海外現地法人四半期調査にみる主要地域（米・中・欧・ASEAN10）

における現地法人の状況

2020年12月25日調査統計グループ 企業統計室

※ 調査時点は2020年９月末

1 売上高の状況 2020年7-9月期の全地域の売上高は、2,712億ドル(前年同期比▲6.7％)。

国別にみると、新型コロナウイルスの影響で前期は中国以外の地域で大きく売上高が減少し米中のシェアが逆転したが、今期は各国で経済活動が再開され始め、再び米国のシェアが最も大きくなった。

米国 733億ドル（構成比27.0％）、中国 724億ドル（同26.7％）、タイ 250億ドル（同9.2%）と続いている。

1

※ASEAN10:インドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア、カンボジア、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス

欧州 ASEAN10 中国(含香港) 米国 その他

欧州シェア（右目盛り） ASEAN10シェア(右目盛り) 中国(含香港)シェア(右目盛り) 米国シェア（右目盛り）

19.9

26.7

27.0

10.7

0

5

10

15

20

25

30

35

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4-6

7-9

10-1

21-

34-

67-

910

-12

1-3

4-6

7-9

10-1

21-

34-

67-

910

-12

1-3

4-6

7-9

10-1

21-

34-

67-

910

-12

1-3

4-6

7-9

10-1

21-

34-

67-

910

-12

1-3

4-6

7-9

10-1

21-

34-

67-

9

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

図表1-1 売上高実績額とシェアの推移(億ドル) (％)

(年度)

アメリカ733

27.0%

中国（含香港）724

26.7%タイ250

9.2%

インドネシア95

3.5%

メキシコ67

2.5%

上位5カ国以外844

31.1%

図表1-2 売上高 国別構成割合(2020年7-9月期)

（億ドル,％）

全地域売上

億ドル2,712

2 設備投資額の状況

2

2020年7-9月期の全地域の設備投資額は74.0億ドル（前年同期比▲16.4%）。

国別にみると、最も実績額が大きい米国は 21.6億ドル（構成比29.2％）、中国 13.0億ドル（同17.6％）、続いてタイ 5.8億ドル（同7.8%）、インド 3.8億ドル（同5.1%）、インドネシア 3.1億ドル（同4.2%）とアジア諸国が多くを占めている。

米国のシェアは2017年をピークに縮小傾向。中国は2013年以降横ばいで推移しているが、2018年以降は増加傾向にある。ASEAN10は2012年から縮小傾向となっていたが足下では横ばいに推移している。欧州は10％前後で推移している。

※図表2-1の数値は後方移動平均値のため、図表2-2の数値と異なることに注意。

欧州 ASEAN10 中国(含香港) 米国 その他

欧州シェア（右目盛り） ASEAN10シェア(右目盛り) 中国(含香港)シェア(右目盛り) 米国シェア（右目盛り）

23.9

27.4

23.5

12.3

0

5

10

15

20

25

30

35

40

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

4-6

7-9

10-1

21-

34-

67-

910

-12

1-3

4-6

7-9

10-1

21-

34-

67-

910

-12

1-3

4-6

7-9

10-1

21-

34-

67-

910

-12

1-3

4-6

7-9

10-1

21-

34-

67-

910

-12

1-3

4-6

7-9

10-1

21-

34-

67-

9

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

図表2-1 設備投資実績額とシェアの推移(後方4期移動平均)(億ドル) (％)

(年度)

アメリカ21.6

29.2%

中国（含香港）13.0

17.6%タイ5.8

7.8%

インド3.8

5.1%

インドネシア3.1

4.2%

上位5カ国以外

26.736.1%

図表2-2 設備投資額 国別構成割合（2020年7-9月期）

全地域設備投資額

億ドル74

（億ドル,％）

3 米国における現地法人の状況 2020年7-9月期の米国の売上高は733億ドル（前年同期比▲6.6%）。設備投資額は21.6億ドル（同▲4.0%）。

売上高の業種別寄与度をみると、輸送機械が減少し、７期連続のマイナス。

設備投資額も、３期連続のマイナスとなった。

従業者数は、概ね横ばいで推移している。

3

8.8 0.5▲ 5.8▲ 7.3▲ 4.6▲ 7.30.9 ▲ 6.6▲ 1.61.1 1.6 6.8 8.310.3 9.0 11.3 9.3▲ 1.5▲ 50.00.050.0

4-6

7-9 1…

1-3

4-6

7-9 1…

1-3

4-6

7-9 1…

1-3

4-6

7-9 1…

1-3

4-6

7-9

輸送機械 一般機械／はん用・生産用・業務用機械電気機械 その他全業種

4… 1… 4… 1… 4… 1… 4… 1… 4… 1…

法人数（左目盛り）

従業者数（右目盛り）

▲ 6.6

▲ 45.0▲ 40.0▲ 35.0▲ 30.0▲ 25.0▲ 20.0▲ 15.0▲ 10.0▲ 5.0

0.05.0

10.0

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

2015 2016 2017 2018 2019 2020

図3-1 米国 業種別売上高の寄与度 (前年同期比)（％）

年度

▲ 4.0

▲ 50.0▲ 40.0▲ 30.0▲ 20.0▲ 10.0

0.010.020.030.040.050.0

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

2015 2016 2017 2018 2019 2020

図3-2 米国 業種別設備投資額の寄与度 (前年同期比)（％）

年度

4045505560

620

640

660

680

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

2015 2016 2017 2018 2019 2020

図3-3 米国 現地法人数及び従業者数の推移(社) (万人)

年度

4 中国における現地法人の状況 2020年7-9月期の中国の売上高は724億ドル（前年同期比＋15.2%）。設備投資額は13.0億ドル（同▲25.2%）。

売上高の業種別寄与度をみると、輸送機械が増加し、2期連続のプラス。

設備投資額については、電気機械、輸送機械が減少し、4期連続のマイナスとなった。

従業者数は減少傾向が続いている。

4

8.8 0.5▲ 5.8▲ 7.3▲ 4.6▲ 7.30.9 ▲ 6.6▲ 1.61.1 1.6 6.8 8.310.3 9.0 11.3 9.3▲ 1.5▲ 50.00.050.0

4… 7… 1… 1… 4… 7… 1… 1… 4… 7… 1… 1… 4… 7… 1… 1… 4… 7…

26 27 28 29 30

輸送機械 一般機械／はん用・生産用・業務用機械電気機械 その他全業種

4… 1… 4… 1… 4… 1… 4… 1… 4… 1…

法人数（左目盛り）

従業者数（右目盛り）

15.2

▲ 25.0▲ 20.0▲ 15.0▲ 10.0▲ 5.0

0.05.0

10.015.020.0

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

2015 2016 2017 2018 2019 2020

図4-1 中国 業種別売上高の寄与度（前年同期比）（％）

年度

▲ 25.2▲ 40.0▲ 30.0▲ 20.0▲ 10.0

0.010.020.030.040.050.0

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

2015 2016 2017 2018 2019 2020

図4-2 中国 業種別設備投資額の寄与度（前年同期比）（％）

年度

95

100

105

110

115

120

1630165016701690171017301750

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

2015 2016 2017 2018 2019 2020

図4-3 中国 現地法人数及び従業者数の推移(社) (万人)

年度

5 欧州における現地法人の状況 2020年7-9月期の欧州の売上高は290億ドル（前年同期比▲11.8%）。設備投資額は8.3億ドル（同▲22.5%）。

売上高の業種別寄与度をみると、輸送機械をはじめ主要業種がそろって減少し、9期連続のマイナス。

設備投資額も、主要業種がそろって減少し、4期連続のマイナスとなった。

従業者数は足下で減少傾向が見られる。

5

4… 1… 4… 1… 4… 1… 4… 1… 4… 1…

法人数（左目盛り）

従業者数（右目盛り）

8.8 0.5▲ 5.8▲ 7.3▲ 4.6▲ 7.30.9 ▲ 6.6▲ 1.61.1 1.6 6.8 8.310.3 9.0 11.3 9.3▲ 1.5▲ 50.00.050.0

4-6

7-9 1…

1-3

4-6

7-9 1…

1-3

4-6

7-9 1…

1-3

4-6

7-9 1…

1-3

4-6

7-9

輸送機械 一般機械／はん用・生産用・業務用機械電気機械 その他全業種

▲ 11.8

▲ 40.0

▲ 30.0

▲ 20.0

▲ 10.0

0.0

10.0

20.0

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

2015 2016 2017 2018 2019 2020

図5-1 欧州 業種別売上高の寄与度 (前年同期比)（％）

年度

▲ 22.5

▲ 50.0▲ 40.0▲ 30.0▲ 20.0▲ 10.0

0.010.020.030.040.0

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

2015 2016 2017 2018 2019 2020

図5-2 欧州 業種別設備投資額の寄与度 (前年同期比)（％）

年度

25

30

35

40

45

400

450

500

550

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

2015 2016 2017 2018 2019 2020

図5-3 欧州 現地法人数及び従業者数の推移(社) (万人)

年度

6 ASEAN10における現地法人の状況 2020年7-9月期のASEAN10の売上高は539億ドル（前年同期比▲22.2%）。設備投資額は16.1億ドル（同▲28.5%）。

売上高の業種別寄与度をみると、輸送機械が大きく減少し、7期連続のマイナス。

設備投資額については、輸送機械をはじめ主要業種がそろって減少し、4期連続のマイナスとなった。

従業者数は2018年をピークに減少に転じ、足下で減少幅がやや大きくなっている。

6

8.8 0.5▲ 5.8▲ 7.3▲ 4.6▲ 7.30.9 ▲ 6.6▲ 1.61.1 1.6 6.8 8.310.3 9.0 11.3 9.3▲ 1.5▲ 50.00.050.0

4-6

7-9 1…

1-3

4-6

7-9 1…

1-3

4-6

7-9 1…

1-3

4-6

7-9 1…

1-3

4-6

7-9

26 27 28 29 30

輸送機械 一般機械／はん用・生産用・業務用機械電気機械 その他全業種

4… 1… 4… 1… 4… 1… 4… 1… 4… 1…

法人数（左目盛り）

従業者数（右目盛り）

▲ 22.2

▲ 50.0

▲ 40.0

▲ 30.0

▲ 20.0

▲ 10.0

0.0

10.0

20.0

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

2015 2016 2017 2018 2019 2020

図6-1 ASEAN10 業種別売上高の寄与度（前年同期比）（％）

年度

▲ 28.5▲ 50.0▲ 40.0▲ 30.0▲ 20.0▲ 10.0

0.010.020.030.040.0

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

2015 2016 2017 2018 2019 2020

図6-2 ASEAN10 業種別設備投資額の寄与度（前年同期比）（％）

年度

140

150

160

170

1500

1600

1700

1800

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

10-1

2

1-3

4-6

7-9

2015 2016 2017 2018 2019 2020

図6-3 ASEAN10 現地法人数及び従業者数の推移(社) (万人)

年度

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

11,000

20,000 25,000 30,000 35,000 40,000

（億円）

（億円）国内法人設備投資額

海外現地法人設備投資

2008年7-9月期

2007年4-6月期

2013年10-12月期,(100.34円)

2015年4-6月期,(121.33円)

2011年10-12月期,(77.40円)

2010年1-3月期,(90.65円)

※（）内は円の対米ドル為替レート

2015年7-9月期,(122.25円)

2019年4-6月期(109.86円)

2020年7-9月期(106.14円)

7 国内投資、海外投資の動き

7

製造業の設備投資額は４期連続で国内・海外ともに減少。

※ 国内・海外の設備投資額のいずれも後方4期移動平均。※ 国内法人設備投資額：法人企業統計（財務省）

図7-1 製造業の国内・海外の設備投資額の推移

2017年10-12月期,(112.97円)

（補足）主な国のロックダウン状況と企業の稼働停止期間 新型コロナウイルス感染症拡大の影響をうけ各国でとられた都市封鎖などの対応について、報道内容や企業へのヒアリング等に基づき、主な国にお

ける封鎖や行動制限状況や、当調査の対象となっている企業の稼働停止状況を以下にまとめた。

※企業の稼働停止時期：主に新聞報道等を基に、当調査の対象企業の稼働停止時期や稼働再開時期が集中している期間を経済産業省にて独自に作成したもの8

地域封鎖全国封鎖行動制限要請企業の稼働停止時期

上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬アメリカ アメリカ

中国 中国

フィリピン フィリピン

マレーシア マレーシア

タイ タイ

インドネシア インドネシア

シンガポール シンガポール（稼働停止情報なし）

ベトナム ベトナム

インド インド

イギリス イギリス※12/16～警戒レベル強化

スペイン スペイン

フランス フランス

イタリア イタリア

ドイツ ドイツ（稼働停止情報なし） ※11月～部分的ロックダウン

ロシア ロシア

ブラジル ブラジル

メキシコ メキシコ

上段：各国の封鎖状況下段：企業の稼働停止時期

2020年1月 １２月８月７月 ９月 １０月 １１月6月5月4月3月2月

※12／16～ロックダウン強化（ほとんどの商店の営業禁止、学校も原則閉鎖）

北米

アジア

欧州

その他

（補足）海外現地法人における新型コロナウイルス感染拡大の影響 2020年7-9月期の売上高は、全地域合計で2,712億ドル、前年同期比▲6.7％の減少。

地域別には、中国（723億ドル）が前年同期比＋15.2％と増加し、それ以外の全地域で依然として前年同期比では減少となったが、工場停止の影響があった前期（4-6月期）からは増加に転じている。

9

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

売上高の推移（億ドル）

↑リーマンショック

↑尖閣諸島問題

注：売上高について、全地域合計は左目盛り、他は右目盛り。

全地域計

新型コロナウイルス感染拡大↑

↑タイ洪水

北米

ASEAN10

欧州

中国

ASEAN4

55

60

65

70

75

80

85

90

95

100

105

110

115

-1 0 1 2 3 4 5 6 7

売上高の推移（指数）

（四半期）

（参考） リーマンショック (全地域計)

ASEAN10

中国

北米

欧州

注：新型コロナウイルス感染:2019年10-12月期、リーマンショック:2008年7-9月期 の売上高を100として指数化し、当該期を横軸の0時点としてプロット。

新型コロナウイルス感染拡大 (全地域計)

海外現地法人四半期調査にみる�主要地域（米・中・欧・ASEAN10）　　　　　　　　　　　　　　　　�における現地法人の状況1　売上高の状況2　設備投資額の状況3　米国における現地法人の状況4　中国における現地法人の状況5　欧州における現地法人の状況6　ASEAN10における現地法人の状況7　国内投資、海外投資の動きスライド番号 9（補足）海外現地法人における新型コロナウイルス感染拡大の影響