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山形県における新品種の保護と ブランド化の取組みについて 山形県農林水産部 水稲「つや姫」 おうとう「山形C12号」

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Page 1: 山形県における新品種の保護と ブランド化の取組みについて · 山形県における新品種の保護と ブランド化の取組みについて. 山形県農林水産部

山形県における新品種の保護とブランド化の取組みについて

山形県農林水産部水稲「つや姫」 おうとう「山形C12号」

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山 形 県 育 成 品 種 の 件 数

水稲 7件「はえぬき」、「どまんなか」等

果樹(おうとう) 2件「紅さやか」、「紅秀峰」

野菜 4件メロン「ブライトエル」食用菊「越天楽」 等

品種登録失効件数 13件

水稲 12件(出願中3件)「つや姫」「雪女神」「雪若丸」 等

そば 2件(出願中1件)「でわかおり」「山形BW5号」

果樹 8件(出願中1件)おうとう「山形C12号」等りんご「秋陽」等西洋なし「メロウリッチ」等

野菜 6件(出願中0件)いちご「サマーティアラ」たらのめ「最上A2号」食用菊「山園K4号」 等

花き 3件(出願中0件)りんどう「ハイネスホワイト」べにばな「夏祭」 等

品種登録数 計31件(出願中5件を含む)

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山形県育成品種にかかる利用権設定契約の状況

◆ 方 針:栽培は県内限定を基本とし、生産振興策によっては他県での栽培を認める

利用権設定契約の件数水稲 延べ18件「つや姫」:県内2件(山形県産米改良協会、山形県庄内米改良協会)

県外9件(宮城県、大分県、島根県、長崎県、宮崎県、和歌山県、岐阜県、山梨県及び佐賀県の種子協会)

「雪若丸」:県内2件(山形県産米改良協会、山形県庄内米改良協会)「出羽の里」、「こゆきもち」、「山形95号」は山形県産米改良協会と契約「出羽きらり」、「雪女神」は山形県庄内米改良協会と契約

そば 延べ2件「でわかおり」:県内1件(山形県産米改良協会)「山形BW5号」:県内1件(山形県庄内米改良協会)

果樹 延べ8件野菜 延べ6件 園芸作物の17品目はすべてJA全農山形と契約花き 延べ3件

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品種登録出願の可否を決定する県職務育成品種登録審査会において、当該品種の振興上の位置付けや知的財産権保護の考え方を決定 「戦略的品種」と「通常品種」に分けて対応

■ 戦略的品種○ 水稲:「つや姫」、「雪若丸」

図柄とパッケージデザインを商標登録するとともに、加工品等の周辺分野について品種名称を文字で商標を登録

○ おうとう:「山形C12号」系統名で品種登録し、振興戦略の策定と登録商標をブラン

ド化戦略会議において検討中

■ 通常品種○ 系統名で品種登録し、必要に応じて愛称を商標登録・たらのき「最上A2号」→「春かおり」・食用ぎく「山園K4号」→「菊名月」

県育成品種の知的財産権の保護に関する基本的考え方

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◆ 育成者権侵害物品の輸入を水際阻止するため、DNA品種識別技術を開発・おうとう、水稲「つや姫」「雪若丸」「雪女神」等

海外での品種登録

山 形 県 育 成 品 種 の 知 的 財 産 保 護

◆ 方 針振興戦略において、輸出を予定する品種に

ついて想定される主要輸出対象国・地域で取得○ 水稲「つや姫」は、中国、香港、台湾で商標取得○ 水稲「雪若丸」、おうとう「山形C12号」も海外での商標登録を目指す

◆ 方 針県育成品種の海外生産は許諾

しない○ おうとう「山形C12号」

下記7か国に対して品種登録出願を行う計画(1) 中華人民共和国(2) 大韓民国(3) オーストラリア連邦(4) ニュージーランド(5) アメリカ合衆国(6) カナダ(7) チリ共和国

海外での商標登録

その他の権利侵害対策

国内での商標登録

◆ 類似系統の保護ハイネス

◆ 加工品等の周辺分野の保護サマーティアラ、メロウリッチ

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水稲品種「つや姫」について

○ これまでの経過・2009. 2 名称の決定・2009. 2 品種登録の出願・2009.12 生産者認定の開始・2010.10 本格販売開始・2011. 8 品種登録

○ 品種の主な特長・収穫時期は「コシヒカリ」と同等(晩生種)・草丈が短く倒伏しにくい・玄米の大きさは「コシヒカリ」と同等(千粒重22.3g)・粒揃いが良く、収量も多い

コシヒカリ突然変異山形48号キヌヒカリ

コシヒカリ味こだま

新潟14号ひとめぼれ

山形70号

東北164号

つや姫

系譜

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つや姫ブランド化戦略

期間 目標

つや姫ブランド化戦略 2008~2010年 日本一おいしい米として全国の消費者に評価されるブランド米

つや姫ブランド化推進戦略 2011~2013年 日本を代表するブランド米としての評価確立と全国定着

第3次ブランド化推進戦略 2014~2016年つや姫ブランドの全国定着~つや姫ブランドの更なる定着を図る戦略を展開~

第4次ブランド化推進戦略 2017~2019年全国トップブランド評価の浸透~極良食味・最高品質のトップブランド米を目指して~

生産戦略部会コミュニケーション

戦略部会販売戦略部会

外部アドバイザーの参加

オール山形によるブランド化推進体制を構築○ 山形県、全農山形県本部、山形県米穀集荷協同組合が負担金を拠出

「つや姫」ブランド化戦略

山形「つや姫」「雪若丸」ブランド化戦略推進本部(本部長 山形県知事)

【委員】生産・流通・商工・観光関係者、学識経験者 等

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◇ 適地マップや栽培基準・出荷基準の設定

○ 栽培地の限定(栽培適地47,000ha)

○ 有機栽培と特別栽培に限定

○ 県知事が認定した生産者のみが生産

○ 出荷基準を設定

1等米または2等米

玄米粗タンパク質含有率6.4%以下(玄米水分15%換算)

◇良食味、高品質安定生産の維持

○ 情報伝達体制強化、地力及び土壌診断に基づいた施肥指導の徹底

○ 地域本部及びつや姫マイスターらによる地域実情に合わせたきめこまやかな技術指導

◇食味・栽培法にさらにこだわったつや姫の展開

○ プレミアムつや姫産地の育成支援

◇他県への生産許諾と各産地の品質向上

○ 奨励品種への採用、特別栽培等の要件を付した生産許諾

○ 全国の「つや姫」生産者との技術交流、サミット・フォーラムなど

「つや姫」ブランド化戦略生産戦略

UPOVによるハイレベルスタディツアー

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◇ マスメディアを使ったブランドイメージの発信○ テレビCMの放映(高級感を出したCM)○ 新聞や雑誌への記事、広告掲載など○ 専用ホームページ等による情報発信

◇ 口コミ、SNSによるPR○ やまがた特命観光・つや姫大使の拡充○ Facebook、Twitterによる情報発信○ 山形つや姫サポーターを委嘱○ つや姫の集い

◇ 継続的な情報発信と話題づくり○ 知事の田植え、稲刈り、販売開始等イベントでのアピール

○スポーツイベント等でのアピール

○ 観光やスポーツ等と連携したアピール○ 「つや姫の日」を利用した話題づくり○ 海外での認知度向上に向けたPRの展開

など 9

「つや姫」ブランド化戦略コミュニケーション戦略

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◇積極的な販売促進活動の展開

○ 知事によるトップセールス○ つや姫レディによるPR(店頭試食キャンペーンなど)○ 商談会におけるPR○ 山形つや姫ファンクラブの創設と情報提供○ 旅館・ホテル、飲食店、弁当事業者等と連携したキャンペーン、フェアの実施

◇流通関係者との協力

○ 山形つや姫取扱協力店○ つや姫PRスタッフによる個別訪問活動

◇県内での一層の定着

○ 県内どこでもつや姫キャンペーンの実施○ つや姫の日(毎月28日)の制定

◇新たなニーズの開拓

○ 高級料理店やホテル等での利用拡大働きかけ○ 料理教室や女性をターゲットにしたアピール○ 関西・中京でのPR強化、海外市場への輸出・販路開拓の取組

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「つや姫」ブランド化戦略販売戦略

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◇生産状況

年 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

生産者数(名) 2,573 3,373 4,529 4,503 4,584 4,737 5,320 5,346 5,321 5,163

認定面積(ha) 2,500 3,200 6,500 6,508 6,692 7,711 8,807 9,303 9,293 9,500

つや姫の生産・販売状況の推移

(千トン)

400玄米検査300

600000

500000

400000

300000

コシヒカリ(価格)

はえぬき(価格)

その他品種(数量)

つや姫(価格)

(全国平均価格)

(60kg/円)

18,000

16,000

14,000

12,000

10,000

数量

200

100

200000

100000

0

コシヒカリ(数量)

ひとめぼれ(数量)

はえぬき(数量)

年 産

つや姫(数量)

平均相対取引価格

◇出荷・販売状況

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さくらんぼ新品種「山形C12号」について

○ これまでの経過・2017. 9 品種登録の出願・2018. 6 名称の公募・2018. 7 生産者登録制度の導入・2018.12 苗木の供給開始・2023 果実の本格デビュー(見込み)

○ 品種の主な特長・果実は、3~4L中心で、 「紅秀峰」より大玉・収穫時期は、「佐藤錦」と「紅秀峰」の間となる6月下旬~7月上旬頃・外観は、果皮にツヤがあり、着色良好で鮮やかな色づき・糖度は、「佐藤錦」並みで、酸味が少なく上品な甘さ・果肉がしっかりしており、日持ちが良好

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ブランド化戦略 生産者登録制度本県果樹で初となる「生産者登録制度」を採用

○ 苗木の販売は、申請要件を満たした登録生産者に限定

生産者登録証の交付

○ 平成30年度は、約1,400の農家や法人が生産者登録

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早期のブランド化 ~出荷量の確保~・「紅秀峰」は当初、試作程度の栽培が多く、まとまった出荷量を確保するのに年数がかかり、品質のばらつきも大きかった。

・消費地で「紅秀峰」が認知されるようになったのも、ここ数年。

当初からまとまったロットを確保するため

生産者登録制度の目的1

1経営体当たりの導入本数10本以上

0500

1,0001,5002,0002,5003,0003,500

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

栽培面積(ha)

全体

佐藤錦

紅秀峰

「佐藤錦」、「紅秀峰」の栽培面積の推移(農林水産省「特産果樹生産動態等調査」)

「紅秀峰」の苗木販売開始10年で全体の5%程度

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生産者登録制度の目的

3 知的財産の保護

購入した苗木せん定枝等の穂木

第三者への譲渡や販売県外や海外への持ち出し穂木は適切に処分

早期のブランド化 ~品質の保証~

○ 品種名とは別に果実を販売する名称(商標名)を定め、出荷・販売

○ 商標名は品質基準を満たしたもののみに使用

生産者登録制度

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新 品 種 開 発 に よ り 目 指 す 農 業 の 姿

地域の豊かさを支え、高いブランド力で国内外に展開する農林水産業

新品種開発の課題とその対応

1 品種開発の効率化

水稲、おうとう等におけるDNAマーカーの開発やDNAマーカー選抜の導入

新品種開発等の取組により実現する目標

2 新品種の迅速な普及

山形ブランドの魅力を高める優良な品種の開発・有望な品種・系統は、並行して栽培マニュアルを作成し普及

3 海外市場も視野に入れた品種開発

国内のみならず海外輸出も視野に入れた品種開発・早生 良食味 水稲・4Lサイズの超大玉おうとう・赤系の大粒ぶどう(無核、皮ごと食べられる) 等