熊本県の地震活動概況 (2020年４月)

令和２年５月 13 日

熊 本 地 方 気 象 台

概要

４月に熊本県内で震度１以上を観測した地震は、４回でした（３月は８回）。このう

ち「平成 28年（2016年）熊本地震」の活動域で発生した地震は２回でした（３月は６

回）。

断面図 (深さ 30km以浅) ※熊本県周辺の震央分布図を南の方から見た断面図

熊本県周辺の震央分布図

(2020年４月１日～30日 深さ 200km以浅 M≧0.0) ※図中の灰色の線は、地震調査研究推進本部の長期評価による活断層を示しています。

図中に「平成 28年（2016年）熊本地震」の活動域を示し、震度１以上を観測した地震の発生日時

とマグニチュード（M）を示しています。

熊本地震の活動域

本資料は、国立研究開発法人防災科学技術研究所、北海道大学、弘前大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、高知大

学、九州大学、鹿児島大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所、国土地理院、国立研究開発法人海洋研究開発機構、公益財団法

人地震予知総合研究振興会、青森県、東京都、静岡県、神奈川県温泉地学研究所及び気象庁のデータを用いて作成しています。ま

た、2016年熊本地震合同観測グループのオンライン臨時観測点（河原、熊野座）、米国大学間地震学研究連合（IRIS）の観測点（台

北、玉峰、寧安橋、玉里、台東）のデータを用いて作成しています。

※2020年４月 18日から、暫定的に震源精査の基準を変更しているため、

それ以前と比較して微小な地震での震源決定数の変化（減少等）がみられます。

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震度１以上を観測した地震の状況は以下のとおりです

１.「平成 28年（2016年）熊本地震」の活動域における地震

４日 09時 52分に熊本県阿蘇地方で M2.6の地震（深さ９km）が発生し、阿蘇市と南阿蘇村

で震度１を観測しました（図１）。

16日 17時 56分に熊本県熊本地方で M2.6の地震（深さ 10km）が発生し、熊本市と宇城市

で震度１を観測しました（図２）。

「平成 28 年（2016 年）熊本地震」により、熊本県では死者 272 人※、住家全壊 8,642 棟など

の被害が生じています（2020年４月 13日現在、熊本県危機管理防災課による）。 ※震災後における災害による負傷の悪化又は身体的負担による疾病により死亡したと思われる死者数を含む

「平成 28 年（2016 年）熊本地震」の特設ページを気象庁ホームページに掲載しています。

特設ページ：https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/2016_04_14_kumamoto/index.html

【期間内に「平成 28年（2016年）熊本地震」の活動域で発生した地震】

図１ 震度分布図 ４日 09時 52分 M2.6（観測点別、×は震央を示す）

大分県

熊本県

宮崎県

福岡県

図２ 震度分布図 16日 17時 56分 M2.6（観測点別、×は震央を示す）

宮崎県

熊本県 長崎県

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図３ 震度分布図 ７日 14時 12分 M4.7

（×は震央、左は地域別、右は観測点別）

図６ 領域ｂ内の地震活動経過図

図５ 領域ａ内の断面図（Ａ－Ｂ投影）

２. ７日に発生した日向灘の地震（1頁震央分布図領域外） ７日 14時 12分に日向灘で M4.7の地震（深さ 33km）が発生し、大分県臼杵市、宮崎県延岡市

などで震度３を観測したほか、九州地方、四国地方、中国地方で震度２～１を観測しました。熊本

県では、阿蘇市、高森町、美里町、山都町、南阿蘇村、産山村で震度２を観測したほか、熊本

市、宇城市、人吉市などで震度１を観測しました（図３）。

今回の地震の震源付近（図５領域ｂ）では、2019年５月 11日に M5.0の地震（深さ 36km、最

大震度４）が発生し、阿蘇市、高森町、産山村で震度３を観測しています（図４～図６）。

熊本県

宮崎県

図４ 震央分布図 （1997年 10月 1日～2020年４月 30日、

深さ０～100km、M≧2.0） ※今期間の地震を赤で表示した

ａ

Ｂ

Ａ Ｂ

ｂ

Ａ

今回の地震

今回の地震

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図９ 図８領域ａ内の地震活動経過図

３. ８日に発生した薩摩半島西方沖の地震（1 頁震央分布図領域外）

８日02時53分に薩摩半島西方沖で M4.3の地震（深さ10km）が発生し、鹿児島県薩摩川内市で

震度３を観測したほか、鹿児島県と熊本県で震度２～１を観測しました。熊本県では、天草市と

上天草市で震度１を観測しました（図７）。

この地震の震源付近（領域ａ）で発生した地震により熊本県で震度１以上を観測したのは、

2011年５月29日に発生したM4.3の地震（深さ７km、最大震度３）により、天草市で震度２を観測

して以来です（図８、図９）。

図７ 震度分布図（観測点別、×は震央を示す） ８日 02時 53分 M4.3

鹿児島県

熊本県

図８ 震央分布図 （1997年 10月 1日～2020年４月 30日、

深さ０～30km、M≧2.0） ※今期間の地震を赤で表示した

ａ

今回の地震

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熊本県で震度１以上を観測した地震 (2020年４月) 地震発生時刻 震央地名 緯度 経度 深さ 規模

2020年04月04日09時52分 熊本県阿蘇地方 32ﾟ 57.0' N 131ﾟ 02.7' E 9km M2.6

---------- 地点震度 ----------

熊本県 震度 1 : 阿蘇市一の宮町＊,南阿蘇村中松

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2020年04月07日14時12分 日向灘 32ﾟ 32.7' N 132ﾟ 07.9' E 33km M4.7

---------- 地点震度 ----------

熊本県 震度 2 : 産山村山鹿＊,熊本高森町高森＊,阿蘇市一の宮町＊,阿蘇市内牧＊,阿蘇市波野＊

南阿蘇村吉田＊,熊本美里町永富＊,山都町今＊

震度 1 : 南阿蘇村中松,南阿蘇村河陽＊,八代市平山新町,八代市新地町＊,宇土市浦田町＊

西原村小森＊,宇城市松橋町,宇城市豊野町＊,山都町浜町＊,山都町大平＊

熊本西区春日,熊本南区富合町＊,人吉市西間下町,人吉市蟹作町＊

多良木町上球磨消防署＊,五木村甲＊,芦北町芦北,上天草市大矢野町

------------------------------------------------------------------------------------------------

2020年04月08日02時53分 薩摩半島西方沖 31ﾟ 41.8' N 129ﾟ 33.5' E 10km M4.3

---------- 地点震度 ----------

熊本県 震度 1 : 上天草市大矢野町,天草市天草町＊,天草市河浦町＊,天草市五和町＊

------------------------------------------------------------------------------------------------

2020年04月16日17時56分 熊本県熊本地方 32ﾟ 40.8' N 130ﾟ 36.3' E 10km M2.6

---------- 地点震度 ----------

熊本県 震度 1 : 宇城市不知火町＊,熊本西区春日

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（注１）地震の震源要素等は暫定値であり、後日修正されることがあります。

＊が付いているのは、気象庁以外の震度観測点です。

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地震資料に使用される図の見方

熊本地方気象台では、地方公共団体等による日頃の災害予防の活動を支援するため、「熊本県

の地震活動概況」を毎月公表しています。また、熊本県で震度４以上の揺れを観測した場合や津

波警報等を発表した場合には、防災対応に資するために「地震解説資料」を公表しています。な

お、福岡管区気象台では、地震活動概況や地震解説資料の他、九州・山口県内の地震活動の状況

として「週間地震概況」、「月間地震概況」等も公表しています。今回は、「平成 28年（2016年）

熊本地震」を例として、これらの資料に使用される主な図の見方について解説します。

。

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解 説 資 料

熊本地方気象台

図４ 地震活動経過図および回数積算図

１．震度分布図（図１）

震度分布図は、各地の震度観測点で観測した震度

を地図上に表示し、地震による揺れの強さや範囲を

表現したものです。震度５と震度６にはそれぞれ強

弱があり、例えば震度６強は「６＋」、震度６弱は「６

－」と表示します。また、地震による揺れが広範囲

にわたる場合には、図が煩雑にならないように、各

地域内、各市区町村内で観測した震度の中で最も大

きな震度を代表させて表示することがあります（図

１は地域別の震度分布図の例）。

２．震央分布図（図２）、断面図（図３）

震央分布図は、地震が発生した場所を地図上に表

示し、地震活動の面的な広がりを表現したものです。

表示するシンボルの大きさや形を変えることで、地

震の規模（マグニチュード、以下、「Ｍ」）や震源の

深さを表現しています。

また、断面図により地震活動の立体的な広がりを

表現します。図３は、図２の中の青線で区切られた

領域を南東方向から見た断面図です。この断面図を

見ると、地震活動が深さ 20kmよりも浅い所で見られ

ることが分かります。

３．地震活動経過図と回数積算図（図４）

地震活動経過図と回数積算図は、ある領域内で発

生した地震の規模や数（積算回数）について、時間

の経過に伴う変化を表現したものです。

図４は、図２の中の青枠で区切られた領域内の地

震活動経過図と回数積算図です。この図を見ると、

2016 年４月 16 日にＭ7.3 の地震が発生した後、時

間の経過とともに発生した地震の規模が小さくな

り、その数も徐々に減少していますが、活動は継続

していることが分かります。

図１ 震度分布図（地域別、×は震央）

図２ 震央分布図

図３ 断面図（Ａ－Ｂ投影）

Ｂ

Ａ

Ａ Ｂ