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兵庫教育大学 研究紀要 第522018 2 pp 65 71 中等教育課程におけ る安全で簡便な DNA 抽出法の開発 と 抽出法の適用範囲 Development of a Simple DNA Extraction Procedure without Ch1orofonn Phenol, and its Applications to Biologia11y Diverse Group of Organisms Secondary Education Curriculum 笠 原 * 渥 美 茂 明** KASAHARA Megumi ATSUMI Shigeaki 中学校およ び高等学校での理科の授業, あるいは, 校外での自然科学に関連 し た ア ト ラ ク シ ョ ンの一環と し て簡単, つ安全 に DNA を抽出する方法を考案 し た。 特定の食器用洗剤を用いる本法は, ホモジナイザーなどを用いて機械的に細 菌を磨砕することなく , また, ゾチ ー ムを用いて溶菌す ることもなく DNA を抽出することができる上, クロロホルム やフ ェ ノ ールのよう な毒劇物を用いないため, 生徒が一人で安全に実験を行う こ とが出来る。 食器用洗剤な ど人と環境に 有害性の低い資材のみで実験を行っているので, 実施後の廃棄物の取扱いが容易であるこ と も特徴の一つである。 本法は, 原核生物のみならず, 動物, 植物, あるいは菌類に適用するこ とができ るので, 生物界に DNA が普遍的に存在するこ と を確かめる授業も可能である。 キーワード : 簡易 DNA 抽出法, 動物細胞, 植物細胞, 真正細菌, 菌類 Key words : simple DNA extraction procedure, animal cells, plant cells, bacteria, fungi I はじめに 平成20 3 月に告示 さ れた中学校学習指導要領のう ち, 理科と数学が平成21 4 1 日から内容を前倒し実施さ れた。 ま た, 平成21 3 月に告示 さ れた高等学校学習指 導要領も , 理科と数学はと もに平成224 1 日から前 倒し実施された。 中学校 「理科 ・ 第 2 分野」 の内容 ( 5 ) 「生命の連続 性」 において生物の成長と殖え方を扱う と と もに遺伝の 規則性と遺伝子を扱う こ と と さ れた。 内容の取り扱いに ついて 「分離の法則を扱う こ と。 また, 遺伝子に変化が 起き て形質が変化す る こ と があ る こ と や遺伝子の本体が DNA であることにも触れること。」 と さ れた。 こ れは 平成293 月公示の新学習指導要領においても同様であ る。 中学校理科の教科書には発展と し て様々な生物から DNA を抽出す る実験が紹介 さ れてい る ( 1 ) 。 また, 高等学校 「生物基礎」 の内容(1) 「 生物 と 遺伝子」 にお いて, 「生物と遺伝子について観察, 実験などを通して or. m 探究す るこ と」 と さ れた。 高等学校の生物基礎の教科書 においても DNA の抽出実験が紹介 さ れてい る ( 2 ) しかし, 教科書により扱っている生物材料は様々であり , その抽出方法も様々である。 具体的な試薬類が不明なも のが多 い。 教育の一環と し て DNA の抽出を行う 実験では伝統的 に動物の肝月蔵を用いるこ と が多 く , 植物組織からは不純 物 の多 い DNA が抽出されるので敬遠されがちであった , 近年はブロ ッ コ リ ーから抽出す る実験が数多 く 紹介 さ れてい る ( 中山 と 前川 1998, 前川 1998, 楠元 ら 1999) 。 しかし , これらの方法ではクロロホルムのよう な毒劇物 を使用 し ており , 中等教育課程では取り 扱う こ とが難しい。 また, DNA 抽出の簡易法と しても既に様々 な報告がなさ れてい るが (森田 2003, 伊左治 と 松本 2005, 川上ら 2005, 辻本 2009) , こ れらの方法には 細胞破砕液 と し て中性洗剤 と のみ記載 さ れてお り , 具体 的な洗剤名は記載されていない。 そこで, 本研究では, 1 中学校 「理科」 の教科書で扱われている DNA 抽出実験の実験材料, 細胞溶解試薬, ろ過用具 啓林館 大日本図書 学校図書 東京書籍 教育出版 実験材料 細胞溶解試薬 ろ過用具 ブロッコリー 中性洗剤 茶こし ブロッコリー 食器用洗剤 ガーゼ ブロッコリー 中性洗剤 ろ紙 ブロッコリー ( 図のみ) タマネギ ( 図のみ) 台所用洗剤 * 兵庫教育大学大学院教科教育実践開発専攻理数系教育 コ ース 准教授 * * 兵庫教育大学名誉教授 平成 29 1025 日受理 65

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兵庫教育大学 研究紀要 第52巻 2018年 2 月 pp 65 71

中等教育課程における安全で簡便な DNA 抽出法の開発と抽出法の適用範囲

Development of a Simple DNA Extraction Procedure without Ch1orofonn Phenol, and its Applications to Biologia11y Diverse Group of Organisms Secondary Education Curriculum

笠 原 恵* 渥 美 茂 明** KASAHARA Megumi ATSUMI Shigeaki

中学校およ び高等学校での理科の授業, あるいは, 校外での自然科学に関連 し たア ト ラ ク シ ョ ンの一環と し て簡単, か

つ安全に DNA を抽出す る方法を考案 し た。 特定の食器用洗剤を用いる本法は, ホモ ジナイ ザー な どを用いて機械的に細

菌 を磨砕す るこ と な く , ま た, リ ゾチ ー ムを用いて溶菌す るこ と も な く DNA を抽出す るこ と がで き る上, クロロ ホルム

やフ ェ ノ ールのよ う な毒劇物 を用いないため, 生徒が一人で安全に実験を行う こ とが出来る。 食器用洗剤な ど人と 環境に

有害性の低い資材のみで実験を行っているので, 実施後の廃棄物の取扱いが容易であるこ と も特徴の一つである。 本法は,

原核生物のみな らず, 動物, 植物 , あるいは菌類に適用す るこ とができ るので , 生物界に DNA が普遍的に存在す るこ と

を確かめる授業 も可能である。

キーワー ド : 簡易 DNA 抽出法, 動物細胞, 植物細胞, 真正細菌, 菌類

Key words : simple DNA extraction procedure, animal cells, plant cells, bacteria, fungi

I はじ めに

平成20年 3 月に告示さ れた中学校学習指導要領のう ち, 理科と数学が平成21年 4 月 1 日から内容を前倒し実施さ

れた。 また, 平成21年 3 月に告示された高等学校学習指

導要領も , 理科と数学はと も に平成22年 4 月 1 日から前

倒 し実施 さ れた。

中学校 「理科 ・ 第 2 分野」 の内容 ( 5 ) 「生命の連続

性」 において生物の成長と殖え方 を扱う と と もに遺伝の

規則性と遺伝子を扱う こ と と さ れた。 内容の取り扱いに

ついて 「分離の法則 を扱う こ と。 また, 遺伝子に変化が

起き て形質が変化するこ と があるこ と や遺伝子の本体が

D N A であ る こ と に も触れる こ と。」 と さ れた。 こ れは

平成29年 3 月公示の新学習指導要領においても同様であ

る。 中学校理科の教科書には発展と し て様々な生物から

DNA を抽出する実験が紹介 さ れてい る (表 1 ) 。 また, 高等学校 「生物基礎」 の内容(1) 「生物と遺伝子」 にお

い て, 「生物 と 遺伝子について観察, 実験な どを通 し て

or.m

探究するこ と」 と さ れた。 高等学校の生物基礎の教科書

においても DNA の抽出実験が紹介 さ れている (表 2 ) 。

しかし, 教科書により扱っている生物材料は様々であり , その抽出方法も様々である。 具体的な試薬類が不明なも

のが多い。

教育の一環と し て DNA の抽出を行う 実験では伝統的

に動物の肝月蔵を用い るこ と が多 く , 植物組織からは不純

物の多い DNA が抽出 さ れるので敬遠 さ れがち であ っ た

が, 近年はブロ ッ コ リ ーから抽出する実験が数多 く 紹介

されている (中山と前川 1998, 前川 1998, 楠元ら

1999) 。 しかし , こ れらの方法ではクロロ ホルムのよ う

な毒劇物を使用 しており , 中等教育課程では取り 扱う こ

と が難しい。 また, DNA 抽出の簡易法と しても既に様々

な報告がなさ れているが (森田 2003, 伊左治と松本

2005, 川上ら 2005, 辻本 2009) , これらの方法には

細胞破砕液と し て中性洗剤と のみ記載 さ れており , 具体

的な洗剤名は記載 さ れていない。 そこ で , 本研究では,

表 1 中学校 「理科」 の教科書で扱われている DNA 抽出実験の実験材料, 細胞溶解試薬, ろ過用具

啓林館 大日本図書 学校図書 東京書籍 教育出版

実験材料

細胞溶解試薬

ろ過用具

ブロッコリー

中性洗剤

茶こし

ブロッコリー

食器用洗剤

ガーゼ

ブロッコリー

中性洗剤

ろ紙

ブロッコリー( 図のみ)

タマネギ(図のみ)

台所用洗剤

* 兵庫教育大学大学院教科教育実践開発専攻理数系教育コ ース 准教授 * * 兵庫教育大学名誉教授 平成29 年10月25 日受理

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笠 原 恵 渥 美 茂 明

表2-1 高校 「生物基礎」 の教科書で扱われている DNA 抽出実験の実験材料, 細胞溶解試薬, ろ過用具

実験材料

細胞溶解試薬

ろ過用具

啓林館 東京書籍 数研出版 第一学習社 実教出版

上皮細胞

10% SDS

ブロッコリー

家庭用食器洗剤

茶こし

ブロッコリー

中性洗剤

茶こし・ ガーゼ

フブロツコリー

台所用合成洗剤

ガーゼ

ブロッコリー

台所用中性洗剤

ろ紙

表2-2 高校 「生物基礎一 大版」 の教科書で扱われている DNA 抽出実験の実験材料, 細胞溶解試薬, ろ過用具

実験材料

細胞溶解試薬

ろ過用具

啓林館 東京書籍 数研出版 第一学習社 実教出版

ニワブタ肝臓

トリプシン溶液

ガーゼ

ブロッコリー

家庭用食器洗剤

茶こし

でき るだけ簡便な方法で , 安全に実施でき , どんな材料

にも適用可能な DNA 抽出法の開発を行 っ た。

本報告は 2 つの部分から成り 立っ てい る。 第 1 は, 物

質と し ての DNA を体験する安全で簡便な方法の開発の

紹介である。 個人実験と し て行う こ と を前提と し て, 経

済的で最小限の器具や準備で実施するこ と ができ る。 第

2 は, 開発 し た方法 を用い て , あ ら ゆる生物に普遍的に

DNA が存在す るこ と を調べる実験に適 し た材料の提案

を行う 。

II 材料と方法

(1) 実験材料 : 大腸菌 JM103株 (Escherichia col,) , 納

豆菌 ( acz s sabfzzs) , アサリ ( dzta es zz z-

narum) , ブロ ッ コ リ ー (Brasslca oleracea L. var.botrytis) , シイ タケ (Lentlnula edodes) を使用 し た。

試薬 : DNA 抽出には, 各種洗剤溶液 ( フ アミ リ ー

フ レ ツシユ (花王) , フ ァ ミ リ ーコ ンパク ト (花王) ,フ アミ リ ーパワ ー ジ ェ ル (花王) , ジ ョ イ パワ ー プ

ラ ス (P&G) , チ ヤー ミ ーマ イ ル ド ( ラ イ オ ン) ,

セ ツケ ン食器洗い ( ダイ エ ー) ) , LB 培地, Tris-HC1(pH8.0) , TE 溶液 (10mM Tris-HCl, 1mM EDTA) ,5 M Nac l, エ タ ノ ール, 2一 プロ パノ ールを用い た。

ま た , フ オイ ルゲ ン染色には , シ ツフ の試薬 , 1 M

HCl を用いた。 シツフの試薬 : 0.5g の塩基性フ ク シ

ャ を100m1 の沸騰水に溶解し た。 40°C に冷めたら ,濾過を行い, ろ液に 15m1 の 1 N 塩酸を加え た後,1.5g の二亜硫酸 カ リ ウ ム (重亜硫酸 カ リ ウ ム ,

K 2S 20 5) を加え , 溶解後, 暗所に一晩置 く と色素

の赤い色は消え , 薄い黄色の透明な溶液にな っ た。

こ れを冷暗所に保存 し て用いた。

(2) 実験方法

(a) 大腸菌からの DNA 抽出法

1 ) 大腸菌を LB 液体培地に植菌 し , 37℃で 8 時間

66

ブロッコリー

中性洗剤

茶こし・ ガーゼ

ブロッコリー

合成洗剤

茶こし

ブロッコリー

台所用中性洗剤

茶こし

以上培養し , そこ から0.5m1 をマイ ク ロ チ ュ ー

ブ (2.0m1 用) に取り 出し遠心分離を行い集菌

した。 大腸菌の密度は, 分光光度計 (べ ツクマ

ン D-640) 0D6。。の測定値で示 した。

2 ) 500オ1 の 0.5% 洗剤溶液を加え , ボルテ ツク ス

をかけ , 溶菌 させた。

3 ) 500オ1 の5 M Nac l を加え穏やかに撹拌した。

4 ) 600オ1 の氷冷した 2一 プロ パノ ールを加え , マイ

クロ チ ュ ーブを ゆっ く り 撹拌 し , DNA を抽出

し た。

(b) 納豆菌からの DNA 抽出法

1 ) 納豆を 6 粒ほ ど ビーカ ーにと り , 溶液 1 (0.5% ジ ョ イ / TE 溶液) を 5m1 加え, 薬 さ じでか

き混ぜ, ねばねばの中にいる納豆菌 を溶かし た。

2 ) 豆粒を取り出した後, 5 M Nac l を 5m1 加え,ゆっ く り 撹拌 した。

3 ) 30m1 の氷冷 し たエ タ ノ ールをそ っ と 加え ,DNA を抽出した。

(c) アサリ , ブロ ッ コ リ ー, シイ タ ケ から の DNA 抽

出法

1 ) アサリ は生きているもの 2 個または 3 個, ブロ ッ

コ リ ーの花芽は 2 枝または 3 枝 (約15g) , シイ

タ ケは傘の部分 1 個を解剖ばさ みを用いて細か

く 刻み, 乳鉢に入れた。

2 ) 5 m1 の溶液 1 を加え , その上に食塩を小 さ じ

1 杯 (約 3 g) 加え , 乳棒で ドロ ドロ にな るま

ですり 潰した。

3 ) さ らに, 5 m1 の溶液 1 を加えまぜ, ソ フ ライ

ナ ー ( ピ ジ ョ ン社製) を ろ紙代 わり に し て , そ

の上に中身 をあけ こ し た。 さ ら にそれを絞り ,絞り かすができ るまで絞っ た。

4 ) ろ液に 30m1 の氷冷 し たエ タ ノ ールをそ っ と加

え, DNA を抽出した。

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中等教育課程における安全で簡便な DNA 抽出法の開発と抽出法の適用範囲

(d) フ オイ ルゲ ン染色法

1 ) 抽出 し た DNA を ガラ ス棒に巻き取り , DNAの塊 を崩 さ ない よ う にお だやかにすすい だ。

2 ) マイ クロチューブに約 1 mi の 1 M HC1 を加え,室温に15分間おいた。

3 ) マイ ク ロ チ ュ ーブ を 60°Cの恒温槽に浮かべ,15分間加水分解させた。

4 ) Hd を捨て, シ ツフ試薬 を約 1 mi 注ぎ, 暗所

に置い た。 紫色 に色付 く こ と で , 抽出物 が

DNA であるこ と を確認し た。

m 結果および考察

(1) 簡易 DNA 抽出法の開発

中学校 「理科」 およ び高等学校 「生物基礎」 の教科書

には, 様々な材料からの DNA の抽出実験が取り 上げら

れてい る (表 1 , 表 2 ) 。 そ し て細胞溶解試薬につい て

は, 具体的に示 さ れてい る訳ではな く , 教育現場からは

何を使えば良いかな どの質問 を受け るこ と が多い。 そこ

で , 中等教育課程で容易に扱う こ と ができ るよ う に, 安

全で簡便な DNA 抽出法を検討 し た。 DNA の抽出にお

いては, 細胞の十分な溶解と DNA が分解 さ れないこ と

が大切にな る。 そこ で , まず最初に, 大腸菌 を用いて細

胞溶解試薬の検討 を行っ た。 こ れまで , DNA 抽出には, ジ ョ イ パワ ー プラ ス (P&G) を使用 し てい たが, 問題

も無 く 抽出が行え ていたため, 他の洗剤溶液で も同様に

抽出でき ると考え ていた。 こ こ では, どのi先剤溶液が最

も高収量で抽出でき るか検討するために, 大腸菌を用い

て検討 を行 っ た。 大腸菌 を使えば出発量をほぼ同量にす

るこ と が可能である。 そこ で , 洗剤溶液を検討するため

の適当な大腸菌量を決定 し た。 液体培養し た大腸菌の菌

体量を変えて DNA の抽出を行った。 0.25ml, 0.50m1, 0.75m1, 1.0m1 のどの容量からで も DNA を抽出するこ

と がで き た (図 1 ) 。 抽出量は, 最初の菌体量に比例 し

ていた。 そこ で , 以下の実験には, 抽出量が適量であ っ

た 0.50m1 の大腸菌を使用するこ と と し た。

5 種類の台所用洗剤を使っ て大腸菌から DNA を抽出

し た。 調査 し た台所用洗剤のう ち , 「 ジ ョ イ パワー プラ

表 3 菌体の溶解に用いた台所用洗剤の成分

1.0 mi 0.75 mi 0.50 mi 0.25 mi

/-1/

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図 1 液体培養 した大腸菌からの DNA抽出大腸菌 JM103株の培養液 (OD 約3.2) を左から1 .0ml、

0.75ml、 0.50ml、 0.25ml 使用してDNAを抽出した。 矢印はDNAの沈殿を指 している。 抽出には、 ジ ョ イ パワープラ スを使用 し た。

フアミリー フレツシュ

22%

ファミリー

コンパクト

33%

フアミリー パワージエル

50%

ジョイパワープラス

41%

チヤーミー マイルド

43%

図 2 各種洗剤溶液を使用 した大腸菌からの DNA 抽出矢印は抽出さ れた DNA を示す。

洗 剤 口 名 液 性 界面活性剤 アルキルエーテル アルキルア ミ ン

゛アルキル アルキルヒ ドロキシ ポ リ オキシエチ レ ン 脂肪酸アルカ ノ ール

脂肪酸ガ リ ウム' ロロ ' 濃度 (%) 硫酸エステルナ ト リ ウム オキシ ド ク リ コ キシ ド スルホベタ イ ン アルキルエーテル ア ミ ド 日

フ ア ミ リ ー フ レ ツシ ユー

フ ア ミ リ ー コ ンパク トー

フ ア ミ リ ーパワージ エル

ジ ヨイ パワー プ ラ ス″

中性

中性

中性

弱アルカ リ 性

チ ヤー ミ ーマイ ル ドー

弱酸性

セ ツケ ン食器洗い 弱アルカ リ 性

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3

0

1

2

3

5

4

3

0

4

3

1

1

1

1

各欄の数字は、 各種成分が各製品の表示に現れた順番を表す ,

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笠 原 恵 渥 美 茂 明

表 4 菌体を溶解するために使う溶液の性質と DNAの抽出結果

品名 溶媒 使用濃度 (%) 抽出溶媒の p H 糸状 D N A の沈殿

フ ア ミ リ ー フ レ ツシユ''

'' フ ァ ミ リ ー コ ンパク ト ''

'' フ ア ミ リ ーパワー ジ エル ''

'' ジ ョ イ パワー プラ ス ''

'' ジ ョ イ パワー プラ ス ''

'' ジ ョ イ パワー プラ ス ''

''チ ヤー ミ ーマイ ル ド ''

セ ツケ ン食器洗い

セ ツケ ン食器洗い

セ ツケ ン食器洗い

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01

00

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8

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9

9

0

7

4

8

8

7

8

7

7

8

8

7

8

8

9

界面活性剤の濃度 を 2 倍に調整 した。 他の溶液は表示濃度に基づいて最終濃度0. 21 % に調整 した。

菌体

洗剤濃度

溶媒 Tr is TE

_大腸菌

0.5% 1.0% 0.5% 1.0% Tr is TE TE Tr is TE TE

二・ :, 「 :- 「 i

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-

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(

図 3 界面活性剤に 「 ジ ョ イ パワープラ ス (P&G) 」 を用いた場合の DNA 抽出結果矢印は抽出さ れた DNA を示す。 EDTA を含む TE では DNA の沈殿物が生じ るが, EDTA を含まない Tris では DNA の沈殿物がほと んど生 じ ない。

ス」 のみが 2- プロ パノ ールを加え た直後に DNA 特有

の綿状の沈殿 を生 じ た (図 2 ) 。 こ れら の洗剤に含ま れ

てい る成分 を比較 し た ものが表 3 である。 5 種の台所用

洗剤には , アルキルエ ーテル硫酸エ ス テルナ ト リ ウムが

使用 さ れていた。 DNA を効率よ く 抽出 し た 「 ジ ョ イ パ

ワープラ ス」 は特別な界面活性剤を含んでい るわけでは

ないこ と がわかる。 他の洗剤を用いたと き に迅速に沈殿

が生 じ ない理由は不明である。

次 に , 菌体 を溶解す る た めに使 っ た溶液の性質 が

DNA 抽出に影響 し てい るか どう かを調べた。 使用 し た

洗剤と溶媒, 溶媒のPH の違いによ り DNA の沈殿が見

ら れるか どう か比較 し た も のが表 4 であ る。 「 ジ ョ イ パ

ワープラ ス」 は弱 アルカ リ 性と 表示 さ れてい るが, 抽出

溶媒の PH を大 き く 変え る こ と はなか っ た。 ゼ ッ ケ ン

食器洗い を除き , 溶液の PH は 8 前後で大き な違い を

見い だすこ と はで き なかっ た。

DNA 抽出において, DNase (DNA 分解酵素) の活

性を押 さえ る こ と は重要であり , DNA 抽出量に影響 を

及ぼす。 界面活性剤に 「 ジ ョ イ パワープラ ス」 を用いた

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際に, 溶媒 を TE と Tris で比較 し た (図 3 , 表 4 ) 。

溶媒に TE を使 っ た時のみ DNA の抽出が可能であ っ

た。 こ れは, TE の中に EDTA が入 っ てい るためだと 考

え ら れる。 EDTA は, DNase の活性に必要な 2 価の金

属イ オ ンをキ レ ー ト す る。 その結果, DNase 活性 を抑

制 し , 少量の試料からの DNA 抽出を可能に し たと考え

ら れる。 EDTA を含まない溶媒 (Tris) では, DNase が

働い たため沈殿物は生 じなかっ たと 考え ら れる。 こ のよ

う に, 台所用洗剤は EDTA を含ま ない ため, 台所用洗

剤 を溶菌に用い る と , EDTA の効果 を調べ る こ と がで

き る。

DNA 抽出の際には, TE を溶媒に使う こ と が推奨 さ

れるが, 実際の教育現場では, 特有の試薬 を準備す るこ

と は難 しい場合が多い。 そこ で , 「 ジ ョ イ パワープラ ス」

十 TE に代わる も のと し て , 「 セ ツケ ン食器 i先い」 に着

目 し た。 市販の液体石鹸には 2 価の金属イ オ ンを封鎖す

る物質が含まれている。 この 「セ ツケ ン食器洗い」 を使っ

て DNA 抽出 を試みた。 その結果, 洗剤を純水で薄めた

だけでも DNA を抽出するこ とができた (図 4 , 表 4 )。

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中等教育課程における安全で簡便な DNA 抽出法の開発と抽出法の適用範囲

菌体

洗剤濃度

溶媒 純水 TE

大腸菌

0.7% 1.4% 0.7% 1.4% 純水 TE TE 純水 TE TE

図 4 界面活性剤に金属イ オンを含む 「 せつけん」 を用いた場合の DNA 抽出結果矢印は抽出 さ れた DNA を示す。 洗剤を純水で薄めただけで も DNA を抽出する こ と ができ る。

、、・

/

一.、

一〇一

、、

.-

i,

一 ,

納豆画 プロツ=Iリー アサリ

図 5 各種材料からの DNA 抽出法

す なわち 「 ゼ ッケ ン食器洗い」 を使 っ た場合には, 調整

すべき試薬を最小限にするこ と ができ , 教育現場では有

用であ る と 考え ら れる。

(2) 簡易 DNA 抽出法の適応範囲

開発 し た方法 を用 い て , あ ら ゆる 生物 に普遍的 に

DNA が存在す る こ と を調べ る と き , 実験材料には何が

69

適 し ているかについて検討 し た。 教育現場での DNA 抽

出実験の材料と し ては, 一年間を通 し ていつで も新鮮な

材料が手に入るこ と が重要である。 また, DNA が遺伝

物質と し てすべての生物に共通に存在 し ているこ と を実

験を通 し て理解させるこ と が大切である。 そこ で材料と

して, 原核生物界 (モネラ界) の納豆菌, 植物界のブロ ッ

コ リ ー, 動物界のアサリ , 菌界の シイ タ ケ を調べた。

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0 二1

笠 原 恵 渥 美 茂 明

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図 6 ガラ ス棒にからめた D N A のフ オイ ルゲ ン染色左 から納豆菌、 シイ タ ケ、 ブロ ッ コ リ ー、 アサリの D N A を ガラ ス棒にからめたまま、 加水分解から シ ッ プ試薬によ る染色ま で を行 っ た。

また, 前述の大腸菌の実験と異なり , 実験材料の量が

多 く なる。 教科書では材料を潰し た後に, 茶こ し , ガー

ゼ, ろ紙な どを使用 し漉し てい る (表 1 , 表 2 ) 。 こ の

際に, 使い捨てにす るこ と がで き て , ガーゼよ り 目が細

かく , ろ紙よ り 頑丈で破れに く い ソ フ ライ ナー を使用す

ると実験後の処理が簡単である。

a) 原核生物 : 細菌は機能も構造も単純であり , DNAを抽出するのは比較的容易である。 納豆は枯草菌の

1 種 (」Bac,11us sabt,11s) が作 る発酵食品であり , 年

中市販 さ れてい る。 納豆菌は納豆のネバネバの中に

生息 し てい る。 DNA 分子 を確かめる だけ な ら ば,豆の処理がしやすい大粒納豆の納豆菌から の DNA抽出を推奨する。

b) 植物 : 中等教育課程の教科書で最も多 く 取り上げ

ら れてい る材料であ る。 植物の細胞は成熟するにつ

れ, 液胞が発達 し大き く な るため, DNA 含量は相

対的 に小 さ く な る。 ま た , 液胞に貯ま っ た さ ま ざ

まな加水分解酵素が DNA を分解 し , 抽出を妨害

するこ と がある。 さ ら に, ク セのない野菜を除けば,ほ と ん どの植物は ア ク と 呼ばれる ポリ フ ェ ノ ール を

多 量に持 っ てい る ため , 細胞 をつぶす と , こ のア ク

が出てき て DNA と結合す る。 細胞壁や液胞には水

溶性の高分子 ( ポリ サ ッ カ ライ ド) が存在 し , アル

コ ールを加え る と , DNA と一緒に沈殿し て しまう 。

植物には DNA の抽出を妨げる物質が存在するた

めに , 純度の高い ( フ オイ ルゲ ン染色 し やす い )DNA を簡単に抽出す る ためには材料 を選ばなけ れ

ばなら ない。 植物の中で も , 比較的年中入手 し やす

い ものと し て ブロ ッ コ リ ーがある。 こ の花芽の部分

は細胞 も多 く , 柔 ら かい ため潰 し やすい。 ま た ,

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DNA 抽出液は緑色を し ており , アルコールを加え

た際に, 白い沈殿がはっ き り 観察でき るため, DNAを識別 しやすい。 植物細胞からの抽出には, 新鮮な

ブロ ッ コ リ ーを推奨す る。

c) 動物 : 動物の細胞は主に タ ンパク質から でき てい

る ため , 弾力 に富み簡単 には潰れない。 細胞が死ぬ

と , 様々な加水分解酵素が解き放たれて組織は柔ら

か く な るが, DNA も分解 さ れて し ま う 。 DNA を

取り 出すには可能な限り 新鮮な材料を用意し なけ れ

ばな ら ない。 スーパーマ ーケ ッ ト で販売 し てい るウ

シやブ タ の肝月蔵は , 冷凍で輸入 さ れた も のを解凍 し

て販売 し ているこ と が多 く , 新鮮な肝臓を入手する

のは容易 ではない。 また , 肝月蔵は血液やミ オグロ ビ

ンな ど多種類の タ ンパ ク質 を含み, タ ンパ ク質の除

去と DNA の精製に手間取 る。 そこ で , 年間 を通

し て市販 さ れてい る アサ リ を推奨す る。 アサ リ は

軟体動物門の生物で , ヘモ グロ ビンを持 つていない

ため, 血液の色に惑わさ れずにすむこ と と , 魚ほ ど

生臭 く ないこ と は教材と し て利点であ る。 また, 約

3 % の塩水に入れておけば, 数日程度は冷蔵庫で生

かし てお く こ と ができ , 生き た新鮮な材料と なり 得

る o

d) 菌類 : 真核生物の菌界に属する生物で, カ ビ, キ

ノ コの仲間である。 一年間 を通 し て入手可能なも の

と し て食用のキノ コ類が挙げ ら れる。 キノ コは, 子

実体のヒ ダの部分に担子胞子 をた く さ ん付け てい る

ため, こ の部分 を使えば DNA 抽出は可能である。

シイ タ ケ , ブナ シメ ジな ど を推奨す る。

上記の納豆菌 , ブロ ッ コ リ ー, アサリ から の抽出過程

を図 5 に示す。 どの材料も同 じ方法で抽出できた。 さ ら

に, こ れら が DNA であ るか どう かを確認す るために , フ オイ ルゲ ン染色を行 っ た。 DNA を弱い酸で加水分解

す る と , DNA 分子中のプリ ン塩基 ( アデニ ンと グアニ

ン) が切り 離 さ れ糖 ( デオキ シリ ボース) がアルデ ヒ ド

を生 じ る。 こ のアルデ ヒ ド と シ ツフの試薬が結合 し て ,

不溶性の紫色の色素 ( フ オイ ルゲ ン色素) を生 じ る。 こ

の反応はき わめて鋭敏で , アルデヒ ドの特異的な検出に

用い ら れる。 糖 と リ ン酸ででき た DNA 分子の骨格は

切断 し ないため, シ ツフの試薬と の反応で生 じた色素も

溶液中に溶け出さ ない。 加水分解後, シツフの試薬と結

合 し て紫色の色素 を生 じ る物質は, DNA だと考え ら れ

る。 納豆菌 , シイ タ ケ , ブロ ッ コ リ ー, アサリ から の抽

出物を フ オイ ルゲン染色し たと こ ろ , すべて紫色に染ま っ

た (図 6 ) 。 こ のこ と から , 納豆菌, シイ タ ケ , ブロ ッ

コ リ ー, アサリ から DNA が抽出でき たこ と が確認 さ れ

た。

本研究で提案 した簡易 DNA 抽出法は, 50分の授業

時間内に実施可能な実験であり , 材料を選ぶこ と で , そ

Page 7: Development of a Simple DNA Extraction Procedure …repository.hyogo-u.ac.jp/dspace/bitstream/10132/17254/1/...Development of a Simple DNA Extraction Procedure without Ch1orofonn Phenol,

中等教育課程における安全で簡便な DNA 抽出法の開発と抽出法の適用範囲

こ から 「すべての生物は, 遺伝物質 と し ての DNA が

共通に存在 し ているこ と」 を効率よ く 学習するこ と がで

き る教材である。 また, 真核生物においては, 組織のフ オ

イ ルゲ ン染色で核が染色さ れてい るこ と と考え合わせる

こ と で , 核内に遺伝物質であ る DNA が存在 し てい る

こ と を認識さ せるこ と が可能である。 本教材は, 生徒の

実感を伴った学習と して有効であると考え ら れる。 今後, 教育現場において本教材の益々の利用促進を期待 し たい。

IV 引用文献

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究報告 教育実践研究 第 7 巻 pp 69-78.川上昭吾 ・ 両森真司 ・ 佐藤真歩 (2005) 中学校理科にお

ける DNA 抽出実験の改良. 理科教育学研究 45(3) :23-29.

楠元守 ・ 安斎寛 ・ 楠元範明 (1999) 植物組織からの簡易 ・

迅速 DNA 抽出法. 生物教育 40(1) : 13-20.辻本昭彦 (2009) DNA 抽出実験の実践一 中学校でも簡

単にでき る DNA 抽出実験の教材化一 . 理科の教育 5月号 pp 47-49.

中山生欧 ・ 前川洋 (1998) ハー ド コ ンタ ク ト レ ンズ用洗

浄保存液による DNA 抽出法. 生物教育 38(2) : 58-62. 前川洋 (1998) 続報 : ハー ド コ ン タ ク ト レ ンズ用洗浄保

存液による DNA 抽出法. 生物教育 39(1) : 39-42.森田保久 (2003) 身近な DNA 抽出実験. 理科の教育11

月号 pp 34-36.文部科学省 (2008) 中学校学習指導要領. 東山書房.文部科学省 (2009) 高等学校学習指導要領. 東山書房. 文部科学省 (2017) 中学校学習指導要領. http://www.

mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/_icsFiles/afieldfile/2017/06/21/1384661_5.pdf ( アク セ

ス 2017.10.12)

【本研究で参照した教科書】

( 中学校理科)有馬朗人 他62名 (2016) 新版 理科の世界 3 .

大日本図書. 平成27年検定.岡村定矩 他50名 (2016) 新編 新しい科学 3 .

東京書籍. 平成27年検定.霜田光一 他30名 (2016) 中学校 科学 3 .

学校図書. 平成27年検定.塚田捷 他61名 (2016) 未来へ広がるサイエ ンス 3 .

啓林館. 平成27年検定.細矢治夫 他29名 (2016) 自然の探究 中学校理科 3

教育出版. 平成27年検定.(高等学校生物基礎)

浅島誠 他24名 (2017) 改訂 生物基礎.

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東京書籍. 平成28年検定.嶋田正和 他14名 (2017) 改訂版 生物基礎.

数件出版. 平成28年検定.庄野邦彦 他11名 (2017) 新訂版 生物基礎.

実教出版. 平成28年検定.本川達雄 他17名 (2017) 生物基礎 改訂版.

啓林館. 平成28年検定.吉里勝利 他20名 (2017) 改訂 生物基礎.

第一学習社. 平成28年検定.( 高等学校生物基礎一 大版)

浅島誠 他24名 (2017) 新編生物基礎.東京書籍. 平成28年検定.

嶋田正和 他14名 (2016) 新編生物基礎.数件出版. 平成28年検定.

馬場昭次 他9名 (2017) 新訂版高校生物基礎

実教出版. 平成28年検定.本川達雄 他17名 (2016) 新編生物基礎.

啓林館. 平成23年検定.吉里勝利 他20名 (2017) 新生物基礎.

第一学習社. 平成28年検定.