新学習指導要領に基づく 福祉系高等学校の 教育実...

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全国福祉高等学校長会 高等学校福祉教育方法・教材開発研究会 新学習指導要領に基づく 福祉系高等学校の 教育実態に関する調査研究 令和元年度 社会福祉振興・試験センター補助事業 DIGEST VERSION

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全国福祉高等学校長会

高等学校福祉教育方法・教材開発研究会

新学習指導要領に基づく福祉系高等学校の

教育実態に関する調査研究令和元年度 社会福祉振興・試験センター補助事業

DIGEST VERSION

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●調査の目的

福祉系高等学校の進路状況及び新学習指導要領への準備等を把握することにより、

福祉系高等学校の教育実態を明らかにし、地域を支える福祉人材育成を目的とする福

祉系高等学校の現況及び課題等の整理をする。

●調査内容(回答数)

今回は、以下の5項目について福祉系高等学校を通じ郵送調査を実施した。

(福祉系高等学校回収率 93.8% 105/112 校)

・学校概要調査(105校)

・卒業生調査(17,536人・平成 23 年度から平成30年度卒業生)

・実習施設調査(1,251施設)

・福祉系高等学校における特徴ある取組みに関する調査(74校)

・新学習指導要領に向けた取組みに関する調査(95校)

●調査協力者一覧

高等学校福祉教育方法・教材開発研究会

研究代表 関矢 貴秋 (仙台大学 教授)

研究副代表 大橋 謙策 (一般財団法人社会福祉研究所 理事長)

研究副代表 保住 芳美 (元川崎医療福祉大学 特任教授)

オブザーバー 矢幅 清司 (文部科学省初等中等教育局 視学官)

オブザーバー 岡村 英雄 (文部科学省初等中等教育局 教科書調査官)

一般財団法人社会福祉研究所

高橋 信幸 (事務局長)

全国福祉高等学校長会

理事 池田 延己 (函館大妻高等学校 理事長・校長)

担当教職員 中山 見知子(群馬県立伊勢崎興陽高等学校 教諭)

加藤 祐樹 (群馬県立新田暁高等学校 教諭)

望月 玲子 (千葉県立松戸向陽高等学校 教諭)

林 睦 (神奈川県立津久井高等学校 総括教諭)

髙木 諒 (愛知県立海翔高等学校 教諭)

鈴木 幹治 (三重県立伊賀白鳳高等学校 教諭)

猪岡 歩未 (三重県立伊賀白鳳高等学校 実習助手)

辻本 智加子(大阪市立淀商業高等学校 指導教諭)

原稿協力 水谷 愛 (北海道置戸高等学校 教諭)

鈴木 一彰 (静岡県立磐田北高等学校 教諭)

上田 貴美 (兵庫県立龍野北高等学校 教諭)

原 慶介 (佐賀県立神埼清明高等学校 教諭)

大井手 久美(大分県立大分南高等学校 教諭)

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1.福祉系高等学校とは

福祉系高等学校とは、介護福祉士養成に必要な 53単位(平成 22年度以前は 52単

位)のカリキュラムを置き、介護福祉士を養成している高等学校である。平成 19年

度の社会福祉士及び介護福祉士法の改正により規定され、平成 21年度より設置され

ている。

2.福祉系高等学校の現状

平成 20年度、介護福祉士を養成する高校:212校、卒業生:5,626人、平成 31年

3月に卒業生を送り出した福祉系高校:111校、卒業生:2,563人となっている(校

長会調べ)。前述した平成 19年度の法改正によって、介護福祉士養成カリキュラムが

変更となり、34単位だった必要単位数が 52単位へと大幅に増加した。また教員要件

の高度化・施設設備の充実等が求められたことから、整備できない高等学校は介護

福祉士養成から撤退を余儀なくされ、高等学校における介護人材の養成数が大幅に

減少することとなった。

そんな厳しい状況の中ではあったが、地域からの福祉・介護人材育成の要請もあり、

教材開発・教員研修・授業力の向上など教育の充実に努め、毎年 2,400人~2,800人

前後の卒業生を地域に送り出しており、地元の福祉・介護を担う貴重な存在となっ

ている。

※平成 19年改正が適用される前の平成 11年度(第12回)~平成 22年度(第23回)

の福祉系高等学校の介護福祉士国家試験受験者数は、約 6,100人~約9,200人(新

卒受験者数:約 4,500人~約6,400人)だったが、適用後の平成 23年度(第24回)

~平成 30 年度(第31 回)の福祉系高等学校の介護福祉士国家試験受験者数は、約

3,100 人~約 5,600 人(新卒受験者数:約 2,400 人~約 2,800 人)と激減してい

る。また、入学定員は、3,981人となっており、定員充足率は 73.0%である。

福祉系高等学校指定校数

(平成31年4月現在)

福祉系高等学校卒業者数

(平成31年3月卒業生)

112 校 2,563 人

福祉系高等学校入学定員

(平成31年4月現在) 入学者数 定員充足率

3,981人 2,905人 73.0%

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今回の調査回答者 17,536 人のうち、介護福祉士国家資格を取得している者は、15,657

人であり、89.3%の取得率になっている。福祉系高校の生徒の取得率の高さがうかがえる。

また、福祉系高校新卒者の合格率は、第 24 回(H23 年度)以降、8年連続で 80%を超

え、受験者全体、福祉系高校全体と比較して高い水準を保っている(全国福祉高等学校長

会調べ)。

(福祉系高校全体には、既卒者を含む。)

取得者 未取得者 不明者

15,657 1,363 516

89.3% 7.8% 2.9%

取得者

89.3%

未取得者

7.8%

不明者

2.9%

介護福祉士国家資格取得率

50.2% 48.3%

63.9% 64.4% 64.6%61.0%

57.9%

72.1% 70.8%73.7%

54.9% 55.6%

65.5%70.6% 71.2%

68.2% 67.1%

73.9% 74.9% 76.8%

68.1%71.6%

83.6%86.9% 88.1%

85.3% 86.4% 85.3% 86.6% 87.8%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

福祉系高校新卒者 合格率の推移

受験者全体 福祉系高校全体 福祉系高校新卒者

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卒業後の進路状況を「就職」「進学」「その他」で分類したところ、以下の通りであった。全体的

にみると就職が進学より少し多い傾向を示している。また、年度別に見ると、わずかで

はあるが、進学者が増えている傾向にある。特に、平成 26年度・平成 27年度がひとつの

境目になっている。

年度/

分類 就職 進学 その他 合計

H23 1,055 693 50 1,798

H24 1,245 749 43 2,037

H25 1,280 780 41 2,101

H26 1,388 878 38 2,304

H27 1,288 984 50 2,322

H28 1,334 1,037 55 2,426

H29 1,300 1,003 46 2,349

H30 1,212 939 48 2,199

計 10,102 7,063 371 17,536

就職

57.6%

進学

40.3%

その他

2.1%

進路状況

就職 進学 その他

55.1%

55.3%

55.0%

55.5%

60.2%

60.9%

61.1%

58.7%

42.7%

42.7%

42.4%

42.4%

38.1%

37.1%

36.8%

38.5%

2.2%

2.0%

2.3%

2.1%

1.7%

2.0%

2.1%

2.8%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

H30

H29

H28

H27

H26

H25

H24

H23

卒業後の進路(年度別)

就職 進学 その他

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就職者 10,102人の就職先の分野を「介護職」「福祉・医療職」「一般職」に分類したとこ

ろ、割合は、介護職 90.1%、福祉・医療職 1.6%、一般職 8.3%となった。概ね9割の生

徒が、介護職、福祉・医療職に就職している。

年度/分野 介護職 福祉・医療職 一般職

合計 女 男 計 女 男 計 女 男 計

H23 831 149 980 4 2 6 52 17 69 1,055

H24 920 220 1,140 19 3 22 56 27 83 1,245

H25 989 184 1,173 16 3 19 58 30 88 1,280

H26 1,003 248 1,251 24 5 29 69 39 108 1,388

H27 932 230 1,162 15 3 18 61 47 108 1,288

H28 961 237 1,198 18 3 21 74 41 115 1,334

H29 917 223 1,140 20 2 22 85 53 138 1,300

H30 865 195 1,060 17 3 20 88 44 132 1,212

計 7,418 1,686 9,104 133 24 157 543 298 841 10,102

介護職 福祉・医療職 一般職

9,104人 157人 841人

90.1% 1.6% 8.3%

介護職

90.1%

福祉・医療職

1.6%

一般職

8.3%

就職先分野

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介護就職者 9,104人の就職先地域をみると、在籍した高等学校のある都道府県内に就職

(いわゆる地元就職)をした生徒は、90.3%と高い割合となった。福祉系高校は、地域の

介護職を養成していることがうかがえる。

年度/就職先 都道府県内就職 都道府県外就職

合計 女 男 計 割合 女 男 計 割合

H23 764 134 898 91.6% 67 15 82 8.4% 980

H24 837 191 1,028 90.2% 83 29 112 9.8% 1,140

H25 883 169 1,052 89.7% 106 15 121 10.3% 1,173

H26 923 227 1,150 91.9% 80 21 101 8.1% 1,251

H27 854 195 1,049 90.3% 78 35 113 9.7% 1,162

H28 875 205 1,080 90.2% 86 32 118 9.8% 1,198

H29 816 195 1,011 88.7% 101 28 129 11.3% 1,140

H30 776 174 950 89.6% 89 21 110 10.4% 1,060

計 6,728 1,490 8,218 90.3% 690 196 886 9.7% 9,104

都道府県内 都道府県外

8,218 886

90.3% 9.7%

都道府県内

90.3%

都道府県外

9.7%

就職先地域

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介護就職者における3年後の介護職定着率(卒業3年を経過した者が介護職を続けてい

る割合)を調査したところ、73.9%の卒業生が現在も介護職を続けているという結果であ

った。したがって、離職率は 26.1%であり、福祉系高校のキャリア教育の成果が出ている

と言える。

《参考》厚生労働省(令和元年 10月)

平成 27年度卒業生における介護職継続者数と定着率

北海道 東北 関東 北信越 東海 近畿 中国 四国 九州 計

卒業時

介護就職者数 45 140 112 55 147 107 73 64 419 1,162

介護職

継続者数 25 111 68 47 108 86 51 58 305 859

定着率 55.6% 79.3% 60.7% 85.5% 73.5% 80.4% 69.9% 90.6% 72.8% 73.9%

定着率

73.9%

離職率

26.1%

介護職定着率(3年後)

32.0%

42.0%39.2%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

新規学卒就職者の就職後

3年以内離職率(H28年3月卒)

大卒 短大卒 高卒

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進学者 7,063人の進学先の分野を「福祉系大学」「福祉系短期大学」「福祉系専門学校」

「医療系大学」「医療系短期大学」「医療系専門学校」「その他進学」で分類したところ、

77.4%が、福祉・医療系に進学しており、その他の分野に進学する者は、22.6%であった。

中でも医療系専門学校への進学が3割以上と多くなっている。これは、看護師やリハビリ

テーション職(理学療法士や作業療法士など)を目指す者であると考えられる。また、福

祉系大学への進学も一定数おり、社会福祉士や精神保健福祉士、高校「福祉」教員を目指

す卒業生もいる。

福祉系 医療系 その他

進学 大学 短期大学 専門学校 大学 短期大学 専門学校

1,279 626 611 276 150 2,524 1,597

18.1% 8.9% 8.7% 3.9% 2.1% 35.7% 22.6%

福祉系大学

18.1%

福祉系短大

8.9%

福祉系専門

8.7%

医療系大学

3.9%医療系短大

2.1%

医療系専門

35.7%

その他進学

22.6%

進学先分野

福祉系大学 福祉系短大 福祉系専門 医療系大学

医療系短大 医療系専門 その他進学

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「高校生から介護に関心があるのは良いことだ」と回答した実習施設が全体の 77.7%、

「指導に対して素直に対応できる、真面目に取り組む、身だしなみが整えられているなど、

良い印象がある」と回答した実習施設が 75.9%に上り、実習施設が生徒に対してポジティ

ブな印象を持っていることが分かった。その他の回答でも、「向上心、やる気があり好感が

持てる」「専門学校生より、学ぶ姿勢があるように感じる」「利用者が喜ばれ、笑顔が多く

なった」など、前向きな意見が多数みられた。

「指導に対して素直に従えない、積極性が足りない、身だしなみが乱れているなど、悪

い印象がある」と回答した施設は全体の 6.7%であったが、生徒によって個人差があると

の意見が多く、「言葉遣い」「記録物」「実習態度」等については、生徒一人一人に合わせた

個別の指導が必要である。

高校生から介護に関心

があるのは良いことだ

素直、真面目、身だしなみが

整えられているなど、

良い印象がある

他の実習生と

変わらない

素直に従えない、積極性が足

りない、身だしなみが乱れて

いるなど、悪い印象がある

その他

982 959 95 85 97

77.7% 75.9% 7.5% 6.7% 7.7%

7.7%

6.7%

7.5%

75.9%

77.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

その他

悪い印象がある

他の実習生と変わらない

良い印象がある

高校生から介護に関心があるのは良いことだ

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99.6%の実習施設が福祉系高校の実習生を受け入れて良かったことを回答した。

特に、「新しい気付きや基本に戻って考えることができる」が 86.2%、「日常の介護を見

直す機会」が 61.1%に上った。その他の回答にも、「直接指導する職員自身も実習生に教

えることで知識の再確認になっている」「職員が基本に戻り、振り返りができる」などの意

見がみられ、福祉系高校の実習を受け入れることで、施設側が日常の介護を見直し、高校

生が実践する介護から新しい気付きを得ていることが分かった。

また、「利用者の生活にハリがでる」と回答した実習施設は 77.8%であり、その他の回

答には、「孫のような年頃の学生と関わることで、利用者が喜んでいる」「利用者やその家

族に刺激がある」などの意見がみられた。高校生の爽やかで瑞々しい姿そのものが実習施

設にとって新鮮な風となり、良い影響を与えていることが分かった。

一方、その他の回答の内、約4割が「施設を気に入り就職してもらえた」など卒業後の

就職に結びついているという意見であった。「福祉系高校生は地元で就職する」という評価

が実習施設にも広がりをみせている。

新しい気付きや

基本に戻って考える

利用者の生活に

ハリがでる

日常の介護を

見直す機会

業務の

助けになる 特にない その他

1084 978 768 216 5 81

86.2% 77.8% 61.1% 17.2% 0.4% 6.4%

6.4%

0.4%

17.2%

61.1%

77.8%

86.2%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

その他

特にない

業務の助けになる

日常の介護を見直す機会

利用者の生活にハリがでる

新しい気付きや基本に戻って考える

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全国高校生介護技術コンテストは、福祉を学ぶ高校生の介護技術力を高めるとともに、

様々な介護の場面において、適切かつ安全に支援できる能力と態度を育成することを目的

とした大会である。第8回を迎えた今年度は、各地区を勝ち抜いた代表校10校(九州地区

は福祉を学ぶ高校が多いので2校選出)、前回優勝地区から1校、開催県から1校の計12校

が出場し第29回全国産業教育フェア新潟大会にて介護の実践を学び合う大会となった。

北海道、東北、関東、北信越、東海、近畿、中国、四国、九州の9地区で予選が行われ

た他、多くの生徒がコンテストに参加できるよう、ベッドメイキング部門、個人部門など

を取り入れている県もあり、出場した選手が互いに学び合う場となっている。

関東地区大会

第8回全国高校生介護技術コンテスト

東北地区大会

群馬県大会 個人部門 熊本県大会 ベッドメイキング部門

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また、単に介護技術を高め合う場ではなく、介護福祉士会や福祉施設・企業等と連携す

ることで、介護の魅力や面白さを地域に発信し、福祉・介護への理解を広める機会となっ

ている。

第8回大会から、最優秀賞を受賞したチームに対し、北欧の福祉・介護状況を体験できる「福祉先

進国視察研修」を副賞として授与されることになりました。

初めての研修旅行に出かけたのは、佐賀県立神埼清明高等学校の選手3名。北欧で認知症介護

ケアハウスを見学するなど、福祉・介護についての学びを深めました。また、尊厳やその人らしさなど

介護をする上で根幹となる哲学や理念を考える大切さ、様々な専門職が共通の目的を持ち、共同で

責任をとる連携・連帯、人と向き合い人生に寄り添う仕事だからこそ、人間性が問われるということ

を学び、人として成長していくことが大切であると感じた研修でした。

愛知県大会

最優秀賞に輝いた選手3名

群馬県大会 佐賀県大会

三重県大会

○REPORT

北欧研修旅行の様子

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福祉系高等学校一覧(平成 31年 4月現在)

福祉系高等学校の法的位置付け ・社会福祉士及び介護福祉士法 第四十条第2項第四号

学校教育法に基づく高等学校又は中等教育学校であって文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定したも

のにおいて三年以上(専攻科において二年以上必要な知識及び技能を修得する場合にあっては、二年以

上)介護福祉士として必要な知識及び技能を修得した者

・社会福祉士介護福祉士学校指定規則 別表第五(第八条関係)

教科 科目 単位数

高等学校等(専攻科及び別科

を除く。)

※高等学校等の専攻科(修業

年限が二年以上のものに限

る。)の場合、教科の指定はな

福祉

社会福祉基礎 四

介護福祉基礎 五

コミュニケーション技術 二

生活支援技術(医療的ケアを含む。) 十

介護過程 四

介護総合演習 三

介護実習 一三

こころとからだの理解 八

公民、数学、理科又は家庭 人間と社会に関する選択科目 四

合計 五三

備考 一 各科目の単位数は、一単位時間を五十分とし、三十五単位時間の授業を一単位として計算することを標準とする。

二 医療的ケアについては、講義及び演習により行うものとし、講義の時間数は少なくとも五十時間以上とするものとする。

三 前号の演習を修了した者に対しては、可能な限り実地研修又はこれに代わる見学を行うよう努めるものとする。

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【資料】 《福祉系高等学校の充足率》

学校数 定員【人】 入学者数【人】 充足率【%】

H21年度 107 3,961 3,197 80.7%

H22年度 110 4,017 3,476 86.5%

H23年度 113 4,072 3,360 82.5%

H24年度 117 4,188 3,399 81.2%

H25年度 115 4,136 3,352 81.0%

H26年度 118 4,245 3,427 80.7%

H27年度 119 4,305 3,257 75.7%

H28年度 116 4,170 3,085 74.0%

H29年度 115 4,128 2,960 71.7%

H30年度 113 3,999 2,916 72.9%

H31年度 113 3,981 2,905 73.0%

(※学校数:平成 31 年度募集停止1校を含め 113 校)

《福祉系高等学校の受験状況》全国福祉高等学校長会調べ

項目 国試受験者全体

福祉系高等学校

総数 新卒者

受験者数 合格者数 合格率 受験者数 合格者数 合格率 受験者数 合格者数 合格率

第 22 回

H21 年度 153,811 77,251 50.2% 9,068 4,981 54.9% 5,758 3,923 68.1%

第 23 回

H22 年度 154,223 74,432 48.3% 9,029 5,018 55.6% 5,518 3,948 71.6%

第 24 回

H23 年度 137,961 88,190 63.9% 5,681 3,720 65.5% 2,543 2,125 83.6%

第 25 回

H24 年度 136,375 87,797 64.4% 5,136 3,626 70.6% 2,687 2,334 86.9%

第 26 回

H25 年度 154,390 99,689 64.6% 4,772 3,400 71.2% 2,529 2,229 88.1%

第 27 回

H26 年度 153,808 93,760 61.0% 4,740 3,234 68.2% 2,675 2,283 85.3%

第 28 回

H27 年度 152,573 88,300 57.9% 4,583 3,076 67.1% 2,644 2,284 86.4%

第 29 回

H28 年度 76,323 55,031 72.1% 3,899 2,882 73.9% 2,742 2,340 85.3%

第 30 回

H29 年度 92,654 65,574 70.8% 3,486 2,610 74.9% 2,566 2,222 86.6%

第 31 回

H30 年度 94,610 69,736 73.7% 3,189 2,450 76.8% 2,382 2,092 87.8%

Page 16: 新学習指導要領に基づく 福祉系高等学校の 教育実 …fukushikyoin.sakura.ne.jp/top/wp-content/uploads/2020/04/...1 調査の目的 福祉系高等学校の進路状況及び新学習指導要領への準備等を把握することにより、

社会福祉振興・試験センター補助事業

新学習指導要領に基づく福祉系高等学校の教育実態に関する調査研究

発行日 令和2年 3 月

高等学校福祉教育方法・教材開発研究会