米国最新知財事情 ~新法の下での知財戦略~...米国最新知財事情...

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米国最新知財事情 ~新法の下での知財戦略~ 外国法事務弁護士事務所 外国法事務弁護士弁理士 岸本 芳也 2013125日本知的財産協会 第4回関東電気機器部会

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米国最新知財事情

~新法の下での知財戦略~

シュグルー・マイアン外国法事務弁護士事務所

外国法事務弁護士・弁理士

岸本 芳也

2013年12月5日

日本知的財産協会

第4回関東電気機器部会

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I. 米国知財訴訟の現状

II. パテントトロール問題と訴訟乱用をめぐる現状

III. 米国発明法(AIA)下での防衛戦略(はじめに)

IV. 米国発明法(AIA)以前の原告特許の無効化

V. 米国発明法(AIA)下での原告特許の無効化

VI. 弁護士の鑑定

VII. USPTOにおける審査と裁判所における審理の相違

2

目次

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I. 米国知財訴訟の現状

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�1994年(1,617件)から2012年(3,896件)の

18年間で約136%の増加

�デラウェア州、バージニア州東部地区、

テキサス州東部地区などが人気

例えば、テキサス州東部地区では、受理件数

が14件(2003年)から1,266件(2012年)に増

加(2011年の608件から2倍以上)

提訴件数(特許)、裁判地選択の傾向

4

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�地裁

‒ 1991年 86件/1,171件 (7.3%)‒ 2000年 85件/2,197件 (3.9%)

・・・

‒ 2007年 100件/2,712件 (3.7%)‒ 2008年 99件/2,817件 (3.5%)‒ 2009年 121件/2,883件 (4.2%)‒ 2010年 99件/2,837件 (3.5%)‒ 2011年104件/3,049件 (3.4%)‒ 2012年 124件/3,896件 (3.2%)

地裁では、95%以上が和解により解決(法諺 「訴訟あるところに和解あり」)

� ITC 約35%

公判率 (公判到達率)

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�損害賠償額(1995~2011年)

出典:http://www.pwc.com/en_US/us/forensic-services/publications/assets/2012-patent-litigation-study.pdf

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II. パテントトロール問題と訴訟乱用をめぐる現状

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米国におけるパテントトロール問題

8

�推定年間被害額: 3兆~9兆円(2011~2013年)

�パテントトロールの別名:

�NPE(Non-Practicing Entity: 特許不実施主体)

�PAE(Patent Assertion Entity: 特許紛争主体)

� オバマ大統領:「トロールは何も製造しない、奴らは他人

のアイデアを利用し、ハイジャックし金を巻き上げる輩で

ある」

� ケネディ最高裁判事:「トロールは、物を製造し販売する

ためではなく、ライセンス料を得るために特許を使う」

� レーダーCAFC主席判事:「トロールは一 IBMやマイク

ロソフトなどの大企業から小企業に至るまで一(真の)特

許の価値以上にそれを行使するすべての者」

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増加するNPEによる訴訟提起

9

損害賠償の中央値

(100万ドル)

各年の訴訟件数

0

2

4

6

8

10

12

不実施主体

実施主体

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

不実施主体

実施主体

出典: PwC (2013) 出典: Feldman et al. (2013)

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ソフトウェア特許に関する訴訟提起

10

ソフトウェア特許に関する訴訟件数

(2007-2011)

実施主体

不実施主体59%

41%

出典: GAO-13-465 Patent Litigation

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オバマ政権のパテントトロール対策

�議会

�立法提言

– 非常に悪質な訴訟に関して、パテントトロール(原告)に被告

の訴訟費用負担をシフト

– 真の利害関係者の開示義務

– 汎用製品を既に購入した消費者や企業を侵害訴訟から保護

– ITCにおける差止基準にe-Bay判決を採用

�行政府

�真の権利者情報の提供

�機能クレームの制限(ソフトウェア分野)

�排除命令執行強化(税関とITC)

�司法

�差止基準の厳格な適用

�訴状への詳細な記載を義務化(訴訟濫用の防止) 11

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議会によるトロール対策 - SHIELD法案

� Saving High-Tech Innovators from Egregious Legal Disputes (SHIELD) Act of 2013: 不当な法的争いからハイテク・イノベーターを救済する法案

�非侵害または無効性を主張する被告は、原告特許権者

が以下に該当しない限り、裁判所に対し、判決を求める

申立(motion to judgment by the court)を提出できる– 最初の発明者、共同発明者または譲受人

– 原告特許製品の製造・販売により実質的な投資を行ったことを証

明できる当事者

– 大学または技術移転機関

�裁判所が上記には該当しないしないしないしないと判断した場合:– 原告特許権者は「すべての裁判費用を回収する」ための担保とし

て保証金(bond)を供託しなければならない

– 原告特許権者が敗訴した場合には、その保証金から支払う12

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地裁でのトロールによる差止請求事件

� Sabatino Bianco v. Globus Medical, 2012 U.S.

Dist. Lexis 163022, E.D. Texas, 2012年11月14日

(予備的(仮)差止申立を却下)

� Clear With Computers v. Hyundai Motor

America, 2012 U.S. Dist. Lexis 186911, E.D.

Texas, 2012年1月9日 (永久差止請求を棄却)

13

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予備的(仮)差止(Preliminary Injunction)の要件

�原告特許権者は以下の4要件を立証しなければ

ならない:

�勝訴の可能性が高いこと

�原告が回復不能の損害を受けていること

�予備的差止を与えることが衡平性を阻害しないこと(損益

バランスの衡量)

�本案差止によって公衆の利益が損なわれないこと

�裁判所は e-Bay事件判決後、上記4要件を評価す

る際に、原告特許権者が不実施主体であるかどう

かのステータスを考慮することが可能

14

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Bianco v. Globus Medical

� Bianco(原告)は神経外科開業医であり、 Globus

(被告)は株式非公開の大手医療機器会社

� Biancoと Globusは、 Biancoが考案する医療器具

のアイデアやデザインを共有し、Globusは それを

商品化可能かを評価する契約を締結

� Biancoは最小侵襲脊髄手術(minimally invasive

spinal surgery)で使用する拡張性脊椎固定器具

(expandable intervertebral fusion device)の発明

開示を提出したが、Globusは開発・商品化に興味

を示さなかった

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Bianco v. Globus Medical(続)

� Globus は独自に、Caliberと呼ばれる拡張性脊椎

固定器具を積極的に開発

� GlobusはCaliber器具に関する特許出願を行った

が、 Biancoを共同発明者として記載しないまま特

許が許可

� Biancoは、Globusが発明開示からの秘密情報を当

該特許発明(Bianco発明と同様の機能と特徴)に不

正流用したと主張

� Bianco は「紛争前の原状に復する」ために予備的

差止を申立 16

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Bianco v. Globus Medical(続)� 勝訴の可能性が高いこと(Likelihood of Success)

� 裁判所は、Biancoが企業秘密の不正流用(Trade Secret

Misappropriation)、契約違反(Breach of Contract)、発明者の訂正

(Correction of Inventorship)、およびテキサス州窃盗罪の責任

(Texas Theft Liability)に基づき「勝訴の可能性を立証した」と仮定

�衡平性を阻害しないこと(Balance of Equities)

� Biancoは、仮差止が認められれば、 Globusは少々の苦難には耐え

なくてはなるまいが、それは 「不当な損害」とはならないであろうと主張

� それに対し、Globusは、Caliberは市場で高い評価を受けた、最先端

技術であると反論

� 裁判所はGlobusに同意

理由:Globusは相当な投資をし、製品が既に市場に出回り、市場で高い評価

を得ている。それに対し、Biancoは何らの投資もしていないため損害もない

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Bianco v. Globus Medical(続)

�回復不能な損害(Irreparable Harm)

�Biancoの主張:Globusによる不正流用は排他権を奪う行為であって、Caliberはマーケット・リーダーの地位を確立しているため、Biancoのアイデアの商品化を妨げる

�Globusの反論:Biancoが共同発明者であると証明できたとしても、Biancoはそれ以外の共同発明者を除外することはできない。また、Biancoは特許不実施主体(NPE)であり、直接的な競合関係にはないため、適切な 法的救済

は金銭賠償である

�裁判所はGlobusに同意

理由:Biancoは、金銭賠償だけでは十分ではない理由を立証していない。Biancoは発明を実施していないため、Globusとは 競合関係にない

18

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Bianco v. Globus Medical(続)

�公共の利益(Public Interest)� Biancoは、企業秘密を保護することや、その不正流用を防止することは、大いに公共の利益に資すると主張

� Globusは、Caliberを市場から排除させることは公共の利益に反し、その使用から恩恵を受ける患者の利益を損なうと反論

�裁判所はGlobusに同意

理由:企業秘密や知的財産権を保護することは大いに公共の利

益に資するものであるが、 もしBiancoが勝訴してとりわけ金銭

賠償により補償できる場合には、公衆からこの医療の進歩を

奪わないことの方がより公共の利益に資するものである

�よって、予備的差止の申立は却下する

19

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永久的差止(Permanent Injunction)の要件

�原告特許権者は以下の4要件を立証しなければ

ならない:

�原告が回復不能の損害を受けていること

�法による金銭賠償では救済が不十分なこと

�原告と被告間の困難性のバランスを考慮して、

エクイティ〔衡平法〕による救済が正当であること

�本案差止によって公衆の利益が損なわれないこと

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Clear v. Hyundai

� Clear(原告)は、Hyundai(被告)が特許を侵害した

として訴訟提起

�陪審の評決:原告特許は有効でかつ侵害あり

1,150万ドルの損害賠償をClearに支払うことを裁定

�両者は、数回の公判後の申立(Post-Trial Motions)を

提出

� Clearは、永久差止、あるいは継続的ロイヤルティの

支払を求める申立を提出

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Clear v. Hyundai(続)�回復不能な損害(Irreparable Harm)

�Clearの主張:Hyundaiによる特許発明の実施を阻止できな

ければ回復不能な損害が発生

�Hyundaiの反論:Clearは発明を実施していないため

Hyundaiとの競合もなく、また通常実施権を基本としたライセ

ンスをし、しかもHyundaiの侵害によって信用(のれん)やブ

ランド認知が失われたとの事実を立証していない

�裁判所の判断:差止請求を裏付ける事実はない

�金銭賠償 (Monetary Damages)�Clearの主張:金銭賠償は「陳腐な販売データ」に基づくのに

対し、侵害の状態は変化する(金銭賠償では不十分)

�裁判所の判断: Clearはライセンス供与を事業としており、

金銭による損害賠償で十分である

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Clear v. Hyundai(続)�困難性の比較考量(Balance of Hardship)

�Clearの主張: Hyundaiは、事実審で示された非侵害の履行(差止)を選択することは可能である

�裁判所の判断: 特許の有効期間が残り少ないこともあり、

Hyundaiに差止を要求することは不当な困難となる

�公共の利益(Public Interest)

�Clearの主張:特許権の保護は重大な公共の利益である

�裁判所の判断:本件に限らず、すべての知的財産権の保護

は公共の利益に資するといえる

�永久差止請求は棄却。月額2万1千ドルの特許使用料の支払いを命じる判決

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� ITCにおける差止認容の基準をe-Bay判決に沿った

要件とし、地裁とITCとの基準を統一化

�パイロットプログラムの導入

�行政法判事(ALJ)が国内産業要件(Domestic Industry

Requirement)を満たすか否かを100日以内に判断

�国内産業要件の経済的側面(Economy Prong)の

「実質的なライセンス投資」には、単なる訴訟提起は

含まれないとの立場を表明(Motiva v. ITC)

24

米国国際貿易委員会(ITC)のトロール対策

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�国内産業要件

�原告は、米国内の産業が特許製品に関して存在

するか、それが確立する途上であることを示す必

要がある

�この要件は、ライセンスに対する「実質的な投資」

がなされていることをもって充足することができる

(1988年337条改正)

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米国国際貿易委員会(ITC)のトロール対策(続)

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米国国際貿易委員会(ITC)のトロール対策(続)

� Motiva v. ITC (CAFC, May 13, 2013, 2012-1252)

�訴訟への投資が必然的に関税法337条における産業要件

の経済的側面を充足するか?

� CAFCは、原告特許権者 Motivaが国内産業要件を

満たしていないので、任天堂が関税法第337条に違

反していないと判断したITCの決定を支持

�訴訟費用を投じたからといって、産業要件の経済的側面の

要件「実質的なライセンス投資」であるとは限らない

�訴訟に対する投資は、実質的でかつ特許技術を具現化し

た製品の導入および開発を促進するライセンスプログラム

でなければならない

26

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III. 米国発明法(AIA)下での防衛戦略(はじめに)

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S&P 500市場資本

有形資産 無形資産

28

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イノベーションの価値

「iPhoneの真の価

値はその部品や

組立コストにあらず

その価値の大半

は、製品のコンセプ

トとデザインにある」

ミシガン州立大学 フリント・キャンパスSchool of ManagementのMark J. Perry教授による。

アップル社に支払われる

iPhoneの内訳 = 600ドル

29

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�損害賠償

� 6年間(通知が必要)

�逸失利益(lost profits)

�合理的な実施料(reasonable royalty)

�差止

�予備的(preliminary)

�永久(permanent)

�弁護士費用とその他訴訟費用

�不確実性(費用と時間)

�権利行使された場合の最大の防御策は?

侵害被疑者にとっての主なリスク

30

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IV. 米国発明法(AIA)以前の原告特許の無効化

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�特許訴訟での被告または侵害被疑者にとっての選

択肢

�地方裁判所での訴訟(被告として、あるいは確認訴訟

(declaratory judgment)の原告として)

�査定系再審査(ex parte reexamination)

�当事者系再審査(inter partes reexamination)

(1999年11月29日以降の請求に限定)

米国発明法(AIA)以前の特許無効手続

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�地方裁判所での訴訟

�訴えの利益: 実際に提起されたか、訴訟提起の差し迫った脅威

�有効性が推定/明白かつ確信を抱くに足る証拠基準

�技術的専門家ではない裁判官・陪審による事実審

�クレームは、審査経過・先行技術など内的証拠により解釈

�“BRI (Broadest Reasonable Interpretation)” 基準は不採用

(see In re Baxter)

�不確定な訴訟期間(2~4年)

�一般的には特許発行後7~10年間

�非常に高額

– 無効化率*は約40% (2000~2011年):

地裁訴訟におけるデメリット (1)

102条条条条によるによるによるによる無効無効無効無効 103条条条条によるによるによるによる無効無効無効無効 その他その他その他その他の理由の理由の理由の理由 合計合計合計合計

40% (425/1052) 42% (299/709) 39% (353/894) 40.5% (無効)59.5% (有効)(有効)(有効)(有効)

*無効化率は実際に判決を受けた事案に関する割合であり、和解案件は含まない。Source: PATSTATS.ORG

33

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�フォーラム・ショッピング戦略

�裁判所間で均一性を欠き、不確実性・リスクが増大

�ローカル・ルールの相違

�裁判官の実績・能力差

–訴訟指揮–技術理解力–仮差止モーションに関する実績–サマリ・ジャッジメント・モーションに関する実績–クレーム解釈に関する実績

�公判終了までの所要期間の相違

�陪審員構成の相違

�ほとんど特許訴訟は和解で終結。実際に公判まで達

すると、特許権者が32.5%の割合で勝訴(全米平均)

地裁訴訟におけるデメリット (2)

Source: AIPLA QUARTERLY JOURNAL, Volume 38, Number 4 Fall 2010 34

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査定系再審査の傾向

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1981

1982

1983

1984

1985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

KSR

35

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当事者系再審査の傾向

KSR

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KSR

査定系および当事者系再審査の傾向

査定系

当事者系

37

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�査定系再審査

�査定系 ─ 一方的に特許権者に有利となる可能性

�刊行物に基づいた新規性と自明性に限定

�各審査官間で再審査の質的ばらつき

�狭い新規クレームを無制限に追加補正するおそれ

�審判部への審判請求

�不確定な審査期間 (平均25.4ヵ月)

�訴訟関連が認められた割合── 32%

�成功率(第三者による請求の場合)

AIA以前の再審査のデメリット (1)

すべてのクレームが

容認

すべてのクレームが

削除

クレームの変更

23% 12% 65%38

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�当事者系再審査

�刊行物に基づいた新規性と自明性に限定

�各審査官間で再審査の質的ばらつき

�狭い新規クレームを無制限に追加補正するおそれ

�審判部への審判請求

�不確定な審査期間(平均36ヵ月)

�訴訟関連が認められた割合──67%

�成功率(第三者による請求の場合)

すべてのクレームが

容認

すべてのクレームが

削除

クレームの変更

11% 42% 47%

AIA以前の再審査のデメリット (2)

39

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V. 米国発明法(AIA)下での原告特許の無効化

40

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� AIA以降、特許訴訟での被告または侵害被疑者にとっての選択肢

�地方裁判所での訴訟

�査定系再審査

�当事者系レビュー(IPR)

�付与後レビュー(PGR)

(ビジネス方法特許に対する暫定的付与後レビューを含む)

米国発明法(AIA)施行後の無効手続

41

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�査定系再審査

�全特許が対象

�複数の請求が可能

�有効性の推定なし

�クレームは「BRI」基準により解釈される

�エストッペルなし

�匿名での請求可

�ページ数の制限なし

�最も安価な特許無効化手続

米国発明法(AIA)システムのメリット (1)

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�当事者系レビュー(IPR)

�当事者系再審査のPTO版ミニトライアル

�全特許が対象

�申立人による完全参加

�限定されたディスカバリの許可

(イニシャル・ディスクロージャー、宣言者に対する証言録取など)

�審理は、特許審判部(PTAB)の行政特許判事が行う

�クレームの補正または新規クレームの追加補正の制限

�審理期間は手続開始より12ヵ月、正当な理由があれば

最長6ヵ月まで延長

�成功率は当事者系再審査と同程度と見込まれる

米国発明法(AIA)システムのメリット (2)

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�ビジネス方法特許の暫定的付与後レビュー(Covered Business Methods (“CBM”))

�金融活動に関連した非技術的発明

�申立人による完全参加

�限定されたディスカバリの許可

(イニシャル・ディスクロージャー、宣言者に対する証言録取など)

�異議申立理由は、特許性を否定し得るいかなる理由でもよい

�審理は、特許審判部(PTAB)の行政特許判事が行う

�クレームの補正または新規クレームの追加補正の制限

�地裁は停止(stays) を考慮

即時の中間控訴(Interlocutory Appeal)可能

�審理期間は手続開始より12ヵ月、正当な理由があれば

最長6ヵ月まで延長

�訴訟関連が認められた割合 (2013年3月31日現在): 87%

米国発明法(AIA)システムのメリット (3)

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�付与後レビュー(PGR)(2013年3月16日より有効)

�先願主義(first-to-file)の下で発行されたすべての特許

�特許付与日または再発行特許の発行日から9ヵ月以内

�異議申立理由は、特許性を否定し得るいかなる理由でもよい

�限定されたディスカバリの許可

(イニシャル・ディスクロージャー、宣言者に対する証言録取など)

�審理は、特許審判部(PTAB)の行政特許判事が行う

�クレームの補正または新規クレームの追加補正の制限

�審理期間は手続開始より12ヵ月、正当な理由があれば

最長6ヵ月まで延長

�無効理由が多いため、当事者系レビューより高成功率の

見込み

米国発明法(AIA)システムのメリット (4)

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�和解

�当事者系レビュー、付与後レビュー、ビジネス方

法特許の暫定的付与後レビューでは和解可能

�和解は、申立人に対する手続の終結を意味する

�申立人に対するエストッペルは発生しない

米国発明法(AIA)システムのメリット (5)

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比較まとめ

査定系再審査 IPR PGR

対象特許 すべての特許 すべての特許 AIA下で先願主義が適

用となる出願(有効出

願日が2013年3月16日以降)について付与

された特許

タイミング 特許発行後 特許発行後または再

発行特許の発行後9ヵ月経過後、

またはすべての付与後

レビューの終結後

特許発行日または再発

行日から9ヵ月以内

請求・申立人 第三者、特許権者、

USPTO長官第三者 第三者

理由 先行技術、刊行物、特

許に基づく新規性

および自明性

先行技術、刊行物、特

許に基づく新規性

および自明性

米国特許法§

282(b)(2) or (3)に基づく特許の無効性に

関するすべての理由

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比較まとめ (続1)

査定系再審査 IPR PGR

審査開始

基準

特許性について実質的

な新たな疑問

(Substantial New Question (SNQ) of patentability)が生じるか

少なくとも1つのクレー

ムについて申立が認

容される合理的な蓋

然性(Reasonable likelihood)があるか

どちらかというと(More likely than not)少なく

とも1つのクレームの

特許性は認められな

いという程度の証明

匿名手続 可能 不可

実際の利害関係のあ

る当事者

不可

実際の利害関係のあ

る当事者

参加 第三者請求人の参加

は限定される

申立人には、宣言書

の提出、限定的ディス

カバリの実施、所見や

弁駁書の提出、口頭

弁論などが許可される

申立人には、宣言書

の提出、限定的ディス

カバリの実施、所見や

弁駁書の提出、口頭

弁論などが許可される

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比較まとめ (続2)

査定系再審査 IPR PGR

ディスカバリ なし ディスカバリは、宣言書を

提出した証人に対する証

言録取、および、その他

法的公正さ(in the interest of justice)の

観点により必要な事項に

限定

ディスカバリは、手続に

おいて各当事者から提出

された事実的主張に直

接関連する(directly related)証拠に限定

エストッペル なし 申立人が当事者系レ

ビューで実際に主張した

か、あるいは合理的に主

張することができたであ

ろういかなる理由につい

ても、米国特許庁での手

続や地裁での訴訟で提

起することができない

申立人が付与後レビュー

で実際に主張したか、あ

るいは合理的に主張する

ことができたであろういか

なる理由についても、米

国特許庁での手続や地

裁での訴訟で提起するこ

とができない

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申立人・請求人 特許権者

査定系

再審査

特許庁料金: $17,750

弁護士費用: $ 50K 弁護士費用: $ 75K

当事者系

再審査

(参考)

特許庁料金: $8,800 (終了)

弁護士費用: $175K 弁護士費用: $175K

IPR

特許庁料金: $23,000 (1-20 クレーム)

($600/追加クレーム)

弁護士費用: $300K弁護士費用: $300K

PGR

特許庁料金: $30,000 (1-20 クレーム)

($800/追加クレーム)

弁護士費用: $375K弁護士費用: $375K

D.Ct. 弁護士費用: $2.5M - $8M 弁護士費用: $2.5M - $8M

費用比較例

*専門家、証言録取費用など、15~25%の追加費用が見込まれる 50

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USPTOにおける審理(Trial)費用

IPR PGR

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特許訴訟費用

地方裁判所

ディスカバリ

Trial前

IPR PGR

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IPR審理: 1年以内に手続きが終結

出典: 拙著 『米国発明法の特許防衛戦略』 105頁

3ヵ月 3ヵ月以内 3ヵ月 3ヵ月

1ヵ月

3ヵ月

申立申立申立申立

特許権者の特許権者の特許権者の特許権者の

予備的予備的予備的予備的応答応答応答応答

特許権者の応答・特許権者の応答・特許権者の応答・特許権者の応答・

クレーム補正を求めるクレーム補正を求めるクレーム補正を求めるクレーム補正を求める

モーションモーションモーションモーション

申立人の弁駁・申立人の弁駁・申立人の弁駁・申立人の弁駁・

補正に対する補正に対する補正に対する補正に対する

異議申立異議申立異議申立異議申立

口頭審理口頭審理口頭審理口頭審理

(必要に応じて)(必要に応じて)(必要に応じて)(必要に応じて)審理開始の審理開始の審理開始の審理開始の

決定決定決定決定

異議申立に対する異議申立に対する異議申立に対する異議申立に対する

特許権者の反論特許権者の反論特許権者の反論特許権者の反論

特許権者からの特許権者からの特許権者からの特許権者からの

ディスカバリディスカバリディスカバリディスカバリ

申立人からの申立人からの申立人からの申立人からの

ディスカバリディスカバリディスカバリディスカバリ特許権者からの特許権者からの特許権者からの特許権者からの

ディスカバリディスカバリディスカバリディスカバリ

所見・証拠除外の所見・証拠除外の所見・証拠除外の所見・証拠除外の

モーションモーションモーションモーション

最終決定最終決定最終決定最終決定

12ヵ月以内

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2トラック ‐特許訴訟

無効性・非侵害

の事実審

裁判官に

よる判決

公判前のディスカバリ&モーション

モーション&モーション&モーション&モーション&

USPTO決定決定決定決定

USPTO

審理審理審理審理

侵害性/無効性の他の争点についての事実審

有効有効有効有効

公判なし公判なし

侵害性/無効性の他の争点についての事実審

限定的損害賠償

侵害性/無効性の他の争点についての事実審

限定的損害賠償

無効無効無効無効

補正補正補正補正

限定的

ディスカバリ

限定的

ディスカバリ

限定的

ディスカバリ

1 年目年目年目年目 2 年目年目年目年目 3年目年目年目年目

トラックトラックトラックトラック

2

トラックトラックトラックトラック

1

地裁での

裁判

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IPR申立件数の傾向

2012年9月16日からの統計

2013年10月31日現在の合計

608

0

10

20

30

40

50

60

70

80

9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月

件数

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申立人

(手続)

申立

件数

特許権者

訴訟の停止

(Stay)技術

Apotex (IPR) 3 Alcon Pharma なし

眼科の感染症のための

モキシフロキサシン

Chi Mei Innolux (IPR)

7Semiconductor Energy Lab Co.

あり PCB / トランジスタ

Corning (IPR) 10 DSM IP Assets なし

グラスファイバー

コーティング構造

Intellectual Ventures (IPR)

4 Xilinx Inc. なし 集積回路

Liberty Mutual (CBM)

10Progressive Insurance

あり

運転経歴に基づく保険

料の決定方法

SAP (CBM) 1 Trilogy Dev. なし 製品の価格付け方法

Bloomberg (CBM)

1 Markets-Alertモーション

継続中

取引システム

申立人・特許権者(例)

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�申立人(侵害被疑者・被告など)

�訴訟よりも早期・低コストで紛争解決

�米国特許庁での審理のため、クレーム取消がより容易

�専門家の慎重な選択 –陪審員 vs. 行政特許判事

�想定損害額の査定と迂回設計

– 中用権の効果(将来効)を検討

– クレーム範囲を実質的に変更する補正があった場合、過去

分の損害賠償の免責(日本法との違いに注意)

�米国特許庁へ提出する先行技術の選定

(先行技術についてのエストッペルとなる可能性)

戦略上のメリットと留意点 (1)

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戦略上のメリットと留意点 (2)

�申立人(侵害被疑者・被告など)

�同時係属中の訴訟の停止(Stay)

�確認訴訟(DJ Action)とIPRとの併用禁止

�訴訟との協調戦略

– クレーム補正を導く戦略

– USPTOによるクレーム解釈など審理結果を訴訟で活用

– 訴訟における特許権者の主張をIPR審理に利用する戦略

– 並行した審査における陳述の影響に注意

�申立が失敗した場合のその後の裁判への影響

(エストッペル、有効性の推定の強化など)

�申立の前に和解すべきか申立後に和解すべきか?

– 申立前のレバレッジが最大58

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�特許権者

�係属中の出願ファミリー を維持

�過去の損害賠償額が大きければ、

原特許クレームを維持するように努める

�並行する審理における陳述への影響を考慮

戦略上のメリットと留意点 (3)

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VI. 弁護士の鑑定

© 2013 SUGHRUE MION GAIKOKUHO-JIMU-BENGOSHI JIMUSHO 60

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故意・誘発侵害の判断に関する

不利な推定の禁止

�新法298条は、「特許権者が、被告による故意侵害な

いし誘発侵害を立証するために、被告が鑑定書を取得

しなかったこと、または取得した鑑定書を(被告にとって

都合の悪い結論であったため)開示しなかったことを根

拠とする不利な推定を禁ずる」

*Knorr-Bremse事件におけるCAFC判決を制定化したもの

61

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故意・誘発侵害の判断に関する

不利な推定の禁止(新法の解釈)

�原告側

� 「故意・誘発の意図があったこと」の証拠として、鑑定を取

得しなかったという事実を提示できない

�被告側

� 「故意・誘発の意図がなかったこと」の証拠として鑑定を

示すことは可能

62

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今後の鑑定書の扱い

�鑑定を取得しなかった被告は依然として、何らかの理由

に基づき故意侵害ないし誘発侵害がなかったことを反論

する必要

⇒ 弁護士の鑑定がなお価値を有する(陪審に与える信

頼性・好意的な心証)

�被告はディスカバリーの初期段階で、原告からの侵害主

張に対抗して、非侵害・特許無効の主張を行う必要

⇒ 弁護士の鑑定取得により十分な準備が可能

63

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今後の鑑定書の扱い(続)

� 弁護士との間のコミュニケーションはすべて秘匿特権ないし

ワークプロダクトにより保護される

� 間接侵害における故意侵害・誘発侵害主張に対抗する防御

手段

⇒ 「侵害の認識」の事実を否定する証拠、故意侵害ないし

誘発侵害の「意図」の否定

但し、パテントマーキングがあった場合は適用なし

� 早期の鑑定取得により、クライアント企業が訴訟に対する防

衛のためのアドバイスを得ることが可能

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© 2013 SUGHRUE MION GAIKOKUHO-JIMU-BENGOSHI JIMUSHO

VII. USPTOにおける審査と裁判所における審理の相違

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米国では「特許権の付与」と「付与された特許権

の見直し」という2つの権限が特許庁(行政)と

裁判所(司法)とに明確に配分

�USPTOは特許権の付与

→「特許性(patentability)」を審査

�裁判所は特許権の見直し

→「特許の有効性(validity of patent)」を審理

1. USPTOと裁判所の役割

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両機関での審査における証拠の基準の相違

� USPTO(特許性の判断)では、審査官は

「証拠の優越 (preponderance of the evidence)」で十分

� 裁判所(有効性の判断)では「明白かつ確信を抱くに足る

証拠 (clear and convincing evidence)」が要求

� 「証拠の優越」は、

「どちらかというとあり得る(more likely than not)」

� 立証を負う一方当事者(審査段階では審査官)の証拠の重みが、

相手方当事者(出願人)の証拠の重みよりも優位であるとの証明

� 「明白かつ確信を抱くに足る証拠」は、「証拠の優越」よりも

厳格な基準が必要な場合に適用、「どちらかといえばかなり

あり得る(much more likely than not)」との証拠

2. USPTOと裁判所での立証基準の相違

67

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�ひとたび特許が付与されると、特許は有効なもの

として推定される(第282条による「有効性の推定」)

�裁判所で有効な特許を無効とするためには、

「明白かつ確信を抱くに足る証拠」という審査段階よ

りもかなりハードルの高い基準で無効化を図る必要

USPTO 裁判所

判断内容 特許性(Patentability) 有効性(Validity)証拠基準 証拠の優越

(Preponderance of the Evidence)

明白かつ確信を抱くに

足る証拠

(Clear and Convincing Evidence)

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米国の裁判所は、特許が有効であるという

USPTOの判断を正しいものとして推定し、

この判断を覆し得る明らかな証拠を確信

できた場合(明白かつ確信を抱くに足る証

拠)にのみ、特許を無効と判断

69

ポイント

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�旧法においては、USPTOにおける「特許性」に

関するすべての審査・再審査には「証拠の優越」

の立証基準が採用

�新法での付与後異議申立制度は、「特許性」に

ついての再考・判断を目的としUSPTOで審査

されるため、「証拠の優越」が採用

3. 付与後異議申立による取消申立で採用される立証基準

70

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� USPTOでの付与後異議申立では

クレームの補正が可能

�裁判所で有効性を争う裁判では

補正は不可-有効か無効かの結論のみ

4. 裁判所ではクレームの補正ができない

71

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� 各手続においては本案審理を開始する

ための開始基準がそれぞれ異なる

5.査定系再審査・付与後レビュー・当事者系レビューの開始基準の相違

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� 各手続における開始基準の比較

73出典:拙著 『米国発明法の特許防衛戦略』 41頁

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�証拠の優越

(Preponderance of the Evidence)�審査(Examination)

�再審査(Reexamination)

�侵害(Infringement)

�損害賠償(Damages)

�明白かつ確信を抱くに足る証拠基準

(Clear and Convincing Evidence)

�有効性(Validity)の判断

�不公正行為(Inequitable Conduct)

�故意(Willfulness)

�エストッペル(Estoppel)

�ラッチェス(Laches)

証拠基準の適用

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ご清聴有難うございました

シュグルー・マイアン外国法事務弁護士事務所

代表パートナー 岸本 芳也