燕市基本計画 - pref.niigata.lg.jp ·...

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1 燕市基本計画 1 産業集積の形成又は産業集積の活性化に関する目標 (1)地域の特色と目指す産業集積の概要について (地理的条件、既存の産業集積の状況、インフラの整備状況等地域の特色について) ①地理的条件 燕市は越後平野のほぼ中央、新潟市と長岡市の中間に位置し、総面積は110.94K㎡を有し ている。当地域は上越新幹線「燕三条駅」及び北陸自動車道「三条・燕IC」といった高速交通機 関があり、主要国道116号・289号が整備され、JR越後線・弥彦線が交差するなど交通網が 充実している。また、信濃川と信濃川を分水し日本海に注ぐ大河津分水路、中ノ口川、西川に沿っ て形成され、国上山周辺を除いて平坦な地形である。 ②既存の産業集積の状況 当地域の産業は江戸時代の初期、農村の副業として始められた和釘の製造技術に起因し、その後、 銅器、ヤスリ、煙管などの製造に広がり、大正時代からは金属洋食器、さらに昭和に入り金属ハウ スウェアの製造が活発化してきた。 現在、ステンレス・アルミ・チタン・マグネシウム素材のプレス加工、プレス金型製作、ステン レス・アルミ・鉄・チタン・コバール・真鍮・樹脂素材の切削加工、精密板金、スピニング加工、 パイプ・線材加工、鋳造、鍛造、研磨、溶接、表面処理と、金属加工工程すべての業種が集積して いる。 昭和36年から工業団地の造成・整備を始め、域外企業の誘致及び域内企業の再配置を積極的に 推進してきた。地域内には19の工業団地があり、全体面積は302haに及ぶ。 平成22年工業統計調査(従業員4人以上)では事業所数714社、従業者数14,879人、 製造品出荷額等3,360億円で、製造品出荷額等からみた主要産業の構成比は金属製品製造業2 1.4%(345社)、電子部品・情報通信製造業18.6%(11社)、電気機械器具製造業14. 4%(23社)、一般機械器具製造業13.1%(163社)の順で、全国有数の金属加工集積地を 形成している。 ③インフラの整備状況 ○鉄道・道路等 当地域は、上越新幹線「燕三条駅」及び北陸自動車道「三条・燕IC」を有しており、JR東京 駅からは1時間50分、首都圏からは車で約3時間の距離にある。また、一般国道は南北を縦断す る国道116号と東西を横断する国道289号があり、JR在来線では越後線と弥彦線が交差する 交通の要衝となっている。なお、情報関係のインフラにおいては、市全域に高速通信網である光フ ァイバーケーブルが整備されている。 ○流通 当地域は、県内大手運送企業の集荷・保管・配送施設が多数存在しているほか、輸出入に際して のインランド・デポ(内陸保税蔵置場)が設置されているため、通関に必要な業務をスピーディー に行うことが可能となっている。

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Page 1: 燕市基本計画 - pref.niigata.lg.jp · 燕市は越後平野のほぼ中央、新潟市と長岡市の中間に位置し、総面積は110.94K㎡を有し ている。当地域は上越新幹線「燕三条駅」及び北陸自動車道「三条・燕IC」といった高速交通機

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燕市基本計画

1 産業集積の形成又は産業集積の活性化に関する目標

(1)地域の特色と目指す産業集積の概要について

(地理的条件、既存の産業集積の状況、インフラの整備状況等地域の特色について)

①地理的条件

燕市は越後平野のほぼ中央、新潟市と長岡市の中間に位置し、総面積は110.94K㎡を有し

ている。当地域は上越新幹線「燕三条駅」及び北陸自動車道「三条・燕IC」といった高速交通機

関があり、主要国道116号・289号が整備され、JR越後線・弥彦線が交差するなど交通網が

充実している。また、信濃川と信濃川を分水し日本海に注ぐ大河津分水路、中ノ口川、西川に沿っ

て形成され、国上山周辺を除いて平坦な地形である。

②既存の産業集積の状況

当地域の産業は江戸時代の初期、農村の副業として始められた和釘の製造技術に起因し、その後、

銅器、ヤスリ、煙管などの製造に広がり、大正時代からは金属洋食器、さらに昭和に入り金属ハウ

スウェアの製造が活発化してきた。

現在、ステンレス・アルミ・チタン・マグネシウム素材のプレス加工、プレス金型製作、ステン

レス・アルミ・鉄・チタン・コバール・真鍮・樹脂素材の切削加工、精密板金、スピニング加工、

パイプ・線材加工、鋳造、鍛造、研磨、溶接、表面処理と、金属加工工程すべての業種が集積して

いる。

昭和36年から工業団地の造成・整備を始め、域外企業の誘致及び域内企業の再配置を積極的に

推進してきた。地域内には19の工業団地があり、全体面積は302haに及ぶ。

平成22年工業統計調査(従業員4人以上)では事業所数714社、従業者数14,879人、

製造品出荷額等3,360億円で、製造品出荷額等からみた主要産業の構成比は金属製品製造業2

1.4%(345社)、電子部品・情報通信製造業18.6%(11社)、電気機械器具製造業14.

4%(23社)、一般機械器具製造業13.1%(163社)の順で、全国有数の金属加工集積地を

形成している。

③インフラの整備状況

○鉄道・道路等

当地域は、上越新幹線「燕三条駅」及び北陸自動車道「三条・燕IC」を有しており、JR東京

駅からは1時間50分、首都圏からは車で約3時間の距離にある。また、一般国道は南北を縦断す

る国道116号と東西を横断する国道289号があり、JR在来線では越後線と弥彦線が交差する

交通の要衝となっている。なお、情報関係のインフラにおいては、市全域に高速通信網である光フ

ァイバーケーブルが整備されている。

○流通

当地域は、県内大手運送企業の集荷・保管・配送施設が多数存在しているほか、輸出入に際して

のインランド・デポ(内陸保税蔵置場)が設置されているため、通関に必要な業務をスピーディー

に行うことが可能となっている。

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○公設試験研究機関

当地域には、新潟県の公設試験研究機関である新潟県工業技術総合研究所県央技術支援センター

があり、地域企業に対する企業間リンケージの形成、技術指導、実用研究、依頼試験、試験研究機

器の開放、情報の提供等による企業活動の支援を行っている。

○産業支援機関

地域内には新潟県・燕市・三条市・業界団体の出捐による㈶燕三条地場産業振興センターがあり、

地域企業に対する受発注促進・専門家派遣・企業人材育成・技術開発・産学共同開発・情報提供・

デザイン開発・燕三条ブランド推進・新商品開発支援及び地域産品の需要開拓・産地PR事業を実

施している。

(目指す産業集積の概要について)

当地域では従来から蓄積してきた金属加工技術を基盤に、自動車関連・精密機械・電子機器・電

気機器・照明器具・食品機械・農業機械・鉄道車両などの部品加工を始め、金属洋食器・金属ハウ

スウエア・厨房器具・産業用機械の製品を製造している。

今後は、これまで培ってきた高度な金属加工技術を活かし、新たな成長産業へチャレンジする企

業への支援や付加価値の高い新商品・新技術開発への支援、各業界団体との連携による新たな市場

を見据えた販路開拓・需要開拓の支援を進め、地場産業の高度な金属複合加工集積地を目指してい

くものとする。

また、当地域では県内での市単独事業としては初めてとなるメガソーラー発電所も既に稼働させ

ており、今後も省エネルギー、自然・再生可能エネルギーなどの「グリーン・イノベーション関連

産業」や、健康化学、医療機器などの「ライフ・イノベーション関連産業」といった成長産業への

取組みを積極的に推奨し、新たな需要や雇用の創出など地域経済の活性化を目指すものとする。

(2)具体的な成果目標

現 状 計画終了後 伸び率

集積区域における集積

業種全体の付加価値額 1,149億円 1,218億円 6.0%

(3)目標達成に向けたスケジュール

取 組 事 項

(取組を行う者)

平成25

年度

平成26

年度

平成27

年度

平成28

年度

平成29

年度

産業用共用施設の整備

工場団地の整備

(燕市)

新たな産業インフラの整備

(燕市)

研究開発施設機器の整備

(㈶燕三条地場産業振興センター)

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人材の育成・確保

中小企業研修受講料助成

(燕市)

ものづくりを支える人材育成

(燕市)

企業人材育成事業の実施

(㈶燕三条地場産業振興センター)

産業人材育成(モノづくり革新

人材群形成)の実施(新潟県)

U・Iターン就職の促進

(新潟県)

職業訓練の実施

(新潟県立三条テクノスクール)

技術支援等

新商品新技術開発支援助成

(燕市)

成長産業分野参入支援

(燕市)

企業開発力強化

(㈶燕三条地場産業振興センター)

産学連携共同研究開発

(㈶燕三条地場産業振興センター)

中小企業経営革新支援

(新潟県)

中小企業知的資産経営支援モ

デル推進事業の推進

(新潟県)

新潟テクノタンク推進事業の

実施

(新潟県工業技術総合研究所)

その他(企業立地

の促進)

企業立地に関する情報収集・情

報提供

(燕市・関係機関)

ワンストップサービス体制の

整備

(燕市)

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企業立地に係る優遇措置

(燕市・新潟県)

企業立地活動の促進

(新潟県)

創業・企業化の支援

(新潟県工業技術総合研究所県

央技術支援センター)

品質管理システムTSO

(Tsubame Standard Organization)

(燕商工会議所)

地域産業活性化協議会

(燕市・関係機関)

2 集積区域として設定する区域

(区域)

燕市のうち(上記の行政区域)、この区域に含まれる自然公園法に規定する自然公園、鳥獣の

保護及び狩猟の適正化に関する法律に規定する鳥獣保護区等の環境保全上重要な地域について

②‐1

②‐2

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は集積区域より除くものとする。

①自然公園法に規定する自然公園

②鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律に規定する鳥獣保護区等の環境保全上重要な地域

(区域図中:②‐1 国上山鳥獣保護区、②‐2 渡部鳥獣保護区)

なお、設定する区域は、平成24年4月1日現在における行政区画その他の区域又は道路、鉄

道等により表示したものである。

(集積区域の可住地面積)

10,404 ha

(各市町村が集積区域に指定されている理由)

区域内には19箇所に及ぶ工業団地等があり、それぞれに高度な加工技術を有する企業群が存

在している。今後、これらの企業間連携を進め、新規産業の創出・新分野商品開発に取り組み、

地域固有のものづくりの技術や豊かな自然などを通じて、独自の魅力である゛燕らしさ゛を創り

出すことを目指すとともに、金属加工集積地としての「燕市」の知名度の強化を図り、地域経済

の活性化を推進するものである。

3 集積区域の区域内において特に重点的に企業立地を図るべき区域

(区域)

集積区域の中でも特に重点的に企業立地を促進する区域は、工場立地法に基づく次の5箇所

(411.1ha)の工場適地指定区域とし、具体的には別紙の重点促進区域地番一覧に示すとおりとす

る。

なお、設定する区域は、平成 23 年 2月 28 日現在における地番により表示したものである。

1 大通川流域(256.0ha)(昭和 41 年適地指定)

2 法花堂・下中野(87.7ha)(昭和 45 年適地指定)

3 野本(6.7ha)(昭和 59 年適地指定)

4 笈ヶ島(38.1ha)(昭和 45 年適地指定)

5 分水北部(22.6ha)(平成6年適地指定)

4 工場立地法の特例措置を実施しようとする場合にあっては、その旨及び当該特例措置の実施により期

待される産業集積の形成又は産業集積の活性化の効果

(工場立地法の特例措置を実施する地域)

工場立地法の特例措置を実施しようとする区域は、上記3の重点促進区域5箇所とする。

(特例措置を行う理由とその効果)

工場立地法に定める「特定工場」については、同法に基づき原則、敷地面積に対して一定の比率

以上の緑地・環境施設面積を確保することが求められている。

しかしながら、当地域では、一定以上の緑地・環境施設面積の確保が困難なため、敷地内での生

産設備の増強が図れず需要増に対応できない事業所等もあることから、今後、基本計画に基づいて

指定集積業種の拡大を推進していくためには、工場立地法の特例措置による緑地面積の緩和を図る

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こととする。

この特例措置の適用により、既存の事業所において敷地内での生産設備や研究施設等の新設及び

増設が可能となる。その効果として、工場用地の有効活用が可能となり、企業立地件数で40件程

度、新規雇用創出で125人程度の増加が期待できる。

なお、当該特例措置の適用にあたっては、地域の実情、住民の意思を踏まえ、特定工場周辺の生

活環境の保持を適切に図るとともに、県・市の環境保全の部局や関係機関との調整を行うものとす

る。

5 集積業種として指定する業種(以下「指定集積業種」という。)

(1) 業種名

(業種名又は産業名)

①機械・金属製造業及びその関連産業

(日本標準産業分類上の業種名)

18プラスチック製品製造業 19ゴム製品製造業 22鉄鋼業

23非鉄金属製造業 24金属製品製造業 25はん用機械器具製造業

26生産用機械器具製造業 27業務用機械器具製造業(276 武器製造業を除く)

28電子部品・デバイス・電子回路製造業

29電気機械器具製造業 30情報通信機械器具製造業

31輸送用機械器具製造業(313 船舶製造・修理業、舶用機関製造業は除く)

32その他の製造業 44道路貨物運送業

53建築材料、鉱物・金属材料等卸売業(532 化学製品卸売業を除く)

54機械器具卸売業

55その他の卸売業(552 医薬品・化粧品等卸売業、559 他に分類されない卸売業を除く)

②再生可能エネルギー関連産業

(日本標準産業分類上の業種名)

18プラスチック製品製造業 19ゴム製品製造業 22鉄鋼業

23非鉄金属製造業 24金属製品製造業 25はん用機械器具製造業

26生産用機械器具製造業 27業務用機械器具製造業(276 武器製造業を除く)

28電子部品・デバイス・電子回路製造業

29電気機械器具製造業 30情報通信機械器具製造業

31輸送用機械器具製造業(313 船舶製造・修理業、舶用機関製造業は除く)

32その他の製造業 33電気業 34ガス業 35熱供給業

(2) (1)の業種を指定した理由

①機械・金属製造業及びその関連産業

当地域には、プレス、切削、金型、精密板金、接合、スピニング加工、パイプ・線材加工、鍛造、

鋳造、研磨、表面処理、熱処理、樹脂成型を得意技術とする金属製品製造業が多く集積しており、

自動車関連・精密機械・電子機器・電気機器・照明器具・食品機械・農業機械・鉄道車両などの部

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品加工を始め、金属洋食器・金属ハウスウエア・厨房器具・産業用機械の製品を製造している。

平成22年の工業統計調査によると、指定業種の事業所数、従業者数及び製造品出荷額等のいず

れも製造業全体の9割を超えており、さらなる既存技術の高度化や、新分野への参入拡大を図るこ

とで、国内外での産地間競争力の向上が期待できる。

平成23年度には、これら集積技術を活用した新たな取組として医療機器産業への参入を図るた

めの研究会を発足し、新需要の創出に向けた検討も始めている。 なお、当地域内には既に様々な機械・金属関連産業が集積しており、その製品の物流にあっては

運輸業や卸売業の業種が関連している。更なる指定業種の集積を図るためには、これらの物流関連

企業の集積が不可欠であり、新規企業並びに既存企業の地域物流の円滑化を図る。

②再生可能エネルギー関連産業

国が示すグリーン成長戦略において、低炭素・循環型社会の実現を図り、創エネ・蓄エネ・省エ

ネ技術の推進とともに、既存産業とのイノベーションの連鎖による新産業の創出が掲げられてい

る。また、新潟県においても低炭素社会の実現に有効な再生可能エネルギー源の確保や、今後成長

が見込まれる新エネルギー関連産業の育成に向け、新潟版グリーンニューディール政策を推進して

いるなかで、本地域においては、平成24年8月に県内の市単独事業として初めてとなるメガソー

ラー発電所を稼働させ、再生可能エネルギー事業への取組みを始めた。

今後、ますますグリーン・イノベーションによる産業構造の成長が期待されており、これまで培

われてきた金属加工産業の特性を活かした取組みを積極的に推奨し、新たな需要や雇用の創出など

地域経済の活性化を図る。

6 指定集積業種に属する事業者の企業立地及び事業高度化の目標

目標件数

指定集積業種の企業立地件数 45件

指定集積業種の製品出荷額の増加額 413億円

指定集積業種の新規雇用創出件数 145人

7 工場又は事業場、工場用地又は業務用地、研究開発のための施設又は研修施設その他の事業のた

めの施設の整備(既存の施設の活用を含む。)、高度な知識又は技術を有する人材の育成その他の円滑

な企業立地及び事業高度化のための事業環境の整備の事業を実施する者及び当該事業の内容

(産業用共用施設の整備等に関する事項)

○工場団地の整備(燕市)

地域内への円滑な企業立地を図るため、必要に応じて工場用地の造成・整備を行う。

○新たな産業インフラの整備(燕市)

スマートグリッドや蓄電池等の再生可能エネルギー供給施設や、共用の水リサイクル施設等の

資源の有効活用等に資する新たな産業インフラの整備の促進を図る。

○研究開発施設機器の整備(㈶燕三条地場産業振興センター)

地域中小企業の製造及び試作開発に伴う技術的な問題に対応できる施設機器の整備を行い、技

術開発を支援する。

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(人材の育成・確保に関する事項)

○中小企業研修受講料助成(燕市)

中小企業大学校三条校、独立行政法人中小企業基盤整備機構及び㈶燕三条地場産業振興センタ

ーが主催する研修を受講した中小企業者に対し研修受講料の一部を助成し、企業人材育成を支援

する。

○ものづくりを支える人材育成(燕市)

磨き屋一番館を拠点とし、金属加工産業の基盤技術である金属研磨業の後継者の育成、新規開

業の促進、技術の高度化の推進を支援し、ものづくりを支える人材の育成と若者の地元定着の促

進を図る。

○企業人材育成事業の実施(㈶燕三条地場産業振興センター)

提案型技術営業力の強化や、統合的なマネジメント能力を身に付けるための研修を行い、新た

なビジネスモデルや産業のグローバル化に対応できる経営管理者、事業後継者、技術管理者の養

成を図る。

○U・Iターン就職の促進(新潟県)

表参道・新潟館ネスパス内に「にいがたUターン情報センター・にいがた暮らし相談窓口」を

設置し、首都圏学生・社会人を対象に新潟県内へのU・Iターン就職を促進する。

○職業訓練の実施(新潟県立三条テクノスクール)

地域産業を支える人材の育成として、若年者を対象に、メカトロニクス・工業デザイン・生産

システムなどの分野で職業訓練を実施し技能者の育成を図る。また、施設の貸出、指導員の派遣、

オーダーメイド型の職業訓練を実施し、在職者の人材育成を支援する。

(技術支援等に関する事項)

○新商品新技術開発支援(燕市)

中小企業者が行う既存技術の高度化や新技術の開発、また高付加価値化などを目的とした商品

開発事業支援や、新分野進出等の目的で複数の中小企業が共同で研究会等を立ち上げる際の支援

を図る。

○成長産業分野参入支援(燕市)

本市の金属加工産業の特性を活かし、再生可能エネルギー産業、航空機産業および医療機器産

業など、今後成長が期待される産業分野にチャレンジする企業の支援を図る。

○企業開発力強化(㈶燕三条地場産業振興センター)

試作・小ロットを専門とした展示会への出展や企業のニーズに応じた専門家を招聘して研究会

を組織し、企業指導・共同開発のコーディネートを進める。

○産学連携共同研究開発(㈶燕三条地場産業振興センター)

地域の技術全体の底上げを目指し、また新分野に参入出来る方向付けを進めるため、接合技術

やナノテク・技能情報高度化、ソフトエネルギー、航空機産業参入の研究や開発を行う。

○中小企業経営革新支援(新潟県)

中小企業の経営革新を推進することにより、自立型企業を創出し、県内産業の活性化を図るた

め、中小企業新事業活動促進法に基づき、経営革新計画の事前指導、審査、承認及びフォローア

ップを行う。

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○中小企業知的財産活用プロジェクト事業の推進(新潟県)

知的資産経営に取組む意欲ある中小企業経営者、中小企業支援者を対象に活用セミナー、実践

講座を開催する等、知的資産経営の実践的な活用の浸透・拡大を図る。

○新潟テクノタンク推進事業(新潟県工業技術総合研究所)

地域の技術イノベーションに資するため、企業と共同、又は、受託して研究開発を行い、県内

企業製品の高付加価値化に資する自立的な研究開発を支援する。

(その他の円滑な企業立地及び事業高度化のための事業環境の整備に関する事項)

○企業立地に関する情報収集・情報提供(燕市・関係機関)

企業の工場立地場所選定から操業開始に至るまでの期間など、設備投資に係るスピード短縮を

図る傾向が増加しており、集積区域内の工場立地状況に関する情報を迅速かつ的確に収集し情報

提供に努める。

○ワンストップサービス体制の整備(燕市)

立地企業の照会窓口を一元化し、用地や優遇制度に関する情報や開発事業に係る規制・手続き、

関係機関との調整など迅速かつ丁寧にきめ細やかな対応に努め、立地後のフォローアップについ

ても力を入れていく。

○企業立地に係る優遇措置(燕市)

立地企業に対する固定資産税の減免、工場建設資金の利子補給、企業誘致促進補助金制度を活

用し、用地取得後の早期な工場・事務所建設を支援する。

○企業立地に係る優遇措置(新潟県)

新潟県が指定する産業立地促進地域内への立地企業に対する事業税・不動産取得税の不均一課

税措置により燕市の企業立地を支援する。

○企業立地活動の促進(新潟県)

新潟県においては、企業立地の促進を図るため、東京事務所、大阪事務所に企業誘致専任の嘱

託員を配置し、企業訪問等の誘致活動を積極的に推進する。

○創業・企業化の支援(新潟県工業技術総合研究所県央技術支援センター)

新潟県所有のインキュベーション施設が㈶燕三条地場産業振興センター内に3室設置してあ

り、これらの有効利用と入居者への技術相談や経営相談により企業化支援を行う。

○品質管理システムTSO(Tsubame Standard Organization)(燕商工会議所)

ISO9001のうち品質管理部分だけに着目して独自に構築したシステムであり、事業所の品質

管理、技術継承、事業継承、現場の意識改革を目的とし、新たな事業機会の創出を支援する。 ○地域産業活性化協議会(燕市・関係機関)

・基本計画の定期的な見直し

産業集積の形成又は産業集積の活性化に関する目標及び指定集積業種に属する事業者の企業

立地及び事業高度化の目標の達成に向けて、年1回定期的に工業統計表の活用や集積業種全体の

実態把握等によりその進捗度の検証を行う。その結果、燕市地域産業活性化協議会において基本

計画の見直しが必要と判断された場合においては、基本計画期間中であっても必要に応じた改訂

を行えるものとする。

・新たな基本計画の策定

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基本計画期間終了後に継続して事業を実施する必要があると見込まれる場合は、成果目標の達

成状況や実施事業等の評価を行い、新たな基本計画の策定を行うものとする。

・例外的取扱い

震災による被災などで基本計画の評価を行えない等、合理的な理由により新たな基本計画の策

定が困難な場合は、基本計画期間を延長することができるものとする。

(東日本大震災の教訓を踏まえた地域が一体となった継続計画の策定)

東日本大震災の教訓として、有事の際の供給網(サプライチェーン)全体の可視化や物流ルート

の多重化等、地域における企業間取引の断絶等への対応について、企業や行政等地域が一体とな

った継続計画の策定を検討していく。

8 環境の保全その他産業集積の形成又は産業集積の活性化に際して配慮すべき事項

○環境の保全への配慮

企業立地にあたっては、各種環境法令の順守や環境保全・環境負荷の低減に向け十分配慮して

いくものとする。

燕市においては、平成18年9月に環境施策の指針となる燕市環境基本条例を制定し、市・市

民・事業者それぞれの環境保全に必要な措置を講ずる責務を定めた。

平成21年3月には、この条例を具体化し、身近な地域環境から地球環境に至るまでの、幅広

い保全や創造に関する環境施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、目標や環境施策の大綱等

を定めた燕市環境基本計画を策定し、平成21年度から各種施策に取り組んでいる。産業集積の

形成及び活性化により、事業活動に伴う周辺住民の生活環境への影響については、燕市環境基本

計画に基づき新潟県と燕市が緊密な連携を図りながら、大気汚染、水質汚濁の防止や騒音・振動

などの低減等のため助言・指導を行うなど、集積区域における環境負荷低減に向けた取り組みを

推進することにより、地域環境保全に十分な配慮を行うこととする。また、集積区域の事業活動

によって生ずる廃棄物について、環境保全担当課と産業振興担当課とが一体となり、環境の保全

に配慮した対策を講じていく。

さらに、必要に応じて環境保全についての住民説明会や工場見学などを行い、地域と一体とな

りながら企業との相互理解を十分図り、よりよい関係が構築できるように努力していく。

○安全な住民生活の保全への配慮

新潟県では、犯罪のない安全で安心して暮らすことができる社会の実現のため、平成17年7

月に「新潟県犯罪のない安全で安心なまちづくり条例」を制定し、県民、事業者及びこれらの者

の組織する民間の団体による犯罪の防止のための自主的な行動、犯罪の防止に配慮した生活環境

の整備その他の犯罪の発生する機会を減らすための取組を推進しているところであり、燕市の産

業集積の形成に伴い必要となる安全な住民生活の保全に関しては、「燕市防犯組合連合会」を中

心として、燕警察署と関係機関・団体と緊密な連携を図っていく。

行政、住民、事業者らが協力して、住民一人ひとりが防犯意識を高め、犯罪に遭わないように

行動するとともに、地域の連帯感を高め、お互いに見守りあい、犯罪の起きにくい安心・安全な

まちづくりに積極的に取り組んでいくものとし、企業立地を始めとする様々な事業活動に当たっ

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ては、以下の項目について重点的に取組むことにより、犯罪を抑止するとともに、犯罪又は事故

の発生時における警察など関係機関に対する連絡体制の構築及び捜査への協力に努め、安心で安

全な住みよいまちづくりを推進していく。

・防犯設備の整備

犯罪被害防止のための防犯カメラ、照明の設置等

・防犯に配慮した施設の整備・管理

植栽の適切な配置及び剪定による見通しの確保や施設管理の徹底等

・従業員に対する防犯指導

法令遵守や犯罪被害の防止に関する指導等

・地域における防犯活動への協力

地域住民等が行う防犯ボランティア活動等への参加や、これに対する必要な物品・場所の提

供等の協力

・交通安全施設の整備

①交通事故防止のための道路照明、カーブミラー、視線誘導標の設置等

②交通渋滞の発生を見据えた導流帯、右折レーンの設置等

・不法就労の防止

外国人を雇用しようとする際における旅券等による当該外国人の就労資格の確認等

・地域住民との協議

企業立地や事業高度化の際における地域住民・自治会等への事前説明や意見聴取等

・警察への連絡体制の整備

犯罪又は事故の発生時における警察への連絡体制の整備等

○各種計画等との調和

燕市では自然環境や地形などを活かした安心と快適を提供できる良好な土地利用を推進する

「都市計画マスタープラン」を策定し、土地利用計画に影響すると考えられる取組みについては、

関係課と十分に協議・調整するものとする。この他、基本計画を通じた産業集積の形成及び活性

化にあたっては、以下の計画との調和の保持、農林漁業の健全な発展と調和の確保に十分配慮し、

実施していくものとする。

①国土形成計画

②都市計画(都市計画法第18条の2の市町村の都市計画に関する基本的な方針を含む)

③中心市街地の活性化に関する法律(平成10年法律第92号)に既定する基本方針及び

基本計画

④農業振興地域整備基本方針及び農業振興地域整備計画

9 法第5条第2項第3号に規定する区域における同項第7号の施設の整備が、農用地等として利用され

ている土地において行われる場合にあっては、当該土地を農用地等以外の用途に供するために行う土地

の利用の調整に関する事項

農地等を含む重点促進区域は次のとおりで、すべて農用地区域外である。

(1)大通川流域工場適地

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・重点促進区域面積 2,560,716㎡

・上記のうち農地等面積 867,621㎡

・調整等の状況

当該区域は工場適地調査簿に記載された「大通川流域工場適地」であり、農用地と工業用

地との利用に関する事前調整を終了している。

既に、企業立地が進んでおり、残る用地についても、立地企業が決定した際には関係機関

と協議しつつ、農地転用手続きを進めていく。

(2)法花堂・下中野工場適地

・重点促進区域面積 877,080㎡

・上記のうち農地等面積 85,321㎡

・調整等の状況

当該区域は工場適地調査簿に記載された「法花堂・下中野工場適地」であり、農用地と工

業用地との利用に関する事前調整を終了している。

既に、企業立地が進んでおり、残る用地についても、立地企業が決定した際には関係機関

と協議しつつ、農地転用手続きを進めていく。

(3)野本工場適地

・重点促進区域面積 67,938㎡

・上記のうち農地等面積 13,073㎡

・調整等の状況

当該区域は工場適地調査簿に記載された「野本工場適地」であり、農用地と工業用地との

利用に関する事前調整を終了している。

既に、企業立地が進んでおり、残る用地についても、立地企業が決定した際には関係機関

と協議しつつ、農地転用手続きを進めていく。

(4)笈ケ島工場適地

・重点促進区域面積 381,990㎡

・上記のうち農地等面積 123,184㎡

・調整等の状況

当該区域は工場適地調査簿に記載された「笈ヶ島工場適地」であり、農用地と工業用地と

の利用に関する事前調整を終了している。

既に、企業立地が進んでおり、残る用地についても、立地企業が決定した際には関係機関

と協議しつつ、農地転用手続きを進めていく。

(5)分水北部工場適地

・重点促進区域面積 226,286㎡

・上記のうち農地等面積 97,716㎡

・調整等の状況

当該区域は工場適地調査簿に記載された「分水北部工場適地」であり、農用地と工業用地

との利用に関する事前調整を終了している。

既に、企業立地が進んでおり、残る用地についても、立地企業が決定した際には関係機関

と協議しつつ、農地転用手続きを進めていく。

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10 計画期間

本計画の計画期間は計画同意の日から平成29年度末までとする。

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新潟県燕市の基本計画概要

・金属加工技術を基盤に、付加価値の高い新商品・新技術開発への支援、各業界団体との連携による新たな市場を見据えた販路開

拓・需要開拓の支援を進め、地場産業の高度な金属複合加工集積地を目指す。

・グリーン・イノベーションやライフ・イノベーションといった成長産業への取組みを積極的に推奨し、新たな需要や雇用の創出

など地域経済の活性化を図る。

・集積地域全体で、産学官が連携した人材育成・技術支援、ワンストップサービスの充実とフォローアップを実施。

計画のポイント

2.集積業種 ①機械・金属製造業及びその関連産業

②再生可能エネルギー関連産業

3.集積区域における集積業種に係る成果目標

(目標年次:29年度)

○付加価値額増加額 69億円 ○新規立地件数 45件

○製造品出荷額増加額 413億円 ○新規雇用数 145人

4.目標に向けた事業環境整備等

○人材育成・確保

研修受講助成、磨き屋一番館を拠点とするモノづくりを支える人材育成、企業人材育成事業の実施

○技術・研究開発支援

新商品・新技術開発支援、成長産業分野参入支援、産学連携共同研究開発、研究開発機器の整備

○円滑な企業立地のための環境整備

情報収集・情報提供、ワンストップサービス・フォローアップ体制の充実、優遇措置支援

1.集積区域:燕市全域(ただし、環境保全区域を除く。) ■機械・金属製造業及びその関連産業自動車関連、精密機械、電子・電気機器、照明器具、食品・農業機械、鉄道車両などの部品加工を始め、金属洋食器・金属ハウスウエア、厨房器具、産業用機械の製品、医療機器等の企業立地・企業間連携を促進することにより、地域固有の産業を集積

■再生可能エネルギー関連産業

これまで培われてきた金属加工技術の強みを活かし、グリーン・イノベーションによる新たな成長産業を集積

県内の市単独事業第1号として設置されたメガソーラーTsubame Site

市内のチタン製品メーカーの発色技術を活かしたモニュメントがロンドンオリンピック2012の開催地を鮮やかに彩る。