世界の未来と日本の役割 - jica...― 76 ― 多田智恵子...
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多田智恵子
アラビアの四つの国を取り上げて学習させることが多い。だが,近年,めざましい発展を遂げ,世
から,日本とのつながりの深い国として取り上げて学習させる価値のある,もう一つの国であると言えるだろう。しかしながら,各単元に配当されている指導時間数は予め年間指導計画で定められており,一教師の裁量で内容や時間数を変更することは容易にはできない。また,今回のインドネシア教師海外
もとに,「日本とつながりの深い国々」の学習としてインドネシア全般を取り上げて教材化するのは困難であると考えた。そこで,本研修のテーマが「災害からの復興」であり,訪問先がアチェ州バンダアチェ市に限られたことに立ち返り,インドネシアのスマトラ沖大地震からの復興に対し,日本がどのような役割を果たしてきたかについて焦点を当てて,次の単元「世界の未来と日本の役割」の学習に,本研修
うに設定した。
際協力活動について理解する。
が,ひいては,世界の国々が互いに支え合っていることに気づく。
アチェの復興の様子や東北の復興を祈るアチェの人々の心情を伝えることによって,震災の傷未だ癒えぬ東北の児童らに励ましや希望を与えたいと考えた。日本とインドネシアでは,開発国と途上国の違いはあるにせよ,児童らはその土地なりの復興を遂げた明るい表情のアチェの人々の姿を見ることで,「何年か後には東北の被災地も復興しているだろう」という明るいイメージを持つことができると考えた。同時に,現在は国内外の他者に支えられてばかりの児童らも,この学習を通して日本と世界の関わり合いや支え合いに気づき,いつかは自分も国際社会の役に立つ人間になりたいと考えたり,他者のために主体的に行動したりできるようになることを期待したい。それは,「平和を願う日本人として世界の国々の人々と共に生きていくことが大切であることを自覚できるよう
Ⅰ 実践の目的
世界の未来と日本の役割~震災が結ぶインドネシア・アチェとの絆~
多田智恵子仙台市立将監中央小学校 教諭
教 科 対 象