development and class practice of an educational power

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兵庫教育倧孊孊校教育孊研究, 2016, 第29å·», pp.19-24 自䜜む ンバヌタ を甚いた教材甚発電システムの開発ず実践 19 Development and Class Practice of an Educational Power-generation System Equipped with a Self-made Inverter 四 元 照 道* 小 å±± 英 æš¹** YOTSUMOT0 Terumichi KOYAMA Hideki 発電から電力消費たでの゚ネルギヌ倉換の仕組みを生埒に理解させるための教材ず しお利甚可胜な, 自転車甚発電機ず 倍電圧敎流回路, お よ び自䜜 の DC/AC ã‚€ ンバヌタからなる発電システムを開発した。 比范的簡易な回路構成で, LED 電 球など20w 皋床以䞋の家庭電化補品を動䜜 させるこ ずが可胜である。 こ れを甚いお, 工業高校の課題研究の授業で氎力 発電 シス テムの補䜜実践を行 っ た。 朚補の氎車の郚分は, 甚意 さ れた板材から各郚の倧き さ を考え, 生埒が工倫 し お蚭蚈 ・ 加工 ・ 組み立おを行ったものである。 氎槜からの氎挏れや基板のはんだ付け䞍良などにより予想倖に時間がかかったもの の, 無事完成させるこずができ , 氎力 に よ り LED 電球やラ ゞオな どの家電品が動䜜す るこ ず を確認でき た。 生埒の感想 からはものづく り教育の芳点からの䞀定の効果は確認できたものの, ゚ネルギヌ倉換の理解を瀺す蚘述は少な く , 補䜜 時 間を十分考慮 し お題材を遞ぶ必芁がある。 キ ヌワ ヌ ド : ゚ネルギヌ倉換, 氎力発電, 氎車, 家庭電化補品, 工業高校 1. はじめに 石、由をは じ め ず し た化石燃料 の枯枇 ず そ れに ず も な う 代替゚ネルギヌ源の開発, た た環境に配慮 し た自然゚ネ ルギヌの利甚促進や原子力発電の安党性に関わる議論な ど, ゚ネルギヌ問題は今やわれわれにず っお生掻に盎結 する身近なものずなっおいる。 孊校教育の珟堎においお も その重芁性が認識 さ れ, 授業内容の工倫や新たな教材 ・ 教具の開発な ど, 倚 く の取 り 組みが報告 さ れおい る ' 4) 。 このよう な゚ネルギヌ問題に぀いお理解を深めるため には, 生掻の䞭で゚ネルギヌがどのよう に利甚されおい るのかをたず知るこ ずが重芁である。 われわれぱネル ギヌの倚 く を電力の圢で䜿甚 し , その電力は電圧実効倀 が100v の亀流で各家庭に送られおいる。 そのため, ã‚š ネルギヌに぀いお孊ぶための教材 ・ 教具ず し おは, 䜕ら かの方法で発電 し た電力 を商甚電源ず 同 じ100v , 60Hz ( たたは50Hz) の亀流に倉換 し , 家庭電化補品 を駆動で きるよう にしたものが実生掻での利甚圢態に近いずいう 点で非垞に効果的であるず考えられる。 実際に倪陜光パ ネルや自転車発電機に DC/AC ã‚€ ンバヌタを取り付けお 家庭電化補品を駆動す る実践が行われ, 成果が報告 さ れ おいる 5 7) 。 身の回りの補品を䜿う ためにはどのく らい の゚ネルギヌが必芁かを知るこ ず もでき , 日垞的に䜿う ゚ネルギヌの量に察する感芚を逊う こ ず もできる。 しかし , このよう な取り組みでこれたでに報告された ものはいずれも䞭孊生を察象ず したものである。 2 時間 皋床の授業で, 生埒は授業者が甚意し た教具を䜿甚 し お 発電ず電力消費を䜓隓するのみであった。 発電システム そのものの補䜜も生埒が䜓隓するよう にすればより理解 が深たるものず考えられる。 そこでわれわれは, 工業高 校の課題研究の時間 を䜿 っ お実践 を行 う こ ず を詊みた。 比范的倚 く の授業時間数 を䜿う こ ず がで き るため, 発電 装眮そのものの補䜜も十分行う こずができる。 さらに電 気系孊科の生埒が察象ずなるため, ã‚€ ンバヌタ な どの回 è·¯ を自 ら 補䜜 す る こ ず で , 発電システムに必芁な電気回 è·¯ ・ 電子回路の孊習にも圹立぀ものず期埅できる。 その ためにできるだけ簡易な構成で, 動䜜原理がわかり やす いむ ンバヌタ回路を利甚した教材甚発電システムを開発 した。 こ こではその発電システムの構成ず性胜評䟡, お よびそれを利甚した氎力発電システムの補䜜を題材ず し た授業実践の結果に぀いお報告する。 2. 発電装眮 2.1 ã‚€ ンバヌタ 教育甚のものも含め, こ れたでに倚 く のむ ンバヌタ回 路が開発 さ れ, 報告されおいる 8 ' ° ) 。 本実践では発電シ ステムに必芁な回路の基本を理解させるこ ず を目的ず し おいるため, できるだけ簡易な回路で, 基本的 な動䜜が 容易に理解できるものにする必芁がある。 そこで, 図 1 に瀺す回路を補䜜するこ ず ず した'' ) 。 汎甚のディ ゞタル Ic を䜿甚 し お構成 し た発振回路か らは60Hz の矩圢波が出力 さ れ, 100 Ωの抵抗 を通 し お ダヌ リ ン ト ン接続 さ れた 2 組のトランゞスタ (Tr,/Tr2 およ び Tr 3 /Tr 4 ) のべ䞀 スに互いに逆䜍盞で加え ら れる。 し たがっお 2 組のダヌリントントランゞスタが60Hz の呚 波数で亀互に ON 状態になり , センタヌタップを通しお ト ラ ンスの 1 次偎に電流が流れる。 ト ラ ンゞス タ を ダヌ リ ン ト ン接続 し お䜿甚 し おい るのは, コレクタ電流が数 癟 mA 以䞊ず倧きいためにトランゞスタのスむ ッチング に必芁なベヌス電流も倧き く , Ic の出力電流では盎接 ドラむ ブできないためである。 なお Tr , ず Tr 3 には2SD * 兵庫教育倧孊倧孊院博士課皋教科教育実践孊専攻生掻 ・ 健康系教育連合講座 * * 兵庫教育倧孊倧孊院教科教育実践開発専攻生掻 ・ 健康 ・ 情報系教育 コ ヌス 教授 平成28 幎 6 月 6 日受理

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兵庫教育倧孊孊校教育孊研究, 2016, 第29å·», pp.19-24

自䜜む ンバヌタ を甚いた教材甚発電 シス テムの開発 ず 実践

19

Development and Class Practice of an Educational Power-generation System Equipped with a Self-made Inverter

四 元 照 道* 小 å±± 英 æš¹**YOTSUMOT0 Terumichi KOYAMA Hideki

発電から電力消費たでの゚ネルギヌ倉換の仕組みを生埒に理解 させるための教材ず し お利甚可胜な, 自転車甚発電機ず

倍電圧敎流回路, およ び自䜜の DC/AC ã‚€ ンバヌタから なる発電 システムを開発 し た。 比范的簡易な回路構成で , LED 電

球な ど20w 皋床以䞋の家庭電化補品 を動䜜 させる こ ず が可胜である。 こ れを甚いお , 工業高校の課題研究の授業で氎力

発電システムの補䜜実践を行った。 朚補の氎車の郚分は, 甚意さ れた板材から各郚の倧き さ を考え, 生埒が工倫し お蚭蚈 ・

加工 ・ 組み立お を行 っ たも のであ る。 氎槜からの氎挏れや基板のはんだ付け䞍良な どによ り 予想倖に時間がかかっ たもの

の, 無事完成 させるこ ず がで き , 氎力 によ り LED 電球やラ ゞオな どの家電品が動䜜す るこ ず を確認でき た。 生埒の感想

からはものづ く り 教育の芳点からの䞀定の効果は確認で き たものの, ゚ネルギヌ倉換の理解を瀺す蚘述は少な く , 補䜜時

間を十分考慮 し お題材を遞ぶ必芁がある。

キヌワヌ ド : ゚ネルギヌ倉換, 氎力発電, 氎車, 家庭電化補品, 工業高校

1 . はじ めに

石、由をは じめず し た化石燃料の枯枇 ず そ れにず も なう

代替゚ネルギヌ源の開発, たた環境に配慮し た自然゚ネ

ルギヌの利甚促進や原子力発電の安党性に関わる議論な

ど, ã‚š ネ ルギヌ問題は今やわれわれに ず っ お生掻に盎結

す る身近な も のず な っ おい る。 孊校教育の珟堎におい お

もその重芁性が認識さ れ, 授業内容の工倫や新たな教材 ・

教具の開発な ど, 倚 く の取り 組みが報告 さ れおい る ' 4)。

こ のよ う な゚ネルギヌ問題に぀い お理解 を深めるため

には, 生掻の䞭で゚ネルギヌが どのよ う に利甚 さ れおい

るのかをたず知 る こ ず が重芁であ る。 われわれぱネ ル

ギヌの倚 く を電力の圢で䜿甚 し , その電力は電圧実効倀

が100v の亀流で各家庭に送ら れおい る。 そのため, ã‚š

ネルギヌに぀い お孊ぶための教材 ・ 教具ず し おは, 䜕 ら

かの方法で発電し た電力 を商甚電源ず同 じ100v , 60Hz ( たたは50Hz) の亀流に倉換 し , 家庭電化補品を駆動で

き るよ う に し たものが実生掻での利甚圢態に近い ず いう

点で非垞に効果的である ず 考え ら れる。 実際に倪陜光パ

ネルや自転車発電機に DC/AC ã‚€ ンバヌタ を取り 付け お

家庭電化補品 を駆動す る実践が行われ, 成果が報告 さ れ

おい る 5 7)。 身 の回 り の補品 を䜿 う ためには どの く ら い

の゚ネルギヌが必芁かを知 るこ ず も でき , 日垞的に䜿う

゚ネルギヌの量に察する感芚 を逊う こ ず も でき る。

しかし , こ のよ う な取り 組みでこ れたでに報告 さ れた

も のはいずれも䞭孊生 を察象 ず し たも のであ る。 2 時間

皋床の授業で, 生埒は授業者が甚意し た教具を䜿甚 し お

発電ず 電力消費 を䜓隓す るのみであ っ た。 発電 シス テ ム

そのものの補䜜 も生埒が䜓隓するよ う にすればよ り 理解

が深た る も のず考え ら れる。 そこ でわれわれは , 工業高

校の課題研究の時間 を䜿っ お実践を行う こ ず を詊みた。

比范的倚 く の授業時間数を䜿う こ ず ができ るため, 発電

装眮そのも のの補䜜 も十分行う こ ず がで き る。 さ ら に電

気系孊科の生埒が察象 ず な るため, ã‚€ ンバヌタ な どの回

è·¯ を自 ら 補䜜す る こ ず で , 発電 シス テ ムに必芁な電気回

è·¯ ・ 電子回路の孊習に も圹立぀も のず期埅で き る。 その

ためにでき るだけ簡易な構成で , 動䜜原理がわかり やす

いむ ンバヌタ回路 を利甚 し た教材甚発電 シス テ ムを開発

した。 こ こ ではその発電 システムの構成ず性胜評䟡, お

よ びそれを利甚 し た氎力発電 シス テ ムの補䜜 を題材ず し

た授業実践の結果に぀いお報告する。

2 . 発電装眮

2.1 ã‚€ ンバヌタ

教育甚のものも含め, こ れたでに倚 く のむ ンバヌタ回

路が開発 さ れ, 報告 さ れおい る 8'°)。 本実践では発電 シ

ス テ ムに必芁な回路の基本 を理解 させるこ ず を目的 ず し

おい るため, でき るだけ簡易な回路で , 基本的な動䜜が

容易に理解でき る ものにす る必芁があ る。 そこ で , 図 1 に瀺す回路を補䜜するこ ず ず した'')。

汎甚のディ ã‚žã‚¿ ル Ic を䜿甚 し お構成 し た発振回路か

らは60Hz の矩圢波が出力 さ れ, 100Ωの抵抗を通しお ダヌ

リ ン ト ン接続 さ れた 2 組の ト ラ ン ゞス タ (Tr , /Tr 2お よ

び Tr 3/Tr4 ) のべ䞀 スに互いに逆䜍盞で加え ら れる。 し

たが っ お 2 組の ダヌリ ン ト ン ト ラ ン ゞス タ が60Hz の呚

波数で亀互に ON 状態になり , セ ン タ ヌタ ッ プを通し お

ト ラ ンスの 1 次偎に電流が流れる。 ト ラ ン ゞス タ を ダヌ

リ ン ト ン接続 し お䜿甚 し おい るのは, コ レ ク タ電流が数

癟 mA 以䞊ず倧きいために ト ラ ン ゞス タ のスむ ッ チ ン グ

に必芁なベヌス電流も倧き く , Ic の出力電流では盎接

ド ラ ã‚€ ブで き ない ためで あ る。 なお Tr , ず Tr 3 には2SD

* 兵庫教育倧孊倧孊院博士課皋教科教育実践孊専攻生掻 ・ 健康系教育連合講座

* * 兵庫教育倧孊倧孊院教科教育実践開発専攻生掻 ・ 健康 ・ 情報系教育コ ヌス 教授 平成28幎 6 月 6 日受理

20 孊校教育孊研究, 2016, 第29å·»

図 1 ã‚€ ンバヌタ回路

1266, Tr2 ず Tr4 には2N3055 を䜿甚し た。

ト ラ ンスは, セ ンタ ヌタ ッ プ付 きで入力電圧が100v , 出力電圧が12v (セ ン タ ヌタ ッ プを䜿甚 し ない堎合は24 v ) の電源 ト ラ ンスを入出力逆に接続し お䜿甚 し おいる。

矩圢波発振回路の電源電圧 ( 5 v ) を䟛絊する定電圧回

路は, 3 端子レギナレヌ倕 (78L05) を甚いお構成 し た。

こ のむ ンバヌタ回路の特性評䟡のため, 定電圧電源装

眮を甚いお盎流12v の䞀定電圧を加え , 出力電圧波圢の

枬定を行 っ た。 負荷 ず し お4.7kΩの抵抗 を接続し たず き

の矩圢波発振回路の出力 ず負荷電圧波圢を図 2 に瀺す。

発振回路の出力電圧の倉化に同期 し お正負が反転する矩

圢波に近い負荷電圧波圢が埗 ら れおい るこ ず がわかる。

15 010 0

5 00

50

10 01 5 0

侀

侀

(>)

出●

54

32

10

(>)

出●R

題a

回重䞀f

(a) 負荷電圧

0 20 40 60 80時間 (ms)

(b) 矩圢波発振回路の出力電圧

図 2 ã‚€ ンバヌタ回路の出力波圢

図 3 は, 220Ωから4.7kΩたでの 5 皮類の抵抗 を甚いお

負荷抵抗倀によ る負荷電圧の倉化を枬定 したものである。

図䞭の数倀は各抵抗に実効倀100v の正匊波亀流電圧を

加え た ず き の消費電力 で , 抵抗倀 R (Ω) に察 し お

(100)2/R で蚈算 し たものである。 こ れを芋るず , 負荷電

圧は最倧で も80v 皋床で , 負荷が20w 盞圓以䞊 (負荷

抵抗が500Ω以䞋) にな る ず急激に出力電圧が䜎䞋す る

こ ず がわかる。

00

00

00

08

64

21

(>)

出●

0 1 2 3 4 5

負荷抵抗倀 (k0)

図 3 負荷抵抗倀によ る負荷電圧の倉化

こ のよ う に負荷電圧が䜎䞋する原因 を調べるため, 䜿

甹 し た ト ラ ンスの 1 次 コむ ル ( セ ン タ ヌ タ ッ プず 12v 端

子間) およ び 2 次 コむ ル (100v 偎) のむ ン ダク タ ンス

ず抵抗を LCR メ ヌ タ (CUSTOM ELC-100) を䜿っ お枬

定し た。 その結果を衚 1 に瀺す。

è¡š 1 ト ラ ン スのむ ン ダ ク タ ン スず 抵抗

コむ ル ã‚€ ンダク タ ンス (mH) 抵抗 (Ω) 1次コむル 12.3 1.5 2次コむル 677 32.5

こ れから巻数比 a を求める ず

a=、「6771121= 7.42

ず なる。 し たがっ お 1 次 コむ ルに12v の電圧 を加え たず

き に 2 次 コむ ルに発生す る電圧 E2 は

E 2 = 12 Xa= 89.0 (V)

ず なり , 100v には達 し ない。 こ れは, 䜿甚 し た ト ラ ン

スが本来100v の電圧 を12v に降圧す る ためのも のであ

り , 損倱 を考慮 し お巻数比 を小 さ めに し おあ るためず 思

われる。 ト ラ ンスの入出力 を逆に し お䜿う 堎合はこ のこ

ず に泚意す る必芁がある。

䞀方で, 巻線抵抗の圱響も倧きい。 1 次 コむ ルの巻線

抵抗 を 2 次偎に換算す るず ,

R 2 = 1.5Xa2 = 82.6 (Ω)

ず なり , 2 次 コむ ルの巻線抵抗32.5Ωず合わせお玄115Ω

ず な る。 こ の抵抗によ る電圧降䞋は, 負荷抵抗が4.7kΩ

の堎合玄2.4%, 220Ωの堎合は玄34% に䞊り , この分負

荷にかかる電圧が䜎䞋す る。 し たがっ お図 3 に瀺す負荷

抵抗倀が䜎い ず きの倧幅な電圧の䜎䞋は, こ のコむ ルの

自䜜む ンバヌタ を甚い た教材甚発電 システ ムの開発 ず実践

巻線抵抗の圱響ず考え ら れる。

このよう に特に負荷抵抗倀が䜎い (消費電力が倧きい) 堎合は負荷電圧が倧き く 䜎䞋するため, こ のむ ンバヌタ

回路では高々20w 皋床たでの家庭電化補品 し か駆動す

るこ ず がで き ない。 し たがっ お LED 電球や䜎消費電力

の癜熱電球, ラ ゞオな どが駆動の察象ず なる。

2.2 発電機ずの接続

発電機には, 廃棄 さ れた自転車から取り 出 し たハブダ

ã‚€ ナモ発電機 ( 6 v , 2.4w ) を䜿甚 し た (図 4 ) 。 廃品

を利甚 し たのは , シス テ ムの䜎 コ ス ト 化 ず 生埒の環境に

察する意識高揚 を図る目的も あるが, 実際に自転車から

生埒が自ら取り倖すこ ず で, 身近な発電システムに察す

る関心が高た るこ ず も期埅 し たためである。

- - l:-

、 、、

- . '

図 4 ハブ ダむ ナモ発電機

こ の発電機は定栌出力が 6 v の亀流であるため, ã‚€ ン

バヌタの電源ず し お甚い るためには昇圧ず 敎流が必芁で

ある。 そのため, 図 5 に瀺す党波倍電圧敎流回路を接続

す るこ ず に し た。 こ の回路は ダむ オヌ ドの敎流䜜甚によ

40

00

0

2

2

(>)

出●

j 5

o5

(>)

田●

ペe

侀

敎䞀●䞀f

(a) 64rpm

21

り , 盎列接続 さ れた 2 ぀の電解 コ ンデ ンサのう ち䞀方が

発電機の亀流出力の正の半サむ ク ルで充電 さ れ, も う 侀

方が負 の半サむ ク ルで充電 さ れるよ う にな っ おい る。 ã‚€

ンバヌタ の電源ず し お接続す るのはこ の盎列接続 さ れた

コ ンデ ンサの䞡端であるため, 理論的には発電機出力の

2 倍の盎流電圧を発生させるこ ず ができ る。

RK44

タヌバ路回

図 5 党波倍電圧敎流回路

ハブ ダむ ナモ発電機, 党波倍電圧敎流回路, およ びむ

ンバヌタ をすべお接続 し , 自䜜のハ ン ドルを甚い お手回

しで発電 した堎合の発電機の出力電圧ず ã‚€ ンバヌタの出

力電圧の波圢 を図 6 に瀺す。 なお , ã‚€ ンバヌタ の出力端

には負荷 ず し お4.7kΩの抵抗 を接続 し た。 回転速床が比

范的䜎い64rpm の堎合 〔図 6 (a) 〕 は負荷電圧は最倧で

30v 皋床で , 波圢 も非垞に䞍芏則な倉化 を し おい る。

回転速床が153rpm [図 6 (b) ] になる ず波圢の芏則性

は向䞊し , 負荷電圧も最倧で100v 皋床に達 し おいる。

今回甚いたハブ ダむ ナモ発電機では 1 回転あたり 14サ

ã‚€ ク ルの亀流電圧が発生す る。 こ れが倍電圧敎流回路で

平滑化 さ れ盎流に倉換 さ れるわけ であ るが, 敎流回路の

出力に比范的倧きな負荷が接続さ れた堎合は非垞に倧き

なリ プルが残り , 平均電圧は䜎䞋する。 本 システムでは

敎流回路の出力 にむ ンバヌ タ が接 続 さ れおお り , 数癟

mA 以䞊の比范的倧き な電流が流れるため, 発電機の回

00

00

00

0

50

5

50

5

11

侀

11

侀

侀

(>)

出●䞀9a

:

00

00

00

0

32

1

12

3

(>) 


囜●R

mEle

it

●侀f

(b) 153rpm

図 6 ハブ ダむ ナモ発電機の出力電圧 ず ã‚€ ンバヌタの出力電圧 ( 負荷電圧)

22 孊校教育孊研究, 2016, 第29å·»

転速床が䜎い堎合は敎流回路の出力電圧は䞍安定で , å¹³

均倀も䜎 く なる。 こ の乱れた電圧がそのたたむ ンバヌタ

の電源ず な る ため, 発振回路の動䜜 も䞍安定にな り , ã‚€

ンバヌタの出力電圧は䜎 く 倧き く 乱れた波圢にな る。 発

電機の回転速床が増加すれば敎流回路の出力すなわちむ

ンバヌタの電源電圧が安定化 さ れ, ã‚€ ンバヌタの出力電

圧は増加 し , 波圢も図 2 に瀺すものに近 く なる。

このシステムに負荷ず し お4.2W の LED 電球を接続し , 手回 しによ り 発電実隓を行 ったず こ ろ , 箄80rpm の回転

速床で点灯するこ ず が確認でき た。 埌述するよ う に, 発

電機を氎車に取り 付け , 氎力で発電 し た堎合でも , LED 電球の点灯は確認でき る。

3 . 授業実践

兵庫県内公立工業高校 ( 1 校) の課題研究の時間を利

甹 し お補䜜 を行 っ た。 生埒数は 7 名である。 授業の倧た

かな内容ず時間配分を図 7 に瀺す。 ただし , 実際には補

䜜に予想以䞊の時間がかかっ たため, 授業時間倖の攟課

埌や䌑日に も補䜜 を行 っ おい る。

調べ孊習 (6 時間)

氎車の蚭蚈・ 補䜜 (12 時間)

〔氎䞭1iJ圧〕氎車の補䜜(18 時間)

〔基板班〕回路の補䜜(18 時間)

装眮の動䜜確認 ・ 調敎 ・ 修理 (3 時間)

図 7 授業の内容ず時間配分

授業はたずむ ンタ ヌネ ッ ト を䜿っ お氎車の皮類や原理

に぀い お調べ る ず こ ろから始めた。 補䜜方法に぀い お も

ã‚€ ンタ ヌネ ッ ト のい く ぀かのサむ ト (手䜜り 氎車に぀い

お詳 し く 曞かれおい るサむ ト ) を参考に し たが, でき る

だけ安䟡ででき るよ う に考え工倫 させるよ う に し た。 生

埒は互いに協力 し合 っ おデザむ ンや倧き さ を決め, 甚意

し た板材 (廃材) に各郚の寞法を眫曞いお加工 し組み立

おおい っ た。

圓初 7 名党員で䜜業 を進めおいたが, 予想倖に補䜜に

時間がかかるこ ず , たた同䞀の䜜業を行う 人数ず し お 7 名はやや倚いこ ず な どから , 途䞭から氎車班 ( 4 名) ず

基板班 ( 3 名) に分かれお補䜜 を行 っ た。 ただ しお互い

の孊習内容 ・ 䜜業内容に぀いお十分把握でき るよ う にす

るため, 同 じ郚屋で䜜業 を行い, 䞡班の生埒が適宜亀流

し情報亀換でき るよ う 配慮 した。

氎車班では氎車本䜓の補䜜 を匕き続き行 っ た。 ハブ ダ

ã‚€ ナモ発電機をその䞭心に固定 し た盎埄300mmの矜根車

や1000mm X700mmの氎槜な どを補䜜 し , 図 8 に瀺す氎車

を完成 させた。 図 9 は実際に氎 を流 し お動䜜 を確認 し お

い る ず きの様子である。 意倖に倧倉だ っ たのは氎槜から

の氎挏れの察策で , コ ヌ キ ング材を䜿 っ お䞁寧に補修 を

行 っ た。

(a) 党䜓の倖芳

(b) 矜根車図 8 補䜜 した氎車

図 9 動䜜確認の様子

基板班ではむ ンバヌタ回路や倍電圧敎流回路の補䜜 を

担圓 し たが, 回路の構成や特性を理解す るため, たず初

めに ブレ ッ ド ボヌ ド䞊に回路 を䜜補 し , 波圢の枬定な ど

自䜜む ンバヌタ を甚い た教材甚発電 システ ムの開発 ず実践

を行 っ た。 その埌はんだ付けによ り 回路の補䜜 を行 っ た

が, 回路の間違いやはんだ付け䞍良が倚 く , 意倖にこ の

補䜜にも時間がかかるこ ず がわかっ た。 はんだ付け し た

箇所 を䞀぀䞀぀点怜 し , ミ スがないか確認す る方法に぀

いお指導 を行 っ た。

最埌に氎車の発電機ず 補䜜 し た回路を接続し , æ°Ž を流

し お発電システム党䜓の動䜜確認を行った。 図10は負荷

ず し お4.2w の LED 電球を接続し たず きの様子であるが, はっ き り ず点灯 し おい るこ ず がわかる。 ただ し , こ れは

æ°Ž をかなり 勢いよ く 流 し たず きの結果で , 普通に流し た

だけでは点灯は確認でき なかっ た。 矜根車を回り やす く

す る ために最滑、由の泚入 な どを詊みたが , ほず ん ど効果

は芋 ら れなかっ た。 LED 電球以倖の家庭電化補品 ず し

お CD ラ ã‚žã‚« セ を接続 し おみた ず こ ろ , CD は動䜜 し な

かっ たが, ラ ゞオが䜿甚でき るのを確認するこ ず ができ

た。

図10 LED電球の点灯実隓

授業党䜓を振り 返る ず , 生埒にず っ おやはり 倧倉だっ

たのは氎槜からの氎挏れに察する補修や電子回路の点怜 ・

修理な どであ っ たら し く , 授業埌の感想にはこ れらの䜜

業に苊劎 し た旚の蚘述が特に倚 く 芋ら れた。 感想ではそ

の他, 「工具を扱う こ ず ができ勉匷にな っ た」 「電球を光

ら せたり ラ ã‚ž カ セ を鳎 ら し たり で き たので感動 し た」

「 チ ヌムワ ヌク の倧切 さ がわかっ た」 な どの蚘述 も芋 ら

れ, こ の氎車発電 シス テ ムの補䜜がものづ く り 教育 ず い

う 芳点からは䞀定の効果があ っ たものず刀断でき る。 し

かし , 残念ながら゚ネルギヌ倉換の仕組みの理解や゚ネ

ルギヌの量に察す る感芚の䜓埗に぀い お , 効果があ っ た

こ ず を瀺すよ う な蚘述はほず んど芋 ら れなかっ た。 こ れ

は, 補䜜䜜業に時間がかかり す ぎたため, 完成 し た シス

テ ムを䜿 っ お゚ ネ ルギヌ倉換の孊習 に関わる説明や実隓

を十分行う こ ず ができ なかっ たこ ず がその理由の䞀぀ず

考え ら れる。 たた, 補䜜途䞭で ト ラ ブルが倚 く , そのた

めに生埒はう た く 動䜜す る シス テ ムを ず にか く 完成 させ

るこ ず だけ を考え るよ う にな っ お し た っ たこ ず も圱響 し

おい る も のず 思われる。 も のづ く り (特に朚材加工) の

䜜業を取り 入れるこ ず で補䜜に察する生埒の意欲や関心

を喚起し た点では効果が確認でき た ものの, ゚ネルギヌ

倉換孊習の教材ず し お䜿う ためには補䜜時間の短瞮な ど

が課題ず なる。

23

4 . たず め

工業高校の課題研究ず いう 比范的たず た った授業時間

を利甚 し お発電から電力消費たでの仕組みを理解 させる

目的で, 簡易な発電システムを開発 し , それを利甚 し た

氎力発電 シス テ ムの補䜜実践 を行 っ た。 こ の発電 シス テ

ムは, 自転車甚ハブ ダむ ナモ発電機ず党波倍電圧敎流回

è·¯, およ び自䜜のむ ンバヌタ を組み合わせた ものであ る。

ã‚€ ンバヌタは発振回路から出力 さ れる矩圢波信号によ っ

お 2 組の ダヌリ ン ト ン ・ ト ラ ン ゞス タ を亀互に スむ ッ チ

ングす る非垞に簡易な構成のも ので , 出力の昇圧 ト ラ ン

ス を通 じ お矩圢波に近い亀流電圧を発生す るこ ず ができ

る。 しかし出力 ト ラ ンスず し お垂販の電源甚降圧 ト ラ ン

ス を入出力逆に し お䜿甚 し たため, 12v の定電圧電源を

䜿甚 し おも80v 皋床の電圧しか発生させるこ ずができず, さ ら に負荷の増倧ず ず も に著 し く 電圧が䜎䞋す るため, 20w 皋床た での家庭電化補品 し か駆動す る こ ず がで き

ない。 発電機ず 敎流回路 を接続 し たず こ ろ , 箄80rpm 以

䞊の回転速床で発電機を回すこ ず で4.2w の LED 電球が

点灯するこ ず を確認し た。

授業実践では, 初めの調べ孊習ず 最埌の発衚を陀いた

33時間で補䜜 を終え る予定であっ たが, ト ラ ブルも倚 く

補䜜に予想倖に時間がかかった。 途䞭から氎車班ず基板

班の2 班に分け, さ らに攟課埌や䌑日などの授業時間倖

にも補䜜 を行う こ ず で䜕ず か完成させたずいう 状況であっ

た。 完成 し た シス テムは, 氎力で LED 電球を点灯でき

るほか, CD ラ ã‚žã‚« セのラ ゞオ機胜の動䜜 も確認でき た。

授業埌の生埒の感想では, 補䜜 (特に氎槜からの氎挏れ

や基板のはんだ付け䞍良な どの修理) に苊劎 し た旚の蚘

述が倚 かっ たが, 完成 し た時の喜びを味わっ たり協調性

の倧切 さ に気付 く な ど, ものづ く り 教育 ず いう 芳点から

は䞀定の効果は芋ら れた。 しかし , 本来の目的である゚

ネ ルギヌ倉換の仕組みの理解に関わる蚘述はほず んど芋

ら れなかっ た。 ゚ネ ルギヌ倉換ず盎接関係のない郚分の

䜜業 (氎挏れの修理な ど) で時間がかかり 過ぎないよ う , 補䜜題材 を怜蚎す る必芁がある。

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