場者教育

安全管理では,業務課題として「新規入場者への工

事内容・安全教育に関する理解度の向上」があり,設

計CIMモデルを活用した3次元可視化により,工事

内容・迂回路を説明することで,以下の効果が確認さ

れました.(図-5,6) <活用効果>

・3次元可視化された橋梁を見せることにより,工事

内容・施工範囲に関する新規入場者の理解が2次元

図面に比べてかなり良くなった ・迂回路,他工事との絡みについても,同様のイメー

ジで理解しやすい(複数の2次元図面を用いた説明

では,異なるイメージを持つことがあった) b) 活用場面2)設計照査/鉄筋干渉チェック

鉄筋干渉チェックでは,「設計図面の漏れのない照

査(確認)による事前対応」として,NavisWorksのク

ラッシュレポート及び3次元可視化により,鉄筋,シ

ース及びアンカー箱抜との干渉チェック等を行うこと

で,以下の効果が確認されました. <活用効果>

・鉄筋干渉箇所をほぼ自動的に抽出でき,留意すべき

箇所を即座に判断できる

既存水路の工事用道路との関係確認の効率化

Page 5: 能越道(中波地区)におけるCIMの取り組み›³ 図-6 施工計画段階での活用場面(三者会議) b) 活用場面 2)施工計画/工事打合せ 工事打合せでは,「工事用道路の施工ステップ出来

・鉄筋干渉は多数あったが,ほとんどは組立時の配慮

により対処可能

図-10 NavisWorksのクラッシュレポート

図-11 干渉チェックによる配筋変更

c) 活用場面3)モデルへの属性情報の付与

3次元モデルへの材料・部材の仕様,コスト情報等

の属性情報の付与は,CIMソフトのRevit Structureにより実施するのが一般的ですが,材料・部材に対して

画面上から1つ1つ属性情報を付与する作業は非常に煩

雑であるといった課題がありました. そこで,今回の試行においては,属性情報付与作業

の簡便化・作業性向上を実現可能な作業方法を検討の

結果,図-12に示すように,Revit Structureの追加機能で

あるRUTSの属性エクスポート及びインポート機能を

利用し,普段使い慣れているMicrosoft Excelによる属性

情報付与を行う方法を採用し,属性項目を設計/施工

/維持で区分し,施工段階の項目追加を行いました <活用効果>

・ファイル名を属性項目に設定したことで,鋼材検査

証明書等を参照できる ・CIMモデルへ属性付与を行う,施工業者の作業を

負荷軽減できた

Revit Structure RUTS

①RUTS機能追加

CIMモデルデータ(.rst)

②読込

⑤属性 登録

③属性エクスポート

④属性インポート

Excel部材キー

 属性項目 →

部材名称等↓ 必要な属性情報入力

図-12 Excelを用いた属性情報付与手順 d) 活用場面4)施工計画/施工手順の確認

施工手順の確認では,業務課題として「施工手順の

関係者への周知」として,仮設材をCIMモデルに組

み込み,施工ステップアニメーションを作成すること

で,以下の効果が確認できました. <活用効果>

・施工ステップ毎の状況が視覚的に分かり,関係者の

認識共有に役立つ ・工事用看板の作成にも利用し,CIM試行,施工内

容を効果的にアピールできた

図-13 施工ステップアニメーション (2) 施工者の評価

橋梁工事を担当する施工者からは,下記の意見があ

りました.

a) 橋梁の3次元可視化

・CIMソフトの操作習得のため,オペレーターの教

育が必要である ・CIMモデルへ設計照査の図面修正内容を反映する

必要がある b) 鉄筋の干渉チェック

・NavisWorks干渉チェック機能は,精度が不明等の問

題がある ・チェックに時間が掛かり,照査完了が三者会議に間

に合わない c) 品質管理属性付与

・品質属性は,工事中より維持管理において効果が発

揮される ・鉄筋1本1本に属性付与する作業量は現実的でなく,

維持管理での活用からも必要ないと考える

現場では EXCELで属性入力可能

Page 6: 能越道(中波地区)におけるCIMの取り組み›³ 図-6 施工計画段階での活用場面(三者会議) b) 活用場面 2)施工計画/工事打合せ 工事打合せでは,「工事用道路の施工ステップ出来

d) 施工ステップのアニメーション作成

・設計CIMモデルが施工ステップの分割に対応して

いないため,コンクリート部の打設ロットにより分

割する作業が発生した ・設計段階から引き渡されたモデルに,型枠・支保工

がないため,コンクリートモデルを押し出したパー

ツ化等により作成した

6.定性的評価と今後の検討項目

今回の試行結果及びCIM試行業務結果に基づき,

品質,コスト,工程,安全の視点で,それらに間接的

及び直接的効果を与える事項をまとめると共に,今後

の検討項目を整理しました. (1) 品質の視点

・橋梁の3次元可視化を用いて完成イメージを共有す

る ・自動干渉チェック機能を用いた配筋照査は,漏れ

なく留意すべき箇所を確認できる ・属性付与により施工履歴情報を充実することで、

維持管理段階の品質が上がる ・品質属性を入力する際,設計仕様との整合を確認

する ・施工ステップのアニメーションを用いて施工手順

を確認・認識共有する (2)コスト面の視点

・橋梁の3次元可視化を用いた新規入場者教育,自動

干渉チェック機能を用いた配筋照査,属性付与に

よる施工履歴情報の充実,施工ステップアニメー

ションを用いた施工手順の確認 ・ただし,属性付与による施工履歴情報の充実は,

追加作業となり,施工段階のコストは増大する (3) 工程面の視点

・橋梁の3次元可視化を用いて新規入場者を教育する ・現状の自動干渉チェック機能は,精度が不明等の

問題があり,フィルターとなる干渉量の検討等に

時間を要したため,今回は照査完了が三者会議に

間に合わなかった ・施工ステップアニメーションを用いた施工手順の

確認により,手戻りを防止する (4) 安全面の視点

・橋梁の3次元可視化を用いて新規入場者を教育する ・施工ステップアニメーションを用いた施工手順の

確認 (5) 今後の検討項目

・CIMソフトの機能を改良する(操作性,土木用

機能の充実,干渉チェック機能,設計計算対応) ・モデル編集ができるオペレーターを育成する ・維持管理段階での実用 ・CIMモデルに取り込みやすい品質情報を材料メ

ーカから提供する(仮設材,二次製品を含む) ・現場で対応可能な鉄筋干渉を排除するための統一

フィルター(干渉量)を検討する ・CIMモデルを施工ステップに分割する作業の実

施者・実施段階を検討する ・モデルをどこまで精緻に作成するか検討する ・設計後の変更を反映する業務プロセスを整備する ・設計/施工/維持の区分で属性項目を標準化する ・既設構造物の3次元形状を取得し,モデル化する技

術を実用化する ・施工現場で実物とCIMモデルを重ね合わせてみ

る技術(AR:拡張現実)を実用化する

7. まとめ

設計段階での試行に引き続いて,施工段階における

CIM試行を行った結果のまとめは次のとおりです. ●橋梁工事にCIMを導入し活用した結果,主に3次元可視化により,打合せ指示の円滑化や新規入場

者への安全教育に効果が得られた ●自動干渉チェックは効果が期待されるが,現状の

CIMソフト機能に問題があり,改良を期待する ●属性付与は,維持管理段階の活用を整理すると共

に,付与するモデル単位等を検討する必要がある ●共通課題として,CIMモデルオペレーターの育

成,環境整備費用の低減,CIMモデル活用の継

続的なサポートが挙げられる CIM導入の取り組みは開始されて3ヶ年が経過し

ました.建設産業における生産性向上の実現を目標と

してCIMを活用していくためには,技術面,運用面,

制度面に対する課題があります. 現段階は,運用するためにはツール等の技術開発が

必要であり,技術開発するには仕様となる制度が必要

であり,制度改定するには運用による効果確認が必要

であるという,技術・運用・制度の三つ巴状態です.

これを解消するため,引き続き各段階での検証により,

現場の視点から導入効果の確認,検討課題の提起を継

続していく必要があると考えます. 謝辞:最後に,ご指導いただいた本省技術調査課なら

びに北陸地方整備局技術管理課に謝意を表します.